説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】ジョブメモリで設定された設定値を用いた画像処理を行う。
【解決手段】制御部では、処理モードの指定を検出すると、検出した処理モードへ移行する(ステップ100〜104)。また、ジョブメモリの呼び出しの指示を検出すると、予め登録されているジョブメモリのリストを表示する(ステップ106、110)。ここで、ジョブメモリの指定を検出すると、現在の処理モードが、ジョブメモリで設定されている処理モードと異なるか否かを確認し、異なるときには、ジョブメモリの設定値を、現在の処理モードの設定値に展開するか否かを確認する(ステップ112、114、122)。ここで、設定値の展開が指示されたことを検出すると、共通している処理項目の設定値を、ジョブメモリの設定値に設定し、設定した設定値での画像処理を可能とする(ステップ124、120)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機能、画像読込み機能、ファクシミリ通信機能などの画像に対する複数の情報処理機能(以下、画像処理機能とする)を備えた画像処理装置では、画像処理機能及び画像処理機能に対する各種の処理項目の設定がなされることにより、該当設定に基づいた画像処理を行う。
【0003】
このような画像処理装置では、画像処理機能及び、画像処理機能に対する各種の処理項目の設定値(パラメータ)を予め設定して、該当パラメータの設定を読み出すことにより、処理機能および処理機能に対する各種のパラメータに基づいた処理が可能となる提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0004】
ところで、このような画像処理装置では、例えば、複写機能を用いて原稿画像を複写したときのパラメータを用いて、ファクシミリ送信を行うために、ファクシミリ機能を選択した後に、各項目のパラメータを設定するようになっている。
【特許文献1】特開平3−123925号公報
【特許文献2】特開平4−67168号公報
【特許文献3】特開2004−266466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、何れかの情報処理機能で設定した設定項目の設定値を、他の情報処理機能の設定値として利用することが可能な情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、情報処理機能の実行のために設定される複数の設定項目と各設定項目の設定値とを対応付けた実行条件を記憶媒体に記憶する記憶手段と、前記記憶媒体に記憶された前記実行条件を指定可能な指定手段と、複数の前記情報処理機能から処理を実行する情報処理機能を指定する機能指定手段と、前記指定された前記実行条件に含まれる前記設定項目のうち、前記指定された情報処理機能において設定可能な設定項目の前記設定値を、前記指定された前記情報処理機能の該当設定項目の設定値に設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された前記設定値に基づいて前記指定された情報処理機能を実行する実行手段と、を含む。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記記憶手段が、さらに、前記設定項目に対する前記情報処理機能の種別を対応付けて前記実行条件を記憶する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記設定手段が、前記機能指定手段によって指定された前記情報処理機能と、前記記憶手段に前記指定された前記実行条件に対応付けられた前記情報処理条件とが異なる場合に、両方の情報処理機能の間で共通の前記設定項目に対して、前記指定された実行条件に含まれる前記設定値を、前記指定された情報処理機能の設定値に設定する。
【0009】
さらに、請求項4の発明は、コンピュータを、情報処理機能の実行のために設定される複数の設定項目と各設定項目の設定値とを対応付けた実行条件を記憶媒体に記憶する記憶手段と、前記記憶媒体に記憶された前記実行条件を指定可能な指定手段と、複数の前記情報処理機能から処理を実行する情報処理機能を指定する機能指定手段と、前記指定された前記実行条件に含まれる前記設定項目のうち、前記指定された情報処理機能において設定可能な設定項目の前記設定値を、前記指定された前記情報処理機能の該当設定項目の設定値に設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された前記設定値に基づいて前記指定された情報処理機能を実行する実行手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項4の発明によれば、何れかの情報処理機能に対する設定値が設定されている実行条件を用いて、他の情報処理機能の設定値を設定することが可能となる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、記憶されている実行条件の設定項目及び設定値が、どの情報処理機能のために設定された設定項目の設定値であるかを把握することができる。
