説明

情報処理装置及び情報処理方法

【課題】操作性を高めることのできる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置1は、テーブル部100と、入力補助装置としてのキーボード部300とを備える。CPU40は、キーボード部300の操作キー96より入力された基準位置をタッチセンサパネル30を通して検出する。CPU40は、検出した基準位置に基き、タッチセンサパネル30の座標空間に対するキーボード部20の個々の操作キー96の一の割り当てを行う。これにより、CPU40は、タッチセンサパネル30により検出される座標情報を基にユーザにより押下された操作キー96に対応するキーコード情報を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の接触あるいは近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネルを用いた情報処理装置に係り、特にタッチセンサパネルへの入力操作を補助するためのキーボード部を備える情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの指等の物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネルを用いた情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の情報処理装置によれば、表示パネルにソフトキーボード等のユーザインタフェース要素が表示される。この表示パネルの上に重ね合わせられたタッチセンサパネルに対し、複数のユーザによる入力操作が可能とされる。
【0003】
一方、タッチセンサパネルに対するユーザ入力を補助する入力補助器具が知られている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2によれば、タッチセンサパネルを収容する筐体の側面部に入力補助器具が設けられる。入力補助器具は、合成樹脂材料からなる平板状の部材が略U字状に屈曲されて弾性が付与されたものである。この入力補助器具は、タッチセンサパネルに重ね合わせられた液晶ディスプレイに表示される複数のボタンイメージに個々に対応して複数設けられる。各入力補助器具には、このボタンイメージに対向する端部の所定の位置に接触部が設けられている。接触部は、入力補助器具が押圧されて撓んだときにタッチセンサパネルのボタンイメージと重なる領域と接触可能である。この構成によれば、ユーザが入力補助器具を押圧することで、接触部がタッチセンサパネルに接触し、タッチセンサパネルに対する入力操作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−065558号公報(段落[0018]、図1)
【特許文献2】特開2007−241367号公報(段落[0014]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の情報処理装置において、ユーザは、指をタッチセンサパネルに接触させてソフトキーボードに対する入力操作を行う。タッチセンサパネルには物理的な凹凸が設けられていないため、例えば通常のパーソナルコンピュータ用キーボードに比べて操作性が悪くなるおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献1の情報処理装置に対する操作性を高めるため、特許文献2の入力補助器具を用いることについて検討する。特許文献2の入力補助器具は、タッチセンサパネルの筐体の側面部に設けられるので、タッチセンサパネルの広範な領域に対する入力操作を補助することは困難である。また、接触部を有する入力補助器具が複数のボタンイメージに個々に対応して複数設けられるので、例えばソフトキーボードに設けられる多数に対応可能に入力補助器具を構成することは困難である。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、操作性を高めることのできる情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、テーブル部と、キーボード部とを有する。
上記テーブル部は、物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有する。
上記キーボード部は、上記タッチセンサパネル部に載置可能である。
上記キーボード部は、導電性を有する複数の可動部と、複数のキートップ部と、グラウンド接続部とを有する。
上記複数の可動部は、上記タッチセンサパネル部に載置された状態にあって、上記タッチセンサパネル部に対して接離方向に移動可能に設けられ、上記タッチセンサパネル部に一端部が接触又は近接した第1の位置と、上記タッチセンサパネル部から上記一端部が離間した第2の位置との間で移動可能である。
上記複数のキートップ部は、個々の上記可動部に対応して設けられ、対応する上記可動部を上記第2の位置から上記第1の位置に移動させるための圧力をユーザより受けて上記可動部に伝達する。
上記グラウンド接続部は、上記複数の可動部をグラウンドと電気的に接続する。
【0009】
上記情報処理装置によれば、タッチセンサパネル部に載置されたキーボード部を用いて、ユーザはタッチセンサパネル部に対する入力を行うことができる。これにより、情報処理装置の操作性を高めることができる。
【0010】
上記キーボード部は、上記第1の位置に移動した各上記複数の可動部を、弾性力により上記第2の位置に復帰させる弾性部をさらに有してもよい。
【0011】
上記情報処理装置によれば、ユーザからの圧力は第2の位置にある可動部に伝達される。可動部は、弾性部の弾性力に逆らって、タッチセンサパネル部に接近する第1の位置に移動する。これにより、情報処理装置の操作性を高めることができる。
【0012】
上記テーブル部は、上記タッチセンサパネル部による座標の検出が可能な領域以外の領域に上記グラウンド接続部と電気的に接触可能な接触部をさらに有してもよい。
【0013】
