情報処理装置、コンピュータプログラム及び情報処理方法
【課題】汎用性のある情報処理装置を提供する。
【解決手段】所定のアルゴリズムが用いられて学習処理が行われる。この学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である処理管理データベース25と、前記選択情報を参照して学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部22と、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって学習処理を実行する処理システム10とを有している。
【解決手段】所定のアルゴリズムが用いられて学習処理が行われる。この学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である処理管理データベース25と、前記選択情報を参照して学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部22と、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって学習処理を実行する処理システム10とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理のためのコンピュータプログラム及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の交通情報をドライバーに提供する技術として、財団法人道路交通情報通信システムセンターによるVICS(Vehicle Information and Communication System:なお、「VICS」は上記財団法人の登録商標)が広く知られている。
このVICSは、各種の路側センサ(車両感知器やループコイル等)から収集した車両台数や車両速度等よりなる定点観測情報に基づいて、各路線での渋滞やリンク旅行時間を含む交通情報を集計し、その交通情報を、ビーコンによる狭域通信やFM放送等の広域通信によってドライバーに提供するものである。
【0003】
また、道路の交通情報をドライバーに提供する他の技術として、プローブカーを利用した交通情報推定システム(以下、プローブシステムという。)も知られている。
このプローブシステムは、例えば特許文献1及び2に示すように、実際に道路を走行する車両(プローブ車両)を移動体センサとして利用するもので、現時点の車両位置や時刻等のプローブ情報を無線通信によって各プローブ車両から収集し、道路の交通情報を生成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−151496号公報
【特許文献2】特開2005−4467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記VICS情報は、路側センサが設置された主要幹線道路等の一部の道路に関してしか得られない。
一方、プローブシステムでは、実際に道路を走行する車両(プローブ車両)を移動体センサとして利用するため、路側センサが設置されていない道路に関しても、交通情報を取得することが可能となる。
【0006】
しかし、現状では、プローブカーの台数は、非常に少なく、VICS及びプローブシステムのいずれからもデータが得られていない道路リンクについては、交通情報を得ることができない。
【0007】
そこで、(VICS及び)プローブシステムからデータが得られていない道路リンクについては、別の道路リンクの交通情報に基づいて、交通情報を推定することが考えられる。例えば、ある道路リンクの交通情報は、当該道路リンクに接続している道路リンク等のような関連のある他の道路リンクにおける交通情報との相関が認められる。このような相関関係を利用すれば、他の道路リンクの交通情報を用いて、推定対象となる道路リンクの交通情報を補完することができる。
また、このような補完を行おうとすると、他の各道路リンクの交通情報を、どの程度、推定対象となる道路リンクの交通情報として反映させるか等を決める推定用パラメータを適切に設定することが必要となる。
【0008】
このために、コンピュータによる学習機能を用いることが考えられる。この場合、学習機能を有するシステムには、所定のアルゴリズムが設定されており、入力データに基づいて処理が行われ、推定用パラメータを最適化することが可能となる。
しかし、従来の学習機能では、適用対象に特化したアルゴリズムが設定されていることから、当該アルゴリズムにおける学習誤差の判定のためのパラメータ等の変更はできたとしても、新たなアルゴリズムが見いだされた際に、これらを反映させることはできない。つまり、従来の学習機能は汎用性が乏しいという問題点がある。したがって、新たなアルゴリズムを採用するためには、システム全体を新たに作成し直す必要がある。
そこで、本発明は、汎用性のある情報処理装置、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行する情報処理装置であって、前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である記憶部と、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部と、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行する処理部とを有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、記憶部には、学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、複数記憶されており、選択反映部によって、前記選択情報が参照されて学習処理で用いられるアルゴリズムが、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択され、処理部が、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって学習処理を実行するので、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理装置とすることができる。
【0011】
(2)また、前記記憶部に選択情報を新たに記憶させるための選択情報追加部を、更に備えているのが好ましく、この場合、新しい選択情報が得られると、情報処理装置に追加することができ、汎用性をさらに高めることが可能となる。そして、選択反映部は、追加した選択情報を含む複数の選択情報の中から、選択情報を参照することができるようになる。
【0012】
(3)また、前記アルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を複数記憶可能である第2の記憶部と、当該第2の記憶部にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部とを更に備えているのが好ましく、この場合、新しいアルゴリズムが得られると、当該新しいアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を情報処理装置に追加することができ、汎用性をさらに高めることが可能となる。そして、処理部は、追加したアルゴリズムを含む複数のアルゴリズムの中から選択されたアルゴリズムによって情報処理を実行することができるようになる。
【0013】
(4)また、前記記憶部に記憶されている複数の選択情報のうち、前記選択反映部によって行われる前記選択の処理で用いられる選択情報を設定する設定部を、更に備えているのが好ましい。この場合、記憶部は複数の選択情報を記憶可能であるが、これら複数の選択情報から、選択反映部によって行われる選択の処理で、有効とする選択情報と、無効とする選択情報との区別を行うことが可能となる。
【0014】
(5)また、前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データから、前記選択反映部によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成することができる。
(6)例えば、前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データの数を増減させて前記学習用データを生成することができる。
この場合、選択反映部によって選択されたアルゴリズムで学習処理を行う際に、当該アルゴリズムによると、入力データを追加した方が良い場合、選択反映部は、その数を増加させることができ、また、入力データを少なくしても良い場合、その数を減少させることができる。
【0015】
(7)また、前記学習処理を、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理とすることができる。
(8)また、本発明は、コンピュータを、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0016】
(9)また、本発明は、学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行するコンピュータによる情報処理方法であって、前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、コンピュータに複数記憶されており、コンピュータが、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択し、コンピュータが、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、そのアルゴリズムによって前記学習処理を実行することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、複数記憶されており、前記選択情報を参照して学習処理で用いられるアルゴリズムが、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択され、選択されたアルゴリズムによって学習処理が実行されるので、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理方法を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理装置とすることができ、また、及び、汎用性の高い情報処理方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の情報処理装置を備えたシステムの一例を示す構成図である。
【図2】交通情報システムの構成図である。
【図3】知見・ノウハウを反映させるための構成を示した構成図である。
【図4】処理管理データベースが記憶されている記憶装置の説明図である。
【図5】アルゴリズム管理データベースの説明図である。
【図6】知見・ノウハウを反映させる処理の説明図である。
【図7】知見・ノウハウを反映させる処理の説明図である。
【図8】交通情報推定方法を示しているフローチャートである。
【図9】推定データベースを示す図である。
【図10】ニューラルネットワークの構成図である。
【図11】学習データベースを示す図である。
【図12】学習処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理装置を備えたシステムの一例を示す構成図である。本実施形態では、情報処理装置を交通情報推定装置(中央装置)1として具体化しており、図1は、交通情報推定装置1を備えた交通情報システムの全体構成図である。この交通情報システムは、交通情報推定装置1のほか、車載装置2を搭載したプローブ車両3、車載装置2と無線通信する路側通信機4、及び路側センサ5等を含む。
【0021】
交通情報推定装置1は、例えば中央装置における様々な機能のうちの一機能を指しており、交通情報推定装置1は、VICS情報及びプローブ情報等の交通情報(観測情報)を取得し、車両に提供するための提供用の交通情報を生成する機能を有している。なお、交通情報推定装置1は、交通情報に基づいて、信号機制御や交通管制等の各種の交通用処理を行ってもよい。
【0022】
この交通情報推定装置(情報処理装置)1は、処理装置(CPU)及び記憶装置を有するコンピュータによって構成されており、記憶装置には、コンピュータを、交通情報推定装置1として機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。このコンピュータプログラムは、前記CPUによって実行され、前記CPUが前記記憶装置等に対し入出力を行うことで、交通情報推定装置1としての機能を実現する。なお、以下に説明する交通情報推定装置(情報処理装置)1の機能は、特に断らない限り、前記コンピュータプログラムによって実現されるものである。
【0023】
前記車載装置2は、プローブ車両3の観測情報としてプローブ情報を生成し、路側通信機4に無線送信する。
プローブ情報は、プローブ車両の位置、当該位置の通過時刻及びプローブ車両の車両ID等を含む交通情報である。また、プローブ情報には、プローブ車両の通過速度等その他の情報を含めても良い。プローブ情報の位置及び時刻の情報に基づいて、道路リンク毎のリンク旅行時間が得られる。なお、プローブ車両の位置は、車載装置2が有するGPS受信機によって受信したGPS信号に基づいて算出される。
【0024】
