説明

情報処理プログラム、中継装置及び中継管理装置

【課題】データの中継装置に対する処理機構の割当ての移行において適切な処理機構を選択する。
【解決手段】中継装置4では、中継部24が、自装置に割当てられた業務装置2から受信したVM統計情報を収集装置3へと転送する。ここで、業務装置管理部21は、業務装置2からVM統計情報を収集中のときには、業務装置管理テーブル10の移行ステータスを移行不可とする。また、業務装置管理部21は、VM統計情報の収集が完了しても、業務装置2から受信するVM統計情報の転送量の変動が大きい場合には、業務装置管理テーブル10の移行ステータスを移行不可のままとしておく。そして、中継装置4の処理負荷が大きくなった等の状況により、中継装置4に対して割当てられている業務装置2を他の中継装置4に移行させるときには、移行対象決定部22が、移行ステータスが移行可の業務装置2のみを、移行対象として選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの中継装置の負荷分散を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理を複数の処理機構で分散して行うシステムにおいては、負荷分散を適切に行うための様々な技術が提案されている。かかる分散処理においては、単に情報処理の割当てを行うのみならず、システムの稼働状況に応じて、割当てを移行することもある。
負荷分散を行う技術の例として、複数の情報処理部において情報処理を分散して行うシステムにおいて、エージェントが稼働率の低い情報処理部を選択して処理要求を割当てる技術が採用されている。この技術においては、情報処理部は、自身の処理状況に応じて、エージェントに処理要求の再割当て要求を送信する。エージェントは、再割当て要求を受け付けると、他の情報処理部の管理する処理要求を、再割当て要求を送信した情報処理部に移動させる。
【0003】
また、他の例として、オブジェクト指向のクライアント・サーバシステムにおいて、サーバごとの負荷状況を管理し、負荷状況に応じてサーバオブジェクトを負荷の少ないサーバに移動させる技術がある。
さらに、分散されたプラットフォームにおいてアプリケーションを実行するときに、所定のアルゴリズムに基づいてアプリケーション等の配布等を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−231184号公報
【特許文献2】特開2000−10936号公報
【特許文献3】特開2004−520641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、負荷分散システムの一態様として、情報処理装置から送信されるデータを所定の転送先に転送する中継装置を複数備えたシステムがある。かかるシステムでは、中継処理を分散させるべく、中継装置のそれぞれにデータの転送元である情報処理装置が割当てられている。そして、各中継装置の処理状況に応じて情報処理装置の割当ての移行が行われる。しかし、かかるデータ中継システムにおいて、割当ての移行対象とする処理機構が適切に選択されず、割当ての移行処理が行われても、システム全体としての処理効率を効果的に向上させられないことがあった。そして、上述したような従来技術においても、どの情報処理の割当てを移行するか、すなわち、移行の客体となる対象の選択の際には、必ずしも適切な対象が選択される工夫がなされていなかった。
【0006】
以上のような問題点に鑑み、本技術は、特に、データの中継装置に対する情報処理装置の割当ての移行において適切な情報処理装置を選択することで、中継処理の負荷分散による処理効率をシステム全体として向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを所定の転送先装置へと転送する中継装置に対する情報処理装置の割当てを、他の中継装置に移行させる場合において、移行対象とする情報処理装置を次のようにして選択する。すなわち、本技術は、各情報処理装置からの中継対象データの受信状態に応じて、各情報処理装置の
割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶しておく。そして、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させるときに、記憶手段に格納された各情報処理装置の前記移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択する。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、データの中継処理の負荷分散による処理効率をシステム全体として向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】業務装置、収集装置及び中継装置間のLAN接続態様の一例を示す図である。
【図3】中継装置の一例の機能ブロック図である。
【図4】業務装置管理テーブルの一例の説明図である。
【図5】転送先テーブルの一例の説明図である。
【図6】共通情報テーブルの一例の説明図である。
【図7】中継管理装置の一例の機能ブロック図である。
【図8】中継装置管理テーブル31の一例の説明図である。
【図9】割当てテーブル32の一例の説明図である。
【図10】転送先テーブルの一例の説明図である。
【図11】共通情報テーブルの一例の説明図である。
【図12】各装置間の処理シーケンス(定期的なVM統計情報の収集処理)の一例の説明図である。
【図13】各装置間の処理シーケンス(中継装置のCPU使用率超過による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図14】各装置間の処理シーケンス(VM収集処理における障害発生による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図15】各装置間の処理シーケンス(構成情報通知時)の一例の説明図である。
【図16】中継装置の処理シーケンス(定期的なVM統計情報の収集処理)の一例の説明図である。
【図17】中継装置の処理シーケンス(中継装置のCPU使用率超過による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図18】中継装置の処理シーケンス(VM収集処理における障害発生による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図19】中継装置の処理シーケンス(業務装置割当て移行処理により業務装置が割当てられた場合)の一例の説明図である。
【図20】中継管理装置の処理シーケンス(中継装置の負荷情報受信時)の一例の説明図である。
【図21】中継管理装置の処理シーケンス(業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図22】中継管理装置の割当て決定部44における移行先の中継装置の選択処理の一例の説明図である。
【図23】中継装置の一例の機能ブロック図である。
【図24】中継管理装置の一例の機能ブロック図である。
【図25】各装置間の処理シーケンス(中継装置のCPU使用率超過による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図26】中継装置の処理シーケンス(中継装置のCPU使用率超過による業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図27】中継装置の処理シーケンス(業務装置管理テーブルの情報受信時)の一例の説明図である。
【図28】中継管理装置の処理シーケンス(業務装置割当て移行処理)の一例の説明図である。
【図29】中継装置及び中継管理装置のハードウェア構成の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、一の装置から受信したデータを他の装置へと転送する中継処理を行う中継装置を複数備えたシステムにおいて、データの中継処理の分担を一の中継装置から他の中継装置に切り替える技術について説明する。具体的には、複数の中継装置には、中継対象データの送信元である情報処理装置がそれぞれ割当てられている。そして、必要に応じ、1つの中継装置に割当てられた情報処理装置の割当てが、他の中継装置に移行される。ここで、本技術は、各情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を、情報処理装置ごとに記憶手段に格納して管理する。そして、本技術は、例えば処理負荷の大きい(又は大きくなることが予測される)中継装置が存在するときに、当該中継装置に割当てられた情報処理装置のうち、どの情報処理装置を他の中継装置に割当てし直すかを、各情報処理装置の移行可否情報に応じて選択する。これにより、他の中継装置に割当てを切り替える情報処理装置が適切に選択され、割当ての移行処理が効果的なものとなる。その結果、システム全体として、スケールアウトされた複数の中継装置の情報処理資源を有効活用し、データの中継処理を効率良く行うことが可能となる。
【0011】
[第1実施例]
本実施例では、上述の技術を、サーバノードプールに構築した仮想マシン(VM:Virtual Machine)を顧客に提供するサービスを行うシステムにおいて、VMの動作状況に関
連する諸情報であるVM統計情報を顧客に提供する処理に適用した例を用いて説明する。具体的には、本システムでは、VMが構築されたサーバである業務装置(情報処理装置)が生成する中継対象データであるVM統計情報を、中継装置が、VM統計情報を収集するサーバである収集装置(転送先装置)に中継する。なお、VM統計情報には、例えばVMに割り当てられている物理資源の情報などが含まれており、かかるVM統計情報は、顧客に対してサービス内容を可視化するために提供されるものである。また、このように中継装置を導入してVM統計情報の中継処理を行うのは、業務装置におけるVM統計情報をVMの提供先である顧客に応じた適切な収集装置に振り分ける処理を、業務装置から切り離すためである。これにより、業務装置や収集装置の数が多くても、VM統計情報を効率的に収集装置に振り分けることができ、また、VMの構築状況や収集装置の変更等、システム構成の変更に柔軟に対応することができる。
