情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム
【課題】押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、方向検出部の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、を備える。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、方向検出部の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを有する機器が増加する中、近年では、押下圧力を計測可能なデバイスの開発が進められている。押下による操作は、指をデバイスに対して押し込んだ状態で行われる。このため、押し込み入力操作の場合には、連続して同一キーを入力しても接触座標が大きく崩れることはない。しかし、押し込んだ状態から連続して他のキー入力を行う等、指の移動を必要とする操作を行う場合には、指とデバイスとの間で生じる摩擦によって力学的負荷が発生する。この力学的負荷により、ユーザはキーを操作する指等に疲労を受け、操作性の低下を生じる可能性がある。
【0003】
一方、タッチパネル操作におけるキー入力では、入力対象であるキーを判定するため、各キーに対応してキー入力の判定領域が設定されている。キー入力の操作性を向上させるため、キー入力の判定領域を動的に変化させること行われている。例えば、特許文献1には、タッチパネルにおけるキー入力時に複数のキーに入力が重複した場合に表示するキーを画面上で拡大することで誤入力を防止するタッチパネル入力装置が開示されている。また、特許文献2には、画面上のボタンの配置やボタンの隣接状況に応じて自動的に認識領域を最適化することにより、タッチパネルの操作性、認識率を向上させる、タッチパネルにおけるボタン認識領域最適化方式が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−49305号公報
【特許文献2】特開2003−296027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、1回のキー入力において、キーの拡大の前後で入力を2回行う必要があり、操作負荷が大きくなるという問題があった。また、上記特許文献2では、ボタン認識領域の最適化補正はユーザの入力状態に関わらず行われるため、ユーザがキーの入力を意図しない状況において入力を検知してしまうという問題がある。そして、上記特許文献1、2では、押し込み操作が可能なデバイスにて連続的にキー入力を行うことは想定されていないため、このようなデバイスにおける連続的なキー入力においては依然として指への力学的負荷が大きく、操作性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、方向検出部の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
状態情報が表示面に対する操作体の近接接触情報であるとき、状態判別部は、操作体が、表示面から当該表示面より所定距離だけ離隔した位置までの近接検知領域外に位置するときを第0状態、近接領域内に位置するときを第1状態、表示面に接触した状態を第2状態と判別し、第0状態または第1状態から第2状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0009】
状態情報が表示面を押下する圧力情報であるとき、状態判別部は、操作体が表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、押下圧力が第1の圧力閾値より大きいときを第2状態と判別し、第0状態または第1状態から第2状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0010】
あるいは、状態情報が表示面を押下する圧力情報であるとき、状態判別部は、操作体が表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、押下圧力が第1の圧力閾値より大きく第2の圧力閾値以下であるときを第2状態、押下圧力が第2の圧力閾値より大きいときを第3状態と判別し、第0状態、第1状態または第2状態から第3状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0011】
方向検出部は、位置情報の履歴に基づいて操作体の位置変化を表す傾きを算出し、傾きと入力オブジェクトに対して設定された基準傾きとの比較結果に基づいて、操作体の移動方向を取得してもよい。
【0012】
判定領域変更部は、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに設定された判定領域を入力オブジェクトに向かって拡大し、入力オブジェクトに設定された判定領域を縮小してもよい。
【0013】
状態判別部により第0状態になったと判別されたとき、判定領域変更部は、変更された判定領域を初期状態に戻すようにしてもよい。
【0014】
状態判別部により入力オブジェクトが決定された後、さらに他のオブジェクトに対する入力操作が行われずに所定時間経過したとき、判定領域変更部は、変更された判定領域を初期状態に戻すようにしてもよい。
【0015】
操作体と表示面との状態関係が第0状態以外の状態であるとき、判定領域変更部は、操作体が入力オブジェクトの周辺領域内に存在するとき、周辺領域内に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大し、操作体が入力オブジェクトの周辺領域外に存在するとき、入力オブジェクトから離隔された位置に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大してもよい。
【0016】
周辺領域は、入力オブジェクトの重心を中心とした所定の領域として設定してもよい。
【0017】
判定領域変更部は、現在の操作体と表示面との状態関係と、前回の操作体と表示面との状態関係とを比較し、現在の状態関係が第3状態、かつ前回の状態関係が第3状態以外であるとき、入力オブジェクトの周辺領域内に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大し、現在の状態関係が第1状態、かつ前回の状態関係が第2状態または第3状態であるとき、入力オブジェクトから離隔された位置に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得するステップと、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別するステップと、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定するステップと、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出するステップと、操作体が移動する移動方向の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大するステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得手段と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別手段と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出手段と、方向検出手段の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更手段と、を備える、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
プログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記情報処理装置として機能させることができる。また、プログラムが記録された、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどである。磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】入力対象キーに対する周辺キーの判定領域の拡大処理の概要を示す説明図である。
【図3】入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の横方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【図4】入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の縦方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【図5】近接/圧力検出デバイスの種類に基づくタッチパネルと指との状態関係の定義を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置による判定領域変更処理を示す全体フローチャートである。
【図8】近接センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図9】感圧センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る入力方向検出処理を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る入力方向検出処理を示すフローチャートである。
【図12】周辺領域を矩形で定期する場合における周辺領域の定義を示す説明図である。
【図13】同実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。
【図14】判定領域選択処理における判定を示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態におけるタッチパネルと指との状態関係の定義を示す説明図である。
【図16】同実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図17】同実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。
【図18】図17に示す判定領域選択処理をまとめた処理一覧表である。
【図19】横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示された、判定領域の変更の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
情報処理装置のハードウェア構成例
情報処理装置によるキーの判定領域拡大処理の概要
情報処理装置の機能構成
情報処理装置による判定領域変更処理
1−1−1.キー入力および状態判別処理:近接センサ
1−1−2.キー入力および状態判別処理:感圧センサ
1−2.入力方向検出処理
1−3.判定領域変更処理
2.第2の実施形態
情報処理装置による判定領域変更処理
2−1.キー入力および状態判別処理
2−2.入力方向検出処理
2−3.判定領域変更処理
判定領域の変更例
【0025】
<1.第1の実施形態>
[情報処理装置のハードウェア構成例]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理装置100は、デバイスの表示装置105に対する近接および接触と、表示装置105からデバイスに対して加えられる圧力とを検出可能な近接/圧力検出デバイス104を備える装置である。情報処理装置100は、例えばオンスクリーンキーボード等のように複数の入力キーを備える入力手段において、連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減するため、入力キーに対する入力を検出する際に用いられる判定領域を変化させる。本実施形態では、所定時間内に入力された入力キーを元に、指の移動距離に応じて他のキーの判定領域を変化させて指の移動量を減少させる。
【0027】
このような情報処理装置100は、図1に示すように、CPU101と、RAM(Random Access Memory)102と、不揮発性メモリ103と、近接/圧力検出デバイス104と、表示装置105とを備える。
【0028】
CPU101は、上述したように、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。RAM102は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。不揮発性メモリ103は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ103は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0029】
近接/圧力検出デバイス104は、ユーザが情報を入力する入力装置の一例であって、情報を入力ための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。近接/圧力検出デバイス104は、表示装置105の表示面に積層して設けられる。本実施形態に係る近接/圧力検出デバイス104は、表示面に対する近接および接触を検出可能な近接センサや、表示面に対する圧力を検出可能な感圧センサによって構成することができる。
【0030】
表示装置105は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置105として、例えば液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置などを用いることができる。
【0031】
[情報処理装置によるキーの判定領域拡大処理の概要]
次に、図2〜図4に基づいて、本実施形態に係る情報処理装置100により行われるキーの判定領域拡大処理の概要を説明する。なお、図2は、入力対象キーに対する周辺キーの判定領域の拡大処理の概要を示す説明図である。図3は、入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の横方向への拡大処理の概要を示す説明図である。図4は、入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の縦方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【0032】
本実施形態に係る情報処理装置100では、上述したように、入力キーの判定領域を変化させて、ユーザが入力を行った入力対象キーから次の入力キーを操作する際の力学的負荷を軽減し、操作性を向上させる。判定領域の変化には、以下の2つが考えられる。1つは、入力対象キーに対して周辺に位置する周辺キーの判定領域を拡大するものである。周辺キーの判定領域の拡大は、入力対象キーの周辺にあるキーを次に入力することを想定して、キーを操作する指の移動量を小さくするために行われる。
【0033】
例えば、図2に示すように、表示装置105に、例えば3×3に配列された複数の表示キー210が表示されているとする。このとき、B行b列に位置する表示キー210を入力対象キーとする。当該入力対象キーに指を近接または接触させると、情報処理装置100は、入力対象キーの周辺の周辺キーの判定領域220を拡大する。周辺キーの判定領域220の拡大方法には、例えば、入力対象キーに対して上下方向に位置する入力キーの判定領域220Ab、220Cbを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦に拡大)。また、例えば、入力対象キーに対して左右方向に位置する入力キーの判定領域220Ba、220CBcを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(横に拡大)。あるいは、入力対象キーに対して上下左右方向に位置する入力キーの判定領域220Ab、220Cb、220Ba、220CBcを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦横に拡大)。