前記路側通信機4は、車載装置2との間で無線通信によって情報の送受信を行うものである。具体的には、路側通信機4は、車載装置2が送信した観測情報としてのプローブ情報を受信し、交通情報推定装置1に転送する。また、路側通信機4は、交通情報推定装置から、車両への提供用の交通情報を取得し、その交通情報を、車載装置2に送信することができる。なお、路側通信機4と交通情報推定装置との間は、通信回線によって接続されている。
又は、車載装置2は、当該車載装置2と接続した携帯電話機50を介して、プローブ情報を送信してもよい。この場合、車載装置2によってプローブ情報が生成されると、当該プローブ情報は、携帯電話機50へ送られ、携帯電話機50が基地局49へプローブ情報を送信する。そして、基地局49は、プローブ情報を交通情報推定装置1に転送する。また、携帯電話機50は、交通情報推定装置1から基地局49を介して、車両への提供用の交通情報を取得し、その交通情報を、車載装置2に送ることができる。
【0025】
前記路側センサ5は、観測情報としての交通情報を検出するためのものであり、例えば、直下を通行する車両を超音波感知する車両感知器や、インダクタンス変化で車両を感知するループコイル、或いは、カメラの映像を画像処理して交通量や車両速度を計測する画像感知器よりなり、交差点等に流入する車両台数や車両速度を計測する目的で、高速道路や主要な幹線道路等に設置されている。
【0026】
路側センサ5によって検出された観測情報は、通信回線を介して、VICSセンタサーバ6に送信され、このVICSセンタサーバ6では、路側センサ5の観測情報に基づいて、VICS情報を生成する。このVICS情報は、通信回線を介して、交通情報推定装置1に送信される。
【0027】
前記VICS情報は、各道路リンクでの渋滞やリンク旅行時間を含む交通情報である。VICS情報は、路側センサ5から5分ごとに観測情報を取得して、更新されるため、時間的に高密度な情報が得られる。しかし、路側センサ5はすべての道路に設置されているわけではなく(主要道路でも20%以下)、エリアカバー率が低い。
一方、前記プローブ情報は、道路を走行するプローブ車両3から取得するため、エリアカバー率を高くすることが可能である。ただし、プローブ車両3となるための車載装置2の普及率がまだ低いため、時間的に低密度のデータしか得られない。
【0028】
つまり、所定エリア内の道路に、道路リンクを設定した場合、VICS情報が得られる道路リンクについては、VICS情報の更新単位時間ごとに常に交通情報(VICS情報)が得られる。一方、VICS情報が得られない道路リンクについては、VICS情報の更新単位時間毎にみると、プローブ情報が交通情報として得られる道路リンクがある一方、プローブ情報も得られない道路リンクが混在することになる。
【0029】
[2.交通情報推定装置の全体構成]
本実施形態に係る交通情報推定装置1は、VICS情報もプローブ情報も得られない道路リンクの交通情報を推定して、当該道路リンクの交通情報を補完することで、所定エリア内の全道路リンクの交通情報を取得する。つまり、本実施形態に係る交通情報推定装置1は、所定エリア内の全道路リンクを母集団とし、全道路リンクのうちの一部の道路リンクについて交通情報を取得すると、残りの道路リンクについての交通情報を推定する。
【0030】
このように、VICS情報もプローブ情報も得られない道路リンクの交通情報を補完することで、より精度が高い交通情報を車両(ナビゲーションシステム)に提供したり、精度良く交通管制を行ったりすることが可能となる。
なお、以下では、VICS情報もプローブ情報も得られず交通情報を推定して補完する必要がある道路リンクを、「推定対象道路リンク」という。
【0031】
図2に示すように、交通情報推定装置1は、情報処理を行う処理システム(処理部)10として、推定対象道路リンクの交通情報を推定するための推定システム(推定部)11と、推定に用いられるパラメータ(推定用パラメータ)を学習するための学習システム(学習部)12とを備えている。
そして、後にも説明するが、処理システム10(推定システム11及び学習システム12)は、ある知見やノウハウを反映させることによりアルゴリズムを切り替えて情報処理(推定処理及び学習処理)を実行することができる。すなわち、処理システム10は、ある知見やノウハウから得られたノウハウ処理に関する選択情報が参照されることにより、推定処理及び学習処理を行うために好ましいアルゴリズムが選択され、選択されたアルゴリズムによって推定処理及び学習処理が実行される。
【0032】
また、交通情報推定装置1は、推定システム11によって推定した交通情報等を蓄積するための推定データベース(交通情報データベース)13、推定データベース13におけるデータのうち、学習システム12における学習に用いるデータを蓄積する学習データベース14、推定用パラメータ(本実施形態では「重み」)を蓄積するための重みデータベース(推定パラメータデータベース)15と、を記憶装置上に備えている。
【0033】
本実施形態に係る交通情報推定装置1は、当該交通情報推定装置1が取得したVICS情報及びプローブ情報(以下、両情報を総称する場合、「入力情報」という)に対する処理を行う入力情報処理部16を備えていて、入力情報から、リンクの「速度情報」を生成する処理を行う。生成した「速度情報」は、推定データベース13に与えられ、推定データベース13の更新に用いられる。
「速度情報」は、道路リンクのリンク長を、当該道路リンクのリンク旅行時間で除することで、リンク旅行速度[km/h]として算出することができる。なお、対象エリア内の全道路リンクのリンク長は、予め、装置1の記憶装置に格納されている。
【0034】
[3.知見・ノウハウの反映について]
[3.1 知見・ノウハウの反映を行うための構成]
図3は、前記交通情報推定装置1の処理システム10による情報処理(推定処理及び学習処理)に、知見・ノウハウを反映させるための構成を示した構成図である。交通情報推定装置1は、コンピュータプログラムによって実現される機能部として、システム依存部21、選択反映部22、設定部31及び追加部29,30を有している。
また、本実施形態の処理システム10(学習システム12)は、処理コア部23、アルゴリズム部24を備えている。
【0035】
さらに、交通情報推定装置1は、処理管理データベース25を記憶装置上に備えている。このデータベース25には、複数の選択情報が記憶されており、この選択情報は、処理システム10における情報処理(推定処理及び学習処理)で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する情報である。なお、本実施形態では、前記条件は「道路リンクの特性」に関する条件である。
図4は処理管理データベース25を記憶している記憶装置33の説明図である。また、この選択情報は、処理システム10における情報処理に反映させると好ましいノウハウ処理に関する情報であり、処理管理データベース25には、このようなノウハウ処理の種類が記憶されており、ここでは更に、そのノウハウ処理のプログラム本体が同じ記憶装置33上に記憶されている。
【0036】
すなわち、図4において、処理管理データベース25は、「インデックス」25a、「知見・ノウハウ処理」25b、「有効/無効」25cのデータ項目を有しており、「インデックス」の番号毎にそれぞれのデータ項目を保存可能なものである。そして、「知見・ノウハウ処理」25bの項目に、前記ノウハウ処理の種類が記録されている。
【0037】
図3において、システム依存部21は、処理システム10に依存する処理を行う機能を有しており、処理システム10によって行われる情報処理の前処理を行う。なお、システム依存部21による前処理は、後述する選択反映部22による知見・ノウハウに関連する処理以外の処理である。システム依存部21は、入力された入力データを前処理し、選択反映部22へ処理用データを与える。
【0038】
選択反映部22は、処理システム10による推定処理及び学習処理に、知見・ノウハウを反映させるための処理を行う機能を有している。
選択反映部22は、前記処理管理データベース25(図4参照)に基づいて、有効であるインデックスの「知見・ノウハウ処理」を抽出する。そして、選択反映部22は、複数の「知見・ノウハウ処理」の中から抽出された、所定の「知見・ノウハウ処理」を参照し、当該「知見・ノウハウ処理」のプログラムを実行する。
これにより、処理システム10による推定処理及び学習処理で用いられるアルゴリズムが、「道路リンクの特性」に応じて、複数のアルゴリズムから選択される処理が行われる。また、選択反映部22は、参照した「知見・ノウハウ処理」及び処理システム10による情報処理に適応する入力及び出力の様式を設定することができる。
【0039】
すなわち、図4の場合、選択反映部22は、図4のインデックスの項目において「0」及び「2」が有効であるので、「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を抽出し、これらを参照及び実行し、推定処理及び学習処理を行うために好ましいアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから選択する。また、選択反映部22は、処理システム10へ出力する処理用データの数を変更することができる。なお、「知見・ノウハウ処理」の具体例は、後に説明する。
【0040】
また、図4の処理管理データベース25では、選択情報(知見・ノウハウ処理)の追加、削除、更新が可能である。すなわち、新規に選択情報(知見・ノウハウ処理)を追加する場合は、空いている(又は既存の番号と重複しない)インデックスの番号に対応させて、新たな知見・ノウハウ処理を蓄積させればよい。
このために、処理管理データベース25が記憶されている記憶装置33に、知見・ノウハウ処理(選択情報)を新たに記憶させるための選択情報追加部29(図3参照)を、備えている。管理者によって、新たな知見・ノウハウ処理が得られると、この知見・ノウハウ処理を選択情報追加部29によって記憶装置33(図4参照)に追加することができる。
【0041】
また、既に蓄積されている知見・ノウハウ処理が不要となった場合、該当するインデックスに対応する「有効/無効」のデータ項目を「無効」とすればよい。つまり、推定処理及び学習処理に必要とする知見・ノウハウ処理は、「有効/無効」の項目が「有効」となっている。
また、この「有効/無効」の項目の設定(切り替え)は、管理者によって、前記設定部31(図3参照)が用いられて行われる。つまり、設定部31によれば、記憶装置33(処理管理データベース25)に記憶されている複数の知見・ノウハウ処理のうち、選択反映部22によって行われる選択の処理で用いられる知見・ノウハウ処理の設定を行うことができる。なお、処理管理データベース25のデータ項目「有効/無効」25cにおける有効から無効への切り替え、無効から有効への切り替えは、管理者によって、設定部31を通じて任意に行うことができる。
そして、知見・ノウハウ処理を更新する場合は、更新する知見・ノウハウ処理のプログラム本体を更新すればよい。
【0042】
選択反映部22は、さらに、学習処理のために入力される(処理用データ)入力データから、当該選択反映部22によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成する機能を有している。例えば、選択反映部22は、学習用データ(システム依存部21からの入力データ)の数を増減させる機能を有している。
すなわち、選択反映部22は、フィルタリング機能を有し、取得した複数の処理用データを減少させることができる。選択反映部22は、抽出された「知見・ノウハウ処理」に応じて、処理用データの数を追加するのがよいと判断した場合には、処理用データの数を増加させる。つまりこの場合、処理用データの数が足りないと、選択反映部22は、必要な数となるまで処理用データを蓄積しておき、必要な数に達すると、次のステップに進む処理を行う。
【0043】
このように、選択反映部22による処理の前後で、処理用データの数は増減することとなる。なお、処理の前後で、処理用データの形式は同じであってもよいが、必要に応じて処理用データの形式を変化させてもよい。
そして、選択反映部22は、抽出された「知見・ノウハウ処理」に応じて適切な出力として、処理用データを処理システム10(処理コア部23)へ与える。
処理コア部23は、選択反映部22から処理用データを得ると、情報処理のためのアルゴリズムを実行するための前処理及び後処理を行う機能を有している。なお、どのアルゴリズムが選択されるかについては、選択反映部22による「知見・ノウハウ処理」の実行処理に依存する。
【0044】
前記アルゴリズム部24は、複数のアルゴリズムを備えており、アルゴリズムそれぞれに依存した実質的な処理を実行する機能を有している。これらアルゴリズムは、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)に記憶されている。アルゴリズム管理データベース26は、交通情報推定装置1が有している記憶装置34上に備えたものであり、「インデックス」26a、「アルゴリズム」26bのデータ項目を有しており、インデックスの番号毎にアルゴリズムの種類を保存可能なものである。なお、アルゴリズムのプログラム本体は、データベースと同じ記憶装置34に記憶されている。
【0045】
このアルゴリズムは、追加、削除、更新が可能である。例えば、交通情報推定装置1が有しているフレームワークに基づいて、新たなアルゴリズムを作成することができ、作成したアルゴリズムを追加的に記憶装置34に記憶させることができる。
