説明

情報処理装置および情報処理方法

【課題】光ディスク装置(ODD)とPCのインタフェースにSATAを用い、消費電流低減のための規格であるHIPM規格を使用する場合、最も消費電流の少ないSlumberの状態を使用する際は、コマンドに対する応答が遅くならないような工夫が望まれる。
【解決手段】消費電流を低減した状態に遷移する時は、Read/Writeコマンドのように発生頻度が多いコマンドが発生された後においては、復帰時間の短いPartialの状態とし、発生頻度の少ないコマンドが発生された後においては、Slumberの状態として消費電流の低減を優先する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置および情報処理方法に係わり、特に消費電流を低減できる情報処理装置および情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)におけるCPU(Central Processing Unit)を含む制御部と光ディスク装置(Optical Disc Drive、以下ODDと略記する)とのインタフェース(以下IFと略記する)方式においては、処理速度の高速化と省スペース化のため、データを並列に送るPATA(Parallel Advanced Technology Attachment)から直列に送るSATA(Serial Advanced Technology Attachment)に移行している。
【0003】
SATAはPATAと比較し伝送速度が高速であるため、消費電流の低減が重要な課題となる。特に電源としてバッテリーを用いる携帯用のノートPCに適用する場合には重要な課題である。このため論理レベルを従来の5V/0Vから、0.5V/0Vとしている。
【0004】
またIFに関わる回路の制御方法を工夫し、基本動作に影響を与えることなく、消費電流を低減する方法も提案されている。特許文献1および特許文献2では、複数のパワーセーブモードを設けて消費電流を低減する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2008−186462号公報
【特許文献2】特開2006−99665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SATAの規格ではHIPM(Host Initiated Power Management)と呼ばれるIFに関わる回路の消費電流低減のためのオプション規格がある。これはPCの制御部からの要求により、通信を遮断して消費電流を低減することを特徴としている。これにつき図1と図2を用いて説明する。
図1はHIPM規格における消費電流制御の状態の説明図である。消費電流制御の状態にはActive、Partial、Slumberと呼ばれる3つの状態がある。図1ではそれぞれの状態について、内容、復帰時間、消費電流が記載されている。
【0007】
Activeの状態では物理的な論理信号を生成する論理回路と、動作クロックを発生するPLL(Phase Lock Loop)回路が動作しており、データの送受信が可能な状態である。消費電流は3つの状態の中で最も多い。
Partialの状態では論理回路に電源を供給しているが、少なくも前記論理回路は動作を停止しており、データの送受信はできない。Activeへ復帰するに要する時間は10マイクロ秒以内と短い。消費電流は3つの状態の中で中間である。
Slumberの状態では論理回路に電源を供給しているが、前記論理回路、PLL回路とも動作を停止しており、データの送受信はできない。Activeへ復帰するに要する時間は10ミリ秒以内と長い。消費電流は3つの中で最も少ない。
【0008】
なお、前記したPartial、Slumberでの回路の動作は一例である。これらの状態で必須の事項は、Activeの状態への復帰時間であり、これが満たされれば前記と異なる回路の動作であっても良い。
【0009】
次に図2を用いて、これら3つの状態の間での状態遷移の一例を説明する。図2はHIPM規格を用いた一例を示す遷移図である。うち図2(a)と図2(b)は状態遷移図の一例である。図2(c)は図2(b)に対応した消費電流の遷移図であり、横軸は経過時間、縦軸は消費電流を示し、白抜きの矢印はODDがPCの制御部からのコマンドを受信するタイミングを示す。
【0010】
図2(a)はPCの制御部が発行するコマンドと状態遷移との関係を示したものである。ステップS21〜S27は図2(b)、図2(c)のステップS21〜S27に対応している。SATAでは電源を制御するためのPower Management情報を用いてPCの制御部とODDとの間の通信を行う。コマンドにはActiveからPartialへ遷移することを要求するPMREQ_P(Partialへの遷移要求)、ActiveからSlumberへ遷移することを要求するPMREQ_S(Slumberへの遷移要求)、PartialないしSlumberからActiveへ遷移させるCOMWAKE(Activeへの遷移要求)がある。このようにしてPartialないしSlumberの状態を作ることで、消費電流を低減するようにしている。
【0011】
図2(b)は状態遷移の一例を示し、これに対応した消費電流の遷移を図2(c)に示す。ステップS21ではActiveの状態にあって、PCの制御部とODDは記録再生をはじめとするコマンドに応じた処理を行っている。この処理が終了した後、ステップS22でPartialの状態へ移行するよう、PCの制御部はODDに対してPMREQ_Pを発行する。これによりODDはPartialの状態となり、消費電流が低減される。
【0012】