【0012】
図1は、本実施例に係るシステムの全体構成を示す。本システムは、VM管理装置1、VMが構築される業務装置2、収集装置3、中継装置4及び中継管理装置5を有する。VM管理装置1、業務装置2、収集装置3、中継装置4及び中継管理装置5は、いずれもCPU(Central Processing Unit)及び記憶手段を備えた情報処理装置である。なお、本
明細書において記憶手段とは、メモリ等の揮発性記憶装置又はストレージ等の不揮発性記憶装置の少なくともいずれか一方を指す。
【0013】
VM管理装置1は、外部の顧客システム(図示省略)及び業務装置2と通信可能であり、顧客システムから受信する要求等に応じ、業務装置2にVMを構築する。また、VM管理装置1は、収集装置3と通信可能であり、VMの提供先の顧客システムとVMの統計情報を収集する収集装置3との対応付けを管理している。さらに、VM管理装置1は、中継管理装置5と通信可能であり、例えば、VMが構築された業務装置2や、VM統計情報の転送先となる収集装置3の対応付け等を含んだシステム構成情報を、中継管理装置5に送信する。また、VM管理装置1は、業務装置2や収集装置3が追加等されることによりシステム構成が変更になった場合等にも、その変更内容を含んだシステム構成情報を中継管
理装置5に通知する。
【0014】
業務装置2は、VM管理装置1と通信可能であり、顧客システムからの要求に応じて、VM管理装置1によりVMが構築される装置である。また、業務装置2は、中継装置4と通信可能であり、自装置に構築されたVMに関するVM統計情報を所定時間ごとに抽出し、抽出したVM統計情報を、中継装置4からの要求に応じて、中継装置4に送信する。
【0015】
収集装置3は、中継装置4と通信可能であり、中継装置4から送信されたVM統計情報を受信し、必要に応じてアプリケーション等で統計処理を行って出力して、顧客に提供する。また、VM管理装置1と通信可能であり、収集装置3のシステム構成をVM管理装置1が管理している。なお、収集装置3は顧客システムの一部であってもよい。
【0016】
中継装置4は、中継管理装置5と通信可能であり、中継管理装置5から、自装置に割当てられた業務装置2及びVMとVM統計情報の転送先の収集装置3との対応付け等の情報を受信する。そして、中継装置4は、業務装置2及び収集装置3と通信可能であり、中継管理装置5から受信したこれらの情報に基づいて、業務装置2から受信したVM統計情報を収集装置3に転送する処理を行う。ここで、中継装置4は、自装置の処理負荷が大きいとき又は大きくなることが予測されるときに、自装置に割当てられている業務装置2の中から、他の中継装置4に割当てを移行するべき業務装置2を選択する。そして、中継装置4は、中継管理装置5に対して、選択した業務装置2についての割当て移行要求を送信し、業務装置2の割当てを移行させる。
【0017】
中継管理装置5は、VM管理装置1と通信可能であり、VM管理装置1からシステム構成情報を受信する。そして、中継管理装置5は、VM管理装置1から受信した情報に基づいて、中継装置4に対する業務装置2の割当てを決定する。さらに、中継管理装置5は、中継装置4と通信可能であり、中継装置4に対する業務装置2の割当てや、VMとVM統計情報の転送先の収集装置3の対応付け等を中継装置4に通知する。また、中継装置4に対する業務装置2の割当てを移行するときには、どの中継装置4を割当ての移行先とするかを決定し、移行先となる中継装置4に通知する。
【0018】
なお、本実施例において、上述した各装置間の通信は、いずれもLAN(Local Area Network)接続で実現されているものとする。しかしながら、かかる通信は、LANに限らず、例えばWAN(Wide Area Network)やインターネット等、いかなる手段で実現されてもよく、その通信方法は有線通信又は無線通信のいずれであってもよい。
【0019】
図2は、本実施例における業務装置2、収集装置3及び中継装置4間のネットワーク接続態様について示している。業務装置2、収集装置3及び中継装置4には、いずれもIPアドレスが割り振られている。中継装置4のそれぞれは、業務装置2のそれぞれと接続されている一方、収集装置3のそれぞれと接続されている。なお、図2に示す業務装置2、収集装置3及び中継装置4の数は一例に過ぎない。
【0020】
次に、中継管理装置5及び中継装置4の構成について詳述する。
図3は、中継装置4の機能ブロック図の一例を示す。中継装置4は、図3に示すように、記憶手段において、業務装置管理テーブル11、転送先テーブル12及び共通情報テーブル13を有する。また、中継管理装置5は、プログラムがメモリにロードされCPUにより実行されることによって実現される制御手段として、中継管理装置通信部21、業務装置管理部22、移行対象決定部23、収集部24、中継部25及び転送部26を備える。
【0021】
業務装置管理テーブル11は、中継装置4に割当てられた業務装置2ごとに、中継処理
に関係する諸情報が格納されるテーブルである。そして、業務装置管理テーブル11は、図4に示すように、中継装置4に割当てられた業務装置2のIPアドレス、定期的なVM統計情報収集処理において業務装置2から送信されたVM統計情報の前回収集処理時の転送量である前回転送量、及び、前々回中継処理時の転送量である前々回転送量の項目を有する。さらに、業務装置管理テーブル11は、情報処理装置の割当てを他の中継装置4に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報である移行ステータス、及び、VM統計情報の収集処理において障害が発生しているときに、収集処理を失敗した回数を保持しておくための取得失敗回数の項目を有する。
【0022】
転送先テーブル12は、中継装置4に割当てられた業務装置2に構築されたVMと、VM統計情報の転送先の収集装置3と、を対応付けるテーブルであり、図5に示すように、VMを特定可能なVM識別子及び収集装置3のIPアドレスの項目を有する。
共通情報テーブル13は、各種判定に用いる閾値が格納されるテーブルであり、図6に示すように、VM統計情報の転送量の変動の大小を判定するのに用いる転送量変動閾値、及び、中継装置4の処理負荷の大小を判定するのに用いるCPU使用率閾値を含む。転送量変動閾値及びCPU使用率閾値は、いずれもシステム管理者等によって予め設定される情報である。
【0023】
中継管理装置通信部21は、中継管理装置5との通信インタフェースとしての機能を有する。具体的には、中継管理装置通信部21は、中継管理装置5から、VMが構築された業務装置2や、VM統計情報の転送先となる収集装置3の対応付け等の諸情報を受信し、業務装置管理部22や中継部25に通知する。また、中継管理装置5に対し、自装置の負荷情報や、業務装置2の割当て移行要求を送信する。この負荷情報は、例えば、中継装置4におけるCPU使用率を含む。また、本実施例では、CPU使用率の内訳として、VM統計情報の転送量の変動が所定閾値よりも大きい業務装置2から受信するVM統計情報の中継処理に費やされているCPU使用率の合計である変動大CPU使用率を含む。さらに、負荷情報は、次回のVM統計情報の収集処理において、業務装置2から受信し収集装置3に転送するVM統計情報の転送量の、中継装置4に割当てられている全ての業務装置2分の合計値として予測される次回転送予測量合計を含む。
【0024】
業務装置管理部22は、中継装置4に割当てられた業務装置2に関連する諸情報を管理する。具体的には、業務装置管理部22は、例えば、中継管理装置通信部21から通知された業務装置2の割当てを示す情報に基づき、業務装置管理テーブル11の更新(業務装置2のデータの追加や削除)を行う。また、業務装置管理部22は、業務装置2からのVM統計情報の受信状態に応じて、業務装置管理テーブル11の移行ステータスを変更する。さらに、業務装置管理部22は、移行対象決定部23が他の装置に割当てを移行させる業務装置2を選択するときに、業務装置管理テーブル11を参照して業務装置2の情報を取得し、移行対象決定部23に通知する。なお、業務装置管理部22は、中継管理装置通信部21から通知された、VM統計情報の転送先となる収集装置3の変更情報に基づいて、転送先テーブル12を更新する処理等も行う。
【0025】
移行対象決定部23は、業務装置管理部22から通知された業務装置2の情報に基づき、他の中継装置4に割当てを移行する業務装置2を選択する。そして、移行対象決定部23は、選択した業務装置2を特定する情報とともに、業務装置2の割当て変更要求を中継管理装置通信部21に送信する。
【0026】
収集部24、中継部25及び転送部26は、それぞれ次の機能を有する。すなわち、収集部24は、業務装置2からVM統計情報を受信し、中継部25に送信する。中継部25は、転送先テーブル12を参照し、VM統計情報に付されたVM識別子に基づき、中継対象データの転送先となる収集装置3を特定し、転送先の収集装置3を特定する情報を、V
M統計情報とともに転送部26に送信する。転送部26は、中継部25から転送されたVM統計情報を、転送先の収集装置3に対して転送する。なお、中継部25は、中継管理装置通信部21から通知された、VM統計情報の転送先となる収集装置3の変更情報に基づいて、転送先テーブル33を更新する処理等も行う。
【0027】
図7は、中継管理装置5の機能ブロック図の一例を示す。中継管理装置5は、図7に示すように、記憶手段において、中継装置管理テーブル31、割当てテーブル32、転送先テーブル33及び共通情報テーブル34を備える。また、中継管理装置5は、プログラムがメモリにロードされCPUにより実行されることによって実現される制御手段として、VM管理装置通信部41、中継装置通信部42、中継装置管理部43及び割当て決定部44を備える。
【0028】
中継装置管理テーブル31は、中継装置4ごとに、中継装置4の負荷情報が格納されるテーブルであり、図8に示すように、中継装置4のIPアドレスと、中継装置4におけるCPU使用率と、変動大CPU使用率と、次回転送予測量合計と、の項目を有する。
【0029】
