情報処理装置及び受信方法
【課題】IQ検波とASK検波とを適切に切り替えることで位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して適切に非接触通信することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、第1のAGC回路の出力又は第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、第1のAGC回路及び第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて第1のAGC回路の出力または第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて復調回路への供給を制御する制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【解決手段】電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、第1のAGC回路の出力又は第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、第1のAGC回路及び第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて第1のAGC回路の出力または第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて復調回路への供給を制御する制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触通信は、0〜数十cm程度の伝送距離でデータ伝送を行う無線技術であり、例えば非接触ICカードとリーダライタからなるRFIDシステムに適用される。その通信方向によって、リーダライタからカードへの通信と、カードからリーダライタへの通信の2種類に分けることができる。どちらの通信方向においても、リーダライタは常にキャリア周波数を発振し、カードはこのキャリア周波数から得られる電力を基に送信処理並びに受信処理を行う。
【0003】
近年、近接通信機能を持つICカードや携帯電話等の携帯端末が多く利用されている。例えばソニー株式会社の開発したICカードであるFeliCa(登録商標)が知られている。近接通信の通信規格としては、例えばソニーとPhilips社の開発した短距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)規格がある。
【0004】
近接通信では、例えば13.56MHzのキャリア周波数が用いられ、送受信間距離を密着(0mm)から約100mm程度の範囲とした通信が行われる。この通信の概略について図1A、図1B、図2A、図2Bを参照して説明する。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合と考えてよい。一対のトランスである。
【0005】
図1A及び図1Bは、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。図2A及び図2Bはトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【0006】
図1A及び図1Bを参照して、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理について説明する。図1Aに示すようにリーダライタ10は、212kbpsの送信情報(信号S1b)を13.56MHzのキャリア信号(信号S1a)に載せた変調信号(信号S1c)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信している。トランスポンダ20はコイルを介して受信信号(信号S1d)を受信する。
【0007】
図1Bには、キャリア信号波形(信号S1a)、送信情報波形(信号S1b)、送信信号波形(信号S1c)、及び受信信号波形(信号S1d)を示している。なお、変調方式としてはASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式が採用されている。
【0008】
図2A及び図2を参照して、ICカードなどのトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理について説明する。図2Aに示すようにリーダライタ10は、13.56MHzのキャリア信号(信号S2a)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信する。トランスポンダ20は、212kbpsの送信情報(信号S2b)を変調して生成した送信信号(信号S2c)をリーダライタ10に送信する。リーダライタ10はコイルを介して受信信号(信号S2d)を受信する。
【0009】
図2Bには、キャリア信号波形(信号S2a)、送信情報波形(信号S2b)、送信信号波形(信号S2c)、および受信信号波形(信号S2d)を示している。
【0010】
図1A、図2Aに示すリーダライタ10とトランスポンダ20との間では、送受信間距離を密着(0)から10数cmの範囲とした通信が行われる。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合がなされると考えてよい。一対のトランスである。
【0011】
前述のように、例えば、ソニーの開発したICカードであるFeliCa(登録商標)
等の適用するNFC規格の非接触通信では13.56MHzのキャリアを用い、送受信間
距離を密着(0mm)から100mm程度とした通信が行われる。従って、R/Wとカー
ドのアンテナ間隔が比較的遠い場合や、通信中にアンテナ位置関係が大きく変化するよう
な状況でも安定して通信を行う必要がある。
【0012】
ICカードなどのトランスポンダ20からリーダライタ10への通信においては負荷変調方式という変調方式が採用されている。この方法はICカードなどのトランスポンダ20において負荷をオン・オフすることにより反磁界を発生させ,その変化をリーダライタ10で読み取る(検波する)ことにより変調を確認することができるという手法である。
【0013】
この負荷変調方式の大きな問題の一つに位相反転NULLという問題がある。図3は、非接触通信における反転NULL発生の原理についてグラフを用いて示す説明図である。この位相反転NULLの問題は、図3に示す通り、ICカードなどのトランスポンダ20側の負荷をオン・オフの前後で振幅成分の変調がかからない状況が生じる可能性があるものである。その場合,振幅成分で検波しても変調成分を確認することはできない。
【0014】
図4A〜図4Cはリーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。図4Aは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が50mmの場合の波形を示し、図4Bは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が70mmの場合の波形を示し、図4Cは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が85mmの場合の波形を示している。
【0015】
図4A〜図4Cに示したように、距離70mm地点で波形が見えなくなっていること,距離70mm地点の前後で波形が反転していることを確認することができる。これが位相反転NULLと呼ばれる問題である。この位相反転NULLに対応するための技術として例えば特許文献1がある。特許文献1は、アンテナのQ値を変化させて位相反転NULLを解消する技術を開示しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−175976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、位相反転NULLを解消するためにアンテナのQ値を調整するのは非常にリスクがあるという問題があった。Q値は通信距離を保ったり、通信波形を保ったりするために重要なパラメータであるが、特許文献1で開示された手法を用いると、位相反転NULLを解消するためにQ値を変化させることにより、通信距離や通信品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0018】
また、リーダライタと非接触ICカードとの組み合わせによって、Q値とf0値は大きく異なる。また携帯電話のような金属が実装されたものについては近い部分と遠い部分で金属の見え方が異なり,Q値とf0値が変化する。汎用的に数多くのリーダライタと非接触ICカードと組み合わせに対して上記特許文献1で開示された手法が適用できるとは限らない。
【0019】
従って、汎用的に数多くのリーダライタと非接触ICカードと組み合わせに対しても適用出来るように、位相反転NULLを他の手法によって解消する必要がある。一番単純な方法が、IQ検波(直交検波)によって振幅成分だけでなく、位相成分も同時に検波することである。IQ検波を用いることで、振幅成分が無くなっても位相成分の変化を検出することにより、信号を取り出すことができる。
【0020】
しかし、IQ検波にも、非接触通信特有の負荷変調方式に起因する問題点がある。IQ検波はASK検波とは異なり、アクティブ素子を使用するため入力ダイナミックレンジが電源電圧と耐圧で決まってしまう。非接触通信におけるリーダライタは負荷変調受信するため、システム系によっては受信信号が数十Vになることもあり、この場合にはIQ検波をするためには抵抗分割で電圧を少なくとも電源電圧以下(ICの入力ダイナミックレンジ以下)に落とす必要がある。当然キャリアレベルを抵抗分割で落とすと,比例して変調信号も小さくなりSNが悪化する。負荷変調方式のため,通信距離が遠くなると変調度は小さくなり、変調度の低下に伴いキャリア信号レベルは単調増加する。よってSNが厳しくなればさらに抵抗分割することとなり、通信距離がASK検波と比較して短くなる問題という問題がある。