上記情報処理装置によれば、グラウンド接続部がテーブル部の接触部に接触するようにキーボード部がタッチセンサパネル部に載置されることにより、キーボード部のグラウンドを取ることができる。
【0014】
上記グラウンド接続部は、上記可動部と電気的に接触された導電板と、上記テーブル部の上記接触部及び上記導電板の間に介在された導通部とを有してもよい。
【0015】
上記導通部は、導電弾性体であってもよい。
【0016】
上記情報処理装置によれば、導通部は導電弾性体からなるので、テーブル部の接触部に確実に接触させることができるとともに、テーブル部に載置されるキーボード部のガタツキを抑えることができる。
【0017】
上記複数の可動部は、弾性を有する基材に、導電性を有する複数の接点が形成されてなってもよい。
【0018】
上記情報処理装置によれば、導電性を有する複数の接点が形成された基材を弾性変形させることで、キーボード部を用いてタッチセンサパネルに対し入力を行うことができる。
【0019】
上記キーボード部は、上記複数の接点と上記タッチセンサパネル部による座標の検出が可能な領域との間に、上記複数の接点と上記タッチセンサパネル部を導通可能な導通部をさらに有してもよい。
【0020】
上記情報処理装置によれば、接点とタッチセンサパネルとの間に導通部を設けることで、タッチセンサパネルに対する入力をさらに確実に行うことができる。
【0021】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有するテーブル部と、複数の操作キーを有し、上記タッチセンサパネル部に載置可能なキーボード部とを有する。
上記キーボード部は、上記操作キーの位置の割り当てのための2つ以上の基準位置を上記タッチセンサパネル部に検出させるための基準位置入力部を有する。
上記情報処理装置は、上記タッチセンサパネル部により検出された上記キーボード部の上記2つ以上の基準位置に基き、上記タッチセンサパネル部の座標空間に対する上記キーボード部の上記個々の操作キーの位置の割り当てを行うセットアップ手段を有する。
【0022】
上記情報処理装置によれば、ユーザによりキーボード部の個々の操作キーが操作されたとき、キーボード部の個々の操作キーが割り当てられたタッチセンサパネル部の座標空間に応じて、ユーザにより操作された操作キーに対するキーコードを生成することができる。
【0023】
上記セットアップ手段は、上記タッチセンサパネル部により検出された上記2つ以上の基準位置と上記各基準位置から上記タッチセンサパネル部の上記座標空間の二軸方向のそれぞれの端までの距離とをもとに、上記座標空間における上記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定し、この判定結果をもとに上記タッチセンサパネル部の上記座標空間に対する上記キーボード部の上記個々の操作キーの位置の割り当てを行ってもよい。
【0024】
上記情報処理装置によれば、基準位置の配置情報と距離情報とをもとに、キーボード部の配置を判定することができる。
【0025】
上記セットアップ手段は、上記タッチセンサパネル部により検出された上記2つ以上の基準位置と上記2つ以上の基準位置のそれぞれの2つの基準位置間の距離とをもとに上記キーボード部の位置を判定し、この判定結果をもとに、このキーボード部について上記配置の判定を行ってもよい。
【0026】
上記情報処理装置によれば、タッチセンサパネル部に載置された複数のキーボード部の配置を判定し、これをもとに複数のキーボード部のセットアップを行うことができる。
【0027】
上記キーボード部は、上記操作キーの位置の割り当てのための3つの基準位置を上記タッチセンサパネル部に検出させるための基準位置入力部を有してもよい。
上記3つの基準位置は、2つの基準位置とこの2つの基準位置を結んだ直線に対して直交する軸方向にずれた位置にある1つの基準位置とを含み、2つの基準位置間の距離は、少なくとも他の2つの基準位置間の距離と異なる距離であってもよい。
上記セットアップ手段は、上記タッチセンサパネル部により検出された上記3つの基準位置をもとに、上記座標空間における上記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定し、この判定結果をもとに上記タッチセンサパネル部の上記座標空間に対する上記キーボード部の上記個々の操作キーの位置の割り当てを行ってもよい。
【0028】
上記情報処理装置によれば、タッチセンサパネル部により検出された3つの基準位置により、キーボード部の配置を判定することができる。
【0029】
上記情報処理装置は、表示パネル部と、表示処理手段とをさらに有してもよい。
上記表示パネル部は、上記タッチセンサパネル部の上記座標空間に対応して、上記タッチパネル部に重ね合わせられる。
上記表示処理手段は、上記判定結果に基き、上記タッチセンサパネル部の上記座標空間に対応して、上記表示パネル部への表示を行う。
【0030】
上記情報処理装置によれば、キーボード部の配置の判定結果に基き表示パネル部の所定の領域に表示を行うことができる。
【0031】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有するテーブル部と、複数の操作キーを有し、上記タッチセンサパネル部に載置可能なキーボード部とを有する情報処理装置の情報処理方法である。
上記キーボード部に設けられた基準位置入力部により、上記操作キーの位置の割り当てのための2つ以上の基準位置を上記タッチセンサパネル部に検出する。
上記タッチセンサパネル部により検出された上記キーボード部の上記2つ以上の基準位置に基き、上記タッチセンサパネル部の座標空間に対する上記キーボード部の上記個々の操作キーの位置の割り当てを行う。
【0032】
上記情報処理方法によれば、ユーザによりキーボード部の個々の操作キーが操作されたとき、キーボード部の個々の操作キーが割り当てられたタッチセンサパネル部の座標空間に応じて、ユーザにより操作された操作キーに対するキーコードを生成することができる。
【0033】
