説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】操作体による近接を検出することができる情報処理装置において操作体による誤操作の可能性を低減する。
【解決手段】操作体の近接を検出する検出部110と、検出部110により検出された近接に対するフィードバックとして表示面への表示を制御する制御部120と、を備える、情報処理装置100が提供される。制御部120は、検出部110により検出された近接に対するフィードバックとして表示面にカーソルを表示するように制御することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、操作体による接触を検出することができるタッチパネルが普及している。かかるタッチパネルは操作体による接触がなされた位置を検出することができるため、使用者は、操作体による接触がなされた位置を知覚することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、操作体による近接を検出することができるタッチパネルも普及している。かかるタッチパネルは操作体による近接がなされた位置を検出することができるため、使用者は、操作体による近接がなされた位置を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−157189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、操作体による接触を検出することができるタッチパネルを使用した場合には、使用者は、タッチされたと検出された座標と実際に使用者がタッチしたいと考えていた座標とにズレがあったことを、タッチした後に知覚できるのが一般的である。そのため、かかるタッチパネルに対する操作において誤操作をすることが多いという問題があった。
【0006】
また、操作体による近接を検出することができるタッチパネルを使用した場合には、操作体による近接を検出した段階で所定の動作が始まってしまうことが一般的である。そのため、使用者は、近接されたと検出された座標と実際に使用者が指定したいと考えていた座標とにズレがあったことを、事後的に知覚することに変わりはない。
【0007】
そこで、本発明は、操作体による近接を検出することができる情報処理装置において操作体による誤操作の可能性を低減することが可能な、新規かつ改良された技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態によれば、操作体の近接を検出する検出部と、上記検出部により検出された上記近接に対するフィードバックとして表示面への表示を制御する制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0009】
上記制御部は、上記検出部により検出された上記近接に対するフィードバックとして上記表示面にカーソルを表示するように制御することとしてもよい。
【0010】
上記検出部は、上記操作体の近接度合いを検出し、上記制御部は、上記検出部により検出された上記近接度合いが大きいほど上記表示面に小さい上記カーソルを表示するように制御することとしてもよい。
【0011】
上記検出部は、上記操作体が近接した位置を近接座標としてさらに検出し、上記制御部は、上記検出部により検出された上記近接座標に対応する上記表示面における位置に応じて、上記カーソルを表示するように制御することとしてもよい。
【0012】
上記制御部は、上記検出部により検出された上記近接座標に対して補正を施し、補正後の座標に対応する上記表示面における位置に応じて、上記カーソルを表示するように制御することとしてもよい。
【0013】
上記制御部は、上記表示面に表示されている項目のうちで上記操作体により選択可能な項目を特定し、上記検出部により検出された上記近接座標に対応する上記表示面における位置と特定した上記項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御することとしてもよい。
【0014】
上記制御部は、上記操作体により選択可能な項目の中で上記近接座標に最も近い項目を特定し、上記近接座標に対応する上記表示面における位置と特定した上記項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御することとしてもよい。
【0015】
上記情報処理装置は、上記操作体による近接がなされている間に実行対象の処理を進行する処理部をさらに備え、上記制御部は、上記検出部により上記近接が検出されてから上記処理部により進行される処理の完了を検出するまでの間、上記表示面にカーソルを表示するように制御することとしてもよい。
【0016】
上記制御部は、上記表示面に表示されている項目のうちで上記操作体により選択可能な項目を特定し、特定した上記項目の位置に、所定の表示を行うように制御することとしてもよい。
【0017】
上記制御部は、上記操作体により選択可能な項目の中で上記近接座標に最も近い項目を特定し、上記近接座標に対応する上記表示面における位置に、所定の表示を行うように制御することとしてもよい。
【0018】
上記検出部は、上記操作体の接触を検出し、上記情報処理装置は、上記検出部により上記接触が検出されると所定の処理を実行する処理部をさらに備えることとしてもよい。
【0019】
