説明

情報処理端末及び情報処理方法、並びにプログラム

【課題】無線通信網における電波状況に関わらず業務に必要なデータを確実に取得すること。
【解決手段】情報処理端末は、他の装置から無線通信網を介してデータを取得し、電波強度実測値測定部41と、電波状況予測部43と、データ取得制御部44と、を備える。電波強度実測値測定部41は、情報処理端末における電波強度の測定値を取得する。電波状況予測部43は、電波強度実測値測定部41により測定された電波強度の測定値に基づいて、情報処理端末における電波状況を予測する。データ取得制御部44は、電波状況予測部43の予測結果に基づいて、無線通信網からデータを取得する制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信網により通信を行う情報処理端末及び情報処理方法並びにプログラムに関し、無線通信網における電波状況に関わらず業務に必要なデータを確実に取得することが可能な情報処理端末及び情報処理方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、無線電話等の無線通信を用いる公衆回線網(以下、「無線通信網」と呼ぶ)を用いた携帯端末(特許文献1及び2参照)は、場所を選ばすに無線通信網から、各種データを受信して利用することができる。このため、各種業務用の携帯端末が広く用いられている。
例えば、広範囲に点在する多数の住居にそれぞれ設置されている電気やガスの検針装置から、メータの値を検出する業務(以下、「検針業務」と呼ぶ)に用いられる携帯端末が存在する(特許文献3参照)。
このような検針業務用の携帯端末は、無線通信網を介して検針業務に必要な各種データ、例えば1ヶ月前の検針データを、データベースから無線通信網を介してダウンロードし、料金の計算を行うことができる。この場合、検針業務用の携帯端末は、リアルタイムに各種データを送受信する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4563607号公報
【特許文献2】特開2004−312528号公報
【特許文献1】特開2010−79359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1乃至3を含め従来の技術では、検針業務用の携帯端末は、無線通信網を用いるため、通信エリア外となってしまった場合には、検針業務に必要なデータのリアルタイムな受信が不可能になり、検針業務に支障が生ずる場合がある。
このような場合の対策として、全件の検針業務に必要なデータの全てを予め記憶しておくという策も考えられるが、検針業務用の携帯端末に備えられているメモリの容量は小さいため、当該対策を取ることは現実的ではない。
そこで、検針業務用の携帯端末のメモリ内に、全件のうちの何件かの検針業務に必要なデータを記憶しておく次善策も考えられるが、データ量の大きな情報(画像情報等)が1件当たりの検針業務に必要となる場合には、1台の携帯端末当たりの検針業務の件数は著しく制限されることになり、当該次善策を取ることも現実的でない。
したがって、検針業務用の携帯端末が、無線通信網における電波状況に関わらず、検針業務に必要なデータを、当該検針業務の前に確実に取得しておく対策が必要になる。このような対策は、検針業務に関わらず、無線通信網による携帯端末の通信を用いる各種業務に広く必要になるものである。しかしながら、このような対策として有効なものは見受けられない状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、無線通信網における電波状況に関わらず業務に必要なデータを確実に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理端末は、
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末において、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得手段と、
前記電波強度測定値取得手段により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測手段と、
前記電波状況予測手段の予測結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電波状況に関わらず業務に必要なデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理端末のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の情報処理端末の機能的構成のうち、電波監視処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の情報処理端末の現在位置における電波強度の概略値を求めるために必要となる、電波強度エリア情報の一例を示す図である。
【図4】図1の情報処理端末が電波状況の悪化有無を予測する際に用いられる、電波強度の測定値の推移の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】図2の機能的構成を有する図1の情報処理端末が実行する電波監視処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理端末のハードウェアの構成を示すブロック図である。
情報処理端末1は、例えば検針業務用の携帯端末として構成される。
【0011】
情報処理端末1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、アンテナ20と、GPS(Global Positioning System)部21と、ドライブ22と、を備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムにしたがって各種の処理を実行する。
