説明

情報処理装置および方法、並びに記録媒体

【課題】データの記録方式などが用途に応じて最適になるようにする。
【解決手段】記録媒体に記録されるデータの特性であって、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置および方法、並びに記録媒体に関し、特に、データの記録方式などが用途に応じて最適になるようにすることができるようにする情報処理装置および方法、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレージの物理的な容量は、微細化、高密度化によって増加しているが、その一方で、容量の増加に伴いエラーレートが増大し、ストレージの寿命が短くなっている。それを補うために、例えば、エラー訂正、冗長化などの対策をとる必要があり実際に使用できる容量を増やすのが難しくなっている。
【0003】
また、従来のストレージでは、読み書きの際に、どのような性質のデータがどの程度読み書きされるのか知ることができないために、性能、品質保証などに関する設計では、すべての場合の最悪値を考慮する必要がある。
【0004】
また、データの記録方式として、MLC方式とSLC方式の2方式を併用するとともに、記録データがファイルシステムデータであるか否かなど、記録データの種類に応じて記録方式の変更を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。SLC(Single Level Cell)は、1つのセルに1ビットデータを記録する方式とされ、MLC(Multi Level Cell)は、1つのセルに複数ビットデータを記録する方式とされる。この場合、FATなど更新頻度の高い部分にSLC方式が採用される。これにより、記録容量の増加を実現し、かつメモリ寿命の長期化が実現できる。
【0005】
さらに、消費電力は少ないが書込み性能やデバイス寿命が短い記憶デバイスを混在させ、それら複数の記憶階層を好適に制御し、データの属性やボリュームに指定されるポリシーに対応した記憶階層を割り当て、低消費電力で性能低下の少ないストレージを実現することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、デバイスへの書込み回数や消去回数などの寿命に影響あるパラメータと装置内の消費電力を管理し、記憶階層の移行が好適に制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−198407号公報
【特許文献2】特開2007−115232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年では、デジタルカメラ、携帯型オーディオプレーヤなどの電子機器に加えてスマートフォンも普及してきており、各電子機器でのストレージの容量拡大は、近年益々重要な課題となっている。
【0008】
このため、より一層の工夫が求められるところであるが、例えば、特許文献1の技術では、記録方式の選択に際して更新頻度しか考慮されていなかった。また、特許文献2の技術は、HDDと不揮発メモリを組み合わせることが前提となっており、適用範囲が限定される。また、エラー許容度や寿命までは考慮されていなかった。
【0009】
本技術はこのような状況に鑑みて開示するものであり、データの記録方式などが用途に応じて最適になるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の第1の側面は、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部とを備える情報処理装置である。
【0011】
前記記録媒体に記録されるデータの特性は、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性であるようにすることができる。
【0012】
前記記録方式決定部は、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を特定するためのパラメータであって、SLC/MLCの別を判定する識別子、エラー訂正能力の強度、および書き込み平準化冗長度を含むパラメータを決定するようにすることができる。
【0013】
前記記録方式決定部は、前記エラーレートが0を超える値となるデータを記録するための記録領域を、少なくとも1つ生成するようにすることができる。
【0014】
前記論理デバイス初期化部は、ファイルシステムのメタデータを記録するための領域として、SLC(Single Level Cell)方式の記録方式が適用される記録領域を、少なくとも1つ初期化するようにすることができる。
【0015】
本技術の一側面は、記録方式決定部が、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定し、論理デバイス初期化部が、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化するステップを含む情報処理方法である。
【0016】
本技術の一側面は、コンピュータを、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部とを備える情報処理装置として機能させるプログラムが記録されている記録媒体である。
【0017】
本技術の第1の側面においては、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式が決定され、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれが初期化される。
【0018】
本技術の第2の側面は、記録媒体に記録されるデータの特性であって、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性に基づいて、前記データの前記記録媒体への記録方式を決定する記録方式決定部と、前記論理デバイスの記録領域の複数の記録領域のうち、前記決定された記録方式に対応する記録領域に、前記データを記録する記録実行部とを備える情報処理装置である。
【0019】
本技術の第2の側面においては、記録媒体に記録されるデータの特性であって、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性に基づいて、前記データの前記記録媒体への記録方式が決定され、前記論理デバイスの記録領域の複数の記録領域のうち、前記決定された記録方式に対応する記録領域に、前記データが記録される。
【0020】
