説明

情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム

【課題】GPSセンサを用いて必要な測位を実行しつつ、比較的長くとどまる場所で電力消費の更なる低減を可能にする情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを得ること。
【解決手段】GPS測位手段11の測位した位置がユーザの長時間滞在の対象の特定エリアを含む無線基地局の通信エリアに一致するとき、GPS測位手段11の測位の周期を、現在の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替えて電力消費を抑える。GPS測位手段11の測位の動作や加速度センサの動作を停止してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全地球測位システムを使用して位置の特定が可能な情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)あるいは小型で携帯に便利なパーソナルコンピュータといった可搬型の情報処理装置が広く使用されている。このような情報処理装置は、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)センサを用いて、現在位置を割り出す全地球測位システムを活用できるようになっていることが多い。
【0003】
この全地球測位システムを情報処理装置に使用すると、数々の利点が生じる。たとえば、情報処理装置に地図を表示して、この地図上に装置の現在位置を示して、ナビゲーションシステムとして利用することができる。また、現在地の近傍に位置する店舗に関する情報のような現在地と関連する有用な情報をユーザに提供することができる。
【0004】
ところで、GPSセンサは、複数のGPS衛星から送られてくる電波を同時に受信して、それぞれの距離からそのGPSセンサの位置を計算する。このため、現在位置の判別には、GPSセンサの初回起動時に、GPS衛星の中から適切な所定数以上のGPS衛星を捕捉して測位を行う必要があり、かなりの時間が必要である。
【0005】
そこで、通信ネットワークを利用してGPS衛星の位置の捕捉情報としてのアシストデータを取得するネットワークアシスト方式と呼ばれる手法が、従来より採用される場合があり、これにより測位時間の短縮が図られている。しかしながら、ネットワークアシスト方式を採用しても、測位結果を得るまでには数秒から数十秒の時間が必要である。
【0006】
GPSセンサで測位を常時行っていれば、GPS衛星を新たに捕捉する必要がないので、測位結果を得るのに比較的長時間を要するというこの問題は生じない。しかしながら、このようにすると測位のためにGPS衛星から常に電波を受信して測位のための演算を繰り返す必要があり、情報処理装置の消費電力が大きくなる。
【0007】
そこで、ユーザの行動パターンを調べて、ユーザが同じ位置にいると予測される時間帯はGPSによる測位の間隔を長く設定することが本発明の第1の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第1の関連技術によれば、GPSシステムを利用する最初の1週間は10分間隔で自装置の位置情報を取得する。そして、半径100mの範囲に自装置が存在する場合には、ユーザが同じエリアにとどまっていると判断する。そして、ユーザが同じエリアにとどまっていると予測される時間帯では、位置情報の取得の周期を10分間隔から20分間隔に延ばすようにしている。
【0008】
この第1の関連技術では、第1点として、常時行っていた測位処理を、最短間隔で10分間隔に変更することによって、全体的な消費電力の低減を図っている。測位処理が繰り返されるため、そのたびにGPS衛星の捕捉の時間が必要ではあるが、10分間隔といった程度の時間間隔になると、常時行っていた測位処理よりも消費電力を少なくすることが可能になるからである。
【0009】
第1の関連技術では、第2点として、職場のように比較的長時間一定のエリア内にいる可能性のある時間帯で、測位のための時間間隔を長くしている。測位のための時間間隔を長くすることで、測位の回数を減少させ、その分だけ情報処理装置の消費電力を抑えることができる。
【0010】
この第1の関連技術では、測位の結果の時間的な関係からユーザが長時間いる時間帯を推察している。したがって、居場所に応じて測位の時間間隔を変えるわけではない。このため、たとえば、いつも午前中でかける喫茶店に午後出かけたとすれば、時間帯が異なってくる。この結果、午後に出かけた喫茶店にいる時間帯では頻繁な測位処理が行われることになる。
【0011】
そこで、基地局との交信動作から定まる特定のエリアを定めておき、このエリアから離れたと判断したときにGPSによる測位を行うことが、第2の関連技術として提案されている(たとえば特許文献2参照)。この第2の関連技術では、予め定めた行動エリア内にユーザの端末が位置しているか否かを該当する基地局とこの端末の交信に基づいて弁別する。そして、その行動エリアに端末が存在している間は、GPSセンサによる測位の処理を行わない。行動エリア内にユーザの端末が位置しない場合に、GPSセンサによる測位の処理を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−085798号公報(第0031段落〜第0035段落、図1)
【特許文献2】特開2007−134760号公報(第0043段落〜第0045段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この第2の関連技術によれば、予め指定した特定のエリアにユーザの端末が位置した後はGPSセンサによる測位の処理を行わないことにしている。したがって、ユーザがその後に移動を開始して特定のエリアの外部に出たかを判別するために、基地局との通信を常時確保しておく必要がある。特定のエリアは基地局との関連で設定する。したがって、特定のエリアの外部に出たかの判別は、該当する基地局との通信が可能であるかどうかによって判別する。
【0014】
通信エリアの境界位置を超えることの判別は、一般に不安定な結果をもたらす。また、ユーザの端末が基地局から離れるほど、通信に要する電力が増大する。したがって、特定のエリアにユーザの端末が位置することでGPSセンサによる電力消費が不要になるとしても、これに代わって基地局との通信を継続させる必要があるため、電力消費の大幅な低減に繋がらない。
【0015】
そこで本発明の目的は、GPSセンサを用いて必要な測位を実行しつつ、比較的長くとどまる場所で電力消費の更なる低減を可能にする情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位手段と、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録手段と、(ハ)この特定エリア登録手段に登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録手段と、(ニ)前記したGPS測位手段によって測位した位置が前記した無線基地局位置情報登録手段に登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較手段と、(ホ)この位置情報比較手段による比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位手段で測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更手段とを情報処理装置が具備する。
