説明

情報処理装置、および情報処理方法

【課題】一の情報処理装置に記憶されたサービスデータを他の情報処理装置へと簡単に移動をさせることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】リーダ/ライタと接触式/非接触式に通信し、リーダ/ライタを介して提供されるサービスに対応するサービスデータを処理するICチップと、情報を記憶するカード内部メモリを備え加入者を識別する固有の番号が付されたSIMカードを収納するSIMカード収納部と、リーダ/ライタとの通信においてICチップが処理したサービスデータをSIMカードのカード内部メモリに記録し、SIMカードのカード内部メモリに記憶されたサービスデータを読み出してICチップに処理させる制御部とを備える情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触式IC(Integrated Circuit)カードや、非接触式ICチップを搭載した携帯電話など、リーダ/ライタ(または、リーダ/ライタ機能を有する装置)と非接触式に通信可能な情報処理装置が普及している。
【0003】
上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能な情報処理装置は、耐タンパ性を有するICチップを備えることにより、例えば、電子マネーなどデータの改竄が問題となるデータの送受信や更新を安全に行うことができる。したがって、上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能な非接触式ICチップを搭載した情報処理装置を利用した様々なサービスの提供が社会的に広がっている。そして、サービスの提供の広がりに伴い、非接触式ICチップを搭載した携帯電話などの情報処理装置の普及がさらに進んでいる。
【0004】
このような中、リーダ/ライタと非接触式に通信可能な情報処理装置の通信に係る技術が開発されている。リーダ/ライタとの間の通信において、携帯電話機能の受信感度に影響を与えないように複数の通信方式を切り替える技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−146910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非接触式ICチップを搭載した携帯電話などの情報処理装置の普及が進むにつれ、例えば、携帯電話の機種変更など、ユーザが使用する情報処理装置を変更する頻度が増している。そのため、携帯電話の機種変更時(または、携帯電話の故障時)に変更前の携帯電話に搭載されたICチップ(移動元ICチップ)のデータを、変更後の携帯電話に搭載されたICチップ(移動先ICチップ)へとデータ移動させるサービスが登場している。
【0007】
しかしながら、ICチップは、データの改竄等を防止するためにアクセスが制限されたメモリ領域を有しており、リーダ/ライタ(または、リーダ/ライタ機能を有する装置)を介して提供されるサービスに対応するデータ(以下、「サービスデータ」という。)は、当該メモリ領域に記憶される場合がある。よって、移動元ICチップから移動先ICチップへのデータの移動を容易に行うことはできない。
【0008】
また、移動元のICチップから移動先のICチップへのデータの移動は、移動元のICチップに保持される全てのデータが移動先のICチップへと移動される場合に限られず、移動元のICチップに保持される一部のデータが移動先のICチップへと移動されない場合もある。ここで、移動元のICチップに保持される一部のデータが移動先のICチップへと移動されない場合としては、例えば、移動元のICチップに保持されるデータに対して、データの移動を許可しない旨の付加情報が付されている場合が挙げられる。
【0009】
したがって、従来の移動元のICチップから移動先のICチップへのデータの移動は、データの移動に手間がかかるだけでなく、機種変更後の情報処理装置のICチップ(移動先のICチップ)に記憶されたデータと、機種変更前の情報処理装置のICチップ(移動元のICチップ)に記憶されていたデータとが一致しない場合がある。よって、データの移動が行われたとしても、非接触式ICチップを搭載した携帯電話などの情報処理装置のユーザは、データが移動された変更後の情報処理装置を用いて、変更前の情報処理装置と同様のサービスを受けることができない場合が生じていた。ここで、リーダ/ライタと非接触式に通信可能な情報処理装置の通信に係る従来の技術では、上記の問題について、何らの考慮もなされていない。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、一の情報処理装置に記憶されたサービスデータを他の情報処理装置へと簡単に移動をさせることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、リーダ/ライタと接触式/非接触式に通信し、上記リーダ/ライタを介して提供されるサービスに対応するサービスデータを処理するICチップと、情報を記憶するカード内部メモリを備え加入者を識別する固有の番号が付されたSIMカードを収納するSIMカード収納部と、上記リーダ/ライタとの通信において上記ICチップが処理したサービスデータを上記SIMカードの上記カード内部メモリに記録し、上記SIMカードの上記カード内部メモリに記憶されたサービスデータを読み出して上記ICチップに処理させる制御部とを備える情報処理装置が提供される。
【0012】
かかる構成により、サービスデータをSIMカードに記憶させることができ、一の情報処理装置に記憶されたサービスデータを他の情報処理装置へと簡単に移動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一の情報処理装置に記憶されたサービスデータを他の情報処理装置へと簡単に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
(本発明の実施形態に係るアプローチ)
本発明の実施形態に係る情報処理装置について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る情報処理装置における問題解決アプローチについて説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る情報処理装置では、例えば、携帯電話において加入者を識別するための固有のID番号が記録されたICカード(または、ICチップ)、すなわち、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)があることに着目し、以下のようにしてサービスデータを処理し、移動を行う。
【0017】
〔1〕サービスデータの記録
