説明

情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラム

【課題】記録メディア上に格納されているAVストリームを再生専用の規格フォーマットに抵触しないように編集処理する。
【解決手段】ストリーム・ファイルの中間部分の削除を行なうとき、元のクリップAVストリーム・ファイルを削除区間で分割し、ファイル毎にATCは単一とする。また、プレイリストの中間部分でプレイ項目を削除する際には、削除して残った前側の最後のプレイ項目において直前のプレイ項目とのシームレス再生の設定を解除するとともに、削除して残った後ろ側の先頭のクリップ情報ファイルにおいて直前のプレイ項目とのシームレス再生の設定を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録メディアに記録されている情報コンテンツの編集処理を行なう情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、例えば、ビデオカメラで撮影して記録メディア上に格納されているAVストリームなどのコンテンツを編集処理する情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、記録メディア上に格納されているAVストリームなどのコンテンツを再生専用の規格フォーマットに抵触しないように編集処理する情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、再生専用機器との互換性を維持するとともに、ストリームのフォーマットに従いながら記録メディア上のコンテンツを削除編集する情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk)といった光学的読み取りを応用したディスク型記録メディア(以下では、「光ディスク」と呼ぶ)が、コンピュータ・ファイルや動画像ストリームの保存用途として、急速に普及してきている。光ディスクは、記憶容量が大きく、ランダム・アクセスが可能である。また、接触型の磁気記録メディアとは異なり、読み取りによる記録面の摩耗や損傷、ヘッド・クラッシュなどの心配がない。また、ディスク表面は頑丈であり、偶発的なデータ消失の危険性も低い。近年では、コンピュータ用の外部記録メディア並びに外部記憶装置としても広く利用に供されている。
【0004】
ディスク型記録メディアはランダム・アクセスが可能であるから、AVストリームを記録した場合、好きなシーンを効率的に見つけ出すことができるとともに、データへのアクセスは非接触であるからメディアを劣化させることなく利用することができる。
【0005】
また最近では、ディスク型記録メディアの記録容量の増大に伴って、従来の録画テープに代わってディスクに動画像を保存するタイプのビデオカメラが出現してきている(例えば、特許文献1を参照のこと)。例えば、DVDビデオカメラは、2000年の発売以来、画質の良さや編集ができるなどの使い勝手の良さから年々ユーザが拡大してきている。
【0006】
ユーザの利便性を考慮すると、記録用途では、ビデオカメラなどで撮影した動画像ストリームを記録若しくは再生区間毎に部品化して一部の部品を削除するなどの編集ができることが望ましい。他方、記録並びに編集操作を行なった記録メディアを、記録機から随時取り出し、家庭内の再生専用装置に装填して再生し、撮影した動画像をTVモニタ上で観てみたいという要望がある。
【0007】
そこで、ビデオカメラ向けの用途を主目的とした規格として、AVCHD(Advanced Video Coding High Definition)では、記録互換、追記互換機能を追加して、高解像度(High Definition:HD)ビデオカメラ用のデータ・フォーマットなどに関する仕様の策定を行なっている。
【0008】
また、ストリームの一部分の区間の削除編集には、再生リストからの参照を消去してユーザからタイトルが見えなくなるだけでストリーム・データをメディア上に残したままとする非破壊編集と、メディアに記録したストリーム・データ自体を削除して記録容量を復活させる破壊編集があるが、後者においてはストリーム・フォーマット上の問題がある。この点について以下に説明する。
【0009】
AVCHDのストリーム・ファイル形式として既にMPEG(Moving Picture Experts Group)−2 Systemが決定している。MPEG仕様によれば、音声及び動画像パケット間で同期をとるために、幾つかのタイムスタンプ情報が使用される。
【0010】
MPEG2 SystemにはPS(Program Stream)ストリームとTS(Transport Stream)ストリームの2種類があるが、ここではTSストリームに4バイトのTP_extra_header()が付加されたパケット構造が使用される。TSストリームは、ビデオ及び音声データを固定バイト長のTSパケットに分割して構成される。ストリームを再生する際には、一旦バッファに入力されてから復号されるので、バッファの状態を考慮に入れて時間間隔を調整しなければ、受信機のバッファにおけるオーバーフローやアンダーフローを招来し、ストリーム再生のシームレス性が阻害される。このため、ストリーム・データを記録メディアに記録しあるいは記録メディアから再生する際には、適当なデータ再生のためのデータの到来時間に関する情報が必要である。そこで、TSフォーマットで伝送されるすべてのパケット・データには、データ到来時間に関するタイムスタンプ(ATS)が挿入され、また、パケット・データは到来時間に関する情報に基づいて再生される。
【0011】
ストリームを記録する際には特定の時間間隔で受信したパケット・データを記録メディア上に記録するが、記録されたパケット・データを再生するには、再生機器の復号器に先の特定の時間間隔と同じ時間間隔でパケット・データを送信するためのカウンタが必要である。このようなカウンタは到来時刻クロック(ATC)カウンタと呼ばれ、パケット・データにはそのカウンタ値が挿入されている。記録されたパケット・データを再生するには、復号器のバッファにパケット・データを送信すべき時間間隔はパケット・データに含まれているカウンタ値に基づいて決定される。ATCカウンタによって生成されるカウンタ値に基づいて、パケット・データにはATSが付け加えられるとともに、データ再生の際にはATSに基づいてパケット・データが出力される。AVCHD規格では、1つのストリーム・ファイル内でATCが単一であることを規定しており、ATSは連続的に単調増加する。
【0012】
ストリームの削除編集に話を戻すと、破壊編集により削除編集を行なう区間がストリームの中間部分である場合には、残ったストリームの前半の最後尾のパケット・データが持つATSと後半の先頭のパケット・データが持つATSは不連続となるから、ストリーム・ファイル内でのATCの単一性を保つことができなくなってしまう。
【0013】
【特許文献1】特開2004−120364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、例えば、ビデオカメラで撮影して記録メディア上に格納されているAVストリームなどのコンテンツを好適に編集処理することができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、記録メディア上に格納されているAVストリームなどのコンテンツを再生専用の規格フォーマットに抵触しないように編集処理することができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0016】
本発明のさらなる目的は、再生専用機器との互換性を維持するとともに、ストリームのフォーマットに従いながら記録メディア上のコンテンツを削除編集することができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、記録媒体に記録された1以上のAVストリームの編集制御を行なう情報処理装置であって、
記録媒体上に記録されている各AVストリーム・ファイルと対で存在するAVストリームの属性を定義する属性定義ファイルと、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する複数の再生区間データからなる再生リストを編集する編集制御手段と、
ユーザからの削除編集指示に応答して、該当する削除区間の再生区間データの削除編集処理を行なう削除編集手段を備え、
各再生区間データは、直前の再生区間データとの接続条件を有し、
前記編集制御手段は、前記削除編集手段により削除される再生区間データの接続条件がシームレス再生可能な条件か否かを判別し、該判別結果に応じて、その直前に位置する再生区間データに対応する属性定義ファイルの内容を修正する、
ことを特徴とする情報処理装置である。
【0018】
本発明に係る情報処理装置において編集対象となるAVストリームは、例えばビデオカメラで撮影した動画像データであり、連続同期再生すなわち実時間再生が保証された再生が必要な単位となるデータのまとまり、すなわちクリップとして記録される。クリップは、動画像データ本体である(クリップ)AVストリーム(ClipAVStream)と、(クリップ)AVストリームに関する各種属性を定義する属性定義ファイルとしてのクリップ情報ファイル(ClipInformation)の対で構成される。また、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する再生区間データはプレイ項目(PlayItem)と呼ばれ、複数のプレイ項目を時間軸上に並べてそれぞれの再生区間の再生順序を指定する再生リストは、ユーザに見せるタイトルすなわちプレイリスト(PlayList)となる。