本技術の第3の側面は、記録媒体に記録されたデータの読み出し要求が、当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性を表す情報とともに取得されたか否かを判定する要求判定部と、前記データの読み出し要求が取得されたと判定された場合、前記記録媒体の中の複数の記録領域のうち、前記データの特性に対応する記録領域を特定する記録領域特定部と、前記特定された記録領域から前記データを読み出す読み出し部と、前記読み出されたデータのエラーの有無を判定するエラー判定部と、前記読み出されたデータにエラーがあったと判定された場合、前記データが読み出された記録領域が、前記データの読み出し時のリトライが必要となる記録領域であるか否かを判定するリトライ判定部と、前記データが、前記リトライが必要となる記録領域から読み出されたものである場合、前記記録領域から再度前記データを読み出す再読み出し部とを備える情報処理装置である。
【0021】
本技術の第3の側面においては、記録媒体に記録されたデータの読み出し要求が、当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性を表す情報とともに取得されたか否かが判定され、前記データの読み出し要求が取得されたと判定された場合、前記記録媒体の中の複数の記録領域のうち、前記データの特性に対応する記録領域が特定され、前記特定された記録領域から前記データが読み出され、前記読み出されたデータのエラーの有無が判定され、前記読み出されたデータにエラーがあったと判定された場合、前記データが読み出された記録領域が、前記データの読み出し時のリトライが必要となる記録領域であるか否かが判定され、前記データが、前記リトライが必要となる記録領域から読み出されたものである場合、前記記録領域から再度前記データが読み出される。
【発明の効果】
【0022】
本技術によれば、データの記録方式などが用途に応じて最適になるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本技術を適用した電子機器の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。
【図2】ストレージに記録されるデータの種類、および、データの種類に応じた特性を説明する図である。
【図3】ストレージの記録方式の分類を説明する図である。
【図4】図1のCPUにより実行されるプログラムなどのソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。
【図5】ストレージフォーマット処理の例を説明するフローチャートである。
【図6】論理デバイス初期化処理の例を説明するフローチャートである。
【図7】ファイル書き込み処理の例を説明するフローチャートである。
【図8】ファイル読み出し処理の例を説明するフローチャートである。
【図9】本技術を適用した電子機器の別の構成例を示すブロック図である。
【図10】本技術を適用した電子機器のさらに別の構成例を示すブロック図である。
【図11】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、ここで開示する技術の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本技術を適用した電子機器の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。同図の例では、電子機器10において、CPU21、ストレージ22、およびメインメモリ23がバス31を介して接続されている。
【0026】
電子機器10は、例えば、デジタルカメラ、音楽プレーヤなどとして構成され、必要に応じてネットワークに接続するための機能なども有する構成とされる。ストレージ22は、例えば、フラッシュメモリなどの記録媒体により構成される論理デバイスとされる。ストレージ22には、例えば、ゲームやツールなどの各種のアプリケーションプログラムのデータ、電子機器10のデジタルカメラ機能を用いて撮影された画像のデータ、音楽プレーヤ機能を用いて再生するための楽曲のデータなどが記録される。
【0027】
本技術では、例えば、ストレージ22に記録されるデータの種類に応じて、ストレージ22のデータの記録方式が設定されるようになされている。
【0028】
図2は、ストレージ22に記録されるデータの種類、および、データの種類に応じた特性を説明する図である。図2では、図中縦方向にデータの種類が示されており、図中横方向にデータの特性が示された表が記載されている。
【0029】
図2の例では、(1)乃至(8)の8個の種類のデータが記載されている。第1番目の種類のデータは、「FS(File System)メタデータ」とされる。これは、ファイルシステムのデータの一部として記録されるメタデータである。
【0030】
第2番目の種類のデータは、「プログラム」とされる。これは、例えば、電子機器10において実行されるゲームやツールなどの各種のアプリケーションプログラムのデータとされる。
【0031】
第3番目の種類のデータは、「ワークファイル」とされる。これは、例えば、一時的にストレージ22に作成されるファイルなどで、作業が終了した後は消去されるデータとされる。
【0032】
第4番目の種類のデータは、「静止画」とされる。これは、例えば、電子機器10のデジタルカメラ機能を用いて撮影された静止画像のデータなどとされる。
【0033】
第5番目の種類のデータは、「動画、音楽、所定のメタデータ」とされる。「動画、音楽」は、例えば、MPEG2方式で符号化された動画、音楽などのデータであって、再生時の補正が許容されないデータとされる。「所定のメタデータ」は、例えば、MPEG4方式で符号化された動画、音楽などのデータのうちのメタデータとされる。
【0034】
第6番目の種類のデータは、「訂正つき動画データ、補正可能データ」とされる。「訂正つき動画データ」は、例えば、MPEG4方式で符号化された動画、音楽などのデータのうちのメタデータを除いたデータとされる。「補正可能データ」は、例えば、MPEG2方式で符号化された動画、音楽などのデータであって、再生時の補正が許容されるデータとされる。
【0035】
第7番目の種類のデータは、「電源OFF時状態保存ファイル」とされる。これは、例えば、電子機器10の電源がOFFされた後、再度、電源がONされたときに参照される情報などが記述されたデータとされる。
【0036】
第8番目の種類のデータは、「キャッシュデータ」とされる。これは、例えば、閲覧したWebページを一時的に保存したり、EPG(Electronic Program Guide)のデータなどを保存するものとされる。
【0037】
図2の表では、データの特性として7種類の項目が示されている。すなわち、データの特性として、「確保優先度」、「必要領域」、「書き換え回数」、「書き込みデータ量」、「寿命・エラーレート」、「読み出し速度」、「書き込み速度」が示されている。
【0038】
「確保優先度」は、ストレージ22の中で当該データを記録する領域を確保する優先度を表す値とされる。この例では、各データの種類に対応して1乃至6の優先度が設定され、優先度の値が小さいほど優先度が高くなるようになされている。ストレージ22の中で当該データの記録領域を割り当てる際に、優先度の高いデータ(「確保優先度」の値が小さい)の記録領域が優先的に割り当てられるようになされている。例えば、後述する必要領域の総和がストレージ22の総記録容量を上回る場合、優先度の低いデータの必要領域が減じられるようになされている。