割当てテーブル32は、中継装置4と、中継装置4のそれぞれに割当てられた業務装置2と、を対応付けるテーブルであり、図9に示すように、中継装置4のIPアドレスと、業務装置2のIPアドレスと、の項目を有する。
【0030】
転送先テーブル33は、システム全体の業務装置2と、業務装置2に構築されたVMと、VM統計情報の転送先の収集装置3と、を対応付けるテーブルであり、図10に示すように、業務装置2のIPアドレスと、VM識別子と、収集装置3のIPアドレスと、の項目を有する。
【0031】
共通情報テーブル34は、中継管理装置5が行う各種判定に用いる閾値が格納されるテーブルであり、図11に示すように、CPU使用率無条件割当判定閾値、CPU使用率条件付き割当判定閾値、及び、変動大CPU使用率判定閾値を含む。各閾値がどのように用いられるかについては、後述の各処理の説明において詳述する。
【0032】
VM管理装置通信部41は、VM管理装置1との通信インタフェースとしての機能を有する。具体的には、VM管理装置通信部41は、例えば、VM管理装置1からシステム構成情報を受信し、中継装置管理部43に、受信した構成情報を通知する。
【0033】
中継装置通信部42は、中継装置4との通信インタフェースとしての機能を有する。具体的には、中継装置通信部42は、中継装置4から、中継装置4の負荷情報や業務装置2の割当て移行要求を受信し、中継装置管理部43や割当て決定部44に、受信した情報を通知する。また、中継装置通信部42は、業務装置2の割当て内容を示す情報や、VM統計情報の転送先となる収集装置3を特定する情報等を、中継装置4に送信する。
【0034】
中継装置管理部43は、中継装置4に関連する諸情報を管理する。具体的には、中継装置管理部43は、中継装置管理テーブル31を参照して情報を取得する一方、VM管理装置通信部41や中継装置通信部42から転送された情報に基づき、中継装置管理テーブル31を更新する。また、中継装置管理部43は、VM管理装置通信部41から転送される、VMとVM統計情報の転送先の収集装置3とを対応付ける情報に基づき、転送先テーブル33を更新する処理も行う。
【0035】
割当て決定部44は、中継装置4に割当てる業務装置2を決定する。具体的には、割当て決定部44は、VM管理装置通信部41から通知される、業務装置2の追加や削除等の情報に基づき、業務装置2をいずれかの中継装置4に割当て、割当てテーブル32を更新
する。また、割当て決定部44は、中継装置4から受信した業務装置2の割当て移行要求に応じて、割当て移行先とする中継装置4を選択し、業務装置2の割当てを変更して、割当てテーブル32を更新する。
【0036】
次に、各装置における処理の概要につき、装置間における処理シーケンスで説明する。
図12は、定期的なVM統計情報の収集処理の概要を示す。
業務装置2は、自装置に構築されたVMのVM統計情報を蓄積している。一方、中継装置4は、所定時間ごとにタイマを起動させ(1)、VM統計情報の要求を、業務装置2に対して送信する(2)。業務装置2は、この要求に応じ、蓄積したVM統計情報を中継装置4に対して送信する(3)。中継装置4は、業務装置2からVM統計情報を受信すると、受信したVM統計情報の転送先となる収集装置3を特定する(4)。そして、中継装置4は、特定した収集装置3に対し、VM統計情報を送信する(5)。一方、収集装置3は、VM統計情報を受信した旨を中継装置4に対して応答する(6)。また、中継装置4は、自装置の負荷情報を中継管理装置5に送信する(7)。中継装置4は、所定時間経過後、(1)〜(7)の処理を繰り返す。ここで、(7)の自装置の負荷情報の送信処理は、VM統計情報の収集処理とは別途独立した処理として、所定時間ごとに行ってもよい。
【0037】
次に、中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる処理を行う場合の一例として、中継装置4のCPU使用率がCPU使用率閾値を超過している場合における、業務装置2の割当て移行処理につき、図13を用いて説明する。なお、中継装置4は、自装置のCPU使用率がCPU使用率閾値を超えていることを、どのタイミングで検出してもよい。なお、本説明では、CPU利用率がCPU使用率閾値を超過している中継装置4を第1中継装置4、第1中継装置4に割当られている業務装置2の割当ての移行先となる中継装置4を第2中継装置4と表記して説明を行う。
【0038】
第1中継装置4は、CPU利用率がCPU使用率判定閾値を超過していることを検出する(1)。第1中継装置4は、自装置に中継処理が割当てられている業務装置2から、他の中継装置4に割当てを移行する業務装置2を選択する(2)。そして、第1中継装置4は、選択した業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行する要求を、中継管理装置5に対して送信する(3)。一方、中継管理装置5は、第1中継装置4からの要求を受信すると、業務装置2の割当ての移行先となる第2中継装置4を選択し、第2中継装置4への割当て移行処理を行う(4)。そして、中継管理装置5は、第1中継装置4に対し、移行対象の業務装置2の割当てを第2中継装置4に移行した旨を応答する一方、(5)、第2中継装置4に対し、移行対象の業務装置2を第2中継装置4に割当てた旨を通知する(6)。第1中継装置4では、自装置に割当てられた業務装置2から、移行対象の業務装置2の情報を削除する(7)。第2中継装置4は、自装置に割当てられた業務装置2の情報に、移行対象の業務装置2を追加し(8)、中継管理装置5に、業務装置2の追加が完了した旨の応答を送信する(9)。その後、第2中継装置4は、所定時間ごとにタイマを起動し、図12の(1)〜(7)と同様の処理を繰り返す。
【0039】
次に、中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる処理を行う場合の一例として、上記図12で説明した定期的なVM統計情報の収集処理において、業務装置2からVM統計情報が受信できなかった場合における業務装置2の割当て移行処理につき、図14を用いて説明する。なお、本明細書において、障害が発生している場合とは、業務装置2ではVM統計情報を蓄積し、抽出し続けているにも関わらず、業務装置2及び中継装置4間において通信等の障害が発生していることにより、VM統計情報を受信できない場合を対象としている。かかる障害は、例えば、中継装置4から業務装置2に対して送信した稼働情報の送信要求を受信したことを示す通信レスポンス自体が業務装置2から得られなかった場合に検出することができる。この障害発生時の業務装置2の割当て移行処理は、障害が発生している間に業務装置2側で蓄積された稼働情報が障害
復旧時にまとめて中継装置4に送信されることによる中継装置4の負荷増加に備え、当該中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させるものである。
【0040】
中継装置4は、所定時間ごとにタイマを起動させ(1)、VM統計情報の送信要求を、業務装置2に対して送信する(2)。このとき、第1中継装置4は、業務装置2からVM統計情報が受信できないことにより(3)、第1中継装置4との間の通信において障害が発生していると判定する(4)。第1中継装置4は、(1)〜(4)の処理を所定時間ごとに繰り返す。
【0041】
その後、第1中継装置4は、VM統計情報の送信要求に対して業務装置2からVM統計情報が受信できたことをもって(5)、業務装置2との間の通信手段の障害から復旧したことを検出する(6)。そして、第1中継装置4は、業務装置2からVM統計情報を受信する一方で、自装置に中継処理が割当てられている業務装置2から、他の中継装置4に割当てを移行する業務装置2を選択する(7)。そして、第1中継装置4は、選択した業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行する要求を、中継管理装置5に対して送信する(8)。一方、中継管理装置5は、第1中継装置4からの要求を受信すると、業務装置2の割当てを移行する先となる第2中継装置4を選択し、第2中継装置4への割当て移行処理を行う(9)。以降の処理は、図13の(5)〜(9)と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
図15は、VM統計情報の中継処理に関連するシステム構成情報がVM管理装置1から通知される場合における処理を示す動作シーケンス図である。なお、システム構成情報が通知されるケースとしては、例えば、業務装置2が追加や削除等されることにより、いずれかの業務装置2においてVMが新たに構築されたり、あるいは削除されたり、他の業務装置2に移行されたりする場合がある。また、収集装置3が追加されたり削除されたりする場合等も想定される。
【0043】
VM管理装置1は、中継管理装置5に対し、システム構成情報を送信する(1)。中継管理装置5は、システム構成情報を受信すると、そのシステム構成情報を自装置で保持する諸情報に反映させる処理を行う(2)。さらに、中継管理装置5は、システム構成情報に関連する中継処理が割当てられている中継装置4に対し、システム構成情報を送信する(3)。中継装置4は、システム構成情報を自装置で保持する諸情報に反映させる処理を行う(4)。そして、中継装置4は中継管理装置5に対して反映処理が完了したことを応答し(5)、中継管理装置5は、VM管理装置1に対し、反映処理が完了したことを応答する(6)。
【0044】
次に、中継装置4が備える各構成要素間において実行される処理シーケンスについて詳述する。
図16は、中継装置4における、定期的なVM統計情報の収集処理の処理を示す。
中継部25は、所定時間ごとにタイマを起動させ(1)、業務装置管理部22に対し、VM統計情報を収集する業務装置2のIPアドレスを要求する(2)。
【0045】
ここで、業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11における、当該業務装置2に対応するレコードの移行ステータスを「移行不可」に変更する(3)。なお、(3)の処理は、VM統計情報の収集を開始する業務装置2の移行ステータスを変更する(記憶手段に記憶する)処理であり、換言すれば、業務装置2からのVM統計情報の受信状態に応じて業務装置2の移行ステータスを変更する処理である。かかる処理は、次のような意義を有する。すなわち、業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行することとなったとき、かりに、VM統計情報の収集処理の途中であって中継装置4がVM統計情報を受信して