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、リーダ/ライタを介して提供されるサービスに関する処理(以下、「サービス処理」という。)で処理されたサービスデータをSIMカードに記録する。また、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、SIMカードに記憶されたサービスデータを適宜読み出してサービス処理を行う。なお、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、サービスデータをSIMカードに記録し読み出すことに限られず、例えば、アプリケーションプログラムや画像データ、音楽データなど様々なデータをSIMカードに記録して適宜読み出すこともできる。
【0018】
〔2〕データの移動
SIMカードは、情報処理装置から抜き差しが可能なICカードであり、一の情報処理装置から抜いたSIMカードを他の情報処理装置に差し込むことにより、当該他の情報処理装置でも動作する。したがって、本発明の実施形態に係る情報処理装置が、SIMカードにサービスデータを記録することによって、SIMカードの抜き差しに伴って、サービスデータを他の情報処理装置へ移動させることができる。
【0019】
ここで、本発明の実施形態に係る情報処理装置では、サービスデータが記録されたSIMカードそのものを物理的に他の情報処理装置へ移動させることができる。したがって、従来のデータの移動方法よりも簡単にデータの移動を行うことができ、また、移動元のICチップに保持される一部のデータが移動先のICチップへと移動されない場合も生じない。
【0020】
上記のように、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、サービスデータをSIMカードに記憶させることによって、他の情報処理装置へのデータの移動を簡単に行わせることができる。以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置について、より具体的に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100を示すブロック図である。ここで、図1では、情報処理装置100が備えるICチップ102(後述する)とサービスに係る通信を行うリーダ/ライタ10を示している。なお、情報処理装置100のICチップ102とリーダ/ライタ10とは、例えば、13.56MHzの磁界(以下、「搬送波」という。)を用いて非接触式に通信を行うことができるが、かかる構成に限られず、接触式に通信を行うこともできる。以下では、本発明の実施形態の一例として、情報処理装置100のICチップ102とリーダ/ライタ10とが、搬送波を用いて非接触式に通信を行う構成について説明する。
【0022】
図1を参照すると、第1の実施形態に係る情報処理装置100は、ICチップ102と、制御部104と、SIMカード収納部106と、通信部108とを備える。
【0023】
情報処理装置100は、サービスデータを記憶可能なカード内部メモリ152を備えるSIMカード150を内部に格納することができる。ここで、SIMカード150には、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)と呼ばれる加入者の識別に用いられる固有の番号が付され、情報処理装置100はSIMカード150を一意に識別することができる。また、SIMカード150のカード内部メモリ152は、アクセス制限領域Xを有することができる。ここで、アクセス制限領域Xとは、アクセス制限領域X内に記憶されるサービスデータに対する読み出し処理や書き込み処理において、例えば、暗号鍵による認証などが必要なアクセス制限を設定(および解除)可能な記憶領域である。図1では、カード内部メモリ152にサービスデータA160、サービスデータB162、サービスデータC164が記憶され、そのうち、サービスデータA160、サービスデータC164がアクセス制限領域Xに記憶されている例を示している。
【0024】
また、情報処理装置100は、制御部104が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部104により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、表示部(図示せず)、記憶部(図示せず)などを備えてもよい。情報処理装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)で各構成要素間を接続することができる。
【0025】
ここで、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。また、表示部(図示せず)としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display;または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)とも呼ばれる。)などが挙げられるが、上記に限られない。なお、操作部(図示せず)と表示部(図示せず)とは、例えば、タッチスクリーン(touch screen)で構成された一体の部とすることもできる。
【0026】
また、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。
【0027】
[情報処理装置100のハードウェア構成例]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図2を参照すると、情報処理装置100は、ICチップ102と、MPU120と、ROM122と、RAM124と、記録媒体126と、入出力インタフェース128と、操作入力デバイス130と、表示デバイス132と、通信インタフェース134と、スロット136とを備える。また、情報処理装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス138で各構成要素間を接続する。
【0028】
ICチップ102は、リーダ/ライタ10との通信に係る様々な部を集積回路にて実現したものであり、耐タンパ性を有することができる。また、ICチップ102は、リーダ/ライタ10からの各種命令、または、情報処理装置100内のICチップ102以外の構成要素(例えば、制御部104など)からの命令など、ICチップ102の外部からの命令(コマンド)に応じて様々なデータ処理(例えば、サービス処理)を行う。なお、ICチップ102のハードウェア構成については、後述する。
【0029】
