説明

情報処理装置、撮像装置およびデータ通信方法

【課題】送信側および受信側を簡便な方法で設定可能な情報処理装置、撮像装置およびデータ通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】接触した人体をデータ通信路とする人体通信によりデータを送信するデータ送信部および人体通信によりデータを受信するデータ受信部の少なくとも一方を備えるデータ通信部と、ユーザの所定の所作を感知する感知部と、感知部が所作を感知すると、データ送信部にデータ送信を開始させ、あるいは、データ受信部にデータ受信を開始させる人体通信制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、撮像装置およびデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体をデータ通信路とする人体通信が開発されている。例えば特許文献1には、デジタルカメラと腕時計とを人体通信によって接続し、腕時計からメールアドレスをデジタルカメラに送信し、デジタルカメラは、後日、通信回線に接続した際に、受信したメールアドレスを宛先とした電子メールに画像データを添付して送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−260800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、人体通信の送信側が腕時計であり、受信側がデジタルカメラであることが、予め決められている。つまりデータ通信は送信側から受信側の一方向にしか行われず、双方向に人体通信を行うことは想定されていない。
【0005】
したがって、双方向に人体通信を行う際には、送信側と受信側とを明確に区別することが必要となる。とりわけ、同種の機器(例えばデジタルカメラ相互間)で双方向に人体通信をするときには、データの送信方向が不明確になるからである。
【0006】
しかしながら、スイッチやボタンを押すことによって、一方のデジタルカメラをデータ送信側、他方のデジタルカメラをデータ受信側、とする設定方法は、非常に煩雑である。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、送信側および受信側を簡便な方法で設定可能な情報処理装置、撮像装置およびデータ通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の情報処理装置は、接触した人体をデータ通信路とする人体通信によりデータを送信するデータ送信部および前記人体通信によりデータを受信するデータ受信部の少なくとも一方を備えるデータ通信部と、ユーザの所定の所作を感知する感知部と、前記感知部が前記所作を感知すると、前記データ送信部にデータ送信を開始させ、あるいは、前記データ受信部にデータ受信を開始させる人体通信制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置と、被写体を撮像して画像データを出力する撮像部とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項10に記載のデータ通信方法は、ユーザの所定の所作を感知すると、接触した人体をデータ通信路とする人体通信によってデータ送信を開始させ、あるいは、データ受信を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送信側および受信側を簡便な方法で設定可能な情報処理装置、撮像装置およびデータ通信方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1および第2の実施形態であるデジタルカメラの概略図である。
【図2】図1(a)の第1の実施形態であるデジタルカメラの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1(a)のデジタルカメラにおいて、人体通信によるデータ送信が開始される状態の一例と、人体通信によるデータ受信が開始される状態のデジタルカメラの一例を示す。
【図4】図2の指紋認証部の機能を説明する図である。
【図5】図2のデータ種類制限部の機能を説明する図である。
【図6】図1(b)の第2の実施形態であるデジタルカメラの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6の指紋認証部の機能を説明する図である。
【図8】図1(a)の第1の実施形態にかかるデジタルカメラを用いたデータ通信方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】図1(b)の第2の実施形態にかかるデジタルカメラを用いたデータ通信方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。さらに、信号や電流はそれらが通る線路の符号によって表記するものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、情報処理装置、ここでは情報処理装置としてデジタルカメラ100を例にして説明する。デジタルカメラ100は後述のように撮像部220を有するため、撮像装置の一例でもある。図1(a)は、本実施形態におけるデジタルカメラの概略図であり、図2は、図1(a)のデジタルカメラの内部構成の一例を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、接触した人体をデータ通信路とする人体通信によってデータを送信するデータ送信部102と、人体通信によってデータを受信するデータ受信部104とを備えている。データ送信部102とデータ受信部104は、データ通信部105に含まれていて、同一の部材で構成されている。