【0034】
このように、入力対象キーの周辺キーの判定領域を拡大することで、周辺キーを選択する際の指の移動量を小さくすることができる。なお、入力対象キーを連続して押下する場合には、当該キーの判定領域は小さくなっているが、押下時の指のずれは小さいと考えられる。したがって、判定領域が小さくても問題はないと考えられる。また、判定領域が変化しても、表示キー210のサイズは変更しない。これにより、表示装置105に表示された表示キーのレイアウトが変更されないようになり、ユーザは違和感なくキー操作を行うことができる。
【0035】
もう1つの判定領域の変化は、入力対象キーに対して離れた位置にある入力キーの判定領域を拡大するものである。入力対象キーから離れた位置にある入力キーの判定領域の拡大は、入力対象キーから離れた位置にあるキーを次に入力することを想定して、キーを操作する指の移動量を小さくするために行われる。例えば図3に示すように、表示装置105に、例えば3×11に配列された複数の表示キー210が表示されているとする。このとき、B行f列に位置する表示キー210を入力対象キーとする。当該入力対象キーに指を近接または接触させると、情報処理装置100は、入力対象キーから離れた位置にあるキーの判定領域220を拡大する。
【0036】
入力対象キーから離れた位置にあるキーの判定領域220の拡大方法には、例えば、図3に示すように、入力対象キーに対して左右方向に位置する入力キーの判定領域220を入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(横に拡大)。この例では、入力対象キーに対して左側に位置するa列〜c列、および入力対象キーに対して左側に位置するi列〜k列の判定領域220が拡大される。また、入力対象キーから離隔しているキーの判定領域220ほど領域の拡大率を大きくしてもよい。図3に示す例では、入力対象キーから最も離れているa列およびk列の判定領域220が他の判定領域220より大きくなるよう変更されている。これにより、入力対象キーから指の移動量の大きいキーの操作負荷をより軽減することができる。
【0037】
あるいは、例えば図4に示すように、入力対象キーに対して上下方向に位置する入力キーの判定領域220を入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦に拡大)。この例では、表示装置105に、例えば7×3に配列された複数の表示キー210が表示されており、入力対象キーに対して上側に位置するA行〜C行、および入力対象キーに対して下側に位置するE行〜G行の判定領域220が拡大される。図4に示す例においても、図3の例と同様、入力対象キーから離隔しているキーの判定領域220ほど領域の拡大率を大きくしてもよい。図4に示す例では、入力対象キーから最も離れているA行およびG行の判定領域220が他の判定領域220より大きくなるよう変更されている。これにより、入力対象キーから指の移動量の大きいキーの操作負荷をより軽減することができる。
【0038】
なお、判定領域220の変更は、例えば、特開2010−067135号公報に記載された、オンスクリーンキーボードのキーの重複を回避する重複回避処理を適用して行うことができる。
【0039】
情報処理装置100は、上記2つの考えに基づき判定領域を変化させて、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減する。以下では、情報処理装置100の機能構成と、これによる判定領域変更処理について詳細に説明していく。ここで、本実施形態では、近接/圧力検出デバイス104として、近接検出デバイスまたは圧力検出デバイスのいずれかを用いることができる。図5に、近接/圧力検出デバイス104の種類に基づくタッチパネルと指との状態関係の定義を示す。
【0040】
図5に示すように、近接検出デバイス(例えば、近接センサ)を用いた場合は、タッチパネル表面から所定の距離だけ離隔した位置までの領域を、当該デバイスにより近接を検出可能な近接検知領域として定義する。そして、指が近接検知領域外に位置するときを非接触状態(状態0)、指が近接検知領域内に位置するときを接触状態(状態1)、指が近接検知領域内に位置し、タッチパネルによる接触検出があるときを押下状態(状態2)と定義する。一方、圧力検出デバイス(例えば、感圧センサ)を用いた場合は、指がタッチパネルに非接触であるときを非接触状態(状態0)、指がタッチパネルを押圧する力がFinput以下であるときを接触状態(状態1)と定義する。そして、指がタッチパネルを押圧する力がFinputより大きいときを押下状態(状態2)と定義する。
【0041】
本実施形態では、このタッチパネルと指との状態関係を前提として、キーの判定領域の変更処理を行う情報処理装置100について説明する。
【0042】
[情報処理装置の機能構成]
まず、図6に基づいて、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明する。なお、図6は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置100は、図6に示すように、入力表示部110と、状態判別部120と、入力方向検出部130と、判定領域変更部140と、設定記憶部150とを備える。
【0043】
入力表示部110は、ユーザの指、手などの操作体の位置を検知してユーザから入力操作を受ける検出部112とともに、情報を表示する表示部114を備えており、例えばタッチパネル等を用いることができる。検出部112は、表示部114に表示されたオブジェクトに対する操作入力を検出する機能部であって、図1の近接/圧力検出デバイス104に対応する。本実施形態において、検出部112には、タッチパネルに対する近接および接触を検出可能な近接センサや、タッチパネルに対する押圧力を検出可能な感圧センサ等を用いることができる。検出部112による検出結果は、状態判別部120に出力される。
【0044】
一方、表示部114は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ当を用いることができ、情報の表示処理を行う制御部(図示せず。)により駆動される。表示部114の表示内容は、検出部112の検出結果に応じて変更させることもできる。なお、後述する判定領域変更処理では、表示部114に表示されている表示キーの表示は変更せず、操作入力を判定するための判定領域を変更する。このため、判定領域変更処理により視覚的変化は生じない。情報処理装置100は、オンスクリーンキーボードのように、表示部114に複数のオブジェクトからなるオブジェクト群が表示されている場合に、表示されているオブジェクトに対して連続して入力操作するときの操作負荷を軽減するよう機能するものである。
【0045】
状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、タッチパネルである入力表示部110と指との状態関係を判定する。状態判別部120は、図5にて説明したように、検出部112の種類に応じて設定された定義に基づき、タッチパネルに対する指の状態を非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)、押下状態(状態2)のいずれに概要するか判定する。状態判別部120は、タッチパネルに対する指の状態を判定すると、判定結果を入力方向検出部130に出力する。
【0046】
入力方向検出部130は、検出部112による検出結果に基づいて、表示部114に対する指の移動方向(入力方向)を検出する。本実施形態に係る情報処理装置100は、入力対象となるオブジェクト(入力対象キー)の次に操作するオブジェクトを操作しやすくするため、指の移動方向(入力方向)のオブジェクトの判定領域を拡大する。このため、入力方向検出部130により、指の移動方向(入力方向)を検出し、判定領域変更部140へ出力する。なお、入力方向検出部130による入力方向検出処理の詳細については後述する。
【0047】
判定領域変更部140は、状態判別部120および入力方向検出部130から入力された情報に基づいて、表示部114に表示されているオブジェクト群の各オブジェクトの判定領域を変更する。判定領域の変更処理の詳細については後述するが、判定領域変更部140は、操作入力の状態や指の入力方向に応じて、入力対象となったオブジェクトの周辺のオブジェクトあるいは離れた位置のオブジェクトの判定領域を変更する。これにより、入力対象となったオブジェクトの次に操作されるオブジェクトを操作しやすくすることができる。判定領域変更部140は、判定領域を表す判定領域情報を変更し、変更後の判定領域情報を検出部112に出力する。検出部112は、変更後の判定領域情報に基づいて、オブジェクトに対する操作入力の有無を判定するようになる。
【0048】
設定記憶部150は、判定領域変更処理において必要となる設定情報を記憶する記憶部である。設定情報としては、例えば、図5に示したタッチパネルと指との状態関係を規定する定義情報や、指の入力方向に応じた判定領域の変更内容等がある。設定記憶部150に記憶される設定情報は、予め設定されていてもよく、ユーザが適宜設定することもできる。また、情報処理装置100は、指による操作入力の履歴を一時的に記憶するメモリ(図示せず。)を備えることもできる。
【0049】
[情報処理装置による判定領域変更処理]
次に、上記情報処理装置100によるオブジェクトの判定領域変更処理を、図7〜図14に基づいて説明する。なお、図7は、本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理を示す全体フローチャートである。図8は、近接センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図9は、感圧センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る入力方向検出処理を示す説明図である。図11は、本実施形態に係る入力方向検出処理を示すフローチャートである。図12は、周辺領域を矩形で定期する場合における周辺領域の定義を示す説明図である。図13は、本実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。図14は、判定領域選択処理における判定を示す説明図である。
【0050】
本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理は、図7に示すように、まず、ユーザがタッチパネル(入力表示部110)に対して行ったキー入力の検出およびタッチパネルと指との状態関係の判別が行われる(S100)。ステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて、以下に説明する処理が行われる。
【0051】
(1−1−1.キー入力および状態判別処理:近接センサ)
まず、図8に基づき、近接センサによるキー入力および状態判別処理を説明すると、まず、状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、近接検知領域内に指が存在するか否かを判定する(S111)。近接検知領域は、タッチパネル表面から所定の距離だけ離隔した位置までの領域であって、状態判別部120は、近接センサの出力値(近接距離に応じて変化する静電容量値を出力するセンサであれば静電容量値)より近接検知領域何指があるか否かを判定できる。そして、指が近接検知領域内に存在しないと判定した場合、状態判定部120は、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S112)、現在の状態をメモリ(図示せず。)に記録する(S119)。
【0052】
一方、指が近接検知領域内に存在すると判定した場合、状態判定部120は、次いで、タッチパネルにより指がタッチパネルに接触しているという接触検出があったか否かを判定する(S113)。接触検出も、近接検知領域内に指が存在するか否かの判定と同様、検出部112である近接センサの出力値に基づき判定することができる。指がタッチパネルに接触していない場合、すなわち指が近接検知領域内にあるがタッチパネルに非接触である場合、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S114)、現在の状態をメモリに記録する(S119)。なお、実際は、指はタッチパネルに接触していないが、ここでは文言上「接触状態」として説明する。
【0053】
一方、指がタッチパネルに接触していると判定したとき、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S115)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し(S116)、時間tのカウントを開始する(S117)。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態2)であると判別し(S118)、現在の状態をメモリに記録する(S119)。
【0054】
(1−1−2.キー入力および状態判別処理:感圧センサ)
次に、図9に基づき、感圧センサによるキー入力および状態判別処理を説明すると、まず、状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、感圧センサの検出圧力Fが0より大きいか否かを判定する(S121)。なお、検出部112は、指がタッチパネルに非接触であるときには値0を出力し、指がタッチパネルに接触しているときには、指がタッチパネルを押圧する力の大きさに応じた値を出力する。検出部112の出力値が大きいほど指がタッチパネルを押圧する力は大きい。これより、状態判別部120は、検出圧力Fが0より大きくない場合には、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S122)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0055】
一方、検出圧力Fが0より大きい場合には、状態判別部120は、次いで、感圧センサの検出圧力Fが所定の圧力閾値Finputより大きいか否かを判定する(S123)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが所定の圧力閾値Finput以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S124)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0056】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが所定の圧力閾値Finputより大きい場合には、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S125)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し(S126)、時間tのカウントを開始する(S127)。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態2)であると判別し(S128)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0057】
図7のステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて図8あるいは図9に示した処理が行われることにより、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出される。
【0058】