【0039】
「必要領域」は、当該データの記録領域として割り当てるべき記録容量を表すものとされる。例えば、当該データの記録領域として割り当てるべき記録容量の大きさを、「大」、「中」、「小」の3段階に分類し、所定の必要領域が数値として設定される。
【0040】
「書き換え回数」は、当該データがどの程度、書き換えられるものであるかを表す情報とされる。この例では、データの書き換え回数が多い順に、「多い」、「電源を切る都度」、「数回」、「一度」に分類されている。「書き換え回数」として、これらの分類に従って、所定の数値が設定される。
【0041】
「書き込みデータ量」は、当該データが書き込まれる総量を表す情報とされる。例えば、各データの書き込み総量が、図中で示されるように想定され、実際には、所定の数値が設定される。
【0042】
「寿命・エラーレート」は、当該データがストレージ22に記録された場合、その記録領域に求められる寿命(記録内容の保持期間)、および、エラーレート(その記録領域に記録されたデータを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合)を表す情報とされる。
【0043】
この例では、各データの種類に応じた「寿命」として「10年」、「3年」、「1年」が設定されている。また、各データの種類に応じた「エラーレート」として「エラー不可」、「エラー可」が設定される。ここで、「エラー不可」は、その記録領域に設定された寿命の期間中のエラーレートの値が0であることを意味し、「エラー可」は、その記録領域に設定された寿命の期間中のエラーレートの値が0を超えるであることを意味する。なお、実際の「寿命」と「エラーレート」は、所定の数値が設定されるようになされている。
【0044】
「読み出し速度」は、当該データに求められる読み出し速度を表す情報とされる。例えば、各データの読み出し速度が、図中で示されるように想定され、実際には、所定の数値が設定される。
【0045】
「書き込み速度」は、当該データに求められる書き込み速度を表す情報とされる。例えば、各データの書き込み速度が、図中で示されるように想定され、実際には、所定の数値が設定される。
【0046】
なお、ストレージ22に記録されるデータの種類が他にもある場合、そのデータについても同様に特性として7種類の項目が記述されることになる。
【0047】
本技術では、例えば、図2に示される表の情報に基づいて、ストレージ22の記録方式を図3に示されるように分類する。図3は、ストレージ22の記録方式の分類を説明する図である。
【0048】
図3の例では、ストレージ22の記録方式がA乃至Eの5つの記録方式に分類されている。図中において、(効率5)、(効率4)、・・・、(効率1)との記載により、当該記録方式におけるデータの記録効率(例えば、単位面積あたりの記録容量)が示されている。ここで、「効率」に続く数値が小さいほどデータの記録効率は高くなる(例えば、単位面積あたりの記録容量が大きくなる)。
【0049】
同図におけるSLC(Single Level Cell)は、1つのセルに1ビットデータを記録する方式とされ、MLC(Multi Level Cell)は、1つのセルに複数ビットデータを記録する方式とされる。このため、SLCと比較してMLCの方が単位面積当たりの記録容量が大きくなる。
【0050】
また、SLCでは、蓄積電荷量の検出をH/Lの2値で判断するため、セルの劣化やノイズといった多少の蓄積電荷量のバラツキによるエラーの発生が抑止される。SLCは、書き換え可能な上限回数が多く、データ保持期間が比較的長い。
【0051】
一方、MLCでは、蓄積電荷量の検出を4値、8値、16値といった多値で判断するため、セルの劣化やノイズによって少しでも蓄積電荷量に変動が生じると、エラーが発生する。一般的にMLCでは、エラー訂正機能が必須とされ、SLCと比べ多くの冗長エリアが必要となる。MLCはSLCと比べて書き換え可能回数およびデータ保持期間に劣るが、1セルあたりの記録容量が増加する。
【0052】
また、同図においてエラー訂正能力を強くするためには、より多くの冗長符号などを記録する必要があるので、データの記録効率が下がり、読み出し速度も低下することになる。その一方で、エラー訂正能力を強くすることにより、読み出されたデータにおけるエラーの発生を抑止することが可能となる。
【0053】
さらに、同図において書き込み平準化冗長度を大きい値に設定するためには、実際に記録できるデータの容量が制限されることになる。その一方で書き込み平準化冗長度を大きい値に設定することにより、セルの書き換え回数を減少させてセル寿命の長期化を図ることが可能となり、また、データの読み出し時と書き込み時におけるエラーの発生を抑止することが可能となる。
【0054】
記録方式Aは、NANDセルをSLCとして使用、または、MLCのデータを擬似的にSLCとして記録する方式とされる。また、記録方式Aにおいては、書き込み平準化冗長度が大きい値に設定される。
【0055】
記録方式Aは、データの記録効率(例えば、単位面積あたりの記録容量)を低くする代わりに、エラーが発生する可能性を極力低くする記録方式とされる。例えば、記録領域の書き換えの頻度が高く、低いエラーレートが必要とされ、高速でのデータの読み出しと書き込みが求められるデータの記録領域に、記録方式Aが適用される。また、記録方式Aが適用された記録領域のデータの読み出しにおいて、リトライは不要となるようになされている。
【0056】
なお、記録領域の書き換え頻度は、例えば、図2の「必要領域」、「書き換え回数」、「書き込みデータ量」に基づいて特定することが可能である。
【0057】
例えば、図2の「FS(File System)メタデータ」、「ワークファイル」の記録領域に記録方式Aが適用される。
【0058】
記録方式Bは、MLCを採用する。また、記録方式Bにおいては、エラー訂正能力が強くなるように冗長符号などが設定され、書き込み平準化冗長度が大きい値に設定される。
【0059】
記録方式Bは、記録方式Aと比較してデータの記録効率を高くし、エラーが発生する可能性を低くする記録方式とされる。例えば、記録領域の書き換えの頻度が低く、低いエラーレートが必要とされ、高速でのデータの読み出しと書き込みが求められるデータの記録領域に、記録方式Bが適用される。また、記録方式Bが適用された記録領域のデータの読み出しにおいて、リトライは不要となるようになされている。
【0060】
例えば、図2の「プログラム」の記録領域に記録方式Bが適用される。
【0061】
記録方式Cは、MLCを採用する。また、記録方式Cにおいては、エラー訂正能力が中程度になるように冗長符号などが設定され、書き込み平準化冗長度が小さい値に設定される。