このために、アルゴリズム管理データベース26が記憶されている記憶装置34にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部30(図3参照)を、備えている。新たなアルゴリズムが得られると、このアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報をアルゴリズム追加部30によって、アルゴリズム管理データベース26が記憶されている記憶装置34に追加することができる。アルゴリズム処理情報は、例えば、対象アルゴリズムのプログラム本体のほか、それに対応する識別情報(インデックス)及び記憶場所を示すテーブルを含んでよい。なお、アルゴリズム(学習アルゴリズム)としては、図5に示しているように、単純パーセプトロン、バックプロパゲーション、サポートベクタマシン及びベイジアンネット等がある。
【0046】
[3.2 知見・ノウハウの反映の具体例]
テレマティクス分野において、図1で説明したように、他の道路リンク(以下、関連道路リンクともいう)の交通情報に基づいて、推定対象道路リンクの交通情報を推定する交通情報推定装置1を備えた交通情報システムがある。交通情報推定装置1は、処理システム10として、他の道路リンクの交通情報及び推定用パラメータを用いて、推定対象道路リンクの交通情報を推定する推定システム11と、前記推定用パラメータを最適化する学習システム12とを備えている。
【0047】
学習システム12によって実行される学習処理は、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理である。すなわち、学習システム12は、蓄積された学習用データを用いて推定用パラメータを最適化する構成である。学習用データは、推定対象道路リンクになり得る道路リンクにおける実測値に基づく交通情報と、当該推定対象道路リンクの交通情報を推定するために用いられる他の道路リンクの交通情報との組み合わせによるデータである。
【0048】
この交通情報推定装置1に、知見・ノウハウの反映を行うための構成を適用した場合を説明する。
図6において、システム依存部21に、ある道路リンクに関して、推定システム11が求めた交通情報(推定値)、又は、VICS情報及びプローブ情報に基づく交通情報(実測値)等の入力データが入力される。システム依存部21は、この入力データを前処理して処理用データを生成し、選択反映部22に与える。
【0049】
選択反映部22は、前記処理用データが得られた道路リンクの特性(以下では、「道路特性」という)を把握する必要がある。なお、道路特性としては、例えば、道路が高速道路であるか、一般道路であるかについての道路種別がある。
道路特性を把握するために、選択反映部22は、例えば、取得した処理用データの値のばらつき(標準偏差)と、予め設定されている閾値とを比較する。そして、選択反映部22は、ばらつきが閾値よりも大きいと判定した場合、処理用データの種別は、一般道路についてのものであると判定する。
これに対して、選択反映部22は、前記ばらつきが閾値以下であると判定した場合、処理用データの種別は、高速道路についてのものであると判定する。
【0050】
または、選択反映部22は、交通情報推定装置1の記憶装置に蓄積されている、各道路リンクの道路特性についての情報(特性情報)を取得することで、道路特性を把握してもよい。すなわち、全道路リンクそれぞれの道路特性については、道路リンク設定時に、その特性についての情報が、道路リンクのリンク番号と対応付けられて、交通情報推定装置1の記憶装置に蓄積されている。このため、選択反映部22は処理用データと当該処理用データに含まれる道路リンクのリンク番号の情報とを取得することで、道路リンクそれぞれの特性情報を把握することができる。
【0051】
そして、選択反映部22は、処理管理データベース25(図4参照)に基づいて、有効であるインデックス「0」「2」の「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を抽出する。選択反映部22は、これら「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を参照し、アルゴリズムの選択を実行する。なお、処理管理データベース25における「有効/無効」25cのデータ項目は、前記設定部31が用いられて管理者によって予め設定されたものである。
【0052】
「知見・ノウハウ処理A」は、道路リンクが高速道路である場合、線形対応のアルゴリズムである単純パーセプトロンを使い、道路リンクが一般道路である場合、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを使うという処理である。
【0053】
ここで、推定システム11によって道路情報を推定する対象である道路リンク(推定対象道路リンク)が、高速道路である場合と、一般道路である場合とで挙動が異なる。具体的には、高速道路では、推定対象道路リンクとそれに関連がある関連道路リンクとの間には、線形の相関関係が強く、一般道路では、推定対象道路リンクと関連道路リンクとの間に、非線形の相関関係が強いという知見がある。
そこで、この知見を、処理システム10における情報処理(推定処理及び学習処理)に反映させるためのものが、前記「知見・ノウハウ処理A」である。なお、「知見・ノウハウ処理」は、システム管理者によって創出される。
非線形に対応するアルゴリズムは線形なものを包含するので、全てについて、非線形対応のアルゴリズムで処理してもよいが、処理時間が多くかかってしまう。そこで「知見・ノウハウ処理A」によれば、線形のアルゴリズムでも十分処理精度が得られるものは、線形のアルゴリズムで処理し、処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
選択反映部22は、前記のとおり、処理用データが得られた道路リンクの道路特性を把握していることから、この道路特性に基づいて「知見・ノウハウ処理A」を実行する。
すなわち、処理用データが得られた道路リンクが高速道路であった場合、「知見・ノウハウ処理A」によれば、選択反映部22は、線形対応のアルゴリズムである単純パーセプトロンを選択する。
この場合、選択反映部22は、この「知見・ノウハウ処理A」の実行結果により、線形対応のアルゴリズムを選択すべきであるため、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)における「インデックス」を「0」(選択したアルゴリズムの識別情報)とすることを示す制御信号を生成する。
【0055】
そして、選択反映部22は、処理コア部23へ処理用データと共に、前記制御信号を送る。
処理コア部23は、選択したアルゴリズムの識別情報が含まれる前記制御信号を取得すると、アルゴリズム管理データベース26(図5)によれば、処理アルゴリズムとして、単純パーセプトロンが選択されているので、その実行の開始処理を行う。つまり、図6に示しているように、アルゴリズムとして単純パーセプトロンが選択される。処理コア部23は、上述のアルゴリズム処理情報に含まれるテーブルを参照し、選択された単純パーセプトロンの識別情報からその記憶場所を取得する。アルゴリズム部24は、その記憶場所から単純パーセプトロン(例えば、重回帰分析)のプログラムを読み出し、これを利用して学習処理を行う。また、この場合、推定システム11は、この単純パーセプトロンを用いて推定処理を行うことになる。
【0056】
また、「知見ノウハウ処理C」は、道路リンクが高速道路である場合において、処理用データの数を減らすという処理である。
そこで、道路リンクが高速道路であるので、選択反映部22は「知見ノウハウ処理C」を実行する。すなわち、複数が入力された学習用データのうち、類似しているデータについては削除する。
【0057】
ここで、線形のアルゴリズムを採用する場合では、類似している処理用データを削除しても、処理精度はさほど低下しないという知見がある。そこで、この知見を学習システム12による処理に反映させるためのものが、前記「知見・ノウハウ処理C」であり、システム管理者によって創出される。
この「知見・ノウハウ処理C」によれば、道路リンクが高速道路である場合、線形のアルゴリズムを採用することから、複数が入力された処理用データ(学習用データ)のうち、類似しているデータについては、削除し、さらなる処理速度の向上を図ることが可能となる。
【0058】
これに対して、システム依存部21から取得された処理用データが、一般道路である道路リンクによるものであった場合、「知見・ノウハウ処理A」によれば、選択反映部22は、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを選択する。
この場合、選択反映部22は、この「知見・ノウハウ処理A」の実行結果により、非線形対応のアルゴリズムを選択するため、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)における「インデックス」を「1」とすることを示す制御信号を生成する。
【0059】
そして、選択反映部22は、処理コア部23へ処理用データと共に、前記制御信号を送る。
処理コア部23は、制御信号を取得すると、アルゴリズム管理データベース26(図5)によれば、処理アルゴリズムとして、バックプロパゲーションが選択されているので、その実行の開始処理を行う。つまり、図7に示しているように、アルゴリズムとしてバックプロパゲーションが選択され、アルゴリズム部24は、バックプロパゲーションを利用して学習処理を行う。また、この場合、推定システム11は、多層パーセプトロンを用いて推定処理を行うことになる。
【0060】
また、「知見・ノウハウ処理」の他の例として、以下のようなものがあり、これらについても、処理管理データベース25(図4)に記憶されている。
すなわち、選択反映部22に入力された処理用データが、高速道路の道路リンクについてのものであり、かつ、当該道路リンクが、東京都、大阪府及び名古屋市のいずれかに含まれている場合は、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを利用し、それ以外であれば、線形対応のアルゴリズムである単層パーセプトロンを利用するという「知見・ノウハウ処理」がある。これは、高速道路では、周囲の道路リンクと比較的、線形的な相関があるが、首都圏では、分岐やランプも多く、非線形的な相関が強くなるという知見によるものである。
【0061】
また、選択反映部22に入力された処理用データ内に、性質が異なるデータが混在する場合、例えば、同じ道路リンクであるにも関わらず、当該道路リンクについて取得された交通情報の性質(速度情報の値)が大きく異なる場合、当該交通情報(速度情報)を分類して、分類した交通情報(速度情報)毎で、推定処理を行い、かつ、学習処理を行うようにするという「知見・ノウハウ処理」がある。
この「知見・ノウハウ処理」は、例えば、高速道路のランプの手前にあって複数車線を有する道路の道路リンクで有効である。すなわち、前記複数の車線のうち、先で分岐して一般道路へと繋がる(高速道路の出口へと繋がる)車線では、車両が渋滞することがあり、取得される速度情報が低速を示すのに対し、高速道路を継続して走行する車線では、取得される速度情報が高速を示すことがあるという知見に基づく。この場合、車両の行き先毎に、速度情報を分類して、分類した速度情報毎で、推定処理を行い、かつ、学習処理を行うようにすればよい。
さらに、別の「知見・ノウハウ処理」としては、特定の道路リンクでは、学習用データの数が所定値(例えば100個)以上集まるまでは、空のアルゴリズム(なし)とするというノウハウ処理がある。
【0062】
[4.推定システムについて]
[4.1 推定処理]
図1で説明した交通情報推定装置1の推定システム11による推定処理についてさらに説明する。図8は、交通情報推定装置1による交通情報推定方法を示している。
なお、ここで説明する推定処理、及び、後に説明する学習処理では、選択反映部22へ与えられた処理用データは、高速道路である道路リンクから得られたものであり、前記選択反映部22によって「知見・ノウハウ処理A」が実行されている場合について説明する。つまり、処理アルゴリズムとして、線形対応である単純パーセプトロンが選択された場合として説明する。
【0063】
図2において、交通情報推定装置1が、処理用データとして、VICS情報やプローブ情報を取得すると、入力情報処理部16がVICS情報やプローブ情報から道路リンクの速度情報を生成する(ステップS1)。ただし、ステップS2において速度情報が取得できる道路リンクは、対象エリア内の全道路リンクのうちの一部であり、ステップS2では速度情報が得られない道路リンクがある。
【0064】
続いて、ステップS1で得られた速度情報を、推定データベース13にセットし、推定データベース13を更新する(ステップS2)。そして、推定システム11は、ステップS3で更新された推定データベース13の内容に基づいて、速度情報が得られていない道路リンクについての速度情報を推定し、推定した速度情報を、推定データベース13にセットし、推定データベース13を更新する(ステップS3)。このステップS3により、対象エリア内の全道路リンクについての速度情報(実測値と推測値とが混在したもの)が得られる。更新された推定データベース13の例を、図9に示す。
【0065】
ステップS3にて得られた全道路リンクについての速度情報は、装置外部に出力される(ステップS4)。具体的には、装置1のディスプレイに表示されるか、車載装置2への提供情報として出力される。
また、ステップS3で更新された推定データベース13の内容の一部は、学習データベース14にスナップショットとして蓄積され、学習システム12による学習用データとして用いられる(ステップS5)。