【0017】
また、本発明では、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位手段と、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録手段と、(ハ)この特定エリア登録手段に登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録手段と、(ニ)位置の移動を検出する移動検出手段と、(ホ)前記したGPS測位手段によって測位した位置が前記した無線基地局位置情報登録手段に登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較手段と、(へ)この位置情報比較手段による比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位手段による測位および前記した移動検出手段の検出動作を停止する停止手段と、(ト)通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別手段と、(チ)この無線基地局変更判別手段が無線基地局の変更を判別したとき前記したGPS測位手段による測位および前記した移動検出手段の検出動作を再開する再開手段とを情報処理装置が具備する。
【0018】
更に本発明では、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位ステップと、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録ステップと、(ハ)この特定エリア登録ステップで登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録ステップと、(ニ)前記したGPS測位ステップによって測位した位置が前記した無線基地局位置情報登録ステップで登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較ステップと、(ホ)この位置情報比較ステップによる比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位ステップで測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更ステップとを情報処理方法が具備する。
【0019】
更にまた本発明では、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位ステップと、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録ステップと、(ハ)この特定エリア登録ステップで登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録ステップと、(ニ)位置の移動を検出する移動検出ステップと、(ホ)前記したGPS測位ステップによって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録ステップで登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較ステップと、(へ)この位置情報比較ステップによる比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位ステップによる測位および前記した移動検出ステップの検出動作を停止する停止ステップと、(ト)通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別ステップと、(チ)この無線基地局変更判別ステップで無線基地局の変更を判別したとき前記したGPS測位ステップによる測位および前記した移動検出ステップの検出動作を再開する再開ステップとを情報処理方法が具備する。
【0020】
また、本発明では、コンピュータに、情報処理プログラムとして、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位処理と、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録処理と、(ハ)この特定エリア登録処理で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録処理と、(ニ)前記したGPS測位処理によって測位した位置が前記した無線基地局位置情報登録処理で登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較処理と、(ホ)この位置情報比較処理による比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位処理で測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更処理とを実行させることを特徴としている。
【0021】
更に、本発明では、コンピュータに、情報処理プログラムとして、(イ)GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位処理と、(ロ)予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録処理と、(ハ)この特定エリア登録処理で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録処理と、(ニ)位置の移動を検出する移動検出処理と、(ホ)前記したGPS測位処理によって測位した位置が前記した無線基地局位置情報登録処理で登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較処理と、(へ)この位置情報比較処理による比較によって位置情報が一致したとき、前記したGPS測位処理による測位および前記した移動検出処理での検出動作を停止する停止処理と、(ト)通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別処理と、(チ)この無線基地局変更判別処理で無線基地局の変更を判別したとき前記したGPS測位処理による測位および前記した移動検出処理での検出動作を再開する再開処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、予め定めた特定エリアに対応する無線基地局の通信エリアに入ったとき、GPSによる測位の周期を今までの周期よりも長くしたり、測位を停止し、また、移動検出するセンサの動作を停止するので、特定エリアに入ったときの情報処理装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の情報処理装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の他の情報処理装置のクレーム対応図である。
