説明

情報処理装置および方法、並びにプログラム

【課題】アドホックネットワークにおいて、スループットの低下を抑制しながら消費電力を低減させることができるようにする。
【解決手段】ATIM受信数カウント部141は、ATIMウィンドウ中に受信したATIMの数をカウントする。ATIMウィンドウ中にATIMが受信された場合、判断値算出部142は、今回のATIMウィンドウ中のATIM受信数A、重みαおよび重みβ、並びに、前回の判断値Dn−1に基づいて今回の判断値Dを算出する。判断値D、並びに、閾値Sおよび閾値Sに基づいて、アウェイクレベルを決定する。電力供給設定部133は、アウェイクレベルに応じて、次のATIMウィンドウまでの電力供給設定を行う。本発明は、例えば、通信装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、アドホックネットワークにおいて、スループットの低下を抑制しながら、端末の消費電力を抑制することができるようにした情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線LAN(Local Area Network)の通信方式として、端末同士がアクセスポイントを介して通信を行うインフラストラクチャモードと、端末同士がアクセスポイントを介さずに通信を行うアドホックモードがある。
【0003】
複数の端末がそのアドホックモードで通信を行うことによって形成されるネットワークをアドホックネットワークと称する。アドホックネットワークでは、各端末が近隣の(通信可能範囲内の)他の端末とアドホックモードで通信を行うことにより、送信元の端末から送信された情報は、他の端末を介して送信先の端末に伝送される。つまり、アクセスポイントのような通信基盤が不要であるので、柔軟なネットワーク構成が可能であり、災害時等の非常用通信や、オフィスや家庭等の小規模なネットワークへの利用が容易である。
【0004】
インフラストラクチャモードの場合、各端末はアクセスポイントの通信可能範囲内に位置する必要があるが、アドホックネットワークでは、このような通信基盤による端末の位置制限が無い。つまり、端末が例えば携帯電話機のような移動可能な通信装置である場合、アドホックネットワークの利点をより強く活かすことが出来る。
【0005】
ただし、その場合、通信装置はバッテリを電源として駆動する場合が多い。したがって、アドホックネットワークにおいては、端末の電力消費を抑制することが重要となる。
【0006】
IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11無線LAN規格では端末に低消費動作モードであるPSM(Power Saving Mode)が規定されている
【0007】
PSMではデータの送受信が可能なアウェイク状態(Awake)と、データの送受信はできないが、必要最小限の電力で動作し電力消費を抑えるスリープ状態(Sleep)の間を遷移する。PSMは、端末をより省電力化するために、アウェイク状態で過ごす時間をなるべく短くし、スリープ状態で過ごす時間をなるべく長くするように端末を制御する。
【0008】
PSMの場合、データを送信する端末は、そのデータ送信前にアウェイク状態になり、ATIM(Announcement Traffic Indication Message)という送信予告信号を送る。そしてネットワークに参加する全ての端末は、同期信号であるビーコンの送信間隔(ビーコンインターバル(beacon interval))ごとに一定時間アウェイク状態を続けてこのATIMの送受信を行う。このATIMを送信または受信するための期間(予告期間)をATIMウィンドウ(ATIM window)と称する。
【0009】
ATIMウィンドウの間にATIMを受け取った端末はアウェイク状態を続けてデータの受信を行う。ATIMを受け取らなかった端末は次のATIMウィンドウの期間までスリープ状態に遷移し、電力消費を抑制する。
【0010】
端末の省電力化は、バッテリ駆動する端末の通信可能期間の長期化に寄与するので、アドホックネットワークにおいては、大変重要な検討事項である。したがって、さらなる省電力化について様々に検討されてきた。
【0011】
例えば、周囲のノード間で情報を交換し、常に周囲の状態を把握することで送信相手のアウェイクウィンドウの期間を知り、ATIMを使わずに最小のアウェイク状態数で通信を行う手法が考えられた(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
【0012】
また、各々のノードがネットワーク状況を観察し、動的にATIMウィンドウの長さを調節する手法も考えられた(例えば、非特許文献3参照)。この場合、まず最少のATIMウィンドウサイズで開始し、規則に従って上下させながら必要最低限のATIMウィンドウサイズに調節することで省電力を行う。
【0013】
さらに、シングルホップMANET(Mobile Ad hoc Network)において、ビーコンインターバル毎にATIMウィンドウを開くのではなく、各ノードが所定の規則に従って、一部のビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウを開くようにする方法が考えられた(例えば、非特許文献4参照)。つまり、各ビーコンインターバルにおいて、アウェイク状態となるノードの数を削減し、ネットワークに参加するノードが増大した際に生じるビーコンの競合を緩和するように制御される。この場合、ネットワーク全体で、アウェイク状態のノード数を減らすことにより、省電力化が行われている。
【0014】
また、データの受信が終わった後に、そのビーコンインターバル中に、スリープ状態に遷移する手法が考えられた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】E.-S. Jung and N. H. Vaidya, An Energy Efficient MAC Protocol for Wireless LANs. In Proceedings of INFOCOM 2002, pp. 1756-1764, New York, NY, USA, Jun. 2002.
【非特許文献2】S. Takeuchi, K. Yamazaki, K. Sezaki, and Y. Yasuda, An Improved Power Saving Mechanism for MAC Protocol in Ad Hoc Networks, IEEE GLOBECOM 2004, vol.5, pp. 2791-2796, Dec. 2004.
【非特許文献3】T.-C. Huang, J.-H. Tan, and C.-C. Huang, A Traffic-Load Oriented Power Saving Mechanism for MAC Protocol in Ad Hoc Networks, IEEE Wireless Communications and Networking Conference, WCNC pp. 242-247, Mar. 2007.
【非特許文献4】C.-M. Chao, J.-P. Sheu, and I.-C. Chou, An Adaptive Quorum-Based Energy Conserving Protocol for IEEE 802.11 Ad Hoc Networks, IEEE Trans. Mobile Computing, vol.5, no.5, pp.560-570, May. 2006.
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−303888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2に記載の方法では、全てのノードが、このATIMを用いずに通信する特殊なプロトコルを実装している必要があり、ノードの追加や削除が頻繁に行われるような、柔軟なネットワークを構築することが困難であった。
【0018】
また、非特許文献3に記載の方法や特許文献1に記載の方法では、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが必ず開かれる。そのため、データの送受信が頻繁に行われない場合、不要なATIMウィンドウ(データの送受信が行われないビーコンインターバルにおけるATIMウィンドウ)が多発する恐れがあり、不要なエネルギー消費が増大する恐れがあった。
【0019】
さらに、非特許文献4に記載の方法の場合、各ノードは全てのビーコンインターバルでATIMウィンドウを開くとは限らないので、図1に示されるように、通信可能範囲内のノード間(ノードAとノードB)でATIMウィンドウを開くタイミングが一致しない場合(噛み合わない場合)がある。このように一方のノードがATIMウィンドウを開いても他方のノードがATIMウィンドウを開かないと、ATIMの授受が行われないので、そのビーコンインターバルにおいては、そのノード間でデータ送受信ができない。
【0020】
つまり、非特許文献4に記載の方法の場合、通信効率が悪化し、通信のスループットが低下してしまい、結果的に消費電力も上昇してしまう恐れがあった。また、通信効率が悪いため、この方法では、ブロードキャストパケットの送信には不向きであった。
【0021】
本発明は、このような状況に鑑みて提案されたものであり、スループットの低下を抑制しながら、端末の消費電力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一側面は、他の情報処理装置とデータを送受信する情報処理装置であって、前記他の情報処理装置と通信を行う通信手段と、前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段と、前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行う動作設定手段とを備える情報処理装置である。
【0023】
前記算出手段は、過去の前記判断値と所定の第1の重み係数との乗算結果と、前記受信数と所定の第2の重み係数との乗算結果とを加算して、前記判断値を算出することができる。
【0024】
前記第1の重み係数および前記第2の重み係数を設定する重み設定手段をさらに備えることができる。
【0025】