【0019】
再生リストには、前記の再生区間データを並べた時間軸上で、ユーザのエントリ位置となる1以上のマークが置かれ、隣接するマーク間の区間及び最後のマークから最後の再生区間データの終端までの区間がチャプタを構成し、ユーザからの削除編集指示はチャプタ単位で行なわれる。また、再生リストには、記録メディアにストリームを記録する順に従って属性定義ファイルの対応する区間を再生区間データに逐次登録して構成されるオリジナル・タイトル用の実再生リストと、いずれかの実再生リストに登録されている属性定義ファイルの区間を参照する1以上の再生区間データを非破壊編集により作成されたユーザ定義の仮想再生リストの2種類がある。
【0020】
そして、ユーザが実再生リストの削除を指示したときには、前記ストリーム削除編集手段が該当するストリーム・ファイル及び属性定義ファイルの削除区間を削除してから、前記削除編集手段が該再生リスト内の削除区間の再生区間データを削除する。他方、ユーザが仮想再生リストの削除を指示したときには、前記削除編集手段が該再生リスト内の削除区間の再生区間データのみ削除する。
【0021】
本発明は、具体的には、AVCHD規格に則って記録メディア上に記録されているAVストリームに対し、AVCHDフォーマットを遵守しながら削除編集を行なう情報処理装置に関する。
【0022】
AVCHDのストリーム・ファイル形式として既にMPEG−2 Systemが決定されているが、記録メディア上のストリームを破壊編集による削除編集した際には、MPEG−TSストリームに含まれるタイムスタンプ情報の不整合を回避する必要がある。
【0023】
これに対し、本発明に係る情報処理装置は、タイムスタンプ情報を始めとして、削除した後に残ったストリームに対応する属性定義ファイルの整合をとるための処理を行なうようになっている。具体的には、ストリーム・ファイルの中間部分の削除を行なうとき、元のAVストリーム・ファイルを削除区間で2つのファイルに分割することで、分割された双方のストリーム・ファイルにおいてATSが連続的となり、ファイル毎にATCは単一となるから、削除した後に残るストリームのタイムスタンプ情報に関する属性定義ファイルの整合をとることができる。
【0024】
また、属性定義ファイルは、対応するストリーム・ファイル内でランダム・アクセス可能となる各エントリ・ポイント(EP)に関する情報を並べたEP_mapを含んでいるが、前記削除編集手段は、削除区間よりも後方のEP_mapにおいて、削除区間の分だけ先頭からのオフセットを修正することによって、属性定義ファイルの整合をとるようにしている。
【0025】
また、属性定義ファイル内では各EP区間に対応するストリームのSTC(Ssytem time clock)の情報をSTCシーケンスとして管理しているから、前記削除編集手段は、ストリーム・ファイルの削除区間以降に対応する属性定義ファイルにおいて、STCシーケンスを修正する。具体的には、削除位置がSTCシーケンス境界でなければ、前記削除編集手段は、属性定義ファイルを分割して、削除位置以前のSTCシーケンスを削除し、削除位置以降のSTCシーケンスのうち先頭からのオフセットを削除した長さの分だけ修正する。
【0026】
破壊編集により実再生リストの削除編集を行なう場合、前記削除編集手段は、ストリーム・ファイル及び属性定義ファイルの該当する削除区間についての削除編集処理を行なった後に、再生リストの削除編集を行なう。
【0027】
ここで、ストリーム・ファイルの破壊編集を行なうと、同じ区間を参照している仮想再生リストにも影響が及ぶ。このため、前記削除編集手段は、同じ削除区間を参照している仮想再生リストに関しても削除編集を行なうようにする。
【0028】
また、前記削除編集手段は、ユーザが削除区間として指示したチャプタのマーク位置が再生区間データの境界と一致しない場合には、削除区間を含む再生区間データをマーク位置で一旦分割してから、削除区間に含まれる再生区間データの削除編集を行なうようにする。
【0029】
再生区間データは直前の再生区間データとの接続条件がシームレス再生可能かどうかを示す情報を持ち、属性定義ファイルは直後のクリップとの接続条件がシームレス再生可能かどうかを示す情報を持っている。前記編集制御手段は、3以上の再生区間データからなる再生リストにおいて前記時間軸上で中間部分の再生区間データを削除する際には、削除して残った後ろ側の先頭の再生区間データにおいて直前の再生区間データとのシームレス再生の設定を解除するとともに、削除して残った前側の最終の属性定義ファイルにおいて直後のクリップとのシームレス再生の設定を解除して、シームレス再生の設定に関して整合性をとる必要がある。
【0030】
また、前記削除編集手段は、削除区間の再生区間データを削除した結果、再生リストの先頭にマークがなくなるときには、削除後に先頭となる再生区間データの始端にマークを付与する必要がある。
【0031】
また、再生リスト内の再生区間データは前記の時間軸上で連続的となるシーケンス番号を持ち、各マークは自分が属する再生区間データのシーケンス番号を参照情報として保持している。したがって、前記編集制御手段は、削除区間となるチャプタを削除した以降のマークのシーケンス番号への参照情報を、削除した再生区間データの個数に応じて修正する必要がある。
【0032】
また、本発明の第2の側面は、記録媒体に記録された1以上のAVストリームの編集制御を行なうための処理をコンピュータ上で実行させるようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに対し、
記録媒体上に記録されている各AVストリーム・ファイルと対で存在するAVストリームの属性を定義する属性定義ファイルと、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する複数の再生区間データからなる再生リストを編集する編集制御手順と、
ユーザからの削除編集指示に応答して、該当する削除区間の再生区間データの削除編集処理を行なう削除編集手順を備え、
各再生区間データは、直前の再生区間データとの接続条件を有し、
前記編集制御手順では、前記削除編集手順において削除される再生区間データの接続条件がシームレス再生可能な条件か否かを判別し、該判別結果に応じて、その直前に位置する再生区間データに対応する属性定義ファイルの内容を修正する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0033】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータにインストールすることによって、コンピュータ上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る情報処理装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、記録メディア上に格納されているAVストリームなどのコンテンツを再生専用の規格フォーマットに抵触しないように編集処理することができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0035】
本発明によれば、記録メディアの記録容量が復活すべき破壊編集での削除を行なう際に、ある1つのAVストリームの中間部分が削除すべき区間となる場合であっても、AVストリーム・ファイルのATCが単一であるというROM規格フォーマットの制約を遵守しながら編集処理を実現することができる。
【0036】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0038】
A.システム構成
図1には、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の機能的構成を模式的に示している。
【0039】
図示の情報処理装置10は、カメラ・ブロック11で撮影した動画像ストリームを符号化部12でビデオ・コーデックで符号化した上でMPEG−TSストリームに多重化して、これを記録部14に装填された記録メディア14−1に記録するビデオカメラとして構成されている。但し、ビデオカメラであることは必須でなく、LANやその他の伝送メディアを介して動画像ストリームを受信する情報処理装置であってもよく、また、適切なコーデックで符号化されたTSストリームを受信する場合には、符号化部12を省略し、代わりにストリーム受信部(図示しない)を備えた構成となる。また、記録メディア14−1はDVDに限定されるものではなく、ストリーム・ファイルを蓄積することができる充分な記録容量があればメディアの種別は特に問わない。
【0040】
中央処理部15は、RAM(Random Access Memory)な度で構成される一時記憶媒体16に実行プログラムをロードするとともにシステム変数や環境変数を一時的に格納しながら、プログラムを実行するという形式で当該情報処理装置10全体の処理動作を統括的にコントロールする。ここで言う処理動作としては、カメラ・ブロック11における動画像撮影やこれに伴うオート・フォーカス機能、自動露光、手振れ補正、オート・シャッターといったカメラ・ワーク、符号化部12における圧縮や多重化処理、記録部14における記録メディア14−1への動画像ストリームの記録、並びに記録メディア14−1上に記録されたストリームの編集処理などである。
【0041】
