説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】起動時のバッテリの状態によらずに安全にシャットダウンを行うことが可能な情報処理装置及びこのような情報処理装置のためのプログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置10は、バッテリ109で駆動され、BIOS ROM105と、CPU101と、を備える。BIOS ROM105は、情報処理装置10の起動処理を実行するための基本プログラムとしてのBIOSを記憶している。CPU101は、BIOSの起動後に、バッテリ109の残量が規定値以下であるか否かを判定し、バッテリ109の残量が規定値を超えていると判定した場合に起動処理を継続させ、バッテリ109の残量が規定値以下であると判定した場合に起動処理を中断させ、情報処理装置10をシャットダウンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バッテリで駆動される情報処理装置及びこのような情報処理装置のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノートPCという)等の情報処理装置は、携帯可能なようにバッテリ駆動可能に構成されている。このような情報処理装置においては、電源がオンされるとBIOS(Basic Input/Output System)と呼ばれる基本プログラムが起動される。BIOSの制御下で実行される起動処理を経てOS(Operating System)が起動される。また、このようなBIOSにより起動処理を経てOSが起動される情報処理装置として、POS(Point Of Sales)端末等も知られている。
【0003】
このような従来の情報処理装置においては、バッテリの残量の管理がOS上で行われている。例えば、OS上でバッテリの残量が検知され、バッテリの残量が規定値以下となると、OSの制御により情報処理装置が安全にシャットダウンされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−133978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の情報処理装置では、バッテリの残量が少ない状態で情報処理装置の電源がオンされた場合であっても、OSが起動する。ただし、バッテリの残量が少ないので、OSが安全なシャットダウンを行う前にバッテリの残量がなくなってしまう可能性がある。安全なシャットダウンが行われる前にバッテリの残量がなくなると、情報処理装置のシステムにダメージを与えてしまう可能性が高い。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、起動時のバッテリの状態によらずに安全にシャットダウンを行うことが可能な情報処理装置及びこのような情報処理装置のためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、情報処理装置は、バッテリで駆動され、記憶部と、制御部と、を備える。記憶部は、情報処理装置の起動処理を実行するための基本プログラムを記憶している。制御部は、基本プログラムの起動後に、バッテリの残量が規定値以下であるか否かを判定し、バッテリの残量が規定値を超えていると判定した場合に起動処理を継続させ、バッテリの残量が規定値以下であると判定した場合に起動処理を中断させて前記情報処理装置をシャットダウンする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置におけるソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】一実施形態に係る情報処理装置の起動処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本一実施形態に係る情報処理装置を説明する。図1は、本一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置10は、チップセット100を有している。チップセット100は、メモリインターフェース及びI/Oコントローラ等の制御回路や、必要に応じてグラフィックスチップやサウンドチップ等が搭載された集積回路である。このチップセット100には、CPU(Central Processing Unit)101と、メインメモリ103と、BIOS ROM(Basic Input/Output System Read Only Memory)105と、HDD(Hard Disc Drive)107と、バッテリ109と、入力デバイス111と、出力デバイス113と、が接続されている。
【0010】
制御部として機能するCPU101は、情報処理装置10における各種の処理を制御する。このCPU101は、BIOS ROM105からBIOSを読み出して情報処理装置10の起動処理を実行したり、OS(Operating System)上でアプリケーションを実行したりする。
【0011】
メインメモリ103は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、CPU101による各種の処理の際に用いられるワークエリアとして用いられる。OSやアプリケーション等は、メインメモリ103にロードされて起動される。一方、BIOSは、BIOS ROM105から直接起動される。
【0012】