(1−2.入力方向検出処理)
図7のステップS100により、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出されると、入力方向検出部130は、指の入力方向を検出する処理を行う(S200)。指の入力方向検出処理は、図11に基づき行われる。
【0059】
まず、入力方向検出部130は、図8または図9においてキー入力が検出された後にカウントが開始された時間tが所定時間Tconstを経過したか否かを判定する(S201)。所定時間Tconstは、連続的な入力操作が行われているかを判定するために設定される時間であり、所定時間Tconst内に入力操作が行われなければ、デフォルトで設定された判定領域に変更される。判定領域のデフォルトの設定は、例えば、各キーの判定領域を同一にすることとしてもよい。ステップS201にて、時間tが所定時間Tconst以上となった場合には、連続的に入力操作が行われていないと判定し、判定領域がデフォルトの設定値に変更される。この場合、指の入力方向は未定となる(S202)。
【0060】
一方、入力方向検出部130は、時間tが所定時間Tconstより小さい場合には、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のうちいずれか一方であるか否かを判定する(S203)。現在の状態は、状態判別部120による判別結果より取得することができる。入力方向検出部130は、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれでもないとき、すなわち、非接触状態(状態0)であるとき、判定領域をデフォルトの設置値に変更し、指の入力方向を未定とする(S202)。
【0061】
一方、ステップS203にて、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれかであると判定したとき、入力方向検出部130は、さらに、最初のキー入力があった後、当該処理(S204)の判定を行った回数が5回以内であるか否かを判定する(S204)。そして、ステップS204の判定を行った回数が5回以内であるとき、入力方向検出部130は、検出部112より取得されるタッチパネル上の指の位置(x,y)をメモリ(図示せず。)に記録し(S205)、指の入力方向を未定とする(S202)。
【0062】
一方、ステップS204の判定を行った回数が5回以上であるとき、入力方向検出部130は、指の入力方向が未定であるか否かを判定する(S206)。そして、入力方向が未定である場合には、入力方向検出部130は、ステップS207〜S210の処理によって入力方向を決定する。一方、入力方向が既に決定されている場合には、入力方向検出部130は、決定された入力方向を保持し(S211)、処理を終了する。
【0063】
入力方向検出部130は、入力方向を、ステップS205にてメモリに記録された複数の指の位置情報(例えば5つの指の位置情報)に基づき、例えば最小二乗法を用いて、近似直線を算出する(S207)。例えば、図10に示すように、指の位置履歴230が記録されていた場合、入力方向検出部130は、指の移動履歴を直線近似し、その近似直線の傾きを取得する。そして、入力方向検出部130は、ステップS207にて算出された傾きの絶対値が1より大きいか否かを判定する(S208)。すなわち、近似直線の傾きが指の移動方向(入力方向)を示しており、傾きの大きさを判定することによって指の入力方向を特定することができる。
【0064】
本実施形態では、図10に示すように、近似直線の傾きが±45°より大きいとき、すなわち当該傾きの絶対値が1より大きいときには、入力方向検出部130は、指の入力方向は縦方向であると判別する(S209)。一方、近似直線の傾きが±45°の範囲内であるとき、すなわち当該傾きの絶対値が1以下であるときには、入力方向検出部130は、指の入力方向は横方向であると判別する(S210)。なお、本実施形態では、指の位置履歴230に基づく近似直線の傾き1を境として、指の入力方向を縦方向と横方向に区分したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、デバイス、特にタッチパネルの形状に応じて、指の入力方向を区分する近似直線の傾きは適宜設定してもよい。
【0065】
ステップS200の処理によって、入力キーから指がどの方向にあるキーを操作しようとしているかを認識することができる。
【0066】
(1−3.判定領域変更処理)
図7のステップS200により、指の入力方向が検出されると、判定領域変更部140は、指の入力方向に応じたキーの判定領域を変更する処理を行う(S300)。指の入力方向検出処理は、図13に基づき行われる。
【0067】
まず、判定領域変更部140は、図8または図9においてキー入力が検出された後にカウントが開始された時間tが所定時間Tconstを経過したか否かを判定する(S301)。所定時間Tconstは、上述したように、連続的な入力操作が行われているかを判定するために設定される時間であり、所定時間Tconst内に入力操作が行われなければ、デフォルトで設定された判定領域に変更される。ステップS301にて、時間tが所定時間Tconst以上となった場合には、連続的に入力操作が行われていないと判定し、判定領域がデフォルトの設定値に変更される(S302)。
【0068】
一方、判定領域変更部140は、時間tが所定時間Tconstより小さい場合には、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のうちいずれか一方であるか否かを判定する(S303)。現在の状態は、状態判別部120による判別結果より取得することができる。判定領域変更部140は、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれでもないとき、すなわち、非接触状態(状態0)であるとき、判定領域をデフォルトの設置値に変更する(S302)。
【0069】
一方、ステップS303にて、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれかであると判定したとき、判定領域変更部140は、指の位置が周辺領域内にあるか否かを判定する(S304)。指の位置が周辺領域内にあるか否かは、例えば、図12に示すように周辺領域222を設定し、判定することができる。図12では、入力キー210bの形状が矩形であり、かつキーがマトリクス状に配置されている場合を想定している。このとき、例えば、入力キー210bを中心として、縦方向の長さをh、横方向の長さをwとして規定される矩形領域を、入力キー210bの周辺領域として設定してもよい。長さhおよびwは、キーの大きさに基づき決定してもよく、例えば図14に示すように、入力キー210bに隣接する8つのキーを含むように周辺領域222を設定してもよい。
【0070】
図13の説明に戻り、ステップS304にて指の位置が周辺領域222内に存在しないと判定した場合、判定領域変更部140は、指が入力キー210bより大きく離れたと認識する。そして、判定領域変更部140は、入力方向検出部130により検出された入力方向が縦であるか否かを判定し(S305)、入力方向が縦方向である場合には、入力キー210bから離れたキーの判定領域を縦方向に拡大する(S306)。これは、指が縦方向に大きく移動したことにより入力キー210bより縦方向に離れた位置にあるキーを次に操作しようとしていると考えられることに基づく。そして、指の入力方向にあるキーの判定領域が大きくなるようにすることで、入力キー210bから離れたキーを選択するまでの指の移動距離を小さくすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0071】
一方、ステップS305にて、指の入力方向が横方向であると判定した場合には、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れたキーの判定領域を横方向に拡大する(S307)。ステップS306と同様、指の移動方向である、横方向にあるキーの判定領域が大きくなるようにすることで、入力キー210bから離れたキーを選択するまでの指の移動距離を小さくすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0072】
また、ステップS304の処理に戻り、指が周辺領域222内に存在すると判定した場合、判定領域変更部140は、指は入力キー210bの位置からあまり動いていないと認識する。そして、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるか否かを判定し(S308)、入力方向が横方向である場合には、入力キー210bの周辺領域222内のキーの判定領域を横方向に拡大する(S309)。これにより、指が操作しようとしている入力キー210b周辺のキーを選択し易くすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0073】
一方、ステップS308にて、入力方向が縦方向である場合には、入力キー210bの周辺領域222内のキーの判定領域を縦方向に拡大する(S310)。これにより、ステップS309と同様、指が操作しようとしている入力キー210b周辺のキーを選択し易くすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。なお、入力キー210bと同一のキーを連続的に操作しようとしている場合、入力キー210bの判定領域はステップS309またはS310の処理によりデフォルトよりも小さいが、キー押下時の指の位置のずれは小さいため問題ないと考えられる。
【0074】
このように、図7のステップS300の処理により、指の入力方向に基づき、ユーザが次に操作しようとしているキーの判定領域を変更する。これにより、連続的なキー入力操作における指の移動距離を減少させることができる。なお、ステップS100〜S300の処理は、指とタッチパネルとの関係が接触状態(状態1)または押下状態(状態2)であるときに行われる。したがって、指とタッチパネルとの関係が非接触状態(状態0)となった場合には、連続的な操作入力が行われていないと判定し、判定領域変更部140は、判定領域をデフォルトの設定値に変更させる。
【0075】
以上、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明した。本実施形態に係る情報処理装置100は、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に応じて、指の入力方向を判定して次に操作されようとしているキーの判定領域を拡大することにより、連続的な入力操作における指の移動距離を減少させる。これにより、指とデバイスとの間に生じる摩擦による力学的負荷を減少させることができ、キー入力の操作性を向上させることができる。また、情報処理装置100により変更されるのは各キーに対して設定された判定領域であって、見た目のキーのレイアウトは変更されない。したがって、現在のキー入力操作へも適用が可能である。
【0076】
<2.第2の実施形態>
次に、図15〜図19に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明する。本実施形態に係る情報処理装置100の構成は、図6に示した第1の実施形態に係る情報処理装置100と同一の構成であるが、指とデバイスとの状態関係の定義が第1の実施形態と異なる。指とデバイスとの状態関係は、第1の実施形態では非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)および押下状態(状態2)の3つに区分されたが、本実施形態では、非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)、半押下状態(状態2)および押下状態(状態3)の4つに区分される。本実施形態では、図1の近接/圧力検出デバイス104として感圧センサを用いるとする。
【0077】
本実施形態では、図15に示すように、指とデバイスとの状態関係が定義される。すなわち、図15に示すように、指がタッチパネルに非接触であるときを非接触状態(状態0)、指がタッチパネルを押圧する力が0から第1の圧力閾値Frideであるときを接触状態(状態1)と定義する。そして、指がタッチパネルを押圧する力Fが第1の圧力閾値Frideより大きく第2の圧力閾値Finput以下であるときを半押下状態(状態2)、指がタッチパネルを押圧する力Fが第2の圧力閾値Finputより大きいときを押下状態(状態3)と定義する。また、押下状態となったときの指の位置にあるキーを入力キーとして決定する。以下では、入力キーの重心位置をキー入力位置とも称する。
【0078】
なお、図16は、本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図17は、本実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。図18は、図17に示す判定領域選択処理をまとめた処理一覧表である。図19は、横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示された、判定領域の変更の一例を示すグラフである。ここで、本実施形態に係る情報処理装置100の構成は第1の実施形態と同様であるためここでは詳細な説明を省略し、情報処理装置100による判定領域変更処理について説明していく。この際にも、第1の実施形態と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0079】
[情報処理装置による判定領域変更処理]
本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理も、第1の実施形態と同様に、図7に示す全体フローチャートに沿って行われる。すなわち、図7に示すように、まず、ユーザがタッチパネル(入力表示部110)に対して行ったキー入力の検出およびタッチパネルと指との状態関係の判別が行われる(S100)。ステップS100では、図16に示す処理が行われる。
【0080】
(2−1.キー入力および状態判別処理)
キー入力および状態判別処理は、図16に示すように、まず、状態判別部12により、検出部112の検出結果に基づいて、感圧センサの検出圧力Fが0より大きいか否かが判定される(S131)。なお、検出部112は、指がタッチパネルに非接触であるときには値0を出力し、指がタッチパネルに接触しているときには、指がタッチパネルを押圧する力の大きさに応じた値を出力する。検出部112の出力値が大きいほど指がタッチパネルを押圧する力は大きい。これより、状態判別部120は、検出圧力Fが0より大きくない場合には、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S132)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0081】
