説明

情報処理装置、その制御方法及びプログラム

【課題】情報処理装置において生産計画を立案する場合に、複数の作業が存在する工程で使用する中間品の納期において、中間品の滞留を低減することの可能な情報処理装置、その制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】複数作業が存在する工程において必要な中間品を記憶しておき、当該中間品の納期を当該中間品が投入されるべき作業の開始日時に設定する。また、当該中間品を作成する機器の能力値を考慮する。このようにすることで、必要な中間品を必要なタイミングで投入することができ、無駄な在庫滞留を発生させない効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画を立案する場合に、中間品の在庫滞留時間を低減することの可能な情報処理装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、受注情報や需要予測や販売計画からの需要を満足するために、工場での製品の生産計画、またその製品に必要となる中間品の生産計画を立案している。特にお客様の納期を守ることが重要であるので、在庫切れや納期遅れのないような適切な生産計画を立てることが必要となっている。
【0003】
従来の生産計画システム(一般にMRPと呼ばれる)では、製品の納期から製品の製造リードタイムを引いた製造開始時点に中間品の納期を与えて計画するのが一般的である。例えば、お客様に納品する最終的な製品の生産計画を立てる場合には、当該最終的な製品の組み立てを行う組立工程と、組み立てる中間品の加工工程や成形工程の作業日時を考慮する必要がある。つまり、お客様の納期に間に合うように組立工程の作業完了日時を計画し、更に組立工程までに中間品をそろえるべく、加工工程や成形工程の計画を立てている。特に中間品の製造においては、材料手配や段取り最小化などの効率を考慮して生産計画が実施されることが多い。
【0004】
このような生産計画において、下記の特許文献1では、複数の資材または中間製品を組み立てながら、複数の生産工程を経て生産を行う生産形態において、各生産工程で発生する負荷と、その工程で必要な資材の所要量とを同時に調整することで、精度の高い生産計画を立案する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−271859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の製造においては、製品の製造開始から一定時間(設備等の段取り作業の終了後や、製品製造工程での途中作業に中間品を投入など)を経てから中間品の投入を行うことが多く、従来の生産計画システムにおける制約事項により、在庫滞留を招いている一面もある。
【0007】
例えば、従来の生産計画システムを利用することで図15に示すような生産計画が立てられたとする。この生産計画では、加工工程でできあがる中間品と、成形工程でできあがる中間品の2つを組立工程までに作成する計画となっている。しかし、加工工程でできあがる中間品を組立工程で使用するのは、組立工程の製品組立作業のときであるため、1日の滞留在庫となってしまう。また、成形工程において、使用する設備が複数あり、且つその設備能力が異なる場合、能力の低い設備で計画するため、実際に能力が高い設備で製造した場合、1日の滞留在庫となってしまう。
【0008】
このように、組立工程に入る前に組立工程で必要な中間品をすべてそろえてしまうと、当該中間品が使用されるまで滞留在庫となってしまう問題がある。また、設備使用状況を加味しないと、当該中間品が使用されるまでに滞留在庫となってしまう問題がある。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、生産計画を立案する場合に、中間品の在庫滞留時間を低減することの可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の情報処理装置は、製品の生産計画の管理を行う情報処理装置であって、製品を生産するための作業項目と、当該作業項目にかかる日数を示す作業リードタイムと、当該作業項目で必要となる中間品とを対応づけて記憶する記憶手段と、ユーザからの生産依頼に基づいて、前記製品の納期を設定する納期設定手段と、前記納期設定手段によって設定された納期と、前記記憶手段に記憶された作業項目と、作業リードタイムとに基づいて、前記中間品の納期を決定する中間品納期決定手段とを備え、前記中間品納期決定手段は、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、生産計画を立案する際に、中間品の納期を当該中間品の投入タイミングに設定するので、中間品の在庫滞留時間を低減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における生産計画システム100の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示すクライアント端末101及び生産管理サーバ102の内部のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示すクライアント端末101及び生産管理サーバ102のモジュール構成の一例を示す模式図である。
【図4】図1に示すクライアント端末101及び生産管理サーバ102による制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】生産所要量展開画面500の一例を示す模式図である。
【図6】図3のマスタテーブル記憶部に記憶された品目サイトマスタテーブル600、必要資材マスタテーブル610、及び工程手順マスタテーブル620の一例を示す模式図である。
【図7】図3のテーブル記憶部に記憶された生産依頼テーブル700、製造オーダテーブル710、及び引当情報テーブル720の一例を示す模式図である。
【図8】生産計画表示画面800の一例を示す模式図である。
【図9】独立所要オーダ作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施例における独立所要オーダ作成処理及び従属所要オーダ作成処理の一例を示す模式図である。
【図11】従属所要オーダ作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】子品目製造オーダ作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】本実施例における部品構成イメージと工程イメージの一例を示す模式図である。
【図14】本実施例における工程間の時間関係を示した模式図である。
【図15】従来技術における工程間の時間関係を示した模式図である。
【図16】図3のマスタテーブル記憶部に記憶された品目サイトマスタテーブル600、必要資材マスタテーブル610、及び品目資源マスタテーブル630の一例を示す模式図である。
【図17】設備使用状況を加味した従属所要オーダ作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】設備使用状況を加味した子品目製造オーダ作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図19】従来技術における工程間の時間関係を示した模式図である。