【図3】本発明の情報処理方法のクレーム対応図である。
【図4】本発明の他の情報処理方法のクレーム対応図である。
【図5】本発明の情報処理プログラムのクレーム対応図である。
【図6】本発明の他の情報処理プログラムのクレーム対応図である。
【図7】本発明の実施の形態による情報処理装置を使用した通信システムの要部を表わしたシステム構成図である。
【図8】本実施の形態におけるユーザ端末の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図9】本実施の形態における特定エリアの自動登録処理の様子を表わした流れ図である。
【図10】本実施の形態における特定エリアの手動登録処理の様子を表わした流れ図である。
【図11】本実施の形態における特定エリアに滞在時のユーザ端末の省電力処理の様子を表わした流れ図である。
【図12】本発明の変形例として特定エリアの登録についての他の例を表わした流れ図である。
【図13】本発明の変形例として無線基地局との関係で特定エリアが広いような場合に特に効果のある省電力処理の様子を表わした流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の情報処理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理装置10は、GPS測位手段11と、特定エリア登録手段12と、無線基地局位置情報登録手段13と、位置情報比較手段14と、周期変更手段15を備えている。ここで、GPS測位手段11は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録手段12は、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録手段13は、特定エリア登録手段12に登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する。位置情報比較手段14は、GPS測位手段11によって測位した位置が無線基地局位置情報登録手段13に登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する。周期変更手段15は、位置情報比較手段14による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位手段11で測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える。
【0025】
図2は、本発明の他の情報処理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の他の情報処理装置20は、GPS測位手段21と、特定エリア登録手段22と、無線基地局位置情報登録手段23と、移動検出手段24と、位置情報比較手段25と、停止手段26と、無線基地局変更判別手段27と、再開手段28を備えている。ここで、GPS測位手段21は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録手段22は、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録手段23は、特定エリア登録手段22に登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する。移動検出手段24は、位置の移動を検出する。位置情報比較手段25は、GPS測位手段21によって測位した位置が無線基地局位置情報登録手段23に登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する。停止手段26は、位置情報比較手段25による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位手段21による測位および移動検出手段24の検出動作を停止する。無線基地局変更判別手段27は、通信する無線基地局の変更を無線で判別する。再開手段28は、無線基地局変更判別手段27が無線基地局の変更を判別したときGPS測位手段21による測位および移動検出手段24の検出動作を再開する。
【0026】
図3は、本発明の情報処理方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理方法30は、GPS測位ステップ31と、特定エリア登録ステップ32と、無線基地局位置情報登録ステップ33と、位置情報比較ステップ34と、周期変更ステップ35を備えている。ここで、GPS測位ステップ31では、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録ステップ32では、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録ステップ33では、特定エリア登録ステップ32で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する。位置情報比較ステップ34では、GPS測位ステップ31によって測位した位置が無線基地局位置情報登録ステップ33で登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する。周期変更ステップ35では、位置情報比較ステップ34による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位ステップ31で測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える。
【0027】
図4は、本発明の他の情報処理方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の他の情報処理方法40は、GPS測位ステップ41と、特定エリア登録ステップ42と、無線基地局位置情報登録ステップ43と、移動検出ステップ44と、位置情報比較ステップ45と、停止ステップ46と、無線基地局変更判別ステップ47と、再開ステップ48を備えている。ここで、GPS測位ステップ41では、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録ステップ42では、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録ステップ43では、特定エリア登録ステップ42で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する。移動検出ステップ44では、位置の移動を検出する。位置情報比較ステップ45では、GPS測位ステップ41によって測位した位置が無線基地局位置情報登録ステップ43で登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する。停止ステップ46では、位置情報比較ステップ45による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位ステップ41による測位および移動検出ステップ44の検出動作を停止する。無線基地局変更判別ステップ47では、通信する無線基地局の変更を無線で判別する。再開ステップ48では、無線基地局変更判別ステップ47で無線基地局の変更を判別したときGPS測位ステップ41による測位および移動検出ステップ44の検出動作を再開する。