一方、検出圧力Fが0より大きい場合には、状態判別部120は、次いで、感圧センサの検出圧力Fが第1の圧力閾値Frideより大きいか否かを判定する(S133)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第1の圧力閾値Fride以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S134)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0082】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第1の圧力閾値Frideより大きい場合には、状態判別部120は、さらに、感圧センサの検出圧力Fが第2の圧力閾値Finputより大きいか否かを判定する(S135)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第2の圧力閾値Finput以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を半押下状態(状態2)にあると判定し(S138)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0083】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第2の圧力閾値Finputより大きい場合には、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S136)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し、時間tのカウントを開始する。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態3)であると判別し(S137)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0084】
図7のステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて図16に示した処理が行われることにより、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出される。
【0085】
(2−2.入力方向検出処理)
図7のステップS100により、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出されると、入力方向検出部130は、指の入力方向を検出する処理を行う(S200)。指の入力方向検出処理は、第1の実施形態と同様、図11に基づき行われる。したがって、ここでは入力方向検出処理についての説明を省略する。ステップS200の処理によって、入力キーから指がどの方向にあるキーを操作しようとしているかを認識することができる。
【0086】
(2−3.判定領域変更処理)
図7のステップS200により、指の入力方向が検出されると、判定領域変更部140は、指の入力方向に応じたキーの判定領域を変更する処理を行う(S300)。指の入力方向検出処理は、図17に基づき行われる。
【0087】
ステップS300において、判定領域変更部140は、図16において判定された指とタッチパネルとの状態関係の履歴を確認し、現在の状態と前回の状態とを比較する。まず、判定領域変更部140は、現在の状態が押下状態であり、かつ、前回の状態が押下状態以外(すなわち、非接触状態、接触状態、または半押下状態のいずれか)であるか否かを判定する(S311)。ステップS311では、前回の状態からタッチパネルが強く押し込まれた状態であることを検知する。ステップS311の判定条件を満たす場合には、前回からの指の移動は大きくないと考えられるので、入力キー210bの周辺領域222に存在するキーの判定領域を拡大することにより、次の入力を行い易くすることができる。
【0088】
そこで、ステップS311を満たすとき、入力キー210bの周辺領域222にあるキーの判定領域を拡大するため、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるかを判定する(S312)。そして、指の入力方向が縦方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bの周辺領域222に位置するキーの判定領域を縦方向に拡大する(S313)。一方、指の入力方向が横方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bの周辺領域222に位置するキーの判定領域を横方向に拡大する(S314)。なお、ステップS313、S314における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0089】
なお、入力キー210bの周辺領域222は、第1の実施形態と同様に設定することができる。
【0090】
一方、ステップS311の判定条件を満たさない場合、判定領域変更部140は、次に、現在の状態が接触状態であり、かつ、前回の状態が半押下状態または押下状態であるか否かを判定する(S315)。ステップS315では、前回の状態からタッチパネルを押し込む力が抜かれた状態であることを検知する。ステップS315の判定条件を満たす場合には、入力キー210bから離れた位置にあるキーを操作する可能性が高いと考えられるので、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大する処理を行う。
【0091】
そこで、ステップS315を満たすとき、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大するため、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるかを判定する(S316)。そして、指の入力方向が横方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を横方向に拡大する(S317)。一方、指の入力方向が縦方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を縦方向に拡大する(S318)。なお、ステップS317、S318における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0092】
一方、ステップS315の判定条件を満たさない場合、判定領域変更部140は、さらに、現在の状態が非接触状態であり、かつ、前回の状態が接触状態、半押下状態または押下状態のいずれかであるか否かを判定する(S319)。ステップS319では、非接触状態になったことを検知する処理であり、ステップS319の判定条件を満たす場合には、判定領域はデフォルトの設定値に変更される。
【0093】
すなわち、ステップS315を満たすとき、判定領域変更部140は、判定領域がデフォルトの設定値に変更される(S320)。一方、ステップS315を満たさない場合も、判定領域変更部140は、タッチパネルに対する指の非接触状態が継続しているため、現在の判定領域を維持する(S321)。そして、ステップS320、S321における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0094】
本実施形態に係る判定領域変更処理をまとめると、図18に示すようになる。このように、図7のステップS300の処理により、指の入力方向に基づき、ユーザが次に操作しようとしているキーの判定領域を変更する。これにより、連続的なキー入力操作における指の移動距離を減少させることができる。なお、ステップS100〜S300の処理は、指とタッチパネルとの関係が接触状態(状態1)、半押下状態(状態2)および押下状態(状態3)であるときに行われる。したがって、指とタッチパネルとの関係が非接触状態(状態0)となった場合には、連続的な操作入力が行われていないと判定し、判定領域変更部140は、判定領域をデフォルトの設定値に変更させる。
【0095】
[判定領域の変更例]
図19に、判定領域の変更例を示す。図19に示すグラフでは、横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示されている。圧力の大きさは0〜10で表されており、数値が大きいほど圧力が大きいことを示す。ここでは、第1の圧力閾値Frideが6.5、第2の圧力閾値Finputが8.5に設定されている。
【0096】
図19に示すように、指がタッチパネルを押下する力が第2の圧力閾値より大きくなったとき、指の位置にあるキーが入力キーとなる。この入力キーの位置(入力キー位置)が決定されてから検出圧力が第1の圧力閾値Fride以上の圧力で連続して入力が行われているときには、入力キーの周辺領域に位置するキーの判定領域が拡大され、入力キーの判定領域は縮小された状態となっている。その後、検出圧力が第1の圧力閾値Fride以下となると、判定領域変更部140は、入力キーから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大する。そして、タッチパネルから指が離隔されると、判定領域はデフォルトの設定値に変更される。このように、判定領域変更部140は、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に基づき、判定領域を変更し、キー入力の操作性を向上させる。
【0097】
以上、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明した。本実施形態に係る情報処理装置100も、第1の実施形態と同様に、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に応じて、指の入力方向を判定して次に操作されようとしているキーの判定領域を拡大することにより、連続的な入力操作における指の移動距離を減少させる。これにより、指とデバイスとの間に生じる摩擦による力学的負荷を減少させることができ、キー入力の操作性を向上させることができる。また、情報処理装置100により変更されるのは各キーに対して設定された判定領域であって、見た目のキーのレイアウトは変更されない。したがって、現在のキー入力操作へも適用が可能である。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上記実施形態では、キーの形状および周辺領域222は矩形としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、キーの形状は円形であってもよい。また、周辺領域222の形状は、キーの形状に合わせて設定することができ、例えばキーの形状が円形であるときには、周辺領域222の形状も円形としてもよい。
【符号の説明】
【0100】
100 情報処理装置
110 入力表示部
112 検出部
114 表示部
120 状態判別部
130 入力方向検出部
140 判定領域変更部
150 設定記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを有する機器が増加する中、近年では、押下圧力を計測可能なデバイスの開発が進められている。押下による操作は、指をデバイスに対して押し込んだ状態で行われる。このため、押し込み入力操作の場合には、連続して同一キーを入力しても接触座標が大きく崩れることはない。しかし、押し込んだ状態から連続して他のキー入力を行う等、指の移動を必要とする操作を行う場合には、指とデバイスとの間で生じる摩擦によって力学的負荷が発生する。この力学的負荷により、ユーザはキーを操作する指等に疲労を受け、操作性の低下を生じる可能性がある。
【0003】
一方、タッチパネル操作におけるキー入力では、入力対象であるキーを判定するため、各キーに対応してキー入力の判定領域が設定されている。キー入力の操作性を向上させるため、キー入力の判定領域を動的に変化させること行われている。例えば、特許文献1には、タッチパネルにおけるキー入力時に複数のキーに入力が重複した場合に表示するキーを画面上で拡大することで誤入力を防止するタッチパネル入力装置が開示されている。また、特許文献2には、画面上のボタンの配置やボタンの隣接状況に応じて自動的に認識領域を最適化することにより、タッチパネルの操作性、認識率を向上させる、タッチパネルにおけるボタン認識領域最適化方式が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−49305号公報
【特許文献2】特開2003−296027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、1回のキー入力において、キーの拡大の前後で入力を2回行う必要があり、操作負荷が大きくなるという問題があった。また、上記特許文献2では、ボタン認識領域の最適化補正はユーザの入力状態に関わらず行われるため、ユーザがキーの入力を意図しない状況において入力を検知してしまうという問題がある。そして、上記特許文献1、2では、押し込み操作が可能なデバイスにて連続的にキー入力を行うことは想定されていないため、このようなデバイスにおける連続的なキー入力においては依然として指への力学的負荷が大きく、操作性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、方向検出部の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
状態情報が表示面に対する操作体の近接接触情報であるとき、状態判別部は、操作体が、表示面から当該表示面より所定距離だけ離隔した位置までの近接検知領域外に位置するときを第0状態、近接領域内に位置するときを第1状態、表示面に接触した状態を第2状態と判別し、第0状態または第1状態から第2状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0009】
状態情報が表示面を押下する圧力情報であるとき、状態判別部は、操作体が表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、押下圧力が第1の圧力閾値より大きいときを第2状態と判別し、第0状態または第1状態から第2状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0010】
あるいは、状態情報が表示面を押下する圧力情報であるとき、状態判別部は、操作体が表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、押下圧力が第1の圧力閾値より大きく第2の圧力閾値以下であるときを第2状態、押下圧力が第2の圧力閾値より大きいときを第3状態と判別し、第0状態、第1状態または第2状態から第3状態となったとき、操作体が接触するオブジェクトを入力オブジェクトとして決定してもよい。
【0011】
方向検出部は、位置情報の履歴に基づいて操作体の位置変化を表す傾きを算出し、傾きと入力オブジェクトに対して設定された基準傾きとの比較結果に基づいて、操作体の移動方向を取得してもよい。
【0012】
判定領域変更部は、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに設定された判定領域を入力オブジェクトに向かって拡大し、入力オブジェクトに設定された判定領域を縮小してもよい。
【0013】
状態判別部により第0状態になったと判別されたとき、判定領域変更部は、変更された判定領域を初期状態に戻すようにしてもよい。
【0014】
状態判別部により入力オブジェクトが決定された後、さらに他のオブジェクトに対する入力操作が行われずに所定時間経過したとき、判定領域変更部は、変更された判定領域を初期状態に戻すようにしてもよい。
【0015】
操作体と表示面との状態関係が第0状態以外の状態であるとき、判定領域変更部は、操作体が入力オブジェクトの周辺領域内に存在するとき、周辺領域内に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大し、操作体が入力オブジェクトの周辺領域外に存在するとき、入力オブジェクトから離隔された位置に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大してもよい。
【0016】
周辺領域は、入力オブジェクトの重心を中心とした所定の領域として設定してもよい。
【0017】