【0066】
以上のステップS1〜ステップS5の処理は、速度情報が生成される度に繰り返し実行される。入力情報処理部16は、VICS情報の更新周期(例えば5分)に合わせて、VICS情報及びプローブ情報を取得して、速度情報を生成するため、ステップS1〜ステップS5の処理は、VICS情報の更新周期(例えば5分)に合わせて繰り返し実行されることになる。
【0067】
[4.2 速度情報推定のためのモデル]
図10は、推定システム11が、推定対象道路リンクの速度情報を推定するためのニューラルネットワークの一例を示している。図示のニューラルネットワークは、0〜1の値をとるN個の入力信号xi(i:1〜N)それぞれに、重みwiを乗じて、出力値yを生成する単純パーセプトロンとして構成されている。
ここで、入力信号xiは、推定対象道路リンク以外の他の道路リンク(本実施形態では、推定対象道路リンクに接続された道路リンク)の速度情報であり、出力値yは推定対象道路リンクの速度情報である。
【0068】
また、重みxiは、推定対象道路リンク以外の複数の道路リンクそれぞれの速度情報を、どの程度の割合で反映させるかという値であり、推定対象道路リンクとの相関の高い道路リンク(例えば、推定対象道路リンクと同じ道路を構成し、推定対象道路リンクに隣接する道路リンク)ほど大きな値に設定されるべきであり、相関が低い道路リンクほど小さな値に設定されるべきものである。
【0069】
ただし、図10のものでは、一般的な単純パーセプトロンとは異なり、入力信号xiに乗じられることなくノードに加算される独立パラメータw0が設けられている。この独立パラメータw0は、推定対象道路リンク以外の道路リンクにおける速度情報以外の要因が、推定対象道路リンクの速度情報に与える要因(例えば、道路リンク間での制限速度の差)を表現することができ、速度情報を精度良く推定することができる。
【0070】
以上のように、推定システム11が、ある推定対象道路リンクの速度情報を求めるには、当該推定対象道路リンクとの相関が多少なりとも認められる他の道路リンクの速度情報と、当該他の道路リンクの速度情報をどの程度ほど推定対象道路リンクの速度情報に反映させるかを示す重みと、が得られればよい。前記他の道路リンクの速度情報は、推定データベース(交通情報データベース)13に蓄積されており、重みは重みデータベース15に蓄積されており、推定システム11は、両データベース13,15から必要な情報を取得する。
【0071】
上記のようなニューラルネットは、各道路リンクについて設けられることになるため、推定システム11は、複数の道路リンクそれぞれに関する速度情報を、他の道路リンクに関する速度情報及びその寄与度を示す推定用パラメータ(重み)を用いて推定可能に構成されていることになる。
【0072】
図8のステップS5におけるスナップショットは、入力情報が取得されて、推定データベースの全道路リンクの更新(ステップS3,S4)が行われる度に発生し、学習用データとして蓄積される。このスナップショットは、プローブ情報を取得できた道路リンクについて発生する。
したがって、推定データベースの全道路リンクの更新(ステップS2,S3)が何度も行われると、他の道路リンクについてもスナップショットが蓄積される。また、入力情報が繰り返し発生するほどの十分な時間が経過すると、一つの道路リンクについて複数のスナップショットが蓄積される。
【0073】
[4.3 学習処理について]
図11は、ある道路リンク(リンク番号20)について、複数のスナップショットが蓄積された学習データベース14の内容を示している。
このようにして多数のスナップショットが学習用データとして蓄積された学習データベース14に基づいて、学習システム12が、重みデータベース15に記憶されている重み(推定用パラメータ)の学習(最適化)を行って、重みデータベース15の内容を更新する。
【0074】
図12は、学習システム12による学習処理の手順を示している。この学習処理の手順を説明する。なお、学習システム12は、前記のとおり、学習アルゴリズムとして単純パーセプトロン(図10)が使用される。
学習システム12は、誤差判定のための許容誤差等の学習用のパラメータ設定を行う(ステップS11)。
【0075】
つまり、学習システム12は、学習データベース14(図11)に蓄積されているスナップショットのうち、実測値である速度情報を教師信号とし、教師信号となる速度情報を持つ道路リンクの関連道路リンクについての速度情報から、この教師信号を出力するための適切なニューラルネットワークを再構築する。すなわち、学習システム12は、実測値である速度情報と、当該速度情報を持つ道路リンクの関連道路リンクについての速度情報とからなる学習用データから、重みの最適値を算出する。重みの最適値の算出は、例えば、重回帰分析に基づいたアルゴリズムによって行える。
【0076】
重みの最適値の算出は、関連道路リンクについての速度情報から算出される速度情報が、教師信号に近づいて、教師信号との誤差が、設定された許容誤差未満になるまで行われる(ステップS12,ステップS13)。なお、重みの最適値の算出(学習処理)は、ニューロエンジンに限らず、他の手段によって行われてもよい。
重みが収束して学習処理が終了すると、得られた重みは、重みデータベース15に反映され、重みデータベース15が更新される。
【0077】
重みデータベース15が更新された後に、VICS情報及びプローブ情報からなる入力情報が発生すると、推定システム11による速度情報の推定は、新たな重みを用いて、より精度良く行われる。このように、本実施形態の交通情報推定装置1では、運用を続けることで、交通情報(速度情報)の推定精度が自然に向上する。
【0078】
[5. 情報処理装置の別の実施形態]
前記実施形態では、本発明の情報処理装置を、交通情報推定装置として説明した。本発明の情報処理装置は、他の用途にも適用することができ、その一例としてスパムメール学習システムを備えた情報処理装置である。このスパムメール学習システムは、到来した電子メールが、正常なメールであるか、スパムメール(迷惑メール)であるか、を判定する処理を行う。つまり、学習システムによって蓄積されたデータに基づいて、新たに到来した電子メールを分析し、正常なメールであるか、スパムメールであるかの分類を行う。
【0079】
そして、本実施形態のスパムメール学習システムは、ある知見やノウハウから得られたノウハウ処理が参照され、実行されたことにより、複数のアルゴリズムの中から選択されたアルゴリズムによって学習処理を行うことができる。
このために、前記実施形態と同様に、処理管理データベース(図4参照)が設けられており、この処理管理データベースには、スパムメール学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が記憶されている。なお、本実施形態では、前記条件は「学習用データの特性」に関する条件である。
この選択情報は、処理システムにおけるスパムメール学習処理に反映させると好ましいノウハウ処理に関する情報であり、処理管理データベース25には、このようなノウハウ処理の種類、及び、そのノウハウ処理のプログラム本体が記憶されている。なお、本実施形態でも、追加部29(図3参照)によって、選択情報(「知見・ノウハウ処理」)を新たに追加可能である。
【0080】
なお、本実施形態における学習用データは、電子メールのデータを元に形成されたデータである。例えば、学習用データは、メールのデータに含まれている、宛先のデータ、送信元のデータ、ヘッダー部分のデータ、及び、メール本文の部分のデータ等である。
図3を参考に説明すると、システム依存部21は、電子メールのデータが入力されると、当該電子メールのデータに含まれている、宛先のデータ、送信元のデータ、ヘッダー部分のデータ、及び、メール本文の部分のデータ等を取得し、これらを、処理用データとして選択反映部22へ出力する。
【0081】
そして、前記実施形態と同様に、選択反映部22は、有効である「知見・ノウハウ処理」を参照し、その処理を実行することにより、スパムメール学習処理を行うために好ましいアルゴリズムを、学習用データの特性に応じて、複数のアルゴリズムから選択する。
すると、スパムメール学習システム(処理システム)は、複数のアルゴリズムのうち、選択反映部22によって選択されたアルゴリズムによって、学習処理を実行する。
【0082】
本実施形態における選択情報(「知見・ノウハウ処理」)としては、以下のものがあり、これらについて、処理管理データベース25(図4参照)に記憶されている。また、新たに選択情報(知見・ノウハウ処理)が作成されると、追加して記憶させることができる。
選択反映部22に入力された学習用データが、日本のものである場合(つまり、日本から到来したものである場合)ベイジアンフィルタにより学習し、それ以外のものはサポートベクタマシンとベイジアンフィルタとの双方により学習するという「知見・ノウハウ処理」がある。
これによれば、海外からの電子メールに対しては二重のアルゴリズムで学習することにより、万全を備えることができる。
【0083】
また、他の「知見・ノウハウ処理」としては、選択反映部22に入力されたデータが、AAA会社のものである場合、メール本文を学習対象として学習し、それ以外はメールの宛先のデータ及びメールの送信元のデータのみを学習対象として学習するというノウハウ処理がある。この場合、第一フィルタリングにより抽出されたデータに対して、重点的に学習させることができる。
【0084】
このように設定されている「知見・ノウハウ処理」を実行することで、学習用データの特性に応じたアルゴリズムが選択され、学習処理に好ましい結果をもたらすことが可能となる。例えば、「知見・ノウハウ処理」を実行することで、ベイジアンフィルタを採用すれば、このベイジアンフィルタのアルゴリズムであるベイズ理論は回帰モデルではないので、処理を速くすることができる。また、サポートベクタマシンを採用すれば、ベイジアンフィルタの場合よりもテキスト分類の精度を高くすることができる。
【0085】
以上のような前記各実施形態によれば、情報処理に反映させると好ましい知見・ノウハウ処理が参照されることにより、情報処理の対象とする処理用データの特性に基づいて、好ましいアルゴリズムが複数のアルゴリズムから選択される。そして、このアルゴリズムによって情報処理が実行される。すなわち、情報処理の対象とする処理用データの特性に基づいて、好ましいアルゴリズムの切り替えが可能となり、汎用性の高い情報処理装置となる。また、アルゴリズムの選択は、情報処理に反映させると好ましいノウハウに関するノウハウ処理を実行することにより達成されることから、選択されるアルゴリズムは、実行される情報処理に当然相応しいものである。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
1:交通情報推定装置(情報処理装置)、 10:処理システム(処理部)、 11:推定システム(推定部)、 12:学習システム(学習部)、 22:選択反映部(反映部)、 25:処理管理データベース、 26:アルゴリズム管理データベース(第2の記憶部)、 29:選択情報追加部、 30:アルゴリズム追加部、 31:設定部、 33:記憶装置(第1の記憶部) 34:記憶装置(第2の記憶部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理のためのコンピュータプログラム及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の交通情報をドライバーに提供する技術として、財団法人道路交通情報通信システムセンターによるVICS(Vehicle Information and Communication System:なお、「VICS」は上記財団法人の登録商標)が広く知られている。
このVICSは、各種の路側センサ(車両感知器やループコイル等)から収集した車両台数や車両速度等よりなる定点観測情報に基づいて、各路線での渋滞やリンク旅行時間を含む交通情報を集計し、その交通情報を、ビーコンによる狭域通信やFM放送等の広域通信によってドライバーに提供するものである。
【0003】
また、道路の交通情報をドライバーに提供する他の技術として、プローブカーを利用した交通情報推定システム(以下、プローブシステムという。)も知られている。
このプローブシステムは、例えば特許文献1及び2に示すように、実際に道路を走行する車両(プローブ車両)を移動体センサとして利用するもので、現時点の車両位置や時刻等のプローブ情報を無線通信によって各プローブ車両から収集し、道路の交通情報を生成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−151496号公報
【特許文献2】特開2005−4467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記VICS情報は、路側センサが設置された主要幹線道路等の一部の道路に関してしか得られない。
一方、プローブシステムでは、実際に道路を走行する車両(プローブ車両)を移動体センサとして利用するため、路側センサが設置されていない道路に関しても、交通情報を取得することが可能となる。
【0006】
しかし、現状では、プローブカーの台数は、非常に少なく、VICS及びプローブシステムのいずれからもデータが得られていない道路リンクについては、交通情報を得ることができない。
【0007】