【0012】
さらに、請求項3の発明によれば、登録する際の情報処理機能と、再利用する際の情報処理機能が異なっていても、適切な設定値の利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
〔第1の実施の形態〕
本実施の形態では、情報処理装置として複合機10を用いている。図1には、この複合機10が示されている。複合機10は、ネットワークなどの通信網を介して入力されるデータを受信して、受信したデータに基づいて記録紙などの画像形成媒体に画像を形成するプリント機能、原稿に記録された画像を記録紙に形成する複写機能、原稿に記録された画像を読み込んで該当画像のデータを生成するスキャナ機能及び、原稿に記録された画像を読み込んで電話回線などの通信手段を介して送信するファクシミリ機能などの複数の情報処理機能を備えている。ここで、複合機10では、ユーザが操作して画像処理を行う情報処理機能として、複写機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を備えている。
【0015】
複合機10には、装置上部に原稿読取部12が設けられ、原稿読取部12の下方に画像形成部14が配置されている。原稿読取部12は、原稿カバー16内に原稿搬送部18を備えている。原稿搬送部18は、原稿カバー16に設けられたフィーダトレイ16Aに装填された原稿20を順に引き込んで図示しないプラテンガラス上へ搬送する。原稿読取部12では、このプラテンガラス上に搬送された原稿20に記録された画像を読み込んで、画像に応じた画像データを生成する。また、原稿搬送部18は、画像読み取りの終了した原稿20を原稿排出トレイ16B上へ排出する。
【0016】
また、原稿読取部12には、ユーザによる各種の操作入力を可能とするユーザインターフェイス22が設けられている。このユーザインターフェイス22は、各種の情報の表示が行われると共にソフトウェアプログラムによって情報の入力を実現する表示ボタンが表示されるタッチパネル式のディスプレイ24と、テンキーやスタートキーなどのハードウェアキー26と、を含んでいる。ユーザインターフェイス22は、ディスプレイ24の表示ボタンや、ハードウェアキー26によって、例えば、複写機能を用いるときの倍率、ファクシミリ機能を用いるときの通信先の電話番号などの各種の情報が入力されることにより、入力された情報が複合機10で検出される。
【0017】
画像形成部14は、画像形成媒体として用いている記録紙が収容される給紙トレイ28を備えている。画像形成部14では、給紙トレイ28から記録紙を1枚ずつ取り出し、この記録紙を搬送しながら例えば電子写真プロセスによって画像データに応じた画像を形成する。また、画像形成部14では、画像形成の終了した記録紙を、図示しない排紙トレイ上へ排出する。
【0018】
図2には、複合機10に設けられている制御部30の要部構成が示されている。複合機10の制御部30には、装置全体の動作を司るCPU(中央情報処理装置)32と、各種のデータが一時的に格納されるRAM(Random Access Memory)34と、装置全体を制御する制御プログラムを含む各種のプログラムやデータが記憶されるROM(Read Only Memory)と、各種のデータやプログラムが記憶されるHDD(Hard Disk Drive)と、が含まれ、これらがシステムバスなどのバス(Bus)40によって接続された一般的構成のコンピュータが形成されている。
【0019】
なお、CPU32で実行される各種のプログラムや、CPU32での処理に用いられるデータなどは、ROM36、HDD38に格納されているものであってもよいが、ネットワークなどの通信網、通信回線を介して装置外部からデータ信号として受信されるものであっても良く、DVD−ROMなどのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納された状態で提供されるものであっても良い。
【0020】
制御部30には、ユーザインターフェイス22に接続され、ユーザインターフェイス22のディスプレイ24への各種の情報及び操作画面の表示を制御する表示制御部42と、ユーザインターフェイス22に接続され、ディスプレイ24やハードウェアキー26の操作として入力される操作指示を検出する操作入力検出部44とを備え、これらがバス40に接続されている。
【0021】
また、制御部30には、原稿読取部12による光学的な画像の読み取り動作及び、原稿搬送部18による原稿送り動作を制御する読取制御部46と、画像形成部14による画像形成処理を制御する画像形成制御部48とを備えている。また、制御部30は、ネットワーク(通信網)50に接続され、ネットワーク50に接続された画像処理端末との間で通信データの送受信を行うネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)部52と、電話回線などの通信回線54に接続され、通信回線54に接続されているファクシミリ機能を備えた他のファクシミリ装置との間でファクシミリデータの送受信を行うファクシミリインターフェイス(ファクシミリI/F)部56とを備えている。
【0022】
制御部30では、表示制御部42を介したユーザインターフェイス22のディスプレイ24への操作画面の表示及び、各種のメッセージなどの情報の表示制御と、読取制御部46を介した原稿搬送部18を含む原稿読取部12の作動制御と、画像形成制御部48を介した画像形成部14の作動の制御と、ネットワークインターフェイス部52を介した通信データの送受信の制御と、ファクシミリインターフェイス部56を介したファクシミリデータの送受信の制御とを行う。また、制御部30では、CPU32が、操作入力検出部44によって検出される操作情報に基づくユーザインターフェイス22における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御が行われる。
【0023】
このように構成されている複合機10では、ディスプレイ24に複写機能を選択するコピーボタン、スキャナ機能を選択するスキャナボタン及び、ファクシミリ機能を選択するファックスボタンが含まれるメニュー画像が表示され、このメニュー画面から、何れかのボタンが操作されたことを検出すると、検出したボタン操作に応じた情報処理機能を実行する。
【0024】
例えば、複合機10では、コピーボタンの操作が検出されるとコピー機能(複写機能)を実行するコピーモードに移行にする。このときに、制御部30では、ディスプレイ24にコピーモード用の操作画面が表示され、この操作画面上で、複写枚数、倍率、記録紙サイズ、カラーモードか白黒モードかの各種の設定項目に対する設定値の設定(以下、パラメータの設定とする)がなされる。この後に、制御部30では、スタートボタンの操作が検出されると、原稿20に記録された画像を読み込んで、読み込んだ画像を記録紙に形成する。
【0025】
また、制御部30では、ファックスボタンが操作されたことを検出するとファクシミリ機能(ファクシミリ送信)を実行するファクシミリモードへ移行し、スキャナボタンが操作されたことを検出するスキャナ機能を実行するスキャナモードへ移行する。なお、複合機10のコピーモード、ファクシミリモード及びスキャナモードでの画像処理は、公知の構成を適用される。
【0026】
一方、複合機10では、予め情報処理機能及び、情報処理機能に対する各種の設定項目のパラメータ(設定値)を設定し、これらを一括した設定情報を実行条件として、ユーザからの指示によりHDD38等の記憶媒体に格納される。なお、以下では、この情報処理機能に基づく処理を実行するために設定する、複数の設定項目とその設定値の組み合わせを実行条件として記憶されるものとして説明する。この実行条件は、コピー機能(コピーモード)、ファクシミリ機能(ファクシミリモード)、スキャナ機能(スキャナモード)の何れかの情報処理機能(処理モード)と、その情報処理機能に適用する設定項目のパラメータ(設定値)が設定されている。このような複数の設定項目とその設定値のセットとしての実行条件を、再利用するために登録しておくような機能をジョブメモリと呼ぶ場合がある。また、登録した実行条件自体もジョブメモリと呼ぶ場合がある。
【0027】
すなわち、ユーザは、複数の情報処理機能のうちの何れかの情報処理機能を実行するにあたって、設定が必要な設定項目の設定値を入力・設定する。複数の設定項目に対して設定値を入力した場合に、後日、同じ設定を際利用したい場合には、複数の設定項目及び各設定項目の設定値の組み合わせからなる実行条件を、HDD38等に格納しておく。その際には、全ての設定項目を格納するのではなく、再利用を望む設定項目だけを選択して、選択された設定項目とその設定値を実行条件として記憶しておいても良い。さらに、このような情報処理機能に対する設定項目を登録する際に、何れの情報処理機能を実行するための条件であったかを、実行条件として記憶するようにしても良い。
【0028】
例えば、コピー機能を利用するために、コピー機能の設定項目として、複写倍率、読み込み原稿の片面/両面設定、濃度を設定したとする。そのうえで、このときの実行条件として、この場合には、複写倍率、片面/両面設定、濃度を、それぞれの設定値(パラメータ)と共にジョブメモリ(実行条件)として記憶される。このときに、記憶されるジョブメモリ(実行条件)がコピー機能のための設定であることを一緒に記憶しておいても良い。
【0029】
後日、同様の設定により、再度、コピー機能を利用したいユーザは、このときに記憶しておいたジョブメモリ(実行条件)を読み出し、設定項目ごとのパラメータに反映することで、同様のパラメータによって同じ出力が得られるようになる。再利用するに当たり、記憶しておいた実行条件呼び出されて処理に反映されるが、それ以外の設定項目については、その都度、ユーザが任意に設定することができても良い。さらに、呼び出された設定項目のパラメータについても、一旦、パラメータを反映した後で、ユーザにより設定変更が入力された場合には、新たに入力されたパラメータが反映されるものであっても良い。