【0062】
記録方式Cは、記録方式A、記録方式Bと比較してデータの記録効率を高くする代わりに、エラーが発生する可能性をあまり低くしない記録方式とされる。例えば、記録領域の書き換えの頻度が低く、低いエラーレートが必要とされ、データの読み出しと書き込みの速度をあまり速くする必要がないデータの記録領域に、記録方式Cが適用される。また、記録方式Cが適用された記録領域のデータの読み出しにおいて、場合によりリトライが必要となるようになされている。
【0063】
例えば、図2の「静止画」、「動画、音楽、所定のメタデータ」の記録領域に記録方式Cが適用される。
【0064】
記録方式Dは、MLCを採用する。また、記録方式Dにおいては、エラー訂正能力が小さくなるように冗長符号などが設定され、書き込み平準化冗長度が小さい値に設定される。
【0065】
記録方式Dは、エラーが発生する可能性が高くなる代わりに、データの記録効率を極力高くする記録方式とされる。例えば、記録領域の書き換えの頻度が低く、エラーレートを低くする必要がなく、データの読み出しと書き込みの速度をあまり速くする必要がないデータの記録領域に、記録方式Dが適用される。また、記録方式Dが適用された記録領域のデータの読み出しにおいて、場合によりリトライが必要となるようになされている。
【0066】
例えば、図2の「訂正つき動画データ、補正可能データ」の記録領域に記録方式Dが適用される。これらのデータは、読み出しの際にエラーがあった場合、アプリケーションプログラムによる訂正や補正が可能であるから、読み出し時にエラーが生じることを前提とした記録領域に記録されるようにすることができる。すなわち、記録方式Dが適用された記録領域は、データの読み出し時にエラーが生じることを前提とした記録領域である。
【0067】
記録方式Eは、MLCを採用する。また、記録方式Eにおいては、エラー訂正能力は求められず、エラー判定ができるように冗長符号などが設定され、書き込み平準化冗長度が中程度の値に設定される。
【0068】
記録方式Eは、記録方式A、記録方式Bと比較するとエラーが発生する可能性が高くなる代わりに、データの記録効率を高くする記録方式とされる。例えば、記録領域の書き換えの頻度が高く、エラーレートを低くする必要がなく、データの読み出しの速度をあまり速くする必要がないデータの記録領域に、記録方式Eが適用される。また、記録方式Eが適用された記録領域のデータの読み出しにおいて、場合によりリトライが必要となるようになされている。
【0069】
すなわち、記録方式Eは、記録方式Dの場合と同様に読み出し時のエラーの発生をある程度許容するものの、記録方式Dの場合とは異なりセル寿命の長期化を図るとともに、読み出し時や書き込み時のエラーの発生を抑止するようにしたものである。
【0070】
例えば、図2の「電源OFF時状態保存ファイル」、「キャッシュデータ」の記録領域に記録方式Eが適用される。これらのデータは、読み出しの際にエラーがあった場合、破棄されるようにして、処理を継続することが可能となるものであるから、読み出し時にエラーが生じることを前提とした記録領域に記録されるようにすることができる。すなわち、記録方式Eが適用された記録領域は、データの読み出し時にエラーが生じることを前提とした記録領域である。
【0071】
本技術では、例えば、電子機器10の設計者により、図2に示されるような表が予め作成されるようにする。そして、その表に示される各種類のデータの特性に基づいて、各データの記録領域の記録方式が決定されるようにする。すなわち、電子機器10の設計者は、電子機器10のストレージ22にどのようなデータが記録されるかを想定して電子機器10を設計しているので、例えば、図2に示されるような表を予め作成することができる。
【0072】
このように、本技術では、記録されるデータの種類に応じた特性を分析し、その分析結果に応じた複数(例えば、3種類以上)の記録方式で記録されるようになされている。例えば、従来の技術では、エラー訂正能力と書き込み平準化冗長度が一律に設定されていたため、コンテンツのデータの記録領域にも、高いエラー訂正能力と大きな書き込み平準化冗長度が一律に設定されていた。
【0073】
しかしながら、図2に示されるように、「静止画」、「動画、音楽、所定のメタデータ」、「訂正つき動画データ、補正可能データ」は、「書き換え回数」が少ないものであり、記録領域の書き換えの頻度が低いことが分かる。従って、「静止画」、「動画、音楽、所定のメタデータ」、「訂正つき動画データ、補正可能データ」の記録領域に大きな書き込み平準化冗長度を設定する必要はない。
【0074】
また、図3に示されるように、「静止画」、「動画、音楽、所定のメタデータ」、「訂正つき動画データ、補正可能データ」は、「寿命」が短いものであることが分かる。また、「訂正つき動画データ、補正可能データ」は、例えば、「電源OFF時状態保存ファイル」、「キャッシュデータ」と同様に、「エラーレート」を、0を超える値としてもよいものであることが分かる。従って、「静止画」、「動画、音楽、所定のメタデータ」、「訂正つき動画データ、補正可能データ」の記録領域に高いエラー訂正能力を設定する必要はない。
【0075】
さらに、従来の技術では、そもそも想定される「寿命」の期間内において、「エラーレート」が0を超える値となるような記録領域の生成が行われていなかった。しかしながら、例えば、図2に示されるように、データの種類別に特性を分析することにより、実際には、想定される「寿命」の期間内において、「エラーレート」が0を超える値となっても問題ない場合があることが分かる。このため、本技術では、例えば、図3の記録方式D、記録方式Eが適用される記録領域が生成される。
【0076】
このように本技術を適用することで、例えば、デジタルカメラやオーディオプレーヤなどのストレージにおいて大きな容量を必要とするコンテンツのデータの記録効率を高めることができる。
【0077】
図4は、例えば、図1のCPU21により実行されるプログラムなどのソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。なお、同図には、ストレージ22へのデータの記録の制御に係る機能ブロックのみが示されている。
【0078】
同図には、初期パラメータ設定部51、ファイルシステム初期化部52、論理デバイス初期化部53、ファイル管理部54、ファイルシステム制御部55、ストレージパラメータ設定部56、ストレージ制御部57、およびストレージパラメータ管理部58が示されている。
【0079】
初期パラメータ設定部51は、例えば、電子機器10の設計者などにより作成された図2の表に基づいて、複数の記録方式(例えば、図3の記録方式A乃至記録方式E)のパラメータを設定する。ここで、パラメータは、例えば、SLC/MLCの別を判定する識別子、エラー訂正能力の強度、書き込み平準化冗長度などとされる。
【0080】
ファイルシステム初期化部52は、初期パラメータ設定部51から供給される記録領域数、各記録領域の容量などの情報に基づいてストレージ22のパーティショニングを行い、ファイルシステムを初期化する。