そこで、(VICS及び)プローブシステムからデータが得られていない道路リンクについては、別の道路リンクの交通情報に基づいて、交通情報を推定することが考えられる。例えば、ある道路リンクの交通情報は、当該道路リンクに接続している道路リンク等のような関連のある他の道路リンクにおける交通情報との相関が認められる。このような相関関係を利用すれば、他の道路リンクの交通情報を用いて、推定対象となる道路リンクの交通情報を補完することができる。
また、このような補完を行おうとすると、他の各道路リンクの交通情報を、どの程度、推定対象となる道路リンクの交通情報として反映させるか等を決める推定用パラメータを適切に設定することが必要となる。
【0008】
このために、コンピュータによる学習機能を用いることが考えられる。この場合、学習機能を有するシステムには、所定のアルゴリズムが設定されており、入力データに基づいて処理が行われ、推定用パラメータを最適化することが可能となる。
しかし、従来の学習機能では、適用対象に特化したアルゴリズムが設定されていることから、当該アルゴリズムにおける学習誤差の判定のためのパラメータ等の変更はできたとしても、新たなアルゴリズムが見いだされた際に、これらを反映させることはできない。つまり、従来の学習機能は汎用性が乏しいという問題点がある。したがって、新たなアルゴリズムを採用するためには、システム全体を新たに作成し直す必要がある。
そこで、本発明は、汎用性のある情報処理装置、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行する情報処理装置であって、前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である記憶部と、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部と、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行する処理部とを有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、記憶部には、学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、複数記憶されており、選択反映部によって、前記選択情報が参照されて学習処理で用いられるアルゴリズムが、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択され、処理部が、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって学習処理を実行するので、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理装置とすることができる。
【0011】
(2)また、前記記憶部に選択情報を新たに記憶させるための選択情報追加部を、更に備えているのが好ましく、この場合、新しい選択情報が得られると、情報処理装置に追加することができ、汎用性をさらに高めることが可能となる。そして、選択反映部は、追加した選択情報を含む複数の選択情報の中から、選択情報を参照することができるようになる。
【0012】
(3)また、前記アルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を複数記憶可能である第2の記憶部と、当該第2の記憶部にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部とを更に備えているのが好ましく、この場合、新しいアルゴリズムが得られると、当該新しいアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を情報処理装置に追加することができ、汎用性をさらに高めることが可能となる。そして、処理部は、追加したアルゴリズムを含む複数のアルゴリズムの中から選択されたアルゴリズムによって情報処理を実行することができるようになる。
【0013】
(4)また、前記記憶部に記憶されている複数の選択情報のうち、前記選択反映部によって行われる前記選択の処理で用いられる選択情報を設定する設定部を、更に備えているのが好ましい。この場合、記憶部は複数の選択情報を記憶可能であるが、これら複数の選択情報から、選択反映部によって行われる選択の処理で、有効とする選択情報と、無効とする選択情報との区別を行うことが可能となる。
【0014】
(5)また、前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データから、前記選択反映部によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成することができる。
(6)例えば、前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データの数を増減させて前記学習用データを生成することができる。
この場合、選択反映部によって選択されたアルゴリズムで学習処理を行う際に、当該アルゴリズムによると、入力データを追加した方が良い場合、選択反映部は、その数を増加させることができ、また、入力データを少なくしても良い場合、その数を減少させることができる。
【0015】
(7)また、前記学習処理を、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理とすることができる。
(8)また、本発明は、コンピュータを、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0016】
(9)また、本発明は、学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行するコンピュータによる情報処理方法であって、前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、コンピュータに複数記憶されており、コンピュータが、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択し、コンピュータが、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、そのアルゴリズムによって前記学習処理を実行することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、複数記憶されており、前記選択情報を参照して学習処理で用いられるアルゴリズムが、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択され、選択されたアルゴリズムによって学習処理が実行されるので、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理方法を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アルゴリズムの選択が可能となり、汎用性の高い情報処理装置とすることができ、また、及び、汎用性の高い情報処理方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の情報処理装置を備えたシステムの一例を示す構成図である。
【図2】交通情報システムの構成図である。
【図3】知見・ノウハウを反映させるための構成を示した構成図である。
【図4】処理管理データベースが記憶されている記憶装置の説明図である。
【図5】アルゴリズム管理データベースの説明図である。
【図6】知見・ノウハウを反映させる処理の説明図である。
【図7】知見・ノウハウを反映させる処理の説明図である。
【図8】交通情報推定方法を示しているフローチャートである。
【図9】推定データベースを示す図である。
【図10】ニューラルネットワークの構成図である。
【図11】学習データベースを示す図である。
【図12】学習処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理装置を備えたシステムの一例を示す構成図である。本実施形態では、情報処理装置を交通情報推定装置(中央装置)1として具体化しており、図1は、交通情報推定装置1を備えた交通情報システムの全体構成図である。この交通情報システムは、交通情報推定装置1のほか、車載装置2を搭載したプローブ車両3、車載装置2と無線通信する路側通信機4、及び路側センサ5等を含む。
【0021】
交通情報推定装置1は、例えば中央装置における様々な機能のうちの一機能を指しており、交通情報推定装置1は、VICS情報及びプローブ情報等の交通情報(観測情報)を取得し、車両に提供するための提供用の交通情報を生成する機能を有している。なお、交通情報推定装置1は、交通情報に基づいて、信号機制御や交通管制等の各種の交通用処理を行ってもよい。
【0022】
この交通情報推定装置(情報処理装置)1は、処理装置(CPU)及び記憶装置を有するコンピュータによって構成されており、記憶装置には、コンピュータを、交通情報推定装置1として機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。このコンピュータプログラムは、前記CPUによって実行され、前記CPUが前記記憶装置等に対し入出力を行うことで、交通情報推定装置1としての機能を実現する。なお、以下に説明する交通情報推定装置(情報処理装置)1の機能は、特に断らない限り、前記コンピュータプログラムによって実現されるものである。
【0023】
前記車載装置2は、プローブ車両3の観測情報としてプローブ情報を生成し、路側通信機4に無線送信する。
プローブ情報は、プローブ車両の位置、当該位置の通過時刻及びプローブ車両の車両ID等を含む交通情報である。また、プローブ情報には、プローブ車両の通過速度等その他の情報を含めても良い。プローブ情報の位置及び時刻の情報に基づいて、道路リンク毎のリンク旅行時間が得られる。なお、プローブ車両の位置は、車載装置2が有するGPS受信機によって受信したGPS信号に基づいて算出される。
【0024】
前記路側通信機4は、車載装置2との間で無線通信によって情報の送受信を行うものである。具体的には、路側通信機4は、車載装置2が送信した観測情報としてのプローブ情報を受信し、交通情報推定装置1に転送する。また、路側通信機4は、交通情報推定装置から、車両への提供用の交通情報を取得し、その交通情報を、車載装置2に送信することができる。なお、路側通信機4と交通情報推定装置との間は、通信回線によって接続されている。
又は、車載装置2は、当該車載装置2と接続した携帯電話機50を介して、プローブ情報を送信してもよい。この場合、車載装置2によってプローブ情報が生成されると、当該プローブ情報は、携帯電話機50へ送られ、携帯電話機50が基地局49へプローブ情報を送信する。そして、基地局49は、プローブ情報を交通情報推定装置1に転送する。また、携帯電話機50は、交通情報推定装置1から基地局49を介して、車両への提供用の交通情報を取得し、その交通情報を、車載装置2に送ることができる。
【0025】
前記路側センサ5は、観測情報としての交通情報を検出するためのものであり、例えば、直下を通行する車両を超音波感知する車両感知器や、インダクタンス変化で車両を感知するループコイル、或いは、カメラの映像を画像処理して交通量や車両速度を計測する画像感知器よりなり、交差点等に流入する車両台数や車両速度を計測する目的で、高速道路や主要な幹線道路等に設置されている。
【0026】
路側センサ5によって検出された観測情報は、通信回線を介して、VICSセンタサーバ6に送信され、このVICSセンタサーバ6では、路側センサ5の観測情報に基づいて、VICS情報を生成する。このVICS情報は、通信回線を介して、交通情報推定装置1に送信される。
【0027】
前記VICS情報は、各道路リンクでの渋滞やリンク旅行時間を含む交通情報である。VICS情報は、路側センサ5から5分ごとに観測情報を取得して、更新されるため、時間的に高密度な情報が得られる。しかし、路側センサ5はすべての道路に設置されているわけではなく(主要道路でも20%以下)、エリアカバー率が低い。
一方、前記プローブ情報は、道路を走行するプローブ車両3から取得するため、エリアカバー率を高くすることが可能である。ただし、プローブ車両3となるための車載装置2の普及率がまだ低いため、時間的に低密度のデータしか得られない。
【0028】
つまり、所定エリア内の道路に、道路リンクを設定した場合、VICS情報が得られる道路リンクについては、VICS情報の更新単位時間ごとに常に交通情報(VICS情報)が得られる。一方、VICS情報が得られない道路リンクについては、VICS情報の更新単位時間毎にみると、プローブ情報が交通情報として得られる道路リンクがある一方、プローブ情報も得られない道路リンクが混在することになる。
【0029】
[2.交通情報推定装置の全体構成]
本実施形態に係る交通情報推定装置1は、VICS情報もプローブ情報も得られない道路リンクの交通情報を推定して、当該道路リンクの交通情報を補完することで、所定エリア内の全道路リンクの交通情報を取得する。つまり、本実施形態に係る交通情報推定装置1は、所定エリア内の全道路リンクを母集団とし、全道路リンクのうちの一部の道路リンクについて交通情報を取得すると、残りの道路リンクについての交通情報を推定する。
【0030】
このように、VICS情報もプローブ情報も得られない道路リンクの交通情報を補完することで、より精度が高い交通情報を車両(ナビゲーションシステム)に提供したり、精度良く交通管制を行ったりすることが可能となる。
なお、以下では、VICS情報もプローブ情報も得られず交通情報を推定して補完する必要がある道路リンクを、「推定対象道路リンク」という。