いる途中の業務装置2が移行対象として選択されて移行処理がなされると、VM統計情報の収集処理が中断されてしまうこととなる。そして、移行先の中継装置4は、再度そのVM統計情報を初めから収集しなければならず、無駄な中継処理が生じることとなる。ここで、収集処理の対象となっている業務装置2の移行ステータスを「移行不可」としておくと、この業務装置2を移行対象として選択することが不可であることが特定可能となるため、業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行するときに、当該業務装置2は選択されない(後述の図17の(3)参照)。このため、上述のように無駄な中継処理が生じることを回避することができる。
【0046】
業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11を参照し、業務装置2のIPアドレスを取得して中継部25に送信する(4)。中継部25は、業務装置2からVM統計情報を収集するための指示を、業務装置2のIPアドレスとともに、収集部24に対して送信する(5)。収集部24は、業務装置管理部22から受信したIPアドレスを用いて業務装置2にVM統計情報の要求を送信し、業務装置2から、VMごとに、VM統計情報を受信する(6)。このVM統計情報は、VM識別子を有している。そして、収集部24は、中継部25から受信したVM統計情報のデータ量(すなわち転送量)を特定して、VM統計情報及びその転送量を中継部25に送信し、VM統計情報の中継処理を中継部25に要求する(7)。なお、業務装置2に構築されたVMが複数あり、VM統計情報を複数受信した場合には、収集部24は、(7)の処理において、全てのVMのVM統計情報の転送量の合計を特定する。
【0047】
中継部25は、収集部24から受信した転送量を、業務装置管理部22に送信する(8)。なお、この(8)における転送量の送信は、収集部24が直接業務装置管理部22に対して送信してもよい。業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11における対象業務装置2に対応するレコードの前々回転送量を前回転送量で書き換えた上で、前回転送量を、中継部25から受信した転送量に変更する(9)。さらに、業務装置管理部22は、前回転送量と前々回転送量との差分を算出する(10)。
【0048】
ここで、業務装置管理部22は、算出した差分が、共通情報テーブル13の変動量閾値以下であれば、業務装置管理テーブル11における対象業務装置2に対応するレコードの収集先ステータスを「移行可」にする(11)。なお、(11)の処理は、VM統計情報の転送量に応じて業務装置2の移行ステータスを変更する(記憶手段に記憶する)処理であり、換言すれば、業務装置2からのVM統計情報の受信状態に応じて業務装置2の移行ステータスを変更する処理である。かかる処理は、次のような意義を有する。すなわち、前回転送量と前々回転送量との差分が転送量変動閾値以下であるということは、この業務装置2が送信するVM統計情報の転送量の変動が比較的少ない可能性が高いということを示している。このため、この業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させても、移行される側の中継装置4において中継処理に伴う負荷が不安定になる可能性が低い。したがって、この業務装置2を移行対象としてもよいとするものである。なお、前回転送量と前々回転送量との差分が転送量変動閾値を超過している場合には、移行ステータスは「移行不可」のまま維持されることとなる。
【0049】
一方で、中継部25は、転送先テーブル12を参照し、受信したVM統計情報に含まれるVMの識別子に基づき、VM統計情報の転送先の収集装置3のIPアドレスを特定する(12)。そして、中継部25は、転送部26に対し、特定した転送先の収集装置3のIPアドレスとともに、収集装置3に対してVM統計情報を転送する要求を送信する(13)。転送部26は、中継部25から要求を受信すると、受信した転送先の収集装置3のIPアドレスを用いて、VM統計情報を収集装置3に転送する(14)。
【0050】
なお、(2)〜(14)の処理は、中継装置4に割当てられている各業務装置2につい
て実行する。また、(8)〜(11)の処理と(12)〜(14)の処理とはいずれが先に実行されてもよく、両方を並行して行ってもよい。
【0051】
さらに、業務装置管理部22は、中継装置4の負荷情報を生成し、負荷情報の送信要求を中継管理装置通信部21に送信する(15)。具体的には、業務装置管理部22は、自装置(中継装置4)のCPU使用率、変動大CPU使用率を特定する。また、業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11を参照し、自装置に割当てられた全ての業務装置2につき、前回転送量を合計して、次回転送予測量合計を算出する。なお、取得失敗回数に値が設定されている業務装置2については、前回転送量の代わりに、前回転送量に取得失敗回数を乗算した値を用いて、次回転送予測量合計を算出する。そして、CPU使用率、変動大CPU使用率及び次回転送予測量合計を負荷情報に含めて中継管理装置通信部21に送信する。そして、中継管理装置通信部21は、負荷情報を中継管理装置5に送信する(16)。なお、上述したように、この(15)及び(16)の負荷情報の送信処理は、VM統計情報の収集処理とは別途独立した処理として、所定時間ごとに行ってもよい。
【0052】
図17は、中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる処理を行う場合の一例として、中継装置4のCPU使用率が閾値を超過しているため、当該中継装置4に対する業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる処理を示す。
【0053】
移行対象決定部23は、自装置のCPU使用率が共通情報テーブル13のCPU使用率閾値を超過していることが検出されると(1)、業務装置管理部22に対し、自装置に割当てられている業務装置2のうち、他の中継装置4に割当てを移行することが可能な業務装置2と、その業務装置2の前回転送量を通知するように要求する(2)。業務装置管理部22は、移行対象決定部23から要求を受信すると、業務装置管理テーブル11を参照し、自装置に割当てられた業務装置2のうち、移行ステータスが「移行可」である業務装置2のIPアドレス及びその業務装置2の前回転送量を取得する(3)。なお、業務装置管理部22は、移行ステータスが「移行可」の業務装置2が1つもない場合には、例えばエラー表示を出力する等の処理を行ってもよい。そして、業務装置管理部22は、取得した業務装置2のIPアドレス及びその業務装置2の前回転送量を移行対象決定部23に送信する(4)。
【0054】
移行対象決定部23は、業務装置管理部22から受信した業務装置2の中から、前回転送量が最も大きいものを、移行対象として選択する(5)。なお、このように前回転送量が最も大きい業務装置2を選択することで、業務装置2の割当ての移行による自装置の処理負担の軽減を効率的に行うことができる。しかし、選択対象は必ずしも前回転送量が最も大きいものでなくてもよい。
【0055】
そして、移行対象決定部23は、選択した業務装置2を、業務装置管理部22に通知する(6)。業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11における、選択した業務装置2の移行ステータスを、「移行中」に変更する(7)。そして、業務装置管理部22は、移行対象決定部23に対し、業務装置管理テーブル11の変更を行った旨を応答する(8)。移行対象決定部23は、この応答を受信すると、中継管理装置通信部21に対し、移行対象となった業務装置2のIPアドレスとともに、業務装置2の割当て移行要求を送信する(9)。
【0056】
中継管理装置通信部21は、中継管理装置5に対して業務装置2の割当て移行要求を送信し、中継管理装置5から、割当て移行処理を行った旨の応答を受信する(10)。中継管理装置通信部21は、中継管理装置5から応答を受信すると、業務装置管理部22に対し、割当て移行処理が行われた旨の応答を行う(11)。業務装置管理部22では、中継管理装置通信部21から応答を受信すると、業務装置管理テーブル11における移行対象
となった業務装置2のレコードを削除する(12)。
【0057】
次に、中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる処理を行う場合の一例として、上記図16で説明した定期的なVM統計情報の収集処理において、業務装置2からVM統計情報が受信できなかった場合における業務装置2の割当て移行処理につき、図18を用いて説明する。
【0058】
図16の(1)〜(5)と同様の処理を経て、収集部24がVM統計情報の収集を試みるが、VM統計情報の受信に失敗したことにより、収集部24は、障害が発生していることを検出する(1)。そして、収集部24は、業務装置管理部22に対し、障害発生を検出したことを通知する(2)。
【0059】
業務装置管理部22は、収集部24から通知を受信すると、VM統計情報の収集に失敗した当該業務装置2につき、業務装置管理テーブル11における移行ステータスを「障害発生中」に変更する(3)。なお、(3)の処理は、VM統計情報を受信できなかった業務装置2の移行ステータスを変更する(記憶手段に記憶する)処理であり、換言すれば、業務装置2からのVM統計情報の受信状態に応じて業務装置2の移行ステータスを変更する処理である。かかる処理は、次のような意義を有する。すなわち、業務装置2の移行ステータスを「障害発生中」としておくことで、この業務装置2を移行対象として選択することが不可であることが特定可能となるため、業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行するときに、当該業務装置2が移行対象として選択されることを回避することができる(後述の(7)参照)。