ここで言うストリームの編集処理は、記録メディア上のストリームの一部の区間の削除や、ストリームを部品化して移動や並べ替えなどの編集などのことである。また、編集処理には、記録メディア上のストリーム自体を加工する破壊編集と、ストリームの再生区間への参照情報のみを編集する非破壊編集の双方を含む。本発明の特定の実施形態としては、AVCHD規格に則った形式、すなわちAVCHD再生専用機器と互換性のある形式で記録メディア14−1へのストリームの記録や編集処理が行なわれるが、この点の詳細については後述に譲る。
【0042】
符号化部12は、動画像ストリームをAVC方式で符号化して、MPEG2 System形式に多重化して、固定バイト長のTSパケットからなるTSストリームを出力する。(あるいは、LANなどの伝送メディアを介して外部装置からTSパケットを受信する。)TSパケットは、ストリーム・バッファ13に一旦格納され、記録部14が記録メディア14−1上に記録する。記録部14が符号化部12からTSパケットを受信する時間間隔は区々である。
【0043】
記録されたストリームを再生する際には、メディアから読み出したTSパケットを一旦バッファ(図示しない)に入力してから復号されるが、再生機器の復号器バッファがオーバーフローやアンダーフローを生じないよう、このバッファの状態を考慮に入れて時間間隔を調整しながら受信側へパケット・データを送信する必要がある。このため、記録器へ伝送する各パケット・データの到来時間に関する情報すなわちATSがすべてのパケットに挿入され(周知)、また、パケット・データは到来時間に関する情報に基づいて再生される。
【0044】
記録部14はストリーム・バッファ13を介してTSパケット・データを特定の時間間隔で受信すると、これを記録メディア14−1上に記録する。記録されたTSパケットを再生するには、再生機器側の復号器に先の特定の時間間隔と同じ時間間隔でパケット・データを送信するための到来時刻クロック(ATC)カウンタが必要である。このため、記録メディア14−1上にTSストリームを記録する際には、ATCカウンタによって生成されるカウンタ値に基づいて、各TSパケットにATSを付け加える。また、データ再生の際には、ATSに基づいてTSパケットが順次出力されることになる。
【0045】
B.データ・フォーマット
ビデオカメラで撮影した動画像データは、クリップAVストリームと、その属性を定義するクリップ情報ファイルの対からクリップとして記録される。図2には、記録メディア14−1にデータを記録するためのデータ構造の一例を示している。図示のように、ビデオカメラで撮影した動画像ストリームをMPEG−TSストリームに多重化して記録する際に、インデックス(index)、動画像オブジェクト(MovieObject)、プレイレスト(PlayList)、クリップ情報(ClipInformation)、クリップAVストリーム(ClipAVStream)という各種別のファイルが用いられる。
【0046】
【表1】

【0047】
インデックスのファイル種別レイヤで記録メディア4−1全体が管理されている。ユーザに見せるタイトル毎にインデックス・ファイルが作成され、動画オブジェクトとの対応関係を管理している。ここで言う「タイトル(Title)」とは、(ユーザが認識できる)再生リストの集合体であり、一般的には1つの番組や日付毎のコンテンツからなる。記録メディアをプレーヤに装填した際にはまずインデックスが読み込まれ、ユーザはインデックスに記述されたタイトルを見ることができる。
【0048】
動画オブジェクトは、再生制御を行なうためのコマンドの集合体であり、タイトルが指定されたときに再生されるプレイリストを管理しているファイルである。動画オブジェクトへの参照は、タイトルの入り口としてインデックスに列挙されている。
【0049】
プレイリストは、ユーザに見せるタイトルに対応して設けられ、1以上のプレイ項目(PlayItem)で構成される。各プレイ項目は、クリップに対する再生開始点(IN点)と再生終了点(OUT点)からなる再生区間データを持つことで、クリップAVストリームの再生区間を指定している。そして、プレイリスト内で複数のプレイ項目を時間軸上に並べることで、それぞれの再生区間の再生順序を指定することができる。また、1つのプレイリストに含まれるプレイ項目軍に対応する実体が1つのクリップAVストリーム・ファイルとは限らず、互いに異なるクリップを参照するプレイ項目を1つのプレイリストに含めることができる。
【0050】
クリップとプレイリスト間の参照関係は、自由に設定することができる。例えば、1つのクリップに対する参照を、IN点及びOUT点の異なる2つのPlayListから行なうことができる。さらに、タイトルと動画像オブジェクト間での参照関係も自由に設定することができる。プレイリストは、クリップとの参照関係に応じて、実プレイリスト(RealPlayList)と仮想プレイリスト(VirtualPlayList)の2種類に大別される。
【0051】
実プレイリストは、オリジナル・タイトル用のプレイリストであり、ビデオカメラにより録画・撮影した映像ストリームについてのプレイ項目を記録した順に記録している。
【0052】
仮想プレイリストは、非破壊編集によりユーザ定義の再生リストを作成するためのプレイリストであり、仮想プレイリスト独自のクリップを持たず、同リスト内のプレイ項目はいずれかの実プレイリストに登録されているクリップ又はその一部の範囲を指している。すなわち、ユーザは複数のクリップから必要な再生区間のみを切り出して、これらを指す各プレイ項目を取りまとめて仮想プレイリストを編集することができる。
【0053】
クリップは、連続同期再生すなわち実時間再生が保証された再生が必要な単位となるデータのまとまりとして記録された動画像データのファイルであり、クリップAVストリーム・ファイル(Clip AV Stream)とクリップ情報ファイル(Clip Information)からなる。
【0054】
コンテンツ・データとしてのクリップAVストリームは、MPEG−TS形式で記録メディア4−1に記録されたストリームが格納されているファイルである。AVCの画像データはこのファイル内に格納される。
【0055】
クリップ情報ファイルは、クリップAVストリーム・ファイルと対で存在し、実際のストリームを再生する上で必要となるストリームに関する属性を定義するファイルである。具体的には、ストリームの符号化方法、ストリームのサイズ、再生時間→アドレス変換、再生管理情報、タイムマップ(DVDの場合)などを定義する情報がクリップ情報ファイルに含まれる。
【0056】
続いて、ビデオカメラによる録画・撮影に従ってクリップAVストリームのクリップとともにプレイリストが生成される手順の一例について、図3A〜Dを参照しながら説明する。
【0057】
ユーザが録画開始してから録画停止する区間毎にプレイ項目が1つずつ作成される。また、録画・撮影したストリームの区切りで1つのクリップAVストリーム・ファイルとなり、これに伴ってクリップ情報ファイルも作成される。1つのクリップは連続同期再生すなわち実時間再生が保証された再生が必要な単位となる。どのような操作でストリームを区切るかは本発明の要旨に直接関連しないので、ここでは説明を省略する。また、1つのクリップAVストリーム・ファイルを2以上のファイルの分割することもできるが、この点については後述に譲る。
【0058】
また、ユーザが録画を開始する度に、プレイ項目の先頭には、マーク(entry mark、PlayListMarkの一種)が付け加えられる。1つのプレイリスト内では、プレイ項目やMarkには、連続的となるシーケンス番号が付与されている。動画像プレイリストの先頭には必ずエントリ・マーク(entry mark)が打たれるという制約があるが、所定の編集操作により時間軸上でエントリ・マークの位置を移動させることができる。各エントリ・マークは、ユーザがストリームにアクセスするエントリ位置となり、隣接するエントリ・マーク間で仕切られる区間(並びに最後尾にMarkがない場合は最後のMarkから最後尾のプレイ項目の終端の区間)がユーザから見える最小の編集単位すなわち「チャプタ」となる。プレイ項目を再生順に並べることと、エントリ・マークを再生順に並べることでプレイリストの再生順序が定義される。
【0059】
あるプレイリストを再生する際、2つのクリップAVストリームをまたいで連続再生すると、復号器が持つ内部バッファがオーバーフローする可能性があることから、通常、前のストリームの再生を一旦終えてから次のストリームの再生を行なう。このため、ストリームの切換りでは画面が一瞬フリーズする。
【0060】
これに対し、ある特定の条件を満たす場合には、ストリームをまたいで連続再生する「シームレス再生」が可能である。シームレス再生が可能なストリームを作成するためには、前のクリップAVストリームを記録し終わった時点でのバッファの状態を次のクリップAVストリームの記録開始時に符号化器に伝えて、所定のバッファ・モデルが破綻しないように符号化する方法が挙げられる。シームレス再生可能なストリームを符号化するための情報、すなわちシームレス情報は、符号化方式や機器のシステム仕様によって異なるが、おおよそ下表に示すものが挙げられる。
【0061】
【表2】

【0062】