【0013】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0014】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19、GPS部21及びドライブ22が接続されている。
【0015】
入力部16は、電源ボタン、電波監視モード設定ボタン等、各種ボタンで構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部17は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、ディスプレイはテキストデータ、表データ、画像データ等を表示し、スピーカは音声を出力する。
記憶部18は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部19は、携帯電話やPHS(Personal Handy−phone System)等の公衆回線、インターネットを含むネットワークといった無線通信網を介して他の装置(図示せず)との間でアンテナ20を介して行通信を制御する。通信部19は、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)の情報の取得機能を有する。
GPS部21は、GPS受信アンテナ(図示せず)を介して、複数のGPS用衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて現在の位置を示す位置情報を生成する。情報処理端末1の現在位置を示す位置情報として、例えば緯度、経度、高度等が算出される。
【0016】
ドライブ22には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ22によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0017】
図2は、このようなハードウェア構成の情報処理端末1の機能的構成のうち、電波監視処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
電波監視処理とは、現在の電波強度(実測値や概略値)と位置情報とに基づいて電波状況を予測し、その予測結果に基づいてデータのダウンロードを行うまでの一連の処理をいう。なお、電波強度(実測値や概略値)、位置情報及び電波状況の予測については後述する。
【0018】
CPU11においては、電波監視処理の実行が制御される場合、電波強度実測値測定部41と、電波強度概略値取得部42と、電波状況予測部43と、データ取得制御部44と、が機能する。
【0019】
記憶部18の一領域には、電波強度エリア情報記憶部51と、データ記憶部52とが設けられている。
電波強度エリア情報記憶部51は、検針業務の対象となるエリア毎の相対的な電波強度の概略を示す情報(以下、「電波強度エリア情報」と呼ぶ)を記憶する。電波強度エリア情報としては、例えば通信キャリアが提出している通信のエリアマップ、又は当該エリアマップに基づいて生成された情報が採用される。電波強度エリア情報の具体例については、図3を参照して後述する。
データ記憶部52は、ダウンロードされたデータを記憶する。
【0020】
電波強度実測値測定部41は、通信部19からのRSSIの情報を、現在の電波強度の測定値(実測値)として取得して、電波状況予測部43に供給する。
【0021】
電波強度概略値取得部42は、電波強度エリア情報記憶部51に記憶された電波強度エリア情報と、GPS部21により取得された位置情報とに基づいて、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値を取得して、当該位置情報と共に電波状況予測部43に供給する。
ここで、電波強度の概略とは、地形や天候等の各種条件が通常時の条件となる場合において、通信キャリアの基地局の設置場所等と各位置との各々の位置関係に基づいて推定される、各位置の電波強度の概略値をいう。
【0022】
以下、図3を参照して、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値についてさらに詳しく説明する。
図3は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値を求めるために必要となる、電波強度エリア情報の一例を示している。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、検針業務の範囲は、電波強度の概略が「最良」である領域L1、電波強度の概略が「良好」である領域L2、及び電波強度の概略が「悪化」である領域L3の3種類に大別される。
「最良」の領域L1とは、通常時の条件の場合に電波強度が閾値X1以上になると推定される領域をいう。即ち、GPS部21からの位置情報により特定される現在位置が、領域L1内である場合、例えば○×プラザ101である場合、電波強度概略値取得部42は、電波強度の概略値として「最良」の値を取得する。この場合、情報処理端末1は、検針業務に必要なデータのダウンロードを全く問題なく最後まで高速で行うことができるものと推定される。
「良好」の領域L2とは、通常時の条件の場合に電波強度が閾値X1未満閾値X2以上になると推定される領域をいう。即ち、GPS部21からの位置情報により特定される現在位置が、領域L2内である場合、例えば△△中学校102である場合、電波強度概略値取得部42は、電波強度の概略値として「良好」の値を取得する。この場合、情報処理端末1は、通信が最後まで途切れることなく、検針業務に必要なデータのダウンロードを最後まで行うことができるものと推定される。ただし、ダウンロードの速度は、高速を維持できない場合があるものと推定される。