【0081】
論理デバイス初期化部53は、電子機器10に接続された論理デバイス(例えば、ストレージ22)の各記録領域の初期化の制御を行うようになされている。この際、後述するストレージ制御部57によって、初期パラメータ設定部51により設定されたパラメータに基づいて、例えば、ストレージ22の各記録領域が初期化され、各領域に係る論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズム、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度が設定される。
【0082】
なお、図2に示される表において、「書き込み単位」が特性として指定されるようにしてもよい。例えば、データの書き込み単位が大きいデータに応じたページや消去ブロックと、書き込み単位が小さいデータに応じたページや消去ブロックを考慮にして最適な論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズムが選択されるようにすることができる。
【0083】
また、例えば、記録されるデータが追記型書き込みなのか、または、書き換え型書き込みなのかを表す情報が、図2に示される表において特性として指定されるようにしてもよい。例えば、データの書き込み単位が小さい場合、追記型なのか、書き換え型なのかに応じて最適な論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズムが選択されるようにすることができる。
【0084】
ファイル管理部54は、例えば、アプリケーションプログラム(ツールやゲームなどのプログラム)によって、ストレージ22に記録されるデータを抽出し、それらのファイルのそれぞれがどの記録領域に記録されるべきものであるかを特定する。なお、記録されるデータの書き込み単位(書き込み処理時の単位データ量)は、例えば、アプリケーションプログラムから出力される書き込み要求によって指定されるようになされている。
【0085】
例えば、アプリケーションプログラムによって、データをストレージ22に記録するとき、ファイル管理部54は、例えば、アプリケーションプログラムの種類に応じて図2を参照して上述したようなデータの特性を決定する。あるいはまた、アプリケーションプログラムから、図2を参照して上述したようなデータの特性が通知されるようにしてもよい。そして、ファイル管理部54は、データの特性に基づいて、例えば、これから書き込むデータが図3の記録方式A乃至記録方式Eのいずれの記録方式で記録されるべきものであるかを特定する識別子などを、当該データに付加する。なお、この識別子は、例えば、所定の書き込み単位のデータを構成する各ファイル付加される。
【0086】
ファイルシステム制御部55は、例えば、アプリケーションプログラムによって、ストレージ22に記録されるデータをファイル単位に抽出し、それぞれのファイルを所定の記録領域に記録させるようにストレージ制御部57を制御する。この際、ファイル管理部54により各ファイルに付加された識別子に基づいて記録領域が決定されるようになされており、各ファイルに付加された識別子はストレージパラメータ設定部56に供給されるようになされている。また、ファイルシステム制御部55は、各ファイルの記録位置を表すテーブルなどを作成する。
【0087】
ストレージパラメータ設定部56は、例えば、アプリケーションプログラムからファイルシステム制御部55を経てストレージ制御部57に供給されたファイルのそれぞれに対応する冗長符号、書き込み平準化などの制御を行う。すなわち、ストレージパラメータ設定部56は、上述したパラメータに基づいて、各領域の記録方式を特定する。そして、ストレージパラメータ設定部56は、ストレージ制御部57により、実際にファイルのデータがストレージ22に書き込まれる際または読み出される際の冗長符号の演算方式の制御、書き込み平準化の制御などに係る処理を行う。
【0088】
なお、ファイルシステム制御部55から出力される「FSメタデータ」のファイルのデータは、常に記録方式Aが適用される記録領域に記録されるように制御される。
【0089】
ストレージ制御部57は、電子機器10に接続された論理デバイス(例えば、ストレージ22)の各記録領域の初期化を行う。また、ストレージ制御部57は、ストレージ22へのファイルのデータの書き込み、または、読み出しを行うようになされており、例えば、いわゆるドライバに対応する機能ブロックとして構成される。
【0090】
ストレージパラメータ管理部58は、例えば、ストレージ22の中の各記録領域の残容量などの情報を更新するようになされている。
【0091】
次に、図5のフローチャートを参照して、電子機器10によるストレージフォーマット処理の例について説明する。
【0092】
ステップS21において、初期パラメータ設定部51は、例えば、図2に示される表に基づいて、データの種類と特性を分析する。
【0093】
ステップS22において、初期パラメータ設定部51は、記録領域の数と記録方式を決定する。例えば、図3に示されるような記録方式A乃至記録方式Eを採用する5つの記録領域が決定される。
【0094】
ステップS23において、論理デバイス初期化部53およびストレージ制御部57は、図6を参照して後述する論理デバイス初期化処理を実行する。
【0095】
ここで、図6のフローチャートを参照して、図5のステップS23の論理デバイス初期化処理の詳細な例について説明する。
【0096】
ステップS41において、論理デバイス初期化部53は、ステップS22の処理で決定された複数の記録領域の中で最も確保優先度の高いデータの記録領域を特定する。例えば、図2の例の場合、「FSメタデータ」の確保優先度が最も高いので、図3の記録方式Aを採用する記録領域がステップS22の処理で決定された複数の記録領域の中で最も確保優先度の高いデータの記録領域として特定される。
【0097】
ステップS42において、論理デバイス初期化部53は、当該領域(ステップS41の処理で特定された領域)のパラメータを取得する。このとき、上述したように、例えば、SLC/MLCの別を判定する識別子、エラー訂正能力の強度、書き込み平準化冗長度などがパラメータとして取得される。
【0098】
ステップS43において、ストレージ制御部57は、ステップS42の処理で取得されたパラメータに基づいて、当該領域に係る論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズム、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度を決定する。そして、論理デバイス初期化部53は、論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズム、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度に基づいて、当該領域に係る物理フォーマットを決定する。