【0028】
図5は、本発明の情報処理プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理プログラム50は、コンピュータに、情報処理プログラムとして、GPS測位処理51と、特定エリア登録処理52と、無線基地局位置情報登録処理53と、位置情報比較処理54と、周期変更処理55を実行させるようにしている。ここで、GPS測位処理51では、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録処理52では、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録処理53では、特定エリア登録処理52で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録する。位置情報比較処理54では、GPS測位処理51によって測位した位置が無線基地局位置情報登録処理53で登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する。周期変更処理55では、位置情報比較処理54による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位処理51で測位を行う周期を、前記した所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える。
【0029】
図6は、本発明の他の情報処理プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の他の情報処理プログラム60は、コンピュータに、情報処理プログラムとして、GPS測位処理61と、特定エリア登録処理62と、無線基地局位置情報登録処理63と、移動検出処理64と、位置情報比較処理65と、停止処理66と、無線基地局変更判別処理67と、再開処理68を実行させるようにしている。ここで、GPS測位処理61では、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う。特定エリア登録処理62では、予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する。無線基地局位置情報登録処理63では、特定エリア登録処理62で登録した無線基地局の前記した通信エリアに対応する位置情報を登録。移動検出処理64では、位置の移動を検出する。位置情報比較処理65では、GPS測位処理61によって測位した位置が無線基地局位置情報登録処理63で登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する。停止処理66では、位置情報比較処理65による比較によって位置情報が一致したとき、GPS測位処理61による測位および移動検出処理64での検出動作を停止する。無線基地局変更判別処理67では、通信する無線基地局の変更を無線で判別する。再開処理68では、無線基地局変更判別処理67で無線基地局の変更を判別したときGPS測位処理61による測位および移動検出処理64での検出動作を再開する。
【0030】
<発明の実施の形態>
【0031】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図7は、本発明の実施の形態による情報処理装置を使用した通信システムの要部を表わしたものである。実施の形態による通信システム100は、ユーザ101が所持するユーザ端末102と、GPS衛星103と、ユーザ101の自宅104の近傍に位置する無線基地局105を最小限のシステム構成としている。
【0033】
ここでユーザ端末102は、GPS機能を搭載しており、GPS衛星103から受信する電波を用いてその現在位置を算出することができる。現在位置を算出するためには、GPS衛星103が3個あるいは4個以上必要とされる。図では簡略化のためにそのうちの1個のみを示している。
【0034】
無線基地局105は、ユーザ端末102と通信が可能な領域としてのサービスエリア106を有している。サービスエリア106は、セル(cell)とも呼ばれている。図7では1つの無線基地局105のみを示しているが、実際には多数の無線基地局が間隔をおいて配置されており、これらのセルが通話領域全域をカバーしている。
【0035】
図7で示した無線基地局105は、そのサービスエリア106と対応付ける識別番号を有している。図示しない他の無線基地局も同様である。ユーザ端末102は、図でP1で示すサービスエリア106の外の地点から、矢印107で示すように、P2で示すサービスエリア106内に入ると、無線基地局105と通信を開始する。したがって、ユーザ端末102がサービスエリア106の内部で通信を行っている状態で、通信システム100は、ユーザ101がサービスエリア106で特定される位置にいることを判別することができる。
【0036】
ユーザ端末102はGPS機能を搭載しているので、GPS衛星103から電波を受信することで、ユーザ101の現在位置の把握が可能である。したがって、ユーザ101の現在位置の把握は、ユーザ端末102とGPS衛星103の通信によっても可能であるし、無線基地局105との通信によっても可能である。もちろん、GPS機能を用いた場合にはユーザ端末102の現在位置が点として定まる。サービスエリア106を用いた場合には、そのエリアを包括する位置情報となる。
【0037】
図8は、ユーザ端末の構成の概要を表わしたものである。情報処理装置の一形態としてのユーザ端末102は、CPU(Central Processing Unit)111と、不揮発性メモリ112およびワークメモリ113を備えた制御部114を有している。不揮発性メモリ112には、CPU111が実行する制御プログラムや、電源がオフとなったときに必要なデータが格納される。ワークメモリ113は、CPU111が制御プログラムを実行するときに一時的に必要とするデータを格納する。
【0038】
制御部114は、データバス等のバス115を通じてユーザ端末102内の各部と接続されており、これらの制御を行う。このうち、無線部116は、そのアンテナ117を使用して、図7に示した無線基地局105と通信を行う。GPSセンサ部118はそのアンテナ119を用いて、図7に示したGPS衛星103から電波を受信して、現在位置を算出する。加速度センサ121は、ユーザ端末102に生じる加速度を検出することで、図7に示したユーザ101が移動する等の動きを検出する。