【0060】
さらに、業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11における取得失敗回数を1増加させる(4)。この(4)までの処理は、障害発生からの復旧を検出するまで繰り返される。
そして、図16の(1)〜(5)と同様の処理を経て、収集部24は、業務装置2からVM統計情報の受信を再開できたことをもって、障害から復旧したことを検出する(5)。そして、収集部24は、VM統計情報の受信を続ける一方で、業務装置管理部22に対し、障害から復旧したことを通知する(6)。業務装置管理部22は、この要求を受信すると、業務装置2の割当て移行処理を開始する。具体的には、業務装置管理部22は、業務装置管理テーブル11を参照し、自装置に割当てられた業務装置2のうち、移行ステータスが「移行可」である業務装置2のIPアドレス及びその業務装置2の前回転送量を取得する(7)。なお、ここで業務装置2の割当て移行処理を行うのは、図14の説明において上述したように、次のような意義を有する。すなわち、障害が発生している間に業務装置2側で蓄積された稼働情報が障害復旧時にまとめて中継装置4に送信されることによる中継装置4の負荷増加に備え、当該中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる。以下、中継装置4は、図17の(4)〜(12)と同様の処理を行う。
【0061】
図19は、業務装置2の割当て移行処理によって新たに業務装置2を割当てられた側の中継装置4における処理シーケンスを示す。
中継管理装置通信部21は、中継管理装置5から、業務装置2のIPアドレスとともに、当該業務装置2が新たに割当てられた旨の通知を受信する(1)。そして、中継管理装置通信部21は、この通知を受信すると、業務装置管理部22に対し、新たに割当てられた業務装置2のIPアドレスを送信する(2)。業務装置管理部22は、業務装置2のIPアドレスを受信すると、業務装置管理テーブル11に、当該業務装置2に対応するレコードを追加し(3)、追加処理を行った旨を中継管理装置通信部21に応答する(4)。中継管理装置通信部21は、この応答を受信すると、中継管理装置5に対し、中継装置4における業務装置追加処理を行った旨を応答する(5)。
【0062】
なお、例えば、業務装置2の割当てを移行させる処理のみならず、中継管理装置5から様々なシステム構成情報を受信したときにも、この図19の処理と同様に、自装置で保持する情報に反映させる処理を行う。例えば、中継装置4に割当てられた業務装置2で稼働するVMのVM統計情報の転送先となる収集装置3に変更が生じた場合には、中継装置4は次のような処理を行う。すなわち、中継装置4は、中継管理装置5から、VMの識別子及び変更後の収集装置3のIPアドレスを含んだ変更通知を受信すると、転送先テーブル12における、受信した変更通知のVM識別子に対応する収集装置3のIPアドレスを、変更後の収集装置3のIPアドレスに変更する。
【0063】
このような中継装置4の処理によれば、業務装置管理部22は、業務装置2の割当てを他の業務装置2に移行させるときに、業務装置2からのVM統計情報の受信状態に応じて、業務装置管理テーブル11の移行ステータスを変更する。そして、移行対象決定部23は、この移行ステータスに応じて、移行対象とする業務装置2を決定する。このため、移行対象決定部23は、業務装置2の状態に鑑みて適切な業務装置2を選択することができる。
【0064】
その一例として、例えば、上述したように、業務装置管理部22は、VM統計情報の収集を開始するときに、当該業務装置2の移行ステータスを「移行不可」とする。そして、業務装置管理部22は、VM統計情報の収集が終わったときに、当該業務装置2の移行ステータスを「移行可」に戻す。このため、VM統計情報の収集処理の途中である業務装置2が移行対象として選択されることによってVM統計情報の収集処理が中断されてしまうことを回避することができる。そして、移行先の中継装置4において、再度そのVM統計情報を初めから収集することとなるという無駄な中継処理を回避することができる。
【0065】
また、このとき、業務装置管理部22は、VM統計情報の前回転送量と前々回転送量との差分が転送量変動閾値を超過している場合には、当該業務装置2の移行ステータスを「移行不可」のままとする。このため、VM統計情報の転送量の変動が大きい業務装置2、すなわち、中継装置4における中継処理に要する負荷の変動が大きい業務装置2については、移行対象とすることを回避することができる。したがって、業務装置2の割当ての移行先となった中継装置4において負荷が予想外に変動して中継装置4のリソースを圧迫することで中継装置4の処理効率が低下する可能性を、低く抑えることができる。換言すれば、中継処理を安定して行うことができる業務装置2、すなわち、割当てを移行させても移行先の中継装置4において動作に支障が出る可能性の低い業務装置2の割当てが移行されるため、割当ての移行処理をより有効なものとすることができる。
【0066】
さらに、上述の中継装置4の処理によれば、業務装置管理部22は、業務装置2からのVM統計情報の取得処理において障害が発生しているときにも、当該業務装置2の移行ステータスを「障害発生中」とする。このため、障害発生中には、当該業務装置2が割当ての移行対象とすることを回避することができる。
【0067】
また、中継装置4は、CPUの処理負荷が高いときのみならず、業務装置2からのVM統計情報の取得処理において障害が発生し、その障害から復旧したときにも、業務装置2の割当てを他の業務装置2に移行させる要求を中継管理装置5に送信する。これにより、障害が発生している間に業務装置2側で蓄積された稼働情報が障害復旧時にまとめて中継装置4に送信されることによる中継装置4の負荷増加に備え、当該中継装置4に割当てられた業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させることができる。したがって、中継装置4の処理負荷が増大し、処理遅延が生じる可能性を低減させることができる。
これらの結果、システム全体として、複数の中継装置4の情報処理資源を有効活用し、データの中継処理を効率良く行うことが可能となる。
【0068】
次に、中継管理装置5が備える各構成要素間において実行される処理シーケンスについて詳述する。
図20は、中継装置4から定期的に負荷情報を受信した場合における処理を示す。
中継装置通信部42は、中継装置4から負荷情報を受信し(1)、受信した負荷情報を中継装置管理部43に送信する(2)。中継装置管理部43は、中継装置管理テーブル31に対し受信した負荷情報を反映させる更新を行う(3)。そして、中継装置管理部43は、中継装置通信部42に対して負荷情報を更新した旨の応答をし(4)、中継装置通信部42は、負荷情報の送信元の中継装置4に対し、負荷情報を更新した旨の応答を送信する(5)。
【0069】
図21は、中継装置4から業務装置2の割当ての移行要求を受信した場合に、業務装置2の割当ての移行を行う処理を示す。
中継装置通信部42は、中継装置4から、業務装置2のIPアドレスとともに、当該業務装置2の割当てを他の中継装置4に移行させる要求を受信する(1)。中継装置通信部42は、受信した業務装置2のIPアドレス及び当該要求の送信元の中継装置4のIPアドレスを割当て決定部44に通知する(2)。割当て決定部44は、中継装置管理部43に対し、要求の送信元の中継装置4以外の中継装置4の負荷情報の要求を送信する(3)。中継装置管理部43は、中継装置管理テーブル31を参照し、各中継装置4の負荷情報を取得して、割当て決定部44に送信する(4)。
【0070】
割当て決定部44は、中継装置管理部43から受信した、各中継装置4の負荷情報に基づき、業務装置2の割当ての移行先とする中継装置4を選択する(5)。なお、この選択処理の内容については後述する。そして、割当て決定部44は、決定した業務装置2の移行先となる中継装置4のIPアドレスを、中継装置管理部43に通知する(6)。
【0071】
中継装置管理部43は、割当て決定部44から通知された中継装置4のIPアドレスに基づき、割当てテーブル32を更新する(7)。具体的には、移行対象の業務装置2のIPアドレスに対応する中継装置4のIPアドレスを、割当て決定部44で選択された中継装置4のIPアドレスに変更する。そして、中継装置管理部43は、この更新処理が完了した旨を、割当て決定部44に応答する(8)。
【0072】
割当て決定部44は、中継装置通信部42に対し、割当て決定部44で選択された中継装置4のIPアドレスを通知するとともに、業務装置2の割当て変更処理を行った旨を応答する(9)。中継装置通信部42は、業務装置2の割当ての移行元であった中継装置4に対し、割当て移行処理が完了した旨を応答する一方、割当て決定部44から通知された中継装置4のIPアドレスを用いて、業務装置2の割当ての移行先となった中継装置4に対し、業務装置2の中継処理が割当てられたことを通知する(10)。
【0073】
ここで、中継管理装置5の割当て決定部44における移行先の中継装置4の選択処理(上述の図21の(4)〜(5)に相当)につき、図22のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
割当て決定部44は、中継装置管理部43から、業務装置2の割当て移行要求の送信元の中継装置4以外の各中継装置4のCPU使用率、変動大CPU使用率及び次回転送予測量合計を含んだ負荷情報を受信する(S1)。そして、割当て決定部44は、CPU使用率が、共通情報テーブル34に設定されているCPU使用率無条件割当閾値以下の中継装置4が存在するか否かを判定する(S2)。割当て決定部44は、CPU使用率がCPU使用率無条件割当閾値以下の中継装置4があれば(Yes)、その中から最もCPU使用率が低い中継装置4を選択する(S3)。なお、このS3の処理は、例えば、新たに中継