【図20】本実施例における工程間の時間関係を示した模式図である。
【図21】生産計画表示画面800の一例を示す模式図である。
【図22】本実施例における独立所要オーダ作成処理、従属所要オーダ作成処理、及びスケジューラによる有限能力計算結果の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る生産計画システム100の構成の一例を示す構成図である。生産計画システム100は、クライアント端末101及び生産管理サーバ102(情報処理装置)から構成されており、クライアント端末101及び生産管理サーバ102はLAN(Local Area Network)103を介して通信可能に接続されている。
【0015】
図1のネットワーク上に接続される各種端末あるいはサーバの構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。本実施例では、クライアント端末101と生産管理サーバ102がLAN103を介して通信可能に接続される構成となっているが、クライアント端末101が生産管理サーバ102の機能を含み、クライアント端末101のみで動作する仕組みであってもよいし、生産管理サーバ102のみでもよい。また、LAN103は、クライアント端末101と生産管理サーバ102の通信が可能となれば、他の通信形態でもよい。
【0016】
クライアント端末101は、ユーザからの操作に応じて生産計画の立案を生産管理サーバに命じ、当該生産計画を受信して表示する装置である。クライアント端末101には、生産計画の立案を命じるためのプログラムがインストールされており、当該プログラムの処理によって、生産管理サーバ102と通信することで動作する。
【0017】
生産管理サーバ102は、クライアント端末101からの生産計画の立案要求に応じて、生産計画を立案し、クライアント端末101に送信する装置である。
【0018】
次に、クライアント端末101及び生産管理サーバ102のハードウェア構成の一例について図2を用いて説明する。
【0019】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input /
Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各装置の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0020】
RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0021】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。尚、タッチパネルを備えた装置では、後述するCRTディスプレイ(CRT)210上に入力C205が備えられており、CRT210上に触れることで各種操作を行うことができる。ビデオコントローラ(VC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイでも構わない。
【0022】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるCFメモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0023】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0024】
本発明を実現するためのクライアント端末101及び生産管理サーバ102において実行される各種プログラムは外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、本発明に係わる前記プログラムが用いるクライアント端末101及び生産管理サーバ102上の定義ファイル及び各種情報テーブルは外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明は後述する。
【0025】
次に、クライアント端末101及び生産管理サーバ102のモジュール構成を示す機能構成図について、図3を用いて説明する。尚、図3の各種端末あるいはサーバのモジュール構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。例えば、クライアント端末101のみで構成される場合には、下記に示す生産管理サーバ102の各種モジュール構成はクライアント端末101が含む。また、生産管理サーバ102のみで構成される場合には、下記に示す生産管理サーバ102の各種モジュール構成は生産管理サーバ102が含む。
【0026】
クライアント端末101は、画面表示部301、及び送受信部302を備える。
【0027】
画面表示部301は、各種画面をクライアント端末101のCRT210に表示させるためのモジュールである。
【0028】
送受信部302は、LAN103を介して生産管理サーバ102と各種情報を送受信するためのモジュールである。
【0029】
生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311(記憶手段)、テーブル記憶部312(記憶手段)、生産所要量展開部313、独立所要オーダ作成部314、及び従属所要オーダ作成部315を備える。また、マスタテーブル記憶部311には、品目サイトマスタテーブル600、必要資材マスタテーブル610、及び工程手順マスタテーブル620が記憶されている。また、テーブル記憶部312は、生産依頼テーブル700、製造オーダテーブル710、及び引当情報テーブル720を備える。
【0030】
ここで、本実施形態においては、図3のマスタテーブル記憶部311及びテーブル記憶部312が、例えば図2に示す外部メモリ211に構成される(一旦、RAM203に構成された後に外部メモリ211に構成される場合も含む)。
【0031】
図6を参照して、マスタテーブル記憶部311に記憶された各種テーブルの一例について説明する。
【0032】
まず、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される品目サイトマスタテーブル600(図6参照)について説明する。品目サイトマスタテーブル600は、品目601、品目種別602、工程603、及び標準製造LT604から構成される。品目601は、製品の製品名を示すデータである。品目種別602は、品目601の種別(製品、中間品、原材料)を示すデータである。工程603は、当該品目を組み立てる工程を示すデータである。標準製造LT604は、当該品目601の組み立てにかかる日数を示すデータである。
【0033】
次に、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される必要資材マスタテーブル610(図6参照)について説明する。必要資材マスタテーブル610は、親品目611、子品目612、子品目投入タイミング613、及び必要量614から構成される。親品目611は、子品目612によって構成される品目を示すデータである。子品目612は、親品目611を構成する品目を示すデータである。子品目投入タイミング613は、親品目611を組み立てるために子品目612をいつの作業で投入すべきかを示すデータである。必要量614は、親品目611を1つ生産するために必要な子品目612の量を示すデータである。