判定領域変更部は、現在の操作体と表示面との状態関係と、前回の操作体と表示面との状態関係とを比較し、現在の状態関係が第3状態、かつ前回の状態関係が第3状態以外であるとき、入力オブジェクトの周辺領域内に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大し、現在の状態関係が第1状態、かつ前回の状態関係が第2状態または第3状態であるとき、入力オブジェクトから離隔された位置に存在するオブジェクトに設定された判定領域を拡大してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得するステップと、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別するステップと、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定するステップと、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出するステップと、操作体が移動する移動方向の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大するステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、表示面に対する操作体の近接接触情報または表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得手段と、状態情報に基づいて、操作体と表示面との状態関係を判別し、複数のオブジェクトのうち、操作体と表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別手段と、位置情報に基づいて、入力オブジェクトに対して操作体が移動する移動方向を検出する方向検出手段と、方向検出手段の検出結果に基づいて、操作体の移動方向に存在するオブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更手段と、を備える、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
プログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記情報処理装置として機能させることができる。また、プログラムが記録された、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどである。磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】入力対象キーに対する周辺キーの判定領域の拡大処理の概要を示す説明図である。
【図3】入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の横方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【図4】入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の縦方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【図5】近接/圧力検出デバイスの種類に基づくタッチパネルと指との状態関係の定義を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置による判定領域変更処理を示す全体フローチャートである。
【図8】近接センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図9】感圧センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る入力方向検出処理を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る入力方向検出処理を示すフローチャートである。
【図12】周辺領域を矩形で定期する場合における周辺領域の定義を示す説明図である。
【図13】同実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。
【図14】判定領域選択処理における判定を示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態におけるタッチパネルと指との状態関係の定義を示す説明図である。
【図16】同実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。
【図17】同実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。
【図18】図17に示す判定領域選択処理をまとめた処理一覧表である。
【図19】横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示された、判定領域の変更の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
情報処理装置のハードウェア構成例
情報処理装置によるキーの判定領域拡大処理の概要
情報処理装置の機能構成
情報処理装置による判定領域変更処理
1−1−1.キー入力および状態判別処理:近接センサ
1−1−2.キー入力および状態判別処理:感圧センサ
1−2.入力方向検出処理
1−3.判定領域変更処理
2.第2の実施形態
情報処理装置による判定領域変更処理
2−1.キー入力および状態判別処理
2−2.入力方向検出処理
2−3.判定領域変更処理
判定領域の変更例
【0025】
<1.第1の実施形態>
[情報処理装置のハードウェア構成例]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理装置100は、デバイスの表示装置105に対する近接および接触と、表示装置105からデバイスに対して加えられる圧力とを検出可能な近接/圧力検出デバイス104を備える装置である。情報処理装置100は、例えばオンスクリーンキーボード等のように複数の入力キーを備える入力手段において、連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減するため、入力キーに対する入力を検出する際に用いられる判定領域を変化させる。本実施形態では、所定時間内に入力された入力キーを元に、指の移動距離に応じて他のキーの判定領域を変化させて指の移動量を減少させる。
【0027】
このような情報処理装置100は、図1に示すように、CPU101と、RAM(Random Access Memory)102と、不揮発性メモリ103と、近接/圧力検出デバイス104と、表示装置105とを備える。
【0028】
CPU101は、上述したように、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。RAM102は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。不揮発性メモリ103は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ103は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0029】
近接/圧力検出デバイス104は、ユーザが情報を入力する入力装置の一例であって、情報を入力ための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。近接/圧力検出デバイス104は、表示装置105の表示面に積層して設けられる。本実施形態に係る近接/圧力検出デバイス104は、表示面に対する近接および接触を検出可能な近接センサや、表示面に対する圧力を検出可能な感圧センサによって構成することができる。
【0030】
表示装置105は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置105として、例えば液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置などを用いることができる。
【0031】
[情報処理装置によるキーの判定領域拡大処理の概要]
次に、図2〜図4に基づいて、本実施形態に係る情報処理装置100により行われるキーの判定領域拡大処理の概要を説明する。なお、図2は、入力対象キーに対する周辺キーの判定領域の拡大処理の概要を示す説明図である。図3は、入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の横方向への拡大処理の概要を示す説明図である。図4は、入力対象キーに対して離れた位置にあるキーの判定領域の縦方向への拡大処理の概要を示す説明図である。
【0032】
本実施形態に係る情報処理装置100では、上述したように、入力キーの判定領域を変化させて、ユーザが入力を行った入力対象キーから次の入力キーを操作する際の力学的負荷を軽減し、操作性を向上させる。判定領域の変化には、以下の2つが考えられる。1つは、入力対象キーに対して周辺に位置する周辺キーの判定領域を拡大するものである。周辺キーの判定領域の拡大は、入力対象キーの周辺にあるキーを次に入力することを想定して、キーを操作する指の移動量を小さくするために行われる。
【0033】
例えば、図2に示すように、表示装置105に、例えば3×3に配列された複数の表示キー210が表示されているとする。このとき、B行b列に位置する表示キー210を入力対象キーとする。当該入力対象キーに指を近接または接触させると、情報処理装置100は、入力対象キーの周辺の周辺キーの判定領域220を拡大する。周辺キーの判定領域220の拡大方法には、例えば、入力対象キーに対して上下方向に位置する入力キーの判定領域220Ab、220Cbを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦に拡大)。また、例えば、入力対象キーに対して左右方向に位置する入力キーの判定領域220Ba、220CBcを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(横に拡大)。あるいは、入力対象キーに対して上下左右方向に位置する入力キーの判定領域220Ab、220Cb、220Ba、220CBcを入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦横に拡大)。
【0034】
このように、入力対象キーの周辺キーの判定領域を拡大することで、周辺キーを選択する際の指の移動量を小さくすることができる。なお、入力対象キーを連続して押下する場合には、当該キーの判定領域は小さくなっているが、押下時の指のずれは小さいと考えられる。したがって、判定領域が小さくても問題はないと考えられる。また、判定領域が変化しても、表示キー210のサイズは変更しない。これにより、表示装置105に表示された表示キーのレイアウトが変更されないようになり、ユーザは違和感なくキー操作を行うことができる。
【0035】
もう1つの判定領域の変化は、入力対象キーに対して離れた位置にある入力キーの判定領域を拡大するものである。入力対象キーから離れた位置にある入力キーの判定領域の拡大は、入力対象キーから離れた位置にあるキーを次に入力することを想定して、キーを操作する指の移動量を小さくするために行われる。例えば図3に示すように、表示装置105に、例えば3×11に配列された複数の表示キー210が表示されているとする。このとき、B行f列に位置する表示キー210を入力対象キーとする。当該入力対象キーに指を近接または接触させると、情報処理装置100は、入力対象キーから離れた位置にあるキーの判定領域220を拡大する。
【0036】
入力対象キーから離れた位置にあるキーの判定領域220の拡大方法には、例えば、図3に示すように、入力対象キーに対して左右方向に位置する入力キーの判定領域220を入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(横に拡大)。この例では、入力対象キーに対して左側に位置するa列〜c列、および入力対象キーに対して左側に位置するi列〜k列の判定領域220が拡大される。また、入力対象キーから離隔しているキーの判定領域220ほど領域の拡大率を大きくしてもよい。図3に示す例では、入力対象キーから最も離れているa列およびk列の判定領域220が他の判定領域220より大きくなるよう変更されている。これにより、入力対象キーから指の移動量の大きいキーの操作負荷をより軽減することができる。
【0037】
あるいは、例えば図4に示すように、入力対象キーに対して上下方向に位置する入力キーの判定領域220を入力対象キー側へ拡大するようにしてもよい(縦に拡大)。この例では、表示装置105に、例えば7×3に配列された複数の表示キー210が表示されており、入力対象キーに対して上側に位置するA行〜C行、および入力対象キーに対して下側に位置するE行〜G行の判定領域220が拡大される。図4に示す例においても、図3の例と同様、入力対象キーから離隔しているキーの判定領域220ほど領域の拡大率を大きくしてもよい。図4に示す例では、入力対象キーから最も離れているA行およびG行の判定領域220が他の判定領域220より大きくなるよう変更されている。これにより、入力対象キーから指の移動量の大きいキーの操作負荷をより軽減することができる。
【0038】
なお、判定領域220の変更は、例えば、特開2010−067135号公報に記載された、オンスクリーンキーボードのキーの重複を回避する重複回避処理を適用して行うことができる。
【0039】
情報処理装置100は、上記2つの考えに基づき判定領域を変化させて、押下による連続的なキー入力操作で生じる力学的負荷を軽減する。以下では、情報処理装置100の機能構成と、これによる判定領域変更処理について詳細に説明していく。ここで、本実施形態では、近接/圧力検出デバイス104として、近接検出デバイスまたは圧力検出デバイスのいずれかを用いることができる。図5に、近接/圧力検出デバイス104の種類に基づくタッチパネルと指との状態関係の定義を示す。
【0040】
図5に示すように、近接検出デバイス(例えば、近接センサ)を用いた場合は、タッチパネル表面から所定の距離だけ離隔した位置までの領域を、当該デバイスにより近接を検出可能な近接検知領域として定義する。そして、指が近接検知領域外に位置するときを非接触状態(状態0)、指が近接検知領域内に位置するときを接触状態(状態1)、指が近接検知領域内に位置し、タッチパネルによる接触検出があるときを押下状態(状態2)と定義する。一方、圧力検出デバイス(例えば、感圧センサ)を用いた場合は、指がタッチパネルに非接触であるときを非接触状態(状態0)、指がタッチパネルを押圧する力がFinput以下であるときを接触状態(状態1)と定義する。そして、指がタッチパネルを押圧する力がFinputより大きいときを押下状態(状態2)と定義する。
【0041】
本実施形態では、このタッチパネルと指との状態関係を前提として、キーの判定領域の変更処理を行う情報処理装置100について説明する。
【0042】
[情報処理装置の機能構成]
まず、図6に基づいて、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明する。なお、図6は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置100は、図6に示すように、入力表示部110と、状態判別部120と、入力方向検出部130と、判定領域変更部140と、設定記憶部150とを備える。
【0043】
入力表示部110は、ユーザの指、手などの操作体の位置を検知してユーザから入力操作を受ける検出部112とともに、情報を表示する表示部114を備えており、例えばタッチパネル等を用いることができる。検出部112は、表示部114に表示されたオブジェクトに対する操作入力を検出する機能部であって、図1の近接/圧力検出デバイス104に対応する。本実施形態において、検出部112には、タッチパネルに対する近接および接触を検出可能な近接センサや、タッチパネルに対する押圧力を検出可能な感圧センサ等を用いることができる。検出部112による検出結果は、状態判別部120に出力される。
【0044】