上記タッチセンサパネル部により検出された上記2つ以上の基準位置と上記各基準位置から上記タッチセンサパネル部の上記座標空間の二軸方向のそれぞれの端までの距離とをもとに、上記座標空間における上記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定してもよい。
この判定結果をもとに上記タッチセンサパネル部の上記座標空間に対する上記キーボード部の上記個々の操作キーの位置の割り当てを行ってもよい。
【0034】
上記情報処理方法によれば、基準位置の配置情報と距離情報とをもとに、キーボード部の配置を判定することができる。
【0035】
上記タッチセンサパネル部により検出された上記2つ以上の基準位置と上記2つ以上の基準位置のそれぞれの2つの基準位置間の距離とをもとに上記キーボード部の位置を判定してもよい。
この判定結果をもとに、このキーボード部について上記配置の判定を行ってもよい。
【0036】
上記情報処理方法によれば、タッチセンサパネル部に載置された複数のキーボード部の配置を判定し、これをもとに複数のキーボード部のセットアップを行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の情報処理装置及び情報処理方法によれば、操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を示す斜視図である。
【図2】キーボード部がテーブル部から取り外された様子を示す斜視図である。
【図3】テーブル部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】タッチセンサパネルの構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係るキーボード部を示す部分断面図である。
【図6】図5のキーボード部を示す別の部分断面図である。
【図7】図5のキーボード部がユーザからのキー入力操作を受けた様子を示す部分断面図である。
【図8】本実施形態に係る他のキーボード部を示す部分断面図である。
【図9】図8のキーボード部がユーザからのキー入力操作を受けた様子を示す部分断面図である。
【図10】キーボード部のセットアップ手順を示すフローチャートである。
【図11】タッチセンサパネルに載置されたキーボード部を示す模式図である。
【図12】タッチセンサパネルに載置されたキーボード部を示す別の模式図である。
【図13】キーボード部のセットアップ手順を示す別のフローチャートである。
【図14】タッチセンサパネルに載置された複数のキーボード部を示す模式図である。
【図15】タッチセンサパネルに載置された複数のキーボード部を示す別の模式図である。
【図16】表示パネルへの表示例を示す模式図である。
【図17】アプリケーションソフトの起動時の表示パネルへの表示例を示す模式図である。
【図18】キーボード部のセットアップ後の表示パネルへの別の表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0040】
<情報処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1を示す斜視図である。
同図に示すように、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1は、テーブル部100と、入力補助装置としてのキーボード部300とを備える。キーボード部300は、テーブル部100のタッチセンサパネル30上に載置可能である。
【0041】
テーブル部100は、表示パネル(図8等に示す表示パネル20)の上に透明なタッチセンサパネル30を配置したものである。タッチセンサパネル30としては、ここでは静電容量方式のものを採用している。ユーザはタッチセンサパネル30を通して表示パネルを視認することができる。タッチセンサパネル30は、金属製のフレーム10によって周縁部が囲われている。タッチセンサパネル30の周縁部は、フレーム10の厚さ分だけ薄く形成されており、タッチセンサパネル30がフレーム10により保持されたとき、タッチセンサパネル30とフレーム10とは、段差が生じないように構成されている。このタッチセンサパネル30は、物体の接触あるいは近接により指示された座標の検出を行う。フレーム10には、例えば金属等の導電材料からなる脚部11が、フレーム10に導通可能に設けられている。この脚部11は、テーブル部100を例えば床等に支持する。
【0042】
タッチセンサパネル30の下方に配置された表示パネルは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示パネルにはキーボード等のGUI(Graphic User Interface)要素や画像等のコンテンツが表示される。表示パネルの下部には、タッチセンサパネル30を制御する回路基板が配置されている。
【0043】
図2は、キーボード部300がテーブル部100から取り外された様子を示す斜視図である。
キーボード部300は、図1に示すように、テーブル部100のタッチセンサパネル30に載置されて、タッチセンサパネル30に対するユーザによる入力の補助に用いられる。キーボード部300は、図2に示すようにテーブル部100から自在に取り外すことができる。キーボード部300の構成は後で図示とともに説明する。
【0044】
[テーブル部の構成]
図3は、テーブル部100のハードウェア構成を示すブロック図である。
同図に示すように、CPU(Central Processing Unit)40には、システムバス41を介して、ROM(Read Only Memory)42と、主メモリ43と、無線通信処理部44と、オーディオ信号処理部45と、グラフィック演算処理部46とが接続されている。システムバス41には、タッチセンサパネルインターフェース47を介してタッチセンサパネル30がさらに接続されている。オーディオ信号処理部45には、オーディオ出力部50が接続されている。グラフィック演算処理部46には、表示制御部51が接続され、表示制御部51には、表示パネル20が接続されている。
【0045】