【0099】
すなわち、ステップS42の処理で取得されたパラメータに基づいて、SLC/MLCの別、エラー訂正能力の強度、および書き込み平準化冗長度が特定されることにより、論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズムが決定される。また、ステップS42の処理で取得されたパラメータに基づいてエラー訂正能力の強度が特定されることにより、エラー訂正方式が決定される。さらに、ステップS42の処理で取得されたパラメータに基づいて書き込み平準化冗長度が特定されることにより、書き込み平準化冗長度が決定される。
【0100】
これにより、当該領域に係る物理フォーマットが決定される。すなわち、所定の記録単位の論理データを記録する際に、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度を考慮して必要とされる物理的領域が決定される。また、これにより、当該領域が必要とするストレージ容量が定まることになり、当該領域に対応する論理デバイスの初期化が行われたことになる。
【0101】
ステップS44において、論理デバイス初期化部53は、次の記録領域が存在するか否かを判定する。例えば、いまの場合、まだ、記録方式B乃至記録方式Eの記録領域に対応する論理デバイスの初期化が行われていないので、ステップS44では、次の記録領域があると判定される。
【0102】
ステップS44において、次の記録領域があると判定された場合、処理は、ステップS41に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0103】
一方、例えば、記録方式A乃至記録方式Eの記録領域のそれぞれに対応する論理デバイスの初期化が既に行われた場合、ステップS44では、次の記録領域がないと判定され、
処理は終了する。
【0104】
このようにして、論理デバイス初期化処理が実行される。
【0105】
図5に戻って、ステップS23の処理の後、処理は、ステップS24に進む。
【0106】
ステップS24において、初期パラメータ設定部51は、ステップS23の処理に伴う初期化後の情報を取得する。ここで取得される情報は、ファイルシステムを初期化するために必要な情報とされる。
【0107】
ステップS25において、ファイルシステム初期化部52は、ステップS24の処理で取得された情報に基づいて、ストレージ22のパーティショニングを行い、ファイルシステムを初期化する。
【0108】
このようにして、ストレージフォーマット処理が実行される。
【0109】
次に、図7のフローチャートを参照して、電子機器10によるファイル書き込み処理の例について説明する。
【0110】
ステップS61において、ファイルシステム制御部55は、アプリケーションプログラムから、書き込み要求として出力される所定の書き込み単位のデータを構成するファイルを取得し、ファイル管理部54から当該データに対応するパラメータを取得する。
【0111】
ステップS62において、ストレージパラメータ設定部56は、ストレージ制御部57にステップS61の処理で取得したパラメータを通知する。
【0112】
ステップS63において、ストレージパラメータ設定部56は、ステップS62の処理で通知されたパラメータに基づいて、論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズム、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度を決定する。
【0113】
ステップS64において、ストレージ制御部57は、ステップS63の処理結果に基づいて、ストレージ22を構成する記録媒体における物理的な記録位置を特定する。
【0114】
ステップS65において、ストレージ制御部57は、ステップS64の処理で特定された物理的な記録位置に、ステップS61の処理で取得されたファイルに対応するデータを記録する。
【0115】
このようにして、ファイル書き込み処理が実行される。
【0116】
次に、図8のフローチャートを参照して、電子機器10によるファイル読み出し処理の例について説明する。
【0117】
ステップS81において、ファイルシステム制御部55は、アプリケーションプログラムからのファイルの読み出し要求があったか否かを判定し、読み出し要求があったと判定されるまで待機する。
【0118】
ステップS81において、アプリケーションプログラムからのファイルの読み出し要求があったと判定された場合、処理は、ステップS82に進む。
【0119】
ステップS82において、ファイルシステム制御部55は、読み出し要求のあったファイルを構成するデータの記録位置(例えば、論理アドレスなど)を特定する。なお、これにより、当該データの論理アドレス物理アドレス変換アルゴリズム、エラー訂正方式、書き込み平準化冗長度なども特定される。
【0120】
ステップS83において、ストレージ制御部57は、ステップS82の処理で特定された記録位置に記録されているデータを、記録媒体から読み出す。
【0121】
ステップS84において、ストレージ制御部57は、ステップS83の処理で読み出したデータにエラーがあるか否かを判定する。ステップS84において、エラーがあると判定された場合、処理は、ステップS85に進む。
【0122】
ステップS85において、ストレージ制御部57は、当該データがリトライ可能なデータであるか否かを判定する。ステップS85において、当該データがリトライ可能なデータであると判定された場合、処理は、ステップS86に進む。
【0123】
ステップS86において、ストレージ制御部57は、ステップS82の処理で特定された記録位置に記録されているデータを、記録媒体から再度読み出す。
【0124】
なお、ステップS84の処理で、エラーがないと判定された場合、ステップS85とステップS86の処理は、スキップされる。また、ステップS85において、リトライ可能なデータではないと判定された場合、ステップS86の処理は、スキップされる。
【0125】
ステップS86の処理の後、ステップS87において、ファイルシステム制御部55は、ステップS83またはステップS86の処理で読み出されたデータによって構成されるファイルを、読み出し要求を発したアプリケーションプログラムに供給する。
【0126】
なお、ステップS84乃至ステップS86の処理の前に、ステップS87の処理が実行され、ステップS84乃至ステップS86の処理の処理がアプリケーションプログラムの制御により実行されるようにしてもよい。
【0127】
また、ここでは、リトライ(記録媒体からの再度の読み出し)が1回のみ行われる例について説明したが、例えば、エラーのないデータが読み出されるまで所定の回数のリトライが行われるようにしてもよい。
【0128】
このようにして、ファイル読み出し処理が実行される。