前記決定手段は、前記判断値を所定の第1の閾値および第2の閾値と比較して、前記予告期間の頻度をレベル分けして表すアウェイクレベルを決定し、前記動作設定手段は、前記決定手段により決定された前記アウェイクレベル毎に決められた前記パターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行うことができる。
【0026】
前記第1の閾値および前記第2の閾値を設定する閾値設定手段をさらに備えることができる。
【0027】
前記動作設定手段は、前記予告期間中に前記送信予告信号が受信されていない場合、次の前記予告期間まで間、前記情報処理装置の動作状態を、前記データの送受信が不可能なスリープ状態とし、前記予告期間中に前記送信予告信号が受信された場合、次の前記予告期間まで間、前記情報処理装置の動作状態を前記アウェイク状態とすることができる。
【0028】
前記制御期間の長さを設定する制御期間長設定手段をさらに備えることができる。
【0029】
前記通信手段は、前記他の情報処理装置とアドホックモードにより通信を行うことができる。
【0030】
前記通信手段は、前記他の情報処理装置と無線通信を行うことができる。
【0031】
本発明の一側面は、また、他の情報処理装置とデータを送受信する情報処理装置の情報処理方法であって、算出手段が、前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出し、決定手段が、算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定し、動作設定手段が、決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段の動作設定を行う情報処理方法である。
【0032】
本発明の一側面は、さらに、他の情報処理装置とデータを送受信するコンピュータを、前記他の情報処理装置と通信を行う通信手段、前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段、前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出する算出手段、前記算出手段により算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定する決定手段、前記決定手段により決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行う動作設定手段として機能させるためのプログラムである。
【0033】
本発明の一側面においては、データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、データ送受信の頻度の傾向を示す判断値が算出され、算出される判断値に基づいて、送信予告信号を受信するための期間であって、情報処理装置の動作状態が、データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度が決定され、決定された予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の予告期間までの、情報処理装置内の電力供給が制御される。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、特に、アドホックネットワークにおいて、スループットの低下を抑制しながら、端末の消費電力を抑制するができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】所定の規則にしたがってATIMウィンドウの開閉を制御する場合の通信の例を説明する模式図である。
【図2】本発明を適用したアドホックネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。
【図3】アドホックネットワークにおける基本的な通信の例を説明する図である。
【図4】図1の通信装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図5】アウェイクレベル毎のATIMウィンドウの開閉パターンを説明する図である。
【図6】開閉制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】電力供給設定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図8】パラメータの値の例を示す図である。
【図9】重みを可変させたときの消費電力の変化の様子の例を示す図である。
【図10】閾値を可変させたときの消費電力の変化の様子の例を示す図である。
【図11】比較するATIMウィンドウパターンを説明する図である。
【図12】実験結果の例を説明する図である。
【図13】図1の通信装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明を適用したパーソナルコンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について 説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(アドホックネットワーク)
2.第2の実施の形態(通信装置)
3.第3の実施の形態(パーソナルコンピュータ)
【0037】
<1.第1の実施の形態>
[アドホックネットワークの説明]
図2は、本発明を適用したアドホックネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。
【0038】
図2に示されるアドホックネットワークシステム100は、通信装置101−1乃至通信装置101−4を端末(ノード)とし、ノード同士がそのアドホックモードで無線通信を行うアドホックネットワークを形成するシステムである。
【0039】
アドホックネットワークシステム100では、通信装置101−1乃至通信装置101−4のそれぞれが、両矢印102−1乃至両矢印102−4に示されるように、それぞれの通信可能範囲内に存在する他のノードと無線通信を行う。両矢印102−1は、通信装置101−1と通信装置101−2との無線通信を示し、両矢印102−2は、通信装置101−1と通信装置101−3との無線通信を示し、両矢印102−3は、通信装置101−2と通信装置101−4との無線通信を示し、両矢印102−4は、通信装置101−3と通信装置101−4との無線通信を示している。
【0040】
つまり、通信装置101−1の通信可能範囲内に通信装置101−2および通信装置101−3が存在し、通信装置101−2の通信可能範囲内に通信装置101−1および通信装置101−4が存在する。同様に、通信装置101−3の通信可能範囲内に通信装置101−1および通信装置101−4が存在し、通信装置101−4の通信可能範囲内に通信装置101−2および通信装置101−3が存在する。
【0041】
このように、一般的にアドホックネットワークにおいては、情報がノードを介して伝送される。例えば、図2のアドホックネットワークシステム100において、通信装置101−1から通信装置101−4に情報を伝送する場合、仮に通信装置101−1と通信装置101−4とが互いの通信可能範囲内に存在しなくても、その情報は、通信装置101−2や通信装置101−3を介して通信装置101−4に伝送される。
【0042】
つまり、アドホックネットワークは、ノードのみで構成され、アクセスポイントのような通信基盤が不要である。したがって、アドホックネットワークは、ネットワークの構築が容易であるだけでなく、柔軟なネットワーク構成が可能である。
【0043】
例えば、図2のアドホックネットワークシステム100において、図2の通信装置101−2が通信装置101−3の通信可能範囲内に移動すれば、さらに通信装置101−2と通信装置101−3との間での無線通信も可能になり、新たな伝送路が形成される。また、例えば、通信装置101−4が通信装置101−3の通信可能範囲外に移動すれば、両矢印102−4に示される無線通信が不可能となる。
【0044】
さらに、例えば、図示せぬ新たな通信装置をアドホックネットワークシステム100に参加させれば、新たな伝送路が形成される。また、例えば、通信装置101−1をアドホックネットワークシステム100から離脱させれば、ノード数だけでなく伝送路も減少する。
【0045】
一般的に、このような特徴を有するアドホックネットワークは、例えば、通信基盤の信頼性が低下する災害時等の非常用通信のネットワーク、通信基盤の設置が困難な環境観測機器のネットワーク、または、通信基盤設置のコスト低減が求められるオフィスや家庭等の小規模なネットワーク等への利用に好適である。
【0046】
図2のアドホックネットワークシステム100の通信装置101−1乃至通信装置101−4は、どのような装置であっても良いが、例えば、携帯電話機若しくはスマートフォン、または、通信機能を有する、ネットブック、PDA(Personal Digital Assistants)、若しくはノート型パーソナルコンピュータ等のような移動可能な通信装置である。以下において、通信装置101−1乃至通信装置101−4を互いに区別して説明する必要の無い場合、通信装置101と称する。
【0047】
インフラストラクチャモードで通信を行うネットワークの場合、各ノードはアクセスポイントの通信可能範囲内に位置する必要があるが、アドホックネットワークのノードは、一般的に、このような通信基盤による端末の位置制限が無い。つまり、アドホックネットワークは、例えば携帯電話機のような移動可能な通信装置をノードとするネットワークに好適であるという特徴を有する。
【0048】
つまり、アドホックネットワークは、互いに無線通信を行い、バッテリを電源として駆動する通信装置をノードとする場合に好適であるとも言える。
【0049】
図2の通信装置101は、例えば、IEEE802.11のような所定の通信方式により互いに無線通信を行う。もちろん、通信装置101同士の通信が有線通信であってもよいが、無線通信の方がより柔軟なネットワークを構築することができるのでアドホックネットワークに好適である。したがって、以下においては、通信装置101同士が無線通信により情報の授受を行うものとして説明する。以下の説明は基本的に有線通信にも適用可能であるので有線通信についての説明は省略し、必要な場合にのみ行う。
【0050】
また、通信装置101は、バッテリを電源として駆動する。もちろん、通信装置101が商用電源等の外部電源を電源として駆動するようにしてもよいが、アドホックネットワークにおいては、上述したように柔軟なネットワークを構築するために、バッテリ駆動するノードの方が好適である。