ROM42は、テーブル部100が実行すべきソフトウェア処理のためのプログラムやデータなどが恒久的に格納された読み出し専用メモリである。
【0046】
主メモリ43は、CPU40の作業用の領域として用いられるメモリである。
【0047】
無線通信処理部44は、外部機器との間での双方向通信を処理するためのインターフェースであり、具体的には、光、電波、音波、電磁波などの無線媒体を用いて外部機器との間で無線通信のための処理を行う。なお、外部機器との通信は無線に限らず有線での通信を行うためのインターフェースを採用してもよい。
【0048】
オーディオ信号処理部45は、デジタルのオーディオ信号からアナログのオーディオ信号に生成する。オーディオ信号処理部45により生成されたアナログのオーディオ信号は、スピーカ等からなるオーディオ出力部50より音声となって出力される。
【0049】
グラフィック演算処理部46は、CPU40から受け取った描画命令をもとに演算処理を行い、生成した映像信号を表示パネル20へ表示させるために表示制御部51へ出力する。
【0050】
表示制御部51は、グラフィック演算処理部46からの映像信号を受け取り、これをもとに表示パネル20を駆動してGUI要素等を表示する。
【0051】
タッチセンサパネル30は、ユーザによりこのタッチセンサパネル30を用いて入力された各種の命令や入力データを処理する。ユーザによりタッチセンサパネル30より入力された命令は、タッチセンサパネルインターフェース47によってシステムバス41を通じてCPU40に供給される。
【0052】
図4は、タッチセンサパネル30の構成を示すブロック図である。
タッチセンサパネル30は、発振器31と、線状の送信電極32−1〜32−5(「送信電極32」と総称することがある。)と、線状の受信電極33−1〜33−5(「受信電極33」と総称することがある。)と、受信器34と、プロセッサ35とを有する。
【0053】
発振器31は、送信電極32−1〜32−5に送信用の所定の周波数(例えば100KHz)の交流電流をそれぞれ供給する。受信電極33−1〜33−5は、静電作用によって送信電極32−1〜32−5より交流電流を受信する。受信器34は、受信電極33−1〜33−5を流れる交流電流を受信する。プロセッサ35は、発振器31の出力、受信電極33−1〜33−5の出力及び受信器34の出力を入力する。
【0054】
なお、図示の例では、説明をわかりやすくするため、線状の電極の数を少なくして5本の受信電極33−1〜33−5と、5本の送信電極32−1〜32−5が配置された状態を示している。
【0055】
発振器31と各送信電極32−1〜32−5との間には、スイッチ36−1〜36−5がそれぞれ設けられる。また、各受信電極33−1〜33−5と受信器34との間には、スイッチ37−1〜37−5がそれぞれ設けられる。これらのスイッチ36−1〜36−5及びスイッチ37−1〜37−5は、所定のタイミング(例えば、発振器31が交流電流を出力するタイミング)でそのスイッチをON状態にする。
【0056】
受信器34は、AM変調器34eと、A/D変換器34dから構成されている。AM変調器34eは、バンド・パス・フィルタ(BPF)34aと、増幅器34bと、検波器34cとからなる。バンド・パス・フィルタ34aは、所定の周波数帯域の交流電流のみを通過させる。A/D変換器34dは、AM変調器34eからの検波出力をアナログ−デジタル変換する。
【0057】
受信電極33−1〜33−5は、送信電極32−1〜32−5に対して略直交するように配置されており、それぞれ交差点を持つ。各交差点において、送信電極32と受信電極33とは非接触とされている。換言すると、送信電極32と受信電極33との各交差点では、コンデンサが形成される。従って、発振器31により発振され、出力された交流電流が送信電極32に供給されると、これに対向する受信電極33には、静電誘導によって、その交差点(コンデンサ)を介して交流電流が流れる。
【0058】
すなわち、発振器31が送信電極32に交流電圧を印加すると、送信電極32と受信電極33の間のコンデンサの静電容量による容量結合に基づいて、受信電極33に交流電流が発生し、受信器34に供給される。
【0059】
受信器34は、コンデンサを介して入力された交流電流の強度をデジタル信号としてプロセッサ35に出力するが、このコンデンサを介して受信器34に入力された交流電流の強度は、コンデンサの静電容量のみに依存する。このコンデンサの静電容量は、送信電極32又は受信電極33の変形等がない限り、静的で固定値を保つ。従って、送信電極32に同一の交流電圧が印加される限り、コンデンサを介して受信器34に入力される交流電流の強度は一定の値となる。
【0060】
導電性を有する物体がこの送信電極32と受信電極33との交差点に接触あるいは近接すると、その交差点におけるコンデンサによる静電容量が変化する。接触あるいは近接した物体に電流が流れ、グラウンド電位部に電気的に接続される。送信電極32側に交流電圧が印加された場合、上述のコンデンサを介して受信電極33により受信され、受信器34に供給される交流電流の強度は、アースに流れ込む電流の分だけ弱まる。
【0061】
このような現象を利用して、プロセッサ35は、受信器34のAM変調器34eでAM変調され、さらにA/D変換器34dでデジタル信号に変換された受信信号を用いて、電極間の交差点に導電性を有する物体が接近しているか否かを判定する。あるいは、プロセッサ35は、上記受信信号を用いて、物体がどの程度接近しているか(物体と交差点の間の距離)を計測したりする。従って、タッチセンサパネル30に物体が接触あるいは近接すると、プロセッサ35はこれを検出し、その検出信号をCPU40に供給する。
【0062】
[キーボード部の構成]
図5は、本実施形態に係るキーボード部300を示す部分断面図である。図6は、キーボード部300を示す別の部分断面図である。
これらの図に示すように、キーボード部300は、例えば絶縁材料からなるハウジング60に、可動ピン69やキートップ72等からなる複数の操作キーを設けたものである。
【0063】