【0021】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、IQ検波とASK検波とを適切に切り替えることで位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して適切に非接触通信することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、前記IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、前記ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、前記第1のAGC回路及び前記第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する制御部と、を備える、受信装置が提供される。
【0023】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御するようにしてもよい。
【0024】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、該所定の閾値以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御するようにしてもよい。
【0025】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御してもよい。
【0026】
前記制御部は、前記復調回路の復調処理で復調エラーが発生すると、選択されなかった出力に切り替えて前記復調回路へ供給するよう制御してもよい。
【0027】
上記情報処理装置は、前記第1のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第1のスイッチと、前記第2のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第2のスイッチと、さらに備え、前記制御部は、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給するようにしてもよい。
【0028】
上記情報処理装置は、前記無線アンテナと前記第1のAGC回路との間に設けられる第3のスイッチと、前記無線アンテナと前記第2のAGC回路との間に設けられる第4のスイッチと、をさらに備え、前記制御部は、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給するようにしてもよい。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線アンテナによって電磁結合により非接触通信する通信ステップと、前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波ステップと、前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波ステップと、前記IQ検波ステップでIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGCステップと、前記ASK検波ステップでASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGCステップと、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力に対して所定の復調処理を実行する復調ステップと、前記第1のAGCステップ及び前記第2のAGCステップにおける制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力のいずれかを切り替えて前記復調ステップへの供給を制御する制御ステップと、を備える、受信方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によれば、IQ検波とASK検波とを適切に切り替えることで位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して適切に非接触通信することが可能な、新規かつ改良された受信装置、リーダライタ及び受信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図1B】リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図2A】トランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図2B】トランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図3】非接触通信における反転NULL発生の原理についてグラフを用いて示す説明図である。
【図4A】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図4B】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図4C】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【図6A】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6B】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6C】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6D】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.リーダライタの構成]
[1−2.リーダライタの動作]
[1−3.リーダライタの変形例]
<2.まとめ>
【0034】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.リーダライタの構成]
まず、本発明の一実施形態にかかるリーダライタの構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。図5に示したリーダライタ100は、非接触ICカードやアンテナコイルを内蔵した携帯電話等(図示せず。以下これらの装置を単に「非接触ICカード」と称する)との間で、上述したような非接触通信を実行することで、その非接触ICカードとの間で情報を授受するものである。以下、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成について説明する。
【0035】
図5に示したように、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、ASK検波部110と、IQ検波部120と、AGC(Automatic Gain Control)回路130、140と、スイッチ制御部150と、スイッチ160、170と、復調回路180と、アンテナコイルL1と、キャパシタC1と、抵抗R1、R2、R3と、を含んで構成される。
【0036】
ASK検波部110は、アンテナコイルL1が受信した非接触ICカードからの信号に対して振幅成分を検波するASK検波処理を実行するものである。ASK検波部110によるASK検波処理の出力はAGC回路130に送られる。
【0037】
IQ検波部120は、アンテナコイルL1が受信した非接触ICカードからの信号に対して、振幅成分と位相成分の両方を検波するIQ検波処理を実行するものである。IQ検波部120によるIQ検波処理の出力はAGC回路140に送られる。
【0038】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力するものである。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力するものである。AGC回路130、140によってゲインが調整された信号は、それぞれスイッチ160、170を経由して復調回路180に送られる。そしてAGC回路130、140からは、それぞれAGCの制御電圧レベルの情報がスイッチ制御部150に送られる。AGC回路130、140からそれぞれ送られるAGCの制御電圧レベルの情報は、スイッチ制御部150に対してスイッチ160、170のどちらをオンとするかを決定させるものである。
【0039】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140からそれぞれ送られるAGCの制御電圧レベルの情報に基づいて、スイッチ160、170のどちらかをオンとする制御を実行するものである。スイッチ制御部150は、スイッチ160、170のどちらかをオンとする制御を実行するために、例えば、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値未満となっているかどうかを判断する。
【0040】
IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値未満となる場合には、スイッチ制御部150はIQ検波を用いて、すなわちスイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにする。一方、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値以上である場合には、スイッチ制御部150はASK検波を用いて、すなわちスイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにする。
【0041】
図6A〜図6Dは、AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。図6A〜図6Dに示したそれぞれのグラフは、横軸が非接触ICカードとリーダライタとの間の距離を示しており、縦軸はキャリアレベルの相対値を電圧で示している。
【0042】
