説明

情報処理装置の拡張カードの支持構造

【課題】拡張カードに新たな加工を加えることなく、且つ、拡張カードの規格に拠らず、使用する個々の拡張カードの抜けを同じ構造で防止する情報処理装置の拡張カードの支持構造を提供することを目的とする。
【解決手段】矩形の拡張カード4と、拡張カードの短辺である両側辺の一方の端部を筐体1の壁面に固定するブラケット8と、他方の角端部に自身を長辺方向に移動して固定する拡張カード可変固定部7と、を備え、拡張カード可変固定部は、予め定められる長さで、筐体の底面に平行に設けられる送りねじ7aと、送りねじに対応するナットを備え、送りねじを指示する支持金具7dと、送りねじの一端を固定し、当該送りねじの回転に基づいて前後の移動し、他方の端部を押圧して固定するL形金具7bと、を備え、拡張カードの長辺方向の寸法が変わっても拡張カードの両側辺角端部を固定するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置の拡張カードの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、いわゆる、PC/AT(登録商標)互換デスクトップパソコンなどの情報処理装置は、プロセッサ、メモリ、PCIなどの拡張バスインタフェースなどコンピュータの中核となる機能を1枚のボードに実装したマザーボードと、グラフィック、サウンド、ネットワーク、などの機能を拡張するための複数枚の拡張カードとで構成され、このマザーボードと拡張カードとの間は拡張スロットと呼ばれるコネクタで電気信号の受け渡しを行っている。
【0003】
このマザーボードは、筐体の内部面に水平に、また、拡張カードは、マザーボード上に実装され、マザーボード対して垂直に固定される。
【0004】
拡張バスの規格には、PCI(Peripheral Component Interconnect)、PCI-X、PCI Expressなどの規格があり、その拡張カードのサイズも多種類存在する。この拡張カードは、内部に保持ばねを持つコネクタで保持され、拡張カードに取付けられたブラケットを情報処理装置本体の筐体にネジ止めすることで固定される。しかし、筺体の持ち運びや、設置される筺体外部からの荷重や振動により、拡張カードが拡張スロットから抜けかかった状態になると、拡張カード端子部の接触不良を起こす恐れがある。特に、拡張カードの長辺が長いサイズの場合、スロットで固定されていない箇所が多いため、このような状態が起きやすくなる。
【0005】
この状態を解決するため、拡張カードの挿入方向の一辺を筐体に固定して拡張カードの抜けを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−127469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された拡張カードの抜け防止技術は、マザーボードと個々の拡張カードとを挿入方向をなす一辺に形成する係止機構で固定するもので、マザーボードと拡張カードとに係止のための加工、及び新たな部品を取り付ける必要がある。
【0008】
一般に、マザーボードや拡張カードは、拡張カードの規格に基づいて、異なるメーカで製造されたものであるため、ユーザが使用する拡張カード毎に個々の抜け防止機構を選定することは手間がかかるのだけでなく、製造品質保証上の責任分担が不明確となる問題がある。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、拡張カードに新たな加工を加えることなく、使用する個々の拡張カードの抜けを同じ構造で防止する情報処理装置の拡張カードの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による情報処理装置の拡張カードの支持構造は、情報処理装置の筐体の底部に備えるマザーボードの複数の拡張スロットに鉛直方向から挿入して固定される拡張カードの支持構造であって、矩形の前記拡張カードと、前記拡張カードの短辺である両側辺の一方の端部を前記筐体の壁面に固定するブラケットと、他方の角端部に自身を長辺方向に移動して固定する拡張カード可変固定部と、を備え、前記拡張カード可変固定部は、予め定められる長さで、前記筐体の底面に平行に設けられる送りねじと、当該送りねじに対応するナットを備え、当該送りねじを指示する支持金具と、前記送りねじの一端を固定し、当該送りねじの回転に基づいて前後の移動し、前記他方の端部を押圧して固定するL形金具と、を備え、
前記拡張カードの両側辺の一方の辺の角端部を前記ブラケットで、他方の側辺角端部を前記拡張カード可変固定部で固定し、拡張カードの長辺方向の寸法が変わっても前記拡張カードの両側辺角端部を固定するようにしたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の情報処理装置の拡張カードに支持構造の斜視図。
【図2】実施例1の情報処理装置の拡張カードに支持構造の側面図。
【図3】実施例1の拡張カード固定部の詳細構造図。
【図4】実施例2の拡張カード固定部の他の詳細構造図。
【図5】実施例3の拡張カード固定部の他の詳細構造図。
【図6】実施例4の情報処理装置の拡張カードに支持構造の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、図1を参照して実施例1を説明する。先ず、図1乃至図3を参照して、本実施例の構成について説明する。
【0014】
図1は、情報処理装置の拡張カードの支持構造の斜視図で、情報処理装置の筐体1の底部に備えるマザーボード3の複数の拡張スロット2に鉛直方向から挿入して固定される拡張カード4を示す。
【0015】