MPU120は、後述する制御部104として機能する。ROM122は、MPU120が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶し、また、RAM124は、MPU120により実行されるプログラムなどを一次記憶する。記録媒体126は、情報処理装置100の記憶部(図示せず)として機能し、例えば、情報処理装置100において用いられるアプリケーションやデータなどを記憶することができる。
【0030】
入出力インタフェース128は、例えば、操作入力デバイス130や、表示デバイス132を接続することができる。ここで、入出力インタフェース128としては、例えば、USB端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などが挙げられるが、上記に限られない。また、操作入力デバイス130は、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなど、情報処理装置100上に備えられ、情報処理装置100の内部で入出力インタフェース128と接続される。また、表示デバイス132は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display;または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)とも呼ばれる。)など、情報処理装置100上に備えられ、情報処理装置100の内部で入出力インタフェース128と接続される。なお、入出力インタフェース128は、情報処理装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や、表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできることは、言うまでもない。
【0031】
通信インタフェース134は、外部装置と通信を行うためのインタフェースであり、通信部108として機能することができる。ここで、通信インタフェースとしては、基地局と通信を行うための無線通信アンテナを有するRF(Radio Frequency)回路、LAN(Local Area Network)端子、赤外線ポート、IEEE802.11ポートなどが挙げられるが、上記に限られない。
【0032】
スロット136は、SIMカード150を着脱可能に収納するSIMカード収納部106として機能する。また、スロット136は、情報処理装置100とSIMカード150とを接続し、データの伝送を相互に可能とする。
【0033】
情報処理装置100は、図2に示すようなハードウェア構成により、ICチップ102がリーダ/ライタ10との通信に係るサービス処理において処理したサービスデータをSIMカードに記憶させることができる。
【0034】
再度図1を参照して、情報処理装置100の各構成要素について説明する。ICチップ102は、図2を用いて説明したように、例えば、リーダ/ライタ10からの各種命令、または、制御部104からの命令に応じてサービス処理を行う。
【0035】
制御部104は、ICチップ102が処理したサービスデータを受け取り、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード150のカード内部メモリ152にサービスデータを記録する。また、制御部104は、ICカードから受け取ったサービスデータの属性に応じて、カード内部メモリ152のアクセス制限領域X内にサービスデータを記録することもできる。ここで、カード内部メモリ152のアクセス制限領域Xにアクセスするための暗号鍵などの情報は、例えば、制御部104が備える記憶手段に記憶することができる。ここで、制御部104が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、暗号鍵などの情報は、例えば、図2に示すROM122やRAM124、記録媒体126に記憶され、制御部104が適宜読み出すこともできる。
【0036】
また、制御部104は、SIMカード150のカード内部メモリ152に記憶されたサービスデータを読み出して、ICチップ102に伝達し、ICチップ102にサービスデータを処理させることができる。
【0037】
なお、制御部104は、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード150に付されたIMSI(固有の番号)に応じて、サービスデータの書き込み、および/または読み出しを制限する(いわゆるネガティブチェックを行う)こともできる。ここで、サービスデータの書き込み、および/または読み出しの制限に用いる情報は、例えば、データベース形式で記憶部(図示せず)に記憶することができるが、上記に限られないことは、言うまでもない。また、サービスデータの書き込み、および/または読み出しの制限に用いる情報は、操作部(図示せず)からの入力や、通信部108を介して外部装置から伝達されることによって、制御部104が追加、削除を行うことができる。
【0038】
上記のように、情報処理装置100は、制御部104を備えることによって、サービスデータをSIMカード150に記録し、また、SIMカード150に記録されたサービスデータをICチップ102に処理させることができる。したがって、情報処理装置100は、ICチップ102との間でサービス処理を行うリーダ/ライタ10に対して、ICチップを備える従来の情報処理装置と同様にサービス処理を行う装置として認識させることができる。よって、情報処理装置100と通信を行うリーダ/ライタ10は、情報処理装置100と通信を行うための新たな機能を有する必要はない。
【0039】
通信部108は、例えば、基地局を介して携帯電話、PC(Personal Computer)などの外部装置と通信を行う。また通信部108は、通信において、例えばIMEI(International Mobile Equipment Identity)と呼ばれる情報処理装置100固有の番号(例えば、情報処理装置100が備えるROM(図示せず)に記憶される。)および、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード150のIMSIを送信することもできる。
【0040】
[第1の実施形態に係るICチップ102と、SIMカード150のハードウェア構成例]
次に、ICチップ102が処理したサービスデータをどのようにしてSIMカードに記録するかをより明らかにするために、第1の実施形態に係るICチップ102と、SIMカード150のハードウェア構成例を示す。
【0041】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るICチップ102とSIMカード150とのハードウェア構成例を示す説明図である。なお、図3では、制御部104を示していないが、上述したように、SIMカード150へのサービスデータの書き込み(記録)と、SIMカード150からのサービスデータの読み出しおよびICチップ102への伝達とは、制御部104によって行われる。