【0031】
図2に示すように、交通情報推定装置1は、情報処理を行う処理システム(処理部)10として、推定対象道路リンクの交通情報を推定するための推定システム(推定部)11と、推定に用いられるパラメータ(推定用パラメータ)を学習するための学習システム(学習部)12とを備えている。
そして、後にも説明するが、処理システム10(推定システム11及び学習システム12)は、ある知見やノウハウを反映させることによりアルゴリズムを切り替えて情報処理(推定処理及び学習処理)を実行することができる。すなわち、処理システム10は、ある知見やノウハウから得られたノウハウ処理に関する選択情報が参照されることにより、推定処理及び学習処理を行うために好ましいアルゴリズムが選択され、選択されたアルゴリズムによって推定処理及び学習処理が実行される。
【0032】
また、交通情報推定装置1は、推定システム11によって推定した交通情報等を蓄積するための推定データベース(交通情報データベース)13、推定データベース13におけるデータのうち、学習システム12における学習に用いるデータを蓄積する学習データベース14、推定用パラメータ(本実施形態では「重み」)を蓄積するための重みデータベース(推定パラメータデータベース)15と、を記憶装置上に備えている。
【0033】
本実施形態に係る交通情報推定装置1は、当該交通情報推定装置1が取得したVICS情報及びプローブ情報(以下、両情報を総称する場合、「入力情報」という)に対する処理を行う入力情報処理部16を備えていて、入力情報から、リンクの「速度情報」を生成する処理を行う。生成した「速度情報」は、推定データベース13に与えられ、推定データベース13の更新に用いられる。
「速度情報」は、道路リンクのリンク長を、当該道路リンクのリンク旅行時間で除することで、リンク旅行速度[km/h]として算出することができる。なお、対象エリア内の全道路リンクのリンク長は、予め、装置1の記憶装置に格納されている。
【0034】
[3.知見・ノウハウの反映について]
[3.1 知見・ノウハウの反映を行うための構成]
図3は、前記交通情報推定装置1の処理システム10による情報処理(推定処理及び学習処理)に、知見・ノウハウを反映させるための構成を示した構成図である。交通情報推定装置1は、コンピュータプログラムによって実現される機能部として、システム依存部21、選択反映部22、設定部31及び追加部29,30を有している。
また、本実施形態の処理システム10(学習システム12)は、処理コア部23、アルゴリズム部24を備えている。
【0035】
さらに、交通情報推定装置1は、処理管理データベース25を記憶装置上に備えている。このデータベース25には、複数の選択情報が記憶されており、この選択情報は、処理システム10における情報処理(推定処理及び学習処理)で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する情報である。なお、本実施形態では、前記条件は「道路リンクの特性」に関する条件である。
図4は処理管理データベース25を記憶している記憶装置33の説明図である。また、この選択情報は、処理システム10における情報処理に反映させると好ましいノウハウ処理に関する情報であり、処理管理データベース25には、このようなノウハウ処理の種類が記憶されており、ここでは更に、そのノウハウ処理のプログラム本体が同じ記憶装置33上に記憶されている。
【0036】
すなわち、図4において、処理管理データベース25は、「インデックス」25a、「知見・ノウハウ処理」25b、「有効/無効」25cのデータ項目を有しており、「インデックス」の番号毎にそれぞれのデータ項目を保存可能なものである。そして、「知見・ノウハウ処理」25bの項目に、前記ノウハウ処理の種類が記録されている。
【0037】
図3において、システム依存部21は、処理システム10に依存する処理を行う機能を有しており、処理システム10によって行われる情報処理の前処理を行う。なお、システム依存部21による前処理は、後述する選択反映部22による知見・ノウハウに関連する処理以外の処理である。システム依存部21は、入力された入力データを前処理し、選択反映部22へ処理用データを与える。
【0038】
選択反映部22は、処理システム10による推定処理及び学習処理に、知見・ノウハウを反映させるための処理を行う機能を有している。
選択反映部22は、前記処理管理データベース25(図4参照)に基づいて、有効であるインデックスの「知見・ノウハウ処理」を抽出する。そして、選択反映部22は、複数の「知見・ノウハウ処理」の中から抽出された、所定の「知見・ノウハウ処理」を参照し、当該「知見・ノウハウ処理」のプログラムを実行する。
これにより、処理システム10による推定処理及び学習処理で用いられるアルゴリズムが、「道路リンクの特性」に応じて、複数のアルゴリズムから選択される処理が行われる。また、選択反映部22は、参照した「知見・ノウハウ処理」及び処理システム10による情報処理に適応する入力及び出力の様式を設定することができる。
【0039】
すなわち、図4の場合、選択反映部22は、図4のインデックスの項目において「0」及び「2」が有効であるので、「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を抽出し、これらを参照及び実行し、推定処理及び学習処理を行うために好ましいアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから選択する。また、選択反映部22は、処理システム10へ出力する処理用データの数を変更することができる。なお、「知見・ノウハウ処理」の具体例は、後に説明する。
【0040】
また、図4の処理管理データベース25では、選択情報(知見・ノウハウ処理)の追加、削除、更新が可能である。すなわち、新規に選択情報(知見・ノウハウ処理)を追加する場合は、空いている(又は既存の番号と重複しない)インデックスの番号に対応させて、新たな知見・ノウハウ処理を蓄積させればよい。
このために、処理管理データベース25が記憶されている記憶装置33に、知見・ノウハウ処理(選択情報)を新たに記憶させるための選択情報追加部29(図3参照)を、備えている。管理者によって、新たな知見・ノウハウ処理が得られると、この知見・ノウハウ処理を選択情報追加部29によって記憶装置33(図4参照)に追加することができる。
【0041】
また、既に蓄積されている知見・ノウハウ処理が不要となった場合、該当するインデックスに対応する「有効/無効」のデータ項目を「無効」とすればよい。つまり、推定処理及び学習処理に必要とする知見・ノウハウ処理は、「有効/無効」の項目が「有効」となっている。
また、この「有効/無効」の項目の設定(切り替え)は、管理者によって、前記設定部31(図3参照)が用いられて行われる。つまり、設定部31によれば、記憶装置33(処理管理データベース25)に記憶されている複数の知見・ノウハウ処理のうち、選択反映部22によって行われる選択の処理で用いられる知見・ノウハウ処理の設定を行うことができる。なお、処理管理データベース25のデータ項目「有効/無効」25cにおける有効から無効への切り替え、無効から有効への切り替えは、管理者によって、設定部31を通じて任意に行うことができる。
そして、知見・ノウハウ処理を更新する場合は、更新する知見・ノウハウ処理のプログラム本体を更新すればよい。
【0042】
選択反映部22は、さらに、学習処理のために入力される(処理用データ)入力データから、当該選択反映部22によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成する機能を有している。例えば、選択反映部22は、学習用データ(システム依存部21からの入力データ)の数を増減させる機能を有している。
すなわち、選択反映部22は、フィルタリング機能を有し、取得した複数の処理用データを減少させることができる。選択反映部22は、抽出された「知見・ノウハウ処理」に応じて、処理用データの数を追加するのがよいと判断した場合には、処理用データの数を増加させる。つまりこの場合、処理用データの数が足りないと、選択反映部22は、必要な数となるまで処理用データを蓄積しておき、必要な数に達すると、次のステップに進む処理を行う。
【0043】
このように、選択反映部22による処理の前後で、処理用データの数は増減することとなる。なお、処理の前後で、処理用データの形式は同じであってもよいが、必要に応じて処理用データの形式を変化させてもよい。
そして、選択反映部22は、抽出された「知見・ノウハウ処理」に応じて適切な出力として、処理用データを処理システム10(処理コア部23)へ与える。
処理コア部23は、選択反映部22から処理用データを得ると、情報処理のためのアルゴリズムを実行するための前処理及び後処理を行う機能を有している。なお、どのアルゴリズムが選択されるかについては、選択反映部22による「知見・ノウハウ処理」の実行処理に依存する。
【0044】
前記アルゴリズム部24は、複数のアルゴリズムを備えており、アルゴリズムそれぞれに依存した実質的な処理を実行する機能を有している。これらアルゴリズムは、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)に記憶されている。アルゴリズム管理データベース26は、交通情報推定装置1が有している記憶装置34上に備えたものであり、「インデックス」26a、「アルゴリズム」26bのデータ項目を有しており、インデックスの番号毎にアルゴリズムの種類を保存可能なものである。なお、アルゴリズムのプログラム本体は、データベースと同じ記憶装置34に記憶されている。
【0045】
このアルゴリズムは、追加、削除、更新が可能である。例えば、交通情報推定装置1が有しているフレームワークに基づいて、新たなアルゴリズムを作成することができ、作成したアルゴリズムを追加的に記憶装置34に記憶させることができる。
このために、アルゴリズム管理データベース26が記憶されている記憶装置34にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部30(図3参照)を、備えている。新たなアルゴリズムが得られると、このアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報をアルゴリズム追加部30によって、アルゴリズム管理データベース26が記憶されている記憶装置34に追加することができる。アルゴリズム処理情報は、例えば、対象アルゴリズムのプログラム本体のほか、それに対応する識別情報(インデックス)及び記憶場所を示すテーブルを含んでよい。なお、アルゴリズム(学習アルゴリズム)としては、図5に示しているように、単純パーセプトロン、バックプロパゲーション、サポートベクタマシン及びベイジアンネット等がある。
【0046】
[3.2 知見・ノウハウの反映の具体例]
テレマティクス分野において、図1で説明したように、他の道路リンク(以下、関連道路リンクともいう)の交通情報に基づいて、推定対象道路リンクの交通情報を推定する交通情報推定装置1を備えた交通情報システムがある。交通情報推定装置1は、処理システム10として、他の道路リンクの交通情報及び推定用パラメータを用いて、推定対象道路リンクの交通情報を推定する推定システム11と、前記推定用パラメータを最適化する学習システム12とを備えている。
【0047】
学習システム12によって実行される学習処理は、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理である。すなわち、学習システム12は、蓄積された学習用データを用いて推定用パラメータを最適化する構成である。学習用データは、推定対象道路リンクになり得る道路リンクにおける実測値に基づく交通情報と、当該推定対象道路リンクの交通情報を推定するために用いられる他の道路リンクの交通情報との組み合わせによるデータである。
【0048】
この交通情報推定装置1に、知見・ノウハウの反映を行うための構成を適用した場合を説明する。
図6において、システム依存部21に、ある道路リンクに関して、推定システム11が求めた交通情報(推定値)、又は、VICS情報及びプローブ情報に基づく交通情報(実測値)等の入力データが入力される。システム依存部21は、この入力データを前処理して処理用データを生成し、選択反映部22に与える。
【0049】
選択反映部22は、前記処理用データが得られた道路リンクの特性(以下では、「道路特性」という)を把握する必要がある。なお、道路特性としては、例えば、道路が高速道路であるか、一般道路であるかについての道路種別がある。
道路特性を把握するために、選択反映部22は、例えば、取得した処理用データの値のばらつき(標準偏差)と、予め設定されている閾値とを比較する。そして、選択反映部22は、ばらつきが閾値よりも大きいと判定した場合、処理用データの種別は、一般道路についてのものであると判定する。
これに対して、選択反映部22は、前記ばらつきが閾値以下であると判定した場合、処理用データの種別は、高速道路についてのものであると判定する。
【0050】
または、選択反映部22は、交通情報推定装置1の記憶装置に蓄積されている、各道路リンクの道路特性についての情報(特性情報)を取得することで、道路特性を把握してもよい。すなわち、全道路リンクそれぞれの道路特性については、道路リンク設定時に、その特性についての情報が、道路リンクのリンク番号と対応付けられて、交通情報推定装置1の記憶装置に蓄積されている。このため、選択反映部22は処理用データと当該処理用データに含まれる道路リンクのリンク番号の情報とを取得することで、道路リンクそれぞれの特性情報を把握することができる。