「悪化」の領域L3とは、通常時の条件の場合に電波強度が閾値X2未満になると推定される領域をいう。即ち、GPS部21からの位置情報により特定される現在位置が、領域L3内である場合、例えば□△病院103である場合、電波強度概略値取得部42は、電波強度の概略値として「悪化」の値を取得する。この場合、情報処理端末1は、業務に必要なデータをダウンロードすることが困難になるか或いは実質不可能になるものと推定される。
【0024】
電波状況予測部43は、電波強度実測値測定部41により取得された、現在の電波強度の測定値(実測値)と、電波強度概略値取得部42により取得された、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値とに基づいて、電波状況を予測する。
【0025】
具体的には、現在の電波強度の測定値(実測値)とは、RSSI(受信信号強度)の情報である。一方、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値は、電波強度エリア情報(図3のエリアマップ等)に基づいて求められるものである。
従って、電波状況予測部43は、電波強度エリア情報(図3のエリアマップ等)とRSSI(受信信号強度)の情報とに基づいて、情報処理端末1における電波の強弱の状況を予測演算する。
【0026】
具体的には、検針業務では、図3に示すような通信エリア内において、情報処理端末1を操作する検針員が担当する各件毎の検針業務の場所(各住居)は既知であり、当該検針員が、図3に示すような通信エリア内において、どの順番で各件の検針業務の場所(各住居)の場所を移動していくのかも既知である。換言すると、電波強度の概略値の推移の傾向は既知である。そこで、以下、説明の簡略上、電波強度の概略値が、「最良」、「良好」、「悪化」の各値の順番で推移していく傾向にあることが既知であるとする。
この場合、電波状況予測部43は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値が「最良」の値である場合には、今後変化したとしても「良好」の値であることが既知であり、検針業務に必要なダウンロードに影響を及ぼすことはないと予測することができる。
これに対して、電波状況予測部43は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値が「良好」の値である場合には、今後「悪化」の値に変化することは既知であるため、検針業務に必要なダウンロードに影響を及ぼすことに今後なりそうであると予測することができる。そこで、電波状況予測部43は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値が「良好」の値である場合には、そのことを示すフラグを立てる。
電波状況予測部43は、このようなフラグが立っている場合には、電波状況予測部43は、現在の電波強度の測定値(実測値)、即ちRSSI(受信信号強度)の情報の推移を監視し、その監視結果に基づいて、ダウンロードに影響を及ぼす程に電波状況が悪化しているか否かの予測結果を求めることができる。
電波状況予測部43は、電波状況の悪化有無の予測結果を、データ取得制御部44に供給する。
【0027】
図4は、電波状況の悪化有無を予測する際に用いられる、電波強度の測定値(実測値)の推移の一例を示すタイミングチャートである。
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は各時点の電波状況、即ち各時点の電波強度の測定値(実測値)を示している。
図4の例では、電波強度の測定値(実測値)が時間の経過と共に減少していく傾向にあることがわかる。
電波状況予測部43は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値が「最良」の値である場合には、フラグは降ろしておく。このように、電波強度の概略値が一定の値以上である場合、電波状況の予測を禁止することにより、無駄な消費電力を抑えることができる。
その後、電波状況予測部43は、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値が「最良」の値から「良好」の値に変化しると、フラグを立てて、現在の電波強度の測定値(実測値)、即ちRSSI(受信信号強度)の情報の監視を開始する。
この場合、電波状況予測部43は、当初、電波状況が悪化傾向にないという予測結果を出力する。しかし、図4の部分Aのように、現在の電波強度の測定値(実測値)が下降の傾向にあり、かつ、一定以下まで下降した場合には、電波状況予測部43は、電波状況が悪化傾向にあるという予測結果を出力する。
【0028】
データ取得制御部44は、電波状況予測部43による電波状況の悪化有無の予測結果に基づいて、検針業務に必要なデータをダウンロードして取得するための制御を実行する。通例えば、電波状況が悪化傾向にないと電波状況予測部43により予測された場合、データ取得制御部44は、検針員が今後移動していく各住居の検針業務に関係するデータを予めダウンロードしておく。
ここで、ダウンロード対象データとは、電気、水道又はガスの各件毎の検針業務に必要となるデータ、即ち住所、氏名、名称、過去の検針情報等のデータをいう。
これにより、検針員にとっては以降の検針業務には支障が生じなくなる。
【0029】
なお、ダウンロードとは、他の装置から無線通信網を介してデータを取得するのみならず、当該データをデータ記憶部52等の所定の記録媒体に記憶させることも含む概念である。
この場合、データ取得制御部44は、無線通信網から取得したデータをデータ記憶部52等に記録させる際、データ記憶部52等に既に記録されていたデータのうち、所定条件を満たすデータを消去してもよい。ここで、所定条件は、特に限定されず、例えば同一対象の過去のデータであること、一定時間以上前に記憶されたデータであること等の各種条件を採用することができる。
【0030】
次に、図5を参照して、このような図2の機能的構成の情報処理端末1が実行する電波監視処理について説明する。