【0034】
次に、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される工程手順マスタテーブル620(図6参照)について説明する。工程手順マスタテーブル620は、親品目621、作業項目622、工順623、及び作業LT624から構成される。親品目621は、必要資材マスタテーブル610の親品目611に対応するデータである。作業項目622は、当該親品目621を構成するために必要な作業を示すデータである。工順623は、親品目621に対して複数の作業項目622が存在する場合に、作業の順序を示すデータである。作業LT624は、当該作業項目622にかかる作業時間を示すデータである。
【0035】
以上がマスタテーブル記憶部311に記憶された各種テーブル構成の一例の説明である。テーブルの構成はこれに限らない。
【0036】
次に、図7を参照して、テーブル記憶部312に記憶された各種テーブルの一例について説明する。
【0037】
まず、図3のテーブル記憶部312に記憶される生産依頼テーブル700(図7参照)について説明する。生産依頼テーブル700は、依頼No701、依頼品目702、依頼納期703、及び依頼数量704から構成される。依頼No701は、生産依頼ごとに一意に割り振られる番号である。依頼品目702は、生産の依頼があった製品の品目601を示すデータである。依頼納期703は、生産する製品の納期を示すデータである。依頼数量704は、生産する製品の数量を示すデータである。
【0038】
次に、図3のテーブル記憶部312に記憶される製造オーダテーブル710(図7参照)について説明する。製造オーダテーブル710は、オーダNo711、品目712、オーダ最遅終了日時713、オーダ最早開始日時714、オーダ数量715、及びオーダ区分716から構成される。オーダNo711は、製造オーダごとに一意に割り振られる番号である。品目712は、製造する品目601を示すデータである。オーダ最遅終了日時713は、当該品目712が遅くとも生産完了している必要のある日時を示すデータである。オーダ最早開始日時714は、当該品目712が遅くとも生産開始する必要のある日時を示すデータである。オーダ数量715は、品目712を生産する量を示すデータである。オーダ区分716は、品目712のオーダ区分を示すデータである。具体的には「独立所要」と「従属所要」があり、「独立所要」は中間品を元に組み立てられるオーダであることを示し、「従属所要」は当該中間品のオーダであることを示す。
【0039】
次に、図3のテーブル記憶部312に記憶される引当情報テーブル720(図7参照)について説明する。引当情報テーブル720は、引当元No721、引当先No722、及び引当数量723から構成される。引当元No721、引当先No722は、それぞれ引当先と引当元を示すデータである。引当数量723は、引き当てる在庫の数量を示すデータである。
【0040】
以上がテーブル記憶部312に記憶された各種テーブル構成の一例の説明である。テーブルの構成はこれに限らない。
【0041】
生産管理サーバ102のモジュール構成の説明に戻る。
【0042】
生産所要量展開部313は、クライアント端末101からの指示に応じて、マスタテーブル記憶部311やテーブル記憶部312に記憶された各種データを用いて、生産計画を立てるモジュールである。
【0043】
独立所要オーダ作成部314は、生産所要量展開部313からの指示に応じて処理を行い、中間品を組み合わせることによって生産する組立工程の生産計画(独立所要オーダ)を立てるためのモジュールである。
【0044】
従属所要オーダ作成部315は、生産所要量展開部313からの指示に応じて処理を行い、中間品を生産するための加工工程や成形工程の生産計画(従属所要オーダ)を立てるためのモジュールである。
【0045】
次に、生産計画システム100によって実行される生産計画の処理手順について説明する。図4は、図1に示す生産計画システム100による生産計画の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0046】
ステップS101では、クライアント端末101は、生産管理サーバ102に対して生産依頼情報の取得要求を送信する。
【0047】
ステップS102では、生産管理サーバ102は、クライアント端末101から送信された生産依頼情報の取得要求を受信し、ステップS103では、テーブル記憶部312に記憶された生産依頼テーブル700のレコード(生産依頼情報)をすべて取得する。ステップS104では、取得した生産依頼情報をクライアント端末101に送信する。
【0048】
ステップS105では、クライアント端末101は、生産管理サーバ102から送信された生産依頼情報を受信し、ステップS106では、クライアント端末101は、受信した生産依頼情報を元に生産所要量展開画面500(図5参照)を表示し、ユーザからの入力を受け付ける。生産所要量展開画面500には、受信した生産依頼情報を表示し、生産所要量を展開したい生産依頼を選択することで、当該生産依頼の生産計画を立てることができる。
【0049】
ステップS107では、クライアント端末101は、生産所要量を展開する生産依頼が選択され、生産所要量展開画面500に備えられた実行ボタン501が押下されたか否かを判定する。実行ボタン501が押下されたと判定した場合には、ステップS108に処理を進め、実行ボタン501が押下されたと判定できない場合には、実行ボタン501が押下されるまで待機する。
【0050】
ステップS108では、クライアント端末101は、選択された生産依頼を取得し、当該生産依頼の生産所要量の展開要求を生産管理サーバ102に送信する。
【0051】
ステップS109では、生産管理サーバ102は、クライアント端末101から送信された選択された生産依頼の生産所要量の展開要求を受信すると、ステップS110では、親品目の組み立てを行う工程の生産計画である独立所要オーダ作成処理を実行する。独立所要オーダ作成処理の詳細は、図9を用いて後述する。
【0052】
ステップS111では、生産管理サーバ102は、子品目の組み立てを行う工程の生産計画である従属所要オーダ作成処理を実行する。従属所要オーダ作成処理の詳細は、図11を用いて後述する。
【0053】
ステップS112では、生産管理サーバ102は、展開された生産計画情報をクライアント端末101に送信する。具体的には、独立所要オーダ作成処理及び従属所要オーダ作成処理によって生成された製造オーダテーブル710と、品目サイトマスタテーブル600及び必要資材マスタテーブル610を元に生産計画情報を作成して、クライアント端末101に送信する。
【0054】
ステップS113では、クライアント端末101は、生産管理サーバ102から送信された生産計画情報を受信し、ステップS114では、受信した生産計画情報を元に生産計画表示画面800(図8参照)を表示する。以上が、本一連の処理の流れの説明である。
【0055】
次に、生産管理サーバ102によって実行される独立所要オーダ作成処理の処理手順について説明する。図9は、図1に示す生産管理サーバ102によって実行される独立所要オーダ作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0056】
