説明

情報処理機器及びその制御方法

【課題】プラグ・アンド・プレイにより接続された外部デバイスに対してエラーの発生しているログが存在する場合にログの収集を行なわせることにより、現状における各種の不都合を生じさせることなく、異常があった旨の情報を外部デバイスに収集させることを可能とした情報処理機器及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、情報処理機器は、記憶手段と設定手段と通信手段と制御手段とを備える。記憶手段は、自己の動作履歴を示す情報を蓄積する。設定手段は、動作状態で異常が発生した場合にその旨を示す情報を設定する。通信手段は、外部デバイスが接続された状態で自動的に当該外部デバイスとの通信を確立する。制御手段は、通信手段により通信が確立された状態で設定手段に異常が発生した旨を示す情報が設定されている場合、記憶手段に蓄積された動作履歴を示す情報を外部デバイスに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施の形態は、例えばPC(personal computer)等の情報処理機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばPC等の情報処理機器を組み込み機器(ボード)とし、この情報処理機器を複数個用いることにより構築されるシステムにあっては、各情報処理機器から情報を収集する処理や、各情報処理機器に情報を配信する処理等を効率的に行なうことが重要となる。
【0003】
現状においては、例えば各情報処理機器をLAN(local area network)で接続し、TCP(transmission control protocol)/IP(internet protocol)等を用いて各情報処理機器に対する情報の収集や配信を行なう手法が利用されているが、システムの構成が複雑化し経済的な不利益が生じ易いものである。
【0004】
また、各情報処理機器と外部デバイスとを接続し、外部デバイスがホストとなってUSB(universal serial bus)通信を行なうことにより、各情報処理機器に対して情報の収集や配信を行なう手法も利用されているが、悪意を持って外部デバイスが接続されることに対するセキュリティの確保が困難になる。
【0005】
逆に、情報処理機器がホストとなって外部デバイスとUSB通信を行なうことにより、各情報処理機器に対する情報の収集や配信を行なう手法も考えられているが、この場合、各情報処理機器は1つずつ選択的に外部デバイスとUSB通信を行なって情報の収集や配信を行なう必要があり、利用者が同じ操作を何度も繰り返す必要が生じる。
【0006】
なお、情報処理機器がホストとなる場合には、情報処理機器がプラグ・アンド・プレイにより接続された外部デバイスに対する通信動作を自動実行する手法も考えられるが、情報処理機器に通信動作を自動実行させるためのファイルを予め用意する必要があるとともに、そのファイルの管理如何によっては通信情報のセキュリティが脆弱となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−352826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラグ・アンド・プレイにより接続された外部デバイスに対してエラーの発生しているログが存在する場合にログの収集を行なわせることにより、現状における各種の不都合を生じさせることなく、異常があった旨の情報を外部デバイスに収集させることを可能とした情報処理機器及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態によれば、情報処理機器は、記憶手段と設定手段と通信手段と制御手段とを備える。記憶手段は、自己の動作履歴を示す情報を蓄積する。設定手段は、動作状態で異常が発生した場合にその旨を示す情報を設定する。通信手段は、外部デバイスが接続された状態で自動的に当該外部デバイスとの通信を確立する。制御手段は、通信手段により通信が確立された状態で設定手段に異常が発生した旨を示す情報が設定されている場合、記憶手段に蓄積された動作履歴を示す情報を外部デバイスに出力する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態における情報処理機器としてのPCの一例を説明するために示す外観図。
【図2】同実施の形態におけるPCを構成する機器本体部の信号処理系の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるPCにUSB接続される外部デバイスのケーブル接続部分の構造の一例を説明するために示す図。
【図4】同実施の形態におけるPCと外部デバイスとが相互間でプラグ・アンド・プレイ機能を行なう際の処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図5】同実施の形態における機器本体部を構成する監視部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図6】同実施の形態における監視部を構成するエラー検知部が行なう処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図7】同実施の形態における監視部を構成するエラーフラグ記憶部が作成するエラーフラグ記憶テーブルの一例を説明するために示す図。
【図8】同実施の形態における監視部を構成するログ記憶部が作成するログ記憶テーブルの一例を説明するために示す図。
【図9】同実施の形態におけるPCが行なう主要な処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する情報処理機器としてPC11の外観の一例を示している。このPC11は、機器本体部12と、この機器本体部12に接続された入力機器13及び表示機器14とから構成されている。