次にステップS23でActiveの状態へ移行するよう、PCの制御部はCOMWAKEを発行する。これによりActiveの状態となり、続いてステップS24でコマンド処理を行う。この処理が終了した後、ステップS25でSlumberの状態へ移行するよう、PCの制御部はPMREQ_Sを発行する。これによりSlumberの状態となり、消費電流はさらに大きく低減される。
【0013】
次にステップS26でActiveの状態へ移行するよう、PCの制御部はCOMWAKEを発行する。これによりActiveの状態となり、続いてステップS27でコマンド処理を行う。以後は装置の電源を切断するなどして全ての動作が終了するまで、同様の状態遷移を行う。
【0014】
ところで現在のPCはHIPMの規格のうち、Slumberを使用していない。前記したとおりSlumberの状態では消費電流を最小にできる長所があるが、Activeの状態に復帰するための復帰時間がかかることが問題となるためである。これについて図3を用いて説明する。
【0015】
図3は消費電流の遷移の一例を示す遷移図である。図3(a)はPartialからActiveへ復帰させる場合、図3(b)はSlumberからActiveへ復帰させる場合を示す。ともに前記PMREQ_PないしPMREQ_Sを受け、消費電流を低減した状態になった直後、COMWAKEが発行され、Activeの状態に復帰する動作が4回連続した場合を示している。前記したとおり図3(a)は現在のPCにおける例に相当し、消費電流の低減効果はさほどでないが、PartialからActiveへの復帰時間は短く(規格上は最大10マイクロ秒)、一時的に消費電流を低減したことによる処理動作への影響は殆どない。
【0016】
図3(b)では消費電流の低減効果は大きいが、SlumberからActiveへの復帰時間がかかるため(規格上は最大10ミリ秒)、たとえばこの場合はActiveのままであれば短時間で終わる処理が最大40ミリ秒程度かかることになる。これは記録ないし再生(Read/Write)コマンドのように頻繁に発行され大容量のデータを扱う場合には、処理が追いつかないといった性能劣化につながる。このため現在はPCではSlumberの状態は使用していない。
【0017】
しかしながら、携帯用のノートPCなどでは消費電流の低減が重要なテーマであり、今後は使い方を工夫するなどして、消費電流の少ないSlumberの状態を活用する方法を開発する必要がある。
【0018】
本発明の目的はこの課題に対応して、消費電流を低減できる光ディスク装置、情報処理装置および情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため本発明は、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する光ディスク装置を有する情報処理装置であって、前記光ディスク装置を制御するコマンドを発行し、前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへ移行する要求を発行する場合には、その直前に発行したコマンドを参照し、前記第2の動作モードに移行させる要求ないし前記第3の動作モードに移行させる要求のいずれかを選択して発行する制御部を有することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、装置外部の制御部の発生するコマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する光ディスク装置を含む情報処理装置であって、前記外部の制御部より、前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した場合には、その直前に受信したコマンドを参照し、前記第2の動作モードないし第3の動作モードのいずれに移行するかを選択する光ディスク制御回路を有することを特徴としている。
【0021】
また本発明は、コマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、前記判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴としている。
【0022】
また本発明は、コマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、該判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、該コマンドに伴い処理するデータのサイズを所定値と比較する比較ステップと、該比較ステップで前記データサイズが所定値よりも小さいとされた場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴としている。
【0023】
また本発明は、コマンドにより制御し、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、前記判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を発行した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴としている。
【0024】
また本発明は、コマンドにより制御し、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、該判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、該コマンドに伴い処理するデータのサイズを所定値と比較する比較ステップと、該比較ステップで前記データサイズが所定値よりも小さいとされた場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を発行した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、消費電流を低減できる情報処理装置および情報処理方法を提供でき、特に携帯用ノートPCなどにおいてバッテリー寿命を長時間化した使い勝手の良い情報処理装置および情報処理方法を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。