ハウジング60の主板部61は、側板部62及び支持部74により支持されて、タッチセンサパネル30から所定距離離間しつつタッチセンサパネル30に対向して配置される。主板部61には、複数のキートップ部72を個々に露出させるための複数のキー開口63が設けられている。
【0064】
支持部74は、主板部61の互いに近傍に位置する4つのキー開口63を4隅とした四角形の中心付近の部位に設けられる。支持部74は、先端がタッチセンサパネル30に接触して主板部61をタッチセンサパネル30に対して支持する。本図では1つの支持部74を代表として示しているが、何個設けてもよい。
【0065】
ハウジング60内には、例えば金属材料からなる導電板64が設けられる。導電板64は、少なくともタッチセンサパネル30からの誘電が起こらない程度の距離タッチセンサパネル30から離間して配置される。導電板64は、詳細には次のように位置決めされる。すなわち、導電板64には、ボス部65のボス孔78に対応して開口76が設けられている。導電板64の開口76を通して主板部61に設けられたボス部65のボス孔78にビス66によるビス止めが行われ、これにより導電板64がハウジング60内の所定位置に固定される。
【0066】
ボス部65は、主板部61の互いに近傍に配置される別の4つのキー開口63を4隅とした四角形の中心付近の部位に設けられる。本断面図では1つのボス部65を代表として示しているが、何個設けてもよい。
【0067】
導電板64には、例えば導電スポンジ等からなる導電弾性体67が貼着等により設けられる。キーボード部300は、導電弾性体67がグラウンド電位部としてのフレーム10に接触するようにタッチセンサパネル30に載置される。これにより、導電板64とグラウンド電位部としてのフレーム10とが導電弾性体67を介して導通され、キーボード部300のグラウンドを取ることができる。なお、導電弾性体67は、導電スポンジ等の弾性材料からなるので、フレーム10に確実に接触させることができるとともに、テーブル部100に載置されるキーボード部300のガタツキを抑えることができる。
【0068】
導電板64には、主板部61に設けられた複数のキー開口63に対応して、複数の開口68が設けられる。導電板64の各複数の開口68には、例えば金属材料等の導電材料からなる複数の可動ピン69の軸部70がタッチセンサパネル30に対する接離方向に貫通している。軸部70の外周面は、導電板64の開口68の内周面から離間して配置される。
【0069】
各複数の可動ピン69は、先端部77がタッチセンサパネル30に接触あるいは近接した位置(「第1の位置」と呼ぶこととする。)と、先端部77がタッチセンサパネル30から離間した位置(「第2の位置」と呼ぶこととする。)との間で移動可能である。可動ピン69は、ユーザ操作を受ける前はタッチセンサパネル30から先端部77が離間した第2の位置にある。
【0070】
第2の位置とは、タッチセンサパネル30の静電容量が変化しない程度、可動ピン69がタッチセンサパネル30から離間している位置である。これに対して、可動ピン69が操作されて第1の位置に移動すると、可動ピン69の先端部77がタッチセンサパネル30に接触あるいは近接して、これに対応するタッチセンサパネル30の所定の位置で静電容量が変化する。
【0071】
可動ピン69の軸部70の他端部には、軸部70、導電板64の開口68及び主板部61のキー開口63より大径の頭部73が設けられる。頭部73は、主板部61と導電板64との間で軸方向に移動可能であり、開口68及びキー開口63からの可動ピン69の軸方向での抜け落ちを規制する。
【0072】
各複数の可動ピン69の軸部70の外周には、付勢バネ71が一端で頭部73に接触し、他端で導電板64に接触して、これらの間で伸縮自在に設けられている。付勢バネ71は、例えば金属材料等の導電材料からなるコイルバネである。付勢バネ71は、可動ピン69をタッチセンサパネル30から離間する方向に付勢し、可動ピン69を第2の位置に位置させている。
【0073】
各複数の可動ピン69の頭部73には、キートップ部72が貼着等により設けられる。キートップ部72は、ハウジング60の主板部61に設けられたキー開口63を通して個々に露出され、ユーザからのキー入力操作を受けることが可能である。
【0074】
次に、キーボード部300がユーザからのキー入力操作を受けたときの情報処理装置1の動作について説明する。
【0075】
図7は、キーボード部300がユーザからのキー入力操作を受けた様子を示す部分断面図である。
付勢バネ71は、可動ピン69を先端部77がタッチセンサパネル30から離間する方向に付勢し、可動ピン69を第2の位置に位置させている。第2の位置にある可動ピン69に設けられたキートップ部72に、ユーザUにより圧力が加えられる。この圧力は可動ピン69に伝達される。可動ピン69は、付勢バネ71からの付勢(弾性力)に逆らって、タッチセンサパネル30に接近する方向に移動する。
【0076】
可動ピン69が第1の位置まで移動すると、可動ピン69の先端部77がタッチセンサパネル30の表面の送信電極32と受信電極33との交差点に対応する位置に接触あるいは近接する。これにより、送信電極32と受信電極33との交差点におけるコンデンサによる静電容量が変化し、可動ピン69に電流が流れる。この電流は、導電性を有し互いに接触した可動ピン69、付勢バネ71、導電板64及び導電弾性体67の経路を通って、導電弾性体67が接触するグラウンド電位部としてのフレーム10に誘導される。これにより、受信電極33により受信されて受信器34に供給される交流電流の強度が、グラウンド電位部に流れた電流の分だけ弱くなる。このようにしてタッチセンサパネル30に対して座標が指示され、タッチセンサパネル30のプロセッサ35は、この指示された座標を検出してCPU40に通知する。
【0077】
[キーボード部の他の構成]
本実施形態の情報処理装置1におけるキーボード部は上記キーボード部300に限定されない。以下に、本実施形態に係る他のキーボード部200を示す。
図8は、本実施形態に係る他のキーボード部200を示す部分断面図である。