【0012】
このうち、上記機器本体部12は、任意のOS(operating system)を搭載して、各種の制御を行ない得るもので、例えばDVD(digital versatile disk)等の光ディスク15に対して情報の書き込みや読み取りを行なう機能を備えている。また、上記入力機器13は、例えばキーボードやマウス等である。さらに、上記表示機器14は、例えばCRT(cathode ray tube)モニタやLCD(liquid crystal display)モニタ等である。
【0013】
また、上記機器本体部12は、USBケーブル16を介して外部デバイス17に接続されている。この外部デバイス17は、機器本体部12とUSB規格に準拠した形態での情報通信を行なうためのインターフェース部や、情報の書き込み及び読み取りが可能な例えばHDD(hard disk drive)等の記憶機器を備えている。
【0014】
なお、上記外部デバイス17のインターフェース部は、プラグ・アンド・プレイ機能を有している。これにより、外部デバイス17は、機器本体部12の制御に基づいて、USBケーブル16が接続された状態のままで、機器本体部12に対して情報の通信が可能な状態と、非通信(遮断)状態とに選択的に制御することができる。
【0015】
これにより、この外部デバイス17は、機器本体部12と情報通信可能に制御されている状態で、機器本体部12からの指示に基づいて、機器本体部12から情報を収集して記憶機器に保存したり、記憶機器に蓄積されている情報を機器本体部12に送出したりすることができる。
【0016】
図2は、上記機器本体部12の信号処理系の一例を示している。この機器本体部12には、上記した入力機器13や表示機器14が接続されるとともに、ROM(read only memory)18及びRAM(random access memory)19等のメモリ、上記光ディスク15に対して情報の書き込みや読み取りを行なう光ディスクドライブ部20、HDD21、CPU(central processing unit)22、後述する監視部23等が搭載されている。
【0017】
図3は、上記外部デバイス17におけるUSBケーブル16が接続される部分の構造の一例を示している。この構造によって、USBケーブル16を接続したままの状態で、PC11と外部デバイス17とを通信状態と遮断状態とに選択的に制御する、プラグ・アンド・プレイ機能を実現することができる。
【0018】
すなわち、外部デバイス17は、USBケーブル16を接続するためのUSBコネクタ24を備えている。このUSBコネクタ24には、電源(Vbus)ピン24a、信号(D−)ピン24b、信号(D+)ピン24c、電源(GND)ピン24dが設けられている。このうち、電源(Vbus)ピン24aには、PC11から電源電圧Vbusが印加される。また、信号(D−)ピン24b及び信号(D+)ピン24cは、情報の通信に使用される。この場合、信号(D−)ピン24b及び信号(D+)ピン24cのいずれか一方[図3では、信号(D+)ピン24c]は、抵抗R1及びスイッチ24eを直列に介して接地されている。さらに、電源(GND)ピン24dは、接地されている。
【0019】
図4は、PC11がプラグ・アンド・プレイ機能を用いて外部デバイス17と通信状態になるように設定するための処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップ4a)され、ステップS4bで、PC11と外部デバイス17とがUSBケーブル16で接続されると、ステップS4cで、PC11から外部デバイス17に設けられたUSBコネクタ24の電源(Vbus)ピン24aに、電源電圧Vbusが印加される。
【0020】
すると、外部デバイス17は、ステップS4dで、スイッチ24eをオン状態に切り替えるように制御し、これにより、ステップS4eで、信号(D+)ピン24cがプルアップされ、例えば3.3V等の所定のしきい値レベル以上に達することにより、PC11の接続が検知される。そして、外部デバイス17が、ステップS4fで、PC11が送信するRESET信号を検知することにより、ステップS4gで、PC11と外部デバイス17との通信が確立され、処理が終了(ステップS4h)される。
【0021】
図5は、上記機器本体部12が備える監視部23の一例を示している。この監視部23は、エラー検知部23aを備えている。このエラー検知部23aは、PC11の実行する一連の処理動作を監視し、処理動作にエラー(異常)が生じた場合にそれを検知して、その検知結果をログ記憶部23bに出力するとともに、エラーフラグ記憶部23cのエラーフラグをオンに設定する。
【0022】
図6は、上記エラー検知部23aが行なう処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS6a)されると、エラー検知部23aは、ステップS6bで、PC11のプログラム実行中にエラーが発生したか否かを判別し、エラーが発生していないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS6d)する。
【0023】
また、上記ステップS6bでPC11のプログラム実行中にエラーが発生したと判断された場合(YES)、エラー検知部23aは、ステップS6cで、エラー検知結果を上記ログ記憶部23bに出力するとともに、上記エラーフラグ記憶部23cのエラーフラグをオンに設定して、処理を終了(ステップS6d)する。
【0024】
図7は、上記エラーフラグ記憶部23cに記憶されたエラーフラグ記憶テーブルの一例を示している。このエラーフラグ記憶テーブルは、エラーコードとエラーフラグと概要とを対応させたもので、例えば先頭の欄では、あるTASK Aでエラーコード1000のエラーが発生していることを示している。