【0027】
図4は本発明の一実施例を示すブロック図である。これに基づき動作説明を行う。
図4において、PC全体の制御部41はCPUを含んでおり、ここでコマンドが発生されてODD42に送信される。ODD42においては、このコマンドは前記した消費電力制御を行うSATA制御回路421で受信される。SATA制御回路421は受信したコマンドに従い、たとえばIF部を前記したActive、Partial、Slumberのいずれかの状態とするよう状態制御を行う。また前記コマンドがRead/Writeであれば、記録再生部422ではデータの記録、再生などの動作が行われる。
【0028】
図5は本発明の一実施例を示し、図5(a)は動作フロー図、図5(b)は消費電流の遷移図である。これに基づき消費電流に関わる状態の制御方法を説明する。
この一実施例ではHIPMに関わる要求を発生するのはPCの制御部41であり、Slumberの状態に遷移するためのPMREQ_Sは使用しない。したがい消費電流を低減した状態に遷移させるには、本来はPartialの状態へ遷移するためのPMREQ_Pだけである。この要求を受けてODD42では状況に応じて、PartialないしSlumberの状態に遷移するようにする。すなわちPartial要求のPMREQ_Pであっても、ODD42の判断でSlumberへ遷移して、いっそう消費電流を低減する場合があることを特徴としている。
【0029】
図5(b)に示すように、比較的まれに発行されるコマンドを受信した後にPMREQ_Pが発行された場合には、ODD42はSlumberの状態に遷移して、消費電流を大幅に低減する。記録ないし再生のコマンド(Read/Write)を受信した後にPMREQ_Pが発行された場合には、ODD42はPartialの状態に遷移して処理動作へ悪影響を出さないようにする。
なお、Read/Writeコマンドは図5(b)には図示していないが、Read/Write commandは各COMWAKEの直後に発行される。
【0030】
図5(a)に戻り動作フローを説明する。ODD42がPCの制御部41からコマンドを受信することで、フローは開始される。ステップS51でSATA制御回路421は、受信したコマンドがRead/Writeコマンドであるかを判別する。Read/Writeコマンドである場合には(図中のYes)、ステップS52でSATA制御回路421は、次にPMREQ_Pを受信した際はPartialの状態へ遷移するよう決定してフローを終了する。Read/Writeコマンドでない場合には(図中のNo)、ステップS53でSATA制御回路421は、次にPMREQ_Pを受信した際はSlumberの状態へ遷移するよう決定してフローを終了する。
【0031】
図6は本発明の別な一実施例を示す動作フロー図である。ここではさらに、制御部41とODD42の間で送受信されるデータの容量に応じて、これが小さい場合はPartial、大きい場合はSlumberの状態を選ぶことに特徴がある。データの容量が小さい場合には処理する時間が短いため、次のコマンドが短い時間間隔で発生されることが多いが、データの容量が大きい場合には、その逆であることが多いことに着目したものである。
【0032】
ODD42がPCの制御部41からコマンドを受信することで、フローは開始される。ステップS61でSATA制御回路421は、受信したコマンドがRead/Writeコマンドであるかを判別する。Read/Writeコマンドでない場合には(図中でNo)、ステップS62でSATA制御回路421は、次にPMREQ_Pを受信した際はSlumberの状態へ遷移するよう決定してフローを終了する。ステップS61での判別の結果、Read/Writeコマンドである場合には(図中でYes)、ステップS63でSATA制御回路421は、送受信するデータの容量が、たとえば32ブロック(ODDの場合、一般的に1ブロックは2048バイト)以下であるかを判別する。データの容量が32ブロック以下と小さい場合には(図中のYes)、ステップS64でSATA制御回路421は、次にPMREQ_Pを受信した際はPartialの状態へ遷移するよう決定してフローを終了する。ステップS63での判別の結果、データの容量が32ブロック以上と大きい場合には(図中のNo)、ステップS65でSATA制御回路421は、次にPMREQ_Pを受信した際はSlumberの状態へ遷移するよう決定してフローを終了する。
【0033】
以上、図5と図6で示した一実施例は、ODD42でPartial、Slumberのいずれの状態に遷移するかを選択する例を示している。
次の一実施例では、HIPMに関わる要求を発生するのはやはりPCの制御部41であり、PartialおよびSlumberの状態に遷移するための要求(PMREQ_PおよびPMREQ_S)の双方を使用する。これらの要求に従ってODD42はPartialないしSlumberの状態に遷移するようにする。PartialおよびSlumberのいずれの要求を発生するかを、状況に応じてPCの制御部41が決定することを特徴としている。
【0034】
図7は本発明の一実施例を示し、図7(a)は動作フロー図、図7(b)は消費電流の遷移図である。これに基づき消費電流に関わる状態の制御方法を説明する。