上記検出部は、上記操作体が接触した位置を接触座標として検出し、上記処理部は、上記検出部により検出された上記接触座標に応じた処理を上記所定の処理として実行することとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、操作体による近接を検出することができる情報処理装置において操作体による誤操作の可能性を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例1を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例2を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例3を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例4を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例5を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る情報処理装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0023】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.実施形態
1−1. 情報処理装置の概要
1−2. 情報処理装置の機能構成
1−3. 情報処理装置のハードウェア構成
1−4. 近接が検出された場合に表示される表示例1
1−5. 近接が検出された場合に表示される表示例2
1−6. 近接が検出された場合に表示される表示例3
1−7. 近接が検出された場合に表示される表示例4
1−8. 近接が検出された場合に表示される表示例5
1−9. 情報処理装置により実行される処理の流れ
2.変形例
3.まとめ
【0024】
<1.実施形態>
[1−1.情報処理装置の概要]
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の概要について説明するための図である。本発明の実施形態に係る情報処理装置は、非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接を検出すると、その近接に対するフィードバックとして表示面241への表示を制御する。なお、かかる制御は、非接触インタフェース210に対する操作体OPの接触が検出されると、本発明の実施形態に係る情報処理装置により所定の処理が実行される場合において特に効果がある。所定の処理が実行される前に操作体OPが近接されている旨を提示することで、そのまま操作体OPを近づけて接触させると所定の処理が実行されることを知覚させることができるからである。
【0025】
図1に示した例では、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接を検出すると、カーソルCNが設定された画面D1を表示させている。非接触インタフェース210と表示面241とにおける対応する位置が本発明の実施形態に係る情報処理装置において管理されている。したがって、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、操作体OPが近接した位置を近接座標として検出し、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCNを表示するように制御することができる。カーソルCNは、操作体OPを検出した非接触インタフェース210における位置に対応する表示面241における位置に表示されるオブジェクトであり、オブジェクトの形状や、大きさ、色などは特に限定されるものではない。
【0026】
このような制御により、操作体OPによる操作精度を向上させ、操作体OPによる誤操作の可能性を低減することが可能となる。なお、図1に示した例では、非接触インタフェース210に対する操作体OPの接触を検出した場合には、カーソルCTが設定された画面D2を表示させている。図1に示したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、カーソルCNを、カーソルCTよりも大きく制御することが可能である。操作体OPが非接触インタフェース210に近接している段階においては、操作体OPが非接触インタフェース210に接触している段階に比較して、使用者は選択位置をまだ絞り切れていない可能性が高く、操作体OPによって広範囲に指定される可能性が高いからである。
【0027】
また、使用者に対して操作体OPによる選択がなされる前に情報が与えられなければ、使用者はどの程度の精度により非接触インタフェース210における位置を選択すればよいかについて把握することができず、選択したい項目の中心部分をタッチすることを余儀なくされる。しかしながら、このような制御により、事前に操作体OPが近接された旨を提示することで、操作体OPによる接触の精度が向上され、使用者に対する操作負荷の軽減にも役立つ。
【0028】
[1−2.情報処理装置の機能構成]
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。本発明の実施形態に係る情報処理装置100は、少なくとも、検出部110と、制御部120とを備えるものである。
【0029】
検出部110は、非接触インタフェース210を備えるものであり、操作体OPによる近接を検出する機能を有するものである。その際、検出部110は、操作体OPが近接した非接触インタフェース210における位置を近接座標として検出することができる。
【0030】