【0015】
本実施形態では、データ送信部102はデジタルカメラ100の側面に配置されていて、データ受信部104は、デジタルカメラ100の突出したグリップ部106の内側側面に配置されている。ただしデータ送信部102およびデータ受信部104は、デジタルカメラ100本体のどの部分に設けてもよい。また、ユーザの首筋に接触するネックストラップ(不図示)など、デジタルカメラ100本体に電気的に接続されたアクセサリに設けてもよい。
【0016】
(センサ)
デジタルカメラ100は、ユーザ121の所定の所作を感知するための感知部(センサ)を有し、本実施形態では、ファインダ108が覗かれていることを所定の情報として感知するためのアイセンサ110を有する。デジタルカメラ100が撮影準備中であることを感知するアイセンサ110を利用して、人体通信によるデータ通信を開始するためである。
【0017】
またデジタルカメラ100は、当該デジタルカメラ100の撮像指示部としてのシャッタレリーズボタン112がタッチされていることを所定の情報として感知するための圧力センサ114を有する。これも、デジタルカメラ100が撮影準備中であることを感知して、人体通信によるデータ通信を開始するためである。
【0018】
デジタルカメラ100は、その他、いかなるセンサを有していてもよく、そのセンサが所定の情報を検知したことを、人体通信によるデータ通信開始の契機としてよい。
【0019】
デジタルカメラ100は、アイセンサ110または圧力センサ114がユーザ121の所定の所作を感知すると、データ送信部102に人体通信によるデータ送信を開始させ、あるいは、データ受信部104に人体通信によるデータ受信を開始させる人体通信制御部116を有する。
【0020】
これにより、例えばファインダ108を覗く、というユーザ121の所定の所作(アクション)によって、デジタルカメラ100を人体通信の送信側にすることができる。一方、ファインダ108が覗かれていない間のデジタルカメラ100は、人体通信の受信側にすることができる。なお、送受信側の関係は逆にしてもよいことは言うまでもなく、かかる設定は、人体通信制御部116の動作をプログラミングする際に自由に行ってよい。
【0021】
図3は図1(a)のデジタルカメラ100において、人体通信によるデータ送信が開始される状態の一例と、人体通信によるデータ受信が開始される状態のデジタルカメラの一例を示す。
【0022】
この場合、ファインダ108が覗かれているデジタルカメラ100は送信側とし、ファインダ108が覗かれていないデジタルカメラ500は受信側とする制御を人体通信制御部116が行う。デジタルカメラ100のデータ送信部102に触れている人体120が、他のデジタルカメラ500(構成はデジタルカメラ100と同様)のデータ受信部104に触れることによって、データが転送される。これにより、自他のデジタルカメラ100、500を、送信側、受信側、に設定する必要がない。送信側にしたいデジタルカメラ100のファインダ108を覗き、送信側と受信側を人体120でつなぐ、というアクションによって、データ転送がどの方向へ行われるかが一目瞭然になる。
【0023】
転送されるデータはISO感度情報、ホワイトバランス設定値、プリセットマニュアルデータなど、撮像条件を設定したデータとしてよい。これにより、例えばエキスパートが設定した撮像条件を、自己のデジタルカメラに設定してもらうことができる。転送されるデータは、画像データ、音声データとしてもよい。
【0024】
図3では、ファインダ108を覗くユーザ121と人体120とは、別人である。しかし、ユーザ121がデジタルカメラ100のファインダ108を覗きながらデータ送信部102にも接触し、さらにデジタルカメラ500のデータ受信部104にも接触することにより、2台のデジタルカメラ100、500間の人体通信をユーザ121一人で実行することも、無論、可能である。
【0025】
図1(a)、図2および図3の構成では、専らデータ送信を行うデータ送信部102と、専らデータ受信を行うデータ受信部104とが別体として設けられている。上記の構成によれば、データ送信部102またはデータ受信部104に人体120が接触しているという前提条件に加え、アイセンサ110または圧力センサ114がユーザ121の所定の所作を感知するという、計2条件が成立すると、人体通信による通信が開始される。
つまり、ボタン操作などの煩雑な操作を要することなく、センサに何らかのユーザの所作を感知させるという簡便な方法によって、デジタルカメラ100を、人体通信の送信側または受信側に設定可能である。また、データ転送中、データ転送の方向も一目瞭然になる。
【0026】
(人体通信制御部116)
人体通信制御部116は、データ送信部102によるデータ送信と、データ受信部104によるデータ受信とを、排他的に行わせるのが望ましい。すなわち、人体通信制御部116は、データ送信部102およびデータ受信部104をON/OFF制御でき、同時に両方をONにしないのが望ましい。