なお、同図及び以下の図においては、説明をわかりやすくするため、各部材の厚さ等を実際の寸法とは異なる寸法で描いている。
【0078】
キーボード部200は、タッチセンサパネル30に対向してこの順に設けられた上側フレーム80と、メンブレンシート82と、スペーサシート83と、下側フレーム84と、ホルダ88により保持された導通部89とを有する。キーボード部200がタッチセンサパネル30に載置される際、ホルダ88により保持された導通部89がタッチセンサパネル30の表面に接触する。キーボード部200は、複数の操作キー96をさらに有する。
【0079】
上側フレーム80及び下側フレーム84は、例えば金属からなり、メンブレンシート82及びスペーサシート83を重ね合わせた状態で保持する。
【0080】
上側フレーム80には、複数の操作キー96に個々に対応して複数の開口91が設けられている。なお、操作キー96の構成は後で説明する。下側フレーム84には、上側フレーム80の複数の開口91に個々に対向して複数の開口106が設けられている。
【0081】
上側フレーム80の下には、メンブレンシート82が設けられている。メンブレンシート82は、例えばPETフィルム等からなり、裏面に例えば銀やカーボン等からなる導電性のペーストで接点及び回路パターンが印刷されている。メンブレンシート82の裏面には、回路パターン115により互いに接続された複数の接点99、90が設けられている。このうち接点99は、下側フレーム84の複数の開口106に対応して個々に設けられる。
【0082】
メンブレンシート82の下には、絶縁材料からなるスペーサシート83が設けられている。スペーサシート83は、メンブレンシート82と下側フレーム84との間を所定の距離だけ離間させて、メンブレンシート82に設けられた回路パターン115等と下側フレーム84との絶縁状態を保つ。スペーサシート83は、メンブレンシート82の接点99及びその近傍の領域に対向する開口94を有する。
【0083】
上側フレームの開口91、メンブレンシート82の接点99、スペーサシート83の開口94、下側フレーム84の開口106は、略同軸に設けられる。このため、メンブレンシート82の接点99が、スペーサシート83の開口94及び下側フレーム84の開口106を通してタッチセンサパネル30側に露出する。
【0084】
下側フレーム84には、グラウンド接続部107が設けられている。グラウンド接続部107は、金属からなる下側フレーム84の一部がメンブレンシート82側に向けて突出するように変形されたものである。スペーサシート83には、グラウンド接続部107に対向する部位に開口108が設けられている。グラウンド接続部107は、この開口108を通してメンブレンシート82の裏面に設けられた接点90に接触している。
【0085】
下側フレーム84の下方には、ホルダ88に保持された複数の導通部89が設けられる。導通部89は例えば金属からなり、導電性を有する。一方、ホルダ88は絶縁材料からなる。各複数の導通部89は、下側フレーム84の複数の開口106に個々に対応する。このため、各複数の導通部89は、個々の開口106を通してメンブレンシート82の接点99に対向する。導通部89は、下側フレーム84と接触しないように、下側フレーム84の開口106よりも小さい径とされ、この開口106内に位置するように設けられる。これにより、導通部89と下側フレーム84とは、絶縁状態となる。導通部89及びホルダ88の下面は段差なく構成されており、タッチセンサパネル30の表面に載置することが可能である。
【0086】
メンブレンシート82は、ユーザ操作による圧力を受けて接点99が導通部89に接触した位置(「第1の位置」と呼ぶこととする。)と、接点99が導通部89から離間した位置(「第2の位置」と呼ぶこととする。)との間で移動可能である。操作キー96がユーザ操作を受ける前、メンブレンシート82は導通部89から接点99が離間した第2の位置にある。
【0087】
第2の位置とは、タッチセンサパネル30の静電容量が変化しない程度、メンブレンシート82の接点99が、タッチセンサパネル30に載置された導通部89から離間した位置である。これに対して、メンブレンシート82がユーザ操作による圧力を受けて接点99が第1の位置に移動すると、接点99が導通部89に接触し、これに対応するタッチセンサパネル30の所定の位置で静電容量が変化する。
【0088】
次に、上側フレーム80に設けられた複数の操作キー96について説明する。各複数の操作キー96は、キートップ部97と、パンタグラフ部98と、カップ部86とを有する。
【0089】
カップ部86は、例えばゴム等の弾性材料からなり、ドーム部92と、押圧突部95と、円柱部93とを有する。
【0090】
ドーム部92は、外部からの圧力を受けて弾性変形することが可能である。ドーム部92は、略円形に開口された端部が上側フレーム80の開口91に対向するように、上側フレーム80に貼着等により設けられる。
【0091】
押圧突部95は、ドーム部92の最も膨出した部位に、中空側に突出して設けられる。押圧突部95の先端部は、上側フレーム80の開口91を介して、メンブレンシート82に対向する。押圧突部95と対向するメンブレンシート82の部位の裏面には、接点99が設けられている。
【0092】
円柱部93は、ドーム部92の頂上に設けられ、ドーム部92の膨出方向に突出している。円柱部93の先端には、ユーザからのキー入力操作を受けることが可能なキートップ部97が設けられる。
【0093】
パンタグラフ部98は、互いに交差する2本の脚部101,102を2組有する。2組の脚部101,102は互いに同様の構成を有するため、本図ではそのうち1組の脚部101,102を図示し、以下の説明ではこの1組の脚部101,102について説明する。
【0094】
1組の脚部101,102は互いに交差し、各脚部101,102の長手方向の略中心部において、ピボット軸103により回動自在に連結されている。
【0095】
脚部101の一端部110は、キートップ部97の軸孔を有する支持部104に回動自在に支持されている。脚部101の他端部111は、上側フレーム80上に配置される。この他端部111は、ピボット軸103を支点とした脚部101の回動に伴い、上側フレーム80上を略水平方向に移動可能である。