図6A〜図6Dに示したように、IQ検波のAGC制御電圧レベルが約730mVから約830mVを境に通信エラーが発生している。すなわち、実測結果により、例えば700mVを閾値とする(すなわち、IQ検波のAGC制御電圧レベルが700mV以上になると検波がASK検波に切り替わる)ことにより、非接触ICカードとリーダライタとの間で良好な通信が可能となると考えられる。もちろん閾値の値は係る例に限られないことは言うまでもない。
【0043】
このように、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値以上であるか否かによって、ASK検波とIQ検波のどちらを使用するかを選択する。これにより本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0044】
スイッチ160、170は、上述したように、スイッチ制御部150によってオン・オフが制御されるスイッチである。スイッチ制御部150によってスイッチ160がオンになり、スイッチ170がオフになると、後段の復調回路にはAGC回路130からの出力が供給されるようになる。一方、スイッチ制御部150によってスイッチ160がオフになり、スイッチ170がオンになると、後段の復調回路にはAGC回路140からの出力が供給されるようになる。
【0045】
復調回路180は、AGC回路130またはAGC回路140からの出力を受けて所定の復調処理を実行するものである。復調回路180は、非接触ICカード側で変調された信号を復調するものであり、復調回路180での復調処理により情報を取り出すことができる。
【0046】
本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、図5に示した構成を有することにより、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して、非接触ICカードとの間で適切に非接触通信することが可能となる。
【0047】
以上、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成について説明した。次に、図5に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0048】
[1−2.リーダライタの動作]
図7は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。以下、図7を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0049】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS101)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0050】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS102)。
【0051】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかを判断する(ステップS103)。
【0052】
上記ステップS103の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であると判断した場合には、位相反転NULLによりベースバンド信号が小さくなるので、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS104)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0053】
一方、上記ステップS103の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS105)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0054】
上記ステップS104、S105によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS106)。
【0055】
以上、図7を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0056】
なお、図7に示した例では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかで、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかを選択するように、スイッチ制御部150がスイッチ160、170のオン、オフを制御していたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、ASK検波とIQ検波のAGC制御電圧レベルを比較し、制御電圧レベルの小さい方(ベースバンド信号レベルの大きい方)を選択する方法もある。次に、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例について説明する。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例を示す流れ図である。以下、図8を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0058】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS111)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0059】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS112)。
【0060】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかを判断する(ステップS113)。
【0061】
上記ステップS113の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であると判断した場合には、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS114)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0062】
一方、上記ステップS113の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS115)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0063】
上記ステップS114、S115によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS116)。
【0064】
以上、図8を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0065】
なお、ASK検波とIQ検波の切り替えに際しては、それぞれのAGC回路130、140に対して、AGC制御信号に基づくSN比を算出し、算出したSN比の情報を用いても良い。SN比の算出に際しては、例えば、受信信号レベルに応じて生成されるAGC回路のゲイン制御信号を入力し、該ゲイン制御信号に応じて受信信号のSN比を算出ししてもよい。
【0066】
なお、図8に示した動作例では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかで、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えていたが、選択した検波信号を復調する際にエラーが発生した場合には、選択されなかった検波信号に切り替えて復調するようにしても良い。ASK検波とIQ検波では波形品質が異なるため、例えば、主にリーダライタと非接触ICカードが近接した状態において復調エラーが発生した際に、リトライ時に異なった検波方式で信号を復号することにより近接非通信が可能になる場合がある。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例を示す流れ図である。以下、図9を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0068】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS121)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0069】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS122)。
【0070】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかを判断する(ステップS123)。
【0071】
上記ステップS123の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であると判断した場合には、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS124)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0072】
一方、上記ステップS123の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS125)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0073】
上記ステップS124、S125によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS126)。
【0074】
ここで復調回路180は、復調処理を実行する際に復調エラーが発生したかどうか判断し(ステップS127)、復調エラーが発生している場合には、上記ステップS126で選択されなかった検波信号に切り替えて復号する(ステップS128)。そのため、リーダライタ100は、図10に示したように、復調回路180からスイッチ制御部150へ復調エラーの発生の有無をフィードバックする構成を有していても良い。