一方、表示部114は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ当を用いることができ、情報の表示処理を行う制御部(図示せず。)により駆動される。表示部114の表示内容は、検出部112の検出結果に応じて変更させることもできる。なお、後述する判定領域変更処理では、表示部114に表示されている表示キーの表示は変更せず、操作入力を判定するための判定領域を変更する。このため、判定領域変更処理により視覚的変化は生じない。情報処理装置100は、オンスクリーンキーボードのように、表示部114に複数のオブジェクトからなるオブジェクト群が表示されている場合に、表示されているオブジェクトに対して連続して入力操作するときの操作負荷を軽減するよう機能するものである。
【0045】
状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、タッチパネルである入力表示部110と指との状態関係を判定する。状態判別部120は、図5にて説明したように、検出部112の種類に応じて設定された定義に基づき、タッチパネルに対する指の状態を非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)、押下状態(状態2)のいずれに概要するか判定する。状態判別部120は、タッチパネルに対する指の状態を判定すると、判定結果を入力方向検出部130に出力する。
【0046】
入力方向検出部130は、検出部112による検出結果に基づいて、表示部114に対する指の移動方向(入力方向)を検出する。本実施形態に係る情報処理装置100は、入力対象となるオブジェクト(入力対象キー)の次に操作するオブジェクトを操作しやすくするため、指の移動方向(入力方向)のオブジェクトの判定領域を拡大する。このため、入力方向検出部130により、指の移動方向(入力方向)を検出し、判定領域変更部140へ出力する。なお、入力方向検出部130による入力方向検出処理の詳細については後述する。
【0047】
判定領域変更部140は、状態判別部120および入力方向検出部130から入力された情報に基づいて、表示部114に表示されているオブジェクト群の各オブジェクトの判定領域を変更する。判定領域の変更処理の詳細については後述するが、判定領域変更部140は、操作入力の状態や指の入力方向に応じて、入力対象となったオブジェクトの周辺のオブジェクトあるいは離れた位置のオブジェクトの判定領域を変更する。これにより、入力対象となったオブジェクトの次に操作されるオブジェクトを操作しやすくすることができる。判定領域変更部140は、判定領域を表す判定領域情報を変更し、変更後の判定領域情報を検出部112に出力する。検出部112は、変更後の判定領域情報に基づいて、オブジェクトに対する操作入力の有無を判定するようになる。
【0048】
設定記憶部150は、判定領域変更処理において必要となる設定情報を記憶する記憶部である。設定情報としては、例えば、図5に示したタッチパネルと指との状態関係を規定する定義情報や、指の入力方向に応じた判定領域の変更内容等がある。設定記憶部150に記憶される設定情報は、予め設定されていてもよく、ユーザが適宜設定することもできる。また、情報処理装置100は、指による操作入力の履歴を一時的に記憶するメモリ(図示せず。)を備えることもできる。
【0049】
[情報処理装置による判定領域変更処理]
次に、上記情報処理装置100によるオブジェクトの判定領域変更処理を、図7〜図14に基づいて説明する。なお、図7は、本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理を示す全体フローチャートである。図8は、近接センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図9は、感圧センサによる本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る入力方向検出処理を示す説明図である。図11は、本実施形態に係る入力方向検出処理を示すフローチャートである。図12は、周辺領域を矩形で定期する場合における周辺領域の定義を示す説明図である。図13は、本実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。図14は、判定領域選択処理における判定を示す説明図である。
【0050】
本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理は、図7に示すように、まず、ユーザがタッチパネル(入力表示部110)に対して行ったキー入力の検出およびタッチパネルと指との状態関係の判別が行われる(S100)。ステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて、以下に説明する処理が行われる。
【0051】
(1−1−1.キー入力および状態判別処理:近接センサ)
まず、図8に基づき、近接センサによるキー入力および状態判別処理を説明すると、まず、状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、近接検知領域内に指が存在するか否かを判定する(S111)。近接検知領域は、タッチパネル表面から所定の距離だけ離隔した位置までの領域であって、状態判別部120は、近接センサの出力値(近接距離に応じて変化する静電容量値を出力するセンサであれば静電容量値)より近接検知領域何指があるか否かを判定できる。そして、指が近接検知領域内に存在しないと判定した場合、状態判定部120は、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S112)、現在の状態をメモリ(図示せず。)に記録する(S119)。
【0052】
一方、指が近接検知領域内に存在すると判定した場合、状態判定部120は、次いで、タッチパネルにより指がタッチパネルに接触しているという接触検出があったか否かを判定する(S113)。接触検出も、近接検知領域内に指が存在するか否かの判定と同様、検出部112である近接センサの出力値に基づき判定することができる。指がタッチパネルに接触していない場合、すなわち指が近接検知領域内にあるがタッチパネルに非接触である場合、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S114)、現在の状態をメモリに記録する(S119)。なお、実際は、指はタッチパネルに接触していないが、ここでは文言上「接触状態」として説明する。
【0053】
一方、指がタッチパネルに接触していると判定したとき、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S115)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し(S116)、時間tのカウントを開始する(S117)。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態2)であると判別し(S118)、現在の状態をメモリに記録する(S119)。
【0054】
(1−1−2.キー入力および状態判別処理:感圧センサ)
次に、図9に基づき、感圧センサによるキー入力および状態判別処理を説明すると、まず、状態判別部120は、検出部112の検出結果に基づいて、感圧センサの検出圧力Fが0より大きいか否かを判定する(S121)。なお、検出部112は、指がタッチパネルに非接触であるときには値0を出力し、指がタッチパネルに接触しているときには、指がタッチパネルを押圧する力の大きさに応じた値を出力する。検出部112の出力値が大きいほど指がタッチパネルを押圧する力は大きい。これより、状態判別部120は、検出圧力Fが0より大きくない場合には、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S122)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0055】
一方、検出圧力Fが0より大きい場合には、状態判別部120は、次いで、感圧センサの検出圧力Fが所定の圧力閾値Finputより大きいか否かを判定する(S123)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが所定の圧力閾値Finput以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S124)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0056】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが所定の圧力閾値Finputより大きい場合には、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S125)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し(S126)、時間tのカウントを開始する(S127)。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態2)であると判別し(S128)、現在の状態をメモリに記録する(S129)。
【0057】
図7のステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて図8あるいは図9に示した処理が行われることにより、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出される。
【0058】
(1−2.入力方向検出処理)
図7のステップS100により、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出されると、入力方向検出部130は、指の入力方向を検出する処理を行う(S200)。指の入力方向検出処理は、図11に基づき行われる。
【0059】
まず、入力方向検出部130は、図8または図9においてキー入力が検出された後にカウントが開始された時間tが所定時間Tconstを経過したか否かを判定する(S201)。所定時間Tconstは、連続的な入力操作が行われているかを判定するために設定される時間であり、所定時間Tconst内に入力操作が行われなければ、デフォルトで設定された判定領域に変更される。判定領域のデフォルトの設定は、例えば、各キーの判定領域を同一にすることとしてもよい。ステップS201にて、時間tが所定時間Tconst以上となった場合には、連続的に入力操作が行われていないと判定し、判定領域がデフォルトの設定値に変更される。この場合、指の入力方向は未定となる(S202)。
【0060】
一方、入力方向検出部130は、時間tが所定時間Tconstより小さい場合には、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のうちいずれか一方であるか否かを判定する(S203)。現在の状態は、状態判別部120による判別結果より取得することができる。入力方向検出部130は、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれでもないとき、すなわち、非接触状態(状態0)であるとき、判定領域をデフォルトの設置値に変更し、指の入力方向を未定とする(S202)。
【0061】
一方、ステップS203にて、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれかであると判定したとき、入力方向検出部130は、さらに、最初のキー入力があった後、当該処理(S204)の判定を行った回数が5回以内であるか否かを判定する(S204)。そして、ステップS204の判定を行った回数が5回以内であるとき、入力方向検出部130は、検出部112より取得されるタッチパネル上の指の位置(x,y)をメモリ(図示せず。)に記録し(S205)、指の入力方向を未定とする(S202)。
【0062】
一方、ステップS204の判定を行った回数が5回以上であるとき、入力方向検出部130は、指の入力方向が未定であるか否かを判定する(S206)。そして、入力方向が未定である場合には、入力方向検出部130は、ステップS207〜S210の処理によって入力方向を決定する。一方、入力方向が既に決定されている場合には、入力方向検出部130は、決定された入力方向を保持し(S211)、処理を終了する。
【0063】
入力方向検出部130は、入力方向を、ステップS205にてメモリに記録された複数の指の位置情報(例えば5つの指の位置情報)に基づき、例えば最小二乗法を用いて、近似直線を算出する(S207)。例えば、図10に示すように、指の位置履歴230が記録されていた場合、入力方向検出部130は、指の移動履歴を直線近似し、その近似直線の傾きを取得する。そして、入力方向検出部130は、ステップS207にて算出された傾きの絶対値が1より大きいか否かを判定する(S208)。すなわち、近似直線の傾きが指の移動方向(入力方向)を示しており、傾きの大きさを判定することによって指の入力方向を特定することができる。
【0064】
本実施形態では、図10に示すように、近似直線の傾きが±45°より大きいとき、すなわち当該傾きの絶対値が1より大きいときには、入力方向検出部130は、指の入力方向は縦方向であると判別する(S209)。一方、近似直線の傾きが±45°の範囲内であるとき、すなわち当該傾きの絶対値が1以下であるときには、入力方向検出部130は、指の入力方向は横方向であると判別する(S210)。なお、本実施形態では、指の位置履歴230に基づく近似直線の傾き1を境として、指の入力方向を縦方向と横方向に区分したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、デバイス、特にタッチパネルの形状に応じて、指の入力方向を区分する近似直線の傾きは適宜設定してもよい。
【0065】
ステップS200の処理によって、入力キーから指がどの方向にあるキーを操作しようとしているかを認識することができる。
【0066】
(1−3.判定領域変更処理)
図7のステップS200により、指の入力方向が検出されると、判定領域変更部140は、指の入力方向に応じたキーの判定領域を変更する処理を行う(S300)。指の入力方向検出処理は、図13に基づき行われる。
【0067】
まず、判定領域変更部140は、図8または図9においてキー入力が検出された後にカウントが開始された時間tが所定時間Tconstを経過したか否かを判定する(S301)。所定時間Tconstは、上述したように、連続的な入力操作が行われているかを判定するために設定される時間であり、所定時間Tconst内に入力操作が行われなければ、デフォルトで設定された判定領域に変更される。ステップS301にて、時間tが所定時間Tconst以上となった場合には、連続的に入力操作が行われていないと判定し、判定領域がデフォルトの設定値に変更される(S302)。
【0068】
一方、判定領域変更部140は、時間tが所定時間Tconstより小さい場合には、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のうちいずれか一方であるか否かを判定する(S303)。現在の状態は、状態判別部120による判別結果より取得することができる。判定領域変更部140は、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれでもないとき、すなわち、非接触状態(状態0)であるとき、判定領域をデフォルトの設置値に変更する(S302)。
【0069】
一方、ステップS303にて、現在の状態が押下状態(状態2)または接触状態(状態1)のいずれかであると判定したとき、判定領域変更部140は、指の位置が周辺領域内にあるか否かを判定する(S304)。指の位置が周辺領域内にあるか否かは、例えば、図12に示すように周辺領域222を設定し、判定することができる。図12では、入力キー210bの形状が矩形であり、かつキーがマトリクス状に配置されている場合を想定している。このとき、例えば、入力キー210bを中心として、縦方向の長さをh、横方向の長さをwとして規定される矩形領域を、入力キー210bの周辺領域として設定してもよい。長さhおよびwは、キーの大きさに基づき決定してもよく、例えば図14に示すように、入力キー210bに隣接する8つのキーを含むように周辺領域222を設定してもよい。