【0039】
タイマ回路122は、GPSセンサ部118を動作させる間隔(周期)を測定する。本実施の形態では、通常の周期としての第1の周期と、これよりも長い第2の周期の測定を行う。これら第1の周期と第2の周期は、GPSセンサ部118を周期的に通電するための周期である。この他に、本実施の形態では、図7に示した自宅104や勤務先、学校のように、ユーザ102が日常的にある程度長時間とどまる可能性のある場所を自動的に登録するための時間測定も行うようになっている。この登録用時間の測定の測定は、たとえば30分とか1時間というように比較的長い時間となっている。
【0040】
特定エリア登録部123は、このように、ユーザ102が日常的にある程度長時間とどまる可能性のある場所の位置情報と、その場所に対応する無線基地局105の識別番号およびサービスエリア106の位置情報を対応付けて登録する。特定エリア登録部123には、複数の無線基地局に関する情報を登録することができる。
【0041】
入力部124は、図示しない各種のキースイッチを備えた操作部から構成されている。もちろん、表示部125の上に配置したタッチパネルを用いて、データの入力操作を可能にするものであってもよい。表示部125は、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイのように、データを視覚的に出力する。端末固有機能部126は、その端末に固有の機能のうちで、以上説明した以外の回路部分を一括して示したものである。たとえば、このユーザ端末102が携帯電話機であれば、通話用のスピーカやマイクロフォン、付属カメラ、ワンセグ受信用チューナ回路のようなものが含まれる。
【0042】
以上のようなユーザ端末102の無線部116等の各構成部品は、すべてハードウェアで構成される必要はなく、少なくとも一部は、CPU111が実行する制御プログラムによってソフトウェア的に機能する部品で構成されていてもよい。たとえばタイマ回路122は、図示しないコンデンサと抵抗を用いた回路であってもよいし、クロック信号あるいはその分周後の信号を計数して時間を測定するようなものであってもよい。また、特定エリア登録部123は、説明の都合上、独立したメモリ領域として示しているが、不揮発性メモリ112の一部領域として構成してもよい。
【0043】
図9は、特定エリアの自動登録処理の様子を表わしたものである。図7および図8と共に説明する。
【0044】
ユーザ101は、特定エリアの自動登録処理を行うとき、入力部124を操作して、特定エリアの自動登録モードに設定しておく。この自動登録モードに設定されると、まず、タイマ回路122の計数値が「0」にクリアされる(ステップS201)。そして、ユーザ端末102が静止しており、加速度センサ121が移動を検出しなければ(ステップS202:Y)、予め定めた測定時間t1が経過する(測定時間t1に相当するカウント値以上となっている)かを判別する(ステップS203)。測定時間t1と測定回数Mは予めデフォルト値として設定されているが、ユーザ101はこれを変更することができる。一例としては、測定時間t1が30分であり、測定回数Mは「3」である。
【0045】
測定時間t1を経過していなければ(ステップS203:Y)、タイマ回路122がカウントアップされて(ステップS204)、ステップS202の処理に戻る。このようにして、加速度センサ121が加速度を検出せず、かつ測定時間t1が経過する前は、タイマ回路122が計時動作を継続する。
【0046】
ユーザ101が、たとえば自宅104に帰宅してユーザ端末102を放置して食事をしたとする。測定時間t1としての30分が経過した時点で(ステップS203:Y)、ユーザ端末102は現在通信が可能な無線基地局105の識別番号を特定エリア登録部123の図示しない予備領域に記録する(ステップS205)。
【0047】
もし、測定時間t1が経過する前にユーザ101がユーザ端末102を操作したとすると、この時点で加速度センサ121が移動を検知する(ステップS202:N)。この場合には、タイマ回路122の計時動作がクリアされて(ステップS201)、再びステップS202に戻って計時処理が最初から開始することになる。
【0048】
ステップS205で予備領域に記録が行われたら、制御部114は、この予備領域に同一の識別番号がM個以上記録されているかどうかをチェックする(ステップS206)。M個以上記録されていなければ(N)、ステップS201の処理に戻る。
【0049】
一方、同一の識別番号がM個以上記録されている場合には(ステップS206:Y)、現在のユーザ端末102の場所は、ユーザ101が長時間とどまる場所としての適格性を備えていることになる。そこで、重複登録を防止するために、その識別番号が特定エリア登録部123に本登録されているかどうかをチェックする(ステップS207)。すでに本登録されている場合には(N)、そのまま処理を終了する(エンド)。
【0050】
これに対して、その識別番号が特定エリア登録部123に本登録されていない場合には(ステップS207:Y)、GPSセンサ部118に電源を流して、GPSシステムによる測位を実行する(ステップS208)。そして、測位結果としての現在の位置情報と無線基地局の識別番号とを対にして、特定エリア登録部123に本登録する(ステップS209)。これにより、その無線基地局の識別番号の予備登録は不要になったので、これを予備領域から削除して(ステップS210)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0051】
なお、ステップS209ではGPSシステムによる測位結果をそのまま採用して特定エリア登録部123に登録を行うことにしたが、測位結果には誤差が発生する場合も多い。そこで、ステップS208による測位結果に基づいて表示部125に結果に基づいた周辺地図を表示し、ユーザ101に正確な位置を指定させるようにしてもよい。
【0052】
また、この表示の時点でユーザ101に本登録の是非を判断させるようにしてもよい。これはたとえば、旅行先で偶然立ち寄った場所のように再度訪れる可能性が極めて低いような場所の登録による特定エリア登録部123の無駄な占有を防止するためである。したがって、特定エリア登録部123に本登録した今までのデータを位置情報をと共に地図上で表示し、ユーザ101に不要なものを消去させる消去モードを設けることも有効である。
【0053】
図10は、特定エリアの手動登録処理の様子を表わしたものである。図7および図8と共に説明する。この処理では、ユーザ101自体が登録処理を実行する。
【0054】
ユーザ101は、ユーザ端末102を手動登録モードに設定する。制御部114は、この状態で、入力部124の予め定められた登録要求ボタンが押下されるのを待機している(ステップS221)。登録要求ボタンが押下されると(Y)、GPSセンサ部118を用いた測位が行われる(ステップS222)。制御部114はこの測位結果に基づいて、現在のユーザ端末102が存在する測位位置の周辺の地図に測位位置を記して表示部125に表示する(ステップS223)。このための表示データは、無線部116を介して所定のサーバあるいは最寄りの無線基地局105から取得してもよいし、ユーザ端末102自体が不揮発性メモリ112内に簡単な地図データを保持するようにしてもよい。