【0027】
図3の例では、デジタルカメラ100のファインダ108が覗かれると、人体通信制御部116は、データ送信部102をONとし、データ送信を可能とする。このとき、データ受信部104もONとしてデータ受信可能な状態となると、デジタルカメラが送信側、受信側のいずれであるのかが不明確になってしまうからである。
【0028】
また、データ送受信を同時に行わないことによって、データ送信部102・データ受信部104の両方に同一の人体が接触しても、同一のデジタルカメラ100間でデータが送受信されるという無為な動作が回避される。
【0029】
(指紋認証部)
図4は図2の指紋認証部122の機能を説明する図である。デジタルカメラ100は、データ送信部102またはデータ受信部104に所定の指紋を有する人体120が接触したことを認証するための指紋認証部122を備えている。指紋認証部122は、データ送信部102およびデータ受信部104と一体に構成されていて、データ通信部105に含まれている。そして人体通信制御部116は、所定の指紋を有する人体120が接触したことが認証されると、データ送信部102に人体通信によるデータ送信を開始させ、あるいは、データ受信部104に人体通信によるデータ受信を開始させる。
【0030】
上記の構成によれば、図4(a)に示すように、人体が接触しているという前提条件と、センサがユーザ121の所定の所作を感知するという条件に加え、さらに、人体通信が所定の人物の体(人体120)を介して行われていること、という、計3条件が成立しないと、人体通信が開始されないこととなる。これにより、図4(b)に示すように、所定の人物の許可なく、他の人体124を用いて人体通信をみだりに行うことが防止され、人体通信の信頼性、安全性が高まる。
【0031】
(データ種類制限部)
図5は図2のデータ種類制限部126の機能を説明する図である。デジタルカメラ100は、人体通信によるデータ送信またはデータ受信が可能なデータの種類を制限するデータ種類制限部126を備える。
【0032】
データ種類制限部126は、図5に示すように、LCD(Liquid Crystal Display)128にデータの種類を表示し、送信または受信の可否をチェックボックスにチェックマークを入れることで表示する。チェックマークが入っていれば送信または受信が可能である。ユーザ121はボタン操作により、これら送受信の可否を予め設定変更可能である。
【0033】
このように人体通信によってやりとりすることが可能なデータの種類を制限することにより、変更可能なデータと、変更不能なデータとを区別できる。
【0034】
(デジタルカメラ構成)
図2を用いて、デジタルカメラのその他の構成について、以下、説明する。撮像部220は例えばCCD(Charge Coupled Device; 電荷結合素子)としてよく、被写界を撮像して電子的な画像信号を生成する撮像手段であり、例えば1600×1200個の画素を有する。撮像部220は、撮像レンズ210によって結像された被写体の光像を、画素毎にR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。
【0035】
撮像部220から得られる画像信号(アナログ信号)は、アナログ信号処理回路230に与えられる。アナログ信号処理回路230は、画像信号に対して所定のアナログ信号処理を行う回路である。アナログ信号処理回路230は、少なくとも相関二重サンプリング回路(Correlated Double Sampling:CDS。図示省略)およびオートゲインコントロール(Auto Gain Controlled:AGC。図示省略)回路を含む。相関二重サンプリング回路によって画像信号のノイズ低減処理が行われ、オートゲインコントロール回路でゲイン調整することによって、画像信号のレベル調整が行われる。
【0036】
A/D変換器240は、画像信号の各画素信号を、例えば12ビットのデジタル信号に変換する。変換後のデジタル信号は、中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)250に与えられ、画像データとして一時的にRAM(Random Access Memory)260に格納される。RAM260に保存された画像データは、画像処理部280によって色補正処理等を施された後、圧縮伸張部290による圧縮処理等が施される。
【0037】
また、マイク300から得られる音声信号は、音声処理部310に入力される。音声処理部310に入力された音声信号は、音声処理部310内に設けられたA/D変換器(図示省略)により、デジタル信号に変換され、一時的にRAM260に格納される。デジタル化された音声信号は、再び音声処理部310に送り、スピーカ320から再生可能である。
【0038】
操作部330は、電源ボタン330A、各種の操作ボタン330B、撮像指示部としてのシャッタレリーズボタン112等を含み、ユーザ121がデジタルカメラ100の設定を変更操作する際や撮像操作を行う際等に用いられる。
【0039】
電源装置340は、デジタルカメラ100に対する電源供給源である。これはリチウムイオン電池などの二次電池を用いてよい。
【0040】