【0051】
このような移動可能な通信装置は、携帯性等の理由からバッテリを無限に大きくすることができず、事実上その容量に制限があるので、連続駆動時間の長期化、すなわち消費電力の低減が重要となる。
【0052】
一般的にアドホックネットワークのノードは、消費電力を低減させるために、PSM(Power Saving Mode)を採用し、データの送受信が可能なアウェイク状態(Awake)と、データの送受信はできないが必要最小限の電力で動作し電力消費を抑えるスリープ状態(Sleep)との2つの状態を適宜切り替える制御を行っている。
【0053】
アドホックネットワークシステム100の通信装置101は、さらに消費電力を低減させるための電力制御を行う。
【0054】
なお、アドホックネットワークシステム100を構成する通信装置101の数は任意である。また、通信装置101同士の位置関係や通信相手(伝送路)も任意である。
【0055】
次に、PSMが適用されるアドホックネットワークにおける電力制御について説明する。図3は、アドホックネットワークにおける基本的な通信の例を説明する図である。
【0056】
図3は、ノードA乃至ノードCの通信中の動作状態を示している。ノードBは、ノードAの通信可能範囲内に位置し、ノードCは、ノードAの通信可能範囲外に位置する。ノードA乃至ノードC間の通信は、同期をとるためのビーコンの送信間隔であるビーコンインターバル(Beacon interval)毎に制御される。両矢印111−1で示されるビーコンインターバルAは、ノードAからノードBへ情報(DATA)が伝送される場合を示している。両矢印111−2で示されるビーコンインターバルBは、ノードA乃至ノードCのいずれも情報の伝送を行わない場合を示している。
【0057】
最初に、ビーコンインターバルAの場合について説明する。
【0058】
各ノードは、ビーコンインターバル毎に、データ(DATA)の送受信する期間とは別に、所定期間、ATIM(Announcement Traffic Indication Message)を送受信するために、通信可能なアウェイク状態になる。この、両矢印112−1で示されるアウェイク状態の期間をATIMウィンドウと称する。このATIMウィンドウの長さは各ノード共通である。
【0059】
送信すべきデータを有するノードAは、このATIMウィンドウ中に、データの送信を事前に予告するATIMを通信可能範囲内の他のノード(つまりノードB)に送信する。ノードAからATIMを受信し、ノードAから送信されるデータを受信することを決定したノードBは、そのATIMウィンドウ中に、ATIMを受け取りデータの受信を行うことを通知する応答信号(ACK)をノードAに返す。
【0060】
ACKを返したノードBは、ノードAから送信されるデータを受信するために、ATIMウィンドウ終了後もアウェイク状態を継続する。ACKを受信したノードAも、データを送信するために、ATIMウィンドウの終了後もアウェイク状態を継続する。そしてそのアウェイク状態の間に、ノードAがノードBに対してデータ(DATA)を送信し、そのデータを受信したノードBがノードAに対して、データを受信したことを通知するACKを送信する。ノードAがそのACKを受信すると、ノードAとノードBとの間の通信が終了する。この通信は、ビーコンインターバルAの間に行なわれる。
【0061】
このアウェイク状態は、ビーコンインターバルA終了まで継続する。ただし、実際には、ビーコンインターバルAが終了すると、次のビーコンインターバルが開始されて次のATIMウィンドウが開始されるので、アウェイク状態はそのまま継続する。
【0062】
これに対して、ノードCは、ATIMウィンドウ期間中にATIMを受信しなかったので、ATIMウィンドウ終了後、ビーコンインターバルAが終了するまで、スリープ状態に遷移し、電力消費を抑制する。ビーコンインターバルAが終了すると、次のビーコンインターバルが開始されて次のATIMウィンドウが開始される。
【0063】
このように、データを送信するノード、データを受信するノード、およびデータを送受信しないノードは、それぞれ、互いに異なる動作を行う。
【0064】
次にビーコンインターバルBの場合について説明する。
【0065】
ビーコンインターバルBのようにデータの送受信が行なわれない場合、ノードA乃至ノードCは、互いに同様に動作し、両矢印112−2に示されるATIMウィンドウ中はアウェイク状態となり、ATIMウィンドウ終了後、ビーコンインターバルBが終了するまでスリープ状態となる。
【0066】
このように、データの送受信を行わないノードが、ATIMウィンドウ終了後アウェイク状態からスリープ状態に遷移し、そのビーコンインターバルが終了するまでスリープ状態が継続されることにより、各ノードの消費電力の低減が図られる。
【0067】
通信装置101は、このATIMウィンドウの開閉を制御し、ATIMウィンドウの回数をより低減させることにより、更なる省電力化を図る。その際、単純にATIMウィンドウの回数を低減させると、通信不可能なノードが増大し、スループットが低減する恐れがある。通信装置101は、スループットの低下を抑制しながら、消費電力をさらに抑制する。
【0068】
[デバイスの構成]
図4は、図1の通信装置101の主な構成例を示すブロック図である。
【0069】
図4に示されるように、通信装置101は、制御部121、無線送受信部122、開閉制御部123、および電力供給部124を有する。
【0070】
制御部121は、通信装置101全体を制御する。つまり、制御部121は、無線送受信部122、開閉制御部123、電力供給部124、および図示せぬその他の処理部等の動作を制御する。
【0071】
無線送受信部122は、アンテナ122Aを介して他の通信装置101と所定の方式で無線通信を行う。無線送受信部122は、その無線通信により、情報や信号を変調して送信したり、受信して復調したりする。例えば、無線送受信部122は、ATIMやACK等の信号を変調して送信したり、制御部121より供給される送信用のデータを変調して送信したりする。また、例えば、無線送受信部122は、アンテナ122Aを介して受信した無線信号を復調し、得られたデータを制御部121に供給したり、ATIMやACK等の信号を取得したりする。さらに、無線送受信部122は、取得したATIMをアウェイクレベル設定部131や電力管理部171に供給したり、ビーコンをビーコンインターバルカウント部135に供給したりする。
【0072】
開閉制御部123は、無線送受信部122において行なわれる無線通信のATIMウィンドウの開閉を制御し、重要でないアウェイク状態を適宜抑制するようにすることにより、消費電力の低減を図る。
【0073】
データを送信するビーコンインターバルの場合、開閉制御部123は、図3を参照して説明した一般的なPSMの場合と同様に、ATIMウィンドウの開閉を制御する。データを受信するビーコンインターバルの場合も、開閉制御部123は、基本的に図3を参照して説明した一般的なPSMの場合と同様に、ATIMウィンドウの開閉を制御する。ただし、データの送受信を行わないビーコンインターバルの場合、開閉制御部123は、アウェイクレベルを決定し、そのレベルに応じた頻度でATIMウィンドウの開閉を行わせる。
【0074】
アウェイクレベルは、ATIMウィンドウの頻度を示す(レベル化した)情報である。詳細については後述するが、開閉制御部123は、その通信装置101のデータ送受信の頻度の傾向に応じてこのアウェイクレベルを決定する。
【0075】
開閉制御部123は、アウェイクレベル設定部131、閾値・重み供給部132、電力供給設定部133、制御区間長供給部134、およびビーコンインターバルカウント部135を有する。
【0076】
アウェイクレベル設定部131は、ビーコンインターバル毎(ATIMウィンドウ毎)にアウェイクレベルを決定する。
【0077】
アウェイクレベル設定部131は、ATIM受信数カウント部141、判断値算出部142、判断値保持部143、およびレベル決定部144を有する。
【0078】
ATIM受信数カウント部141は、無線送受信部122においてATIMウィンドウ中に受信されたATIMの数をカウントし、そのカウント値を保持する。ATIM受信数カウント部141は、判断値算出部142の要求に応じて保持しているカウント値を判断値算出部142に提供する。
【0079】
判断値算出部142は、アウェイクレベルの決定に用いられる判断値を算出する。詳細については後述するが、判断値は、そのノード(通信装置101)のデータ送受信の頻度の傾向を示すパラメータである。データ送受信の頻度の傾向は、ノードの性能や役割、ネットワーク構成、データ伝送のパターン、およびそれらの時間的変化等、様々な要因に基づいて生じる。換言するに、データ送受信の頻度の傾向は、これらのようなネットワークの特性を示すとも言える。つまり、判断値算出部142は、アドホックネットワークシステム100の特性を示すパラメータである判断値を算出する。
【0080】
判断値算出部142は、ATIM受信数カウント部141においてカウントされたATIM受信数(カウント値)、閾値・重み供給部132により供給される重み、および、判断値保持部143により保持されている過去の判断値をそれぞれ取得し、それらを用いて判断値を算出する。判断値算出部142は、算出した判断値を判断値保持部143およびレベル決定部144に供給する。
【0081】
判断値保持部143は、判断値算出部142において算出された判断値を保持し、判断値算出部142の要求に応じて保持している判断値を判断値算出部142に提供する。また、判断値保持部143は、不要になった判断値を適宜削除することができる。
【0082】
レベル決定部144は、アウェイクレベルの決定を行う。レベル決定部144は、判断値算出部142において算出された判断値、および、閾値・重み供給部132により供給される閾値を用いてアウェイクレベルを決定する。アウェイクレベルの決定方法については後述する。レベル決定部144は、決定したアウェイクレベルを電力供給設定部133に通知する。
【0083】
閾値・重み供給部132は、判断値算出部142の要求に基づいて、判断値の算出に使用される係数である「重み(αおよびβ)」を判断値算出部142に供給する。また、閾値・重み供給部132は、レベル決定部144の要求に基づいて、レベルの決定に使用される「閾値(SおよびS)」をレベル決定部144に供給する。