記憶部として機能するBIOS ROM105は、例えばフラッシュROMで構成され、BIOSを記憶している。BIOSは、情報処理装置10の起動処理を実行するための基本プログラムであり、POST(Power-On Self Test)等を実行するためのシステムBIOSや、BIOS起動画面やBIOSセットアップ画面等を表示させるためのVGA BIOS等を有して構成されている。
【0013】
HDD107は、大容量の記憶媒体であり、OSやアプリケーション等の各種のソフトウェアや、OS上やアプリケーション上で用いられる各種のデータを記憶している。
【0014】
バッテリ109は、情報処理装置10の各ブロックを駆動するための電力を供給する。このバッテリ109は、2次電池であり、情報処理装置10の外部のAC電源と接続自在に構成されている。AC電源と接続された状態で、バッテリ109が充電状態となる。また、バッテリ109は、充電状態であっても情報処理装置10の各ブロックを駆動するための電力を供給することができるように構成されている。さらに、BIOSの起動時に、CPU101は、バッテリ109の電圧値を、チップセット100を経由してデジタル信号として取得し、この電圧値を示すデジタル信号から、バッテリ109の残容量を検出する。また、CPU101は、バッテリ109からのデジタル信号より、バッテリ109にAC電源が接続されているか否かを判定することも行う。
【0015】
入力デバイス111は、ユーザが、情報処理装置10に対して何等かの入力操作を行うためのデバイスであって、例えばキーボードやタッチパネルを含む。
【0016】
出力デバイス113は、ユーザに対して、情報処理装置10から何等かの情報を提示するためのデバイスであって、例えばディスプレイやスピーカーを含む。本実施形態においては、ディスプレイやスピーカーが通知部の一例として機能する。
【0017】
図2は、情報処理装置10におけるソフトウェア構成例を示す図である。図2に示すように、情報処理装置10の起動時には、まず、BIOS(システムBIOSとVGA BIOS)が起動される。そして、システムBIOS上でPOSTやセットアッププログラムが実行される。
【0018】
POSTは、図1で示した各種のハードウェア(チップセット100、CPU101、メインメモリ103、HDD107、入力デバイス111、出力デバイス113)の異常診断及び初期化を行うためのテストプログラムである。さらに、本実施形態では、POSTの実行後に、バッテリ109の残容量のチェックも行われる。
【0019】
セットアッププログラムは、BIOSに関する各種セットアップを実行するためのプログラムである。セットアッププログラムにより実行されるセットアップは、例えば、電源の管理、システム日付の管理、動作クロックの管理、オンボードデバイスのコントロール、等である。このようなセットアップは、VGA BIOS上での処理によって出力デバイス113としてのディスプレイに表示されたBIOSセットアップ画面上で行われる。
【0020】
BIOSの起動後、ハードウェアやバッテリ109の残容量に特に問題がなければ、ブートローダがメインメモリ103上に展開されて起動される。そして、ブートローダの処理によってOSがメインメモリ103上に展開されて起動される。OSの起動後は、OSのドライバやアプリケーションがOS上で動作する。アプリケーションを起動する際、必要に応じてミドルウェアが起動され、ミドルウェア上でアプリケーションが起動される。
【0021】
以下、図3を参照して、情報処理装置10の起動処理について説明する。図3は、本一実施形態に係る情報処理装置10の起動処理を示すフローチャートである。情報処理装置10の電源がオンされると、CPU101は、BIOS ROM105からBIOSを起動させる(S1)。BIOSの起動後、CPU101は、POSTを実行する。このとき、POSTの制御下にて、チップセット上の各種の制御回路、CPU101、メインメモリ103、HDD107、入力デバイス111、出力デバイス113といったハードウェアの異常診断及び初期化処理が行われる。この異常診断及び初期化処理が正常に終了した場合、CPU101は、チップセット100を介して、POSTの実行画面であるBIOS起動画面をディスプレイに表示させる。BIOS起動画面には、異常診断及び初期化が完了したハードウェアに関する情報が表示される。また、BIOS画面の表示中に所定の操作がなされた場合、例えばキーボードの所定のキーが押された場合に、CPU101は、BIOSセットアップ画面を表示させる。
【0022】
BIOS起動画面の表示中において、CPU101は、チップセット100を介してバッテリ109の状態を検出し、現在、バッテリ109で駆動されているか否か、即ちバッテリ109にAC電源が接続されていないか否かを判定する(S2)。
【0023】
S2において、バッテリ109で駆動されていると判定した場合に、CPU101は、バッテリ109の残量が規定値以下であるか否かを判定する(S3)。この規定値は、OSの起動中において判定されるバッテリ109の残量の規定値よりも低く設定しておくことが望ましい。
【0024】
S3において、バッテリ109の残量が、規定値以下であると判定した場合、CPU101は、バッテリ109の残量が規定値以下である旨をユーザに通知する(S4)。例えば、CPU101は、バッテリ109の残量が規定値以下である旨を示すメッセージをディスプレイに表示させる。この際のメッセージの一例としては、例えば図3に示すような「Battery残量が低下しています。Battery充電、もしくはAC電源を接続してください」等が考えられる。これはあくまでも一例であって適宜変更して良い。また、バッテリ109の残量が規定値以下である旨をユーザに通知するための手法は、表示による手法によらず、音声による手法であっても良い。例えば、ビープ音等を鳴らすようにしても良い。