装置4が導入されたときに、新たな中継装置4に重点的に中継処理を割り当てることを主たる目的としている。一方、割当て決定部44は、CPU使用率がCPU使用率無条件割付閾値以下の中継装置4がなければ(No)、さらに、CPU使用率が、共通情報テーブル34に設定されているCPU使用率条件付割当閾値以下の中継装置4が存在するか否かを判定する(S4)。そして、割当て決定部44は、CPU使用率がCPU使用率条件付割当閾値以下の中継装置4が存在するときには(Yes)、さらに、変動大CPU使用率が、共通情報テーブル34に設定されている変動大CPU使用率閾値以下の中継装置4が存在するか否かを判定する(S5)。割当て決定部44は、変動大CPU使用率が変動大CPU使用率閾値以下の中継装置4が存在するときには、その中から、最も変動大CPU使用率の低い中継装置4を選択する(S6)。このS6の処理により、転送量の変動が大きい中継処理を行っている割合が少ない中継装置4、即ち、比較的動作の安定した中継装置4を選択することができるため、移行先の中継装置4の動作が不安定になる可能性を低くすることができる。一方、上記S4の判定において、CPU使用率がCPU使用率条件付割当閾値以下の中継装置4が存在しないときには(No)、割当て決定部44は、いずれの中継装置4も選択せずに処理を終了する。これにより、CPU使用率が高い中継装置4しか存在しない場合には、業務装置2の割当て移行処理自体を行わないものとすることができる。同様に、上記S5の判定において、変動大CPU使用率が変動大CPU使用率合計以下の中継装置4が存在しないときにも(No)、いずれの中継装置4も選択せずに処理を終了する。これにより、かりにCPU使用率が比較的低い中継装置4が存在する場合でも、動作が不安定な中継装置4しか存在しない場合(換言すれば、CPU使用率が急に上昇する蓋然性のある中継装置4しか存在しない場合)には、業務装置2の割当て移行処理自体を行わないものとすることができる。なお、このようにいずれの中継装置4も選択せずに処理を終了するときには、例えばエラーメッセージを出力するようにしてもよい。
【0075】
また、割当て決定部44は、中継装置4のCPU使用率ではなく、次回転送予測量合計を参酌して割付先となる中継装置4を決定してもよい。具体的には、例えば、次回転送予測量合計が最も少ない中継装置4を選択してもよい。このように中継装置4を選択することにより、次のような利点がある。すなわち、一見CPU使用率が少ないように見えても、現在、割当てられた業務装置2との間の通信において障害発生中であり、障害からの復旧後、障害中に蓄積されたVM統計情報がまとめて送信されることが見込まれる中継装置4が選択されることを回避することができる。さらには、割当て決定部44は、CPU使用率と次回転送見込量の両方を考慮して中継装置4を選択してもよい。
【0076】
なお、中継管理装置5は、業務装置2の割当てを移行させる処理ではなく、例えば、VM管理装置1から、新たな業務装置2が増設された内容のシステム構成情報を受信した場合等において、中継装置4に新たな業務装置2を割当てるとき等にも、上記と同様の処理によって、割当て先となる中継装置4を決定する。そして、割当てテーブル32にその変更を反映させる更新を行い、中継装置4に対して、業務装置2を割当てた旨の通知を送信する。また、例えば、業務装置2がシステムから削除されたとき等においても、割当てテーブル32にその変更を反映させる更新を行うとともに、その業務装置2が割当てられている中継装置4に対し、業務装置2の削除通知を送信する。さらに、例えば、中継装置4に割当てられた業務装置2で稼働するVMのVM統計情報の転送先となる収集装置3に変更が生じた場合には、中継管理装置5は、転送先テーブル33にその変更を反映させた上で、その業務装置2が割当てられた中継装置4に対し、収集装置3の変更通知を送信する。
【0077】
このような中継管理装置5の処理によれば、業務装置2の割当ての移行処理において、中継装置4で適切な業務装置2が移行対象として選択されることに加え、移行先とする中継装置4も適切に選択することができる。具体的には、中継管理装置5は、中継装置4の
負荷情報を定期的に受信して中継装置管理テーブル31に格納しておき、この負荷情報に基づいて、移行先とする中継装置4を選択する。ここで、中継管理装置5は、中継装置4のCPU使用率のみならず、変動大CPU使用率を参照し、変動大CPU使用率が閾値よりも低い中継装置4を選択することで、比較的動作の安定した中継装置4を選択することができる。また、上述したように、次回転送見込量が少ない中継装置4を選択すれば、一見CPU使用率が少ないように見えても、将来において障害中に蓄積されたVM統計情報がまとめて送信されることが見込まれる中継装置4が選択されることを回避することができる。このため、業務装置2の割当ての移行先となった中継装置4において負荷が予想外に変動して中継装置4のリソースを圧迫することで中継装置4の処理効率が低下する可能性を、さらに低く抑えることができる。
【0078】
[第2実施例]
ところで、第1実施例では、中継装置において移行対象とする業務装置を選択していた。しかし、かかる業務装置の選択処理も含めて中継管理装置側で行うことも可能である。第2実施例では、中継管理装置側において移行対象とする業務装置を選択する場合について説明する。なお、第1実施例と同様の部分については説明を省略する。
【0079】
第2実施例のシステムは、第1実施例と同様の構成であり、VM管理装置10、業務装置20、収集装置30、中継装置40及び中継管理装置50を有する。
【0080】
図23は、第2実施例に係る中継装置40の一例の機能ブロック図である。第1実施例の中継装置4との対比においては、第2実施例では移行対象選択部が存在しない点において異なっている。図23の業務装置管理テーブル110、転送先テーブル120、共通情報テーブル130、中継管理装置通信部210、業務装置管理部220、収集部240、中継部250及び転送部260は、それぞれ、第1実施例における業務装置管理テーブル11、転送先テーブル12、共通情報テーブル13、中継管理装置通信部21、業務装置管理部22、収集部24、中継部25及び転送部26に原則として対応する。ここで、業務装置管理部220は、第1実施例の業務装置管理部22の機能に加え、業務装置管理テーブル110を更新したときに、その業務装置管理テーブル110の更新内容を、中継管理装置通信部210を介して中継管理装置50に送信する機能を有する。
【0081】
図24は、第2実施例に係る中継管理装置50の一例の機能ブロック図である。第1実施例の中継管理装置5との対比においては、中継管理装置50が、業務装置管理テーブル350、業務装置管理部450及び移行対象決定部460を有している点において異なっている。中継装置管理テーブル310、割当てテーブル320、転送先テーブル330、共通情報テーブル340、VM管理装置通信部410、中継装置通信部420、中継装置管理部430及び割当て決定部440は、それぞれ、第1実施例における中継装置管理テーブル31、割当てテーブル32、転送先テーブル33、共通情報テーブル34、VM管理装置通信部41、中継装置通信部42、中継装置管理部43及び割当て決定部44に原則として対応する。
【0082】
業務装置管理テーブル350は、図4に示した第1実施例の業務装置管理テーブル11と同様の構成である。この業務装置管理テーブル350には、第1実施例の業務装置管理テーブル11と異なり、全ての中継装置4から受信した全ての業務装置2の情報が格納される。
移行対象決定部460は、業務装置管理テーブル350の情報に基づき、割当て移行対象とする業務装置20を選択する。
【0083】
第2実施例における装置間の処理シーケンスでは、第1実施例と異なり、中継装置40が、業務装置管理テーブル350の更新情報を中継管理装置50に送信する。かかる送信
は、業務装置管理テーブル350を更新するごとに行うことが望ましい。
【0084】
また、図25は、中継装置4のCPU使用率がCPU使用率閾値を超過している場合における、業務装置2の割当て移行処理の装置間の処理シーケンスを示す。第1実施例と異なる点として、第2実施例では、第1中継装置40においてCPU使用率がCPU使用率閾値を超過していることが検出されると(1)、中継管理装置50に業務装置20の割当て移行要求を送信する(2)。そして、中継管理装置50側において、移行対象とする業務装置20を選択し(3)、業務装置20の割当て移行処理を行う(4)。以降の処理は、図13の(5)〜(9)と同様であるため説明を省略する。
【0085】
また、定期的なVM統計情報の収集処理における、中継装置40の各構成要素における処理シーケンスにおいては、第2実施例では、図16に示す第1実施例の処理に加え、次のような処理を行う。すなわち、業務装置管理部220が、業務装置管理テーブル110を更新するごとに、業務装置管理テーブル110の更新情報を中継管理装置通信部210に送信する。そして、中継管理装置通信部210は、業務装置管理テーブル110の更新情報を中継管理装置50に送信する。
【0086】
ここで、図26は、中継装置40のCPU使用率がCPU使用率閾値を超過している場合における、業務装置20の割当て移行処理についての、中継装置40の各構成要素の処理シーケンスを示す。
【0087】
業務装置管理部220は、自装置のCPU使用率が共通情報テーブル130のCPU使用率閾値を超過していることが検出されると(1)、中継管理装置通信部210に対し、業務装置20の割当て移行要求を送信する(2)。中継管理装置通信部210は、中継管理装置50に対して業務装置20の割当て移行要求を送信し、中継管理装置50から、移行対象となった業務装置20のIPアドレスとともに、割当て移行処理を行った旨の応答を受信する(3)。中継管理装置通信部210は、中継管理装置50から応答を受信すると、業務装置管理部220に対し、割当て移行処理が行われた旨の応答を行う(4)。業務装置管理部220では、中継管理装置通信部210から応答を受信すると、中継管理装置50から受信した業務装置20のIPアドレスに基づき、業務装置管理テーブル110における移行対象の業務装置20のレコードを削除する(5)。
【0088】
次に、中継管理装置50の各構成要素の処理シーケンスについて説明する。
図27は、中継装置40から業務装置管理テーブル110の更新情報を受信したときの処理を示す。
【0089】