CPU250は、RAM260およびROM(Read Only Memory)350に記録された所定のプログラムを実行することにより、上記各部を統括的に制御する。なお、RAM260は、高速アクセス可能な半導体メモリであり、ROM350は電気的に書き換えが不可能な不揮発の半導体メモリ(例えばフラッシュROM)として構成される。また、RAM260内における一部の領域は、一時記憶用のバッファエリアとして機能し、画像データおよび音声データを一時的に記憶する。
【0041】
CPU250の各処理部280、290、310は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される、機能部位である。
【0042】
画像処理部280は、WB(ホワイトバランス)処理、γ補正処理等の各種のデジタル画像処理を施す処理部である。WB処理は、R、G、Bの各色成分のレベル変換を行い、カラーバランスを調整する処理であり、γ補正処理は、画素データの階調を補正する処理である。圧縮伸張部290は、画像処理部280によって色補正処理等が行われた画像データを、さらに圧縮する。圧縮方式としては、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式などが採用される。音声処理部310は、音声データに対する各種のデジタル処理を施す処理部である。
【0043】
このような構成を有するCPU250によって、撮像モード、再生モードの処理が行われる。例えば、撮像モードにおいては、まず撮像部220をビューファインダ(LCD128)画像出力用の動作モードに設定した上で所定周期(例えば30コマ/秒)の撮像を行い、撮像に応じた画像データを逐次出力する(予備撮像)。撮像部220から出力された画像データは、アナログ信号処理回路230、A/D変換器240、画像処理部280を介してLCD128にビューファインダ画像として表示される。この状態で、シャッタレリーズボタン112がユーザ121によって半押し(S1状態)されると、CPU250は、撮像部220から入力される予備撮像の画像データに基づき、AE(Auto Exposure)評価値およびAF(Auto Focus)評価値を求める。CPU250はAF評価値に基づいて合焦位置を、公知の例えば山登り方式によって求め、AE/AF部360を用いて、合焦位置に撮像レンズ210を移動させる。また、CPU250はAE評価値に基づいて、本撮像時のシャッタスピード(撮像部220における電荷蓄積時間)、撮像レンズ210の絞り値およびアナログ信号処理回路230におけるオートゲインコントロールのゲイン値を決定する。
【0044】
CPU250は、撮像モードにおいてシャッタレリーズボタン112が全押し(本撮像。S2状態)されると、撮像部220の動作モードを本撮像用の動作モードに設定した上で被写体を撮像し、撮像部220で取得された撮像画像データに基づき、圧縮伸張部290で圧縮画像を生成する。そして、圧縮された高解像度の画像データは、記録媒体370に記録される。記録媒体370は例えばメモリカードとしてよい。
【0045】
さらに、CPU250は、記録媒体370から、デジタルカメラ100で動作するプログラムを取り込むことも可能である。例えば、記録媒体370に記録されている制御プログラムを、RAM260またはROM350内に取り込むことができる。これにより、制御プログラムを更新することも可能である。
【0046】
LCD(Liquid Crystal Display)128は、被写界を表示するほか、ユーザ121に対する各種メニューを表示し、操作のための情報を提供する表示装置である。
【0047】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、情報処理装置、ここでは情報処理装置としてデジタルカメラ200を例にして説明する。デジタルカメラ200は撮像部220を有するため、撮像装置の一例でもある。図1(b)は、本実施形態におけるデジタルカメラ200の概略図であり、図6は、図1(b)のデジタルカメラ200の内部構成の一例を示すブロック図である。デジタルカメラ200について、第1の実施形態であるデジタルカメラ100との相違点のみ、以下説明する。
【0048】
デジタルカメラ200は、接触した人体をデータ通信路とする人体通信によってデータを送受信するデータ通信部118を備える。このように、同一のデータ通信部118でデータ送受信を両方行う点で、別体のデータ送信部102およびデータ受信部104を備えるデジタルカメラ100と異なる。
【0049】
(人体通信制御部216)
本実施形態では、人体通信制御部216は、アイセンサ110または圧力センサ114がユーザ121の所定の所作を感知すると、データ通信部118を送信モードまたは受信モードにして人体通信によるデータ送信またはデータ受信を開始させる。
【0050】
上記の構成によっても、ボタン操作などの煩雑な操作を要することなく、センサに何らかのユーザ121の所作を感知させるという簡便な方法によって、デジタルカメラ200を、人体通信の送信側または受信側に設定可能である。また、データ転送中、データ転送の方向も一目瞭然になる。
【0051】
本実施形態のように、1つのデータ通信部118が、データの送受信の両方を行う場合、人体通信制御部216は、データ通信部118の送信モードと受信モードとを、排他的に切り替える。
【0052】
例えば、人体通信制御部216は、データ通信部118を送信モードにするとき以外、常に受信モードとしてもよいし、受信モードとするために、さらに、別のユーザ(図示しない)の動作をすることを条件としてもよい。いずれにしても、データ通信部118に送信モードおよび受信モードを同時に混在させなければよい。