【0055】
地図データを表示した状態で、制御部114は入力部124の図示しない登録確認ボタンが押されるか(ステップS224)と、登録のキャンセルボタンが押されるか(ステップS225)と、地図の修正位置が入力される(ステップS226)かを待機している。登録確認ボタンが押された場合には(ステップS224:Y)、図9のステップS209と同様に測位結果と該当する無線基地局の識別番号を特定エリア登録部123に本登録して(ステップS227)、処理を終了する(エンド)。2件以上の登録を行う場合には、再度、ステップS221の処理を行う。
【0056】
一方、ユーザ101が図示しないキャンセルボタンを押した場合には(ステップS224:N、ステップS225:Y)、登録がキャンセルされて、一連の処理が終了する(エンド)。ユーザ101が表示された地図上の位置を修正した場合には(ステップS224:N、ステップS225:N、ステップS226:Y)、登録位置を修正する(ステップS228)。そして、処理をステップS224の直前に戻し、それ以降の処理を待機する状態となる。
【0057】
図11は、特定エリアに滞在時のユーザ端末の省電力処理の様子を表わしたものである。図7および図8と共に説明する。
【0058】
制御部114は、GPSセンサ部118によるGPS測位のタイミングが到来したか(ステップS241)と、加速度センサ121がユーザ端末102の移動を検出したか(ステップS242)を監視している。ここで、GPSセンサ部118はタイマ回路122によって所定の周期で通電され、測位が行われるようになっている。
【0059】
GPS測位のタイミングが到来したとき(ステップS242:Y)、あるいは加速度センサ121が加速度を検出したとき(ステップS242:Y)、GPSセンサ部118の通電による測位が行われる(ステップS243)。制御部114は、測位によって得られた位置情報に対応する識別番号を、特定エリア登録部123に本登録した無線基地局の識別番号から検索する(ステップS244)。この結果、該当する識別番号が存在した場合には(Y)、GPSセンサ部118によるGPS測位の測定周期を無限大(∞)に変更する(ステップS246)。これは、ユーザ101が特定エリアに長期間とどまる可能性があるためである。
【0060】
制御部114は、同様の理由から加速度センサ121の通電も停止する(ステップS247)。ただし、ユーザ101が、ゲーム等のアプリケーションソフトウェアで加速度センサ121の使用を要求している場合には、これに従う。
【0061】
この後、ユーザ端末102は、無線部116の通信によって無線基地局が変更されたことが判別されるまで、この省電力状態を保持する(ステップS248)。すなわち、ハンドオーバ等の無線処理によってユーザ端末102が無線基地局105の変更を判別すると(Y)、加速度センサ121の通電が開始される(ステップS249)。また、GPSセンサ部118の通電の周期が、無限大から第1の周期に戻される。この後、処理がステップS241に戻される(リターン)。
【0062】
一方、ステップS245でGPSセンサ部118の測位による位置情報に対応する無線基地局の識別番号が登録されていなかった場合(N)には、ユーザ101が現在位置に長くとどまる可能性は特にない。そこで、この場合には、処理がステップS241に戻される(リターン)。
【0063】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、特定エリアを手動だけでなく自動で登録できるようにしたので、比較的長時間1つのエリアにとどまる場合におけるGPSセンサ部118および加速度センサ121の電力消費を抑えることができる。また、図10のステップS223では現在いる場所の地図を表示することにしたので、ユーザ101が登録要求ボタンを現在位置の確認にも使用することができる。
【0064】
<発明の変形可能性>
【0065】
図12は、特定エリアの登録についての他の例を表わしたものである。図7および図8と共に説明する。
【0066】
まず、表示部125にユーザ101が特定エリアとして登録しようとする周辺の地図を表示し、特定エリアを指示してその緯度と経度を取得することで、その緯度と経度を特定エリア登録部123の予備領域に登録する(ステップS301)。この後、ユーザ101がその特定エリア内で移動すると、ユーザ端末102の加速度センサ121が移動を検出し(ステップS302:Y)、GPSセンサ部118による現在地の測位が行われる(ステップS303)。
【0067】
この変形例の場合、GPSセンサ部118はサーバーアシスト方式で測位結果を取得する。サーバーアシスト方式では、測位の計算を無線基地局や図示しないサーバ側で実行する。このため、そのユーザ端末102がGPS衛星103を捕捉できない場合であっても現在位置を取得することができたり、測位に必要な時間を節約することができるという利点がある。しかしながら、その反面、GPSセンサ部118が独立して測位を行う場合に比べて測位の誤差が大きくなる場合がある。
【0068】
そこで、サーバーアシスト方式で測位結果を得たら、制御部114は予備領域に登録した緯度と経度で定まる位置と比較し、誤差範囲内にあるかをチェックする(ステップS304)。許容される誤差範囲内にあれば(Y)、ユーザ端末102が特定エリアにいることが確認されたので、そのときの無線基地局の識別番号を特定エリア登録部123に本登録する(ステップS305)。そして、特定エリアの登録処理を終了する(エンド)。
【0069】
ステップS304でユーザ101が地図から入力した緯度と経度で定まる位置に誤差の範囲で一致していないと判別された場合には(N)、移動が加速度センサ121で検出されるたびに(ステップS302:Y)、GPSセンサ部118によるサーバーアシスト方式での測位が繰り返される(ステップS303)。結果的に、GPSセンサ部118の測位結果が特定エリア内であることが示された時点で(ステップS304:Y)、その特定エリアの登録処理が行われることになる(ステップS305)。
【0070】
なお、ユーザ101がこの変形例のように地図を用いて特定エリアの登録を行うとき、対応するとされた無線基地局の識別番号と、実際にその位置で通信を行っている無線基地局の識別番号が異なる場合があり得る。このような場合には、特定エリアとしてユーザ101が実際に確認した場所で通信を行っている無線基地局の識別番号が正しい番号となる。そこで、このような場合には、正しい方の無線基地局の識別番号の方に修正して特定エリア登録部123に登録する(更新する)ことも可能である。
【0071】
以上説明した図12に示す登録処理によれば、特定エリアの登録に地図データを用いることで、たとえばサーバーアシスト方式を用いた場合の測位に比べて精度の高い登録を行うことができる。
【0072】