【0084】
閾値・重み供給部132は、閾値保持部151および重み保持部152を有する。閾値保持部151は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を有し、予め設定された閾値(SおよびS)を保持する。重み保持部152は、例えばRAM等の記憶媒体を有し、予め設定された重み(αおよびβ)を保持する。閾値・重み供給部132は、それらの保持部より閾値や重みを読み出して供給する。
【0085】
電力供給設定部133は、アウェイクレベル決定部131のレベル決定部144から通知されたアウェイクレベルに応じて、ATIMウィンドウの開閉を制御する設定を行う。ATIMウィンドウの開閉は、アウェイク状態とスリープ状態の切り替えにより行う。つまり、電力供給設定部133は、電力の供給を制御する。そのために、電力供給設定部133は、電力供給制御部182とタイマ172の動作を制御する。
【0086】
電力供給設定部133は、制御区間長供給部134から、ATIMウィンドウの開閉制御の制御区間の長さを示すパラメータである制御区間長Nの値を取得する。制御区間の長さは、ビーコンインターバルの数で示される。つまり、制御区間長Nの値は正の整数である。
【0087】
また、電力供給設定部133は、ビーコンインターバルカウント部135からカウント値、すなわち、現在のビーコンインターバルが、制御区間長Nの何番目のビーコンインターバルに相当するかを示す値を取得する。
【0088】
さらに、電力供給設定部133は、電力管理部171の判定部181から、ATIMが受信されたか否かの判定結果を取得する。
【0089】
電力供給設定部133は、これらの値を用いて、レベル決定部144において決定されたアウェイクレベルに応じたATIMウィンドウの開閉制御、すなわち、電力供給制御部182およびタイマ172の動作設定を行う。より具体的には、電力供給設定部133は、次のATIMウィンドウまでの時間や動作状態(アウェイク状態かスリープ状態か)を決定し、その決定にしたがって動作するように電力供給制御部182およびタイマ172の動作設定を行う。
【0090】
制御区間長供給部134は、電力供給設定部133の要求に基づいて、制御区間長Nの値を電力供給設定部133に供給する。詳細については後述するが、この制御区間長Nの値は、電力供給設定に用いられる。
【0091】
制御区間長供給部134は、制御区間長保持部161を有する。制御区間長保持部161は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を有し、予め設定された制御区間長Nの値を保持する。制御区間長供給部134は、制御区間長保持部161より制御区間長Nの値を読み出して供給する。
【0092】
ビーコンインターバルカウント部135は、無線送受信部122の動作を監視し、ビーコン(beacon)が送信された回数、すなわちビーコンインターバルをカウントする。なお、このカウント値は、電力供給設定部133が、現在のビーコンインターバルが制御区間長Nの何番目のビーコンインターバルに相当するかを把握するための情報である。したがって、現在のビーコンインターバルが制御区間長Nの何番目のビーコンインターバルに相当するかが示されるのであれば、カウント値は、どのような値であってもよい。例えば、カウント値が制御区間長N毎に初期化されるようにしてもよい。
【0093】
電力供給部124は、通信装置101全体に電力を供給する。より具体的には、電力供給部124は、太線矢印で示されるように、制御部121、無線送受信部122、および開閉制御部123に電力を供給するとともに、その電力供給を制御する。もちろん、電力供給部124は、通信装置101のその他の処理部(図示せず)にも電力を供給する。
【0094】
電力供給部124は、電力管理部171、タイマ172、およびバッテリ部173を有する。
【0095】
電力管理部171は、バッテリ部173から供給される電力を、制御部121、無線送受信部122、および開閉制御部123に供給する。電力管理部171は、この各処理部への電力供給を制御する。
【0096】
電力管理部171は、判定部181および電力供給制御部182を有する。
【0097】
判定部181は、無線送受信部122から供給されるATIMに基づいて、ATIMウィンドウ中にATIMが受信されたか否かを判定する。判定部181は、その判定結果を開閉制御部123の電力供給設定部133に供給する。
【0098】
電力供給制御部182は、電力供給設定部133の設定に基づいて動作し、各処理部への電力供給を制御する。つまり、電力供給制御部182は、アウェイク状態とスリープ状態の切り替えを行う。アウェイク状態の場合、電力供給制御部182は、例えば、各処理部に、通常動作を行うのに十分な電力を供給する。これに対して、スリープ状態の場合、電力供給制御部182は、各処理部への電力供給を必要最小限に抑制する。例えば、電力供給制御部182は、無線送受信部122への電力供給を遮断し、無線送受信部122が通信不可能な状態にする。さらに、電力供給制御部182は、制御部121内の、無線送受信部122を制御するモジュールへの電力供給を遮断する。このように電力供給制御部182が電力供給を抑制することにより、スリープ状態においては、通信装置101の消費電力が大幅に抑制される。
【0099】
もちろん、電力供給制御部182が、これ以外の処理部への電力供給を制御するようにしてもよい。また、スリープ状態において、電力供給制御部182が、無線送受信部122や制御部121への電力供給を完全に遮断せずに、微小の電力を供給するようにしてもよい。さらに、電力供給制御部182による電力制御は、処理部単位で行う必要は無く、どのような単位で行うようにしてもよい。例えば、処理部の一部の電力供給を制御することもできる。
【0100】
タイマ172は、計時処理を行う。例えば、タイマ172は、電力供給設定部133に設定された時間を計時し、その時間が経過したことを電力管理部171に通知する。
【0101】
バッテリ部173は、電力を供給する通信装置101の電源である。バッテリ部173は、電力管理部171を介して通信装置101の各部に電力を供給するとともに、タイマ172にも電力を供給する。なお、タイマ172への電力供給は、電力管理部171を介して行うようにしてもよい。
【0102】
[ATIMウィンドウ開閉制御の説明]
次に、開閉制御部123によるATIMウィンドウの開閉制御について説明する。
【0103】
一般的なPSMの場合、図3を参照して説明したように、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが設けられる。つまり、ノードはデータ送受信の有無に関わらず、ビーコンインターバルの度に1度はアウェイク状態となる。
【0104】
データを送信するノードはATIMを送信する必要があるのでATIMウィンドウを開く(アウェイク状態となる)必要がある。しかしながら、送信するデータを有していないノード、すなわち、ATIMを受信する側のノードの場合、ATIMを受信しないのであればATIMウィンドウは不要である。
【0105】
一般的に、全てのノードがデータを常に送受信しているような場合は、稀である。多くの場合、アドホックネットワークの伝送路(すなわち、各ノード間)の一部においてのみデータの送受信が行われる。つまり、通常の場合、各ノードにおいて、データの送信も受信もしないビーコンインターバルが存在する。ネットワーク全体においてデータの伝送回数が少ないほど、このようなビーコンインターバルの数は増大する。
【0106】
このようなATIMを受信しないビーコンインターバルのATIMウィンドウは不要であり、無駄に電力を消費しているのみであるので、ネットワーク全体においてデータの送受信が疎である程、各ノードの不要な消費電力が増大することになる。換言すれば、この不要なATIMウィンドウを低減させることにより、ノードの消費電力を低減させることができる。
【0107】
しかしながら、ノードは、ATIMを受信するまで、通信可能範囲内のノードがデータを送信するか否かを把握することはできない。したがって、何の情報も無しに、不要なATIMウィンドウを完全に無くすことは困難である。
【0108】
ただし、データの送受信は、完全にランダムに行われるのではなく、送信元から送信先へデータが伝送されるように行われる。従って、一般的に、ネットワーク全体で見れば、データの流れに傾向がある場合が多い。このような傾向によって、例えば、データの送受信の回数が少ないノードと多いノードとが生じる場合がある。また、1つのノードであっても、データの送受信が多い時期と、少ない時期とが生じる場合がある。
【0109】
通信装置101の開閉制御部123は、このようなデータの送受信の傾向に応じてATIMウィンドウの回数を制御することにより、消費電力の更なる低減を図る。
【0110】
より具体的に説明すると、開閉制御部123は、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウを開く(アウェイク状態に遷移する)のではなく、データ受信回数(実際にはATIMの受信数)が多い場合、ATIMウィンドウの頻度を増大させ、データ受信回数が少ない場合、ATIMウィンドウの頻度を低減させる(ATIMウィンドウを開かないビーコンインターバルを増やす)。
【0111】
さらに具体的に説明する。開閉制御部123の電力供給設定部133は、アウェイクレベル設定部131により決定されたアウェイクレベルに応じて、ATIMウィンドウの開閉パターンを決定し、そのように動作するように電力供給制御部182やタイマ172の動作設定を行う。
【0112】
図5は、アウェイクレベル毎のATIMウィンドウの開閉パターンを説明する図である。
【0113】
ATIMウィンドウの制御は、連続する複数のビーコンインターバルよりなる制御区間毎に行われる。このATIMウィンドウの制御単位である制御区間の長さ(ビーコンインターバル数)を示す制御区間長Nは、任意である。以下においては、制御区間長N=3として説明する。すなわち、制御区間201は、ビーコンインターバル211乃至ビーコンインターバル213により構成され、制御区間202は、ビーコンインターバル214乃至ビーコンインターバル216により構成される。
【0114】
ATIMウィンドウ221乃至ATIMウィンドウ226は、ビーコンインターバル211乃至ビーコンインターバル216のそれぞれのATIMウィンドウを示す。
【0115】