この情報処理装置の拡張カード4の支持構造の構成は、図2の側面図に示すように、矩形の拡張カード4と、拡張カード4の短辺である両側辺B、Cの一方の端部B1、B2を筐体1の壁面に固定するブラケット8と、他方の角端部C2に自身を長辺A方向に移動して固定する拡張カード可変固定部7と、を備える。
【0016】
また、拡張カード可変固定部7は、予め定められる長さで、筐体1の底面に平行に設けられる送りねじ7aと、当該送りねじ7aに対応するナットを備え当該送りねじ7aを指示する支持金具7dと、送りねじ7aの一端を固定し、当該送りねじ7aの回転に基づいて前後の移動し、前記他方の端部を押圧して固定するL形金具7bと、を備える。
【0017】
さらに詳細には、L形金具7bと拡張カード4との間には、予め設定される弾性及び絶縁性を有する緩衝材7cを備える。
【0018】
このような実施例の支持構造に拠れば、拡張カード4の両側辺B、Cの一方の辺の角端部をブラケット8で、他方の側辺角端部C2を拡張カード可変固定部7の送りねじ7aを回転してL形金具7aを長辺方向に移動させて固定するので、拡張カード4の長辺A方向の寸法が変わっても拡張カード4に新たな加工、及び部品を備えることなく、個々の拡張カード4に対して同じ構成で固定することができる。
【0019】
尚、送りねじ7aの回転は、その一端部を筐体1の壁面近傍に位置させて、筐体1の外部からドライバー等で回転させて移動するように構成してもよい。
【実施例2】
【0020】
次に、図4を参照して本実施例2の情報処理装置の拡張カードの支持構造について説明する。実施例2の各部について図1に示す実施例1の各部と同一部分は同一符号で示しその説明を省略する。
【0021】
実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1では、側辺角端部を長辺方向に押圧するL形金具7bは、その一方の下部角端部C2を押圧したが、実施例2では、上下の両角端部C1、C2を一体で押圧するL形金具7b1としたことにある。
【0022】
この様な構成に拠れば、長短辺方向だけでなく、上下のねじれ(回転)も防止できるので、拡張カード4毎の抜け防止だけでなくスロット2の接続部の振動を抑制する効果がある。
【実施例3】
【0023】
次に、図5及び図6を参照して本実施例3の情報処理装置の拡張カードの支持構造について説明する。実施例3の各部について図1に示す実施例1の各部と同一部分は同一符号で示しその説明を省略する。
【0024】
実施例3が実施例1と異なる点は、実施例1では、マザーボード3を搭載する金具と、拡張カード可変固定部7とは、それぞれ個別に筐体1に固定する構造であったが、実施例3では、筐体1の底部には、マザーボード固定金具1aを備え、マザーボード3、拡張カード可変固定部7、及び当該マザーボード固定金具1aを一体の剛体として、筐体1底部に固定するようにしたことにある。
【0025】
このような構成の支持構造に拠れば、筐体1外部からの衝撃や振動に対して、拡張カード4毎の抜け防止及びスロット2の接続部の振動を抑制する効果だけでなく、マザーボード3や拡張カード4の交換が容易に行える効果がある。
【0026】
本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これらの実施例やその変形は、発明の要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明と均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 情報処理装置
1a マザーボード固定金具
2 拡張スロット
3 マザーボード
4 拡張カード
7 拡張カード固定部
7a ガイドネジ
7b、7b1 L形金具
7c 緩衝材
7d 支持金具
8 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の筐体の底部に備えるマザーボードの複数の拡張スロットに鉛直方向から挿入して固定される拡張カードの支持構造であって、
矩形の前記拡張カードと、
前記拡張カードの短辺である両側辺の一方の端部を前記筐体の壁面に固定するブラケットと、他方の角端部に自身を長辺方向に移動して固定する拡張カード可変固定部と、
を備え、
前記拡張カード可変固定部は、予め定められる長さで、前記筐体の底面に平行に設けられる送りねじと、当該送りねじに対応するナットを備え、当該送りねじを指示する支持金具と、前記送りねじの一端を固定し、当該送りねじの回転に基づいて前後の移動し、前記他方の端部を押圧して固定するL形金具と、
を備え、
前記拡張カードの両側辺の一方の辺の角端部を前記ブラケットで、他方の側辺角端部を前記拡張カード可変固定部で固定し、拡張カードの長辺方向の寸法が変わっても前記拡張カードの両側辺角端部を固定するようにしたことを特徴とする情報処理装置の拡張カードの支持構造。
【請求項2】
前記L形金具と前記拡張カードとの間には、予め設定される弾性及び絶縁性を有する緩衝材を備える請求項1に記載の情報処理装置の拡張カードの支持構造。
【請求項3】
前記L形金具は、前記拡張カードの前記他方の上下の両角端部を押圧する金具形状とした請求項1に記載の情報処理装置の拡張カードの支持構造。
【請求項4】
前記筐体の底部には、マザーボード固定金具を備え、前記マザーボード、前記拡張カード可変固定部、及び当該マザーボード固定金具を一体の剛体として、前記筐体底部に固定するようにした請求項1に記載の情報処理装置の拡張カードの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77093(P2013−77093A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215721(P2011−215721)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】