図13は、無線基地局との関係で特定エリアが広いような場合に特に効果のある省電力処理の様子を表わしたものである。この図13で、図11と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。図7、図8および図11と共に説明する。
【0073】
GPSセンサ部118は、周期的に測位を行うようになっており、測位のタイミングが到来すると(ステップS241:Y)、GPSシステムによる測位を行う(ステップS243)。加速度センサ121が加速度を検出したときも(ステップS242:Y)、GPSシステムによる測位が行われる(ステップS243)。
【0074】
このようにして測位した現在位置に対応する無線基地局の識別番号が登録されていることが分かった場合(ステップS245:Y)、この変形例ではGPSセンサ部118が測位を行う周期を、第1の周期よりも長い周期(第2の周期)に変更して(ステップS321)、処理をステップS241に戻す(リターン)。これにより、ステップS241でGPSセンサ部118が測位を行う周期が長くなり、ユーザ端末102の消費する電力が減少する。
【0075】
先の図11の例では、ステップS248でユーザ端末102の通信する無線基地局が切り替わることを検出して、これまではGPSセンサ部118と加速度センサ121への給電を絶つことにした。図13に示す例では、無線基地局の切り替わりに関するデータを用いない場合を前提としており、この代わり、GPSセンサ部118が測位を行う周期を長くしている。そして、ユーザ端末102が特定エリアに対応する無線基地局105のサービスエリア106から脱した場合には(ステップS245:N)、GPSセンサ部118が測位を行う周期が第2の周期になっているかをチェックする(ステップS322)。
【0076】
現在位置が特定エリア外となったので、GPSセンサ部118が測位を行う周期が第2の周期になっている場合には(ステップS322:Y)、制御部114は、GPSセンサ部118が測位を行う周期を、元の第1の周期に変更する(ステップS323)。これにより、移動の多いと推察される特定エリア外におけるGPSセンサ部118の測位の周期を適正な値に戻している。第1の周期に変更した後は、ステップS241の処理に戻る(リターン)。ステップS322で、GPSセンサ部118が測位を行う周期が第1の周期となっていると判別された場合には(N)、そのままステップS241の処理に戻ることになる(リターン)。
【0077】
一般に、無線基地局のサービスエリアが大きい場合、無線基地局のセル移動のみで移動を判定するようにすると使用者が長時間滞在する場所から離れても測位しない場合が発生するという問題が生じる。図13に示した変形例によれば、このような場合にもGPSセンサ部118が周期的に作動して、特定エリアの外に来たかを判別することができ、特定エリアの内部にユーザ端末102が存在する場合の電力消費を抑えることができる。加速度センサ121についても、同様に特定エリアの内部で周期的に動作状態にすることも可能である。
【0078】
以上、ユーザ101が比較的長く滞在する特定エリアでのユーザ端末102の電力消費を抑える技術を説明した。このような特定エリアは、ユーザ101が日常生活で、食事をしたり余暇を過ごすといったプライベートな場所である場合も多い。そこで、ユーザ101のプライバシを保護するという観点から、この特定エリアを管理することが可能である。
【0079】
たとえば、第三者がユーザ101の現在位置に関する情報を要求するサービスがあるとする。この場合、ユーザ端末102が特定エリアに存在する場合には、「現在位置非表示エリアにいます。」といったメッセージあるいはこれに代わるマークを表示して、プライバシを保護する情報管理が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10、20 情報処理装置
11、21 GPS測位手段
12、22 特定エリア登録手段
13、23 無線基地局位置情報登録手段
14、25 位置情報比較手段
15 周期変更手段
24 移動検出手段
26 停止手段
27 無線基地局変更判別手段
28 再開手段
30、40 情報処理方法
31、41 GPS測位ステップ
32、42 特定エリア登録ステップ
33、43 無線基地局位置情報登録ステップ
34、45 位置情報比較ステップ
35 周期変更ステップ
44 移動検出ステップ
46 停止ステップ
47 無線基地局変更判別ステップ
48 再開ステップ48
50、60 情報処理プログラム
51、61 GPS測位処理
52、62 特定エリア登録処理
53、63 無線基地局位置情報登録処理
54、65 位置情報比較処理
55 周期変更処理
64 移動検出処理
66 停止処理
67 無線基地局変更判別処理
68 再開処理
100 通信システム
101 ユーザ
102 ユーザ端末
103 GPS衛星
104 自宅
105 無線基地局
106 サービスエリア
111 CPU
112 不揮発性メモリ
114 制御部
116 無線部
118 GPSセンサ部
121 加速度センサ
122 タイマ回路
123 特定エリア登録部
124 入力部
125 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位手段と、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録手段と、
この特定エリア登録手段に登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録手段と、
前記GPS測位手段によって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録手段に登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較手段と、
この位置情報比較手段による比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位手段で測位を行う周期を、前記所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更手段
とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位手段と、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録手段と、
この特定エリア登録手段に登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録手段と、
位置の移動を検出する移動検出手段と、
前記GPS測位手段によって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録手段に登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較手段と、
この位置情報比較手段による比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位手段による測位および前記移動検出手段の検出動作を停止する停止手段と、