【0025】
バッテリ109の残量が規定値以下である旨をユーザに通知した後、CPU101は、所定時間(例えば30秒程度)待機した後、BIOS上での情報処理装置10の起動処理を中断して情報処理装置10の電源をシャットダウンさせる(S5)。その後、情報処理装置10が電源オフ状態となる。
【0026】
また、S2においてバッテリ駆動でない、即ちAC電源駆動であると判定した場合、又はS3においてバッテリ残量が規定値を超えていると判定した場合、CPU101は、BIOS上での情報処理装置10の起動処理を継続させ、OSの起動処理を実行させる(S6)。これにより、OSが起動し、以後はOS上で情報処理装置10の各種処理が実行される。このOS上での情報処理装置10の処理は、従来周知のものを適用することができる。したがって、詳細な説明については省略する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態においては、バッテリ109で駆動される情報処理装置において、BIOS上での起動処理の実行中にバッテリ109の残量を検出し、バッテリ109の残量が規定値以下である場合には、情報処理装置10の電源をシャットダウンするようにしている。これにより、OSの起動中にバッテリ109の残量がなくなって、不意に情報処理装置10の電源がオフされる可能性を低減することが可能である。また、BIOS上での処理であれば、仮にバッテリ109の残量がなくなって不意に情報処理装置10の電源がオフされたとしても、HDD107が起動していないので、システムに深刻なダメージを与える可能性がない。このように、本実施形態では、起動時のバッテリの状態によらずに安全にシャットダウンを行うことが可能である。
【0028】
また、情報処理装置10の電源をシャットダウンする前に、ユーザにバッテリ109の残量が低下している旨を通知することにより、バッテリ109の充電やAC電源の接続等の対処をユーザに取らせることが可能である。
【0029】
さらに、バッテリ109にAC電源が接続されていれば、仮にバッテリ109の残量が低下していても情報処理装置10の電源が不意にオフされることはない。本実施形態では、このような場合を判定することにより、不用意に情報処理装置10がシャットダウンされることがないようにしている。図3の例では、バッテリ109の残量の判定の前に、AC電源が接続されているかを判定している。これに対し、バッテリ109の残量の判定の後に、AC電源が接続されているかを判定し、バッテリ109の残量がなく、かつAC電源が接続されていない場合に、情報処理装置10をシャットダウンするようにしても良い。
【0030】
ここで、図3の例では、POSTの実行後に、バッテリ109の残量を検出するようにしているが、POSTの実行と並列してバッテリ109の残量の検出とシャットダウンの処理を行うようにしても良い。
【0031】
また、本実施形態で例とした情報処理装置10は、ノートPCやPOS(Point Of Sales)端末等の、バッテリ駆動される情報処理装置であって、BIOS上での起動処理を経てOSが起動される、各種の情報処理装置に対して適用される得るものである。
【0032】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10…情報処理装置、100…チップセット、101…CPU、103…メインメモリ、105…BIOS ROM、107…HDD、109…バッテリ、111…入力デバイス、113…出力デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリで駆動される情報処理装置であって、
前記情報処理装置の起動処理を実行するための基本プログラムを記憶する記憶部と、
前記基本プログラムの起動後に前記バッテリの残量が規定値以下であるか否かを判定し、前記残量が前記規定値を超えていると判定した場合に前記起動処理を継続させ、前記残量が前記規定値以下であると判定した場合に前記起動処理を中断させて前記情報処理装置をシャットダウンする制御部と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、外部電源が接続自在に構成されて該外部電源によっても駆動され、
前記制御部は、前記外部電源が装着されている場合には前記起動処理を継続させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置に関する情報を通知するための通知部をさらに具備し、
前記制御部は、前記情報処理装置の起動処理を中断する前に、前記残量が規定値以下である旨を前記通知部によって通知することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、表示又は音声によって前記動作状態を通知することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
バッテリで駆動される情報処理装置の起動処理を実行するためのプログラムであって、
前記バッテリの残量が規定値以下であるか否かを判定する機能と、
前記残量が前記規定値を超えている場合に前記起動処理を継続させ、前記残量が前記規定値以下であると判定した場合に前記起動処理を中断させて前記情報処理装置をシャットダウンする機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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