【0129】
以上においては、図3を記録方式のパラメータの例として説明したが、図3に示されるものとは異なる記録方式のパラメータが用いられるようにしてもよい。例えば、記録方式の種類をもっと多くしてもよいし、もっと少なくしてもよい。
【0130】
あるいはまた、例えば、図2に示されるデータの特性に基づいて、所定の演算が行われるなどして自動的に記録方式が選択されるなどしてパラメータが生成されるようにしてよい。さらに、例えば、データの種類が与えられると、その種類から想定されるデータの特性が自動的に特定されるようにしてもよい。
【0131】
ところで、図1の例では、電子機器10の構成として、CPU21、ストレージ22、およびメインメモリ23がバス31を介して接続されている例について説明したが、それ以外の構成においても本技術を適用することができる。
【0132】
図9は、電子機器10の別の構成例を示すブロック図である。この例では、電子機器10において、CPU21、メインメモリ23、およびコントローラ24がバス31を介して接続されている。そして、コントローラ24にメディア25が接続されている。例えば、メディア25は、磁気ディスクなどの記録媒体として構成され、コントローラ24は、メディア25へのデータの書き込み、メディア25からのデータの読み出しを専門的に行う機能ブロックとされる。
【0133】
図9の例の場合、例えば、図4が、コントローラ24により実行されるプログラムなどのソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図とされるようにしてもよい。あるいはまた、図4の一部の機能ブロックが、CPU21により実行されるプログラムなどのソフトウェアなどとして実現され、他の機能ブロックがコントローラ24により実行されるプログラムなどのソフトウェアなどとして実現されるようにしてもよい。
【0134】
また、図10は、電子機器10のさらに別の構成例を示すブロック図である。この例では、図1の場合と同様に、電子機器10において、CPU21、ストレージ22、およびメインメモリ23がバス31を介して接続されている。ただし、図10の例の場合、ストレージ22がコントローラ41とメディア42により構成されている。
【0135】
図10の例の場合、例えば、図4が、コントローラ41により実行されるプログラムなどのソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図とされるようにしてもよい。あるいはまた、図4の一部の機能ブロックが、CPU21により実行されるプログラムなどのソフトウェアなどとして実現され、他の機能ブロックがコントローラ41により実行されるプログラムなどのソフトウェアなどとして実現されるようにしてもよい。
【0136】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図11に示されるような汎用のパーソナルコンピュータ700などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0137】
図11において、CPU(Central Processing Unit)701は、ROM(Read Only Memory)702に記憶されているプログラム、または記憶部708からRAM(Random Access Memory)703にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM703にはまた、CPU701が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0138】
CPU701、ROM702、およびRAM703は、バス704を介して相互に接続されている。このバス704にはまた、入出力インタフェース705も接続されている。
【0139】
入出力インタフェース705には、キーボード、マウスなどよりなる入力部706、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部707、ハードディスクなどより構成される記憶部708、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部709が接続されている。通信部709は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0140】
入出力インタフェース705にはまた、必要に応じてドライブ710が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア711が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部708にインストールされる。
【0141】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア711などからなる記録媒体からインストールされる。
【0142】
なお、この記録媒体は、図11に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア711により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM702や、記憶部708に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0143】
なお、本明細書において上述した一連の処理は、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0144】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0145】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0146】
(1) 記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部と
を備える情報処理装置。
(2) 前記記録媒体に記録されるデータの特性は、
当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性である、
(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記記録方式決定部は、
前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を特定するためのパラメータであって、SLC/MLCの別を判定する識別子、エラー訂正能力の強度、および書き込み平準化冗長度を含むパラメータを決定する
(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記記録方式決定部は、前記エラーレートが0を超える値となるデータを記録するための記録領域を、少なくとも1つ生成する