まず、本実施例の製品構成と工程の構成について説明する。図13の部品構成イメージ1300は、本実施例の製品構成を示す模式図である。本実施例における製品AAAは、中間品BBBを1つ、中間品CCCを2つ、更に原材料FFFを5つ使用して組み立てられる製品であることを示している。また、中間品BBBは、原材料DDDを3つ使用して加工される製品であることを示し、中間品CCCは、原材料EEEを4つ使用して成形される製品であることを示している。つまり、製品AAAを作成するには、原材料DDDを3つ使用して中間品BBBを1つ作成し、原材料EEEを8つ使用して中間品CCCを2つ作成する。更に、作成した中間品BBB1つと、作成した中間品CCC2つと、原材料FFF5つを使用して製品AAAを1つ作成する。本実施例ではこのような製品の構成を元に説明を行う。もちろん、製品の構成はこれに限らない。
【0057】
また、本実施例における製品AAAを作成するための工程を図13の工程イメージ1301に示す。製品AAAを作成するための工程を組立工程とする。組立工程は2つの作業に分かれており、中間品CCCと原材料FFFを用いて作業を行うサブ組立作業と、サブ組立作業で組み立てられたものと、中間品BBBを用いて作業を行う製品組立作業から構成されている。サブ組立作業と部品組立作業の作業リードタイム(作業LT)はそれぞれ1日なので、組立工程の製造リードタイム(製造LT)は2日である。また、成形工程によって、原材料EEEを成形作業で成形することで中間品CCCを作成する。成形作業の作業LTは4日のため、成形工程の製造LTは4日である。更に、加工工程によって原材料DDDを加工作業で加工することで中間品BBBを作成する。加工作業の作業LTは3日のため、加工工程の製造LTは3日である。本実施例ではこのような工程の構成を元に説明を行う。もちろん、工程の構成はこれに限らない。
【0058】
ステップS201では、生産管理サーバ102は、ステップS109において受信した生産依頼情報からテーブル記憶部312に記憶された生産依頼テーブル700に対応する生産依頼情報を取得する。本実施例では、生産所要量展開画面500で依頼Noが「REC0001」の生産依頼が選択されたので、生産依頼テーブル700の依頼No701が「REC0001」である生産依頼情報を取得する。具体的には、図10のイメージ1000に示す通りとなる。
【0059】
ステップS202では、生産管理サーバ102は、テーブル記憶部312に記憶された製造オーダテーブル710に生産依頼情報を元に新しくオーダ情報を追加する。具体的には、図10のイメージ1001に示す通り、生産依頼情報の依頼品目702に関する製造オーダを新たに作成する。製造オーダテーブル710に新しくレコードを追加し、オーダNo711を新たに割り振り、品目712に依頼品目702を格納する。またオーダ数量715に依頼数量704を格納し、オーダ区分に「独立所要」と格納する。オーダ最遅終了日時713とオーダ最早開始日時714にはこの時点では何も格納しない。
【0060】
ステップS203では、生産管理サーバ102は、組立工程を行う工場の稼働日と終了時刻から、オーダ最遅終了日時713を算出する(納期設定手段)。具体的には、依頼納期以前の直近の稼働日と当該稼働日の終了時刻を元にオーダ最遅終了日時713を算出する。つまり、依頼納期の日時に最も近い稼働日で、当該稼働日の終了時刻をオーダ最遅終了日時713にする。独立所要オーダのオーダ最遅終了日時713は、ぎりぎり納期に間に合うであろう日時を定める。本実施例では、工場は1年中無休であり、終了時刻は「00:00:00」とするので、図10のイメージ1001に示す通り、独立所要オーダのオーダ最遅終了日時713は、「2010/11/09 00:00:00」となる。
【0061】
ステップS204では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された品目サイトマスタテーブル600を参照し、ステップS205では、依頼品目702の標準製造LT604を取得する。本実施例では、依頼品目702は「AAA」であるので、品目サイトマスタテーブル600の標準製造LT604の「2日間」を取得する。つまり、本ステップでは依頼品目702の組立工程でかかるLTを取得している。
【0062】
ステップS206では、生産管理サーバ102は、ステップS205において取得した標準製造LT604と、ステップS203において算出されたオーダ最遅終了日時713とを元にオーダ最早開始日時714を算出する。本実施例では、オーダ最遅終了日時713から標準製造LT604が示す日時分戻る形でオーダ最早開始日時714を算出する。つまり、図10のイメージ1001に示す通り、オーダ最遅終了日時713は、「2010/11/09 00:00:00」であり、依頼品目の製品「AAA」の標準製造LT604は「2日間」であるため、オーダ最遅終了日時713から2日間さかのぼった日時である「2010/11/07 00:00:00」がオーダ最早開始日時714となる。
【0063】
ステップS207では、生産管理サーバ102は、ステップS203において算出されたオーダ最遅終了日時713、ステップS206において算出されたオーダ最早開始日時714をステップS202において作成された製造オーダテーブル710の製造オーダに格納する。
【0064】
ステップS208では、生産管理サーバ102は、ステップS201において取得した生産依頼をステップS202において新たに作成された製造オーダに引当てを行う。引当は、引当情報テーブル720に新たなレコードが作られることで実行され、引当元No721に引当元の依頼No701、引当先No722に引当先のオーダNo711をそれぞれ格納し、引当数量723には、依頼数量704を格納する。
【0065】
ステップS209では、生産管理サーバ102は、すべての生産依頼が終了したか否かを判定する。すべての生産依頼が終了したと判定された場合には、独立所要オーダ作成処理を終了し、すべての生産依頼が終了したと判定できない場合には、ステップS201に処理を戻す。
【0066】
このように、まずは組立工程の独立所要オーダを作成する。独立所要オーダを作成したあとに、従属所要オーダの作成を行う。
【0067】
次に、生産管理サーバ102によって実行される従属所要オーダ作成処理の処理手順について説明する。図11は、図1に示す生産管理サーバ102によって実行される従属所要オーダ作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0068】
ステップS301では、生産管理サーバ102は、テーブル記憶部312に記憶された製造オーダテーブル710を参照し、ステップS302では、ステップS202において追加された製造オーダの品目712を取得する。つまり、独立所要オーダで組み立てる品目を取得する。本実施例では、独立所要オーダで組み立てる品目である「AAA」を取得する。
【0069】
ステップS303では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された工程手順マスタテーブル620を参照する。
【0070】