操作体OPによる近接操作としては、非接触インタフェース210に対して操作体OPを近接させた状態で移動させる操作(以下、「近接ドラッグ操作」とも言う。)が例として挙げられる。近接操作がなされた場合における操作体OPの動きは、より具体的には、非接触インタフェース210に対して操作体OPが近接しながら移動した旨が把握できる情報であればよく、例えば、非接触インタフェース210に対して操作体OPが近接しながら移動した方向および距離のうちの少なくともいずれか一方であればよい。操作体OPが非接触インタフェース210に対して近接しながら移動するとは、例えば、非接触インタフェース210に対して操作体OPが近接した状態を維持しながら非接触インタフェース210に対して平行な方向に移動することを意味する。
【0031】
また、検出部110は、操作体OPによる接触を検出する機能を有することとしてもよい。その際、検出部110は、操作体OPが接触した非接触インタフェース210における位置を接触座標として検出することができる。操作体OPによる接触操作としては、非接触インタフェース210に対して操作体OPを接触させながら移動させる操作(以下、「タッチドラッグ操作」とも言う。)が例として挙げられる。操作体OPの接触ドラッグ操作がなされた場合における操作体OPの動きは、より具体的には、非接触インタフェース210に対して操作体OPが接触しながら移動した旨が把握できる情報であればよく、例えば、非接触インタフェース210に対して操作体OPが接触しながら移動した方向および距離のうちの少なくともいずれか一方であればよい。
【0032】
操作体OPによる接触操作としては、その他に、非接触インタフェース210に対して操作体OPを接触させる操作(以下、「タッチ操作」とも言う。)が例として挙げられる。
【0033】
制御部120は、検出部110により検出された操作体OPによる近接に対するフィードバックとして表示面241への表示を制御する機能を有する。制御部120は、例えば、図1を参照して説明したように、検出部110により検出された操作体OPによる近接が検出された場合には、この近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示させることにより、表示面241への表示を制御することができる。
【0034】
制御部120は、検出部110により検出された近接座標に対応する表示面241における位置に応じて、カーソルCNを表示するように制御することもできる。制御部120は、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCNを表示するように制御することも可能であり、近接座標に対応する表示面241における位置を基準として所定方向に所定量ずらした位置にカーソルCNを表示するように制御することも可能である。
【0035】
また、制御部120は、例えば、図1を参照して説明したように、検出部110により検出された操作体OPによる接触が検出された場合には、この接触に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCTを表示させることにより、表示面241への表示を制御することができる。
【0036】
制御部120は、検出部110により検出された操作体OPが非接触インタフェース210に接触しているか近接しているかについて判断するようにしてもよい。例えば、検出部110が非接触インタフェース210と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータを検出することが可能である場合には、制御部120は、この所定のパラメータにより操作体OPが非接触インタフェース210に接触しているか近接しているかについて判断することができる。
【0037】
例えば、制御部120は、非接触インタフェース210に対して操作体OPが近接していない場合における所定のパラメータを基準とした検出部110により検出された所定のパラメータの変化量と近接検出用の閾値との大小関係を判断すればよい。制御部120は、例えば、所定のパラメータの変化量が近接検出用の閾値を超えた場合には、検出部110により検出された操作体OPが非接触インタフェース210に近接していると判断すればよい。また、制御部120は、例えば、所定のパラメータの変化量が接触検出用の閾値をさらに超えた場合には、検出部110により検出された操作体OPが非接触インタフェース210に接触していると判断すればよい。したがって、厳密に操作体OPが非接触インタフェース210に接触していない場合であっても、接触していると判断されることも想定されるため、「接触」とは、非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接度合いが大きい状態をも含む概念であるとも言える。
【0038】
情報処理装置100は、処理部130をさらに備えることとしてもよい。処理部130は、検出部110により操作体OPの接触が検出されると、所定の処理を実行する機能を有するものである。上記したように、検出部110により操作体OPが非接触インタフェース210に接触した旨の判断は、例えば、制御部120により行われる。したがって、処理部130は、制御部120により操作体OPが非接触インタフェース210に接触したと判断された場合に、所定の処理を実行することができる。所定の処理は特に限定されるものではないが、所定の処理としては、例えば、プログラムを実行する処理、コンテンツを再生する処理などが想定される。また、処理部130は、検出部110により検出された接触座標に応じた処理を所定の処理として実行することとしてもよい。