図5は、図2の機能的構成を有する図1の情報処理端末1におけるCPU11が実行する電波監視処理の流れを説明するフローチャートである。
【0031】
電波監視処理は、検針員が入力部16に対する所定の操作をしたことを契機として開始され、次のような処理が実行される。
【0032】
ステップS11において、電波強度実測値測定部41は、通信部19からのRSSIの情報を、現在の電波強度の実測値(測定値)として取得する。
ステップS12において、電波強度概略値取得部42は、電波強度エリア情報記憶部51に記憶された電波強度エリア情報と、GPS部21により取得された位置情報とに基づいて、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値を取得する。
なお、ステップS11,S12の処理の順番は、特に限定されず、ステップS12の処理の後にステップS11の処理が実行されてもよいし、ステップS11,S12の処理が略同時に実行されてもよい。
【0033】
ステップS13において、電波状況予測部43は、ステップS11の処理で取得された、現在の電波強度の実測値(測定値)と、ステップS12の処理で取得された、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値とに基づいて、電波状況を予測する。
【0034】
ステップS14において、データ取得制御部44は、ステップS13における予測結果が、電波状況が悪化傾向であるか否かを判定する。
上述したようにフラグが立っていて、電波状況が悪化傾向であるという予測結果の場合、ステップS14においてYESであると判定されて、処理はステップS15に進む。ステップS15において、データ取得制御部44は、データのダウンロードを行い、処理をステップS16に進める。
これに対して、上述したようにフラグが立っていないか、又はフラグが立っていても電波状況が悪化傾向でないという予測結果の場合、ステップS14においてNOであると判定されて、ステップS15のダウンロードは実行されずに、処理はステップS16に進む。
【0035】
ステップS16において、情報処理端末1のCPU11は、処理終了の指示があったか否かを判定する。
ここで、処理の終了の指示は、特に限定されないが、本実施形態では情報処理端末1の電源がオフ状態になることが処理の終了の指示として採用されている。
従って、情報処理端末1の電源がオン状態の場合、ステップS16においてNOであると判定されて、処理はステップS11に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
その後、情報処理端末1の電源がオフ状態になると、ステップS16においてYESであると判定されて、電波監視処理は終了となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の情報処理端末1は、他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末であり、電波強度実測値測定部41と、電波強度概略値取得部42と、電波状況予測部43と、データ取得制御部44と、を備えている。
電波強度実測値測定部41は、情報処理端末1における電波強度の測定値(実測値)を取得する。
電波強度概略値取得部42は、GPS部21の測定結果と、電波強度エリア情報とに基づいて、情報処理端末1の現在位置における電波強度の概略値を取得する。
電波状況予測部43は、電波強度の測定値(実測値)と、電波強度の概略値とに基づいて、情報処理端末1における電波状況を予測する。
データ取得制御部44は、電波状況予測部43の予測結果に基づいて、無線通信網からデータを取得する制御を実行する。
これにより、無線通信網における電波状況に関わらず業務に必要なデータを確実に取得することが可能になる。
【0037】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0038】
例えば、上述の実施形態では、電波状況は、RSSI(受信信号強度)に基づく電波強度の実測値(測定値)と、電波強度エリア情報(図3のエリアマップ等)に基づく電波強度の概略値とを用いて予測された。
しかしながら、電波状況の予測に用いる情報は、上述の実施形態に特に限定されず、任意の個数、任意の種類の情報を組み合わせることができる。
例えば、情報処理端末1は、RSSI(受信信号強度)に基づく電波強度の実測値(測定値)のみを用いて電波状況を予測してもよいし、電波強度エリア情報(図3のエリアマップ等)に基づく電波強度の概略値のみを用いて電波状況を予測してもよい。
ただし、電波強度の概略値のみを用いる場合には、たとえ「最良」や「良好」の領域内であっても、電波が伝わりにくい位置、例えば、屋内、車中、地下、トンネル内、ビルの陰、山間部等の位置が存在し、さらには、同一の位置であっても、そのときの天候等によって電波の伝わりやすさも変動するため、電波状況の予測の精度は粗いものになる。このため、電波状況の予測の精度を一定以上に確保する必要がある場合には、当該電波状況の予測に含める情報として、RSSI(受信信号強度)に基づく電波強度の実測値(測定値)を採用すると好適である。
また、電波状況の予測に含める情報として、上述の実際形態で採用した電波強度の実測値(測定値)や電波強度の概略値以外の情報を、単体で、或いは、幾つかの情報と組み合わせて採用することもできる。
【0039】
例えば、上述の実施形態では、電波強度の概略値が「最良」から「良好」の値に変化してフラグが立った状態で、電波状況が悪化傾向にあるという予測結果となった場合にのみ、ダウンロードが開始されたが、特にこれに限定されない。
例えば、ダウンロードは、段階的に行われてもよい。例えば、情報処理端末1は、電波状況の予測結果を多段階で判断するようにして、第1段階の電波状況では、第1のデータをダウンロードし、第2段階の電波状況では、第2のデータをダウンロードするようにしてもよい。