アウェイクレベルが「1」である場合、矢印231および矢印234に示されるように、各制御区間の最初のビーコンインターバル(ビーコンインターバル211およびビーコンインターバル214)においてのみATIMウィンドウ(ATIMウィンドウ221およびATIMウィンドウ224)が開かれる。換言するに、その他のビーコンインターバル(ビーコンインターバル212およびビーコンインターバル213、並びに、ビーコンインターバル215およびビーコンインターバル216)においては、ATIMウィンドウは開かれず、スリープ状態が維持される。つまり、この場合、ATIMウィンドウ222、ATIMウィンドウ223、ATIMウィンドウ225、およびATIMウィンドウ226が省略される分、一般的なPSMの場合よりも消費電力が低減される。
【0116】
アウェイクレベルが「2」である場合、矢印232および矢印235に示されるように、各制御区間の最初のビーコンインターバル(ビーコンインターバル211およびビーコンインターバル214)と、その次のビーコンインターバル(ビーコンインターバル212およびビーコンインターバル215)のATIMウィンドウ(ATIMウィンドウ221およびATIMウィンドウ222、並びに、ATIMウィンドウ224およびATIMウィンドウ225)が開かれる。換言するに、各制御区間の最後のビーコンインターバル(ビーコンインターバル213およびビーコンインターバル216)においては、ATIMウィンドウは開かれず、スリープ状態が維持される。つまり、この場合、ATIMウィンドウ223およびATIMウィンドウ226が省略される分、一般的なPSMの場合よりも消費電力が低減される。
【0117】
アウェイクレベルが「3」である場合、矢印233および矢印236に示されるように、各制御区間の全てのビーコンインターバル(ビーコンインターバル211乃至ビーコンインターバル216)においてATIMウィンドウ(ATIMウィンドウ221乃至ATIMウィンドウ226)が開かれる。つまり、この場合、消費電力は、一般的なPSMの場合と同様である。
【0118】
アウェイクレベル設定部131は、ATIM受信数等に基づいて算出された判断値を求め、その判断値に基づいて、データの送受信の頻度が高い傾向にある場合、そのノードのアウェイクレベルを、ATIMウィンドウの頻度が高い「3」に設定する。
【0119】
また、アウェイクレベル設定部131は、データの送受信の頻度が中程度の傾向にある場合、そのノードのアウェイクレベルを、ATIMウィンドウの頻度が中程度の「2」に設定する。
【0120】
さらに、アウェイクレベル設定部131は、データの送受信の頻度が低い傾向にある場合、そのノードのアウェイクレベルを、ATIMウィンドウの頻度が低い「1」に設定する。
【0121】
データ送受信の頻度の傾向は、ノードの性能や役割、ネットワーク構成、データ伝送のパターン、およびそれらの時間的変化等、様々な要因に基づいて生じる。換言するに、データ送受信の頻度の傾向は、これらのようなネットワークの特性を示すとも言える。すなわち、アウェイクレベル設定部131は、アドホックネットワークシステム100の特性に応じてアウェイクレベルを設定し、ATIMウィンドウの開閉を制御する。
【0122】
単純にATIMウィンドウの頻度を低減させると、消費電力は低減されるものの、データ伝送の機会も低減される恐れがある。つまり、スループットが低減する恐れがある。しかしながら、以上のように制御することにより、データ送受信の傾向に応じて適切にATIMウィンドウの頻度を制御することができる。つまり、通信装置101は、スループットの低下を抑制しながら、消費電力を低減させることができる。
【0123】
なお、各アウェイクレベルにおけるATIMウィンドウのパターンは任意であり、図5に示される以外のパターンでATIMウィンドウを開閉させるようにしてもよい。例えば、N=6とし、図5において制御区間201と制御区間202が1つの制御区間であるとし、アウェイクレベル1の場合に、ATIMウィンドウ221およびATIMウィンドウ222が開かれ、アウェイクレベル2の場合に、ATIMウィンドウ221乃至ATIMウィンドウ224が開かれ、アウェイクレベル3の場合に、ATIMウィンドウ221乃至ATIMウィンドウ226が開かれるようにしてもよい。もちろん、これ以外のパターンであっても良い。また、アウェイクレベルの数も任意である。
【0124】
ただし、例えば、図5の矢印231乃至矢印236に示されるように、アウェイクレベルに関わらず、全ての通信装置101が、各制御区間の最初のビーコンインターバル(ビーコンインターバル211およびビーコンインターバル214)においてATIMウィンドウを開くようにしてもよい。このように、制御区間の一部のビーコンインターバルにおいて全てのノードがATIMウィンドウを開くようにすることにより、つまり制御区間内において、少なくとも1度は、全てのノードが同時にATIMウィンドウ中となるようにすることにより、ノード間でATIMウィンドウのタイミングが噛み合わない状態が続くことを抑制し、スループットの低下を抑制することができる。
【0125】
[処理の流れ]
次に、以上のようなATIMウィンドウの開閉制御の処理の流れについて説明する。
【0126】
アドホックモードによる通信を行う場合、送信すべきデータを保持していない通信装置101は、他の通信装置101から送信されるデータを受信するために、所定のタイミングでATIMウィンドウを開く。このとき、通信装置101は、開閉制御処理を実行し、ATIMウィンドウの開閉制御を行う。図6のフローチャートを参照して、開閉制御処理の流れの例を説明する。
【0127】
開閉制御処理が開始されると、ステップS101において、電力供給制御部182は、タイマ172の計時結果に従って、例えばビーコンインターバルの開始時刻等の所定時刻にATIMウィンドウを開始する。その直前において通信装置101がスリープ状態である場合、電力供給制御部182は、無線送受信部122等への電力の供給を開始する。つまり、通信装置101は、スリープ状態からアウェイク状態に遷移する。また、所定時刻の直前において通信装置101がアウェイク状態である場合、電力供給制御部182は、無線送受信部122等への電力の供給を維持する。つまり、通信装置101は、アウェイク状態を維持する。
【0128】
ステップS102において、無線送受信部122は、ATIMを監視し、ATIMを受信したらそれをアウェイクレベル設定部131や電力管理部171に供給する。アウェイクレベル設定部131のATIM受信数カウント部141は、無線送受信部122によるATIMの受信数をカウントする。
【0129】
ステップS103において、電力供給制御部182は、タイマ172の計時結果に従って、例えばビーコンインターバルの開始時刻から所定時間経過した所定時刻にATIMウィンドウを終了する。
【0130】
ここで、ステップS104において、判断値算出部142は、今回の判断値Dを算出する。例えば、判断値算出部142は、ATIM受信数カウント部141からカウント値、すなわち、今回のATIMウィンドウ中のATIM受信数Aを取得する。また、判断値算出部142は、閾値・重み供給部132に対して重み保持部152に保持されている重みαおよび重みβを要求し、取得する。さらに、判断値算出部142は、判断値保持部143に保持されている前回の判断値Dn−1を取得する。そして、判断値算出部142は、それらのATIM受信数A、重みαおよび重みβ、並びに、前回の判断値Dn−1に基づいて今回の判断値Dを、以下の式(1)を用いて算出する。
【0131】
【数1】

【0132】
式(1)において、重みαは、前回の判断値Dn−1の重みを示す。つまり、重みαは、過去のデータの送受信の傾向(アウェイクレベル)の影響の度合いを制御するパラメータである。これに対して、重みβは、ATIM受信数Aの重みを示す。つまり、重みβは、今回のATIM受信数の影響の度合いを制御するパラメータである。
【0133】
重みαの値が大きいほど、過去の状態(データ送受信の傾向)の影響を大きく受けることになる。つまり、データ送受信の傾向の変化に鈍感になり、アウェイクレベルが変化しづらくなる。これに対して、重みβの値が大きいほど、今回のATIM受信数の影響を大きく受けることになる。つまり、データ送受信の傾向の変化に敏感になり、アウェイクレベルが変化し易くなる。
【0134】
重みαと重みβの最適な値は、ネットワークの特性等によって異なる。なお、判断値の算出方法は、任意である。判断値算出部142は、上述した式(1)以外の式を用いて判断値を算出するようにしてもよい。ただし、上述した式(1)を用いることにより、過去の傾向や最近の状況変化量等を適切に判断値に反映させることができるので、判断値算出部142は、より多様なネットワークの特性に対して適切な判断値を算出することができる。
【0135】
以上のように再帰的な関数により今回の判断値が算出されると、ステップS105において、判断値保持部143は、ステップS104において算出された今回の判断値を保持する。また、ステップS106において、ATIM受信数カウント部141は、ATIM受信数を初期化する。例えば、ATIM受信数カウント部141は、カウント値を初期値である「0」にリセットする。
【0136】
ステップS107において、判定部181は、無線送受信部122より供給されるATIMに基づいて、今回のATIMウィンドウ中に無線送受信部122がATIMを受信したか否かを判定する。ATIMを受信したと判定された場合、通信装置101はビーコンインターバルの残りの期間中にデータの受信を行う必要がある。したがって、ATIMを受信したと判定された場合、ステップS108に進む。
【0137】
ステップS108において、電力供給制御部182は、データの受信を行うために、次のATIMウィンドウ(次のビーコンインターバル)まで、無線送受信部122等への電力の供給を継続し、アウェイク状態を維持する。ステップS108の処理を終了すると、開閉制御処理が終了される。
【0138】
この場合、通信装置101は、データを受信したので、次のビーコンインターバルにおいては、そのデータを送信するノードとして動作する。
【0139】
また、ステップS107において、ATIMウィンドウ中にATIMを受信していないと判定された場合、そのビーコンインターバルにおいては他の通信装置101からデータは送信されない。したがって、上述したようにネットワークの特性に従ってATIMウィンドウの開閉を制御するために、ステップS109に進む。
【0140】