【0039】
情報処理装置100は、表示部140をさらに備えることとしてもよい。表示部140は、例えば、表示装置によって構成されるものである。表示部140は、表示面241を備えており、制御部120により選択されたデータや表示対象とされたデータを表示面241に表示することが可能である。その他、表示部140は、処理部130により所定の処理が実行される段階において各種情報の表示を行う場合に使用される。
【0040】
表示部140は、例えば、制御部120による制御により、表示面241に表示を行う。図1を参照して説明した例では、表示部140は、制御部120による制御により、表示面241にカーソルCNを表示することが可能である。また、表示部140は、制御部120による制御により、表示面241にカーソルCTを表示することが可能である。
【0041】
情報処理装置100は、記憶部150をさらに備えることとしてもよい。記憶部150は、例えば、不揮発性メモリなどの記憶装置によって構成されるものである。記憶部150は、制御部120や処理部130などを実現するためのプログラムを記憶する機能や、そのプログラムが実行される際に使用される各種データなどを記憶する機能を有するものである。上記した例で言えば、近接検出用の閾値、接触検出用の閾値などを記憶することができる。
【0042】
制御部120や処理部130などは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、CPUが記憶部150によって記憶されているプログラムをRAMに展開して実行することによりその機能が実現されるものである。しかし、このような構成に限らず、制御部120、処理部130の中には、専用のハードウェアにより構成されるものが存在してもよい。
【0043】
[1−3.情報処理装置のハードウェア構成]
図3は、本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。図3に示すように、本発明の実施形態に係る情報処理装置100は、非接触インタフェース210と、CPU220と、RAM230と、表示装置240と、不揮発性メモリ250と、を含んで構成される。
【0044】
非接触インタフェース210は、操作体OPの動きを非接触または接触により検出する機能を有する。かかる機能により、例えば、非接触インタフェース210は、操作体OPによる各種の操作を検出することができる。非接触インタフェース210は、例えば、非接触インタフェース210と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータを検出することが可能であれば、検出されたパラメータは、操作体OPが非接触インタフェース210に接触しているか、近接しているかを判断するために使用することができる。
【0045】
非接触インタフェース210としては、例えば、静電式タッチパネルを使用することができる。静電式タッチパネルによれば、静電容量の変化を非接触インタフェース210と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータとして検出することができる。その他、非接触インタフェース210としては、例えば、光学式タッチパネルを使用することができる。光学式タッチパネルによれば、入射される光の強度の変化を非接触インタフェース210と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータとして検出することができる。
【0046】
その他、非接触インタフェース210としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)カメラを使用することができる。非接触インタフェース210としてUSBカメラを使用する場合には、例えば、操作体OPが非接触インタフェース210に接触しているか、近接しているかを判断するために使用される所定のパラメータを、非接触インタフェース210とは別のデバイスにより検出することとすればよい。
【0047】
CPU220は、演算処理装置および制御装置として機能し、不揮発性メモリ250、RAM230に記録された各種プログラムにしたがって、情報処理装置100内の動作全般またはその一部を制御するものである。
【0048】
RAM230は、CPU220において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を記憶するものである。
【0049】
表示装置240は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ装置など、情報をユーザに対して視覚的に通知することが可能な装置で構成される。表示装置240は、例えば、情報処理装置100が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置240は、情報処理装置100が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。また、表示装置240は、情報処理装置100に備えられてもよいし、情報処理装置100の外部に存在してもよい。
【0050】
不揮発性メモリ250は、データ格納用の装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。不揮発性メモリ250は、CPU220が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0051】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。したがって、本発明の実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0052】