【0042】
〔ICチップ102〕
ICチップ102は、無線通信アンテナ回路210と、MPU212と、ROM214と、RAM216と、暗号化回路218と、UART220(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)とを備え、各構成要素はチップ内部バス222で接続される。また、ICチップ102は、ICチップ102外の構成要素との間のインタフェースとしての役割を果たすUART220を介してICチップ102外のバス138と接続される。
【0043】
無線通信アンテナ回路210は、例えば、送受信アンテナとしての所定のインダクタンスをもつコイルおよび所定の静電容量をもつキャパシタからなる共振回路と、復調回路とを有し、リーダ/ライタ10から送信される搬送波を受信して、各種命令やサービスデータを復調する。また、無線通信アンテナ回路210は、例えば、負荷変調回路を備えて負荷変調を行い、リーダ/ライタ10からみたICチップ102のインピーダンスを変化させることによって、搬送波を介してリーダ/ライタ10と通信を行う。なお、図3では、無線通信アンテナ回路210がICチップ102の内部に備えられる構成を示しているが、本発明の第1の実施形態に係るICチップ102の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の第1の実施形態に係るICチップは、送受信アンテナをICチップの外部に備えることもできるし、送受信アンテナとICチップとを一体のパッケージとして備えることもできる。
【0044】
MPU212は、無線通信アンテナ回路210が復調した各種命令に応じてサービス処理を行う。そして、MPU212は、暗号化回路218に処理したサービスデータを暗号化させ、UART220を介してICチップ102外のバスへ伝達させる。
【0045】
ROM214は、MPU212が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶することができ、またRAM216は、MPU212により実行されるプログラムなどを一次記憶することができる。また、暗号化回路218は、例えば、暗号鍵を記憶し、当該暗号鍵を用いてサービスデータなどのデータの暗号化を行う。
【0046】
ICチップ102は、例えば、図3に示す構成によって、処理したサービスデータをICチップ102の外部の制御部104に伝達することができる。
【0047】
〔SIMカード150〕
SIMカード150は、ROM260と、不揮発性メモリ262と、UART264とを備え、各構成要素はカード内部バス266で接続される。また、SIMカード150は、SIMカード150の外部装置との間のインタフェースとしての役割を果たすUART264を介して情報処理装置100のスロット136(SIMカード収納部106)と接続される。
【0048】
ROM260は、SIMカード150を一意に識別する固有の番号であるIMSIを記憶する。不揮発性メモリ262は、カード内部メモリ152として機能し、サービスデータを記憶することができる。
【0049】
SIMカード150は、例えば、図3に示す構成によって、サービスデータなどのデータを記憶することができる。また、記憶されたサービスデータなどのデータは、情報処理装置100の制御部104により書き込まれ、情報処理装置100の制御部104により読み出される。
【0050】
[第1の実施形態に係るデータの書き込み方法]
次に、本発明の第1の実施形態に係るデータの書き込み方法について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るデータの書き込み方法の一例を示す流れ図である。
【0051】
情報処理装置100は、リーダ/ライタ10からのコマンド(命令)を受信したか否かを判定する(S100)。情報処理装置100は、例えば、ICチップ102の通信アンテナに電圧が励起したか否かでステップS100の判定を行うことができる。
【0052】
ステップS100においてリーダ/ライタ10からのコマンドを受信したと判定されない場合には、情報処理装置100は、リーダ/ライタ10からのコマンドが受信されるまで処理を進めない。
【0053】
また、ステップS100においてリーダ/ライタ10からのコマンドを受信したと判定された場合には、情報処理装置100は、リーダ/ライタ10からのコマンドを復号処理を行う(S102)。なお、ステップS102において復号される対象は、リーダ/ライタ10から送信される書き込み命令や読み出し命令などの各種コマンドに限られず、サービスデータなどのデータを含むことができる。
【0054】
ステップS102において復号処理が行われると、情報処理装置100は、コマンドに応じた処理(サービス処理)を行う(S104)。そして、情報処理装置100は、ステップS104における処理後のデータを暗号化する(S106)。ここで、ステップS100〜S106の処理は、例えば、情報処理装置100のICチップ102により行われる。
【0055】
なお、ステップS104において処理されるデータは、ステップS102において復号されたデータ(リーダ/ライタ10から送信されたデータ)に限られない。例えば、ステップS104において処理されるデータは、リーダ/ライタ10からの読み出し命令に応じて制御部104がSIMカード収納部106に収納されたSIMカード150から読み出しICチップ102に伝達したものであってもよい。
【0056】
ステップS106において処理後のデータが暗号化されると、情報処理装置100は、当該データをSIMカード収納部106に収納されたSIMカードのカード内部メモリ152に書き込む(S108)。そして、情報処理装置100は、ステップS108の書き込みが完了したか否かを判定する(S110)。ここで、ステップS110の判定は、例えば、書き込みトランザクション(transaction)が正常に完了したか否かで行うことができる。また、ステップS108、S110の処理は、例えば、情報処理装置100の制御部104により行われる。
【0057】
ステップS110において書き込みが完了したと判定されない場合には、情報処理装置100は処理を進めない。
【0058】
また、ステップS110において書き込みが完了したと判定された場合には、情報処理装置100は、リーダ/ライタ10へ処理結果を送信する(S112)。ここで、情報処理装置100では、制御部104がICチップ102に処理結果の送信を行わせることによって、ステップS112の処理が行われる。
【0059】