【0053】
これにより、デジタルカメラ200が送信側、受信側のいずれであるのかを明確にし、また、同一のデジタルカメラ200間でデータが送受信されることを回避するためである。
【0054】
(指紋認証部)
図7は図6の指紋認証部122の機能を説明する図である。指紋認証部122は、データ通信部118と一体に構成されている。本実施形態のように、1つのデータ通信部118が、モードを切り替えることによって、データの送受信の両方を行う場合、人体通信制御部216は、所定の指紋を有する人体120が接触したことが認証されると、データ通信部118を送信モードまたは受信モードにして人体通信によるデータ送信またはデータ受信を開始させる。なおデジタルカメラ600の構成はデジタルカメラ200と同様である。
【0055】
上記の構成によっても、人体通信の開始には、人体が接触しているという前提条件と、センサがユーザ121の所定の所作を感知するという条件に加え、さらに、人体通信が所定の人物の体(人体120)を介して行われていること、という、計3条件の成立が必要となる。これにより、図7(b)に示すように、所定の人物の許可なく、他の人体124を用いて人体通信をみだりに行うことが防止され、人体通信の信頼性、安全性が高まる。
【0056】
以上の構成を有する第1および第2の実施形態にかかるデジタルカメラを用いたデータ通信方法について、以下、説明する。
【0057】
(第1の実施形態のデジタルカメラによるデータ通信方法)
図8は図1(a)の第1の実施形態にかかるデジタルカメラを用いたデータ通信方法の一例を示すフローチャートである。人体通信制御部116は、まず、デジタルカメラ100に備えられたセンサ(アイセンサ110または圧力センサ114)がユーザ121の所定の所作を感知したか否かを確認する(ステップS400)。センサがユーザ121の所定の所作を感知したことを契機として、指紋認証部122が、所定の指紋を有する人体120がデータ送信部102またはデータ受信部104に接触しているか否かを確認する(ステップS402)。
【0058】
指紋認証部122によって、所定の指紋を有する人体120と認証されれば、人体通信制御部116は、人体120が接触している部分を判定する(ステップS404)。その部分がデータ送信部102であれば人体通信によるデータ送信を開始させ(ステップS406)、データ受信部104であればデータ受信を開始させる(ステップS408)。
【0059】
(データ置換確認メッセージ)
人体通信によるデータ受信(ステップS408)を開始した場合に、人体通信制御部116は、受信したデータをRAM260に一時的に保存し、デジタルカメラ100に設定されている既存のデータを、一時的に保存したデータに置換するか否かを決定させるメッセージをデジタルカメラのユーザ121に発する(ステップS410)。置換するための操作がデジタルカメラに対して行われると(ステップS412のY)、人体通信制御部116は、データ置換を実行する(ステップS414)。
【0060】
メッセージは、LCD128に視覚的に表示してもよいし、スピーカ320から音声を出力してもよいし、それら両方でもよい。メッセージの内容は、例えば「ホワイトバランス設定値が受信されましたが、置き換えますか?」などとしてよい。
【0061】
上記の構成によれば、誤って受信してしまったデータを、既存のデータと置換することなく、破棄することも可能である。例えば、間違えて、自分より撮影が不得手な人のデータをもらってしまった場合の防御が可能となる。受信したデータは、すべて受信が完了するまでRAM260にストックし、最後に、置換するかどうかのメッセージを発して、置換の可否を決定すればよい。
【0062】
(既存のデータの保存)
データ置換後、既存のデータは、再び置換可能な状態に保存する(ステップS416)。既存のデータを保存し、再び元の状態に戻す余地を設けておくためである。これにより、例えば置換した撮像条件で撮影し、確認したうえで、元の状態に戻すか否かを決定できる。既存データは、RAM260に保存してもよいし、記録媒体370に保存してもよい。
【0063】
(ハードウェア操作メッセージ)
データ受信を開始した場合に、さらに、受信したデータを一時的に保存し、デジタルカメラに設定されている既存のデータを一時的に保存したデータに置換するための操作を促すメッセージをデジタルカメラ100のユーザ121に発する(ステップS418)。
【0064】
上記の構成によれば、データ変更のためのハードウェア操作をユーザ121に促すことにより、ハードウェア操作することでしか設定変更できないデータを、真に置換すべきかどうかを、ユーザ121に確認することが可能である。
【0065】
例えばISO感度は、ソフトウェア上で変更可能であるが、これを変更すると、シャッタスピードが付随的に変更されることとなる。しかし、例えばダイヤル380(図1)などのハードウェアによってデジタルカメラ100のシャッタスピードが設定されていることがあり、これが「シャッタスピード優先(S)」となっていたら、シャッタスピードを変更できない。そこで、ハードウェア操作をユーザ121に促すメッセージをユーザ121に発することにより、ユーザ121は、「絞り優先(A)」「マニュアル(M)」「プログラムオート(P)」など、「シャッタ優先(S)」以外に設定することができる。