[1−4.近接が検出された場合に表示される表示例1]
図4は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例1を示す図である。図1を参照して説明したように、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、制御部120は、その近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示するように制御することができる。制御部120は、このカーソルCNの大きさを操作体OPと非接触インタフェース210との距離に応じて変更するように制御することも可能である。
【0053】
図4に示した例では、制御部120は、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、近接度合いの比較的小さい(操作体OPと非接触インタフェース210との距離が大きい)場合には、比較的大きいカーソルCN1が設定された画面D3を表示させている。また、制御部120は、近接度合いの比較的大きい(操作体OPと非接触インタフェース210との距離が小さい)場合には、比較的小さいカーソルCN2が設定された画面D4を表示させている。
【0054】
このように、制御部120は、検出部110により検出された近接度合いが大きいほど表示面241に小さいカーソルCNを表示するように制御することができる。操作体OPと非接触インタフェース210との距離が大きいほど、使用者は選択位置をまだ絞り切れていない可能性が高く、操作体OPによって広範囲に指定される可能性が高いからである。また、操作体OPと非接触インタフェース210との距離が大きいほど、検出精度が低下するのが一般的であるため、検出精度の高さを考慮してもこのような表示制御を行うことは理にかなっていると言える。また、情報処理装置100が比較的大きい場合、操作体OPと非接触インタフェース210との距離が大きいほど使用者が遠くから表示面241を見ている可能性が高く、カーソルCNを大きく表示することで、カーソルCNの視認性を向上させるという効果も期待できる。
【0055】
その他、制御部120は、複数のパーツを組み合わせて近接位置に対して不規則なズレを時間的に与えながら構成したカーソルCNを表示させる場合には、操作体OPと非接触インタフェース210との距離が小さいほどズレの量を小さくすることもできる。
【0056】
近接度合いは、例えば、検出部110が非接触インタフェース210と操作体OPとの距離に応じて変化する所定のパラメータを検出することが可能である場合には、この所定のパラメータを近接度合いとして使用することができる。
【0057】
[1−5.近接が検出された場合に表示される表示例2]
図5は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例2を示す図である。図1を参照して説明したように、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、制御部120は、その近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示するように制御することができる。しかし、操作体OPの位置として検出すべき座標と実際の近接座標との間にすれが生じることが一般的である。
【0058】
したがって、制御部120は、カーソルCNの位置を補正するように制御することも可能である。すなわち、制御部120は、近接座標に対して補正を施し、補正後の座標に対応する表示面241における位置に応じて、カーソルCNを表示するように制御することも可能である。このズレの量は事前に推定が可能であるため、制御部120は、例えば、事前に採取したデータに基づいて補正の程度を調整してもよい。また、制御部120は、操作体OPの先端方向を判断して、先端方向に所定量だけずらすように補正してもよいし、重力方向を検出することができるセンサによる検出データに基づいて補正してもよい。
【0059】
図5に示した例では、制御部120が、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCN4が設定され、近接座標に対応する表示面241における位置に対して補正を施した位置にカーソルCN3が設定された画面D5を表示させている。
【0060】
このように、制御部120は、カーソルCNの位置を補正するように制御することができる。近接を検出することができるデバイスを用いた場合には、そのデバイスの感度が高いため、操作体OPの位置として検出すべき座標である操作体OPの先端位置より根元部分までが近接されたとして検出してしまうことがある。また、接触検出とは別の手法により近接検出を行うことが多く、操作体OPが非接触状態からそのまま接触状態に移行したとき、検出座標が大きく変わってしまうという現象が発生し得る。情報処理装置100は、事前にこのズレの方向と量を推定することができるため、この情報を加味した位置にカーソル位置を補正し、使用感を向上することが可能である。図5に示した例では、情報処理装置100は、下方向にずれてしまっている近接座標を上方向に補正している。
【0061】
