説明

情報処理装置および情報処理装置の履歴出力方法

【課題】起動途中で起動を停止あるいは中止することが連続して発生する場合に、情報処理装置の初期化処理前に履歴を確認することができる情報処理装置および情報処理装置の履歴出力方法を提供する。
【解決手段】起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置であって、起動時に情報処理装置10の初期化処理を行う起動手段14と、起動手段14の実行履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段11と、履歴情報の出力指示を入力する入力手段12と、入力手段12に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを、起動手段14が初期化処理を行う前に判断する初期化前判断手段15と、初期化前判断手段15が出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段11に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する出力手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動時に診断を行なう機能を有する情報処理装置および情報処理装置の履歴出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置の電源起動時に最初に起動するプログラムであるPOST(Power On Self Test)またはローダにおいて起動時の履歴を保存する機能を備えた情報処理装置がある。しかし、一般に、情報処理装置が正常に起動しOS(Operating System)が起動した後でなければ保存された履歴を確認することができない。そのため、情報処理装置の起動途中で起動が停止したり起動を中止したりすることが連続して発生してOSが起動できない場合には、前回の起動時にPOSTまたはローダがどこまでの処理を実行したのか確認することができない。
【0003】
情報処理装置に取り外し可能な記憶媒体を設置し、取り外し可能な記憶媒体に履歴を保存することによって、OSが起動できない場合でも、記憶媒体を取り外して保存された履歴を確認する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、OSが起動する前にコンピュータシステムが使用された履歴を示す使用実績情報を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−211625号公報
【特許文献2】特開2001−092553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている方法は、OSが起動できない場合に、履歴が記憶された記憶媒体を取り外し、取り外した記憶媒体を他の装置に設置して履歴を確認する必要があり、手間がかかるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、起動途中で起動を停止あるいは中止することが連続して発生する場合に、情報処理装置の初期化処理前に履歴を確認することができる情報処理装置および情報処理装置の履歴出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による情報処理装置は、起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置であって、起動時に情報処理装置の初期化処理を行う起動手段と、起動手段の実行履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段と、履歴情報の出力指示を入力する入力手段と、入力手段に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを、起動手段が初期化処理を行う前に判断する初期化前判断手段と、初期化前判断手段が出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明による情報処理装置の履歴出力方法は、起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置の履歴出力方法であって、起動時に情報処理装置の初期化処理を行い、初期化処理の実行履歴を示す履歴情報を記憶手段に記憶し、履歴情報の出力指示が入力されたか否かを初期化処理を行う前に判断し、出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明による情報処理装置の履歴出力プログラムは、起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置の履歴出力プログラムであって、コンピュータに、起動時に情報処理装置の初期化処理を行い、初期化処理の実行履歴を示す履歴情報を記憶手段に記憶し、履歴情報の出力指示が入力されたか否かを初期化処理を行う前に判断し、出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力するための処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置が起動途中で起動を停止あるいは中止することが連続して発生する場合に、ハードウェアを追加せずに、情報処理装置の初期化処理前に履歴を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の情報処理装置の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS202の処理で実行された指示に基づいて履歴初期出力判断部106および履歴記憶部108が行う履歴出力判断処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における初期化、設定および診断の各処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における初期化、設定および診断の各処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の情報処理装置の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。情報処理装置101は、FW記憶部102と、初期化/設定・診断対象ユニット群103と、入力部111と、記憶部112と、出力部113と、WDT(Watch Dog Timer)部114とを備える。