中継装置通信部420は、中継装置40から業務装置管理テーブル110の更新情報を受信し(1)、受信した業務装置管理テーブル110の情報を業務装置管理部450に送信する(2)。業務装置管理部450は、業務装置管理テーブル350に対し受信した業務装置管理テーブル110の更新情報を反映させる更新を行う(3)。そして、業務装置管理部450は、中継装置通信部420に対して業務装置管理テーブル350の情報を更新した旨の応答をし(4)、業務装置管理部450は、更新情報の送信元の中継装置40に対し、業務装置管理テーブル350の情報を更新した旨の応答を送信する(5)。
【0090】
図28は、中継装置40から業務装置20の割当ての移行要求を受信した場合に、業務装置20の割当ての移行を行う処理を示す。
【0091】
中継装置通信部420は、中継装置40から、業務装置20の割当てを他の中継装置40に移行させる要求を受信する(1)。中継装置通信部420は、当該要求の送信元の中継装置40のIPアドレスを移行対象決定部460に通知する(2)。ここで、移行対象
決定部460は、図17の(2)〜(8)で示した第1実施例の中継装置40における処理と同様に、移行対象とする業務装置2の選択処理を行う。なお、第1実施例と異なる点としては、移行対象決定部460は、業務装置管理部350に対し、要求の送信元の中継装置40に割当てられている業務装置20の範囲内についてのみ、他の中継装置40に割当てを移行することが可能な業務装置20及びその業務装置20の前回転送量を通知するように要求する点である。なお、要求の送信元の中継装置40に割当てられている業務装置20は、割当てテーブル320を参照することによって特定することができる。そして、移行対象決定部460は、移行対象とする業務装置20の選択処理を実行した後、割当て決定部440に対し、選択した業務装置20のIPアドレスとともに、業務装置20の割当て要求の送信元の中継装置40のIPアドレスを通知する(3)。以降の(4)〜(11)の処理は、図21の(3)〜(10)と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
なお、業務装置管理部450は、上記の移行対象とする業務装置20の選択処理において、業務装置管理テーブル350における、選択した業務装置20の移行ステータスを「移行中」に変更している(図17の(7)参照)。このため、業務装置管理部450は、移行処理が終了したときには、この移行ステータスを「移行可」に戻す変更を行う。
なお、定期的なVM統計情報の収集処理において、業務装置20からVM統計情報が受信できなかった場合における業務装置20の割当て移行処理においても、上記と同様に、第2実施例では、中継管理装置50側で移行対象とする業務装置20を選択する。
【0093】
かかる第2実施例のように、中継管理装置側で、移行対象とする業務装置の選択及び移行先となる中継装置の選択の両方を行うことも可能である。かかる構成を採用した場合でも、システム全体として、第1実施例で説明した内容と同様の効果を奏することができる。
なお、上述した第1実施例及び第2実施例の態様のほか、中継管理装置を含まないシステム構成において、中継装置が、自装置が中継処理を行っている業務装置の割当てを、他の中継装置に移行させることも考えられる。かかる場合においても、上述したように、中継装置において各業務装置の移行ステータスを管理しておき、この移行ステータスに基づいて移行対象の業務装置を選択することは可能である。
【0094】
[ハードウェア構成]
図29は、かかる技術が具現化された中継装置及び中継管理装置のハードウェア構成の一例を示す。本装置は、CPU901、メモリ902、ストレージ903、可搬記憶媒体駆動装置904、入出力装置905及び通信インタフェース906を備える。
【0095】
CPU901は、制御ユニット、演算ユニット及び命令デコーダ等を含み、実行ユニットが、命令デコーダで解読されたプログラムの命令に従い、制御ユニットより出力される制御信号に応じ、演算ユニットを用いて算術・論理演算を実行する。なお、CPU901は、CPUコアが複数設けられている構成でもよい。
【0096】
メモリ902は、例えばRAM(Random Access Memory)等であり、CPU901で実行されるプログラムがロードされるとともに、CPU901の処理に用いるデータが格納されるメインメモリである。また、ストレージ903は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、プログラムや各種データが格納される。可搬記憶媒体
駆動装置904は、可搬記憶媒体907に記憶されたデータやプログラムを読み出す装置である。可搬記憶媒体907は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又はフラッシュメモリ等である。なお、物理CPU901は、メモリ902やストレージ903と協働しつつ、ストレージ903や可搬記憶媒体907に格納されたプログラムを実行する。なお、物理CPU901が実行するプログラムや、アクセス対象となるデータは、当該装置と通信可能な他の装置に格納されていてもよい。
【0097】
入出力装置905は例えばキーボード等やディスプレイ等であり、ユーザ操作等による動作命令を受け付ける一方、情報処理装置による処理結果を出力する。通信インタフェース906は例えばLANカード等であり、外部とのデータ通信を可能にする。上述した装置の各構成要素は、バス908で接続されている。
なお、上述した情報処理装置の機能的構成及び物理的構成は、上述の態様に限るものではなく、例えば、各機能や物理資源を統合して実装したり、逆に、さらに分散して実装したりすることも可能である。
【0098】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを、所定の転送先装置へと転送する中継装置に、各情報処理装置からの中継対象データの受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶し、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させるときに、記憶手段に格納された各情報処理装置の前記移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択し、選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させる処理を実行させる情報処理プログラム。
【0099】
(付記2)前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置から中継対象データを受信したときに、受信した中継対象データの転送量の履歴を記憶手段に記憶しておき、該履歴において中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい場合、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行不可とする付記1記載の情報処理プログラム。
【0100】
(付記3)前記移行可否情報を記憶する処理は、少なくとも情報処理装置から中継対象データを受信している間、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行不可とする付記1又は2に記載の情報処理プログラム。
【0101】
(付記4)前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置との間における中継対象データの中継処理において障害が発生しているときには、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行対象外とする付記1〜3のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0102】
(付記5)自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを所定の転送先装置へと転送する複数の中継装置を管理する中継管理装置に、各中継装置に割当てた各情報処理装置からの、各中継装置における中継対象データの受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶し、中継装置から情報処理装置の割当てを移行させる要求を受信したときに、記憶手段に格納された前記中継装置の移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択し、前記選択した情報処理装置の割当ての移行先の中継装置を選択し、選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを、選択した前記移行先の中継装置に移行させる処理を実行させる情報処理プログラム。
【0103】
(付記6)前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置から中継対象データを受信したときに、受信した中継対象データの転送量の履歴を記憶手段に記憶しておき、該履歴において中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい場合、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行対象外とする付記5記載の情報処理プログラム。
【0104】
(付記7)前記移行可否情報を記憶する処理は、少なくとも情報処理装置から中継対象
データを受信している間、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行対象外とする付記5又は6に記載の情報処理プログラム。
【0105】
(付記8)前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置との間における中継対象データの中継処理において障害が発生しているときには、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行対象外とする付記5〜7のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0106】