【0025】
図8は、上記ログ記憶部23bに記憶されたログ記憶テーブルの一例を示している。このログ記憶部23bは、PC11の動作履歴を示すログ情報を蓄積したログ記憶テーブルを作成して記憶している。図8に示すログ記憶テーブルは、ETC(electronic toll collection system)レーンを通過した車両の検知情報を蓄積した例を示している。すなわち、日付(DATE)及び時刻(TIME)の経過に対応して、路側アンテナから送信されるFCMS(flame control message slot)、車両から送信されるACTS(activation control slot)及び処理データMDS(message data slot)等の送信履歴が記述されている。
【0026】
図9は、上記PC11が実行する主要な処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS9a)され、ステップS9bで、PC11と外部デバイス17とがUSBケーブル16で物理的に接続されると、先に図4で説明したように、プラグ・アンド・プレイ機能により、ステップS9cで、PC11と外部デバイス17との通信が確立される。
【0027】
すると、PC11は、ステップS9dで、外部デバイス17の状態に変更があるか否かを判別し、変更がないと判断された場合(NO)、処理を終了(ステップS9h)し、変更があると判断された場合(YES)、全てのアプリケーションに対して外部デバイス17の状態が変化した旨を示すメッセージを通知する。
【0028】
そして、このメッセージの通知後、PC11は、ステップS9eで、上記エラーフラグ記憶テーブル内でオンになっているエラーフラグが存在するか否かを判別し、存在すると判断された場合(YES)、ステップS9fで、上記ログ記憶部23bに蓄積されているログ情報を外部デバイス17にアップロードする。
【0029】
このステップS9fの後、または、上記ステップS9eでオンになっているエラーフラグが存在しないと判断された場合(NO)、PC11は、ステップS9gで、外部デバイス17に対して通信の遮断を要求する。このため、外部デバイス17は、スイッチ24eをオフ状態に切り替え、これにより、PC11との通信が遮断状態となって、処理が終了(ステップS9h)される。
【0030】
上記した実施の形態によれば、外部デバイス17とPC11とがUSBケーブル16で接続された場合、プラグ・アンド・プレイ機能により自動的に両者間で通信を行ない、PC11でエラーフラグがオンになっていれば、PC11のログ情報を外部デバイス17にアップロードするようにしている。
【0031】
これにより、現状における各種の不都合を生じさせることなく、異常があった旨の情報を外部デバイス17に収集させることができる。特に、PC11が複数個存在し、各PC11に選択的に外部デバイス17と通信を行なわせる際には、利用者が同じ操作を何度も繰り返す必要がなく、また、各PC11に動作指示を設定するためのファイルを用意する必要もなく、実用に好適するものとなる。
【0032】
さらに、上記ログ記憶部23bで作成されるログ記憶テーブル及びエラーフラグ記憶部23cで作成されるエラーフラグ記憶テーブル等は、上記RAM19内に格納されるようにしても良いことはもちろんである。
【0033】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0034】
11…PC、12…機器本体部、13…入力機器、14…表示機器、15…光ディスク、16…USBケーブル、17…外部デバイス、18…ROM、19…RAM、20…光ディスクドライブ部、21…HDD、22…CPU、23…監視部、23a…エラー検知部、23b…ログ記憶部、23c…エラーフラグ記憶部、24…USBコネクタ、24a…電源(Vbus)ピン、24b…信号(D−)ピン、24c…信号(D+)ピン、24d…電源(GND)ピン、24e…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の動作履歴を示す情報を蓄積する記憶手段と、
動作状態で異常が発生した場合にその旨を示す情報を設定する設定手段と、
外部デバイスが接続された状態で自動的に当該外部デバイスとの通信を確立する通信手段と、
前記通信手段により通信が確立された状態で前記設定手段に異常が発生した旨を示す情報が設定されている場合、前記記憶手段に蓄積された動作履歴を示す情報を前記外部デバイスに出力する制御手段とを具備する情報処理機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記記憶手段に蓄積された動作履歴を示す情報を前記外部デバイスに出力した状態で、前記通信手段により確立された前記外部デバイスとの通信状態を遮断する請求項1記載の情報処理機器。
【請求項3】
前記設定手段は、動作状態で異常が発生したことを検知し、その検知結果に基づいて異常が発生した旨を示すフラグをオン状態に設定する請求項1記載の情報処理機器。
【請求項4】
前記通信手段は、プラグ・アンド・プレイ機能を用いて、前記外部デバイスが接続された状態で自動的に当該外部デバイスとの通信を確立する請求項1記載の情報処理機器。
【請求項5】
接続された外部デバイスと情報の通信を行なう情報処理機器の制御方法であって、
自己の動作履歴を示す情報を蓄積し、
動作状態で異常が発生した場合にその旨を示す情報を設定し、
前記外部デバイスが接続された状態で自動的に当該外部デバイスとの通信を確立し、
通信が確立された状態で異常が発生した旨を示す情報が設定されている場合、蓄積された動作履歴を示す情報を前記外部デバイスに出力する情報処理機器の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate