説明

情報処理装置、情報処理システムおよび制御プログラム

【課題】 顧客自身がバーコードを読み取る作業を行う場合、不慣れであるためミスが発生しやすい。また、店舗側も顧客が装置でバーコードを読み取った複数の商品のどれに読み取りミスがあるのかの確認に手間がかかるという問題がある。
【解決手段】 商品に付された情報を読取るスキャナ7と、商品の重量を測定する秤6と、スキャナ7で読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と秤6によって測定された前記商品の重量とを比較するカートCPU30と、商品情報と、この商品情報に対応した比較結果とからなる判定情報を含む登録商品テーブルを記憶するRAM32を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品情報を処理する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から商品を販売するスーパーマーケット等の店舗は、商品に付されたバーコード等の商品情報を読み取って、商品を特定し、購入される商品の合計金額を算出するPOS(Point Of Sales)レジスタを採用している。
【0003】
バーコード等の商品データの読み取りは、ひとつひとつの商品のバーコードが印刷されている位置にスキャナを接近させて行われる。このため、読み取りにかかる時間は、商品の個数に比例して長くなるため、その読み取り時間の短縮が要望されている。読み取り時間を短縮するものとして、顧客自身がPOSレジスタ設置場所での会計を行う前に、商品に付されたバーコードを読み取る装置がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読み取り時間を短縮するものとして、顧客自身がPOSレジスタ設置場所での会計を行う前に、商品に付されたバーコードを読み取る装置がある(例えば、特許文献1)。しかし、顧客自身がバーコードを読み取る作業を行う場合、不慣れであるためミスが発生しやすい。また、店舗側も顧客が装置でバーコードを読み取った複数の商品のどれに読み取りミスがあるのかの確認に手間がかかるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、情報処理装置は、商品に付された情報を読取る読取手段と、商品の重量を測定する重量測定手段と、前記読取手段で読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と前記重量測定手段によって測定された前記商品の重量とを比較する比較手段と、前記読取り手段で読取った商品情報と、この商品情報に対応し、前記比較手段により比較された結果とからなる判定情報を複数保持可能な情報記憶手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態のカートの構成図。
【図2】本実施形態のPOSレジスタの概観図。
【図3】本実施形態のシステムのブロック図。
【図4】本実施形態のPLUテーブルおよび登録商品テーブルの構成図。
【図5】本実施形態のカート制御部の全体フローチャート図。
【図6】本実施形態の開始処理ルーチンのフローチャート図。
【図7】本実施形態のスキャン処理ルーチンのフローチャート図。
【図8】本実施形態の取消処理ルーチンのフローチャート図。
【図9】本実施形態の会計前処理ルーチンのフローチャート図。
【図10】本実施形態の開始処理・スキャン処理ルーチンのディスプレイ表示例を示した図。
【図11】本実施形態の取消処理ルーチンのディスプレイ表示例を示した図。
【図12】本実施形態のPOSレジスタの確認処理のフローチャート図。
【図13】本実施形態のPOSレジスタの確認処理のディスプレイ表示例を示した図。
【図14】本実施形態のPOSレジスタの会計処理のディスプレイ表示例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下添付図面を例にとって、この発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかるカートの構成図である。カート1のフレーム等のメカ的構造は、一般にスーパーマーケット等の店舗で使用されているものである。このカート1は、使用者が好みの商品を入れて一時的に店内で持ち歩くための買い物カゴを複数戴置可能にするものである。
【0008】
カート1は、フレーム2の下部に複数の車輪3を有し、移動可能となっている。フレーム2には、水平方向に伸び、後述する秤を支持する支持台4を有する。また、カート1を押すためのハンドル5がフレーム2に連結している。フレーム2のハンドルと対向する側には、スキャナ7、ディスプレイ8が配置されている。スキャナ7は、商品に付されているバーコードを読取る光学センサを内蔵し、読取ったバーコードデータを電子化して外部に送信可能である。ディスプレイ8は、外部から受けたデータを表示可能とするものであり、本実施形態では液晶表示方式のディスプレイを採用している。このディスプレイ8は、その表面に透明のタッチパネル9を有する。このタッチパネル9は、ディスプレイ8の画面上に適宜表示されるボタンの位置を、操作者が指で押したことを検知することが可能であり、その検知結果を外部に送信する。
【0009】
スキャナ7とディスプレイ8は、操作者の使用のしやすさから、ハンドル5と対向する側の上部に配置しているが、これに限定されない。操作者の使用感から、ハンドル5の付近に設けても良い。
【0010】
支持台4の上部には秤6が配置されている。秤6の上部には、フレーム2のスキャナ7、ディスプレイ8が配置されている側と、ハンドル5側との間に開放された空間が設けられている。この空間には、買い物カゴ11を着脱自在に戴置できる。本実施形態では、1つの買い物カゴ11を戴置する例を示したが、2つ以上を戴置可能に構成しても良い。カート1は、この買い物カゴ11の底部が、秤6に必ず接触するよう構成されている。秤6は、内部に入れられた商品を含め、買い物カゴ11の重さを測定し、その重さを電子データとして外部に出力することが可能である。
【0011】
カート1の下部付近には、制御BOX10が配置されている。この制御BOX10は、秤6、スキャナ7、ディスプレイ8、タッチパネル9と電気的に接続し、これらを制御するカート制御部を内蔵している。カート制御部の詳細は後述する。尚、カート制御部に接続する秤6は、本実施形態では1つのみとしたが、例えば、図1のカート1下部の制御BOX10の隣の空いた空間にさらに設けてもよい。
【0012】
このカート1は、先に述べたように店舗内に複数あるため、各々のカートは識別番号を持つ。この識別番号は、制御BOX10が保持しており、例えば、ディスプレイ8に表示され、視覚的に認識可能となっている。勿論、ディスプレイ8に表示せず、カートのフレームに物理的に刻印する等しても良い。
【0013】
図2は、本実施形態のPOSレジスタ20の概観図である。POSレジスタ20は、キーボード21、ハンディスキャナ22、ディスプレイ23、レシートプリンタ24を有する。制御部26は、POSレジスタ20の筐体内に内蔵され、これらキーボード21等のユニットを制御する。このPOSレジスタ20の筐体の下部には独立したドロアー25が配置されている。
【0014】
キーボード21は、操作者の入力を受けるものであり、複数のキーを有する。この複数のキーにはそれぞれ、異なる用途割り当てがなされている。この用途としては、例えば数字の0、1〜9や後述する「小計」、「現/貯」等がある。
【0015】
ハンディスキャナ22は、商品に付されたバーコードを光学的に読取るものであり、一例として赤外線レーザを一方向に走査して、バーコードからの反射光をCCDセンサで読取るよう構成している。ハンディスキャナ22は、上記のような構造に限定されず、例えば、デジタルカメラ等で使用される2次元CCDを用いて、商品のバーコード近傍を画像データとして取得し、画像処理解析によりバーコードを識別・読取を行うものでも適用可能である。尚、バーコードは1次元方式のみならず、2次元方式等であってもよい。
【0016】
ディスプレイ23は、各種情報を表示するものである。例えば、ハンディスキャナ22で読取られたバーコードに対応する商品コードから、該当する商品の名称、金額、個数等の個別情報、取引単位での商品合計金額等を表示する。このディスプレイ23の表面には、透明のタッチパネルが配置され、操作者からの入力を受け付けることが可能である。
【0017】
レシートプリンタ24は、取引の成立時にその取引内容を印字して、レシートを出力するものである。出力方式として、レシート用紙が熱により発色する感熱タイプが用いられるが、これに限定されずインクジェット記録方式等、既知の方式が適用可能である。
【0018】
ドロア25は、売上金やお釣り等に使用される紙幣・硬貨を保管するものである。これらPOSレジスタ20は、レジ台27の上に配置されている。レジ台27の隣には、サッカー台28が配置されている。このサッカー台28は、取引の作業を行う際に顧客が持ち込んだ商品を置くためのものである。
【0019】
図3は、本実施形態のシステムを示したブロック図である。このシステムは、カート1の制御BOX10内のカート制御部、POSレジスタ20内の制御部26、店舗を統括するサーバ40を無線もしくは有線のネットワークにより相互に接続したものである。
【0020】
カート1の制御ボックス10内のカート制御部は、基板上にカートCPU30を有し、制御部全体の制御を司る。カートCPU30に繋がる制御バスには、プログラムを格納するROM31、一時的にデータを格納するRAM32、ディスプレイ8を接続・制御するディスプレイコントローラ33、タッチパネル9を接続・制御するタッチパネルコントローラ34、スキャナ7を接続・制御するスキャナコントローラ35、秤6を接続・制御する秤コントローラ36、外部との通信を行う無線LANコントローラ37が接続され、カートCPU30と相互にデータ送受信を行う。無線LANコントローラ37には、アンテナ38が接続され、既知の無線通信(例えば、IEEE802.11やその他の短距離無線通信等)が可能である。
【0021】
ROM31には、基板上の各種コントローラを制御するためのプログラムが保持されていると共に、カート1の識別番号が保持されている。外部からの要求等に応じて無線LANコントローラ37経由でこの識別番号が送信される。
【0022】
RAM32には、データテーブルとして登録商品テーブルを有する。この登録商品テーブルの内容については後述する。また、システム構成においては、後述するPLU(Price Look Up)テーブルを格納する構成としても良い。
【0023】
サーバ40は、メインCPU41により制御される。メインCPU41に繋がる制御バスには、プログラムを格納するROM42、データを一時的に格納するRAM43、RAM43よりも容量の大きなHDD44、カート1の制御部と無線通信するための無線LANコントローラ45、有線でネットワークに接続するためのLANコントローラ46が接続されている。これらデバイスは、メインCPU41と相互にデータ送受信可能である。無線LANコントローラ45には、アンテナ47が接続されている。これら以外に、必要に応じて、停電時のバックアップ機能を持つ無停電電源装置などが接続される構成としてもよい。
【0024】
サーバ40のRAM43もしくはHDD44は、後述するPLUテーブルが格納されており、カート1の制御部、POSレジスタ20からの各々の問い合わせに応じて、メインCPU41はPLUテーブル内の該当データを検索・抽出し、無線LANコントローラもしくはLANコントローラ46を介して、対応するデータを要求元に送信する。
【0025】
POSレジスタ20の制御部26は、POSCPU50が制御を司る。POSCPU50に繋がる制御バスには、プログラムを格納するROM51、データを一時的に保持するRAM52、ハンディスキャナ22を接続・制御するスキャナコントローラ22、キーボード21やディスプレイ23上のタッチパネルを接続・制御する入力デバイスコントローラ54、ディスプレイ23を接続・制御するディスプレイコントローラ55、サーバ40とネットワークを経由してデータの送受信を行うためのLANコントローラ56、プリンタ24を接続・制御するプリンタコントローラ58が接続される。これらデバイスはPOSCPU50と相互にデータの送受信可能である。LANコントローラ46と56は、既知のネットワーク57で接続している。
【0026】
図4は、本実施形態のPLUテーブルおよび登録商品テーブルの構成図である。図4(a)はPLUテーブルの構成の一例である。PLUテーブルは、商品コードに対応する商品名、単価、重量、重量閾値のデータからなる商品レコードを複数有する。商品コードは、商品に付されたバーコードをスキャナ7やハンディスキャナ22により光学的に読取り、電子化されたものと一致する。カートCPU30やPOSCPU50は、この読取られた商品コードをネットワーク経由でサーバ40に送信する。メインCPU41は、HDD44内に格納されたPLUテーブルから受信した商品コードに一致する商品レコードを検索・抽出し、該当商品レコード内のデータを要求元へ返送する。
【0027】
PLUテーブルの各レコードは、重量と重量閾値のデータを分けて格納している。重量は、該当商品の重量の平均値を示す。重量閾値は、該当商品の重量平均値からのズレの許容範囲を示す。カート1の秤6の読取誤差や、商品固有の誤差を鑑みてこのズレの許容範囲は設定される。重量と重量閾値のデータを合わせて、商品の許容重量の範囲が決まる。
【0028】
例えば、商品コード「1000001」の「野菜A」の場合、重量が「200g」、重量閾値が「±30g」であるから、許容重量は170gから230gとなる。尚、本実施形態では重量と重量閾値のデータにより許容重量の範囲を決定しているが、上限値と下限値を持たせて許容重量の範囲をデータとして持たせても良い。つまり、上記の「野菜A」の場合を例にすれば、上限値が230g、下限値が170gとなる。以降、重量および重量閾値をあわせたデータを許容重量と表記する。
【0029】
図4(b)は、カート1の制御部のRAM32、POSレジスタ20のRAM52内に保持される登録商品テーブルの一例である。この登録商品テーブルは、読取順を示すNoと、商品コードと、サーバ40から受信した商品名、単価、秤6から受信した商品の実重量データ、秤6から受信した商品の実重量データとサーバ40から受信した許容重量とを比較したチェック結果を示すエラーフラグとからなる登録商品情報(以降、登録レコードと称する)を有する。エラーフラグは、実重量データが許容重量の範囲に入っている場合は「0」、範囲外である場合には「1」が格納される。
【0030】
図5は、本実施形態のカート制御部の全体フローチャート図である。このフローチャートは、カートCPU30が実施するものであり、顧客がカート1の使用開始から会計を行う前までの処理を示している。カート制御部の電源が入った状態から制御が開始され、開始処理ルーチン(ST1)が実行される。開始処理ルーチンが終了すると、顧客は買い物開始が許可される。スキャナ7によりバーコードが読取られる毎にスキャン処理ルーチン(ST2)、続いて取消処理ルーチン(ST3)が実行され、顧客の買い物中はこのST2、ST3が順次実行される。顧客が買い物終了を宣言する(ST4)と、会計前処理ルーチン(ST5)が実行され、処理が終了する。
【0031】
次に図6および図10(a)を参照して、開始処理ルーチンを説明する。図6は、開始処理ルーチンのフローチャート図であり、図10(a)は、カート1のディスプレイ8の表示例である。開始処理ルーチンがスタートすると、カートCPU30は、ディスプレイコントローラ33に対して図10(a)に示す画像をディスプレイ8に表示させるよう指示する(ST10)。この初期画面は、カートの識別番号であるカートナンバーと顧客に対するガイダンス情報を有すると共に、買い物のスタートを宣言するボタン60を有する。
【0032】
ガイダンス情報として例えば、カート1に、買い物カゴ11を置くことを促す情報が表示される。これは、買い物開始時に秤6が出力する初期重量をチェックするためのものである。ボタン60が押されたことをタッチパネル9が検知した時点で、タッチパネルコントローラ34を経由してカートCPU30がボタン60を顧客が押したことを認識する。カートCPU30は、秤コントローラ36に対して、重量データの送信を要求し、初期重量が秤6より秤コントローラ36を介してカートCPU30に送信される。カートCPU30は、受信した初期重量データをRAM32に格納する(ST12)。この初期重量を基準に、カートCPU30は後述する重量チェックを実施し、結果を登録商品テーブルにチェック結果を登録する。
【0033】
開始処理ルーチン(ST1)が終了すると、スキャン処理ルーチン(ST2)が開始される。図7のフローチャート図を参照してスキャン処理ルーチンを説明する。カートCPU30は、秤コントローラ36に対し、現状の重量データを要求する(ST20)。カートCPU30は、開始処理ルーチンから移行した直後の場合、RAM32に格納された初期重量データと、この時点で秤コントローラ36より受信した重量データを比較し、不正が無いかをチェックする。既に、スキャナ7が商品を読取っている場合は、秤コントローラ36から受信した直近の総重量データとの比較を行う。直近の総重量もRAM32に格納されている。以降、特段の事情が無い限り、初期重量含めて直近の総重量と表記する。
【0034】
カートCPU30は、スキャナコントローラ35よりスキャナ7がバーコードを読取ったことの通知を受けると、登録商品テーブルの登録レコードを追加し、商品コードを登録する(ST21)。この時、「No」は登録した順に自動的に付与される。登録が完了すると、該当する商品コードに対する各種情報をサーバ40から取得する(ST22)。具体的には、データ要求信号と共に商品コードを無線LANコントローラ38経由でサーバ40に送信する。サーバ40のメインCPU41は、無線LANコントローラ45を経由してデータ要求対象の商品コードに一致する商品レコードをHDD44内のPLUテーブルから検索する。一致するものがあれば、該当する商品レコードのデータを無線LANコントローラ45経由でカート1の制御部に送信する。カートCPU30は、受信したレコードのデータを登録商品テーブルの該当登録レコードの「商品名」「単価」欄に対応する所定アドレスに書き込む(ST23)。
【0035】
次に、カートCPU30は、秤コントローラ36に対して重量データの要求を行い、直近の総重量と秤コントローラ36からの重量データの差分を計算する。この差分データは、実重量として該当する登録レコードの所定アドレスに書き込む。また、この時点で秤コントローラ36から受信した重量データを直近の総重量としてRAM32に記憶させる(ST24)。尚、スキャナ7による読取から、実際に商品が買い物カゴ11に投入されるまでにはタイムラグがあり、予め決められた時間、秤コントローラ36に対して重量データの要求を継続し、以降の重量チェックを実施しないようカートCPU30は制御している。
【0036】
サーバ40から受信した許容重量と実重量を比較し(ST25)、実重量が許容範囲に入っている場合は、「エラーフラグ」欄に該当するアドレスに「0」を書き込む(ST26)。許容範囲外であると判断した場合は、「エラーフラグ」欄の該当するアドレスに「1」を書き込み(ST27)、重量エラーがあったことを報知するメッセージをディスプレイ8に表示させる。
【0037】
図10(b)は上記重量エラーがあった場合のメッセージ表示例である。この表示例では、読取られた商品の画像データと、登録レコードの単価、購入数、小計額情報が表示すると共に、「商品が間違っていませんか?」とのアナウンス情報を表示する。これは、例えば、例外として想定外の重い商品が出た場合を救うものである。正しい商品を読取っている場合、顧客は「続ける」とするボタン61を押下する。このボタン61が押下された場合、登録商品テーブルの「エラーフラグ」欄は、「1」の状態が保持され、後述する会計処理の段階で、担当者(キャッシャー)による商品チェックを受ける対象として区別可能とするためである。顧客の操作ミスで誤った商品がスキャナ7で読取られた場合は、訂正の意思表示としてのボタン62が押下されることで、以降の取消ルーチンを開始する。
【0038】
次に取消処理ルーチンを図8および図11を用いて説明する。図8は、取消処理ルーチンのフローチャート図であり、図11は、ディスプレイ8の表示例を示す。図11(a)に示すように、カートCPU30は、ディスプレイ8にスキャナ7で読取った商品の商品名、単価、点数、小計を1行に、読取った商品が表示可能な範囲で複数行表示するよう画像を構成し、ディスプレイコントローラ33に表示を指示する。また、小計を合算した合計を当該画像に付与する。
【0039】
商品情報を表示した各行には、取消対象の選択結果を区別するマークを付与する欄が設けられている。この欄は、ユーザの意思でマークを付与することも可能であり、具体的には、該当欄をユーザが指で押した場合、タッチパネルコントローラ34が押下位置を特定して、カートCPU30に伝え、カートCPU30は、該当欄にマークを付与したデータを生成し、ディスプレイコントローラ33に表示指示する。このマークは、スキャン処理ルーチンのST28でボタン62が押下された場合は、自動的に付与される。このマークにより、取消対象の商品を区別している。
【0040】
ディスプレイ8は、その下部に、終了を決定するボタン63と、マークが付された商品の削除を決定するボタン64を合わせて表示する。ボタン63が押下されたとカートCPU30が判断した場合、後述する会計前処理ルーチンへ進む。ボタン64が押下されたとカートCPU30が判断した場合(ST30)、マークが付与された商品は削除されるものとして、ディスプレイ8は、図11(b)のようにガイダンス画像を表示する(ST31)。新たにスキャナ7から商品データが入力された場合、カートCPU30は取消ルーチンを終了し、スキャン処理ルーチンを開始する。
【0041】
図11(b)は、取消ガイダンスの表示例である。ディスプレイ8は、マークが付与された商品(この場合は、野菜B)を取り消すかの確認と、取り消す商品を再度、スキャナ7で読取らせるよう促すガイダンスを表示している。また、取り消しを中止するためのボタン65を表示している。このガイダンスが表示されてから、顧客がスキャナ7に該当商品を近づけ、スキャナ7が商品のバーコードを読取った段階で(ST32)、カートCPU30は登録商品テーブルの「野菜B」の登録レコードに含まれる全てのデータを消去する。「野菜B」登録レコードの「エラーフラグ」欄が「1」であるか否かは検討されない。
【0042】
マークが複数付与されている場合は、同様のガイダンスが再度表示され、スキャナ7でのバーコード読取を促すメッセージを表示する。全てのマーク対象商品の読取削除が完了すると、カートCPU30は、秤コントローラ36に重量データを要求し、受信した重量データを直近の総重量としてRAM32に記憶する(ST34)。
【0043】
次に会計前処理ルーチンについて、図9を参照して説明する。図11(a)に示すボタン63を顧客が押下したとカートCPU30が認識すると、会計前処理ルーチンを開始する。カートCPU30は、登録商品テーブルに登録された商品の実重量の合計を算出する(ST40)。秤コントローラ36に対して重量データを要求し、直近の総重量としてRAM32に記憶する(ST41)。この直近の総重量と、算出した実重量合計を比較し(ST42)、差が無いと判断した場合、総エラーフラグを「0」とし(ST43)。差がある場合、総エラーフラグを「1」とする(ST44)。総エラーフラグとは、開始処理ルーチンから会計前処理ルーチンまでの登録レコード内の実重量データの合算値と直近の総重量を比較するものである。これはスキャナ7で登録されずに、買い物カゴに投入された商品の有無を検査するためのものである。
【0044】
次に、カート1の識別番号、総エラーフラグ、登録商品テーブルのデータを纏める。この纏め処理は、例えば、データの連結処理、圧縮処理、暗号化処理等を指す。カートCPU30は、纏め処理が終了したデータを無線LANコントローラ37を介してサーバ40に送信する(ST45)。サーバ40は、受信したデータをRAM43、HDD44の両方もしくはいずれか一方に格納する。データ送信が完了したと判断すると、カートCPU30は、RAM32に格納されていた登録商品テーブル、総エラーフラグをクリアし、初期状態に戻す(ST46)。
【0045】
次に会計処理を図12乃至14を参照して説明する。図12は、会計処理のフローチャート図であり、POSレジスタ20内の制御部26が行う。カートの識別番号が例えばキーボード21から入力されると(ST50)、POSCPU50は、LANコントローラ56を経由してサーバ40に対して、識別番号に対応する登録商品データテーブルを含めたデータを要求する。サーバ40は、受信した識別番号に対応するデータをHDD44から検索・抽出し、LANコントローラ46を経由してPOSレジスタ20に送信する。POSCPU50は、受信したデータに付されている識別番号が要求した識別番号と一致しているか否かをチェックし、同一であればRAM52に格納する(ST51)。
【0046】
POSCPU50は、RAM52に格納されたデータの総エラーフラグ及び登録商品テーブル内の各登録レコードのエラーフラグに「1」が無いかチェックする。総エラーフラグ及びエラーフラグの全てが「0」である場合、図14のような画像をディスプレイ23に表示する。総エラーフラグ及びエラーフラグのどちらか一方もしくは両方に「1」があれば(ST52)、図13に示す確認用画像をディスプレイ23に表示して、訂正を促す(ST53)。
【0047】
図13に示すように、ディスプレイ23に表示する内容は、登録商品テーブルの登録レコードのうち、エラーフラグが「1」であるものを抽出して、エラー商品領域80にリスト形式で表示する。このエラー商品領域80は、店舗側のキャッシャーがエラーフラグのある商品を視認しやすいよう他の商品と分けて表示している。このリストには、登録商品テーブルの内容のうち、No、商品コード、商品名、単価が含まれる。図示はしていないが、点数(登録数)を表示しても良い。また、このエラー商品領域80に、キャッシャーがエラーフラグのある商品を買い物カゴ11の中をチェックして問題ない場合には「確認」を入力するボタン66、訂正が必要な場合には「訂正」を入力するボタン67を配置している。このボタン66、67は、リスト上に複数の商品があれば、その商品毎に配置している。
【0048】
ボタン66が押されたことを確認すると、POSCPU50は対象とするレコードのエラーフラグを「1」から「0」に書き換える。また、ボタン67が押されたことを確認すると、対象とするレコードを登録商品テーブルから削除するとともに、正しい商品の登録をキャッシャーに促すメッセージを表示する。
【0049】
エラー商品領域80の下部には、エラーフラグが「0」であるものを抽出して、リスト形式で表示するOK商品領域81を配置している。リスト上には、No、商品コード、商品名、単価、点数、小計を表示している。小計とは、商品の単価と点数(個数)を乗算した金額である。エラーフラグが「1」である商品に対して、キャッシャーがボタン66を押すか、ボタン67を押して正しい商品に訂正した場合、対象となる商品は、エラー商品領域80から削除され、OK商品領域81に表示する。
【0050】
OK商品領域81の下部には集計領域82を配置している。集計領域には、エラー商品領域80に表示される商品の点数、OK商品領域81に表示されている商品の点数を表示する。また、総エラーフラグが「1」である場合は、「重量エラーあり」と表示する。この表示がある場合、キャッシャーは、エラー商品領域80、OK商品領域81の各リストに無い商品が買い物カゴ11に入っている可能性があるとして、全ての商品と各リストの突合せを実施する。各リストに無い商品が発見された場合は、ハンディスキャナ22でバーコードを読取り、登録商品テーブルに登録レコードの追加を行う。確認が取れた場合は、ボタン68を押下する。POSCPU50は、ボタン68が押下されたことを確認すると、総エラーフラグを「1」から「0」に書き換える。
【0051】
総エラーフラグ及びエラーフラグのうち、一つでも「1」から「0」に書き換えると、POSCPU50は、再度、データ内の総エラーフラグ及びエラーフラグを検索し、「1」があれば、図13の確認画面を更新する。「1」が無ければ(ST54)、図14の画像をディスプレイ23に表示する。
【0052】
図14は会計処理のディスプレイ表示例である。ディスプレイ23の表示領域中央部には、キャッシャーにより登録商品テーブルのデータと実商品の一致が取られた商品のリストを表示する登録商品領域83を配置する。このリスト内には、No、商品コード、商品名、単価、点数、小計を表示する。この登録商品領域83の下部には、リスト内の商品の点数と、小計を全て加算した合計の金額を表示する。また、別の商品の追加購入の希望がある可能性を考え、スキャナ22によるバーコードの読込み等は許可される。バーコードの読取りが行われた場合、POSCPU50は、バーコードから商品コードを読み出し、サーバ40に対し、該当する商品レコードを要求する。サーバ40は、該当する商品レコードを検索・抽出して、POSレジスタ20に返送する。
【0053】
POSCPU50は、商品レコードを登録商品テーブルに追加する。キャッシャーのボタン入力により、例えば金額の割引(例えば、50円割引きや20%割引き)を受け付けると、対象登録レコードの図示しない割引値段欄に割引金額を記録する。
【0054】
全ての商品登録が完了すると、キャッシャーは小計ボタン69を押下する。POSCPU50は、小計ボタン69の押下を確認すると(ST55)、登録商品テーブルのデータを仮確定する。キャッシャーが顧客から現金を預かり、キーボード22で預かり金額を入力し、現/預ボタン70を押下すると、POSCPU50はこれを確認し(ST56)、登録商品テーブルのデータを確定する。尚、小計ボタン69を押すことなく、現/貯ボタン70が押下された場合、エラーであると表示する。尚、小計ボタン69が押下されるまで、現/貯ボタン70がアクティブにならないよう構成してもよい。
【0055】
入力された預かり金額と合計金額に差がある場合、お釣り金額を表示し、ドロア25を開く。また、POSCPU50は、登録商品テーブルのデータ、預かり金額、お釣り金額をレシートに印字出力するよう、プリンタコントローラ58に指示する。プリンタコントローラ58は、受け取ったデータを所定のフォーマットデータに重ねて、レシートを印字出力する。
【0056】
尚、本実施の形態では、カート1、POSレジスタ20、サーバ40がそれぞれCPUを持つ構成としたが、例えばサーバ40のみがCPUを有し、カート1、POSレジスタ20は入力機能と表示機能のみを持たせるよう構成してもよい。この場合は、サーバ40のCPUが全てのデータを管理し、処理フローを実施することとなる。
【0057】
また、本実施の形態では、PLUテーブルをサーバ40に格納し、カート1やPOSレジスタ20が問い合わせる構成としたが、カート1やPOSレジスタ20がPLUテーブルを各々持つよう構成しても良い。その他、本実施形態の思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施形態では、顧客自身がバーコードをスキャナで読取る場合に生じるミスの確認を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1…カート、6…秤、7…スキャナ、20…POSレジスタ、30…カートCPU、40…サーバ、41…メインCPU、50…POSCPU、80…エラー商品領域、81…OK商品領域、82…集計領域、83…登録商品領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開平2−309494号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の情報を読取る読取手段と、
商品の重量を測定する重量測定手段と、
前記読取手段で読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と前記重量測定手段によって測定された前記商品の重量とを比較する比較手段と、
前記読取り手段で読取った商品情報と、この商品情報に対応し、前記比較手段により比較された結果とからなる判定情報を複数保持可能な情報記憶手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報記憶手段に記憶された商品の情報と判定情報とを表示可能な表示手段をさらに有し、
前記比較手段によって前記商品の重量が前記重量範囲情報の範囲外であると判定された第1の商品情報群と、前記商品の重量が前記重量範囲情報の範囲内であると判定された第2の商品情報群とを区別して前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
商品に付された商品情報と、この商品の許容重量範囲に対して実際の測定重量がこの許容重量範囲に入っているか否かを示した判定情報とを少なくとも含む登録商品情報を複数保持可能な記憶手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記登録商品情報の前記判定情報を検索し、許容重量範囲外であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第1の領域に、許容重量範囲内であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第2の領域に表示するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の領域に表示された各々の商品情報に対して、前記判定情報を書き換えることを指示するための入力手段をさらに有することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
商品の情報を読取る読取手段と、
商品の重量を測定する重量測定手段と、
前記読取手段で読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と前記重量測定手段によって測定された前記商品の重量とを比較する比較手段と、
前記読取り手段で読取った商品情報と、この商品情報に対応し、前記比較手段により比較され、前記商品の重量が許容重量範囲内であるか否かを区別する判定情報とを少なくとも含む登録商品情報を複数保持可能な記憶手段と、
前記登録商品情報の前記判定情報を検索し、許容重量範囲外であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第1の領域に、許容重量範囲内であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第2の領域に表示するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
商品に付された情報を読取り、この商品情報を処理する情報処理装置のコンピュータに、
読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と実際の商品重量とを比較する機能と、
この比較機能により、前記商品の重量が前記重量範囲情報の範囲外であると判定された第1の商品情報群と、前記商品の重量が前記重量範囲情報の範囲内であると判定された第2の商品情報群とを区別して表示する機能と、
を実現させることを特徴とする情報処理装置の制御プログラム。
【請求項7】
商品に付された商品情報を処理する情報処理装置のコンピュータに、
商品に付された商品情報と、この商品の許容重量範囲に対して実際の測定重量がこの許容重量範囲に入っているか否かを示した判定情報とを少なくとも含む登録商品情報に対し、許容重量範囲外であるとする判定情報を持つ登録商品情報を第1の商品群に、許容重量範囲内であるとする判定情報を持つ登録商品情報を第2の商品群に分ける分別機能と、
前記第1の商品群を第1の表示領域に、前記第2の商品群を前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域に表示する機能と、
を実現させることを特徴とする情報処理装置の制御プログラム。
【請求項8】
商品に付された情報を読取り、この商品情報を処理する情報処理システムに、
読取った商品情報に対応する許容重量範囲情報と実際の商品重量とを比較する機能と、
商品情報と、この商品情報に対応し、前記比較機能により比較され、前記商品の重量が許容重量範囲内であるか否かを区別する判定情報とからなる登録商品情報を複数有する登録商品情報テーブルを生成する機能と、
前記登録商品情報テーブル内の各登録商品情報に対応する前記判定情報に基づき、許容重量範囲外であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第1の領域に、許容重量範囲内であるとする情報を持つ登録商品情報の少なくとも一部を前記表示手段の第2の領域に表示する機能と、
を実現させることを特徴とする情報処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−203058(P2011−203058A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69737(P2010−69737)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】