【0030】
図3には、コピーモード、ファクシミリモード、スキャナモードのそれぞれに対する設定項目が示されている。複合機10では、コピーモード及びスキャナモードで、倍率設定、原稿の画質設定、濃度設定、シャープネス設定、読み込み原稿20の片面/両面の設定、原稿サイズ入力、わく消し設定、ページ連写設定、カラーモード設定、原稿20の地色除去設定などの設定項目に対する設定が可能であり、これらの設定項目が共通した設定項目となっている。また、コピーモードでは、これに加えて、記録紙への出力に対する設定項目として、アノテーション設定、ステープル設定、サンプルコピー設定、両面/片面出力設定などがあり、これらに対するパラメータの設定が可能となっている。
【0031】
また、複合機10では、ファクシミリモードで、倍率設定、原稿の画質設定、コピーモードの原稿濃度に対応する送信濃度設定、コピーモードの片面/両面設定に対応する両面原稿送り設定、コピーモードの原稿サイズに対応する読み取りサイズなどの設定項目の各パラメータの設定が可能となっており、これらの設定項目が共通した設定項目とみなすことができる。
【0032】
ジョブメモリには、これらの設定項目ごとのパラメータが設定される。制御部30では、登録されたジョブメモリを、呼び出す操作が検出されると、ジョブメモリのリストをディスプレイ24に表示する。
【0033】
図4には、ディスプレイ24上にジョブメモリを表示するグラフィカルユーザーインターフェイス(Graphical User Interface:GUI)60の一例を示している。GUI60では、ジョブメモリのリストとして、登録番号と登録名称が表示され、番号ボタン62を操作することにより、対応するジョブメモリが選択される。なお、ジョブリストが複数画面に亘るときには、アップボタン62A、ダウンボタン62Bを操作することにより、表示されるジョブメモリが切り換るなどの構成を適用することができる。
【0034】
ジョブメモリのリストを呼び出す操作は、例えば、ユーザインターフェイス22のディスプレイ24にソフトウェアキーとして表示してもよく、また、ハードウェアキー26として設けているものであっても良い。ディスプレイ24に表示するソフトウェアキーを用いるときには、コピーモード、スキャナモード、ファクシミリモードの何れかを選択可能にディスプレイ24に表示されるメインメニュー又は、コピーモード、スキャナモード、ファクシミリモードの何れかが選択されたときに、選択されたモードに応じてディスプレイ24に表示される設定メニュー上に、リスト表示用のボタンが表示されるものであればよい。本実施の形態では、一例としてハードウェアキー26を用いて説明する。
【0035】
ユーザインターフェイス22にジョブメモリを呼び出すハードウェアキー26A(図5(B)参照)が設けられているときには、例えば、ディスプレイ24に表示するメインメニューとして、図5(A)に示されるGUI64を用いることができる。
【0036】
このGUI64では、コピーモードを選択するコピーボタン66、ファクシミリモードを選択するファックスボタン68、スキャナモードを選択するスキャナボタン70などが表示される。なお、複合機10では、スキャナモードで読み込んだ原稿20の画像(画像データ)に対する処理として、複合機10のHDD38に保存するボックス保存と、指定された画像処理端末(パーソナルコンピュータなど)へ電子メールの添付ファイルとして送信するメール送信、指定された画像処理端末へ転送するPC保存が可能となっており、スキャナボタン70としてスキャナボタン70A、70B、70Cが表示される。
【0037】
また、図5(B)には、図5(A)のGUI64でスキャナボタン70Aが操作されたときのディスプレイ24の表示の一例とするGUI72が示されている。このGUI72では、宛先名となる電子メールアドレス(以下、メールアドレスとする)の入力が可能となっている。なお、メールアドレスは、宛先表ボタン74Aの操作によって予め設定されて記憶されている宛先表からの選択が可能であり、また、キーボードボタン74Bの操作によってハードウェアキー26又は、ディスプレイ24に例えばポップアップメニューとして表示するソフトウェアキーを用いた入力が選択される。
【0038】
このGUI72には、複数のタブ76(ここでは一例としてタブ76A、76B、76C、76D、76E)が設けられており、複合機10では、タブ76A〜76Eを選択しながら、それぞれのタブ76で表示される設定項目に対する設定値の設定が可能となっている。
【0039】
ここで、複合機10では、図5(B)のGUI72が表示されているときに、ハードウェアキー26に設けているジョブメモリボタン26Aが操作されたことを検出すると、登録済みのジョブリストのGUI60(図4参照)が表示され、予めジョブメモリに登録している設定値を用いた処理が可能となる。
【0040】
ところで、ジョブメモリは、情報処理機能(以下、処理モード)を指定して、指定した処理モードに対する設定項目の設定値を設定するようになっている。ここで、複合機10では、ジョブメモリで指定されている処理モードと異なる処理モードに対して、ジョブメモリの設定値を適用することができるようになっている。
【0041】
すなわち、複合機10では、コピーモードとして登録されたジョブメモリを用いて、このジョブメモリで設定されている設定値を、ファクシミリモード又はスキャナモードに適用されるように設定値の展開を行うようになっている。
【0042】
例えば、図3に示されるように、コピーモードとファクシミリモードとでは、倍率設定、原稿の画質設定、濃度設定、両面片面設定(両面原稿送り設定)、原稿サイズ入力設定(読み取りサイズ設定)の設定項目が共通している。また、コピーモードとスキャナモードとでは、倍率設定、原稿の画質設定、濃度設定、シャープネス設定、両面片面設定(両面原稿送り設定)、原稿サイズ入力設定(読み取りサイズ設定)、わく消し設定、ページ連写設定、カラーモード設定、地色除去設定の設定項目が共通している。
【0043】
ここから、複合機10に設けている制御部30では、異なる処理モードの間で共通していると見なせる設定項目に対する設定値の設定を共通して利用するように展開処理を行うようにしている。
【0044】
ここで、第1の実施の形態のおけるジョブメモリを用いた画像処理を説明する。
【0045】
図6には、このときの画像処理の概略を示している。制御部30では、ユーザインターフェイス22のディスプレイ24にメインメニューとなるGUI64を表示し(ステップ100)、ここから、ステップ102で何れかの処理モードが指定されたこをと検出すると、ステップ104で、指定された処理モードの操作画面(例えば、GUI72)を表示し、指定された処理モードへ移行する。
【0046】
この後、ステップ106では、ハードウェアキー26として設けているジョブメモリボタン26Aが操作されたことを検出したか否かを確認する。このときに、ジョブリストボタン26Aの操作が検出されなければ、ステップ106で否定判定してステップ108へ移行する。このステップ108では、マニュアル設定での各設定項目に対する設定値が設定されることにより、設定された設定値を用いた画像処理を実行する。
【0047】
また、ジョブメモリボタン26Aが操作されたことを検出したときには、ステップ106で肯定判定されてステップ110へ移行し、登録されているジョブメモリのリスト(GUI60)を表示する。
【0048】
ここで、ジョブメモリの表示が選択されたが、何れのジョブメモリも指定されず、キャンセル(リスト表示のキャンセル)されるなどしたときには、ステップ112で否定判定されてステップ108へ移行し、通常処理を実行する。
【0049】
これに対して、いずれかのジョブメモリが指定されたことを検出すると、ステップ110で肯定判定してステップ114へ移行する。このステップ114では、現在の処理モードと、選択されたジョブメモリで設定されている処理モードとが同じか否かを確認する。すなわち、ステップ104でコピーモードへ移行したときに、コピーモードに設定されているジョブメモリが指定されると、ステップ114で肯定判定してステップ116へ移行する。
【0050】
このステップ116では、ジョブメモリで設定されている設定値を、そのまま、画像処理を行う設定値として設定し、設定した設定値に基づいた画像処理を実行する(ステップ118)。
【0051】
これに対して、現在の処理モードと、指定したジョブメモリで設定されている処理モードと異なるときには、ステップ114で否定判定してステップ122へ移行する。このステップ112では、現在の処理モードの設定値として、ジョブメモリに登録されている設定項目と共通する設定項目の設定値(共通パラメータ)を適用するか否かの確認を促す表示を、ディスプレイ24に表示し、設定値の展開指示が入力されたか否かを確認する。
【0052】
例えば、複合機10がスキャナモードに移行しているときに、図4のGUI60上の1番に登録されているコピージョブのジョブメモリが指定されたときには、メモリジョブに登録された設定項目の設定値をスキャナモードで適用するか否かの確認を促す。図7(A)及び図7(B)には、このときにディスプレイ24に表示する確認画面の一例を示している。なお、この確認画面は、ポップアップ表示などでジョブリストに重ねて表示するなどの表示方法を適用することができる。
【0053】
図7(A)に示される、GUI78では、ジョブメモリをスキャナモードに展開するか否かのメッセージを表示すると共に、展開を指示するボタン80Aと、指定をキャンセルするボタン80Bが表示される。また、図7(B)に示されるGUI82では、パラメータが展開される設定項目を示すメッセージを表示している。
【0054】
ここで、ボタン80Aが操作されたことを検出すると、図6では、ステップ122で肯定判定されてステップ124へ移行する。このステップ124では、ジョブメモリで設定されている設定値を、スキャンモードのパラメータとして展開し、スキャンモードの設定項目の設定値を設定する。
【0055】
これにより、例えば、図5(B)に示されるように、スキャンモードの初期値として、カラーモードが白黒(2階調)、両面原稿送りが片面、原稿画質が文字、出力ファイル形式がTIFFと設定されているときに、図5(C)に示されるように、指定されたジョブメモリのパラメータに基づいて、カラーモードがフルカラー、両面原稿送りが片面、原稿画質が文字/写真、出力ファイル形式がPDFなどとして設定される。
【0056】
図6のフローチャートでは、この後、ステップ120へ移行して、設定した設定値を用いた処理が行われるようにする。なお、実際の処理においては、GUI72上で、パラメータを変更して使用することができる。
【0057】
なお、GUI78、82でボタン80Bの操作が検出されたときには、ステップ122で否定判定されてステップ108へ移行するようにしているが、これに限らず、例えば、ステップ110へ移行して、新たなジョブメモリの指定を促すようにし、新たなジョブメモリの指定がなされなかったときに、ステップ108へ移行するものであっても良い。また、図7(C)に示すGUI78Aのように、ボタン80Cを設けて、このボタン80Cが操作されたことを検出したときに、指定したジョブメモリで設定されている処理モード(ここでは、コピーモード)に切替えられるようにしても良い。
【0058】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態において、前記した第1の実施の形態と同等の構成には、同じ符号を付与してその説明を省略する。
【0059】
前記した第1の実施の形態では、処理モードが指定された状態でジョブメモリを指定したときの流れを説明したが、第2の実施の形態では、ジョブメモリを指定したときに、指定したジョブメモリの設定値を適用する処理モードを指定するときを例に説明する。
【0060】
図8には、このときの画像処理の一例を示している。このフローチャートは、処理モードの指定に先立って、ステップ130でジョブメモリを指定するメニュー画面が表示されることにより実行される。
【0061】
図9(A)には、このメニュー画面の一例としてディスプレイ24に表示されるGUI84が示されている。このGUI84には、ソフトウェアキーとしてジョブメモリボタン86が設けられており、このGUI84上でジョブメモリボタン86の操作が検出されることにより、登録されているジョブメモリのリストが表示される。
【0062】
図8のフローチャートでは、ジョブメモリボタン86が操作されたことを検出すると、ステップ132でジョブメモリのリストを表示する。
【0063】
図9(B)には、このジョブリストの一例としてディスプレイ24に表示するGUI60Aが示されている。第2の実施の形態では、ジョブメモリから処理モードを指定するようにしており、GUI60Aには、ジョブメモリで設定されている処理モードを指定する場合と、ジョブメモリで設定されている処理モード以外の処理モードを指定する場合とで操作が異なることを示すメッセージが表示されている。
【0064】
なお、ここで、本実施の形態では、一例として、そのまま、番号ボタン62を操作してジョブメモリを指定したときには、ジョブメモリで設定されている処理モードへ移行するようにし、また、ハードウェアキー26とし設けている♯キー26Bをファンクションキーとして、♯キー26Bを操作しながら又は♯キー26Bを操作した後に番号ボタン62を操作してジョブメモリを指定することより、指定したジョブメモリで設定されている設定値を展開する処理モードを指定できるようにしている。
【0065】
図8のフローチャートでは、ステップ134で他の処理モードへの展開する指示が検出されたか否かを確認する。このときに、ジョブメモリに登録されている処理モードでの処理を行うようにジョブメモリが指定されたことを検出すると、ステップ134で否定判定してステップ136へ移行する。このステップ136は、前記した図6のステップ108に相当し、指定されたジョブメモリに登録されている処理モードに移行し、ジョブメモリに登録されている設定値に基づいた画像処理を実行可能とする。
【0066】
これに対して、他の処理モードに展開する指示が検出されると、ステップ134で肯定判定してステップ138へ移行する。このステップ136では、設定値を展開する処理モードの指定を要求する。
【0067】
図10(A)には、このときにディスプレイ24に表示する選択画面の一例とするGUI88が示されている。なお、図10(A)では、図9(B)のGUI60で表示される1番に登録されているコピーモードのジョブメモリを指定したものとしている。
【0068】