【0075】
上記ステップS127の判断において、復調回路180での復調処理の際に復調エラーが発生していない場合、または上記ステップS127の判断において、復調回路180での復調処理の際に復調エラーが発生し、上記ステップS128において、上記ステップS126で選択されなかった検波信号に切り替えて復調回路180が復号した場合は、リーダライタ100は一連の通信処理を完了し(ステップS129)、再び非接触ICカードからのパケット受信処理に戻る。
【0076】
以上、図9を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。そして、選択した検波による検波信号を復調してエラーが発生した場合には、選択されなかった検波信号に切り替えて復調することで近接非通信が可能となる。
【0077】
[1−3.リーダライタの変形例]
次に、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例について説明する。上述した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかによって、またはIQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかによって、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えていた。以下で説明する本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例は、予めいずれか一方で検波(例えばIQ検波)して、その検波後の信号を復調するように選択しておき、選択されたIQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])以上に達したら、他方の検波(例えばASK検波)に切り替えるように構成されるものである。
【0078】
図11は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例の構成を示す説明図である。図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例は、図5に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100と比べてスイッチ191、192が追加された構成を有している。
【0079】
例えば、図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、通常時はスイッチ191をオフし、スイッチ192をオンしておくことで、アンテナコイルL1で受信した非接触ICカードからの信号をIQ検波部120でIQ検波し、検波後の信号を後段の復調回路180で復調する。
【0080】
そして、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満になったことをスイッチ制御部150が検知すると、スイッチ191をオンし、スイッチ192をオフすることで、アンテナコイルL1で受信した非接触ICカードからの信号をASK検波部110でASK検波し、検波後の信号を後段の復調回路180で復調する。
【0081】
このような構成を有することで、図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理のいずれか一方を選択することができる。
【0082】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、リーダライタ100でIQ検波処理とASK検波処理の両方を実行するように構成し、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理とを切り替える。
【0083】
このように、リーダライタ100でIQ検波処理とASK検波処理の両方を実行するように構成し、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理とを切り替えることで、位相反転NULLが生じるような通信距離であっても通信エラー改善しつつ、IQ検波のダイナミックレンジに伴う通信距離の低下を防ぐことができる。さらに、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、上記特許文献1と比較してQ値を変化させることなく位相反転NULLの改善が可能となり、また、通信品質を向上させるためにリーダライタのQ値を変化させる方法と併用することが可能である。
【0084】
なお、図5及び図11に示した、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、パーソナルコンピュータや駅の自動改札機その他の電子機器に組み込まれていてもよい。このような電子機器にリーダライタ100を組み込むことで、電子機器と非接触ICカードとの間の非接触通信処理が可能になると共に、位相反転NULLが生じるような通信距離であっても通信エラー改善しつつ、IQ検波のダイナミックレンジに伴う通信距離の低下を防ぐことができる。
【0085】
また、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100におけるIQ検波処理とASK検波処理の切り替えは、コンピュータプログラムによって実行されるようにしてもよい。コンピュータプログラムによって、上述したようなIQ検波処理とASK検波処理の切り替えを行う際には、コンピュータプログラムが格納された媒体をリーダライタ100の内部に格納し、当該媒体からCPU(Central Processing Unit)その他の演算装置がコンピュータプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、受信装置、リーダライタ及び受信方法に適用可能であり、特に近接非接触通信を行う受信装置、リーダライタ及び受信方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 リーダライタ
110 ASK検波部
120 IQ検波部
130、140 AGC回路
150 スイッチ制御部
160、170、191、192 スイッチ
180 復調回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触通信は、0〜数十cm程度の伝送距離でデータ伝送を行う無線技術であり、例えば非接触ICカードとリーダライタからなるRFIDシステムに適用される。その通信方向によって、リーダライタからカードへの通信と、カードからリーダライタへの通信の2種類に分けることができる。どちらの通信方向においても、リーダライタは常にキャリア周波数を発振し、カードはこのキャリア周波数から得られる電力を基に送信処理並びに受信処理を行う。
【0003】
近年、近接通信機能を持つICカードや携帯電話等の携帯端末が多く利用されている。例えばソニー株式会社の開発したICカードであるFeliCa(登録商標)が知られている。近接通信の通信規格としては、例えばソニーとPhilips社の開発した短距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)規格がある。
【0004】
近接通信では、例えば13.56MHzのキャリア周波数が用いられ、送受信間距離を密着(0mm)から約100mm程度の範囲とした通信が行われる。この通信の概略について図1A、図1B、図2A、図2Bを参照して説明する。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合と考えてよい。一対のトランスである。
【0005】
図1A及び図1Bは、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。図2A及び図2Bはトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【0006】
図1A及び図1Bを参照して、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理について説明する。図1Aに示すようにリーダライタ10は、212kbpsの送信情報(信号S1b)を13.56MHzのキャリア信号(信号S1a)に載せた変調信号(信号S1c)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信している。トランスポンダ20はコイルを介して受信信号(信号S1d)を受信する。
【0007】
図1Bには、キャリア信号波形(信号S1a)、送信情報波形(信号S1b)、送信信号波形(信号S1c)、及び受信信号波形(信号S1d)を示している。なお、変調方式としてはASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式が採用されている。
【0008】
図2A及び図2を参照して、ICカードなどのトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理について説明する。図2Aに示すようにリーダライタ10は、13.56MHzのキャリア信号(信号S2a)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信する。トランスポンダ20は、212kbpsの送信情報(信号S2b)を変調して生成した送信信号(信号S2c)をリーダライタ10に送信する。リーダライタ10はコイルを介して受信信号(信号S2d)を受信する。
【0009】
図2Bには、キャリア信号波形(信号S2a)、送信情報波形(信号S2b)、送信信号波形(信号S2c)、および受信信号波形(信号S2d)を示している。
【0010】
図1A、図2Aに示すリーダライタ10とトランスポンダ20との間では、送受信間距離を密着(0)から10数cmの範囲とした通信が行われる。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合がなされると考えてよい。一対のトランスである。
【0011】