(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5) 前記論理デバイス初期化部は、
ファイルシステムのメタデータを記録するための領域として、SLC(Single Level Cell)方式の記録方式が適用される記録領域を、少なくとも1つ初期化する
(1)乃至(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 記録方式決定部が、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定し、
論理デバイス初期化部が、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化するステップ
を含む情報処理方法。
(7) コンピュータを、
記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部とを備える情報処理装置として機能させるプログラムが記録されている
記録媒体。
(8) 記録媒体に記録されるデータの特性であって、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性に基づいて、前記データの前記記録媒体への記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記論理デバイスの記録領域の複数の記録領域のうち、前記決定された記録方式に対応する記録領域に、前記データを記録する記録実行部と
を備える情報処理装置。
(9) 記録媒体に記録されたデータの読み出し要求が、当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性を表す情報とともに取得されたか否かを判定する要求判定部と、
前記データの読み出し要求が取得されたと判定された場合、前記記録媒体の中の複数の記録領域のうち、前記データの特性に対応する記録領域を特定する記録領域特定部と、
前記特定された記録領域から前記データを読み出す読み出し部と、
前記読み出されたデータのエラーの有無を判定するエラー判定部と、
前記読み出されたデータにエラーがあったと判定された場合、前記データが読み出された記録領域が、前記データの読み出し時のリトライが必要となる記録領域であるか否かを判定するリトライ判定部と、
前記データが、前記リトライが必要となる記録領域から読み出されたものである場合、前記記録領域から再度前記データを読み出す再読み出し部と
を備える情報処理装置。
【符号の説明】
【0147】
10 電子機器, 21 CPU, 22 ストレージ, 23 メインメモリ, 24 コントローラ, 25 メディア, 41 コントローラ, 42 メディア, 51 初期パラメータ設定部, 52 ファイルシステム初期化部, 53 論理デバイス初期化部, 54 ファイル管理部, 55 ファイルシステム制御部, 56 ストレージパラメータ設定部, 57 ストレージ制御部, 58 ストレージパラメータ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記記録媒体に記録されるデータの特性は、
当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記録方式決定部は、
前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を特定するためのパラメータであって、SLC/MLCの別を判定する識別子、エラー訂正能力の強度、および書き込み平準化冗長度を含むパラメータを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記録方式決定部は、前記エラーレートが0を超える値となるデータを記録するための記録領域を、少なくとも1つ生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記論理デバイス初期化部は、
ファイルシステムのメタデータを記録するための領域として、SLC(Single Level Cell)方式の記録方式が適用される記録領域を、少なくとも1つ初期化する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
記録方式決定部が、記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定し、
論理デバイス初期化部が、前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化するステップ
を含む情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
記録媒体に記録されるデータの特性に基づいて、前記記録媒体により構成される論理デバイスの記録領域を複数生成するとともに、前記記録領域のそれぞれに適用される記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記決定された記録方式に基づいて、前記論理デバイスの記録領域のそれぞれを初期化する論理デバイス初期化部とを備える情報処理装置として機能させるプログラムが記録されている
記録媒体。
【請求項8】
記録媒体に記録されるデータの特性であって、当該データの保持期間を表す寿命値および当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性に基づいて、前記データの前記記録媒体への記録方式を決定する記録方式決定部と、
前記論理デバイスの記録領域の複数の記録領域のうち、前記決定された記録方式に対応する記録領域に、前記データを記録する記録実行部と
を備える情報処理装置。
【請求項9】
記録媒体に記録されたデータの読み出し要求が、当該データを読み出したときに発生すると想定されるエラーの割合を表すエラーレートを含む特性を表す情報とともに取得されたか否かを判定する要求判定部と、
前記データの読み出し要求が取得されたと判定された場合、前記記録媒体の中の複数の記録領域のうち、前記データの特性に対応する記録領域を特定する記録領域特定部と、
前記特定された記録領域から前記データを読み出す読み出し部と、
前記読み出されたデータのエラーの有無を判定するエラー判定部と、
前記読み出されたデータにエラーがあったと判定された場合、前記データが読み出された記録領域が、前記データの読み出し時のリトライが必要となる記録領域であるか否かを判定するリトライ判定部と、
前記データが、前記リトライが必要となる記録領域から読み出されたものである場合、前記記録領域から再度前記データを読み出す再読み出し部と
を備える情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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