このGUI88には、ソフトウェアキーとしてコピーボタン90A、ファックスボタン90B、スキャンボタン90Cが表示され、これに加えて、取り消しボタン90Dが表示されている。このときに、指定したジョブメモリがコピーモードのジョブメモリであることから、GUI88では、コピーボタン90Aの操作ができないようにしており、ファックスボタン90B又はスキャンボタン90Cの操作によって展開先の処理モードが指定される。なお、取り消しボタン90Dの操作が検出されたときには、ジョブメモリのリスト画面(GUI60A)へ戻る。また、このGUI88は、ポップアップ画面として表示されるものであっても良い。
【0069】
図8のフローチャートでは、ステップ140で処理モードの指定が検出されたか否かを確認し、処理モードの指定操作が検出されると、ステップ140で肯定判定してステップ142へ移行する。
【0070】
このステップ142では、ジョブメモリに登録されている設定値を、指定された処理モードへ展開するか否かの確認画面を表示し、パラメータの展開指示を検出したか否かを確認する。
【0071】
ここで、設定値の展開指示がなされたことを検出するとステップ142で肯定判定してステップ144へ移行する。このステップ144では、ジョブメモリに登録されている設定値のうち、展開先の処理モードで適用可能な設定項目の設定値を、展開先の処理モードの設定項目の設定値として設定する。すなわち、ジョブメモリに登録されている処理モードと、展開先とする処理モードとの間で、共通している設定項目(共通項目)に対する設定値が展開される。また、ステップ146では、指定された処理モードでの画像処理が可能となるようにする。なお、このステップ144、146は、図6のステップ124、120の処理に相当する。
【0072】
図10(B)には、展開確認画面の一例としてディスプレイ24に表示するGUI82Aを示している。このGUI82Aには、ボタン80A及びボタン80Bが表示され、設定値の展開を指示するか(ボタン80A)、処理の取り消しを行うか(ボタン80B)の選択を可能としている。なお、図10(B)では、ファクシミリモードが指定された場合を示している。
【0073】
図11には、ジョブメモリのパラメータが展開された一例とするファクシミリモードの操作画面とするGUI92を示している。このGUI92では、複数のタブ94(ここでは、タブ94A、94B、94C、94D)が設けられ、タブ94ごとに分類されている設定項目に対する設定値の設定が可能となっている。
【0074】
ここで、GUI92では、ジョブメモリに登録された設定値が展開されることにより、初期値に対する設定が、送信濃度設定が普通(中間)から僅かに濃く設定され、原稿画質設定が文字から文字/写真に設定され、さらに、送信画質設定が普通から高画質に設定された状態を示している。なお、設定された設定値は、GUI92上で変更することができる。
【0075】
このように、本発明の情報処理装置として適用した複合機10では、実行条件であるジョブメモリと、情報処理機能である処理モードが指定されたことが検出され、かつ、指定された処理モードとジョブメモリで設定されている処理モードが異なるときに、ジョブメモリに登録されている設定値を、指定された処理モードの設定値として展開して、指定された処理モードの設定項目の設定値として設定する。
【0076】
このとき、指定された処理モードと、ジョブメモリで設定されている処理モードとで共通している設定項目の設定値を、指定された処理モードの該当設定項目の設定値として設定するように設定値の展開を行うことができる。
【0077】
このようにして設定された設定値を用いることにより、例えば、コピーモードに設定されたジョブメモリの設定値を用いて原稿20を複写したときとの仕上がりが得られるように、スキャンモードによる画像データの保存、ファクシミリモードによる原稿画像の送信を行うことができる。
【0078】
複合機10では、ジョブメモリを、ジョブメモリに設定されている処理モードと異なる処理モードに適用するように指定することにより、ジョブメモリに登録されている設定値を、指定した処理モードに展開する。
【0079】
また、複合機10では、処理モードが指定されている状態で、処理モードの設定が指定されている処理モードと異なるジョブメモリを指定したときに、指定したジョブメモリの設定値を、指定されている処理モードに展開する。
【0080】
これにより、ジョブメモリの設定値を用いて、他の処理モードにおける処理を実行するための設定をすることが可能となる。
【0081】
なお、以上説明した本実施の形態では、電子写真プロセスを用いて画像を形成する複合機10を例に説明したが、本発明は、これに限らず、公知の方法で画像形成を行う画像処理装置に適用することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、複写機能、ファックス通信機能、スキャナ機能を備えた複合機10を例に説明したが、本発明は、例えば、複写機能とファクシミリ機能などの少なくとも2種以上の情報処理機能を備えた情報処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態に適用した複合機の要部の斜視図である。