前述のように、例えば、ソニーの開発したICカードであるFeliCa(登録商標)
等の適用するNFC規格の非接触通信では13.56MHzのキャリアを用い、送受信間
距離を密着(0mm)から100mm程度とした通信が行われる。従って、R/Wとカー
ドのアンテナ間隔が比較的遠い場合や、通信中にアンテナ位置関係が大きく変化するよう
な状況でも安定して通信を行う必要がある。
【0012】
ICカードなどのトランスポンダ20からリーダライタ10への通信においては負荷変調方式という変調方式が採用されている。この方法はICカードなどのトランスポンダ20において負荷をオン・オフすることにより反磁界を発生させ,その変化をリーダライタ10で読み取る(検波する)ことにより変調を確認することができるという手法である。
【0013】
この負荷変調方式の大きな問題の一つに位相反転NULLという問題がある。図3は、非接触通信における反転NULL発生の原理についてグラフを用いて示す説明図である。この位相反転NULLの問題は、図3に示す通り、ICカードなどのトランスポンダ20側の負荷をオン・オフの前後で振幅成分の変調がかからない状況が生じる可能性があるものである。その場合,振幅成分で検波しても変調成分を確認することはできない。
【0014】
図4A〜図4Cはリーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。図4Aは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が50mmの場合の波形を示し、図4Bは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が70mmの場合の波形を示し、図4Cは、リーダライタ10とトランスポンダ20との間の距離が85mmの場合の波形を示している。
【0015】
図4A〜図4Cに示したように、距離70mm地点で波形が見えなくなっていること,距離70mm地点の前後で波形が反転していることを確認することができる。これが位相反転NULLと呼ばれる問題である。この位相反転NULLに対応するための技術として例えば特許文献1がある。特許文献1は、アンテナのQ値を変化させて位相反転NULLを解消する技術を開示しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−175976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、位相反転NULLを解消するためにアンテナのQ値を調整するのは非常にリスクがあるという問題があった。Q値は通信距離を保ったり、通信波形を保ったりするために重要なパラメータであるが、特許文献1で開示された手法を用いると、位相反転NULLを解消するためにQ値を変化させることにより、通信距離や通信品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0018】
また、リーダライタと非接触ICカードとの組み合わせによって、Q値とf0値は大きく異なる。また携帯電話のような金属が実装されたものについては近い部分と遠い部分で金属の見え方が異なり,Q値とf0値が変化する。汎用的に数多くのリーダライタと非接触ICカードと組み合わせに対して上記特許文献1で開示された手法が適用できるとは限らない。
【0019】
従って、汎用的に数多くのリーダライタと非接触ICカードと組み合わせに対しても適用出来るように、位相反転NULLを他の手法によって解消する必要がある。一番単純な方法が、IQ検波(直交検波)によって振幅成分だけでなく、位相成分も同時に検波することである。IQ検波を用いることで、振幅成分が無くなっても位相成分の変化を検出することにより、信号を取り出すことができる。
【0020】
しかし、IQ検波にも、非接触通信特有の負荷変調方式に起因する問題点がある。IQ検波はASK検波とは異なり、アクティブ素子を使用するため入力ダイナミックレンジが電源電圧と耐圧で決まってしまう。非接触通信におけるリーダライタは負荷変調受信するため、システム系によっては受信信号が数十Vになることもあり、この場合にはIQ検波をするためには抵抗分割で電圧を少なくとも電源電圧以下(ICの入力ダイナミックレンジ以下)に落とす必要がある。当然キャリアレベルを抵抗分割で落とすと,比例して変調信号も小さくなりSNが悪化する。負荷変調方式のため,通信距離が遠くなると変調度は小さくなり、変調度の低下に伴いキャリア信号レベルは単調増加する。よってSNが厳しくなればさらに抵抗分割することとなり、通信距離がASK検波と比較して短くなる問題という問題がある。
【0021】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、IQ検波とASK検波とを適切に切り替えることで位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して適切に非接触通信することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、前記IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、前記ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、前記第1のAGC回路及び前記第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する制御部と、を備える、受信装置が提供される。
【0023】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御するようにしてもよい。
【0024】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、該所定の閾値以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御するようにしてもよい。
【0025】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御してもよい。
【0026】
前記制御部は、前記復調回路の復調処理で復調エラーが発生すると、選択されなかった出力に切り替えて前記復調回路へ供給するよう制御してもよい。
【0027】
上記情報処理装置は、前記第1のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第1のスイッチと、前記第2のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第2のスイッチと、さらに備え、前記制御部は、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給するようにしてもよい。
【0028】
上記情報処理装置は、前記無線アンテナと前記第1のAGC回路との間に設けられる第3のスイッチと、前記無線アンテナと前記第2のAGC回路との間に設けられる第4のスイッチと、をさらに備え、前記制御部は、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給するようにしてもよい。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線アンテナによって電磁結合により非接触通信する通信ステップと、前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波ステップと、前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波ステップと、前記IQ検波ステップでIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGCステップと、前記ASK検波ステップでASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGCステップと、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力に対して所定の復調処理を実行する復調ステップと、前記第1のAGCステップ及び前記第2のAGCステップにおける制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力のいずれかを切り替えて前記復調ステップへの供給を制御する制御ステップと、を備える、受信方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によれば、IQ検波とASK検波とを適切に切り替えることで位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して適切に非接触通信することが可能な、新規かつ改良された受信装置、リーダライタ及び受信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図1B】リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図2A】トランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図2B】トランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す説明図である。
【図3】非接触通信における反転NULL発生の原理についてグラフを用いて示す説明図である。
【図4A】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図4B】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図4C】リーダライタ10の受信ベースバンド波形(検波後波形)を観測した波形を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【図6A】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6B】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6C】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図6D】AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.リーダライタの構成]