図7(b)に示すように、PCの制御部41が比較的まれに発行されるコマンドを送信した後に、ODD42の消費電流を低減する要求を発行する時は、Slumberへ遷移させるPMREQ_Sを発行する。これに応じてODD42はSlumberの状態に遷移して、消費電流を大幅に低減する。記録ないし再生のコマンド(Read/Write)を送信した後に、ODD42の消費電流を低減する要求を発生する時は、PMREQ_Pを発行する。これに応じてODD42はPartialの状態に遷移して、処理動作へ悪影響を出さないようにする。
【0035】
PCの制御部41は自身がコマンドを発行しているため、Read/Writeコマンドが連続する際でも、それが最後のRead/Writeコマンドであるか(次にRead/Writeコマンドを発行するまでに時間があくか)を判断できる。そこでRead/Writeコマンドを送信した後であっても、それが最後のRead/Writeコマンドであれば、PMREQ_Sを発行する。これに応じてODD42はSlumberの状態に遷移して、消費電流を大幅に低減する。
【0036】
図7(a)に戻り動作フローを説明する。PCの制御部41がODD42にコマンドを送信することで、フローは開始される。ステップS71でPCの制御部41は、送信したコマンドがRead/Writeコマンドであるかを判別する。Read/Writeコマンドである場合には(図中のYes)、ステップS72でPCの制御部41は、これが前記のような最後のRead/Writeコマンドであるかを判別する。最後のRead/Writeコマンドでない場合には(図中のNo)、ステップS73でPCの制御部41は、次に消費電流低減の要求を送信する際は、Partialの状態へ遷移させるPMREQ_Pを送信するよう決定してフローを終了する。ステップS71での判別の結果、Read/Writeコマンドでない場合(図中のNo)、およびステップS72での判別の結果、最後のRead/Writeコマンドである場合には(図中のYes)、ステップS74でPCの制御部41は、次に消費電流低減の要求を送信する際は、Slumberの状態へ遷移させるPMREQ_Sを送信するよう決定してフローを終了する。
【0037】
図8は本発明のさらに別な一実施例を示す動作フロー図である。ここでは図6と同様に、制御部41とODD42の間で送受信されるデータの容量に応じて、これが小さい場合はPartial、大きい場合はSlumberの状態を選ぶことに特徴がある。データの容量が小さい場合には処理する時間が短いため、次のコマンドが短い時間間隔で発生されることが多いが、データの容量が大きい場合には、その逆であることが多いことに着目したものである。
【0038】
PCの制御部41がODD42にコマンドを送信することで、フローは開始される。ステップS81でPCの制御部41は、送信したコマンドがRead/Writeコマンドであるかを判別する。Read/Writeコマンドでない場合には(図中でNo)、ステップS82でPCの制御部41は、次に消費電流低減の要求を送信する際は、Slumberの状態へ遷移するPMREQ_Sを送信するよう決定してフローを終了する。ステップS81での判別の結果、Read/Writeコマンドである場合には(図中でYes)、ステップS83でPCの制御部41は、送受信するデータの容量が、たとえば32ブロック以下であるかを判別する。データの容量が32ブロック以下と小さい場合には(図中のYes)、ステップS84でPCの制御部41は、次に消費電流低減の要求を送信する際は、Partialの状態へ遷移するPMREQ_Pを送信するよう決定してフローを終了する。ステップS83での判別の結果、データの容量が32ブロック以上と大きい場合には(図中のNo)、ステップS85でPCの制御部41は、次に消費電流低減の要求を送信する際は、Slumberの状態へ遷移するPMREQ_Sを送信するよう決定してフローを終了する。
【0039】
なお、ここで言う比較的まれに発行されるRead/Write以外のコマンドとは、たとえば記録媒体の装着の有無やその変化を調べるためのコマンドであり、通常はGet Event/Status Notification コマンドと呼ばれるものがこれに相当する。
【0040】
以上、本発明の実施例について説明したが、これは一例であって本発明を限定するものではない。装置の状態や消費電流の遷移については、ここに示した例に限定するものではなく、またデータのサイズにつき32ブロックの例を示したが、これに数値限定するものではない。このほか動作に影響を与えないように消費電流を低減する方法については、本実施例で説明したHIPM規格以外にも様々な変形例や、他の規格が考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】HIPM規格における消費電流制御の状態の説明図である。
【図2】HIPM規格を用いた一例を示す遷移図である。
【図3】消費電流の遷移の一例を示す遷移図である。
【図4】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例を示す動作フロー図と消費電流の遷移図である。
【図6】本発明の別な一実施例を示す動作フロー図である。
【図7】本発明の別な一実施例を示す動作フロー図と消費電流の遷移図である。
【図8】本発明のさらに別な一実施例を示す動作フロー図である。
【符号の説明】
【0042】
41・・・・・制御部
42・・・・・ODD
421・・・・SATA制御回路
422・・・・記録再生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する光ディスク装置を有する情報処理装置であって、
