説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】ケーブル長が5m以上あるような規格外の使用状況ではあっても、USBデバイス機器のディスコネクトを検出する。
【解決手段】本発明を適用したUSBホスト機器では、ケーブル長が5m以上とされた規格外の使用状況であっても、USBデバイス機器のディスコネクトを検出できるようになされている。具体的には、ディスコネクト検出区間において、任意のタイミングだけ合成波形の波高値を確認するのではなく、ディスコネクト検出区間において常に合成波形の波高値を確認に、一瞬でも所定の閾値を越えたならば、ディスコネクトが発生したと判定する。本発明は、USBホスト機器に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、USB(universal serial bus)を介して接続された外部機器の取り外しを確実に検出できるようにした情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
USBインタフェースを備えた電子機器が広く普及している。図1は、USBを介した電子機器の接続状態を示す概念図である。
【0003】
すなわち、パーソナルコンピュータに代表されるUSBホスト機器10には、ケーブル30を介して、外部機器の相当するUSBデバイス機器20が接続される。USBホスト機器10は、少なくともUSBインタフェースとしてUSBデバイス機器20とデータを通信するUSBホストI/F11、およびUSBホストI/F11を制御する制御部12を備える。USBデバイス機器20は、少なくともUSBインタフェースとしてUSBホスト機器10とデータを通信するUSBデバイスI/F21、およびUSBデバイスI/F21を制御する制御部22を備えている。
【0004】
USBホスト機器10としては、パーソナルコンピュータの他、テレビジョン受像機、ビデオレコーダ、家庭用ゲーム機などに代表されるデジタル家電を挙げることができる。USBデバイス機器20としては、マウス、キーボード、プリンタなどに代表されるパーソナルコンピュータの周辺機器の他、USBマスストレージクラスとなる各種の記録メディア、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ポータブルプレーヤ、携帯電話機などを挙げることができる。
【0005】
USB規格は、データ転送速度が最大12MbpsのUSB1.0規格、USB1.0規格に電源管理などの項目が追加されたUSB1.1規格、USB1.0とUSB1.1に上位互換性がありデータ転送速度が最大480MbpsのUSB2.0規格が存在する。
【0006】
また、各USB規格では、いわゆるホットプラグに対応している。したがって、ホットプラグを実現するため、USBホスト機器10では、USBデバイス機器20が接続されたことと、USBデバイス機器20の接続が解除されたこと(以下、ディスコネクト(disconnect)と称する)を確実に検出する必要がある。
【0007】
このような必要性から、例えば特許文献1には、低消費電力でディスコネクトを高精度に検出できるUSBホスト機器側の構成が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−49273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、USB2.0規格では、480Mbpsの高速なデータ転送を確保するために、USBホストI/F11とUSBデバイスI/F21を繋ぐケーブル30の長さを5m以内に制限している。しかしながら、一般的なユーザによるUSBデバイス危機20の使用状況を見てみると、ケーブル長などは意識せず、例えばUSBハブを介してケーブル30を5m以上に延長した状態で使用していることがある。
【0010】
このようにケーブルを規格外の5m以上に延長した状態で使用していると、USBホスト機器10がUSBデバイス機器20のディスコネクトを検出できないことがあり、このディスコネクトの未検出に起因して、例えば再び同じUSBインタフェースにUSBデバイス機器20が接続されても、それを検知できないような問題が発生し得る。
【0011】
このような問題の発生は、規格外の使用状況ではあるものの、ユーザにとって不都合であって使い勝手の悪い状態であることに変わりないので、ケーブル長が5m以上であってもディスコネクトを確実に検出できるようにすることが望ましい。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ケーブル長が5m以上あるような規格外の使用状況ではあっても、ディスコネクトを検出できるようするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面である情報処理装置は、データバスを介して接続されている電子機器と通信する情報処理装置において、前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信するとともに、送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信する通信手段と、前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定する判定手段とを含む。
【0014】
前記所定の波形信号は、USB2.0規格で規定されたSOFパケットであり、前記所定の期間は、USB2.0規格で規定されたディスコネクト検出区間であるようにすることができる。
【0015】
本発明に一側面である情報処理方法は、データバスを介して接続されている電子機器と通信する情報処理装置の情報処理方法において、前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信し、送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信し、前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較し、この比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定するステップを含む。
【0016】