【0051】
そして、選択反映部22は、処理管理データベース25(図4参照)に基づいて、有効であるインデックス「0」「2」の「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を抽出する。選択反映部22は、これら「知見・ノウハウ処理A」及び「知見・ノウハウ処理C」を参照し、アルゴリズムの選択を実行する。なお、処理管理データベース25における「有効/無効」25cのデータ項目は、前記設定部31が用いられて管理者によって予め設定されたものである。
【0052】
「知見・ノウハウ処理A」は、道路リンクが高速道路である場合、線形対応のアルゴリズムである単純パーセプトロンを使い、道路リンクが一般道路である場合、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを使うという処理である。
【0053】
ここで、推定システム11によって道路情報を推定する対象である道路リンク(推定対象道路リンク)が、高速道路である場合と、一般道路である場合とで挙動が異なる。具体的には、高速道路では、推定対象道路リンクとそれに関連がある関連道路リンクとの間には、線形の相関関係が強く、一般道路では、推定対象道路リンクと関連道路リンクとの間に、非線形の相関関係が強いという知見がある。
そこで、この知見を、処理システム10における情報処理(推定処理及び学習処理)に反映させるためのものが、前記「知見・ノウハウ処理A」である。なお、「知見・ノウハウ処理」は、システム管理者によって創出される。
非線形に対応するアルゴリズムは線形なものを包含するので、全てについて、非線形対応のアルゴリズムで処理してもよいが、処理時間が多くかかってしまう。そこで「知見・ノウハウ処理A」によれば、線形のアルゴリズムでも十分処理精度が得られるものは、線形のアルゴリズムで処理し、処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
選択反映部22は、前記のとおり、処理用データが得られた道路リンクの道路特性を把握していることから、この道路特性に基づいて「知見・ノウハウ処理A」を実行する。
すなわち、処理用データが得られた道路リンクが高速道路であった場合、「知見・ノウハウ処理A」によれば、選択反映部22は、線形対応のアルゴリズムである単純パーセプトロンを選択する。
この場合、選択反映部22は、この「知見・ノウハウ処理A」の実行結果により、線形対応のアルゴリズムを選択すべきであるため、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)における「インデックス」を「0」(選択したアルゴリズムの識別情報)とすることを示す制御信号を生成する。
【0055】
そして、選択反映部22は、処理コア部23へ処理用データと共に、前記制御信号を送る。
処理コア部23は、選択したアルゴリズムの識別情報が含まれる前記制御信号を取得すると、アルゴリズム管理データベース26(図5)によれば、処理アルゴリズムとして、単純パーセプトロンが選択されているので、その実行の開始処理を行う。つまり、図6に示しているように、アルゴリズムとして単純パーセプトロンが選択される。処理コア部23は、上述のアルゴリズム処理情報に含まれるテーブルを参照し、選択された単純パーセプトロンの識別情報からその記憶場所を取得する。アルゴリズム部24は、その記憶場所から単純パーセプトロン(例えば、重回帰分析)のプログラムを読み出し、これを利用して学習処理を行う。また、この場合、推定システム11は、この単純パーセプトロンを用いて推定処理を行うことになる。
【0056】
また、「知見ノウハウ処理C」は、道路リンクが高速道路である場合において、処理用データの数を減らすという処理である。
そこで、道路リンクが高速道路であるので、選択反映部22は「知見ノウハウ処理C」を実行する。すなわち、複数が入力された学習用データのうち、類似しているデータについては削除する。
【0057】
ここで、線形のアルゴリズムを採用する場合では、類似している処理用データを削除しても、処理精度はさほど低下しないという知見がある。そこで、この知見を学習システム12による処理に反映させるためのものが、前記「知見・ノウハウ処理C」であり、システム管理者によって創出される。
この「知見・ノウハウ処理C」によれば、道路リンクが高速道路である場合、線形のアルゴリズムを採用することから、複数が入力された処理用データ(学習用データ)のうち、類似しているデータについては、削除し、さらなる処理速度の向上を図ることが可能となる。
【0058】
これに対して、システム依存部21から取得された処理用データが、一般道路である道路リンクによるものであった場合、「知見・ノウハウ処理A」によれば、選択反映部22は、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを選択する。
この場合、選択反映部22は、この「知見・ノウハウ処理A」の実行結果により、非線形対応のアルゴリズムを選択するため、アルゴリズム管理データベース26(図5参照)における「インデックス」を「1」とすることを示す制御信号を生成する。
【0059】
そして、選択反映部22は、処理コア部23へ処理用データと共に、前記制御信号を送る。
処理コア部23は、制御信号を取得すると、アルゴリズム管理データベース26(図5)によれば、処理アルゴリズムとして、バックプロパゲーションが選択されているので、その実行の開始処理を行う。つまり、図7に示しているように、アルゴリズムとしてバックプロパゲーションが選択され、アルゴリズム部24は、バックプロパゲーションを利用して学習処理を行う。また、この場合、推定システム11は、多層パーセプトロンを用いて推定処理を行うことになる。
【0060】
また、「知見・ノウハウ処理」の他の例として、以下のようなものがあり、これらについても、処理管理データベース25(図4)に記憶されている。
すなわち、選択反映部22に入力された処理用データが、高速道路の道路リンクについてのものであり、かつ、当該道路リンクが、東京都、大阪府及び名古屋市のいずれかに含まれている場合は、非線形対応のアルゴリズムであるバックプロパゲーションを利用し、それ以外であれば、線形対応のアルゴリズムである単層パーセプトロンを利用するという「知見・ノウハウ処理」がある。これは、高速道路では、周囲の道路リンクと比較的、線形的な相関があるが、首都圏では、分岐やランプも多く、非線形的な相関が強くなるという知見によるものである。
【0061】
また、選択反映部22に入力された処理用データ内に、性質が異なるデータが混在する場合、例えば、同じ道路リンクであるにも関わらず、当該道路リンクについて取得された交通情報の性質(速度情報の値)が大きく異なる場合、当該交通情報(速度情報)を分類して、分類した交通情報(速度情報)毎で、推定処理を行い、かつ、学習処理を行うようにするという「知見・ノウハウ処理」がある。
この「知見・ノウハウ処理」は、例えば、高速道路のランプの手前にあって複数車線を有する道路の道路リンクで有効である。すなわち、前記複数の車線のうち、先で分岐して一般道路へと繋がる(高速道路の出口へと繋がる)車線では、車両が渋滞することがあり、取得される速度情報が低速を示すのに対し、高速道路を継続して走行する車線では、取得される速度情報が高速を示すことがあるという知見に基づく。この場合、車両の行き先毎に、速度情報を分類して、分類した速度情報毎で、推定処理を行い、かつ、学習処理を行うようにすればよい。
さらに、別の「知見・ノウハウ処理」としては、特定の道路リンクでは、学習用データの数が所定値(例えば100個)以上集まるまでは、空のアルゴリズム(なし)とするというノウハウ処理がある。
【0062】
[4.推定システムについて]
[4.1 推定処理]
図1で説明した交通情報推定装置1の推定システム11による推定処理についてさらに説明する。図8は、交通情報推定装置1による交通情報推定方法を示している。
なお、ここで説明する推定処理、及び、後に説明する学習処理では、選択反映部22へ与えられた処理用データは、高速道路である道路リンクから得られたものであり、前記選択反映部22によって「知見・ノウハウ処理A」が実行されている場合について説明する。つまり、処理アルゴリズムとして、線形対応である単純パーセプトロンが選択された場合として説明する。
【0063】
図2において、交通情報推定装置1が、処理用データとして、VICS情報やプローブ情報を取得すると、入力情報処理部16がVICS情報やプローブ情報から道路リンクの速度情報を生成する(ステップS1)。ただし、ステップS2において速度情報が取得できる道路リンクは、対象エリア内の全道路リンクのうちの一部であり、ステップS2では速度情報が得られない道路リンクがある。
【0064】
続いて、ステップS1で得られた速度情報を、推定データベース13にセットし、推定データベース13を更新する(ステップS2)。そして、推定システム11は、ステップS3で更新された推定データベース13の内容に基づいて、速度情報が得られていない道路リンクについての速度情報を推定し、推定した速度情報を、推定データベース13にセットし、推定データベース13を更新する(ステップS3)。このステップS3により、対象エリア内の全道路リンクについての速度情報(実測値と推測値とが混在したもの)が得られる。更新された推定データベース13の例を、図9に示す。
【0065】
ステップS3にて得られた全道路リンクについての速度情報は、装置外部に出力される(ステップS4)。具体的には、装置1のディスプレイに表示されるか、車載装置2への提供情報として出力される。
また、ステップS3で更新された推定データベース13の内容の一部は、学習データベース14にスナップショットとして蓄積され、学習システム12による学習用データとして用いられる(ステップS5)。
【0066】
以上のステップS1〜ステップS5の処理は、速度情報が生成される度に繰り返し実行される。入力情報処理部16は、VICS情報の更新周期(例えば5分)に合わせて、VICS情報及びプローブ情報を取得して、速度情報を生成するため、ステップS1〜ステップS5の処理は、VICS情報の更新周期(例えば5分)に合わせて繰り返し実行されることになる。
【0067】
[4.2 速度情報推定のためのモデル]
図10は、推定システム11が、推定対象道路リンクの速度情報を推定するためのニューラルネットワークの一例を示している。図示のニューラルネットワークは、0〜1の値をとるN個の入力信号xi(i:1〜N)それぞれに、重みwiを乗じて、出力値yを生成する単純パーセプトロンとして構成されている。
ここで、入力信号xiは、推定対象道路リンク以外の他の道路リンク(本実施形態では、推定対象道路リンクに接続された道路リンク)の速度情報であり、出力値yは推定対象道路リンクの速度情報である。
【0068】
また、重みxiは、推定対象道路リンク以外の複数の道路リンクそれぞれの速度情報を、どの程度の割合で反映させるかという値であり、推定対象道路リンクとの相関の高い道路リンク(例えば、推定対象道路リンクと同じ道路を構成し、推定対象道路リンクに隣接する道路リンク)ほど大きな値に設定されるべきであり、相関が低い道路リンクほど小さな値に設定されるべきものである。
【0069】
ただし、図10のものでは、一般的な単純パーセプトロンとは異なり、入力信号xiに乗じられることなくノードに加算される独立パラメータw0が設けられている。この独立パラメータw0は、推定対象道路リンク以外の道路リンクにおける速度情報以外の要因が、推定対象道路リンクの速度情報に与える要因(例えば、道路リンク間での制限速度の差)を表現することができ、速度情報を精度良く推定することができる。
【0070】
以上のように、推定システム11が、ある推定対象道路リンクの速度情報を求めるには、当該推定対象道路リンクとの相関が多少なりとも認められる他の道路リンクの速度情報と、当該他の道路リンクの速度情報をどの程度ほど推定対象道路リンクの速度情報に反映させるかを示す重みと、が得られればよい。前記他の道路リンクの速度情報は、推定データベース(交通情報データベース)13に蓄積されており、重みは重みデータベース15に蓄積されており、推定システム11は、両データベース13,15から必要な情報を取得する。
【0071】
上記のようなニューラルネットは、各道路リンクについて設けられることになるため、推定システム11は、複数の道路リンクそれぞれに関する速度情報を、他の道路リンクに関する速度情報及びその寄与度を示す推定用パラメータ(重み)を用いて推定可能に構成されていることになる。
【0072】
図8のステップS5におけるスナップショットは、入力情報が取得されて、推定データベースの全道路リンクの更新(ステップS3,S4)が行われる度に発生し、学習用データとして蓄積される。このスナップショットは、プローブ情報を取得できた道路リンクについて発生する。
したがって、推定データベースの全道路リンクの更新(ステップS2,S3)が何度も行われると、他の道路リンクについてもスナップショットが蓄積される。また、入力情報が繰り返し発生するほどの十分な時間が経過すると、一つの道路リンクについて複数のスナップショットが蓄積される。
【0073】
[4.3 学習処理について]
図11は、ある道路リンク(リンク番号20)について、複数のスナップショットが蓄積された学習データベース14の内容を示している。