ステップS109において、レベル決定部144は、判断値保持部143から(または判断値算出部142からでもよい)、ステップS104において算出された今回の判断値Dを取得する。また、レベル決定部144は、閾値・重み供給部132に対して閾値保持部151に保持されている閾値Sおよび閾値Sを要求し、取得する。そして、レベル決定部144は、それらの判断値D、並びに、閾値Sおよび閾値Sに基づいて、以下の式(2)を用いてアウェイクレベルを決定する。
【0141】
【数2】

【0142】
つまり、今回の判断値Dが閾値Sより小さい場合、アウェイクレベルは「1」に設定される。また、今回の判断値Dが、閾値S以上であり、かつ、閾値S以下である場合、アウェイクレベルは「2」に設定される。さらに、今回の判断値Dが閾値Sより大きい場合、アウェイクレベルは「3」に設定される。
【0143】
閾値Sおよび閾値Sの値は、正数であれば任意である。これらの最適な値は、ネットワークの特性等によって異なる。
【0144】
以上のように、レベル決定部144は、判断値Dの値の大きさによってアウェイクレベルを決定する。式(1)に示されるように、判断値Dの値は、ATIM受信数が多いほど、大きくなる。つまり、データ送受信の頻度が高いノード(通信装置101)程、アウェイクレベルが高く設定される。
【0145】
アウェイクレベルが決定されると、ステップS110において、電力供給設定部133は、電力供給設定を行う。電力供給設定処理の詳細については後述する。
【0146】
電力供給設定が終了すると、ステップS111において、電力供給制御部182は、その電力供給設定に従って、無線送受信部122等への電力供給を遮断し、アウェイク状態からスリープ状態に遷移し、次のATIMウィンドウまでスリープ状態を維持する。ステップS111の処理を終了すると、開閉制御処理が終了される。
【0147】
この場合、データは受信されないので、通信装置101は、次のビーコンインターバルにおいてもデータを受信するノードとして動作する。つまり、通信装置101は、次にATIMウィンドウを開くビーコンインターバルにおいて、この開閉制御処理を実行する。
【0148】
次に、図7のフローチャートを参照して、図6のステップS110において実行される電力供給設定処理の流れの例を説明する。
【0149】
電力供給設定処理が開始されると、電力供給設定部133は、まず、制御区間長供給部134に対して、制御区間長保持部161に保持されている制御区間長Nを要求し、取得する。また、電力供給設定部133は、ビーコンインターバルカウント部135に対してカウント値を要求し、取得する。
【0150】
ステップS131において、電力供給設定部133は、ビーコンインターバルカウント部135より取得したカウント値等に基づいて、今回のビーコンインターバルが、制御区間の1回目のビーコンインターバルであるか否かを判定する。
【0151】
図5を参照して説明したように、アウェイクレベル1乃至アウェイクレベル3のいずれの場合においても1回目のビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが開かれる。そこで、1回目のビーコンインターバルであると判定された場合、ステップS132に進む。
【0152】
ステップS132において、電力供給設定部133は、図6のステップS109において決定されたアウェイクレベルが「1」であるか否かを判定する。アウェイクレベルが「1」であると判定された場合、ステップS133に進む。
【0153】
図5に示されるように、アウェイクレベル1の場合、制御区間の最初のビーコンインターバルのみATIMウィンドウが開かれる。したがって、ステップS133において、電力供給設定部133は、次のATIMウィンドウを現在から3回目のビーコンインターバル(次の次の次のビーコンインターバル)に決定する。この場合、図6を参照して説明したように(ステップS111)、次のATIMウィンドウまでの期間(今回のビーコンインターバルの残りの期間と2回のビーコンインターバル中)は全てスリープ状態が維持される。
【0154】
また、ステップS132において、アウェイクレベルが「1」でないと判定された場合、ステップS134に進む。図5を参照して説明したように、アウェイクレベル2またはアウェイクレベル3の場合、制御区間の2回目のビーコンインターバルにおいてもATIMウィンドウが開かれる。
【0155】
そこで、ステップS134において、電力供給設定部133は、次のATIMウィンドウを次のビーコンインターバルに決定する。この場合、図6を参照して説明したように(ステップS111)、次のATIMウィンドウまでの期間(今回のビーコンインターバルの残りの期間)は全てスリープ状態が維持される。
【0156】
また、ステップS131において、1回目のビーコンインターバルではないと判定された場合、ステップS135に進む。
【0157】
ステップS135において、電力供給設定部133は、ビーコンインターバルカウント部135より取得したカウント値等に基づいて、今回のビーコンインターバルが、制御区間の2回目のビーコンインターバルであるか否かを判定する。
【0158】
図5を参照して説明したように、2回目のビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが開かれるのは、アウェイクレベルが「2」または「3」の場合である。そこで、2回目のビーコンインターバルであると判定された場合、ステップS136に進む。
【0159】
ステップS136において、電力供給設定部133は、図6のステップS109において決定されたアウェイクレベルが「2」であるか否かを判定する。アウェイクレベルが「2」であると判定された場合、ステップS137に進む。
【0160】
図5に示されるように、アウェイクレベル2の場合、制御区間の最後のビーコンインターバルにおいては、ATIMウィンドウが開かれない。したがって、ステップS137において、電力供給設定部133は、次のATIMウィンドウを現在から2回目のビーコンインターバル(次の次のビーコンインターバル)に決定する。この場合、図6を参照して説明したように(ステップS111)、次のATIMウィンドウまでの期間(今回のビーコンインターバルの残りの期間とその次のビーコンインターバル中)は全てスリープ状態が維持される。
【0161】
また、ステップS136において、アウェイクレベルが「2」ではない、すなわち、アウェイクレベル3であると判定された場合、ステップS134に進む。図5を参照して説明したように、アウェイクレベル3の場合、制御区間の最後のビーコンインターバルにおいてもATIMウィンドウが開かれる。
【0162】
そこで、上述したように、電力供給設定部133は、ステップS134において、次のATIMウィンドウを次のビーコンインターバルに決定する。
【0163】
また、ステップS135において、2回目のビーコンインターバルでない、すなわち、3回目のビーコンインターバルであると判定された場合、ステップS134に進む。図5を参照して説明したように、3回目のビーコンインターバルが制御区間の最後のビーコンインターバルである。また、この3回目のビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが開かれるのは、アウェイクレベル3の場合のみである。そこで、上述したように、電力供給設定部133は、ステップS134において、次のATIMウィンドウを次のビーコンインターバルに決定する。
【0164】
ステップS133、ステップS134、またはステップS137の処理が終了すると、ステップS138に進む。
【0165】
ステップS138において、電力供給設定部133は、ステップS133、ステップS134、またはステップS137における決定に従って、電力管理部171およびタイマ172の動作設定を行う。つまり、電力供給設定部133は、次のATIMウィンドウまでの時間を計時するようにタイマ172を設定し、通信装置101が次のATIMウィンドウまでの期間スリープ状態を維持し、次のATIMウィンドウ開始の時刻においてアウェイク状態に遷移するように電力管理部171を設定する。
【0166】
ステップS138の処理が終了すると、電力供給設定処理が終了され、図6のステップS110に戻り、ステップS111以降の処理が行われる。
【0167】
以上のように、ATIMウィンドウの開閉を制御することにより、通信装置101は、スループットの低下を抑制しながら、消費電力を低減させることができる。
【0168】
[シミュレーション]
次に、このようなATIMウィンドウの開閉制御のシミュレーションについて説明する。
【0169】
シミュレーションは、ネットワークシミュレータQualNet(ver4.5)を用いて行う。ノードはシングルホップにするため、すべてのノードが無線通信可能な範囲に収まるように200m×200mの範囲に移動しない固定ノードを30個配置する。また、シミュレーション時間は300sとし、ビーコンインターバル(beacon interval)を100msとし、ATIMウィンドウの長さを30msとする。さらに、ルーティングプロトコルは各ノードがデータをブロードキャストすることによって情報交換を行うBellman Fordを使用した。
【0170】
ビーコンと同期してCBR(Constant Bit Rate)パケットの通信をランダムに行うものとする。設定した値が取りうる範囲を図8Aに示す。通信実行ノード数は15組とし、PSMで動作する比較的通信頻度が低いネットワークとする。CBRパケットの通信は送信ノードと受信ノードの組を決め、送信ノードは受信ノードに送信開始時刻から送信時間の間、パケット送信間隔ごとに、送信パケット数がなくなるまでパケットを受信ノードに送信する。送信パケット数すべての送信が終わる前に送信時間が終わってしまった場合、未送信パケットは送信できない。
【0171】
各状態における電力消費を図8Bに示す.アウェイク状態は、データの転送を行う状態であるTransmit mode、データを受信する状態であるReceive mode、および、受信も送信もしていないがアウェイク状態であり無駄に電力を消費してしまっているIdle modeの3つに分けられる。これに対して、スリープ状態(Sleep mode)の消費電力は、4.5mWと、100mW以上のアウェイク状態に比べて大幅に少ない。
【0172】