【0066】
メッセージを発する方法は、置換するかどうかのメッセージと同様に発すればよい。
【0067】
(第2の実施形態のデジタルカメラによるデータ通信方法)
図9は図1(b)の第2の実施形態にかかるデジタルカメラを用いたデータ通信方法の一例を示すフローチャートである。図8と異なる点のみ説明すると、ステップS404に代えて、ステップS504が行われる。ステップS504では、人体通信制御部216が、予め定められたルールにより、データ通信部118を送信モードまたは受信モードに排他的に切り替える。その他の処理は図8と同様である。
【0068】
なお、本明細書のデータ通信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0069】
なお、第1および第2の実施形態では情報処理装置としてデジタルカメラを例に説明したが、その他の情報処理装置、例えば携帯電話、プリンタ、オーディオプレーヤ等に適用しても構わない。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0071】
100、200、500 …デジタルカメラ、102 …データ送信部、104 …データ受信部、106 …グリップ部、108 …ファインダ、110 …アイセンサ、112 …シャッタレリーズボタン、114 …圧力センサ、116、216 …人体通信制御部、118 …データ通信部、120 …人体、121 …ユーザ、122 …指紋認証部、124 …他の人体、126 …データ種類制限部、128 …LCD、210 …撮像レンズ、220 …撮像部、230 …アナログ信号処理回路、240 …A/D変換器、250 …CPU、260 …RAM、280 …画像処理部、290 …圧縮伸張部、300 …マイク、310 …音声処理部、320 …スピーカ、330 …操作部、330A …電源ボタン、330B …操作ボタン、340 …電源装置、350 …ROM、360 …AE/AF部、370 …記録媒体、380 …ダイヤル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触した人体をデータ通信路とする人体通信によりデータを送信するデータ送信部および前記人体通信によりデータを受信するデータ受信部の少なくとも一方を備えるデータ通信部と、
ユーザの所定の所作を感知する感知部と、
前記感知部が前記所作を感知すると、前記データ送信部にデータ送信を開始させ、あるいは、前記データ受信部にデータ受信を開始させる人体通信制御部とを備えること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記人体通信制御部は、前記データ送信部によるデータ送信と、前記データ受信部によるデータ受信とを排他的に行なうことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記データ送信部および前記データ受信部は同一の部材で構成されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記データ通信部は、所定の指紋を認証する指紋認証部を有し、
前記人体通信制御部は、前記指紋認証部により前記所定の指紋が認証された場合に、前記データ送信部にデータ送信を開始させ、あるいは、前記データ受信部にデータ受信を開始させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記データ送信部により送信するデータまたは前記データ受信部により受信するデータの種類を制限するデータ種類制限部をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
被写体を撮像して画像データを出力する撮像部とを備えること
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記撮像部に撮像を指示する撮像指示部をさらに備え、
前記感知部は、前記撮像指示部に設けられ、前記撮像指示部に接触しているか否かを感知することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の撮像装置において、
前記撮像部が撮像した画像データに基づく画像を視認可能なファインダをさらに備え、
前記感知部は、前記ファインダに設けられ、ユーザが前記ファインダを覗いているか否かを感知することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記データは、前記撮像部が撮像する際の撮像条件であることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
ユーザの所定の所作を感知すると、接触した人体をデータ通信路とする人体通信によってデータ送信を開始させ、あるいは、データ受信を開始させることを特徴とするデータ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−14969(P2011−14969A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154706(P2009−154706)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】