本発明の一側面であるプログラムは、データバスを介して接続されている電子機器と通信するコンピュータの制御用のプログラムであって、前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信させ、送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信させ、前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較し、この比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明の一側面においては、データバスを介して所定の波形信号が周期的に送信され、送信された所定の波形信号がデータバスのケーブル端で反射される反射信号が受信され、波形信号を送信する毎、送信された波形信号と受信された反射信号の合成信号が生成され、生成された合成信号の波高値と予め設定された閾値とが所定の期間継続して比較され、この比較結果に基づき、データバスを介して接続されていた電子機器の接続解除が判定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、USBデバイスのディスコネクトを検出することができる。
【0019】
また、本発明の一側面によれば、ケーブル長が5m以上あるような規格外の使用状況ではあっても、USBデバイスのディスコネクトを検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0021】
本発明の一側面である情報処理装置(例えば、図1のUSBホスト機器10)は、データバス(例えば、USB)を介して所定の波形信号を周期的に送信するとともに、送信した所定の波形信号がデータバスのケーブル端で反射される反射信号を受信する通信手段(例えば、図1のUSBホストI/F11)と、波形信号を送信する毎、送信された波形信号と受信された反射信号の合成信号を生成し、生成した合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較する比較手段(例えば、図1のUSBホストI/F11)と、比較手段の比較結果に基づき、データバスを介して接続されていた電子機器の接続解除を判定する判定手段(例えば、図1のUSBホストI/F11)とを含む。
【0022】
本発明に一側面である情報処理方法およびプログラムは、データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信し、送信した所定の波形信号がデータバスのケーブル端で反射される反射信号を受信し、波形信号を送信する毎、送信された波形信号と受信された反射信号の合成信号を生成し、生成した合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較し、この比較結果に基づき、データバスを介して接続されていた電子機器の接続解除を判定するステップ(例えば、図6のステップS11乃至14)を含む。
【0023】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
本発明の一実施の形態であるUSBホスト機器は、USB2.0規格に準拠したものであり、図1に示された概念図と同様に構成される。すなわち、本発明の一実施の形態であるUSBホスト機器10は、少なくともケーブル30を介してUSBデバイス機器20のUSBデバイスI/F21とデータを通信するUSBホストI/F11、およびUSBホストI/F11を制御する制御部12を備えている。
【0025】
ただし、USBホスト機器10によってUSBデバイス機器20のディスコネクトを検出する方法については、USB2.0規格で規定されている方法と異なる。
【0026】
ここで、USB2.0規格で規定されているディスコネクト検出方法について説明する。
【0027】
USB2.0規格では、USBホスト機器10のUSBホストI/F11がケーブル30を介してUSBデバイス機器20に、SOF(start of flame)パケットと称する波形信号を125μsec間隔で周期的に出力している。図2に示すように、SOFパケットの波形信号は±400mVを上下に振動し、その終端に設けられたEOP(end of packet)区間では400mVまたは−400mVの一定値となるようになされている。USBホストI/F11から出力されたSOFは、ディスコネクトが発生するとケーブル30のUSBデバイスI/F21側の端で反射されて戻ってくる。
【0028】
この現象を利用し、USBホストI/F11では、図3に示すフローチャートのように、ステップS1として、出力したSOFパケットの波形とその反射波の波形を合成し、EOP区間の終端に設けたディスコネクト検出区間(EOPの40bitの後半30bitの区間)の任意のタイミングで合成波形の波高値を取得し、ステップS2として、取得した波高値が規定の閾値(525mV)以上であるか否かを判定し、取得した波高値が規定の閾値以上であるならば、ステップS3として、ディスコネクトが発生したと判定するように規定されている。
【0029】
なお、SOFパケットの反射波は、ケーブル30の長さに応じた分だけSOFパケットの出力波形に対して遅延するが、ケーブル長が規格内の5m未満であれば、出力波形のEOP区間の終端に設けられたディスコネクト検出区間に反射波形のEOP区間が合成されるので、ディスコネクト検出区間では常に合成波形の波高値が規定の閾値以上となる。
【0030】
しかしながら、ケーブル長が規格外の5m以上であると、図4に示すように、反射波の遅延量が大きくなり、出力波形のEOP区間の終端に設けられたディスコネクト検出区間に反射波形のEOP区間が間に合わず、±400mVを上下に振動波形が合成されることになるので、ディスコネクト検出区間で常に合成波形の波高値が規定の閾値以上となるわけではない。したがって、実際にディスコネクトが発生しているにも拘らず、合成波形の波高値を取得するタイミングによってはディスコネクトが検出されないことも発生し得る。
【0031】
そこで、本発明を適用したUSBホスト機器10では、ケーブル30の長さが5m以上とされた規格外の使用状況であっても、USBデバイス機器20のディスコネクトを検出できるようになされている。具体的には、ディスコネクト検出区間において、任意のタイミングだけ合成波形の波高値を確認するのではなく、ディスコネクト検出区間において常に合成波形の波高値を確認に、一瞬でも所定の閾値を越えたならば、ディスコネクトが発生したと判定するようになされている。
【0032】
図5は、本発明を適用したUSBホスト機器10のUSBホストI/F11の構成例を示している。このUSBホストI/F11は、合成波の波高値に相当する|正の差動信号DP−負の差動信号DM|と所定の閾値を比較する比較器(COMP)41、NOR回路42、およびNOR回路43から構成される。NOR回路42は、比較器41の出力とNOR回路43の出力のNOR演算値をディスコネクトの発生の有無を示す信号として出力する。NOR回路43は、SOFパケットが出力される毎に入力されるリセット信号とNOR回路42の出力のNOR演算値をNOR回路42に出録する。