[1−2.リーダライタの動作]
[1−3.リーダライタの変形例]
<2.まとめ>
【0034】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.リーダライタの構成]
まず、本発明の一実施形態にかかるリーダライタの構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成を示す説明図である。図5に示したリーダライタ100は、非接触ICカードやアンテナコイルを内蔵した携帯電話等(図示せず。以下これらの装置を単に「非接触ICカード」と称する)との間で、上述したような非接触通信を実行することで、その非接触ICカードとの間で情報を授受するものである。以下、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成について説明する。
【0035】
図5に示したように、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、ASK検波部110と、IQ検波部120と、AGC(Automatic Gain Control)回路130、140と、スイッチ制御部150と、スイッチ160、170と、復調回路180と、アンテナコイルL1と、キャパシタC1と、抵抗R1、R2、R3と、を含んで構成される。
【0036】
ASK検波部110は、アンテナコイルL1が受信した非接触ICカードからの信号に対して振幅成分を検波するASK検波処理を実行するものである。ASK検波部110によるASK検波処理の出力はAGC回路130に送られる。
【0037】
IQ検波部120は、アンテナコイルL1が受信した非接触ICカードからの信号に対して、振幅成分と位相成分の両方を検波するIQ検波処理を実行するものである。IQ検波部120によるIQ検波処理の出力はAGC回路140に送られる。
【0038】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力するものである。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力するものである。AGC回路130、140によってゲインが調整された信号は、それぞれスイッチ160、170を経由して復調回路180に送られる。そしてAGC回路130、140からは、それぞれAGCの制御電圧レベルの情報がスイッチ制御部150に送られる。AGC回路130、140からそれぞれ送られるAGCの制御電圧レベルの情報は、スイッチ制御部150に対してスイッチ160、170のどちらをオンとするかを決定させるものである。
【0039】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140からそれぞれ送られるAGCの制御電圧レベルの情報に基づいて、スイッチ160、170のどちらかをオンとする制御を実行するものである。スイッチ制御部150は、スイッチ160、170のどちらかをオンとする制御を実行するために、例えば、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値未満となっているかどうかを判断する。
【0040】
IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値未満となる場合には、スイッチ制御部150はIQ検波を用いて、すなわちスイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにする。一方、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値以上である場合には、スイッチ制御部150はASK検波を用いて、すなわちスイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにする。
【0041】
図6A〜図6Dは、AGCの制御電圧レベルと通信距離との関係の測定例をグラフで示す説明図である。図6A〜図6Dに示したそれぞれのグラフは、横軸が非接触ICカードとリーダライタとの間の距離を示しており、縦軸はキャリアレベルの相対値を電圧で示している。
【0042】
図6A〜図6Dに示したように、IQ検波のAGC制御電圧レベルが約730mVから約830mVを境に通信エラーが発生している。すなわち、実測結果により、例えば700mVを閾値とする(すなわち、IQ検波のAGC制御電圧レベルが700mV以上になると検波がASK検波に切り替わる)ことにより、非接触ICカードとリーダライタとの間で良好な通信が可能となると考えられる。もちろん閾値の値は係る例に限られないことは言うまでもない。
【0043】
このように、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、IQ検波部120でのIQ検波後のAGCの制御電圧レベルが所定の閾値以上であるか否かによって、ASK検波とIQ検波のどちらを使用するかを選択する。これにより本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0044】
スイッチ160、170は、上述したように、スイッチ制御部150によってオン・オフが制御されるスイッチである。スイッチ制御部150によってスイッチ160がオンになり、スイッチ170がオフになると、後段の復調回路にはAGC回路130からの出力が供給されるようになる。一方、スイッチ制御部150によってスイッチ160がオフになり、スイッチ170がオンになると、後段の復調回路にはAGC回路140からの出力が供給されるようになる。
【0045】
復調回路180は、AGC回路130またはAGC回路140からの出力を受けて所定の復調処理を実行するものである。復調回路180は、非接触ICカード側で変調された信号を復調するものであり、復調回路180での復調処理により情報を取り出すことができる。
【0046】
本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、図5に示した構成を有することにより、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような通信距離であっても通信エラーを解消して、非接触ICカードとの間で適切に非接触通信することが可能となる。
【0047】
以上、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の構成について説明した。次に、図5に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0048】
[1−2.リーダライタの動作]
図7は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作例を示す流れ図である。以下、図7を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0049】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS101)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0050】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS102)。
【0051】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかを判断する(ステップS103)。
【0052】
上記ステップS103の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であると判断した場合には、位相反転NULLによりベースバンド信号が小さくなるので、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS104)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0053】
一方、上記ステップS103の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS105)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0054】
上記ステップS104、S105によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS106)。
【0055】
以上、図7を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0056】
なお、図7に示した例では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかで、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかを選択するように、スイッチ制御部150がスイッチ160、170のオン、オフを制御していたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、ASK検波とIQ検波のAGC制御電圧レベルを比較し、制御電圧レベルの小さい方(ベースバンド信号レベルの大きい方)を選択する方法もある。次に、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例について説明する。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例を示す流れ図である。以下、図8を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0058】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS111)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0059】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS112)。