コンテンツのタイトルすなわち1つのプレイリストが複数のプレイ項目で構成される場合、プレイ項目内には、直前のプレイ項目への接続条件(Connection Condition(CC)フラグ)すなわちクリップAVストリームをシームレス(連続)再生することが可能であるかどうかが記載されている。また、クリップ情報ファイルには、後続のクリップ情報ファイルのファイル名と接続条件が記載されている。後続のクリップ情報ファイルへの接続条件はConnection Conditionフィールドに記載されている値で示され、Connection Condition=1で不連続、5並びに6で連続である(クリップ情報ファイルは5の場合のみConection Conditionが記載される)。
【0063】
C.記録メディア上のコンテンツの削除編集
ディスク型の記録メディアに関してビデオカメラ向けの用途を考えた場合、記録用途では、ビデオカメラなどの記録機上で撮影したコンテンツの削除などの編集ができることが望ましい。他方、記録メディアをビデオカメラから随時取り出してAVCHD再生専用機器で動画再生することを考慮すると、その編集結果が再生専用フォーマットに抵触しないこと、具体的にはAVCHD仕様のビデオカメラ上で編集したデータ構造がAVCHD規格を遵守していることが好ましい。
【0064】
以下では、とりわけ削除編集する場合に着目して、AVCHD規格を遵守しながら記録メディア上のデータを編集する処理について詳解する。
【0065】
C−1.プレイリストの削除編集
まず、記録メディア上に図4に示すようなファイル構造で記録が行なわれている場合を想定する。図示の例では、記録メディア上には、タイトルとして動画像プレイリスト#10と動画像プレイリスト#11が保存されている。
【0066】
動画像プレイリスト#10はプレイ項目#0〜#2からなり、このうちプレイ項目#0〜#1はクリップ#20として格納されているクリップAVストリームが実体であり、プレイ項目#2はクリップ#31として格納されているクリップクリップAVストリームの先頭から一部の区間が実体である。また、図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#3が各チャプタへのエントリ位置であり、隣接するプレイリスト・マーク間、並びに最後のプレイリスト・マークから最後のプレイ項目の終端までの間が当該動画像プレイリスト#10のチャプタとなる。
【0067】
一方、動画像プレイリスト#11はプレイ項目#0〜#1からなり、クリップ#31として格納されているクリップAVストリームのうち、動画像プレイリスト#10で使用した以降の区間がそれぞれのプレイ項目の実体である。また、図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#2が各チャプタへのエントリ位置であり、隣接するプレイリスト・マーク間、並びに最後のプレイリスト・マークから最後のプレイ項目の終端までの間が当該動画像プレイリスト#11のチャプタとなる。
【0068】
プレイリスト中からのプレイ項目の削除は、プレイリストが仮想プレイリスト又は実プレイリストのいずれであるかによって、処理方法が異なる。仮想プレイリストにおけるプレイ項目の削除はプレイ項目のファイル削除にとどまる非破壊編集であり、プレイ項目が指すクリップ情報ファイル及びクリップAVストリームはディスクに保存されたままである。これに対し、実プレイリストにおけるプレイ項目の削除は、クリップAVストリームの該当する区間の実体を削除(破壊編集)して、記録容量を復活させる。
【0069】
図5には、仮想プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示している。但し、ユーザの編集単位はプレイ項目でなくチャプタであるが、図5では便宜上プレイ項目の両端とプレイリスト・マーク位置が一致している例を挙げている。
【0070】
図5Aに示したファイル構造(図4と同様)において、動画像プレイリスト#10の先頭に該当するプレイ項目#0を削除する。動画像レイリスト#10は非破壊編集によるユーザ定義で作成された再生リストからなる仮想プレイリストであり、このプレイリストに含まれるプレイ項目は複数のクリップAVストリームすなわちクリップ#20とクリップ#31を指している。したがって、各プレイ項目はクリップ#20とクリップ#31の実体を持つ訳ではなく、プレイ項目#0の削除はプレイ項目#0自体の削除にとどまり、これに関連するクリップAVストリームの実体削除(破壊編集)は行なわれない(図5Bを参照のこと)。
【0071】
また、図6には、実プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示している。すなわち、図6Aに示したファイル構造(図4と同様)において、動画像プレイリスト#11の先頭に該当するプレイ項目#0を削除する様子を示している。但し、ユーザの編集単位はプレイ項目でなくチャプタであるが、図6では便宜上プレイ項目の両端とプレイリスト・マーク位置が一致している例を挙げている。
【0072】
動画像プレイリスト#11は、実プレイリストであり、単一のクリップAVストリームすなわちクリップ#31を持っている。したがって、プレイ項目#0の削除はプレイ項目#0を削除するとともに、クリップAVストリームの該当する区間の実体を削除(破壊編集)して、記録容量を復活させる(図6Bを参照のこと)。
【0073】
クリップAVストリーム・ファイルの中間部分の削除によりその削除区間の前後でファイル分割すると、対をなすクリップ情報ファイルも同様にファイル分割する。したがって、クリップAVストリーム・ファイルの中間部分の削除はクリップ情報ファイルの増加を伴う。図6Bに示した例では、元のクリップ#31は、中間部分が削除編集された後はその区間より前側だけのクリップAVストリーム・ファイルとなり、また、削除編集された以降の区間では新しいクリップ#192が作成される。削除区間の前側と後ろ側でファイル分割を行なうのは、クリップAVストリームが持つタイムスタンプ情報の整合をとるためであるが、この点の詳細については後述に譲る。
【0074】
また、図6では便宜上プレイ項目の両端とプレイリスト・マーク位置が一致している例を挙げて説明したが、ユーザが削除区間として指示したチャプタのエントリ・マーク位置がプレイ項目の境界と一致しない場合には、削除区間を含むプレイ項目をエントリ・マーク位置で一旦分割してから、削除区間に含まれるプレイ項目(並びにクリップの該当する区間)の削除編集を行なう。このため、プレイ項目の削除編集は、処理の途中でプレイ項目数の増加を伴う。
【0075】
図7に示す例では、動画像プレイリスト#10は、プレイ項目#1とPlyaItem#2からなり、プレイ項目#0には先頭と中間位置にプレイリスト・マークPLM#0及びPLM#1が打たれているとともに、プレイ項目#2の先頭にPLM#2が打たれている。そして、クリップAVストリームの実体としてクリップ#20を持っている。ここで、図7Aに示すように、PLM#1〜PLM#2で区切られるチャプタが削除区間として指定されたとする。このような場合、図7Bに示すように、一旦プレイ項目#0をPLM#1の位置で2つに分割する。そして、図7Cに示すように、削除区間となったプレイ項目を削除し、これに伴って、不要となったプレイリスト・マークも削除する。また、クリップAVストリーム・ファイルも中間部分が削除区間となっているので、クリップも削除区間の前側と後ろ側で2つに分割され、新たなクリップ#31が作成される。
【0076】
また、図6に示した例では、プレイリスト内の先頭のプレイ項目を削除しているが、3以上のプレイ項目からなるプレイリストにおいて、プレイ項目ループの中間の1又は複数個のプレイ項目を削除編集する場合には、削除して残った前半のプレイ項目の終端と後半のプレイ項目の先端の結合が行なわれる。
【0077】
ここで、隣接するプレイ項目間ではバッファ状態に応じて接続条件をシームレス再生に設定できることは既に述べたが、先行若しくは後続のプレイ項目とシームレス再生が設定されているプレイ項目を削除したときには、削除した後に結合されるプレイ項目間ではバッファ状態が整っていないことは明らかであり、シームレス再生の設定を解除する必要がある。
【0078】
具体的には、後ろ側のプレイ項目内における直前のプレイ項目への接続条件(Connection Condition:CC)がシームレス再生に設定されている場合には、これを解除する。また、前側のプレイ項目に対応するクリップ情報において後ろ側のクリップとの接続条件がシームレス再生に設定されている場合には、これを解除する。図8Aに示す例では、動画像プレイリスト#10中のプレイ項目プレイ項目#1が削除区間となっているが、このプレイ項目とこれに対応するクリップAVストリーム並びにクリップ情報の区間を削除する際には、図8Bに示すように、プレイ項目#2が新たにプレイ項目#1に書き換えられるとともに、プレイ項目及びクリップ情報における接続条件がシームレス再生でなくなるように再設定される。
【0079】
図9には、あるプレイリストにおいて、M番目からn個分のプレイ項目(すなわちプレイ項目#M〜#M+n)の削除編集を行なうための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0080】
まず、削除する区間の先頭のプレイ項目#Mで設定されている、直前のプレイ項目#M−1との接続条件(connect_condition)を確認する(ステップS1)。ここで、connect_condition=1以外、すなわちシームレス再生が設定されている場合には、ステップS2に進んで、プレイ項目#M−1に対応するクリップ情報ファイルにおいて、後続のクリップの接続条件として設定されているシームレス再生を解除する。例えばAVCHDフォーマットに則していえば、プレイ項目データ構造上のis_CC_5フラグを解除する。