情報処理装置100は、図4に示すデータ書き込み方法を用いることによって、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード150にサービスデータを記憶させることができる。
【0060】
[第1の実施形態に係るデータの読み出し方法]
なお、図4では、本発明の第1の実施形態に係るデータの書き込み方法を示したが、本発明の第1の実施形態に係るデータの読み出し方法も同様にリーダ/ライタ10から送信されるコマンドに応じて行うことができる。具体的には、第1の実施形態に係るデータの読み出し方法は、例えば、図4のステップS100〜S104、およびステップS112を組み合わせることによって実現することができる。すなわち、情報処理装置100は、リーダ/ライタ10からのコマンドに応じてSIMカード150からデータを読み出して処理し、処理結果をリーダ/ライタ10へ送信する。なお、例えば、リーダ/ライタ10からデータの読み出し命令が送信された場合には、情報処理装置100は、上記処理結果としてSIMカード150から読み出したデータをリーダ/ライタ10へ送信することができることは、言うまでもない。
【0061】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100は、リーダ/ライタ10と通信を行うICチップ102と、SIMカード150を収納するSIMカード収納部106と、ICチップ102が処理したサービスデータをSIMカード150に記録する制御部104とを備える。ここで、SIMカード150は、情報処理装置100から抜き差しが可能なICカードであり、情報処理装置100から抜いたSIMカードを他の情報処理装置に差し込むことにより、当該他の情報処理装置でも動作する。したがって、情報処理装置100は、サービスデータをSIMカードに記憶させることによって、他の情報処理装置へのサービスデータの移動を簡単に行わせることができる。
【0062】
また、情報処理装置100が備える制御部104は、SIMカード150に記憶されたサービスデータを読み出してICチップ102に処理させることができる。したがって、情報処理装置100は、ICチップ102との間でサービス処理を行うリーダ/ライタ10に対して、ICチップを備える従来の情報処理装置と同様にサービス処理を行う装置として認識させることができる。
【0063】
本発明の第1の実施形態として情報処理装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られず、例えば、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)などの携帯型通信装置、SIMカードを搭載するPCなどのコンピュータに適用することができる。
【0064】
(第1の実施形態に係るプログラム)
第1の実施形態に係る情報処理装置100をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、サービスデータをSIMカードに記憶させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に係る情報処理装置100では、ICチップ102がサービス処理およびデータの暗号化を行い、処理後のデータを制御部104がSIMカード150に記録する構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、上記の構成に限られない。そこで、次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置について説明する。なお、第2の実施形態に係る情報処理装置が備えるICチップは、リーダ/ライタ10と搬送波を用いて非接触式に通信を行うことができるが、かかる構成に限られず、接触式に通信を行うこともできる。以下では、本発明の実施形態の一例として、第2の実施形態に係る情報処理装置のICチップとリーダ/ライタ10とが、搬送波を用いて非接触式に通信を行う構成について説明する。
【0066】
第2の実施形態に係る情報処理装置(図示せず。以下、「情報処理装置200」という。)は、上述した第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様の構成をとることができ、ICチップ202と、制御部204と、SIMカード収納部106と、通信部108とを備える。ここで、情報処理装置200が備えるSIMカード収納部106および通信部108は、第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様の構成、機能を有することができる。また、情報処理装置200は、第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様に、例えば、図2に示すハードウェア構成をとる。
【0067】
また、情報処理装置200は、サービスデータを記憶可能なカード内部メモリ152を備えるSIMカード250を内部に格納することができるが、SIMカード250の構成、機能は、第1の実施形態に係る情報処理装置100に格納されたSIMカード150と異なる。SIMカード250の構成については後述する。
【0068】
ICチップ202は、リーダ/ライタ10との通信に係る部を集積回路にて実現したものであり、耐タンパ性を有することができる。ここで、第1の実施形態に係るICチップ102がサービス処理を行う構成であったのに対して、ICチップ202は、サービス処理を行わず、データの復調や負荷変調による応答などリーダ/ライタ10との通信を行う役割を果たす。
【0069】
制御部204は、ICチップ102が復調したサービスデータを受け取り、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード250にサービスデータを伝達し、SIMカード250にサービスデータを記録させる。つまり、第1の実施形態に係る制御部104がSIMカード150にサービスデータを記録したのに対して、制御部204は、SIMカード250にサービスデータを記録させる点が異なる。
【0070】
また、制御部204は、SIMカード250に記憶されたサービスデータを読み出してICチップ202に伝達し、リーダ/ライタ10に送信させることもできる。
【0071】
以下、第2の実施形態に係るICチップ202の構成およびSIMカード250の構成について説明する。
【0072】
[第2の実施形態に係るICチップ202と、SIMカード250のハードウェア構成例]
図5は、第2の実施形態に係るICチップ202と、SIMカード250のハードウェア構成例を示す説明図である。なお、図5では、制御部204を示していないが、上述したように、SIMカード250におけるサービスデータの記録は制御部204により制御され、また、SIMカード250からのサービスデータの読み出しおよびICチップ202への伝達とは、制御部204によって行われる。