【0070】
図13の説明に戻り、ステップS304にて指の位置が周辺領域222内に存在しないと判定した場合、判定領域変更部140は、指が入力キー210bより大きく離れたと認識する。そして、判定領域変更部140は、入力方向検出部130により検出された入力方向が縦であるか否かを判定し(S305)、入力方向が縦方向である場合には、入力キー210bから離れたキーの判定領域を縦方向に拡大する(S306)。これは、指が縦方向に大きく移動したことにより入力キー210bより縦方向に離れた位置にあるキーを次に操作しようとしていると考えられることに基づく。そして、指の入力方向にあるキーの判定領域が大きくなるようにすることで、入力キー210bから離れたキーを選択するまでの指の移動距離を小さくすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0071】
一方、ステップS305にて、指の入力方向が横方向であると判定した場合には、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れたキーの判定領域を横方向に拡大する(S307)。ステップS306と同様、指の移動方向である、横方向にあるキーの判定領域が大きくなるようにすることで、入力キー210bから離れたキーを選択するまでの指の移動距離を小さくすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0072】
また、ステップS304の処理に戻り、指が周辺領域222内に存在すると判定した場合、判定領域変更部140は、指は入力キー210bの位置からあまり動いていないと認識する。そして、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるか否かを判定し(S308)、入力方向が横方向である場合には、入力キー210bの周辺領域222内のキーの判定領域を横方向に拡大する(S309)。これにより、指が操作しようとしている入力キー210b周辺のキーを選択し易くすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。
【0073】
一方、ステップS308にて、入力方向が縦方向である場合には、入力キー210bの周辺領域222内のキーの判定領域を縦方向に拡大する(S310)。これにより、ステップS309と同様、指が操作しようとしている入力キー210b周辺のキーを選択し易くすることができ、指への力学的負荷を軽減することができる。なお、入力キー210bと同一のキーを連続的に操作しようとしている場合、入力キー210bの判定領域はステップS309またはS310の処理によりデフォルトよりも小さいが、キー押下時の指の位置のずれは小さいため問題ないと考えられる。
【0074】
このように、図7のステップS300の処理により、指の入力方向に基づき、ユーザが次に操作しようとしているキーの判定領域を変更する。これにより、連続的なキー入力操作における指の移動距離を減少させることができる。なお、ステップS100〜S300の処理は、指とタッチパネルとの関係が接触状態(状態1)または押下状態(状態2)であるときに行われる。したがって、指とタッチパネルとの関係が非接触状態(状態0)となった場合には、連続的な操作入力が行われていないと判定し、判定領域変更部140は、判定領域をデフォルトの設定値に変更させる。
【0075】
以上、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明した。本実施形態に係る情報処理装置100は、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に応じて、指の入力方向を判定して次に操作されようとしているキーの判定領域を拡大することにより、連続的な入力操作における指の移動距離を減少させる。これにより、指とデバイスとの間に生じる摩擦による力学的負荷を減少させることができ、キー入力の操作性を向上させることができる。また、情報処理装置100により変更されるのは各キーに対して設定された判定領域であって、見た目のキーのレイアウトは変更されない。したがって、現在のキー入力操作へも適用が可能である。
【0076】
<2.第2の実施形態>
次に、図15〜図19に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明する。本実施形態に係る情報処理装置100の構成は、図6に示した第1の実施形態に係る情報処理装置100と同一の構成であるが、指とデバイスとの状態関係の定義が第1の実施形態と異なる。指とデバイスとの状態関係は、第1の実施形態では非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)および押下状態(状態2)の3つに区分されたが、本実施形態では、非接触状態(状態0)、接触状態(状態1)、半押下状態(状態2)および押下状態(状態3)の4つに区分される。本実施形態では、図1の近接/圧力検出デバイス104として感圧センサを用いるとする。
【0077】
本実施形態では、図15に示すように、指とデバイスとの状態関係が定義される。すなわち、図15に示すように、指がタッチパネルに非接触であるときを非接触状態(状態0)、指がタッチパネルを押圧する力が0から第1の圧力閾値Frideであるときを接触状態(状態1)と定義する。そして、指がタッチパネルを押圧する力Fが第1の圧力閾値Frideより大きく第2の圧力閾値Finput以下であるときを半押下状態(状態2)、指がタッチパネルを押圧する力Fが第2の圧力閾値Finputより大きいときを押下状態(状態3)と定義する。また、押下状態となったときの指の位置にあるキーを入力キーとして決定する。以下では、入力キーの重心位置をキー入力位置とも称する。
【0078】
なお、図16は、本実施形態に係るキー入力および状態判別処理を示すフローチャートである。図17は、本実施形態に係る判定領域選択処理を示すフローチャートである。図18は、図17に示す判定領域選択処理をまとめた処理一覧表である。図19は、横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示された、判定領域の変更の一例を示すグラフである。ここで、本実施形態に係る情報処理装置100の構成は第1の実施形態と同様であるためここでは詳細な説明を省略し、情報処理装置100による判定領域変更処理について説明していく。この際にも、第1の実施形態と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0079】
[情報処理装置による判定領域変更処理]
本実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理も、第1の実施形態と同様に、図7に示す全体フローチャートに沿って行われる。すなわち、図7に示すように、まず、ユーザがタッチパネル(入力表示部110)に対して行ったキー入力の検出およびタッチパネルと指との状態関係の判別が行われる(S100)。ステップS100では、図16に示す処理が行われる。
【0080】
(2−1.キー入力および状態判別処理)
キー入力および状態判別処理は、図16に示すように、まず、状態判別部12により、検出部112の検出結果に基づいて、感圧センサの検出圧力Fが0より大きいか否かが判定される(S131)。なお、検出部112は、指がタッチパネルに非接触であるときには値0を出力し、指がタッチパネルに接触しているときには、指がタッチパネルを押圧する力の大きさに応じた値を出力する。検出部112の出力値が大きいほど指がタッチパネルを押圧する力は大きい。これより、状態判別部120は、検出圧力Fが0より大きくない場合には、指はタッチパネルに非接触(状態0)であると判別し(S132)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0081】
一方、検出圧力Fが0より大きい場合には、状態判別部120は、次いで、感圧センサの検出圧力Fが第1の圧力閾値Frideより大きいか否かを判定する(S133)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第1の圧力閾値Fride以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を接触状態(状態1)にあると判定し(S134)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0082】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第1の圧力閾値Frideより大きい場合には、状態判別部120は、さらに、感圧センサの検出圧力Fが第2の圧力閾値Finputより大きいか否かを判定する(S135)。指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第2の圧力閾値Finput以下である場合には、状態判別部120は、かかる状態を半押下状態(状態2)にあると判定し(S138)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0083】
一方、指がタッチパネルを押圧する検出圧力Fが第2の圧力閾値Finputより大きい場合には、状態判別部120は、キー入力があったと判定する(S136)。そして、入力キーの重心を原点とする周辺領域を設定し、時間tのカウントを開始する。状態判別部120は、この状態を押下状態(状態3)であると判別し(S137)、現在の状態をメモリに記録する(S139)。
【0084】
図7のステップS100では、近接/圧力検出デバイス104の種類に応じて図16に示した処理が行われることにより、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出される。
【0085】
(2−2.入力方向検出処理)
図7のステップS100により、指とタッチパネルとの状態関係が判別され、キー入力が検出されると、入力方向検出部130は、指の入力方向を検出する処理を行う(S200)。指の入力方向検出処理は、第1の実施形態と同様、図11に基づき行われる。したがって、ここでは入力方向検出処理についての説明を省略する。ステップS200の処理によって、入力キーから指がどの方向にあるキーを操作しようとしているかを認識することができる。
【0086】
(2−3.判定領域変更処理)
図7のステップS200により、指の入力方向が検出されると、判定領域変更部140は、指の入力方向に応じたキーの判定領域を変更する処理を行う(S300)。指の入力方向検出処理は、図17に基づき行われる。
【0087】
ステップS300において、判定領域変更部140は、図16において判定された指とタッチパネルとの状態関係の履歴を確認し、現在の状態と前回の状態とを比較する。まず、判定領域変更部140は、現在の状態が押下状態であり、かつ、前回の状態が押下状態以外(すなわち、非接触状態、接触状態、または半押下状態のいずれか)であるか否かを判定する(S311)。ステップS311では、前回の状態からタッチパネルが強く押し込まれた状態であることを検知する。ステップS311の判定条件を満たす場合には、前回からの指の移動は大きくないと考えられるので、入力キー210bの周辺領域222に存在するキーの判定領域を拡大することにより、次の入力を行い易くすることができる。
【0088】
そこで、ステップS311を満たすとき、入力キー210bの周辺領域222にあるキーの判定領域を拡大するため、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるかを判定する(S312)。そして、指の入力方向が縦方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bの周辺領域222に位置するキーの判定領域を縦方向に拡大する(S313)。一方、指の入力方向が横方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bの周辺領域222に位置するキーの判定領域を横方向に拡大する(S314)。なお、ステップS313、S314における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0089】
なお、入力キー210bの周辺領域222は、第1の実施形態と同様に設定することができる。
【0090】
一方、ステップS311の判定条件を満たさない場合、判定領域変更部140は、次に、現在の状態が接触状態であり、かつ、前回の状態が半押下状態または押下状態であるか否かを判定する(S315)。ステップS315では、前回の状態からタッチパネルを押し込む力が抜かれた状態であることを検知する。ステップS315の判定条件を満たす場合には、入力キー210bから離れた位置にあるキーを操作する可能性が高いと考えられるので、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大する処理を行う。
【0091】
そこで、ステップS315を満たすとき、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大するため、判定領域変更部140は、指の入力方向が縦方向であるかを判定する(S316)。そして、指の入力方向が横方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を横方向に拡大する(S317)。一方、指の入力方向が縦方向である場合、判定領域変更部140は、入力キー210bから離れた位置にあるキーの判定領域を縦方向に拡大する(S318)。なお、ステップS317、S318における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0092】
一方、ステップS315の判定条件を満たさない場合、判定領域変更部140は、さらに、現在の状態が非接触状態であり、かつ、前回の状態が接触状態、半押下状態または押下状態のいずれかであるか否かを判定する(S319)。ステップS319では、非接触状態になったことを検知する処理であり、ステップS319の判定条件を満たす場合には、判定領域はデフォルトの設定値に変更される。
【0093】
すなわち、ステップS315を満たすとき、判定領域変更部140は、判定領域がデフォルトの設定値に変更される(S320)。一方、ステップS315を満たさない場合も、判定領域変更部140は、タッチパネルに対する指の非接触状態が継続しているため、現在の判定領域を維持する(S321)。そして、ステップS320、S321における現在の指とタッチパネルとの状態関係は、前の状態関係としてメモリ(図示せず。)に記録される(S322)。
【0094】
本実施形態に係る判定領域変更処理をまとめると、図18に示すようになる。このように、図7のステップS300の処理により、指の入力方向に基づき、ユーザが次に操作しようとしているキーの判定領域を変更する。これにより、連続的なキー入力操作における指の移動距離を減少させることができる。なお、ステップS100〜S300の処理は、指とタッチパネルとの関係が接触状態(状態1)、半押下状態(状態2)および押下状態(状態3)であるときに行われる。したがって、指とタッチパネルとの関係が非接触状態(状態0)となった場合には、連続的な操作入力が行われていないと判定し、判定領域変更部140は、判定領域をデフォルトの設定値に変更させる。
【0095】
[判定領域の変更例]
図19に、判定領域の変更例を示す。図19に示すグラフでは、横軸に指の総移動量、縦軸に検出圧力の大きさが示されている。圧力の大きさは0〜10で表されており、数値が大きいほど圧力が大きいことを示す。ここでは、第1の圧力閾値Frideが6.5、第2の圧力閾値Finputが8.5に設定されている。