通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別手段と、
この無線基地局変更判別手段が無線基地局の変更を判別したとき前記GPS測位手段による測位および前記移動検出手段の検出動作を再開する再開手段
とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記周期切替手段によって第2の周期に切り替えた後、前記位置情報比較手段によって、測位した位置と前記無線基地局位置情報登録手段に登録された位置情報を比較した結果、一致しなくなったとき、前記GPS測位手段の測位を、前記第1の周期に復帰させる周期復帰手段を具備することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定エリア登録手段は、地図を表示する地図表示手段と、この地図表示手段に表示された地図上で位置を指定する位置指定手段と、この位置指定手段で指定した位置を含む特定エリアを前記特定エリア登録手段に登録された無線基地局の識別情報と対応付ける地図用識別情報対応付け手段を具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定エリア登録手段は、前記移動検出手段が位置の移動を検出しない時間が予め定めた長時間以上であるかを判別する長時間静止検出手段と、この長時間静止検出手段が位置の移動を検出しない時間が予め定めた長時間以上であると判別したときの現在位置を前記特定エリア登録手段に登録された無線基地局の識別情報と対応付ける移動検出手段用識別情報対応付け手段を具備することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定エリア登録手段は、前記移動検出手段が位置の移動を検出しない時間が所定時間を超えるとき、現在位置を無線基地局の識別情報に対応して逐次、所定の領域に仮登録する仮登録手段と、この仮登録手段に登録された前記無線基地局の識別情報ごとにその総数を予め定めた複数個と比較する識別情報数比較手段を備え、この識別情報数比較手段で前記予め定めた複数個以上となった無線基地局の識別情報に対応する通信エリアを前記特定エリアとして登録することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位ステップと、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録ステップと、
この特定エリア登録ステップで登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録ステップと、
前記GPS測位ステップによって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録ステップで登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較ステップと、
この位置情報比較ステップによる比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位ステップで測位を行う周期を、前記所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更ステップ
とを具備することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位ステップと、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録ステップと、
この特定エリア登録ステップで登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録ステップと、
位置の移動を検出する移動検出ステップと、
前記GPS測位ステップによって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録ステップで登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較ステップと、
この位置情報比較ステップによる比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位ステップによる測位および前記移動検出ステップの検出動作を停止する停止ステップと、
通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別ステップと、
この無線基地局変更判別ステップで無線基地局の変更を判別したとき前記GPS測位ステップによる測位および前記移動検出ステップの検出動作を再開する再開ステップ
とを具備することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位処理と、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録処理と、
この特定エリア登録処理で登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録処理と、
前記GPS測位処理によって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録処理で登録した位置情報と一致するかを、所定の第1の周期で測位して比較する位置情報比較処理と、
この位置情報比較処理による比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位処理で測位を行う周期を、前記所定の第1の周期から、これよりも長い第2の周期に切り替える周期変更処理
とを実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行うGPS測位処理と、
予め定めた特定エリアをそのエリアを通信エリアとする無線基地局の識別情報と対応付けて登録する特定エリア登録処理と、
この特定エリア登録処理で登録した無線基地局の前記通信エリアに対応する位置情報を登録する無線基地局位置情報登録処理と、
位置の移動を検出する移動検出処理と、
前記GPS測位処理によって測位した位置が前記無線基地局位置情報登録処理で登録した位置情報と一致するかを、所定の周期で測位して比較する位置情報比較処理と、
この位置情報比較処理による比較によって位置情報が一致したとき、前記GPS測位処理による測位および前記移動検出処理での検出動作を停止する停止処理と、
通信する無線基地局の変更を無線で判別する無線基地局変更判別処理と、
この無線基地局変更判別処理で無線基地局の変更を判別したとき前記GPS測位処理による測位および前記移動検出処理での検出動作を再開する再開処理
とを実行させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−97278(P2011−97278A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248000(P2009−248000)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】