また、制御部120は、カーソルCNの大部分が操作体OPに隠れてしまうことがないように、ある程度以上の大きさ(例えば、1cm以上)のカーソルCNを画面に提示することもできる。特に、表示面241が小さい場合(例えば、3インチ以内の表示面)には、操作体OPがカーソルCN自体を隠してしまう可能性が高いので、操作体OPに隠れないようにさらなるカーソルCN4の位置にさらなる補正を施すことも有効である。
【0062】
[1−6.近接が検出された場合に表示される表示例3]
図6は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例3を示す図である。図1を参照して説明したように、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、制御部120は、その近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示するように制御することができる。しかし、表示面241に表示されている項目のうちのいずれが選択でき、いずれが選択できないのかを把握するのが困難な場合がある。
【0063】
したがって、制御部120は、表示面241に表示されている項目のうちで操作体OPにより選択可能な項目を特定し、検出部110により検出された近接座標に対応する表示面241における位置と選択可能な項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御することができる。かかる制御により、選択可能な項目を選択するように使用者を誘導することができる。
【0064】
図6に示した例では、制御部120が、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCN5が設定された画面D6を表示させている。また、上記したような制御がなされた後には、制御部120が、近接座標に対応する表示面241における位置とボタンBTの位置との間にカーソルCN6が設定された画面D7を表示させている。ボタンBTは、選択可能な項目の一例であり、カーソルCN6は、所定の表示の一例である。選択不可能な項目としては、例えば、バッテリ残量を示すアイコンや時計などが表示されていてもよい。
【0065】
また、図6に示したように、制御部120は、近接座標に対応する表示面241における位置と選択可能な項目の位置との間のカーソルCN6を、近接座標に対応する表示面241における位置のカーソルCN5が選択可能な項目に向けて吸着するように表示することもできる。制御部120は、操作体OPにより選択可能な項目の中で近接座標に最も近い項目を特定し、近接座標に対応する表示面241における位置と近接座標に最も近い項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御することも可能である。
【0066】
また、複数の部品により構成されたカーソルの一部の部品が操作体OPの近接位置を示し、他の一部の部品が最近傍の項目の上またはその項目の近くに表示され、残りの部品がその間を補完するように表示されることにより、操作体OPと項目との関連性を表現することができる。これにより、表示面241に表示されている選択可能な項目と選択不可能な項目とを容易に判別することが可能になる。また、情報処理装置100は、操作感の向上や、タッチの精度の高さを要求されないことから得られる安心感などを使用者に提供することができる。
【0067】
[1−7.近接が検出された場合に表示される表示例4]
図7は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例4を示す図である。図1を参照して説明したように、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、制御部120は、その近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示するように制御することができる。ここで、操作体OPによる近接状態を所定時間保ち続けることにより情報処理装置100による処理が完了する場合がある。
【0068】
例えば、表示面241に画像が表示されている状態において、非接触インタフェース210に操作体OPを近接させると、情報処理装置100により、その画像の一部が拡大されて表示面241に表示されるという処理が想定される。このような処理では、その画像の一部を拡大するための時間を要するため、操作体OPによる近接状態を保ち続けている間はその画像の一部を拡大する処理が進行され、操作体OPによる近接状態が解除された場合にはその画像の一部を拡大する処理が中断されることがあるからである。
【0069】
そこで、制御部120による制御の一例として、処理部130が操作体OPによる近接がなされている間に実行対象の処理を進行する場合、制御部120は、検出部110により近接が検出されてから処理部130により進行される処理の完了を検出するまでの間、表示面241にカーソルCNを表示するように制御すればよい。
【0070】
図7に示した例では、制御部120が、近接座標に対応する表示面241における位置から所定方向に所定量だけ移動した位置にカーソルCN7が設定された画面D8を表示させている。画面D8は処理が開始したときに表示される。また、制御部120は、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCN8が設定された画面D9を表示させている。画面D9は、例えば、処理が完了したときに表示される。また、制御部120は、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCN9が設定された画面D10を表示させている。画面D10は、例えば、処理の継続中に表示される。