【0060】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかを判断する(ステップS113)。
【0061】
上記ステップS113の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であると判断した場合には、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS114)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0062】
一方、上記ステップS113の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS115)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0063】
上記ステップS114、S115によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS116)。
【0064】
以上、図8を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。
【0065】
なお、ASK検波とIQ検波の切り替えに際しては、それぞれのAGC回路130、140に対して、AGC制御信号に基づくSN比を算出し、算出したSN比の情報を用いても良い。SN比の算出に際しては、例えば、受信信号レベルに応じて生成されるAGC回路のゲイン制御信号を入力し、該ゲイン制御信号に応じて受信信号のSN比を算出ししてもよい。
【0066】
なお、図8に示した動作例では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかで、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えていたが、選択した検波信号を復調する際にエラーが発生した場合には、選択されなかった検波信号に切り替えて復調するようにしても良い。ASK検波とIQ検波では波形品質が異なるため、例えば、主にリーダライタと非接触ICカードが近接した状態において復調エラーが発生した際に、リトライ時に異なった検波方式で信号を復号することにより近接非通信が可能になる場合がある。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の別の動作例を示す流れ図である。以下、図9を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明する。
【0068】
まず、リーダライタ100は、非接触ICカードからのパケットを非接触通信によりアンテナコイルL1で受信する(ステップS121)。リーダライタ100は、アンテナコイルL1で受信したパケットに対して、ASK検波部110によるASK検波処理、及びIQ検波部120によるIQ検波処理を並行して行う。
【0069】
AGC回路130は、ASK検波部110の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。同様に、AGC回路140は、IQ検波部120の出力に対して所定のゲインとなるように調整して出力する。そして、スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得する(ステップS122)。
【0070】
スイッチ制御部150は、AGC回路130、140から、それぞれAGCの制御電圧レベルを取得すると、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかを判断する(ステップS123)。
【0071】
上記ステップS123の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であると判断した場合には、スイッチ制御部150はIQ検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS124)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオフにして、スイッチ170をオンにすることで、IQ検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0072】
一方、上記ステップS123の判断の結果、IQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル以上であると判断した場合には、スイッチ制御部150はASK検波信号を選択するようにスイッチを制御する(ステップS125)。具体的には、スイッチ制御部150は、スイッチ160をオンにして、スイッチ170をオフにすることで、ASK検波信号を復調回路180に供給するようにスイッチを制御する。
【0073】
上記ステップS124、S125によって、スイッチ制御部150によりスイッチ160、170のオン、オフが制御され、ASK検波信号またはIQ検波信号のいずれかが復調回路180に送られると、復調回路180は所定の復調処理を実行し、信号を復号する(ステップS126)。
【0074】
ここで復調回路180は、復調処理を実行する際に復調エラーが発生したかどうか判断し(ステップS127)、復調エラーが発生している場合には、上記ステップS126で選択されなかった検波信号に切り替えて復号する(ステップS128)。そのため、リーダライタ100は、図10に示したように、復調回路180からスイッチ制御部150へ復調エラーの発生の有無をフィードバックする構成を有していても良い。
【0075】
上記ステップS127の判断において、復調回路180での復調処理の際に復調エラーが発生していない場合、または上記ステップS127の判断において、復調回路180での復調処理の際に復調エラーが発生し、上記ステップS128において、上記ステップS126で選択されなかった検波信号に切り替えて復調回路180が復号した場合は、リーダライタ100は一連の通信処理を完了し(ステップS129)、再び非接触ICカードからのパケット受信処理に戻る。
【0076】
以上、図9を用いて本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の動作について説明した。上述した一連の動作により、リーダライタ100は、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えて、位相反転NULLが発生するような状態であっても、正常に非接触ICカードとの間の非接触通信を行うことができる。そして、選択した検波による検波信号を復調してエラーが発生した場合には、選択されなかった検波信号に切り替えて復調することで近接非通信が可能となる。
【0077】
[1−3.リーダライタの変形例]
次に、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例について説明する。上述した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100では、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかによって、またはIQ検波のAGC制御電圧レベルが、ASK検波のAGC制御電圧レベル未満であるかどうかによって、ASK検波とIQ検波とを適切に切り替えていた。以下で説明する本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例は、予めいずれか一方で検波(例えばIQ検波)して、その検波後の信号を復調するように選択しておき、選択されたIQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])以上に達したら、他方の検波(例えばASK検波)に切り替えるように構成されるものである。
【0078】
図11は、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例の構成を示す説明図である。図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100の変形例は、図5に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100と比べてスイッチ191、192が追加された構成を有している。
【0079】
例えば、図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、通常時はスイッチ191をオフし、スイッチ192をオンしておくことで、アンテナコイルL1で受信した非接触ICカードからの信号をIQ検波部120でIQ検波し、検波後の信号を後段の復調回路180で復調する。
【0080】
そして、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満になったことをスイッチ制御部150が検知すると、スイッチ191をオンし、スイッチ192をオフすることで、アンテナコイルL1で受信した非接触ICカードからの信号をASK検波部110でASK検波し、検波後の信号を後段の復調回路180で復調する。
【0081】
このような構成を有することで、図11に示した本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値(Xm[V])未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理のいずれか一方を選択することができる。
【0082】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、リーダライタ100でIQ検波処理とASK検波処理の両方を実行するように構成し、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理とを切り替える。