【図2】複合機に設けられる制御部の要部の構成図である。
【図3】情報処理機能ごとの設定値の一部を示す図表である。
【図4】第1の実施の形態でジョブメモリの指定に用いる表示画面の一例を示す構成図である。
【図5】(A)はメインメニューの一例を示す構成図、(B)は設定値として初期値が設定されたスキャナモードの操作画面の一例を示す構成図、(C)は(B)から設定値としてジョブメモリの設定値が設定されたスキャナモードの操作画面の一例を示す構成図である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像処理の一例を示す流れ図である。
【図7】(A)から(C)はそれぞれ確認画面の適用例を示す構成図である。
【図8】第2の実施の形態に係る画像処理の一例を示す流れ図である。
【図9】(A)はジョブメモリの読み出しに用いるメニュー画面の一例を示す構成図、(B)はジョブメモリの指定に用いる表示画面の一例を示す構成図である。
【図10】(A)及び(B)は確認画面の適用例を示す構成図である。
【図11】設定値としてジョブメモリの設定値が設定されたファクシミリモードの操作画面の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0084】
10 複合機(情報処理装置)
14 原稿読取部(情報処理手段)
16 画像形成部(情報処理手段)
22 ユーザインターフェイス
24 ディスプレイ
26 ハードウェアキー
30 制御部(情報処理手段、検出手段、設定手段、実行条件指定手段、情報処理機能指定手段)
44 操作入力検出部(検出手段)
48 画像形成制御部(情報処理手段)
52 ネットワークインターフェイス部(情報処理手段)
56 ファクシミリインターフェイス部(情報処理手段)
60、60A GUI(実行条件指定手段)
64 GUI
72、92 GUI
78、78A、82 GUI
84 GUI
88 GUI(情報処理機能指定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理機能の実行のために設定される複数の設定項目と各設定項目の設定値とを対応付けた実行条件を記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記記憶媒体に記憶された前記実行条件を指定可能な指定手段と、
複数の前記情報処理機能から処理を実行する情報処理機能を指定する機能指定手段と、
前記指定された前記実行条件に含まれる前記設定項目のうち、前記指定された情報処理機能において設定可能な設定項目の前記設定値を、前記指定された前記情報処理機能の該当設定項目の設定値に設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された前記設定値に基づいて前記指定された情報処理機能を実行する実行手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段が、さらに、前記設定項目に対する前記情報処理機能の種別を対応付けて前記実行条件を記憶することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定手段が、前記機能指定手段によって指定された前記情報処理機能と、前記記憶手段に前記指定された前記実行条件に対応付けられた前記情報処理条件とが異なる場合に、両方の情報処理機能の間で共通の前記設定項目に対して、前記指定された実行条件に含まれる前記設定値を、前記指定された情報処理機能の設定値に設定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
情報処理機能の実行のために設定される複数の設定項目と各設定項目の設定値とを対応付けた実行条件を記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記記憶媒体に記憶された前記実行条件を指定可能な指定手段と、
複数の前記情報処理機能から処理を実行する情報処理機能を指定する機能指定手段と、
前記指定された前記実行条件に含まれる前記設定項目のうち、前記指定された情報処理機能において設定可能な設定項目の前記設定値を、前記指定された前記情報処理機能の該当設定項目の設定値に設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された前記設定値に基づいて前記指定された情報処理機能を実行する実行手段と、
して機能させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−157890(P2010−157890A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334899(P2008−334899)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】