【0071】
このように、情報処理装置100は、処理の残り時間が把握できるようなカーソルCNを表示することができる。画面D8および画面D9は、複数のカーソルCN7が時間とともに近接座標に近づいていき、処理完了時に複数のカーソルCN7が集結されたカーソルC8として表示される場合について示している。画面D10は、時間とともに完全な形状に近づいていき、処理完了時に場合に完全な形状を形成する場合について示している。このような画面を提示すれば、処理が完了するまでの待ちに対する使用者の負荷を軽減することができる。
【0072】
操作体OPによる近接状態は、操作を行う前段階で必然的に起こる状態である。近接状態での操作を可能にした場合、情報処理装置100において事前に準備をしておくことが困難であり、操作に対して情報処理装置100が反応できるまでに時間がかかってしまうことがある。こうした場合に、使用者が違和感なく近接状態を維持した状態で待つことができるよう、適切な表現の工夫を行う必要がある。
【0073】
近接操作のような非常に容易にできてしまう操作において、待ち時間の発生は操作感の低下につながってしまう。また、そればかりではなく、情報処理装置100からの反応がないことにより使用者が操作の入口に気づかなくなってしまうこともある。図7を参照して説明したような手法によれば、かかる状況を解消することができる。
【0074】
[1−8.近接が検出された場合に表示される表示例5]
図8は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により近接が検出された場合に表示される表示例5を示す図である。図1を参照して説明したように、検出部110により非接触インタフェース210に対する操作体OPの近接が検出されると、制御部120は、その近接に対するフィードバックとして表示面241にカーソルCNを表示するように制御することができる。しかし、表示面241に表示されている項目のうちのいずれが選択でき、いずれが選択できないのかを把握するのが困難な場合がある。
【0075】
また、選択できる項目を選択するためにその項目の位置まで操作体OPを移動させるための負荷が使用者にかかる場合がある。さらに、近接座標の検出精度の低さなどにより、選択できる項目を正確に選択できない場合がある。
【0076】
したがって、制御部120は、表示面241に表示されている項目のうちで操作体OPにより選択可能な項目を特定し、選択可能な項目の位置に、所定の表示を行うように制御することができる。かかる制御により、上記したような問題が解決される。例えば、表示面241に表示されている選択可能な項目と選択不可能な項目とを容易に判別することが可能になる。また、情報処理装置100は、操作感の向上や、タッチの精度の高さを要求されないことから得られる安心感などを使用者に提供することができる。
【0077】
図8に示した例では、制御部120が、近接座標に対応する表示面241における位置にカーソルCNが設定された画面D11を表示させている。また、上記のような制御がなされた後には、制御部120が、ボタンBTの位置にカーソルCNが設定された画面D12を表示させている。ボタンBTは、選択可能な項目の一例であり、カーソルCNは、所定の表示の一例である。
【0078】
また、図8に示したように、制御部120は、制御部120は、操作体OPにより選択可能な項目の中で近接座標に最も近い項目を特定し、近接座標に最も近い項目の位置に、所定の表示を行うように制御することも可能である。
【0079】
[1−9.情報処理装置により実行される処理の流れ]
図9は、本発明の実施形態に係る情報処理装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、本発明の実施形態に係る情報処理装置100の検出部110は、操作体OPよる近接を検出する(ステップS11)。制御部120は、検出部110により検出された近接に対するフィードバックとして表示面241への表示を制御する(ステップS12)。表示部140は、制御部120による制御に基づいて、表示面241に表示を行い(ステップS13)、ステップS11に戻る。
【0080】
<2.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
<3.まとめ>
本実施形態によれば、操作体による近接を検出することができる情報処理装置において操作体による誤操作の可能性を低減することができる。非接触な状態を検知するデバイスを操作するときは、その検知可能な領域に操作体OPが入ったことを使用者が把握することは難しい。しかし、カーソルを表示するなどの手法により、システム側が反応していることのフィードバックとして提示することによって、使用者は正しく操作をしていることを把握することができ、操作感の向上を図ることができる。
【0082】
近接状態の検知は、接触状態の検知と手法が違うことが多く、検知座標がずれることが一般的である。使用者が接触するまでそのズレを認識できない場合、操作精度を確保することは困難である。しかし、情報処理装置100がズレの量を事前に提示することで、使用者は無意識にその提示を元にズレの補正ができ、操作精度を向上させることができる。また、情報処理装置100の内部でなんらかの要因により意図的に発生させたオフセットに対して、使用者を適合させることも容易になる。
【0083】