【0073】
〔ICチップ202〕
ICチップ202は、無線通信アンテナ回路210と、UART220とを備え、各構成要素はチップ内部バス222で接続される。また、ICチップ202は、UART220を介してICチップ202外のバス138と接続される。
【0074】
無線通信アンテナ回路210は、図3に示す第1の実施形態に係る無線通信アンテナ回路210と同様に、例えば、共振回路、復調回路、および負荷変調回路とを有する。なお、図3では、無線通信アンテナ回路210がICチップ202の内部に備えられる構成を示しているが、本発明の第2の実施形態に係るICチップ202の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の第2の実施形態に係るICチップは、共振回路を構成する送受信アンテナをICチップの外部に備えることもできるし、送受信アンテナとICチップとを一体のパッケージとして備えることもできる。
【0075】
ICチップ202は、例えば、図5に示す構成によって、復調したサービスデータやコマンドなどをICチップ202の外部の制御部104に伝達することができる。
【0076】
〔SIMカード250〕
SIMカード250は、ROM260と、不揮発性メモリ262と、UART264と、MPU268と、RAM270と、暗号化回路272とを備え、各構成要素はカード内部バス266で接続される。また、SIMカード250は、UART264を介して情報処理装置200のスロット136(SIMカード収納部106)と接続される。
【0077】
SIMカード250が備えるROM260、不揮発性メモリ262、およびUART264は、図3に示す第1の実施形態に係るSIMカード150と同様の構成、機能を有することができる。また、ROM260は、MPU268が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶することができる。
【0078】
MPU268は、情報処理装置200の制御部104からの命令に応じて、制御部104から伝達されるサービスデータなどのデータを不揮発性メモリ262(カード内部メモリ152)に記録する。そして、記録が完了すると(または、記録が失敗すると)、MPU268は、処理結果をUART264を介して情報処理装置200の制御部104に伝達する。
【0079】
また、MPU268は、情報処理装置200の制御部104からの命令に応じて、不揮発性メモリ262(カード内部メモリ152)に記憶されたサービスデータを読み出し、UART264を介して情報処理装置200の制御部104に伝達する。
【0080】
RAM270は、MPU268により実行されるプログラムなどを一次記憶する。また、暗号化回路272は、例えば、暗号鍵を記憶し、当該暗号鍵を用いてサービスデータなどのデータの暗号化を行う。
【0081】
SIMカード250は、例えば、図5に示す構成によって、サービスデータなどのデータを記憶することができる。また、記憶されたサービスデータなどのデータは、情報処理装置200の制御部204の命令に応じてSIMカード250が不揮発性メモリ262(カード内部メモリ152)に記録し、情報処理装置200の制御部204の命令に応じてSIMカード250が読み出すことができる。
【0082】
[第2の実施形態に係るデータの書き込み方法]
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータの書き込み方法について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るデータの書き込み方法の一例を示す流れ図である。
【0083】
情報処理装置200は、第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様に、リーダ/ライタ10からのコマンドを受信したか否かを判定する(S200)。
【0084】
ステップS200においてリーダ/ライタ10からのコマンドを受信したと判定されない場合には、情報処理装置200は、リーダ/ライタ10からのコマンドが受信されるまで処理を進めない。
【0085】
また、ステップS200においてリーダ/ライタ10からのコマンドを受信したと判定された場合には、情報処理装置200は、第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様に、リーダ/ライタ10からのコマンドを復号処理を行う(S202)。なお、ステップS202において復号される対象は、リーダ/ライタ10から送信される書き込み命令や読み出し命令などの各種コマンドに限られず、サービスデータなどのデータを含むことができる。また、ステップS200、S202の処理は、例えば、情報処理装置200のICチップ202により行われる。
【0086】
ステップS202において復調が行われると、情報処理装置200は、復調された書き込み命令に応じて復調されたデータをSIMカード250に書き込ませる(S204)。ここで、ステップS204の処理は、例えば、情報処理装置200の制御部204がSIMカード250に対して復調したデータと書き込み命令を伝達することによって行われる。また、制御部204は、さらにデータを記録するアドレスを指定することもできる。
【0087】
なお、図6では、リーダ/ライタ10から書き込み命令および書き込むデータ(サービスデータ)が送信され、情報処理装置200が、ステップS204において復調された書き込み命令およびデータに応じてSIMカード250にデータを書き込ませる例を示しているが、上記に限られない。例えば、リーダ/ライタ10からサービスデータの読み出し命令が送信された場合には、情報処理装置200は、ステップS204において復調された読み出し命令に応じてSIMカード250からデータを読み出させることもできる。
【0088】
ステップS204において復調されたデータをSIMカード250に書き込ませると、情報処理装置200は、SIMカード250から処理結果が送信されたか否かを判定する(S206)。ここで、ステップS206においてSIMカード250から処理結果が送信されない場合には、情報処理装置200は処理を進めない。なお、情報処理装置200は、所定の時間経過してもSIMカード250から処理結果が送信されない場合には、再度ステップS204の処理を繰り返すことができ、または、次ステップに移行することもできる。
【0089】
ステップS206においてSIMカード250から処理結果が送信された場合には、情報処理装置200は、リーダ/ライタ10へ処理結果を送信する(S208)。ここで、情報処理装置200は、制御部204がICチップ202に処理結果の送信を行わせることによって、ステップS208の処理を行うことができる。