(付記9)各中継装置から、中継装置の処理負荷状態を示す負荷情報を所定時間ごとに受信し、該受信した負荷情報を記憶手段に格納する処理を中継管理装置に実行させ、
前記移行先の中継装置を選択する処理は、記憶手段に格納された各中継装置の前記負荷情報を参照し、他の中継装置に比べて処理負荷の低い中継装置を選択する付記5〜8のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0107】
(付記10)前記負荷情報は、中継装置において、中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい情報処理装置との間の中継処理による負荷を示す変動大負荷情報を含み、前記移行先の中継装置を選択する処理は、記憶手段に格納された各中継装置の前記変動大負荷情報を参照し、他の中継装置に比べて、中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい情報処理装置との間の中継処理による負荷が小さい中継装置を選択する付記9記載の情報処理プログラム。
【0108】
(付記11)複数の中継装置を管理する中継管理装置により自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを、所定の転送先装置へと転送する中継装置であって、各情報処理装置からの中継対象データの受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶する手段と、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させるときに、記憶手段に格納された各情報処理装置の前記移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択する手段と、選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させる手段と、を備えた中継装置。
【0109】
(付記12)自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを所定の転送先装置へと転送する複数の中継装置を管理する中継管理装置であって、各中継装置に割当てた各情報処理装置からの、各中継装置における中継対象データの受信状態に応じて、各情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶する手段と、中継装置から情報処理装置の割当てを移行させる要求を受信したときに、記憶手段に格納された前記中継装置の移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択する手段と、前記選択した情報処理装置の割当ての移行先の中継装置を選択する手段と、選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを、選択した前記移行先の中継装置に移行させる手段と、を備えた中継管理装置。
【符号の説明】
【0110】
1,10…VM管理装置、2,20…業務装置、3,30…収集装置、4,40…中継装置、5,50…中継管理装置、11,110,350…業務装置管理テーブル、12,120…転送先テーブル、13,130…共通情報テーブル、21,210…中継管理装置通信部、22,220,450…業務装置管理部、23,460…移行対象決定部、24,240…収集部、25,250…中継部、26,260…転送部、31,310…中継装置管理テーブル、32,320…割当てテーブル、33,330…転送先テーブル、34,340…共通情報テーブル、41,410…VM管理装置通信部、42,420…中継装置通信部、43,430…中継装置管理部、44,440…割当て決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを、所定の転送先装置へと転送する中継装置に、
各情報処理装置からの中継対象データの受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶し、
情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させるときに、記憶手段に格納された各情報処理装置の前記移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択し、
選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させる
処理を実行させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置から中継対象データを受信したときに、受信した中継対象データの転送量の履歴を記憶手段に記憶しておき、該履歴において中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい場合、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行不可とする請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記移行可否情報を記憶する処理は、少なくとも情報処理装置から中継対象データを受信している間、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行不可とする請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記移行可否情報を記憶する処理は、情報処理装置との間における中継対象データの中継処理において障害が発生しているときには、該情報処理装置の前記移行可否情報を、割当て移行不可とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを所定の転送先装置へと転送する複数の中継装置を管理する中継管理装置に、
各中継装置に割当てた各情報処理装置からの中継対象データの、各中継装置における受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶し、
中継装置から情報処理装置の割当てを移行させる要求を受信したときに、記憶手段に格納された前記中継装置の移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択し、
前記選択した情報処理装置の割当ての移行先の中継装置を選択し、
選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを、選択した前記移行先の中継装置に移行させる
処理を実行させる情報処理プログラム。
【請求項6】
各中継装置から、中継装置の処理負荷状態を示す負荷情報を所定時間ごとに受信し、該受信した負荷情報を記憶手段に格納する処理を中継管理装置に実行させ、
前記移行先の中継装置を選択する処理は、記憶手段に格納された各中継装置の前記負荷情報を参照し、他の中継装置に比べて処理負荷の低い中継装置を選択する請求項5記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記負荷情報は、中継装置において、中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい情報処理装置との間の中継処理による負荷を示す変動大負荷情報を含み、
前記移行先の中継装置を選択する処理は、記憶手段に格納された各中継装置の前記変動大負荷情報を参照し、他の中継装置に比べて、中継対象データの転送量の変動が所定閾値よりも大きい情報処理装置との間の中継処理による負荷が小さい中継装置を選択する請求
項6記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
複数の中継装置を管理する中継管理装置により自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを、所定の転送先装置へと転送する中継装置であって、
各情報処理装置からの中継対象データの受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶する手段と、
情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させるときに、記憶手段に格納された各情報処理装置の前記移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択する手段と、
選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させる手段と、
を備えた中継装置。
【請求項9】
自装置に割当てられた情報処理装置から受信した中継対象データを所定の転送先装置へと転送する複数の中継装置を管理する中継管理装置であって、
各中継装置に割当てた各情報処理装置からの中継対象データの、各中継装置における受信状態に応じて、情報処理装置の割当てを他の中継装置に移行させることが可能か否かを特定可能な移行可否情報を情報処理装置ごとに記憶手段に記憶する手段と、
中継装置から情報処理装置の割当てを移行させる要求を受信したときに、記憶手段に格納された前記中継装置の移行可否情報を参照し、該移行可否情報に基づいて移行対象とする情報処理装置を選択する手段と、
前記選択した情報処理装置の割当ての移行先の中継装置を選択する手段と、
選択した前記移行対象とする情報処理装置の割当てを、選択した前記移行先の中継装置に移行させる手段と、
を備えた中継管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−124829(P2012−124829A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275789(P2010−275789)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】