また、カーソルは単に操作体OPの検出座標を示すために存在するものではなく、様々に表現され得る。カーソルは、情報処理装置100が処理の実行中であるために使用者が操作できない状態であることを示すために表現される可能性もあり、使用者が入力した操作が実際に作用するまでの待ち時間が発生している状態であることを示すために表現される可能性もある。また、カーソルは、入力可能な位置を示すために表現される可能性もあり、様々な状態をさまざまな形で表現できる。このような表現を、操作が完了する直前ではなく、近接状態においてタッチによる操作がなされる前に提示できることができる。これにより使用者はタッチによる操作の前に操作体OPを近づけて様々なことを試みやすくなり、使用者は、より分かりやすい操作感が得られるようになる。
【符号の説明】
【0084】
100 情報処理装置
110 検出部
120 制御部
130 処理部
140 表示部
150 記憶部
210 非接触インタフェース
220 CPU
230 RAM
240 表示装置
241 表示面
250 不揮発性メモリ
OP 操作体
CN カーソル
BT ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体の近接を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記近接に対するフィードバックとして表示面への表示を制御する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出部により検出された前記近接に対するフィードバックとして前記表示面にカーソルを表示するように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記操作体の近接度合いを検出し、
前記制御部は、
前記検出部により検出された前記近接度合いが大きいほど前記表示面に小さい前記カーソルを表示するように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記操作体が近接した位置を近接座標としてさらに検出し、
前記制御部は、
前記検出部により検出された前記近接座標に対応する前記表示面における位置に応じて、前記カーソルを表示するように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記検出部により検出された前記近接座標に対して補正を施し、補正後の座標に対応する前記表示面における位置に応じて、前記カーソルを表示するように制御する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記表示面に表示されている項目のうちで前記操作体により選択可能な項目を特定し、前記検出部により検出された前記近接座標に対応する前記表示面における位置と特定した前記項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記操作体により選択可能な項目の中で前記近接座標に最も近い項目を特定し、前記近接座標に対応する前記表示面における位置と特定した前記項目の位置との間に、所定の表示を行うように制御する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記操作体による近接がなされている間に実行対象の処理を進行する処理部をさらに備え、
前記制御部は、
前記検出部により前記近接が検出されてから前記処理部により進行される処理の完了を検出するまでの間、前記表示面にカーソルを表示するように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記表示面に表示されている項目のうちで前記操作体により選択可能な項目を特定し、特定した前記項目の位置に、所定の表示を行うように制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記操作体により選択可能な項目の中で前記近接座標に最も近い項目を特定し、前記近接座標に対応する前記表示面における位置に、所定の表示を行うように制御する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記検出部は、
前記操作体の接触を検出し、
前記情報処理装置は、
前記検出部により前記接触が検出されると所定の処理を実行する処理部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記検出部は、
前記操作体が接触した位置を接触座標として検出し、
前記処理部は、
前記検出部により検出された前記接触座標に応じた処理を前記所定の処理として実行する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
操作体の近接を検出するステップと、
前記近接に対するフィードバックとして表示面への表示を制御するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
操作体の近接を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記近接に対するフィードバックとして表示面への表示を制御する制御部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−58920(P2012−58920A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200150(P2010−200150)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】