【0090】
情報処理装置200は、図6に示すデータ書き込み方法を用いることによって、SIMカード収納部106に収納されたSIMカード250にデータを記憶させることができる。
【0091】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置200は、リーダ/ライタ10と通信を行うICチップ202と、SIMカード250を収納するSIMカード収納部106と、ICチップ202が復調したサービスデータをSIMカード250に記録させる制御部204とを備える。ここで、情報処理装置200は、制御部204がICチップ202が復調したデータをSIMカード250に記録させる(すなわち、データの書き込みは、SIMカード250が行う)点が、第1の実施形態に係る情報処理装置100と異なるが、SIMカード250にはサービスデータなどのデータが記憶される。ここで、SIMカード250は、情報処理装置200から抜き差しが可能なICカードであり、情報処理装置200から抜いたSIMカードを他の情報処理装置に差し込むことにより、当該他の情報処理装置でも動作する。したがって、情報処理装置200は、サービスデータをSIMカードに記憶させることによって、他の情報処理装置へのサービスデータの移動を簡単に行わせることができる。
【0092】
また、情報処理装置200が備える制御部204は、SIMカード250に記憶されたサービスデータをSIMカード250に読み出させ、読み出させたサービスデータをICチップ202に送信させることができる。したがって、情報処理装置200は、ICチップ202との間でサービス処理を行うリーダ/ライタ10に対して、ICチップを備える従来の情報処理装置と同様にサービス処理を行う装置として認識させることができる。
【0093】
[第2の実施形態に係る情報処理装置の変形例]
上記では、第2の実施形態に係る情報処理装置として、例えば、図5に示すようにリーダ/ライタ10との通信を行う無線通信アンテナ回路210およびUART220で構成されるICチップ202を備える構成を示した。しかしながら、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置は、ICチップを備える構成に限られない。例えば、第2の実施形態の変形例に係る情報処理装置は、無線通信アンテナ回路をICチップの形態では備えないこともできる。上記の構成であっても、第2の実施形態の変形例に係る情報処理装置は、リーダ/ライタ10と通信を行いデータやコマンドを復調することができるので、上述した第2の実施形態に係る情報処理装置200と同様の効果を奏することができる。
【0094】
本発明の第2の実施形態として情報処理装置200を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られず、例えば、携帯電話やPHSなどの携帯型通信装置、SIMカードを搭載するPCなどのコンピュータに適用することができる。
【0095】
(第2の実施形態に係るプログラム)
第2の実施形態に係る情報処理装置200をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、サービスデータをSIMカードに記憶させることができる。
【0096】
(第3の実施形態)
上述した第1、第2の実施形態に係る情報処理装置では、情報処理装置が備えるICチップがリーダ/ライタと通信を行い、当該通信に係るデータを格納しているSIMカードに記録する(または、記録させる)構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態は、上記に限られず、情報処理装置に格納されたSIMカードが自らリーダ/ライタと通信を行い、サービスデータなどのデータを記憶することもできる。そこで、次に本発明の第3の実施形態として、SIMカードが自らリーダ/ライタと通信を行う構成について説明する。
【0097】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置300を示すブロック図である。図7を参照すると、情報処理装置300は、制御部302と、SIMカード収納部106と、通信部108とを備える。また、情報処理装置300は、制御部302が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(図示せず)、制御部302により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、表示部(図示せず)、記憶部(図示せず)などを備えてもよい。
【0098】
制御部302は、例えば、MPUなどで構成され、ROM(図示せず)に記憶された制御プログラムを実行して情報処理装置300全体を制御し、また、記憶部(図示せず)に記憶されたアプリケーションを実行して様々な機能を実現することができる。
【0099】
SIMカード収納部106および通信部108は、図1に示す第1の実施形態に係る情報処理装置100と同様の構成、機能を有することができる。
【0100】
また、情報処理装置300は、SIMカード収納部106を備えることにより、SIMカード350を内部に格納することができる。以下、SIMカード350について説明する。
【0101】
[SIMカード350]
SIMカード350は、サービスデータを記憶可能なカード内部メモリ152と、カード内通信部352と、メモリ管理部354とを備える。ここで、SIMカード350には、図1に示す第1の実施形態に係るSIMカード150と同様に、IMSI(固有の番号)が付され、情報処理装置300はSIMカード350を一意に識別することができる。
【0102】
カード内部メモリ152は、図1に示す第1の実施形態に係るSIMカード150が備えるカード内部メモリ152と同様に、サービスデータを記憶することができる。また、カード内部メモリ152はアクセス制限領域Xを有することができる。図7では、カード内部メモリ152にサービスデータA160、サービスデータB162、サービスデータC164が記憶され、そのうち、サービスデータA160、サービスデータC164がアクセス制限領域Xに記憶されている例を示している。
【0103】
カード内通信部352は、例えば、搬送波を用いてリーダ/ライタ10と非接触式に通信を行い、リーダ/ライタ10から送信されるコマンドやデータの復調や、応答を行う。なお、カード内通信部352は、リーダ/ライタ10と接触式に通信を行うこともできる。以下では、カード内通信部352がリーダ/ライタ10と非接触式に通信を行う構成を例に挙げて説明する。
【0104】