ステップS304では、生産管理サーバ102は、ステップS301において取得された品目712と一致する親品目621を持つレコードを工程手順マスタテーブル620からすべて取得し、当該レコードが複数ある場合には、工順623が最も遅い作業項目622を取得する。つまり、組立工程で作成する品目は、複数の作業で組み立てられる場合がある。このような場合に、作業を行う順序が最も遅いもの(最後におこなう作業)を取得する。本実施例では、品目「AAA」をステップS301において取得したので、工程手順マスタテーブル620では、2つのレコードが取得される。そのうち、工順623が「2」のものと「1」のものがあるが、ステップS304では工順623が最も遅い「2」に対応する作業項目622「製品組立作業」が取得される。つまり、図13の工程イメージ1301に示す通り、組立工程は2つの作業に分かれており、まずは最後に作業を行う「製品組立作業」を取得する。
【0071】
ステップS305では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された必要資材マスタテーブル610を参照する。
【0072】
ステップS306では、生産管理サーバ102は、ステップS304において取得した作業項目622と一致する作業項目を子品目投入タイミング613から特定し、当該作業項目で必要となる子品目612を1つ取得する。本実施例では、ステップS304において取得した作業項目622が「製品組立作業」であるので、「製品組立作業」に必要な子品目612は、「BBB」である。よって、子品目612「BBB」を取得する。
【0073】
ステップS307では、生産管理サーバ102は、ステップS306において取得した子品目612が中間品か否かを判定する(中間品判定手段)。具体的には、マスタテーブル記憶部311に記憶された品目サイトマスタテーブル600の品目種別602を参照して判断する。本実施例では、ステップS306において取得した子品目612が「BBB」であるため、品目種別602が「中間品」であることがわかる。子品目612が中間品であると判定された場合には、ステップS308に処理を進め、子品目612が中間品であると判定できない場合には、ステップS309に処理を進める。
【0074】
ステップS308では、生産管理サーバ102は、中間品である子品目の製造オーダを作成する子品目製造オーダ作成処理を実行する。子品目製造オーダ作成処理の詳細は、図12を用いて後述する。
【0075】
ステップS309では、生産管理サーバ102は、ステップS306において取得した作業項目で使用する子品目がすべて終了したか否かを判定する。作業項目で使用する子品目がすべて終了したと判定した場合には、ステップS310に処理を進め、作業項目で使用する子品目がすべて終了したと判定できない場合には、ステップS306に処理を戻す。
【0076】
ステップS310では、生産管理サーバ102は、ステップS304で参照した作業項目がすべて終了したか否かを判定する。作業項目がすべて終了したと判定した場合には、従属所要オーダ作成処理を終了し、作業項目がすべて終了したと判定できない場合には、ステップS311に処理を進める。
【0077】
ステップS311では、生産管理サーバ102は、未取得の作業項目のうち、最も工順623の遅い作業項目を取得する。本実施例では、ステップS304において工順623が「2」の「製品組立作業」を取得したので、未取得である工順623が「1」の「サブ組立作業」を取得する。このようにすることで、親品目621に対して複数の作業項目622があったとしても、すべての作業項目に対して処理を実行することができる。
【0078】
次に、生産管理サーバ102によって実行される子品目製造オーダ作成処理の処理手順について説明する。図12は、図1に示す生産管理サーバ102によって実行される子品目製造オーダ作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0079】
ステップS401では、生産管理サーバ102は、テーブル記憶部312に記憶された製造オーダテーブル710に新しくレコード(製造オーダ)を追加する。本実施例では、子品目を「BBB」とすると、新しくオーダNo711を割り振り、品目712に「BBB」を格納する。また、オーダ区分716は「従属所要」と格納する。
【0080】
ステップS402では、生産管理サーバ102は、当該子品目に対する親品目のオーダ最遅終了日時713と作業LT624から子品目のオーダ最遅終了日時713を算出する(中間品納期決定手段)。例えば図14に示すように、加工工程で加工される「BBB」が必要となるタイミングは、製品組立作業の開始時点(作業開始日時)である。従来は、「BBB」も組立工程に入る前に在庫を準備しておかなくてはならなかったが、在庫滞留となってしまうので、このように必要となるタイミングに合わせて、中間品の納期を決定する。よって、独立所要オーダで求めたオーダ最遅終了日時713からさかのぼって、「BBB」のオーダ最遅終了日時713を決定する。つまり、「BBB」のオーダ最遅終了日時713は、「AAA」のオーダ最遅終了日時713「2010/11/09 00:00:00」から製品組立作業の作業LT624「1日」さかのぼった日時となり、「2010/11/08 00:00:00」が「BBB」のオーダ最遅終了日時713となる。
【0081】
ステップS403では、生産管理サーバ102は、ステップS402において算出されたオーダ最遅終了日時713と、中間品の標準製造LT604(中間品作業リードタイム)からオーダ最早開始日時714を算出する。「BBB」の標準製造LT604は「3日間」であるので、オーダ最遅終了日時713から「3日間」さかのぼった「2010/11/5 00:00:00」が「BBB」のオーダ最早開始日時714となる。
【0082】
ステップS404では、生産管理サーバ102は、必要量614と親品目のオーダ数量715から子品目のオーダ数量715を算出する。オーダ数量715は、依頼数量704と必要量614を掛け合わせることで算出する。つまり、依頼品である親品目611「AAA」を1つ作成するために子品目612「BBB」が1つ必要なので、依頼数量704「500」に対して、子品目612「BBB」は「500」必要となる。
【0083】
ステップS405では、生産管理サーバ102は、ステップS402において算出されたオーダ最遅終了日時713と、ステップS403において算出されたオーダ最早開始日時714と、ステップS404において算出されたオーダ数量715を、ステップS401において新しく追加された製造オーダに格納する。
【0084】
ステップS406では、生産管理サーバ102は、親品目を子品目に引当てる。具体的には、テーブル記憶部312に記憶された引当情報テーブル720の引当元No721に親品目のオーダNo711を格納し、引当先No722に子品目のオーダNo711を格納する。更に引当数量723には、子品目のオーダ数量715を格納して、引当てを行う。引当てが終了したら、子品目製造オーダ作成処理を終了する。
【0085】
図10に示すイメージ1002が、従属所要オーダ作成処理を実行した結果である。製造オーダテーブル710には従属所要オーダである「BBB」と「CCC」の製造オーダが格納されている。また、引当情報テーブル720には、親品目を子品目に引き当てている。イメージ1002に示す通り、「BBB」と「CCC」のオーダ最遅終了日時713及びオーダ最早開始日時714は、当該中間品が必要となるタイミングを納期としている。このようにすることで、無駄な滞留在庫を発生することを防ぐことができる。
【0086】