ここで、第1のデータと第2のデータとの関係は、特に限定されず、同一の内容のデータであってもいいし、一部だけ内容が重複するデータであってもよいし、全く異なる内容のデータであってもよい。
例えば、同一の内容の例としては、第1のデータと第2のデータのうち、一方のデータに対して、一部を間引いたり、省略したデータを他方のデータとして採用したりすることができる。また、第1のデータと第2のデータのうち、一方のデータに対して、圧縮符号化が施されたデータを他方のデータとして採用することができる。具体的には例えば、同一の内容の画像であるが、画質が異なる第1のデータと第2のデータ、より具体的にはビットレートや解像度が異なる第1のデータと第2のデータとを採用することができる。
また、一部だけ内容が重複する例としては、オリジナルの動画像の第1のデータと、そのサムネイル画像の第2のデータとを採用することができる。
また、全く異なる内容の例としては。検針業務用途において、検針対象の住居のうち、現在位置から第1の距離内に存在する住居に関するデータを、第1のデータとして採用し、現在位置から第1の距離以上第2の距離以内に存在する住居に関するデータを、第2のデータとして採用してもよい。
なお、説明の簡略上、電波状況が任意の2段階の関係に着目して説明したが、N段階(Nは3以上の整数値)であっても全く同様に、N種類のデータを採用することができる。
【0040】
また、上述の実施形態では、電波強度の概略値は、「最良」、「良好」、及び「悪化」の3段階の値が採用されていたが、特にこれに限定されない。例えば、N段階(Nは2以上の整数値)の離散値(デジタル値)の各々を電波強度の概略値として採用することもできるし、連続して変化する値(アナログ値)を電波強度の概略値として採用することもできる。
【0041】
また、上述の実施形態では、電波強度の概略値は、情報処理端末1の現在位置のものが採用されたが、特にこれに限定されない。
例えば、移動先における電波強度の概略値を採用してもよい。この場合、情報処理端末1は、通信エリア内での検針員の移動経路を記憶しておき、現在位置と移動経路とから、移動先を算出すればよい。
【0042】
また、本実施形態の情報処理端末1は、検針業務の用途に適用しているがこれに限られるものではなく、検針業務以外の任意の用途に適用することができる。
【0043】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される情報処理端末1の形態は、特に限定されず、検針業務用の特別な端末のみならず、スマートフォン、携帯型のパーソナルコンピュータ、携帯型テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、ポータブルゲーム機等様々な形態を取ることができる。
【0044】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図2の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理端末1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図2の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0045】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0046】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図1のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図1のROM12や、図1の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0047】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0049】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末において、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得手段と、
前記電波強度測定値取得手段により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測手段と、
前記電波状況予測手段の予測結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理端末。
[付記2]
前記情報処理端末の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
予め決定された電波強度の概略値を各領域毎に示す電波強度エリア情報を記憶する記憶手段と、
前記現在位置測定手段の測定結果と、前記記憶手段に記憶された前記電波強度エリア情報とに基づいて、前記現在位置における電波強度の概略値を取得する電波強度概略値取得手段と、
をさらに備え、
前記電波状況予測手段は、前記電波強度の測定値に加えてさらに、前記電波強度概略値取得手段により取得された前記電波強度の概略値に基づいて、前記電波状況を予測する、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理端末。
[付記3]
前記電波状況予測手段は、
前記電波強度の概略値が一定の値以上である場合、前記電波状況の予測を禁止する、
ことを特徴とする付記2に記載の情報処理端末。
[付記4]
前記電波強度の概略値は、多段階の離散値として予め設定されている、
ことを特徴とする付記3に記載の情報処理端末。
[付記5]
前記情報処理端末における前記電波強度の測定値は、RSSIに基づく値である、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の情報処理端末。
[付記6]