【0096】
脚部102の一端部112は、キートップ部97に設けられた溝部105に支持されている。この一端部112は、ピボット軸103を支点とした脚部102の回動に伴い、溝部105内を略水平方向に移動可能である。脚部102の他端部113は、上側フレーム80上に配置される。この他端部113は、ピボット軸103を支点とした脚部102の回動に伴い、上側フレーム80上で回動可能である。
【0097】
キートップ部97は、対応するカップ部86の円柱部93をタッチセンサパネル30に対する接離方向に移動させるための圧力をユーザより受けてドーム部92を弾性変形させる。ドーム部92が弾性変形したとき、押圧突部95は、ドーム部92の開口側へと移動する。一方、脚部101,102は、キートップ部97がタッチセンサパネル30に対する接離方向に移動する際、ピボット軸103を支点として互いに回動する。
【0098】
次に、キーボード部200がユーザからのキー入力操作を受けたときの情報処理装置1の動作について説明する。
【0099】
図9は、キーボード部200がユーザからのキー入力操作を受けた様子を示す部分断面図である。
メンブレンシート82が第2の位置にあるとき、ユーザUによりキートップ部97に圧力が加えられる。この圧力はカップ部86の円柱部93に伝達される。圧力を受けてカップ部86のドーム部92は弾性変形する。ドーム部92の内部に設けられた押圧突部95は、メンブレンシート82に接近する方向に移動して、メンブレンシート82を押し下げる。
【0100】
押圧突部95がさらにメンブレンシート82を押し下げると、メンブレンシート82は第1の位置まで移動して、接点99が導通部89に接触する。この結果、導通部89を介してメンブレンシート82の接点99とタッチセンサパネル30とが導通する。これにより、この導通部89に対応して位置するタッチセンサパネル30の送信電極32と受信電極33との交差点におけるコンデンサによる静電容量が変化し、導通部89に電流が流れる。
【0101】
導通部89に流れた電流は、互いに導通する導通部89、メンブレンシート82の接点99、回路パターン及び接点90、グラウンド接続部107の経路で下側フレーム84に流れる。これにより、受信電極33により受信されて受信器34に供給される交流電流の強度が、下側フレーム84に放電された電流の分だけ弱くなる。このようにしてタッチセンサパネル30に対して座標が指示され、タッチセンサパネル30のプロセッサ35は、この指示された座標を検出してCPU40に通知する。
【0102】
キーボード部300においては、導電板64とグラウンド電位部としてのフレーム10とが導電弾性体67を介して導通され、キーボード部300のグラウンドを取った。一方、キーボード部200においては、グラウンド接続部107等を介して電流を下側フレーム84に流す構成を採用し、物理的な接地と同様の効果を得ている。すなわち、下側フレーム84が十分大きければ、グラウンド電位部としてのフレーム10へ導通させる必要がなくなる。
【0103】
<情報処理装置の動作>
本実施形態において、情報処理装置1は上記キーボード部200,300の何れを有してもよいが、以下の説明では、情報処理装置1はキーボード部200を有するものとして説明する。
【0104】
[キーボード部のセットアップ]
タッチセンサパネル30の表面に載置されたキーボード部200のセットアップ方法について説明する。
【0105】
本実施形態において、略矩形状のキーボード部200のサイズに対して十分大きなサイズ、例えば2軸のそれぞれの方向に少なくとも2つのキーボード部200を配置可能なサイズを有する略矩形状のタッチセンサパネル30が用いられるものとする。
【0106】
まず、ユーザによりキーボード部200がタッチセンサパネル30上の任意の位置に載置される。この際、キーボード部200は、概ね、タッチセンサパネル30においてユーザ寄りの位置に配置される。
【0107】
この後、ユーザにより、キーボード部200のセットアップ命令の入力が行われる。このセットアップ命令の入力は、例えば次のようにして行われる。
【0108】
情報処理装置1に電源が投入されると、CPU40は、例えば主メモリ43等に格納されたプログラムに基き、タッチセンサパネル30に対応して設けられた表示パネル20にユーザからの各種命令を受け付けるためのメニュー画面を表示させる。このメニュー画面は、キーボード部200のセットアップ命令とセットアップ条件を受け付けるためのボタンを含んでいる。このボタンの操作によってユーザからのセットアップ命令とセットアップ条件が入力されると、CPU40は、キーボード部200のセットアップ処理を実行する。ここで、セットアップ条件とは、例えば、セットアップするキーボード部200の上限数などを情報を含む。メニュー画面は、さらに、キーボード部200の予め決められた2つの操作キー96の押下をユーザに促すメッセージを含む。この予め決められた2つの操作キー96は、キーボード部200の基準位置をタッチセンサパネル30を通して情報処理装置1に入力するための基準位置入力部としての役割をもつ。予め決められた2つの操作キー96とは、例えば、略矩形状のキーボード部200の一端部に沿って配置されたユーザ寄りの操作キー96列の左右端の2つの操作キー96とすればよい。しかしながら、異なる2つの操作キー96であればよく、これに限定されない。
【0109】
図10は、この場合のキーボード部200のセットアップ手順を示すフローチャートである。
はじめに、セットアップするキーボード部200の上限数として"1"が指定された上でセットアップ命令がユーザより入力された場合を説明する。
【0110】
ユーザにより操作キー96が押下されると、タッチセンサパネル30のプロセッサ35は、操作キー96のタッチセンサパネル30への接触又は近接を検出する。CPU40は、タッチセンサパネルインターフェース47によってシステムバス41を通じて、プロセッサ35より、操作キー96が接触又は近接したタッチセンサパネル30の座標情報を取得する。CPU40は、この座標情報をもとに、次のようにしてタッチセンサパネル30上でのキーボード部200の位置及び向きを判定する。ここで、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での位置及び向きを合わせて「配置」と呼ぶこととする。