従来は、図15に示す通り、加工工程で加工された「BBB」は、製品組立作業で必要となるにも関わらず、サブ組立作業の開始時点を元に納期が決定されていたので、実投入まで滞留在庫となっていた。しかしながら、図14に示す通り、加工工程で加工された「BBB」の納期を製品組立作業に合わせることで、滞留在庫となることを防ぐ効果がある。
【0087】
次に、第2の実施例として、設備の使用状況や能力を加味して、滞留在庫を低減する仕組みについて説明する。
【0088】
まず、図16を参照して、マスタテーブル記憶部311に記憶された各種テーブルの一例について説明する。
【0089】
まず、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される品目サイトマスタテーブル600(図16参照)について説明する。品目サイトマスタテーブル600は、品目601、品目種別602、工程603、標準製造LT604、及びスケジューラ生成フラグ605から構成される。品目601は、製品の製品名を示すデータである。品目種別602は、品目601の種別(製品、中間品、原材料)を示すデータである。工程603は、当該品目を組み立てる工程を示すデータである。標準製造LT604は、当該品目601の組み立てにかかる日数を示すデータである。スケジューラ生成フラグ605は、当該品目601の子品目製造オーダ作成処理をスケジューラが行うか否かを示すデータである。
【0090】
次に、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される必要資材マスタテーブル610(図16参照)について説明する。必要資材マスタテーブル610は、親品目611、子品目612、子品目投入タイミング613、必要量614、及びオーダ展開停止フラグ615から構成される。親品目611は、子品目612によって構成される品目を示すデータである。子品目612は、親品目611を構成する品目を示すデータである。子品目投入タイミング613は、親品目611を組み立てるために子品目612をいつの作業で投入すべきかを示すデータである。必要量614は、親品目611を1つ生産するために必要な子品目612の量を示すデータである。オーダ展開停止フラグ615は、後述する図17の従属所要オーダ作成処理において子品目製造オーダ作成処理を行うか否かを示すデータである。
【0091】
次に、図3のマスタテーブル記憶部311に記憶される品目資源マスタテーブル630(図16参照)について説明する。品目資源マスタテーブル630は、親品目631、工順632、資源コード633、能力値634、及び能力値単位635から構成される。親品目631は、必要資材マスタテーブル610の親品目611に対応するデータである。工順632は、工程手順マスタテーブル620(図6参照)の工順623に対応するデータである。資源コード633は、工順632に対して複数の設備で製造できる場合に、その設備を一意に示すデータである。能力値634は、当該資源コード633で製造した場合にかかる作業時間を示すデータである。能力値単位635は、当該能力値634の単位を示すデータである。
【0092】
以上がマスタテーブル記憶部311に記憶された各種テーブル構成の一例の説明である。テーブルの構成はこれに限らない。
【0093】
次に、第2の実施例における従属所要オーダ作成処理について説明する。尚、図4に示す一連の処理手順と図5に示す独立所要オーダ作成処理については、前述の処理を同様であるため、説明を省略する。図17は、図1に示す生産管理サーバ102によって実行される第2の実施例における従属所要オーダ作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0094】
ステップS501では、生産管理サーバ102は、テーブル記憶部312に記憶された製造オーダテーブル710を参照し、ステップS502では、ステップS202において追加された製造オーダの品目712を取得する。つまり、独立所要オーダで組み立てる品目を取得する。本実施例では、独立所要オーダで組み立てる品目である「AAA」を取得する。
【0095】
ステップS503では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された工程手順マスタテーブル620を参照する。
【0096】
ステップS504では、生産管理サーバ102は、ステップS501において取得された品目712と一致する親品目621を持つレコードを工程手順マスタテーブル620からすべて取得し、当該レコードが複数ある場合には、工順623が最も遅い作業項目622を取得する。つまり、組立工程で作成する品目は、複数の作業で組み立てられる場合がある。このような場合に、作業を行う順序が最も遅いもの(最後におこなう作業)を取得する。作業を行う順序が最も遅いものを取得した場合の実施例は前述にある通り処理が行われる。次に作業を行う順序のものを取得した場合を説明する。本実施例では、品目「AAA」をステップS501において取得したので、工程手順マスタテーブル620では、2つのレコードが取得される。そのうち、工順623が「2」のものと「1」のものがあるが、ステップS504では工順623が次に遅い「1」に対応する作業項目622「サブ組立作業」が取得される。つまり、図13の工程イメージ1301に示す通り、組立工程は2つの作業に分かれており、次に作業を行う「サブ組立作業」を取得する。
【0097】
ステップS505では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された必要資材マスタテーブル610を参照する。
【0098】
ステップS506では、生産管理サーバ102は、ステップS504において取得した作業項目622と一致する作業項目を子品目投入タイミング613から特定し、当該作業項目で必要となる子品目612を1つ取得する。本実施例では、ステップS504において取得した作業項目622が「サブ組立作業」であるので、「サブ組立作業」に必要な子品目612は、「CCC」である。よって、子品目612「CCC」を取得する。
【0099】
ステップS507では、生産管理サーバ102は、ステップS506において取得された子品目がオーダ展開対象か否かを判定する(オーダ展開判定手段)。具体的には、マスタテーブル記憶部311に記憶された必要資材マスタテーブル610のオーダ展開停止フラグ615を参照し、子品目612が従属所要オーダ作成処理の対象か否かを判定する。本実施例では、ステップS506にて子品目612が「CCC」であるため、オーダ展開停止フラグ615がONであることがわかる。よって、オーダ展開対象ではないことがわかある。この場合には、より詳細な設備の能力や使用状況を加味したオーダ展開を行う。子品目612がオーダ展開対象であると判定された場合には、ステップS307に処理を進める。そうでない場合には、ステップS508に処理を進める。
【0100】
ステップS508では、生産管理サーバ102は、設備の能力や使用状況を加味したオーダ展開である、第2の子品目製造オーダ作成処理を実行する。第2の子品目製造オーダ作成処理の詳細は、後述する図18に示す。
【0101】
尚、ステップS307乃至ステップS311の各ステップは、前述した図11と同様であるので説明を省略する。
【0102】