【0014】
FW記憶部102は、フラッシュROMやSRAMなどの記憶メモリであって、情報処理装置を制御するファームウェアを記憶する。FW記憶部102は、記憶されたファームウェアに従って処理を行うことによって、初期動作FW104と履歴制御部105とを実現する。
【0015】
初期化/設定・診断対象ユニット群103は、電源やハードディスクなどの情報処理装置101が有するユニットの集まりであって、初期化、設定および診断の対象となっているユニットの集まりである。
【0016】
履歴制御部105は、履歴初期出力判断部106と、履歴出力指示入力部107と、履歴記憶部108と、履歴出力部109と、初期履歴出力部110とを備える。
【0017】
初期動作FW104は、初期起動プログラムによって実現される。初期起動プログラムは、情報処理装置101が動作開始すると最初に動作するプログラムであって、例えば、POSTやIPL(Initial Program Loader)などである。
【0018】
初期動作FW104は、情報処理装置101の初期化処理を行い、OSを起動する。初期化処理とは、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットの初期化、設定および診断など、OSを起動するまでの一連の処理である。また、初期動作FW104は、履歴初期出力判定部106に履歴出力判断を行うように指示し、履歴出力指定ありの判断結果と、前回起動時に記録された起動途中となっている履歴(以下、前回起動途中履歴と称する。)が返ってきた場合には、前回起動途中履歴を履歴出力部109に出力する。
【0019】
また、初期動作FW104は、初期化/設定・診断対象ユニット群103に対して、初期化または設定および診断を実行しながら、どこまで処理が行われたかを示す履歴を履歴記憶部108に出力する。
【0020】
また、初期動作FW104は、履歴初期出力判断部106に対して、前回起動途中履歴を出力するか否かを問い合わせ、前回起動途中履歴を出力する場合には前回起動途中履歴を履歴出力部109に出力する。
【0021】
また、初期動作FW104は、オペレータから履歴出力の指示がされたか否かを履歴出力指示入力部107に問い合わせ、結果に従って、履歴出力を行うか否かを決定する。
【0022】
また、初期動作FW104は、OSまたはOSのローダに制御を渡す直前に、履歴記憶部108に正常に起動でき、起動途中で電源断されなかったことを示す情報を出力してから、OSまたはOSのローダに制御を渡して終了する。
【0023】
履歴制御部105は、履歴出力の制御を行う。
【0024】
履歴初期出力判断部106は、初期起動FW104から初期履歴(初期化処理の履歴)を出力するか否かの判断を行うように指示されると、前回起動途中履歴を含めて起動途中の履歴出力指定の有無について応答する。具体的には、前回起動途中履歴があり、起動途中の電源断の指定回数に達していない場合には、前回起動途中履歴を初期起動FW104に応答する。前回起動途中履歴があり、起動途中の電源断の指定回数に達した場合には、初期履歴出力部110に前回起動途中履歴を出力し、初期起動FW104に応答しない。
【0025】
履歴出力指示入力部107は、主にオペレータの操作により履歴出力の指示が入力部111から入力されているか、または、履歴記憶部108から前回の入力部111より入力された結果を受け取り履歴出力の指示がされているか判断する。また、入力部111に入力された情報を読み取り、読み取った結果を履歴記憶部108に出力する。
【0026】
履歴記憶部108は、記憶部112に初期起動FW104の実行状態の履歴を保存したり記憶部112から情報を読み取ったりする。また、履歴出力指示入力部107を介して入力部111に入力された情報を受け取り、記憶部112に保存する。また、履歴記憶部108は、記憶部112に起動途中の電源断の回数を保存したり記憶部112から電源断の回数を読み取ったりする。
【0027】
履歴出力部109は、初期起動FW104または初期履歴出力部110から入力された履歴の情報を出力部113に出力する。
【0028】
初期履歴出力部110は、履歴初期出力判断部106が、OSを起動せずに履歴出力のみ行うと判断した場合に動作し、履歴出力部109に対して履歴出力の指示を行う。
【0029】
入力部111は、オペレータの操作に従って履歴出力の指示を示す情報を履歴出力指示入力部107に入力する。入力部111は、例えば、スイッチである。
【0030】
記憶部112は、情報処理装置101の電源が切れても履歴を記憶することができる不揮発性メモリである。記憶部112は、例えば、EEPROMやフラッシュROMなどである。記憶部112は、前回起動時にオペレータによる履歴出力指定があったか否かを示す前回起動時履歴出力指定情報を記憶する。また、記憶部112は、前回起動途中履歴を履歴情報として記憶する。なお、履歴情報は、前回起動途中履歴に限らず、過去複数回分の起動途中履歴を記憶していてもよい。
【0031】
出力部113は、ディスプレイである。出力部113は、情報処理装置101が起動途中であっても履歴を出力することができる。なお、出力部113はディスプレイに限定されず、LEDなど履歴を確認できる装置であればよい。また、出力部113としてシリアルポートやパラレルポートを用意しておいて、シリアルポートやパラレルポートに履歴を確認できる装置を接続するようにしてもよい。
【0032】
WDT部114は、ウォッチドッグタイマの機能を有する。WDT部114は、初期起動FW104の指示に基づいて、ウォッチドッグタイマの設定を行う。また、WDT部114は、情報処理装置101が前回起動中にウォッチドッグタイマによって再起動したか否かを示す情報を保持する。
【0033】
次に、図2、図3および図4を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0035】
情報処理装置101に電源が投入されると、最初に初期起動FW104が動作を開始する。初期起動FW104は、WDT部114にウォッチドッグタイマの動作開始の設定をさせる(ステップS201)。初期起動FW104は、今回の起動時に履歴出力を行うか否かの判断を行うように履歴初期出力判断部106に指示する(ステップS202)。履歴初期出力判断部106は、初期起動FW104から指示を受けると、前回起動途中履歴の出力をするか否かの判断を行い、判断結果を初期起動FW104に出力する。
【0036】
初期起動FW104は、前回起動途中履歴の出力をするか否かの判断結果を確認し(ステップS203)、前回起動途中履歴の出力ありの場合には(ステップS203のYes)、履歴初期出力判断部106から受信した前回起動途中履歴を初期履歴として履歴出力部109に出力する。履歴出力部109は、出力部113に前回起動途中履歴を出力する(ステップS204)。
【0037】
次に、初期起動FW104は、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットに対して、初期化、設定および診断を行う。初期化/設定・診断対象ユニットが複数のユニットを含む場合には、初期化1(ステップS205)、設定1(ステップS206)、診断1(ステップS207)、…、診断n(ステップS209)と、初期化、設定および診断を順に実行する。また、初期起動FW104は、ユニットに対する初期化、設定、診断の最中に、適宜、次のユニットの初期化の前に履歴出力指定確認(ステップS208)を行う。ステップS208において、初期起動FW104は履歴出力指示入力部107に対して履歴出力指定確認の指示を出力し、履歴出力指示入力部107の判断結果(オペレータから履歴出力の指示があったか否の判断の結果)に基づいて、履歴出力指定があったか否か確認する。また、初期起動FW104は、履歴出力指定の有無を示す情報を前回起動時履歴出力指定情報として履歴記憶部108を介して記憶部112に記憶する。なお、図2において、適宜実行されるステップS208の処理が破線で示されている。
【0038】
ステップS208において履歴出力指定がなかった場合には、それ以降、初期起動FW104は履歴を履歴出力部109に出力しない。履歴出力指定があった場合には、それ以降、初期起動FW104は履歴を履歴出力部109に出力する。
【0039】
初期化/設定・診断対象ユニット群103の全てのユニットの初期化、設定および診断が終了した後に、初期起動FW104は、OSまたはOSのローダが外部記憶メモリ(図示せず)に保存されている場合は、OSまたはOSのローダをロードする(ステップS210)。
【0040】
初期起動FW104は、OSまたはOSのローダに制御を渡す直前に、履歴記憶部108に、情報処理装置101が正常に起動でき起動途中に電源断されなかったことを示す情報を出力する(ステップS211)。その後、初期起動FW104は、WDT部14にウォッチドッグタイマを停止させ(ステップS212)、OSまたはOSのローダに制御を渡して、処理を終了する(ステップS213)。
【0041】
なお、ステップS211において、記憶部112が記憶する起動途中の電源断の回数をゼロにリセットするようにしてもよい。
【0042】
次に、図3を参照して、図2のステップS202の処理で実行された指示に基づいて履歴初期出力判断部106および履歴記憶部108が行う履歴出力判断処理の動作について説明する。
【0043】
図3は、図2のステップS202の処理で実行された指示に基づいて履歴初期出力判断部106および履歴記憶部108が行う履歴出力判断処理の動作を示すフローチャートである。
【0044】
履歴初期出力判断部106は、前回起動途中にウォッチドッグタイマによる再起動が発生したかをWDT部114に確認する(ステップS301)。ウォッチドッグタイマによる再起動が発生していた場合は(ステップS301のYes)、履歴初期出力判断部106は履歴出力指定ありと判定する(ステップS304)。ウォッチドッグタイマによる再起動が発生していなかった場合は(ステップ301のNo)、履歴初期出力判断部106は、入力部111からオペレータ操作により履歴出力の指示が入力されているか否かを履歴出力指示入力部107に問い合わせる(ステップS302)。
【0045】
ステップS302で履歴出力の指示が入力されていた場合は、履歴出力指示入力部107は履歴出力指定ありと判定し(ステップS302のYes)、判定結果を履歴初期出力判断部106に出力する(ステップS304)。
【0046】
履歴出力の指示が入力されていない場合は、履歴出力指示入力部107は履歴出力指定なしと判定する(ステップS302のNo)。履歴記憶部108は、履歴初期出力判断部106の指示を受けて、記憶部112から前回起動時履歴出力指定情報を取得し、履歴出力指示入力部107に出力する。履歴出力指示入力部107は、前回起動時履歴出力指定情報に基づいて前回起動時にオペレータによる履歴出力指定があったか否かを判断する。前回起動時に履歴出力指定があった場合は(ステップS303のYes)、履歴出力指示入力部107は履歴出力指定ありと判定し、判定結果を履歴初期出力判断部106に出力する(ステップS304)。また、前回起動時に履歴出力指定がなかった場合は(ステップS303のNo)、履歴出力指示入力部107は履歴出力指定なしと判定し、判定結果を履歴初期出力判断部106に出力する(ステップS306)。
【0047】
次に、履歴初期出力判断部106は、履歴記憶部108に前回起動途中履歴があるか否かを問い合わせる。履歴記憶部108は記憶部112から履歴情報を読み出して、履歴情報を履歴初期出力判断部106に返す。
【0048】
履歴初期出力判断部106は、履歴情報に前回起動途中履歴があるか否かを確認する(ステップS305)。履歴情報に保存されている履歴が前回起動途中履歴であるか否かは、情報処理装置101が正常に起動できたことを示す情報が記録されているか否かで判断する。前回起動途中履歴が記録されている場合は(ステップS305のYes)、履歴初期出力判断部106は、履歴記憶部108に起動途中の電源断の回数を問い合わせる。履歴初期出力判断部106は、履歴記憶部108から取得した起動途中の電源断の回数をカウントアップし、カウントアップ後の値と履歴初期出力判断部106の保持する起動途中の電源断の指定回数とを比較する(ステップS307)。このとき、履歴初期出力判断部106は、履歴記憶部108にカウントアップ後の値を出力し、記憶部112に記憶されている起動途中の電源断の回数をカウントアップ後の値で更新させる。
【0049】
カウントアップ後の値が起動途中の電源断の指定回数以上であった場合には、履歴初期出力判断部106は初期履歴出力部110に履歴情報を出力する。初期履歴出力部110は、入力された履歴情報を履歴出力部109に出力し、履歴出力部109は出力部113に履歴情報を出力する(ステップS308)。起動途中の電源断の指定回数に達していない場合には、履歴初期出力判断部106は前回起動途中履歴の出力ありと判定する(ステップS309)。
【0050】
次に、図4を参照して、図2のステップS205からステップS209までの初期化、設定および診断の処理の動作について説明する。
【0051】
図4は、第1の実施形態における初期化、設定および診断の各処理を示すフローチャートである。なお、図4に示す処理は、図2に示されたステップS205、S206、S207およびステップS209のそれぞれの処理に対応する。
【0052】
初期起動FW104は、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットに対する初期化、設定および診断の各処理を開始する前に、どこまで初期化/設定/診断の処理をしたのかを示す履歴を履歴記憶部108に出力する。
【0053】
履歴記憶部108は入力された履歴を記憶部112に保存する(ステップS401)。初期起動FW104は、履歴初期出力判断部106から今回の起動途中に履歴出力指定ありと通知されているか否かを確認をする(ステップS402)。今回の起動途中に履歴出力する場合には(ステップS402のYes)、初期起動FW104は履歴出力部109に履歴を出力する。履歴出力部109は、履歴を出力部113に出力する(ステップS403)。その後、初期化、設定または診断の処理を行う(ステップS404)。なお、ステップS402の処理は、図2に示されたステップS208の処理に対応する。
【0054】
以上に説明したように、第1の実施形態によれば、履歴初期出力判断部106が、初期起動FW104の動作の開始時に、履歴出力をするか否かの判断をするように構成され、さら情報処理装置100の起動途中であっても履歴出力を可能とする初期履歴出力部110を備えているため、前回起動時に起動が途中で止まってしまったときの履歴を情報処理装置100の起動途中に出力することができる。
【0055】
また、前回起動時に起動が途中で止まってしまったときの履歴を情報処理装置100の起動途中に出力するための特殊なハードウェアが不要なため、コストを削減することができる。
【0056】
なお、履歴初期出力判断部106の保持する起動途中の電源断の指定回数は、オペレータのよって設定できるようにしてもよい。
【0057】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
【0058】
本発明の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0059】
初期動作FW104は、情報処理101が起動すると最初に動作し、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットの初期化、設定および診断を複数同時に並行して実行し、OSの起動をする。初期化、設定および診断の実行は、OSまたはOSのローダのロード中も並行して実行される。
【0060】
また、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットの初期化、設定および診断を複数同時に並行して実行していくので、前回起動途中履歴が複数存在することがある。そのため、初期動作FW104は、前回起動途中履歴の処理を複数同時に実行させないようにする。前回起動途中履歴の処理とは、前回起動途中履歴に記録された処理であって、前回起動途中に起動を停止させる要因となったと想定される処理である。
【0061】
前回起動途中履歴が複数存在する場合には、起動を停止させる要因となった処理が複数想定されるので、そのうちのどれかを特定する必要がある。そのため、初期起動FW104は、前回起動途中履歴の処理を実行時、他の前回起動途中履歴の処理が実行中であれば、処理停止中であること示す履歴を履歴記憶部108に入力し、他の前回起動途中履歴の処理が実行終了するまで待ってから処理を実行する。
【0062】
なお、第2の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0063】
次に、図5、図6を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0064】
図5は、本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS501からステップ504の処理およびステップS514からステップ517の処理は、第1の実施形態のステップS201からステップS204の処理およびステップS210からステップS213の処理と同様なため説明を省略する。
【0065】
初期化FW104は、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットに対して、初期化、設定および診断を行う。初期化/設定・診断対象ユニットが複数のユニットを含む場合には、初期化A1(ステップS505)、設定A1(ステップS506)、診断A1(ステップS507)、…、診断An(ステップS509)と、初期化、設定および診断を順に実行する。また、初期起動FW104は、ユニットに対する初期化、設定、診断の最中に、適宜、次のユニットの初期化の前に履歴出力指定確認(ステップS508)を行う。初期化FW104は、スケジューラによるマルチタスクや割り込み処理などを使用して、ステップS505からS509の初期化処理の対象となっていないユニットに対して、初期化B1(ステップS510)、設定B1(ステップS511)、診断B1(ステップS512)、…診断Bn(ステップS513)をステップS505からステップS509の処理と並行して実施する。このとき、ステップS513の診断Bnの処理が、OSのロード(ステップS514)よりも後に終了する場合もある。
【0066】
次に、図6を参照して、図5のステップS505からステップS514までの初期化、設定および診断の処理の動作について説明する。
【0067】
図6は、第2の実施形態における初期化、設定および診断の各処理を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理は、図5に示されたステップS505、S506、S507およびS509と、ステップS510、ステップS511、ステップS512およびステップS513のそれぞれの処理に対応する。また、ステップS604からステップ607の処理は、第1の実施形態のステップS401からステップS404の処理と同様なため説明を省略する。
【0068】
初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットの初期化、設定および診断の処理は、複数同時に並行して行われるので、起動を停止させる要因となった処理を特定するため、前回起動途中履歴の処理は複数同時に実行させないようにする。そのため、前回起動途中履歴の処理を実行する前に、初期起動FW104は、他の前回起動途中履歴の処理の有無とその処理が実行中であるか確認する(ステップS601)。初期起動FW104は前回起動途中履歴の処理を実行するときに、他の前回起動途中履歴の処理が存在し、かつ、その処理が実行中である場合には、処理停止中であることを示す情報を履歴記憶部108に出力する。履歴記憶部108は入力された情報を履歴として記憶部112に保存し(ステップS602)、他の前回起動途中履歴の処理が実行終了するまで待つ(ステップS603)。
【0069】
以上に説明したように、第2の実施形態によれば、初期化/設定・診断対象ユニット群103の各ユニットの初期化、設定および診断を複数同時に並行して実行することが可能であるので、情報処理装置101の起動時間を短くすることができる。
【0070】
また、初期動作FW104は、各ユニットの初期化、設定および診断の処理を並行して実行する際に、前回起動時に動作が停止した可能性のある処理を並行処理しないようにしているので、前回起動時に動作が停止した処理を特定することができる。
【0071】
図7は、本発明による情報処理装置の主要部を示すブロック図である。図7に示すように、起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置であって、起動時に情報処理装置10(実施形態では、情報処理装置101で実現される。)の初期化処理を行う起動手段14(実施形態では、初期起動FW104で実現される。)と、起動手段14の実行履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段11(実施形態では、記憶部112で実現される。)と、履歴情報の出力指示を入力する入力手段12(実施形態では、入力部111で実現される。)と、入力手段12に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを、起動手段14が初期化処理を行う前に判断する初期化前判断手段15(実施形態では、初期起動FW104および履歴制御部105で実現される。)と、初期化前判断手段15が出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段11に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する出力手段13(実施形態では、出力部113で実現される。)とを備えたことを特徴とする。
【0072】
上記の実施形態には、以下のような情報処理装置も開示されている。
【0073】
起動手段14が初期化処理を行っているときに入力手段11に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを判断する初期化中判断手段16(実施形態では、初期起動FW104および履歴制御部105で実現される。)を備え、出力手段13は、初期化中判断手段16が出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段11に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する情報処理装置。
【0074】
初期化中判断手段16は、起動手段14が初期化処理を行っているときに入力手段12に履歴情報の出力指示が入力されたか否かの判断結果を記憶手段11に記憶し、初期化前判断手段15は、入力手段12に履歴情報の出力指示が入力されていない場合に、記憶手段11に記憶された判断結果に基づいて履歴情報の出力指示の有無を判断し、出力手段13は、初期化前判断手段15が履歴情報の出力指示ありと判断した場合は、記憶手段11に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する情報処理装置。
【0075】
初期化前判断手段15は、起動手段14が初期化処理を行う前に情報処理装置10の前回起動途中にウォッチドッグタイマによるリセットが発生していたか否かを判断し、出力手段13は、初期化前判断手段15がウォッチドッグタイマによるリセットが発生していたと判断した場合は、記憶手段11に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する情報処理装置。
【0076】
起動手段14は、POSTまたはIPLである情報処理装置。
【符号の説明】
【0077】
10、101 情報処理装置
11 記憶手段
12 入力手段
13 出力手段
14 起動手段
15 初期化前判断手段
16 初期化中判断手段
102 FW記憶部
103 初期化/設定・診断対象ユニット群
104 初期起動FW
105 履歴制御部
106 履歴初期出力判断部
107 履歴出力指示入力部
108 履歴記憶部
109 履歴出力部
110 初期履歴出力部
111 入力部
112 記憶部
113 出力部
114 WDT部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置であって、
起動時に情報処理装置の初期化処理を行う起動手段と、
前記起動手段の実行履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段と、
履歴情報の出力指示を入力する入力手段と、
前記入力手段に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを前記起動手段が初期化処理を行う前に判断する初期化前判断手段と、
前記初期化前判断手段が出力指示が入力されたと判断した場合に、前記記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する出力手段とを備えた、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
起動手段が初期化処理を行っているときに入力手段に履歴情報の出力指示が入力されたか否かを判断する初期化中判断手段を備え、
出力手段は、前記初期化中判断手段が出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する
第1項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
初期化中判断手段は、起動手段が初期化処理を行っているときに入力手段に履歴情報の出力指示が入力されたか否かの判断結果を記憶手段に記憶し、
初期化前判断手段は、入力手段に履歴情報の出力指示が入力されていない場合に、前記記憶手段に記憶された前記判断結果に基づいて履歴情報の出力指示の有無を判断し、
出力手段は、前記初期化前判断手段が履歴情報の出力指示ありと判断した場合は、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する
第1項または第2項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
初期化前判断手段は、起動手段が初期化処理を行う前に情報処理装置の前回起動途中にウォッチドッグタイマによるリセットが発生していたか否かを判断し、
出力手段は、初期化前判断手段がウォッチドッグタイマによるリセットが発生していたと判断した場合は、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する
第1項から第3項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
起動手段は、POSTまたはIPLである
第1項から第4項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置の履歴出力方法であって、
起動時に情報処理装置の初期化処理を行い、前記初期化処理の実行履歴を示す履歴情報を記憶手段に記憶し、履歴情報の出力指示が入力されたか否かを前記初期化処理を行う前に判断し、出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力する
ことを特徴とする履歴出力方法。
【請求項7】
起動時に履歴を記憶する機能を有する情報処理装置の履歴出力プログラムであって、
コンピュータに、
起動時に情報処理装置の初期化処理を行い、前記初期化処理の実行履歴を示す履歴情報を記憶手段に記憶し、履歴情報の出力指示が入力されたか否かを前記初期化処理を行う前に判断し、出力指示が入力されたと判断した場合に、記憶手段に記憶されている前回起動時の履歴情報を出力するための処理を実行させる
ことを特徴とする履歴出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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