【0096】
図19に示すように、指がタッチパネルを押下する力が第2の圧力閾値より大きくなったとき、指の位置にあるキーが入力キーとなる。この入力キーの位置(入力キー位置)が決定されてから検出圧力が第1の圧力閾値Fride以上の圧力で連続して入力が行われているときには、入力キーの周辺領域に位置するキーの判定領域が拡大され、入力キーの判定領域は縮小された状態となっている。その後、検出圧力が第1の圧力閾値Fride以下となると、判定領域変更部140は、入力キーから離れた位置にあるキーの判定領域を拡大する。そして、タッチパネルから指が離隔されると、判定領域はデフォルトの設定値に変更される。このように、判定領域変更部140は、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に基づき、判定領域を変更し、キー入力の操作性を向上させる。
【0097】
以上、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置100による判定領域変更処理について説明した。本実施形態に係る情報処理装置100も、第1の実施形態と同様に、指とタッチパネルとの状態関係と指の位置に応じて、指の入力方向を判定して次に操作されようとしているキーの判定領域を拡大することにより、連続的な入力操作における指の移動距離を減少させる。これにより、指とデバイスとの間に生じる摩擦による力学的負荷を減少させることができ、キー入力の操作性を向上させることができる。また、情報処理装置100により変更されるのは各キーに対して設定された判定領域であって、見た目のキーのレイアウトは変更されない。したがって、現在のキー入力操作へも適用が可能である。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、上記実施形態では、キーの形状および周辺領域222は矩形としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、キーの形状は円形であってもよい。また、周辺領域222の形状は、キーの形状に合わせて設定することができ、例えばキーの形状が円形であるときには、周辺領域222の形状も円形としてもよい。
【符号の説明】
【0100】
100 情報処理装置
110 入力表示部
112 検出部
114 表示部
120 状態判別部
130 入力方向検出部
140 判定領域変更部
150 設定記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別し、前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、
前記方向検出部の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記状態情報が前記表示面に対する操作体の近接接触情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が、前記表示面から当該表示面より所定距離だけ離隔した位置までの近接検知領域外に位置するときを第0状態、前記近接領域内に位置するときを第1状態、前記表示面に接触した状態を第2状態と判別し、
前記第0状態または前記第1状態から前記第2状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記状態情報が前記表示面を押下する圧力情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が前記表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、前記押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、前記押下圧力が第1の圧力閾値より大きいときを第2状態と判別し、
前記第0状態または前記第1状態から前記第2状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態情報が前記表示面を押下する圧力情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が前記表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、前記押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、前記押下圧力が第1の圧力閾値より大きく第2の圧力閾値以下であるときを第2状態、前記押下圧力が第2の圧力閾値より大きいときを第3状態と判別し、
前記第0状態、前記第1状態または前記第2状態から前記第3状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記方向検出部は、前記位置情報の履歴に基づいて前記操作体の位置変化を表す傾きを算出し、前記傾きと前記入力オブジェクトに対して設定された基準傾きとの比較結果に基づいて、前記操作体の移動方向を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定領域変更部は、前記操作体の移動方向に存在するオブジェクトに設定された前記判定領域を前記入力オブジェクトに向かって拡大し、前記入力オブジェクトに設定された前記判定領域を縮小する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記状態判別部により前記第0状態になったと判別されたとき、
前記判定領域変更部は、変更された前記判定領域を初期状態に戻す、請求項2〜4のうち少なくともいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記状態判別部により前記入力オブジェクトが決定された後、さらに他の前記オブジェクトに対する入力操作が行われずに前記所定時間経過したとき、
前記判定領域変更部は、変更された前記判定領域を初期状態に戻す、請求項2〜4のうち少なくともいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記操作体と前記表示面との状態関係が前記第0状態以外の状態であるとき、
前記判定領域変更部は、
前記操作体が前記入力オブジェクトの周辺領域内に存在するとき、前記周辺領域内に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大し、
前記操作体が前記入力オブジェクトの周辺領域外に存在するとき、前記入力オブジェクトから離隔された位置に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大する、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記周辺領域は、前記入力オブジェクトの重心を中心とした所定の領域として設定される、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記判定領域変更部は、
現在の前記操作体と前記表示面との状態関係と、前回の前記操作体と前記表示面との状態関係とを比較し、
現在の状態関係が前記第3状態、かつ前回の状態関係が前記第3状態以外であるとき、前記入力オブジェクトの周辺領域内に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大し、
現在の状態関係が前記第1状態、かつ前回の状態関係が前記第2状態または前記第3状態であるとき、前記入力オブジェクトから離隔された位置に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得するステップと、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別するステップと、
前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出するステップと、
前記操作体が移動する移動方向の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得手段と、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別し、前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別手段と、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出する方向検出手段と、
前記方向検出手段の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更手段と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別し、前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別部と、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出する方向検出部と、
前記方向検出部の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記状態情報が前記表示面に対する操作体の近接接触情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が、前記表示面から当該表示面より所定距離だけ離隔した位置までの近接検知領域外に位置するときを第0状態、前記近接領域内に位置するときを第1状態、前記表示面に接触した状態を第2状態と判別し、
前記第0状態または前記第1状態から前記第2状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記状態情報が前記表示面を押下する圧力情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が前記表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、前記押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、前記押下圧力が第1の圧力閾値より大きいときを第2状態と判別し、
前記第0状態または前記第1状態から前記第2状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態情報が前記表示面を押下する圧力情報であるとき、
前記状態判別部は、
前記操作体が前記表示面を押下する押下圧力が、0以下であるときを第0状態、前記押下圧力が0より大きく第1の圧力閾値以下であるときを第1状態、前記押下圧力が第1の圧力閾値より大きく第2の圧力閾値以下であるときを第2状態、前記押下圧力が第2の圧力閾値より大きいときを第3状態と判別し、
前記第0状態、前記第1状態または前記第2状態から前記第3状態となったとき、前記操作体が接触する前記オブジェクトを前記入力オブジェクトとして決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記方向検出部は、前記位置情報の履歴に基づいて前記操作体の位置変化を表す傾きを算出し、前記傾きと前記入力オブジェクトに対して設定された基準傾きとの比較結果に基づいて、前記操作体の移動方向を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定領域変更部は、前記操作体の移動方向に存在するオブジェクトに設定された前記判定領域を前記入力オブジェクトに向かって拡大し、前記入力オブジェクトに設定された前記判定領域を縮小する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記状態判別部により前記第0状態になったと判別されたとき、
前記判定領域変更部は、変更された前記判定領域を初期状態に戻す、請求項2〜4のうち少なくともいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記状態判別部により前記入力オブジェクトが決定された後、さらに他の前記オブジェクトに対する入力操作が行われずに前記所定時間経過したとき、
前記判定領域変更部は、変更された前記判定領域を初期状態に戻す、請求項2〜4のうち少なくともいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記操作体と前記表示面との状態関係が前記第0状態以外の状態であるとき、
前記判定領域変更部は、
前記操作体が前記入力オブジェクトの周辺領域内に存在するとき、前記周辺領域内に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大し、
前記操作体が前記入力オブジェクトの周辺領域外に存在するとき、前記入力オブジェクトから離隔された位置に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大する、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記周辺領域は、前記入力オブジェクトの重心を中心とした所定の領域として設定される、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記判定領域変更部は、
現在の前記操作体と前記表示面との状態関係と、前回の前記操作体と前記表示面との状態関係とを比較し、
現在の状態関係が前記第3状態、かつ前回の状態関係が前記第3状態以外であるとき、前記入力オブジェクトの周辺領域内に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大し、
現在の状態関係が前記第1状態、かつ前回の状態関係が前記第2状態または前記第3状態であるとき、前記入力オブジェクトから離隔された位置に存在する前記オブジェクトに設定された前記判定領域を拡大する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得するステップと、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別するステップと、
前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出するステップと、
前記操作体が移動する移動方向の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
複数のオブジェクトが表示される表示部の表示面に対する操作体の位置情報と、前記表示面に対する操作体の近接接触情報または前記表示面を押下する圧力情報のうち少なくともいずれか一方である状態情報とを取得する取得手段と、
前記状態情報に基づいて、前記操作体と前記表示面との状態関係を判別し、前記複数のオブジェクトのうち、前記操作体と前記表示面との状態関係より選択が検出された入力オブジェクトを決定する状態判別手段と、
前記位置情報に基づいて、前記入力オブジェクトに対して前記操作体が移動する移動方向を検出する方向検出手段と、
前記方向検出手段の検出結果に基づいて、前記操作体の移動方向に存在する前記オブジェクトに対して入力を判定するために設定された判定領域を、前記入力オブジェクトに向かって拡大する判定領域変更手段と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−88751(P2012−88751A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232170(P2010−232170)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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