【0081】
次いで、削除する区間の最後尾に続くプレイ項目#M+nで設定されている、直前(すなわち削除する区間の最後尾)のプレイ項目#M+n−1との接続条件(connect_condition)を確認する(ステップS3)。ここで、connect_condition=1以外、すなわちシームレス再生が設定されている場合には、ステップS4に進んで、プレイ項目#M+nにおいて、直前のプレイ項目との接続条件として設定されているシームレス再生を解除する。具体的には、connect_conditionを1に修正する。
【0082】
次いで、Mが0すなわち削除する区間がプレイリストの先頭から開始され、且つプレイ項目#M+nのIN_timeに一致するエントリ・マークがあるかどうかをチェックする(ステップS5)。このチェック結果が否定的な場合は、削除した後にプレイリストの先頭にプレイリスト・マークが存在しないことになるから、プレイリスト#M+nのIN_timeに一致するエントリ・マークを追加する(ステップS6)。これは、プレイリスト先頭にはプレイリスト・マークが必要なための処理である。
【0083】
次いで、削除する区間以降のプレイ項目であるプレイ項目#M+n以降に含まれるエントリ・マークが有する、対応するプレイ項目のシーケンス番号_to_プレイ項目_idの値を、削除するプレイ項目の個数nだけ減少して、区間を削除した以降のシーケンス番号が連続的になるようにする(ステップS7)。
【0084】
次いで、削除する区間の先頭のプレイ項目であるプレイ項目#Mを含むプレイリストのプレイ項目()ループにおいて、プレイ項目#Mからn個分のプレイ項目を削除する(ステップS8)。
【0085】
次いで、削除する各プレイ項目に含まれるエントリ・マークを削除して(ステップS9)、プレイ項目の削除処理を終了する。
【0086】
C−2.クリップAVストリームの削除編集
実プレイリストにおいてプレイ項目の削除編集を行なう場合、クリップAVストリーム・ファイルの削除を伴う破壊編集となる。以下では、クリップAVストリームを削除編集する処理について説明する。
【0087】
クリップAVストリームを削除(並びに分割)する場合には、分断するフレーム境界を決定する方法が1つの問題となる。
【0088】
当業界において周知のように、AVC(やMPEG)方式では、何枚かの画面を一まとまりにしたGOP(Group of Picture)構造が採用され、GOP単位でランダム・アクセスを可能にしていること、フレーム内符号化したI/IDRピクチャ、フレーム間順方向予測符号化したPピクチャ、双方向予測符号化したBピクチャというタイプの異なる画面がGOP内で所定の規則で配列されている。
【0089】
このため、AVCストリームから一部の区間を削除する際には、任意の画面位置で削除を行なうと障害がある。本発明者らは、適切な分割境界の一例として、記録の開始及び停止の境界ではGOP境界、それ以外ではPTS_EP_Startにプレイリスト・マーク(PLM)を付け加えて削除区間を定めることが好ましいと考えている(図10を参照のこと)。
【0090】
また、クリップAVストリーム・ファイルと1対1で、その属性を定義するクリップ情報ファイルが存在し、実際のストリームを再生する上で必要となるストリームに関する情報が記載されていることは、図2を参照しながら説明した通りである。このため、ストリームの特定の区間を削除する場合には、削除した後に残ったストリームに対応するクリップ情報ファイルの整合をとる必要がある。
【0091】
プレイリストの削除編集に伴うクリップ情報ファイル内の接続条件フラグ(is_cc_5)の対処方法については既に詳解したので、ここでは説明を省略する。
【0092】
MPEG−TSストリームには幾つかのタイムスタンプ情報が使用されていることから、ストリームの特定の区間を削除する場合には、削除した後に残ったストリームにおいてタイムスタンプ情報の整合をとる必要がある。
【0093】
MPEG−TSストリームはTSパケットに分割して構成され、バッファの状態を考慮しながらTSパケットを復号バッファに入力する時間間隔を調整する必要があることから、各TSパケットにはデータ到来時間に関するタイムスタンプATSが挿入されている。ATCカウンタによって生成されるカウンタ値に基づいてTSパケットにATSが付け加えられる。すなわち、1つのストリーム・ファイルではATSは単調増加し、単一のATCを持つことになる(前述)。
【0094】
削除する区間がクリップAVストリームの中間部分となる場合には、削除した後はその前後の区間のストリームが記録メディアに残る。ここで、削除して残った部分の前半と後半を単純に結合すると、ATSは不連続となり、クリップAVストリーム・ファイル内でのATCの単一性を保つことができない(図11を参照のこと)。
【0095】
そこで、本実施形態では、破壊編集によりクリップAVストリームの中間部分の削除を行なうと、残りの部分を結合することは行なわず、元のAVストリームを削除区間で2つのファイルに分割することにした(図12を参照のこと)。この場合、個々のクリップAVストリーム・ファイルではATSは単調増加となり、ATCの単一性を保つことができる。この場合、後ろ側のクリップAVストリーム・ファイルの先頭ではATCがオフセットを持つことになるが、連続的であればAVCHD規格フォーマットに抵触しない。
【0096】
また、MPEG2 System仕様によれば、音声及び動画像パケット間で同期をとるために、PTS(Presentation Yime Stamp)とDTS(Decoding Time Stamp)という2通りのタイムスタンプ情報が使用されている。
【0097】
PTSは、適用されるMPEG符号化方式に応じて選択されるデータ再生に関する時間管理情報(具体的には、AVCストリームの各ピクチャの再生出力の時間情報)であり、MPEG2システムの基準復号器で生成されるSTC(System Time Clock)などの基準同期信号が、PTSに等しくなったときに、関連する音声及び動画像データを再生出力する。また、DTSは、データ復号における時間管理情報である。PTSとDTSが同一でない場合は、これらはパケット・データ内に順次含められる。両者が同じであれば、PTSのみがパケット・データに含められる。
【0098】
STCは、PTSやDTSなどで記される基準時計である。削除する区間がクリップAVストリームの中間部分となる場合には、ATSと同様にSTCも不連続になるが、STCは、1つのクリップAVストリーム・ファイルの中で不連続点があることが許容されているから(図13を参照のこと)、ストリーム中の区間削除に際しては、該当区間を削除する処理を行えばよい(後述)。
【0099】
また、クリップ情報ファイルは、再生時にクリップAVストリームへのアクセスのために、クリップAVストリームの時刻とアドレスの対応テーブルを有している。管理する最小単位は“EP(エントリ・ポイント)”と呼ばれ、通常はGOPの整数倍からなる(図14を参照のこと)。(EPはランダム・アクセス可能な位置であり、例えばクリップAVストリームのIピクチャの位置をEPとすると、そのIピクチャからランダム・アクセス再生することができる。)各EPに関する情報を、対応するクリップAVストリーム全体分だけ並べた構造が“EP_map”である。削除編集によりクリップAVストリーム中の一部の区間を削除した場合、PTS(時刻情報)を修正する必要はない。また、SPN(先頭からのオフセット)に関しては、削除区間の前方ではオフセットの修正を行なう必要はないが(図15を参照のこと)、削除区間よりも後方においては、削除区間の分だけ先頭からのオフセット(SPN_EP_start)を修正する必要がある(図16を参照のこと)。
【0100】
また、STCは1つのファイルの中で不連続点があってもよいが(図13を参照のこと)、クリップ情報ファイル内では各EP区間の情報をSTCシーケンスとして管理していることから、クリップAVストリームの前方が削除される場合には、クリップAVストリームの削除に伴いSTCシーケンスを修正する必要がある。具体的には、削除位置がSTCシーケンス境界でなければSTCシーケンスを分割する。そして、削除位置以前のSTCシーケンスを削除し、削除位置以降のSTCシーケンスのうち先頭からのオフセット(SPN_STC_start)を削除した長さの分だけ修正する(図17を参照のこと)。
【0101】
また、仮想プレイリストは非破壊編集によりユーザ定義の再生リストを作成するためのプレイリストであり、仮想プレイリストから参照されるクリップAVストリームのオリジナル・タイトル用の実プレイリストが必ず存在する。言い換えれば、実プレイリストである区間を編集する場合、同じ区間を参照している仮想プレイリストが存在する可能性がある。実プレイリストにおける削除編集に伴い、クリップAVストリームの該当する区間の削除を行なうと、同じ区間を参照している仮想プレイリストにも影響が及ぶ。このため、実プレイリストを削除編集する際には、削除区間を参照している仮想プレイリストを検索して、該当するプレイ項目を修正する処理を実行して、実プレイリストと仮想プレイリストの整合性をとる必要となる。
【0102】
図18に示す例では、記録メディア上には、タイトルとして実プレイリストである動画像プレイリスト#10と動画像プレイリスト#11、並びに、仮想プレイリストとして動画像プレイリスト#100と動画像プレイリスト#101が保存されている。
【0103】
動画像プレイリスト#10はプレイ項目#0〜#2からなり、このうちプレイ項目#0〜#1はクリップ#20として格納されているクリップAVストリームが実体であり、プレイ項目#2はクリップ#31として格納されているクリップAVストリームの先頭から一部の区間が実体である。また、図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#3が各チャプタへのエントリ位置となる。隣接するプレイリスト・マーク間、並びに最後のプレイリスト・マークから最後のプレイ項目の終端までの間が当該動画像プレイリスト#10のチャプタとなる。
【0104】
動画像プレイリスト#11はプレイ項目#0〜#1からなり、クリップ#31として格納されているクリップAVストリームのうち、動画像プレイリスト#10で使用した以降の区間がそれぞれのプレイ項目の実体である。図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#2が各チャプタへのエントリ位置となる。
【0105】
動画像プレイリスト#100はプレイ項目#0〜#1からなり、プレイ項目#0はクリップ#31として格納されているクリップAVストリームの先頭から一部の区間を指し、プレイ項目#1はクリップ#20として格納されているクリップAVストリームの中間から最後尾までの区間を指している。また、図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#1が各チャプタへのエントリ位置となる。
【0106】
動画像プレイリスト#101はプレイ項目#0〜#1からなり、プレイ項目#0はクリップAVストリームの中間から最後尾までの区間を指し、プレイ項目#1は同クリップAVストリームの中間の区間を指している。また、図中の▲で示されるプレイリスト・マーク(PLM)#0〜#1が各チャプタへのエントリ位置となる。
【0107】
ここで、動画像プレイリスト#10のマークPLM#3からプレイリスト終端までの区間からなるチャプタを削除する場合について説明する。このチャプタは、クリップ#31のクリップAVストリームの中間部分の区間を参照している。実プレイリスト側で削除編集しようとしているものと同じ区間を参照している仮想プレイリストを探索すると、動画像プレイリスト#100のPLM#0のチャプタの後半部分と、動画像プレイリスト#101のPLM#1のチャプタ全体が判明する。このような場合、動画像プレイリスト#100のPLM#0のチャプタの後半部分を削除するとともに、動画像プレイリスト#101のPLM#1のチャプタ全体を削除する。
【0108】
なお、プレイ項目の削除編集に伴い、新たに結合する前後のプレイ項目との間でシームレス再生に関する接続を解除する処理を行なう必要があることは、既に述べた通りである。
【0109】
以下では、図19〜図25に示すフローチャートを参照しながら、実プレイリストの削除編集並びに記録メディア上に保存されているクリップAVストリームの削除処理の手順について説明する。
【0110】
まず、削除区間がクリップAVストリーム・ファイルの中間部分かどうかをチェックする(ステップS11)。クリップAVストリーム・ファイルの中間部分の場合、削除区間の前後でクリップAVストリーム・ファイルが分割されて、クリップAVストリーム・ファイル数が増加することになる。そこで、クリップ情報ファイル又はクリップAVストリーム・ファイルのファイル数がシステムで規定する上限に到達していないかチェックする(ステップS12)。上限に達しているときには、削除できないので、本処理ルーチンを終了する。
【0111】
次いで、削除区間がプレイ項目の中間部分かどうかをチェックする(ステップS12)。削除区間として指定されたチャプタのプレイリスト・マーク位置がプレイ項目の境界と一致せず、プレイ項目の中間部分が削除区間となる場合は、削除処理に際してプレイ項目が増加する(図7Bを参照のこと)。そこで、プレイ項目の個数がシステムで規定する上限に到達していないかチェックする(ステップS14)。上限に達しているときには、削除できないので、本処理ルーチンを終了する。
【0112】
このような上限チェックに続いて、削除区間を参照している仮想プレイリストの修正処理を行なう。
【0113】
まず、実プレイリストで指定されている削除区間が指すクリップ情報ファイル及びクリップAVストリーム・ファイルのファイル名と時刻を特定する(ステップS21)。
【0114】
次いで、記録メディア上のすべての仮想プレイリストについて、上記の削除区間を参照しているものを検索する(ステップS22)。検索方法は特に問わないので、ここでは説明を省略する。
【0115】
次いで、見つかった各仮想プレイリストにおいて、削除区間についての削除処理を行なう。ここで、プレイ項目に中間部でプレイ項目数がシステムで規定する上限値に到達したならば、処理を終了する(ステップS23)。
【0116】
次いで、仮想プレイリストにおいて、プレイ項目の削除処理を行なう(ステップS24)。仮想プレイリストの削除編集については後述に譲る。
【0117】
このような該当する仮想プレイリストにおける修正処理に続いて、実プレイリスト側でクリップAVストリームの削除処理を行なう。
【0118】
まず、削除区間がクリップAVストリーム・ファイルの中間部分かどうかをチェックする(ステップS31)。
【0119】
削除区間が中間部分であれば、ATCの単一性を保つために(図6Bを参照のこと)、削除が指定された開始〜終了区間手AVファイルを削除し、この削除区間の前側と後ろ側を別のファイルに分割する(ステップS32)。
【0120】
また、削除区間がクリップAVストリームの中間部分でない、すなわち削除がクリップAVストリームの先頭から開始されるか、又はクリップAVストリームの最後尾まで削除する場合には、削除して残ったクリップAVストリームを1ファイルのままにする(ステップS33)。
【0121】
そして、クリップAVストリーム・ファイルの削除処理に続いて、これと対となっているクリップ情報ファイルの削除処理を行なう。
【0122】
まず、削除区間がクリップAVストリーム・ファイルの中間部分かどうかをチェックする(ステップS41)。
【0123】
削除区間がクリップAVストリーム・ファイルの中間部分の場合には、クリップAVストリーム・ファイルは削除区間の前後で2ファイルに分割されるが、これに伴ってクリップ情報ファイルのファイル分割を行なう。この場合、クリップ情報ファイルのデータを複製して(ステップS42)、削除区間の前側となる一方のクリップ情報ファイルの再生終了時刻(presentation_end_time)に削除区間開始時刻を書き込むとともに(ステップS43)、削除区間の後ろ側となる他方のクリップ情報ファイルの再生開始時刻(presentation_start_time)に削除区間終了時刻を書き込む(ステップS44)。
【0124】
次いで、削除区間の前側となる一方のクリップ情報ファイルのCPIのうち削除区間以降を削除する(ステップS45)。また、削除区間の後ろ側となる他方のクリップ情報ファイルのCPIのうち削除区間以前を削除するとともに、残りのエントリについて、元のファイルの先頭〜削除終了位置の長さだけSPN_EP_start値を減少して、先頭からのオフセットを修正する(ステップS46)(図15を参照のこと)。そして、前後のクリップ情報ファイルともにソース・パケット総数を残った区間分に修正する(ステップS47)。
【0125】
次いで、クリップ情報ファイルの部分的な削除に伴うSTCシーケンスの整合をとるための処理を行なう。削除開始位置がSTCシーケンスの境界でないときには(ステップS48)、削除区間の前側となる一方のクリップ情報ファイルの削除開始位置でSTCシーケンスを分割して(ステップS49)、削除開始位置以降のSTCシーケンスを削除する(ステップS50)。また、削除終了位置がSTCシーケンスの境界でないときには(ステップS51)、削除区間の後ろ側となる他方のクリップ情報ファイルの削除終了位置でSTCシーケンスを分割して(ステップS52)、削除終了位置以前のSTCシーケンスを削除する(ステップS53)。
【0126】
このようにしてクリップAVストリーム・ファイル及びクリップ情報ファイルの削除編集を行なった後、続いて、実プレイリストの削除処理を行なう。
【0127】
まず、削除区間の後ろ側となる他方のクリップAVストリーム・ファイル及びクリップ情報ファイルに新しいファイル番号を発番する(ステップS61)。
【0128】
そして、削除区間の開始位置又は終了位置がプレイ項目の境界でない場合には、当該プレイ項目は削除区間の前後で分割して(図7Bを参照のこと)、削除区間のプレイ項目を削除する(ステップS62)。
【0129】
そして、分割して作成された後ろ側のプレイ項目が参照するクリップ情報ファイル名(クリップ情報_file_name)に、ステップS61で発番したクリップ情報ファイルのファイル番号を設定して(ステップS63)、削除編集処理を終了する。
【0130】
また、クリップAVストリーム・ファイルの削除区間がストリームの中間部分でない場合には(ステップS41のNo)、削除区間がクリップAVストリームの始端に接しているかどうかをチェックする(ステップS54)。
【0131】
削除区間がクリップAVストリームの始端に接している場合には(ステップS54のYes)、まず、クリップ情報ファイルの再生開始時刻(presentation_start_time)に削除区間終了時刻を書き込む(ステップS71)。
【0132】
次いで、CPIのうち削除区間以前を削除するとともに、残りのエントリについて、削除区間の長さだけSPN_EP_start値を減少して、先頭からのオフセットを修正する(ステップS72)。
【0133】
次いで、ソース・パケット総数を残った区間分に修正する(ステップS73)。
【0134】
次いで、クリップ情報ファイルの部分的な削除に伴うSTCシーケンスの整合をとるための処理を行なう。具体的には、削除終了位置がSTCシーケンスの境界でないときには(ステップS74)、削除終了位置でSTCシーケンスを分割して(ステップS75)、削除終了位置以前のSTCシーケンスを削除する(ステップS76)。
【0135】
そして、最後にプレイ項目の削除処理を行なう(ステップS77)。削除終了位置がプレイ項目の境界でない場合には、当該プレイ項目は削除区間の前後で分割して(図7Bを参照のこと)、削除区間のプレイ項目を削除する。
【0136】
一方、削除区間がクリップAVストリームの始端に接していない、すなわちクリップAVストリームの終端に接している場合には(ステップS54のNo)、まず、クリップ情報ファイルの再生終了時刻(presentation_end_time)に削除区間開始時刻を書き込む(ステップS81)。
【0137】
次いで、CPIのうち削除区間以降を削除し(ステップS82)、ソース・パケット総数を残った区間分に修正する(ステップS83)。
【0138】
次いで、クリップ情報ファイルの部分的な削除に伴うSTCシーケンスの整合をとるための処理を行なう。具体的には、削除開始位置がSTCシーケンスの境界でないときには(ステップS84)、削除開始位置でSTCシーケンスを分割して(ステップS85)、削除開始位置以降のSTCシーケンスを削除する(ステップS86)。
【0139】
そして、最後にプレイ項目の削除処理を行なう(ステップS87)。削除開始位置がプレイ項目の境界でない場合には、当該プレイ項目は削除区間の前後で分割して(図7Bを参照のこと)、削除区間のプレイ項目を削除する。
【0140】
仮想プレイリストは、非破壊編集によりユーザ定義の再生リストを作成されたプレイリストであるから、その削除編集は、クリップAVストリーム・ファイル及びこれと対をなすクリップ情報ファイルの実体削除を伴わない非破壊編集である(図5を参照のこと)。図25には、仮想プレイリストを削除編集する処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えば図20に示したフローチャートのステップS25において実施される。
【0141】
まず、削除区間がプレイ項目の中間部分かどうかをチェックする(ステップS91)。プレイ項目の中間部分の場合、削除区間の前後でプレイ項目が分割されて、記録メディア上のプレイ項目の総数が増加する(図7Bを参照のこと)。そこで、プレイ項目総数がシステムで規定する上限に到達していないかチェックする(ステップS92)。上限に達しているときには、削除できないので、本処理ルーチンを終了する。
【0142】
一方、削除区間がプレイ項目の始端又は終端に接しているとき(ステップS91のNo)、並びに削除区間はプレイ項目の中間部分であるがプレイ項目の総数まで余裕がある場合には(ステップS92のNo)、指定されている削除区間においてプレイ項目の削除を行なう(ステップS93)。この際、削除区間の開始位置又は終了位置がプレイ項目の境界でない場合には、削除区間の開始位置又は終了位置を分割して、削除区間のプレイ項目を削除する。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0144】
本明細書では、AVCHD規格に則って記録メディア上に記録されているクリップAVストリームに対し、AVCHD規格を遵守しながら削除編集を行なうという実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。ストリーム・ファイルと対で存在し、ストリームを再生する上で必要となるストリームに関する情報を記載したクリップ情報ファイルが存在するとともに、該当するストリーム・ファイルの再生区間を再生する上で必要となる情報を記載したプレイ項目を時間軸上で並べて構成されるプレイリストを含むというデータ・フォーマットで記録されている記録メディアに対して編集処理を行なう際に、本発明を同様に適用することができる。
【0145】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の機能的構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、記録メディア14−1にデータを記録するためのデータ構造の一例を示した図である。
【図3A】図3Aは、ビデオカメラによる録画・撮影に従ってクリップAVストリームのクリップとともにプレイリストが生成される手順を説明するための図である。
【図3B】図3Bは、ビデオカメラによる録画・撮影に従ってクリップAVストリームのクリップとともにプレイリストが生成される手順を説明するための図である。
【図3C】図3Cは、ビデオカメラによる録画・撮影に従ってクリップAVストリームのクリップとともにプレイリストが生成される手順を説明するための図である。
【図3D】図3Dは、ビデオカメラによる録画・撮影に従ってクリップAVストリームのクリップとともにプレイリストが生成される手順を説明するための図である。
【図4】図4は、記録メディア上に記録されているファイル構造を例示した図である。
【図5A】図5Aは、仮想プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示した図である。
【図5B】図5Bは、仮想プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示した図である。
【図6A】図6Aは、実プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示した図である。
【図6B】図6Bは、実プレイリストからのプレイ項目を削除する様子を示した図である。
【図7A】図7Aは、ユーザが削除区間として指示したチャプタのエントリ・マーク位置がプレイ項目の境界と一致しない場合におけるプレイ項目ループの中間のプレイ項目を削除編集する様子を示した図である。
【図7B】図7Bは、ユーザが削除区間として指示したチャプタのエントリ・マーク位置がプレイ項目の境界と一致しない場合におけるプレイ項目ループの中間のプレイ項目を削除編集する様子を示した図である。
【図7C】図7Cは、ユーザが削除区間として指示したチャプタのエントリ・マーク位置がプレイ項目の境界と一致しない場合におけるプレイ項目ループの中間のプレイ項目を削除編集する様子を示した図である。
【図8A】図8Aは、プレイ項目を削除する際に削除する直前のプレイ項目並びに削除する直前のプレイ項目の接続条件の設定を操作する手順を説明するための図である。
【図8B】図8Bは、プレイ項目を削除する際に削除する直前のプレイ項目並びに削除する直前のプレイ項目の接続条件の設定を操作する手順を説明するための図である。
【図9】図9は、プレイリストにおいて、M番目からn個分のプレイ項目の削除編集を行なうための処理手順を示したフローチャートである。
【図10】図10は、クリップAVストリームの分割位置を決定するための方法を説明するための図である。
【図11】図11は、クリップAVストリームの中間部分を削除編集して前後のストリームを連結して、ATCが不連続になる様子を示した図である。
【図12】図12は、クリップAVストリームの中間部分を削除編集し、前側と後ろ側で2ファイルに分割する様子を示した図である。
【図13】図13は、クリップ情報ファイルの中でSTCシーケンスが不連続点を含んでいる様子を示した図である。
【図14】図14は、クリップ情報ファイルに含まれるEP情報を説明するための図である。
【図15】図15は、クリップAVストリーム・ファイルの後ろ側を削除編集した際にEP_mapの修正が不要であることを説明するための図である。
【図16】図16は、クリップAVストリーム・ファイルの前側を削除編集した際に、残る後ろ側の区間でEP_mapのオフセット修正を行なう様子を示した図である。
【図17】図17は、クリップAVストリーム・ファイルの前側を削除編集した際に、削除位置以降のSTCシーケンスのうち先頭からのオフセット(SPN_STC_start)を削除した長さの分だけ修正する様子を示した図である。
【図18】図18は、実プレイリストを削除編集する際に、同じく感を参照する仮想プレイリストの削除編集する様子を示した図である。
【図19】図19は、プレイ項目及びクリップAVストリーム・ファイルを削除する際に、プレイ項目総数及びクリップAVストリーム・ファイル総数の上限チェックを行なうための処理手順を示したフローチャートである。
【図20】図20は、クリップAVストリーム・ファイルの削除処理に先立って行なわれる、削除区間を指している仮想プレイリストの修正処理の手順を示したフローチャートである。
【図21】図21は、実プレイリスト側でクリップAVストリームの削除処理を行なう手順を示したフローチャートである。
【図22】図22は、クリップAVストリーム・ファイルと対となっているクリップ情報ファイルの削除処理を行なう手順を示したフローチャートである。
【図23】図23は、削除区間がストリームの中間部分となる場合の実プレイリストの削除処理を行なう手順を示したフローチャートである。
【図24】図24は、削除区間がストリームの始端に接している場合の実プレイリストの削除処理を行なう手順を示したフローチャートである。
【図25】図25は、削除区間がストリームの終端に接している場合の実プレイリストの削除処理を行なう手順を示したフローチャートである。
【図26】図26は、仮想プレイリストの削除編集を行なうための処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
10…情報処理装置
11…カメラ・ブロック
12…符号化部
13…ストリーム・バッファ
14…記録部
14−1…記録メディア
15…中央処理部
16…一時記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された1以上のAVストリームの編集制御を行なう情報処理装置であって、
記録媒体上に記録されている各AVストリーム・ファイルと対で存在するAVストリームの属性を定義する属性定義ファイルと、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する複数の再生区間データからなる再生リストを編集する編集制御手段と、
ユーザからの削除編集指示に応答して、該当する削除区間の再生区間データの削除編集処理を行なう削除編集手段を備え、
各再生区間データは、直前の再生区間データとの接続条件を有し、
前記編集制御手段は、前記削除編集手段により削除される再生区間データの接続条件がシームレス再生可能な条件か否かを判別し、該判別結果に応じて、その直前に位置する再生区間データに対応する属性定義ファイルの内容を修正する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
再生リストには、前記の再生区間データを並べた時間軸上で、ユーザがランダム・アクセスするエントリ位置となる1以上のマークが置かれ、隣接するマーク間の区間及び最後のマークから最後の再生区間データの終端までの区間がチャプタを構成し、前記のユーザからの削除編集指示はチャプタ単位で行なわれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
再生リストは、記録媒体にストリームを記録する順に従って属性定義ファイルの対応する区間を再生区間データに逐次登録して構成されるオリジナル・タイトル用の実再生リストと、いずれかの実再生リストに登録されている属性定義ファイルの区間を参照する1以上の再生区間データを非破壊編集により作成されたユーザ定義の仮想再生リストを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザが実再生リストの削除を指示したときには、前記削除編集手段は、該当するAVストリーム及びこれに対応する属性定義ファイルの削除区間を削除した後に、該当する再生リスト内の削除区間の再生区間データを削除し、
ユーザが仮想再生リストの削除を指示したときには、前記削除編集手段は該当する再生リスト内の削除区間の再生区間データのみ削除する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記削除編集手段は、ユーザが削除区間として指示したチャプタのマーク位置が再生区間データの境界と一致しない場合には、削除区間を含む再生区間データをマーク位置で一旦分割してから、削除区間に含まれる再生区間データの削除編集を行なう、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
再生区間データは直前の再生区間データとの接続条件がシームレス再生可能かどうかを示す情報を持つとともに、属性定義ファイルは直後の再生区間データとの接続条件がシームレス再生可能かどうかを示す情報を持ち、
前記編集制御手段は、3以上の再生区間データからなる再生リストにおいて前記時間軸上で中間部分の再生区間データを削除する際に、削除して残った前側の最後の再生区間データにおいて直前の再生区間データとのシームレス再生の設定を解除するとともに、削除して残った後ろ側の先頭の属性定義ファイルにおいて直後の再生区間データとのシームレス再生の設定を解除する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記削除編集手段は、削除区間の再生区間データを削除した結果、再生リストの先頭にマークがなくなるときには、削除後に先頭となる再生区間データの始端にマークを付与する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
再生リスト内の再生区間データは前記の時間軸上で連続的となるシーケンス番号を持ち、マークは自分が属する再生区間データの番号参照情報を有しており、
前記編集制御手段は、削除区間となるチャプタを削除した以降のマークにおいて自分が属する再生区間データのシーケンス番号を、削除した再生区間データの個数に応じて修正する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記削除編集手段は、削除した後に残るAVストリームに対応する属性定義ファイルの整合をとる、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記削除編集手段は、削除した後に残るストリームのタイムスタンプ情報に関する属性定義ファイルの整合をとる、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記削除編集手段は、ストリーム・ファイルの中間部分の削除を行なうとき、元のAVストリーム・ファイルを削除区間で2つのファイルに分割する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
属性定義ファイルは、対応するストリーム・ファイル内でランダム・アクセス可能となる各エントリ・ポイント(EP)に関する情報を並べたEP_mapを含み、
前記削除編集手段は、削除区間よりも後方のEP_mapにおいて、削除区間の分だけ先頭からのオフセットを修正する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
属性定義ファイル内では各EP区間の情報をSTCシーケンスとして管理しており、
前記削除編集手段は、ストリーム・ファイルの削除区間以降に対応する属性定義ファイルにおいて、STCシーケンスを修正する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
削除位置がSTCシーケンス境界でなければ、前記削除編集手段は、属性定義ファイルを分割して、削除位置以前のSTCシーケンスを削除し、削除位置以降のSTCシーケンスのうち先頭からのオフセットを削除した長さの分だけ修正する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項15】
破壊編集により実再生リストの削除編集を行なう場合、前記削除編集手段は、同じ削除区間を参照している仮想再生リストに関しても削除編集を行なう、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項16】
記録媒体に記録された1以上のAVストリームの編集制御を行なう情報処理方法であって、
記録媒体上に記録されている各AVストリーム・ファイルと対で存在するAVストリームの属性を定義する属性定義ファイルと、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する複数の再生区間データからなる再生リストを編集する編集制御ステップと、
ユーザからの削除編集指示に応答して、該当する削除区間の再生区間データの削除編集処理を行なう削除編集ステップを備え、
各再生区間データは、直前の再生区間データとの接続条件を有し、
前記編集制御ステップでは、前記削除編集ステップにおいて削除される再生区間データの接続条件がシームレス再生可能な条件か否かを判別し、該判別結果に応じて、その直前に位置する再生区間データに対応する属性定義ファイルの内容を修正する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項17】
記録媒体に記録された1以上のAVストリームの編集制御を行なうための処理をコンピュータ上で実行させるようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに対し、
記録媒体上に記録されている各AVストリーム・ファイルと対で存在するAVストリームの属性を定義する属性定義ファイルと、再生開始点と再生終了点でAVストリームの再生区間を指定する複数の再生区間データからなる再生リストを編集する編集制御手順と、
ユーザからの削除編集指示に応答して、該当する削除区間の再生区間データの削除編集処理を行なう削除編集手順を備え、
各再生区間データは、直前の再生区間データとの接続条件を有し、
前記編集制御手順では、前記削除編集手順において削除される再生区間データの接続条件がシームレス再生可能な条件か否かを判別し、該判別結果に応じて、その直前に位置する再生区間データに対応する属性定義ファイルの内容を修正する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図9】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−306255(P2007−306255A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132005(P2006−132005)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】