前記データ取得制御手段は、前記無線通信網から取得したデータを所定の記録媒体に記録させ、その記録の際、前記記録媒体に既に記録されていたデータのうち、所定条件を満たすデータを消去する制御を実行する、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の情報処理端末。
[付記7]
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末が実行する情報処理方法において、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得ステップと、
前記電波強度測定値取得ステップの処理により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測ステップと、
前記電波状況予測ステップの処理結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
[付記8]
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末を制御するコンピュータに、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得機能と、
前記電波強度測定値取得機能の発揮により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測機能と、
前記電波状況予測機能の発揮結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御機能と、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0050】
1・・・情報処理端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・アンテナ、21・・・GPS部、22・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、41・・・電波強度実測値測定部、42・・・電波強度概略値取得部、43・・・電波状況予測部、44・・・データ取得制御部、51・・・電波強度エリア情報記憶部、52・・・データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末において、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得手段と、
前記電波強度測定値取得手段により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測手段と、
前記電波状況予測手段の予測結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前記情報処理端末の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
予め決定された電波強度の概略値を各領域毎に示す電波強度エリア情報を記憶する記憶手段と、
前記現在位置測定手段の測定結果と、前記記憶手段に記憶された前記電波強度エリア情報とに基づいて、前記現在位置における電波強度の概略値を取得する電波強度概略値取得手段と、
をさらに備え、
前記電波状況予測手段は、前記電波強度の測定値に加えてさらに、前記電波強度概略値取得手段により取得された前記電波強度の概略値に基づいて、前記電波状況を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記電波状況予測手段は、
前記電波強度の概略値が一定の値以上である場合、前記電波状況の予測を禁止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記電波強度の概略値は、多段階の離散値として予め設定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記情報処理端末における前記電波強度の測定値は、RSSIに基づく値である、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記データ取得制御手段は、前記無線通信網から取得したデータを所定の記録媒体に記録させ、その記録の際、前記記録媒体に既に記録されていたデータのうち、所定条件を満たすデータを消去する制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理端末。
【請求項7】
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末が実行する情報処理方法において、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得ステップと、
前記電波強度測定値取得ステップの処理により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測ステップと、
前記電波状況予測ステップの処理結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
他の装置から無線通信網を介してデータを取得する情報処理端末を制御するコンピュータに、
前記情報処理端末における電波強度の測定値を取得する電波強度測定値取得機能と、
前記電波強度測定値取得機能の発揮により測定された前記電波強度の測定値に基づいて、前記情報処理端末における電波状況を予測する電波状況予測機能と、
前記電波状況予測機能の発揮結果に基づいて、前記無線通信網からデータを取得する制御を実行するデータ取得制御機能と、
を含む制御処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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