前記光ディスク装置を制御するコマンドを発行し、前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへ移行する要求を発行する場合には、その直前に発行したコマンドを参照し、前記第2の動作モードに移行させる要求ないし前記第3の動作モードに移行させる要求のいずれかを選択して発行する制御部
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記制御部は、前記直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであった場合には、前記第2の動作モードに移行させる要求を発行し、それ以外のコマンドであった場合には、前記第3の動作モードに移行させる要求を発行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記制御部は、前記直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであり、かつ該コマンドに伴い処理するデータのサイズが所定値よりも小さい場合には、前記第2の動作モードに移行させる要求を発行し、それ以外の場合には、前記第3の動作モードに移行させる要求を発行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
装置外部の制御部の発生するコマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する光ディスク装置を含む情報処理装置であって、
前記外部の制御部より、前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した場合には、その直前に受信したコマンドを参照し、前記第2の動作モードないし第3の動作モードのいずれに移行するかを選択する光ディスク制御回路
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、前記光ディスク制御回路は、前記直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであった場合には、前記第2の動作モードに移行するよう動作制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の情報処理装置において、前記光ディスク制御回路は、前記直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであり、かつ該コマンドに伴い処理するデータのサイズが所定値よりも小さい場合には、前記第2の動作モードに移行するよう動作制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
コマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、
直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コマンドにより制御され、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりも消費電流がさらに小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、
直前に受信したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、
該判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、該コマンドに伴い処理するデータのサイズを所定値と比較する比較ステップと、
該比較ステップで前記データサイズが所定値よりも小さいとされた場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を受信した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コマンドにより制御し、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりもさらに消費電流が小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、
直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を発行した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コマンドにより制御し、情報処理を行う第1の動作モードと、該第1の動作モードよりも消費電流が小さい第2の動作モードと、該第2の動作モードよりもさらに消費電流が小さい第3の動作モードとを含む少なくも3つの動作モードを有する、情報を記録ないし再生するための情報処理方法であって、
直前に発行したコマンドが記録ないし再生を指示するコマンドであったかを判定する判定ステップと、
該判定ステップで記録ないし再生を指示するコマンドであったと判定された場合には、該コマンドに伴い処理するデータのサイズを所定値と比較する比較ステップと、
該比較ステップで前記データサイズが所定値よりも小さいとされた場合には、次に前記第1の動作モードから前記第1の動作モードよりも消費電流の小さい動作モードへの移行を指示する要求を発行した際に、前記第2の動作モードに移行することを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−123028(P2010−123028A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297777(P2008−297777)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】