次に、生産管理サーバによって実行される第2の子品目製造オーダ作成処理の処理手順について説明する。図18は、図1に示す生産管理サーバ102によって実行される第2の子品目製造オーダ作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本処理をCPU201に実行させるためのプログラムは外部メモリ211に記憶されており、本処理の実行要求を入力C205より受け付けた場合に、CPU201は、当該プログラムをRAM203にロードし、ロードしたプログラムによる制御に従って本処理を実行することになる。
【0103】
ステップS601では、生産管理サーバ102は、テーブル記憶部312に記憶された製造オーダテーブル710に新しくレコード(製造オーダ)を追加する。本実施例では、子品目を「CCC」とすると、新しくオーダNo711を割り振り、品目712に「CCC」を格納する。また、オーダ区分716は「従属所要」と格納する。
【0104】
ステップS602では、生産管理サーバ102は、必要量614と親品目のオーダ数量715から子品目のオーダ数量715を算出する。オーダ数量715は、依頼数量704と必要量614を積算することで算出する。つまり、依頼品である親品目611「AAA」を1つ作成するために子品目612「CCC」が2つ必要なので、依頼数量704「500」に対して、子品目612「CCC」は「1000」必要となる。
【0105】
ステップS603では、生産管理サーバ102は、当該子品目に対する親品目のオーダ最遅終了日時713と作業LT624から子品目のオーダ最遅終了日時713を算出する(中間品納期決定手段)。例えば図20に示すように、成形工程で加工される「CCC」が必要となるタイミングは、サブ組立作業の開始時点(作業開始日時)である。よって、独立所要オーダで求めたオーダ最遅終了日時713からさかのぼって、「CCC」のオーダ最遅終了日時713を決定する。つまり、「CCC」のオーダ最遅終了日時713は、「AAA」のオーダ最遅終了日時713「2010/11/09 00:00:00」から製品組立作業の作業LT624「1日」とサブ組立作業の作業LT624「1日」さかのぼった日時となり、「2010/11/07 00:00:00」が「CCC」のオーダ最遅終了日時713となる。
【0106】
ステップS604では、生産管理サーバ102は、マスタテーブル記憶部311に記憶された品目資源マスタテーブル630を参照する。
【0107】
ステップS605では、生産管理サーバ102は、ステップS603において算出されたオーダ最遅終了日時713と、中間品の能力値634、及び能力値単位635からオーダ最早開始日時714を算出する。「CCC」は製造候補となる資源が複数存在するため、それぞれの能力値634、能力値単位635から中間品のオーダ最早開始日時を求める。本実施例では、品目「CCC」をステップS501において取得したので、品目資源マスタテーブル630では、2つのレコードが取得される。そのうち、資源コード633が「成形機1号」のものと「成形機2号」のものがあるが、ステップS605では資源コード633が先に取得される「成形機1号」に対応する能力値634「3」、及び能力値単位635「日」が取得される。よって、「CCC」のオーダ最早開始日時714は、オーダ最遅終了日時713「2010/11/7 00:00:00」から能力値634「3」、及び能力値単位「日」をさかのぼった日時となり、「2010/11/4 00:00:00」が「成形機1号」のオーダ最早開始日時となる。
【0108】
ステップS606では、生産管理サーバ102は、ステップS605において取得した資源で使用する能力値634、及び能力値単位635をすべて確認したか否かを判定する。資源で使用する能力値634、及び能力値単位635をすべて確認したと判定した場合には、ステップS608に処理を進め、そうでない場合には、ステップS607に処理を進める。
【0109】
ステップS607では、生産管理サーバ102は、未取得の資源を取得する。本実施例では、ステップS604において資源コード633が「成形機1号」の能力値634「3」、及び能力値単位635「日」を取得したので、未取得である資源コード633が「成形機2号」の能力値634「3」、及び能力値単位635「日」を取得する。このようにすることで、親品目631に対して複数の資源コード633があったとしても、すべての資源に対して処理を実行することができる。
【0110】
ステップS608では、生産管理サーバ102は、ステップS605において求めた資源毎のオーダ最早開始日時の中から、オーダ最早開始日時が最も遅く開始するものを採用する。具体的には、資源コード633が「成形機1号」の場合、オーダ最早開始日時714は「2010/11/4 00:00:00」、資源コード633が「成形機2号」の場合、オーダ最早開始日時714は「2010/11/3 00:00:00」となるため、資源コード633が「成形機1号」で求められるオーダ最早開始日時を採用する。これにより、採用した「成形機1号」の「2010/11/3 00:00:00」から「2010/11/7 00:00:00」の期間は、オーダNo711が「ORD0003」により占有されるため、他オーダは前述期間をステップS605で採用することはできない。
【0111】
ステップS609では、生産管理サーバ102は、ステップS603において算出されたオーダ最遅終了日時713と、ステップS608において算出されたオーダ最早開始日時714と、ステップS602において算出されたオーダ数量715を、ステップS601において新しく追加された製造オーダに格納する。
【0112】
ステップS610では、生産管理サーバ102は、親品目を子品目に引当てる。具体的には、テーブル記憶部312に記憶された引当情報テーブル720の引当元No721に親品目のオーダNo711を格納し、引当先No722に子品目のオーダNo711を格納する。更に引当数量723には、子品目のオーダ数量715を格納して、引当てを行う。引当てが終了したら、子品目製造オーダ作成処理を終了する。
【0113】
図22に示すイメージ1002が、従属所要オーダ作成処理を実行した結果である。製造オーダテーブル710には従属所要オーダである「BBB」の製造オーダが格納されている。また、引当情報テーブル720には、親品目を子品目に引き当てている。イメージ1002に示す通り、「BBB」のオーダ最遅終了日時713及びオーダ最早開始日時714は、当該中間品が必要となるタイミングを納期としている。このようにすることで、無駄な滞留在庫を発生することを防ぐことができる。
【0114】
図22に示すイメージ1003が、生産管理サーバ上スケジューラにより子品目製造オーダ作成処理を実行した結果である。製造オーダテーブル710には従属所要オーダである「CCC」の製造オーダが格納されている。また、引当情報テーブル720には、親品目を子品目に引き当てている。イメージ1003に示す通り、「CCC」のオーダ最遅終了日時713及びオーダ最早開始日時714は、当該中間品が必要となるタイミングを納期としている。このようにすることで、無駄な滞留在庫を発生することを防ぐことができる。そして、最終的に前述したステップS114において図21のように表示されることになる。
【0115】