【0083】
このように、リーダライタ100でIQ検波処理とASK検波処理の両方を実行するように構成し、IQ検波のAGC制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで、IQ検波処理とASK検波処理とを切り替えることで、位相反転NULLが生じるような通信距離であっても通信エラー改善しつつ、IQ検波のダイナミックレンジに伴う通信距離の低下を防ぐことができる。さらに、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、上記特許文献1と比較してQ値を変化させることなく位相反転NULLの改善が可能となり、また、通信品質を向上させるためにリーダライタのQ値を変化させる方法と併用することが可能である。
【0084】
なお、図5及び図11に示した、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100は、パーソナルコンピュータや駅の自動改札機その他の電子機器に組み込まれていてもよい。このような電子機器にリーダライタ100を組み込むことで、電子機器と非接触ICカードとの間の非接触通信処理が可能になると共に、位相反転NULLが生じるような通信距離であっても通信エラー改善しつつ、IQ検波のダイナミックレンジに伴う通信距離の低下を防ぐことができる。
【0085】
また、本発明の一実施形態にかかるリーダライタ100におけるIQ検波処理とASK検波処理の切り替えは、コンピュータプログラムによって実行されるようにしてもよい。コンピュータプログラムによって、上述したようなIQ検波処理とASK検波処理の切り替えを行う際には、コンピュータプログラムが格納された媒体をリーダライタ100の内部に格納し、当該媒体からCPU(Central Processing Unit)その他の演算装置がコンピュータプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、受信装置、リーダライタ及び受信方法に適用可能であり、特に近接非接触通信を行う受信装置、リーダライタ及び受信方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 リーダライタ
110 ASK検波部
120 IQ検波部
130、140 AGC回路
150 スイッチ制御部
160、170、191、192 スイッチ
180 復調回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、
前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、
前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、
前記IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、
前記ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、
前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、
前記第1のAGC回路及び前記第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、該所定の閾値以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記復調回路の復調処理で復調エラーが発生すると、選択されなかった出力に切り替えて前記復調回路へ供給するよう制御する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第1のスイッチと、
前記第2のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第2のスイッチと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無線アンテナと前記第1のAGC回路との間に設けられる第3のスイッチと、
前記無線アンテナと前記第2のAGC回路との間に設けられる第4のスイッチと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
無線アンテナによって電磁結合により非接触通信する通信ステップと、
前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波ステップと、
前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波ステップと、
前記IQ検波ステップでIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGCステップと、
前記ASK検波ステップでASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGCステップと、
前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力に対して所定の復調処理を実行する復調ステップと、
前記第1のAGCステップ及び前記第2のAGCステップにおける制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力のいずれかを切り替えて前記復調ステップへの供給を制御する制御ステップと、
を備える、受信方法。
【請求項1】
電磁結合により非接触通信する無線アンテナと、
前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波部と、
前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波部と、
前記IQ検波部がIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGC回路と、
前記ASK検波部がASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGC回路と、
前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力に対して所定の復調処理を実行する復調回路と、
前記第1のAGC回路及び前記第2のAGC回路から制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であるかどうかで前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路への供給を制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが所定の閾値未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、該所定の閾値以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル未満であれば前記第2のAGC回路の出力を前記復調回路へ供給し、前記第2のAGC回路からの制御電圧レベルが前記第1のAGC回路からの制御電圧レベル以上であれば前記第1のAGC回路の出力を前記復調回路への供給するよう制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記復調回路の復調処理で復調エラーが発生すると、選択されなかった出力に切り替えて前記復調回路へ供給するよう制御する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第1のスイッチと、
前記第2のAGC回路と前記復調回路との間に設けられる第2のスイッチと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無線アンテナと前記第1のAGC回路との間に設けられる第3のスイッチと、
前記無線アンテナと前記第2のAGC回路との間に設けられる第4のスイッチと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチを切り替えて前記第1のAGC回路の出力または前記第2のAGC回路の出力のいずれかを切り替えて前記復調回路へ供給する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
無線アンテナによって電磁結合により非接触通信する通信ステップと、
前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をIQ検波するIQ検波ステップと、
前記通信ステップで前記無線アンテナが受信した信号をASK検波するASK検波ステップと、
前記IQ検波ステップでIQ検波した信号に対してゲインを制御する第1のAGCステップと、
前記ASK検波ステップでASK検波した信号に対してゲインを制御する第2のAGCステップと、
前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力に対して所定の復調処理を実行する復調ステップと、
前記第1のAGCステップ及び前記第2のAGCステップにおける制御電圧レベルの情報を受けて、該制御電圧レベルの情報に応じて、前記第1のAGCステップの出力または前記第2のAGCステップの出力のいずれかを切り替えて前記復調ステップへの供給を制御する制御ステップと、
を備える、受信方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−254156(P2011−254156A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125022(P2010−125022)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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