なお、制御区間長N=3とする。各アウェイクレベルのATIMウィンドウのパターンは、図5を参照して説明したパターンと同様である。シミュレーションにおいては、この制御手法を適用する場合と、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウを開く場合と、ビーコンインターバルの長さが3倍である場合とを比較する。
【0173】
次に、重みα、重みβ、閾値S、および閾値Sの値を決定する。上述した設定条件に従ってランダムな値を設定した1つの通信環境を作成し、シミュレーションに参加する全ノードで共通の最も電力消費が少ない閾値と重みの値を決定する実験を行った。
【0174】
初めに重みαを決定する。重みβ=8とし、閾値S=0.1とし、閾値S=1とし、重みαを変動させた結果を図9Aのグラフに示す。重みαと重みβは、ATIMの受信数(つまりノードの通信頻度)によりATIMウィンドウを開く回数を決める値である。式(1)によると、重みαや重みβの値が大きい程、ATIMウィンドウの頻度が高くなる期間が長くなる。逆に、これらの値が小さい程、より早期にATIMウィンドウを開く回数が少なくなるように制御される。
【0175】
つまり、一般的に、重みαや重みβの値を小さくすることにより、ATIMウィンドウが開かれにくくなり、アウェイク状態に遷移する頻度が低減するので、スリープ状態が長期化し、消費電力が抑制される。しかしながら、重みαや重みβの値が小さすぎると、送信要求先のノードがスリープ状態である可能性が高くなる。この場合、データの送受信が不可能となるので、データを送信するノードがATIMウィンドウを開く回数が増大する。これによりデータを送信するノードの消費電力が増加してしまう恐れがあった。
【0176】
なお、重みαの値が「1」である場合、アウェイクレベルは最終的に「3」に収束し、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが開かれるようになる。つまり、一般的なPSMの場合と同様になる。
【0177】
これに対して、重みαの値が「0」である場合、アウェイクレベルは最終的に「1」に収束する。つまり、ビーコンインターバル3回に1回、ATIMウィンドウが開かれるようになる。つまり、ビーコンインターバルの長さを3倍にした場合の一般的なPSMと同様になる。
【0178】
このシミュレーションにおいては、比較的通信頻度が低い環境でPSM が動作するよう設定してある。したがって、データを受信するノードの、スリープ状態である期間の増加による消費電力の減少が、データを送信するノードの、送信ミスによる送信試行回数の増加によっての消費電力の増大よりも勝るため、上述した制御手法の方が、一般的なPSMよりも、消費電力は低減される。
【0179】
重みαの値に応じて、消費電力は図9Aのグラフに示されるように変化する。したがって、重みαの値は、最も消費電力が抑えられるときの「0.3」とする。
【0180】
次に、重みα=0.3とし、閾値S=0.1とし、閾値S=1とするときの、重みβの値に応じた消費電力を図9Bのグラフに示す。
【0181】
なお、重みβの値が「0」の場合、アウェイクレベルは最終的に「1」に収束し、ビーコンインターバル3回に1回、ATIMウィンドウが開かれるようになる。つまり、ビーコンインターバルの長さを3倍にした場合の一般的なPSMと同様になる。
【0182】
図9Bに示されるように、重みβの値が「3」である場合、最も消費電力を抑制される。従って、重みβの値を「3」とする。
【0183】
次に重みα=0.3とし、重みβ=3とし、閾値S=1とするときの、閾値Sの値に応じた消費電力を図10Aのグラフに示す。なお、閾値Sと閾値Sは、判断値Dから、3回のビーコンインターバル中に何度ATIMウィンドウを開くかを表すアウェイクレベルを決定するための閾値である。閾値S=0のときはアウェイクレベル1の設定が存在しない(全てのノードが、アウェイクレベル2またはアウェイクレベル3に設定される)。したがって、この場合、アウェイクレベル1乃至アウェイクレベル3の設定が全て存在する場合よりも、ネットワーク全体の消費電力は増大する。
【0184】
図10Aに示されるように、消費電力は、閾値S=0.075のときに最も抑制されるので、閾値Sの値を「0.075」とする。
【0185】
最後に閾値Sを求める。重みα=0.3とし、重みβ=3とし、閾値S=0.075とするときの、閾値Sの値に応じた消費電力を図10Bのグラフに示す。なお、閾値S=0.075、つまり閾値S=閾値Sである場合、アウェイクレベル2の設定が存在しない。したがって、消費電力は大きい。図10Bに示されるように、消費電力は、閾値S=1のときに最も抑制されるので、閾値S2の値を「1」とする。
【0186】
上述したネットワークの特性に応じてATIMウィンドウの開閉を制御する手法(proposed)と、その手法とビーコンインターバルの長さが同一であるときの一般的なPSMの手法(802.11)と、ビーコンインターバルの長さが3倍であるときの一般的なPSMの手法(Interval*3)とのそれぞれの場合におけるATIMウィンドウパターンを図11に示す。
【0187】
図11に示されるように、制御区間301は、ビーコンインターバル311乃至ビーコンインターバル313よりなり、制御区間302は、ビーコンインターバル314乃至ビーコンインターバル316よりなるとする。
【0188】
第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合、ATIMウィンドウ321乃至ATIMウィンドウ326のように、全てのビーコンインターバルにおいてATIMウィンドウが開かれる。また、第2の一般的なPSMの手法(Interval*3)の場合、ATIMウィンドウ331およびATIMウィンドウ332のように、ビーコンインターバル3回毎に1回、ATIMウィンドウが開かれる。
【0189】
さらに、ネットワークの特性に応じてATIMウィンドウの開閉を制御する本手法(proposed)の場合、ATIMウィンドウ341乃至ATIMウィンドウ346が、図5等を参照して上述したように、アウェイクレベルに応じて開かれる。
【0190】
上述したように、最終的な重みと閾値の値は、重みα=0.3、重みβ=3、閾値S=0.075、閾値S=1となった。図12は、この場合のシミュレーション結果の例を説明する図である。
【0191】
図12Aは、各手法の消費電力の比較を示す図であり、図12Bは、各手法のスループットの比較を示す図である。図12Aに示されるように、消費電力は、第2の一般的なPSMの手法(Interval*3)の場合が最も低く、第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合の約37%削減される。これに対して本手法の消費電力は、第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合と比較して約30%削減されている程度であり、第2の一般的なPSMの手法(Interval*3)の場合よりも大きい。
【0192】
ただし、図12Bに示されるように、第2の一般的なPSMの手法(Interval*3)の場合、スループットが大幅に低下し、第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合よりも約33%低下する。これに対して本手法の場合、スループットは、第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合よりも約2%低減する程度である。
【0193】
このように、本手法の場合、第1の一般的なPSMの手法(802.11)の場合と比較して、スループットの低減を約2%に抑制しながら、消費電力を約30%削減することができる。
【0194】
以上のように、通信装置101は、スループットの低下を抑制しながら、消費電力を抑制することができる。なお、図4において、無線送受信部122は、送信部と受信部を別体としても良い。つまり、送信部に対する電源供給制御と、受信部に対する電源供給制御を互いに異なるようにしてもよい。
【0195】
また、以上においては、連続する複数のビーコンインターバルからなる制御区間に対するATIMウィンドウの回数を制御するように説明したが、これに限らず、制御区間を1回のビーコンインターバルとし、1回のビーコンインターバル中に複数回ATIMウィンドウを開くことが出来るようにし、その1回のビーコンインターバル中のATIMウィンドウの回数を制御するようにしてもよい。例えば、図5において、制御区間201や制御区間202がそれぞれビーコンインターバルとし、その中でATIMウィンドウを何回設けるかが、アウェイクレベルに応じて制御されるようにしてもよい。その場合の制御方法は、制御を行う単位(例えば期間の名称)等が変化するだけで、基本的に上述した場合と同様に行うことができる。
【0196】
つまり、この場合も各ビーコンインターバル中において、全てのノードがATIMウィンドウ中となるタイミングが少なくとも1回は設けられるようにするのが望ましい。
【0197】
<2.第2の実施の形態>
[デバイスの構成]
また、第1の実施の形態においては、重みα、重みβ、閾値S、閾値S、および制御区間長Nの各パラメータが予め設定されているように説明したが、例えば、ユーザの指示や通信状況に応じて可変であるようにしてもよい。
【0198】
図13は、図1の通信装置の他の構成例を示すブロック図である。図13に示される通信装置401は、図4の通信装置101に対応し、通信装置101と基本的に同様の構成を有する。
【0199】
ただし、図13の通信装置401は、通信装置101の開閉制御部123の代わりに開閉制御部423を有する。また、通信装置401は、さらに、入力部425を有する。入力部425は、ユーザからの指示を受け付ける、例えばボタンやスイッチ等のユーザインタフェースである。入力部425は、受け付けたユーザ指示を開閉制御部423に供給する。
【0200】
開閉制御部423は、基本的に開閉制御部123と同様の構成を有する。ただし、開閉制御部423は、閾値・重み供給部132の代わりに、閾値・重み供給部432を有し、制御区間長供給部134の代わりに制御区間長供給部434を有する。
【0201】
閾値・重み供給部432は、閾値保持部151および重み保持部152の他に、さらに、閾値設定部451および重み設定部452を有する。
【0202】
無線送受信部122は、例えば受信したATIM等、通信状況を表すパラメータとなる情報を、閾値・重み供給部432および制御区間長供給部434に供給する。
【0203】
閾値設定部451は、無線送受信部122から供給される情報や、入力部425より供給されるユーザ指示に基づいて、閾値Sおよび閾値Sを通信状況に応じた最適な値に設定する。例えば、閾値設定部451は、無線送受信部122から供給される情報や、入力部425より供給されるユーザ指示に基づいて、図10Aや図10Bに示されるようなグラフを生成し、消費電力が最も低くなるように、閾値Sおよび閾値Sを設定する。閾値保持部151は、閾値設定部451により設定された閾値Sおよび閾値Sの値を保持する。
【0204】
重み設定部452は、無線送受信部122から供給される情報や、入力部425より供給されるユーザ指示に基づいて、重みαおよび重みβを通信状況に応じた最適な値に設定する。例えば、重み設定部452は、無線送受信部122から供給される情報や、入力部425より供給されるユーザ指示に基づいて、図9Aや図9Bに示されるようなグラフを生成し、消費電力が最も低くなるように、重みαおよび重みβを設定する。重み保持部152は、重み設定部452により設定された重みαおよび重みβの値を保持する。
【0205】
制御区間長供給部434は、制御区間長保持部161の他に、さらに、制御区間長設定部461を有する。
【0206】
制御区間長設定部461は、無線送受信部122から供給される情報や、入力部425より供給されるユーザ指示に基づいて、制御区間長Nを通信状況に応じた最適な値に設定する。制御区間長保持部161は、制御区間長設定部461により設定された制御区間長Nの値を保持する。各アウェイクレベルのATIMウィンドウパターンは、例えば電力供給設定部133により、この制御区間長Nの値に応じて設定される。
【0207】
判断値算出部142、レベル決定部144、および電力供給設定部133は、このように設定された各種パラメータを用いて各種処理を行う。それぞれの処理内容は第1の実施の形態で説明した場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0208】
このように、各パラメータを可変とすることにより、通信装置101は、ネットワークの特性に対してより適切なATIMウィンドウの制御を行うことができる。つまり、通信装置101は、より適切に、スループットの低下を抑制しながら消費電力の低減させることができる。
【0209】
<3.第3の実施の形態>
[パーソナルコンピュータ]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図14に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0210】
図14において、パーソナルコンピュータ500のCPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502に記憶されているプログラム、または記憶部513からRAM(Random Access Memory)503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM503にはまた、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0211】
CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504を介して相互に接続されている。このバス504にはまた、入出力インタフェース510も接続されている。
【0212】
入出力インタフェース510には、キーボード、マウスなどよりなる入力部511、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部512、ハードディスクなどより構成される記憶部513、モデムなどより構成される通信部514が接続されている。通信部514は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0213】
入出力インタフェース510にはまた、必要に応じてドライブ515が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア521が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部513にインストールされる。
【0214】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0215】
この記録媒体は、例えば、図14に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア521により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM502や、記憶部513に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0216】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0217】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0218】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
【0219】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0220】
100 アドホックネットワークシステム, 101 通信装置, 122 無線送受信部, 123 開閉制御部, 124 電力供給部, 131 アウェイクレベル設定部, 132 閾値・重み供給部, 133 電力供給設定部, 134 制御区間長供給部, 135 ビーコンインターバルカウント部, 141 ATIM受信数カウント部, 142 判断値算出部, 143 判断値保持部, 144 レベル決定部, 151 閾値保持部, 152 重み保持部, 161 制御区間長保持部, 171 電力管理部, 172 タイマ, 173 バッテリ部, 181 判定部, 182 電力供給制御部, 401 通信装置, 423 開閉制御部, 425 入力部, 432 閾値・重み供給部, 434 制御区間長供給部, 451 閾値設定部, 452 重み設定部, 461 制御区間長設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の情報処理装置とデータを送受信する情報処理装置であって、
前記他の情報処理装置と通信を行う通信手段と、
前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段と、
前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行う動作設定手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、過去の前記判断値と所定の第1の重み係数との乗算結果と、前記受信数と所定の第2の重み係数との乗算結果とを加算して、前記判断値を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の重み係数および前記第2の重み係数を設定する重み設定手段をさらに備える
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記判断値を所定の第1の閾値および第2の閾値と比較して、前記予告期間の頻度をレベル分けして表すアウェイクレベルを決定し、
前記動作設定手段は、前記決定手段により決定された前記アウェイクレベル毎に決められた前記パターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の閾値および前記第2の閾値を設定する閾値設定手段をさらに備える
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記動作設定手段は、前記予告期間中に前記送信予告信号が受信されていない場合、次の前記予告期間まで間、前記情報処理装置の動作状態を、前記データの送受信が不可能なスリープ状態とし、前記予告期間中に前記送信予告信号が受信された場合、次の前記予告期間まで間、前記情報処理装置の動作状態を前記アウェイク状態とする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御期間の長さを設定する制御期間長設定手段をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通信手段は、前記他の情報処理装置とアドホックモードにより通信を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通信手段は、前記他の情報処理装置と無線通信を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
他の情報処理装置とデータを送受信する情報処理装置の情報処理方法であって、
算出手段が、前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出し、
決定手段が、算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定し、
動作設定手段が、決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段の動作設定を行う
情報処理方法。
【請求項11】
他の情報処理装置とデータを送受信するコンピュータを、
前記他の情報処理装置と通信を行う通信手段、
前記情報処理装置内の電力供給を制御する制御手段、
前記データの送信を予告する送信予告信号の受信数を用いて、前記通信手段による前記データ送受信の頻度の傾向を示す判断値を算出する算出手段、
前記算出手段により算出される前記判断値に基づいて、前記送信予告信号を受信するための期間であって、前記情報処理装置の動作状態が、前記データの送受信が可能なアウェイク状態となる予告期間の頻度を決定する決定手段、
前記決定手段により決定された前記予告期間の頻度に応じて、所定の制御期間内において少なくとも1回は全ての情報処理装置が同時に前記予告期間となるように予め定められた所定のパターンに従って、次の前記予告期間までの、前記制御手段の動作設定を行う動作設定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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