メモリ管理部354は、カード内通信部352が復調したデータやコマンドに基づいて、サービス処理を行い、処理後のサービスデータなどのデータをカード内部メモリ152に記録する。また、メモリ管理部354は、カード内部メモリ152に記憶されたサービスデータを読み出して処理し、カード内通信部352を用いて処理結果をリーダ/ライタ10に送信させることもできる。ここで、上記処理結果には、処理後のサービスデータを含むことができる。
【0105】
SIMカード350は、図7に示す構成により、リーダ/ライタ10と自ら通信を行い、カード内部メモリ152にサービスデータなどのデータを記憶することができる。次に、SIMカード350のハードウェア構成について説明する。
【0106】
〔SIMカード350のハードウェア構成〕
図8は、本発明の第3の実施形態に係るSIMカード350のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0107】
図8を参照すると、SIMカード350は、無線通信アンテナ回路360と、MPU362と、ROM260と、不揮発性メモリ262と、UART264と、RAM270と、暗号化回路272とを備え、各構成要素はカード内部バス266で接続される。また、SIMカード350は、UART264を介して情報処理装置300のスロット136(SIMカード収納部106)と接続される。
【0108】
無線通信アンテナ回路360は、例えば、送受信アンテナとしての所定のインダクタンスをもつコイルおよび所定の静電容量をもつキャパシタからなる共振回路と、復調回路とを有し、リーダ/ライタ10から送信される搬送波を受信して、各種命令やサービスデータを復調する。また、無線通信アンテナ回路360は、例えば、負荷変調回路を備えて負荷変調を行い、リーダ/ライタ10からみたSIMカード350のインピーダンスを変化させることによって、搬送波を介してリーダ/ライタ10と通信を行う。なお、図8では、無線通信アンテナ回路360がSIMカード350の内部に備えられる構成を示しているが、本発明の第3の実施形態に係るSIMカード350の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の第3の実施形態に係るSIMカードは、送受信アンテナをSIMカードの外部に備えることもできるし、送受信アンテナとSIMカードとを一体のパッケージとして備えることもできる。
【0109】
MPU362は、無線通信アンテナ回路360が復調した各種命令に応じてサービス処理を行う。そして、MPU362は、暗号化回路272に処理したサービスデータを暗号化させ、不揮発性メモリ262に記録する。なお、MPU362が、処理したサービスデータを暗号化させずに不揮発性メモリ262に記録することができることは、言うまでもない。
【0110】
ROM260は、SIMカード350を一意に識別する固有の番号であるIMSI、およびMPU362が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。またRAM270は、MPU362により実行されるプログラムなどを一次記憶する。また、暗号化回路272は、例えば、暗号鍵を記憶し、当該暗号鍵を用いてサービスデータなどのデータの暗号化を行う。
【0111】
以上のように、第3の実施形態に係る情報処理装置300は、SIMカード収納部106を備え、リーダ/ライタ10と通信を行いサービスデータなどのデータを自ら記憶するSIMカード350を内部に格納する。ここで、SIMカード350は、情報処理装置300から抜き差しが可能なICカードであり、情報処理装置300から抜いたSIMカードを他の情報処理装置に差し込むことにより、当該他の情報処理装置でも動作する。したがって、情報処理装置300は、リーダ/ライタ10と通信を行いサービスデータなどのデータを自ら記憶するSIMカード350を内部に格納することにより、他の情報処理装置へのデータの移動を簡単に行わせることができる。
【0112】
また、情報処理装置300に格納されるSIMカード350はリーダ/ライタ10と通信を行うことができるので、情報処理装置300は、リーダ/ライタ10に対して、ICチップを備える従来の情報処理装置と同様にサービス処理を行う装置として認識させることができる。
【0113】
本発明の第3の実施形態として情報処理装置300を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られず、例えば、携帯電話やPHSなどの携帯型通信装置、SIMカードを搭載するPCなどのコンピュータに適用することができる。
【0114】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るICチップとSIMカードとのハードウェア構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るデータの書き込み方法の一例を示す流れ図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るICチップとSIMカードとのハードウェア構成例を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るデータの書き込み方法の一例を示す流れ図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るSIMカードのハードウェア構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0116】
10 リーダ/ライタ
100、200、300 情報処理装置
102、202 ICチップ
104、204、302 制御部
106 SIMカード収納部
108 通信部
150、250、350 SIMカード
152 カード内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ/ライタと接触式/非接触式に通信し、前記リーダ/ライタを介して提供されるサービスに対応するサービスデータを処理するICチップと;
情報を記憶するカード内部メモリを備え加入者を識別する固有の番号が付されたSIMカードを収納するSIMカード収納部と;
前記リーダ/ライタとの通信において前記ICチップが処理したサービスデータを前記SIMカードの前記カード内部メモリに記録し、前記SIMカードの前記カード内部メモリに記憶されたサービスデータを読み出して前記ICチップに処理させる制御部と;
を備えることを特徴とする、情報処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−110203(P2009−110203A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280885(P2007−280885)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】