このようにして多数のスナップショットが学習用データとして蓄積された学習データベース14に基づいて、学習システム12が、重みデータベース15に記憶されている重み(推定用パラメータ)の学習(最適化)を行って、重みデータベース15の内容を更新する。
【0074】
図12は、学習システム12による学習処理の手順を示している。この学習処理の手順を説明する。なお、学習システム12は、前記のとおり、学習アルゴリズムとして単純パーセプトロン(図10)が使用される。
学習システム12は、誤差判定のための許容誤差等の学習用のパラメータ設定を行う(ステップS11)。
【0075】
つまり、学習システム12は、学習データベース14(図11)に蓄積されているスナップショットのうち、実測値である速度情報を教師信号とし、教師信号となる速度情報を持つ道路リンクの関連道路リンクについての速度情報から、この教師信号を出力するための適切なニューラルネットワークを再構築する。すなわち、学習システム12は、実測値である速度情報と、当該速度情報を持つ道路リンクの関連道路リンクについての速度情報とからなる学習用データから、重みの最適値を算出する。重みの最適値の算出は、例えば、重回帰分析に基づいたアルゴリズムによって行える。
【0076】
重みの最適値の算出は、関連道路リンクについての速度情報から算出される速度情報が、教師信号に近づいて、教師信号との誤差が、設定された許容誤差未満になるまで行われる(ステップS12,ステップS13)。なお、重みの最適値の算出(学習処理)は、ニューロエンジンに限らず、他の手段によって行われてもよい。
重みが収束して学習処理が終了すると、得られた重みは、重みデータベース15に反映され、重みデータベース15が更新される。
【0077】
重みデータベース15が更新された後に、VICS情報及びプローブ情報からなる入力情報が発生すると、推定システム11による速度情報の推定は、新たな重みを用いて、より精度良く行われる。このように、本実施形態の交通情報推定装置1では、運用を続けることで、交通情報(速度情報)の推定精度が自然に向上する。
【0078】
[5. 情報処理装置の別の実施形態]
前記実施形態では、本発明の情報処理装置を、交通情報推定装置として説明した。本発明の情報処理装置は、他の用途にも適用することができ、その一例としてスパムメール学習システムを備えた情報処理装置である。このスパムメール学習システムは、到来した電子メールが、正常なメールであるか、スパムメール(迷惑メール)であるか、を判定する処理を行う。つまり、学習システムによって蓄積されたデータに基づいて、新たに到来した電子メールを分析し、正常なメールであるか、スパムメールであるかの分類を行う。
【0079】
そして、本実施形態のスパムメール学習システムは、ある知見やノウハウから得られたノウハウ処理が参照され、実行されたことにより、複数のアルゴリズムの中から選択されたアルゴリズムによって学習処理を行うことができる。
このために、前記実施形態と同様に、処理管理データベース(図4参照)が設けられており、この処理管理データベースには、スパムメール学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が記憶されている。なお、本実施形態では、前記条件は「学習用データの特性」に関する条件である。
この選択情報は、処理システムにおけるスパムメール学習処理に反映させると好ましいノウハウ処理に関する情報であり、処理管理データベース25には、このようなノウハウ処理の種類、及び、そのノウハウ処理のプログラム本体が記憶されている。なお、本実施形態でも、追加部29(図3参照)によって、選択情報(「知見・ノウハウ処理」)を新たに追加可能である。
【0080】
なお、本実施形態における学習用データは、電子メールのデータを元に形成されたデータである。例えば、学習用データは、メールのデータに含まれている、宛先のデータ、送信元のデータ、ヘッダー部分のデータ、及び、メール本文の部分のデータ等である。
図3を参考に説明すると、システム依存部21は、電子メールのデータが入力されると、当該電子メールのデータに含まれている、宛先のデータ、送信元のデータ、ヘッダー部分のデータ、及び、メール本文の部分のデータ等を取得し、これらを、処理用データとして選択反映部22へ出力する。
【0081】
そして、前記実施形態と同様に、選択反映部22は、有効である「知見・ノウハウ処理」を参照し、その処理を実行することにより、スパムメール学習処理を行うために好ましいアルゴリズムを、学習用データの特性に応じて、複数のアルゴリズムから選択する。
すると、スパムメール学習システム(処理システム)は、複数のアルゴリズムのうち、選択反映部22によって選択されたアルゴリズムによって、学習処理を実行する。
【0082】
本実施形態における選択情報(「知見・ノウハウ処理」)としては、以下のものがあり、これらについて、処理管理データベース25(図4参照)に記憶されている。また、新たに選択情報(知見・ノウハウ処理)が作成されると、追加して記憶させることができる。
選択反映部22に入力された学習用データが、日本のものである場合(つまり、日本から到来したものである場合)ベイジアンフィルタにより学習し、それ以外のものはサポートベクタマシンとベイジアンフィルタとの双方により学習するという「知見・ノウハウ処理」がある。
これによれば、海外からの電子メールに対しては二重のアルゴリズムで学習することにより、万全を備えることができる。
【0083】
また、他の「知見・ノウハウ処理」としては、選択反映部22に入力されたデータが、AAA会社のものである場合、メール本文を学習対象として学習し、それ以外はメールの宛先のデータ及びメールの送信元のデータのみを学習対象として学習するというノウハウ処理がある。この場合、第一フィルタリングにより抽出されたデータに対して、重点的に学習させることができる。
【0084】
このように設定されている「知見・ノウハウ処理」を実行することで、学習用データの特性に応じたアルゴリズムが選択され、学習処理に好ましい結果をもたらすことが可能となる。例えば、「知見・ノウハウ処理」を実行することで、ベイジアンフィルタを採用すれば、このベイジアンフィルタのアルゴリズムであるベイズ理論は回帰モデルではないので、処理を速くすることができる。また、サポートベクタマシンを採用すれば、ベイジアンフィルタの場合よりもテキスト分類の精度を高くすることができる。
【0085】
以上のような前記各実施形態によれば、情報処理に反映させると好ましい知見・ノウハウ処理が参照されることにより、情報処理の対象とする処理用データの特性に基づいて、好ましいアルゴリズムが複数のアルゴリズムから選択される。そして、このアルゴリズムによって情報処理が実行される。すなわち、情報処理の対象とする処理用データの特性に基づいて、好ましいアルゴリズムの切り替えが可能となり、汎用性の高い情報処理装置となる。また、アルゴリズムの選択は、情報処理に反映させると好ましいノウハウに関するノウハウ処理を実行することにより達成されることから、選択されるアルゴリズムは、実行される情報処理に当然相応しいものである。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
1:交通情報推定装置(情報処理装置)、 10:処理システム(処理部)、 11:推定システム(推定部)、 12:学習システム(学習部)、 22:選択反映部(反映部)、 25:処理管理データベース、 26:アルゴリズム管理データベース(第2の記憶部)、 29:選択情報追加部、 30:アルゴリズム追加部、 31:設定部、 33:記憶装置(第1の記憶部) 34:記憶装置(第2の記憶部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行する情報処理装置であって、
前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である記憶部と、
前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部と、
選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行する処理部と、
を有していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部に選択情報を新たに記憶させるための選択情報追加部を、更に備えている請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を複数記憶可能である第2の記憶部と、当該第2の記憶部にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部と、を更に備えている請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶されている複数の選択情報のうち、前記選択反映部によって行われる前記選択の処理で用いられる選択情報を設定する設定部を、更に備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データから、前記選択反映部によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成する請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データの数を増減させて前記学習用データを生成する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記学習処理は、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理である請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行するコンピュータによる情報処理方法であって、
前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、コンピュータに複数記憶されており、
コンピュータが、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択し、
コンピュータが、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項1】
学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行する情報処理装置であって、
前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報を、複数記憶可能である記憶部と、
前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択する選択反映部と、
選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行する処理部と、
を有していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部に選択情報を新たに記憶させるための選択情報追加部を、更に備えている請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を複数記憶可能である第2の記憶部と、当該第2の記憶部にアルゴリズムによる処理に必要なアルゴリズム処理情報を新たに記憶させるためのアルゴリズム追加部と、を更に備えている請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶されている複数の選択情報のうち、前記選択反映部によって行われる前記選択の処理で用いられる選択情報を設定する設定部を、更に備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データから、前記選択反映部によって選択されたアルゴリズムに適応する学習用データを生成する請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択反映部は、前記学習処理のために入力される入力データの数を増減させて前記学習用データを生成する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記学習処理は、道路リンクの交通情報を他の道路リンクの交通情報から推定する推定処理を、所定のアルゴリズムにより最適化する処理である請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
学習処理を所定のアルゴリズムを用いて実行するコンピュータによる情報処理方法であって、
前記学習処理で用いられるアルゴリズムが選択される条件に関する選択情報が、コンピュータに複数記憶されており、
コンピュータが、前記選択情報を参照して前記学習処理で用いられるアルゴリズムを、複数のアルゴリズムから、前記条件に応じて選択し、
コンピュータが、選択されたアルゴリズムの識別情報を取得し、当該アルゴリズムによって前記学習処理を実行することを特徴とする情報処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−141678(P2011−141678A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1442(P2010−1442)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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