【0033】
本発明を適用したUSBホスト機器10によるディスコネクト検出処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
なお、USBホストI/F11が125μsec間隔で周期的にSOFパケットを出力し、SOFパケットとその反射波を合成して、EOP区間の終端に設けたディスコネクト検出区間において合成波形の波高値を取得する点についてはUSB2.0規格と共通であり、このディスコネクト検出処理は、SOFを周期的に出力し、ディスコネクト検出区間となる毎に実行される。
【0035】
ステップS11において、周期的にSOFパケットを出力しているUSBホストI/F11は、現在、ディスコネクト検出区間であるか否かを判定し、ディスコネクト検出区間であると判定した場合、処理をステップS12に進め、SOFパケットとその反射波の合成波形の波高値を取得する。
【0036】
ステップS13において、USBホストI/F11は、取得した合成波の波高値が所定の閾値(525乃至625mV)以上であるか否かを判定する。そして、合成波の波高値が所定の閾値以上であると判定した場合、処理をステップS14に進め、ディスコネクトが発生したと判定する。反対に、ステップS13において、合成波の波高値が所定の閾値よりも小さいと判定した場合、処理をステップS11に戻し、それ以降の処理を繰り返す。そして、ステップS11において、ディスコネクト検出区間ではないと判定された場合、すなわち、今回出力したSOFに対応するディスコネクト検出区間が終了した場合、当該ディスコネクト判定処理を終了する。
【0037】
なお、実際にディスコネクトが発生していなくても、ノイズなど何らかの外的要因によって合成波の波高値が所定の閾値を超えることを考慮して、1回のディスコネクト検出処理によってディスコネクト発生の有無を判断するのではなく、複数のディスコネクト検出処理で連続して合成波の波高値が所定の閾値を超えたときにディスコネクト発生と判定するようにしてもよい。
【0038】
以上説明したように、本発明を適用したUSBホスト機器10によるディスコネクト処理では、ディオスコネクト区間において一度でも合成波の波高値が所定の閾値以上となれば、ディスコネクト発生と判定する。したがって、ケーブル長が規格外に延長されたとしても、ディスコネクトの発生によってSOFが反射されれば、高い精度でディスコネクトを検出することが可能となる。
【0039】
なお本発明は、USBホスト機器に限らず、USB以外のデータバスなどを介して接続されている機器のディスコネクトを検出する場合に適用することができる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】USBを介して接続されたUSBホスト機器とUSBデバイス機器の構成例を示すブロック図である。
【図2】従来のディスコネクト検出方法を説明するための図である。
【図3】従来のディスコネクト検出方法を説明するフローチャートである。
【図4】従来のディスコネクト検出方法を説明するための図である。
【図5】本発明を適用したUSBホストの構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明を適用したディスコネクト検出方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
10 USBホスト機器, 11 USBホストI/F, 12 制御部, 20 USBデバイス機器, 21 USBデバイスI/F, 22 制御部, 30 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データバスを介して接続されている電子機器と通信する情報処理装置において、
前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信するとともに、送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信する通信手段と、
前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定する判定手段と
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の波形信号は、USB(universal serial bus)2.0規格で規定されたSOF(start of flame)パケットであり、
前記所定の期間は、USB2.0規格で規定されたディスコネクト検出区間である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
データバスを介して接続されている電子機器と通信する情報処理装置の情報処理方法において、
前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信し、
送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信し、
前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、
生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較し、
この比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項4】
データバスを介して接続されている電子機器と通信するコンピュータの制御用のプログラムであって、
前記データバスを介して所定の波形信号を周期的に送信させ、
送信した前記所定の波形信号が前記データバスのケーブル端で反射される反射信号を受信させ、
前記波形信号を送信する毎、送信された前記波形信号と受信された前記反射信号の合成信号を生成し、
生成した前記合成信号の波高値と予め設定された閾値とを所定の期間継続して比較し、
この比較結果に基づき、前記データバスを介して接続されていた前記電子機器の接続解除を判定する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−271032(P2008−271032A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109458(P2007−109458)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】