従来は、図19に示す通り、加工工程で加工された「BBB」は、製品組立作業で必要となるにも関わらず、サブ組立作業の開始時点を元に納期が決定されていたので、実投入まで滞留在庫となっていた。また、成形工程で加工された「CCC」は、成形できる設備が複数あり、且つ製造能力が異なる状況にもかかわらず、製造能力が低い設備で製造することを前提に最早開始日時が設定されていたので、実製造時には予定より1日早く終了し組立工程まで滞留在庫となっていた。しかしながら、図20に示す通り、加工工程で加工された「BBB」の納期を製品組立作業に合わせることで、滞留在庫となることを防ぐ効果がある。また、成形工程で使用できる設備の使用状況と設備能力を加味することで、滞留在庫となることを防ぐ効果がある。
【0116】
以上説明したように、本発明によれば、生産計画を立案する際に、中間品の納期を当該中間品の投入タイミングに設定するので、中間品の在庫滞留時間を低減できる効果を奏する。
【0117】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【0118】
また、本発明におけるプログラムは、各処理方法をコンピュータが実行可能(読み取り可能)なプログラムであり、本発明の記録媒体は、各処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。
【0119】
なお、本発明におけるプログラムは、各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0120】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読取り実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0121】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0122】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0123】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0125】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0126】
また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0127】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0128】
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
100 生産計画システム
101 クライアント端末
102 生産管理サーバ
103 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の生産計画の管理を行う情報処理装置であって、
製品を生産するための作業項目と、当該作業項目にかかる日数を示す作業リードタイムと、当該作業項目で必要となる中間品とを対応づけて記憶する記憶手段と、
ユーザからの生産依頼に基づいて、前記製品の納期を設定する納期設定手段と、
前記納期設定手段によって設定された納期と、前記記憶手段に記憶された作業項目と、作業リードタイムとに基づいて、前記中間品の納期を決定する中間品納期決定手段とを備え、
前記中間品納期決定手段は、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、更に前記中間品の作業項目と、当該中間品の作業項目にかかる日数を示す中間品作業リードタイムとを記憶し、
前記中間品納期決定手段は、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とし、更に前記記憶手段に記憶された中間品の作業項目及び中間品作業リードタイムから、中間品の作業開始日時を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記中間品は、複数の部品から成るものであるか否かを判定する中間品判定手段と、
前記中間品判定手段によって、複数の部品から成ると判定された場合には、前記中間品納期決定手段を実行し、複数の部品から成ると判定されなかった場合には、前記中間品納期決定手段を実行しないことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記中間品納期決定手段は、前記記憶手段に記憶された作業項目に対応づく中間品のうち、すべての中間品に対して処理を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記中間品納期決定手段は、前記記憶手段に記憶されたすべての作業項目に対して処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、更に前記中間品を作成する機器の能力値を機器ごとに記憶し、
前記中間品納期決定手段は、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とし、更に前記記憶手段に記憶された前記中間品を作成する機器ごとの能力値を比較し、最も早く作成可能な機器の能力値に基づいて、中間品の作業開始日時を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
製品を生産するための作業項目と、当該作業項目にかかる日数を示す作業リードタイムと、当該作業項目で必要となる中間品とを対応づけて記憶する記憶手段を備え、製品の生産計画の管理を行う情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置の納期設定手段が、ユーザからの生産依頼に基づいて、前記製品の納期を設定する納期設定ステップと、
前記情報処理装置の中間品納期決定手段が、前記納期設定ステップによって設定された納期と、前記記憶手段に記憶された作業項目と、作業リードタイムとに基づいて、前記中間品の納期を決定する中間品納期決定ステップとを備え、
前記中間品納期決定ステップは、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とすることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
製品を生産するための作業項目と、当該作業項目にかかる日数を示す作業リードタイムと、当該作業項目で必要となる中間品とを対応づけて記憶する記憶手段を備え、製品の生産計画の管理を行う情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
前記情報処理装置を、
ユーザからの生産依頼に基づいて、前記製品の納期を設定する納期設定手段と、
前記納期設定手段によって設定された納期と、前記記憶手段に記憶された作業項目と、作業リードタイムとに基づいて、前記中間品の納期を決定する中間品納期決定手段として機能させ、
前記中間品納期決定手段は、前記作業項目の作業開始日時を前記中間品の納期とすることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−146286(P2012−146286A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237149(P2011−237149)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】