【0111】
まず、CPU40は、2点の座標情報の入力の時間差等をもとに2点の座標情報の有意性を判定する(ステップS101)。例えば、CPU40は、最初に入力された座標情報と次に入力された座標情報とのそれぞれの入力タイミングの時間差を求め、この時間差が予め決められた時間差以内であった場合に2点の座標情報がセットアップ上有意な情報であることを判定する。また、CPU40は、時間差が予め決められた時間差より長い場合には、2点の座標情報がセットアップ上無為な情報であるとし、表示パネル20等を通してその旨をユーザに通知し、ステップS101の処理を繰り返し行う(ステップS101のNo)。
【0112】
CPU40は、入力された2点の座標情報が有意な情報であることを判定した場合(ステップS101のYes)、2点の座標情報と、この2点から略矩形状のタッチセンサパネル30の2軸方向のそれぞれの辺まで距離情報とをもとに、キーボード部200の配置を判定する。この点及び辺の検出及びキーボード部200の配置の判定は、例えば次のようにして行われる。
【0113】
図11は、タッチセンサパネル30に載置されたキーボード部200を示す模式図である。
例えば、図11に示すようにキーボード部200がタッチセンサパネル30に載置された場合には、CPU40は、点A,Bのの座標情報が有意な情報であると判定する(ステップS101のYes)。
【0114】
CPU40は、点Aの座標情報をもとに、点Aとタッチセンサパネル30の2軸方向の各辺との距離とを求める。CPU40は、点Aとタッチセンサパネル30の2軸方向の各辺との距離情報を基に、点Aとの距離が最小となるタッチセンサパネル30の1辺を判定する(ステップS102)。点Aとの距離が最小となるタッチセンサパネル30の1辺を「辺a」と呼ぶこととする。
【0115】
次に、CPU40は、点Bの座標情報をもとに、点Bとタッチセンサパネル30の2軸方向の各辺との距離とを求める。CPU40は、点Bとタッチセンサパネル30の2軸方向の各辺との距離情報を基に、点Bとの距離が最小となるタッチセンサパネル30の1辺を判定する(ステップS103)。この点Bとの距離が最小となるタッチセンサパネル30の1辺を「辺b」と呼ぶこととする。
【0116】
次に、CPU40は、辺a,bが同じ辺であるか否かを判定する(ステップS104)。
例えば図11に示す場合であれば、CPU40は、辺a,bが同じ辺であると判定する(ステップS104のYes)。CPU40は、辺a,bが同じ辺であると判定すると、点A,Bを結んだ直線に沿ってキーボード部200のユーザ寄りの1辺が配置され、この直線に対して辺a,bが位置する側とは反対側にキーボード部200が配置されたと判定する(ステップS105)。
【0117】
図12は、タッチセンサパネル30に載置されたキーボード部200を示す別の模式図である。
一方、図12に示すようにキーボード部200がタッチセンサパネル30に載置された場合には、CPU40は、辺a,bが異なる辺であると判定する(ステップS104のNo)。CPU40は、辺a,bが異なる辺であると判定すると、点A,Bを結んだ直線に沿ってキーボード部200のユーザ寄りの1辺が配置され、この直線に対して辺a,bの交点が位置する側とは反対側にキーボード部200が配置されたと判定する(ステップS106)。ここで、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での位置及び向きの情報を合わせて「配置情報」と呼ぶこととする。
【0118】
CPU40は、ステップS105又はステップS106でキーボード部200の配置を判定すると、このキーボード部200の配置情報に基き、タッチセンサパネル30の座標空間に対するキーボード部200の個々の操作キー96の割り当てを行う。詳細には、CPU40は、キーボード部200の各操作キー96とタッチセンサパネル30の座標との対応関係を示す対応表を作成する。ここで、対応表とは、キーボード部200の操作キー96に予め割り当てられたキーコード毎にこれがタッチセンサパネル30で検出可能な二次元領域におけるどの座標空間の範囲にあるかを登録したテーブルである。この後、CPU40は、作成した対応表を主メモリ43に格納し(ステップS107)、処理を終了する。これにより、CPU40は、対応表を参照することで、タッチセンサパネル30により検出される座標情報をもとにユーザにより押下された操作キー96に対応するキーコードを生成することができる。
【0119】
なお、キーボード部200のセットアップがすでに完了している情報処理装置1において新たに別のキーボード部200をセットアップする場合も、上記と同じ手順でキーボード部200をセットアップすることができる。
【0120】
図13は、キーボード部200のセットアップ手順を示す別のフローチャートである。
ここでは、セットアップするキーボード部200の上限数として"2"以上が指定された上でセットアップ命令がユーザより入力された場合を説明する。
【0121】
ユーザにより操作キー96が押下されると、タッチセンサパネル30のプロセッサ35は、操作キー96のタッチセンサパネル30への接触又は近接を検出する。CPU40は、タッチセンサパネルインターフェース47によってシステムバス41を通じて、プロセッサ35より、操作キー96が接触又は近接したタッチセンサパネル30の座標情報を取得する。CPU40は、この座標情報をもとに、次のようにしてタッチセンサパネル30上での複数のキーボード部200の配置を判定する。
【0122】
まず、CPU40は、2点以上の座標情報の入力の時間差等をもとに2点以上の座標情報の有意性を判定する(ステップS201)。例えば、CPU40は、最初に入力された座標情報と以後に入力された座標情報との各入力タイミングの時間差を求め、この時間差が予め決められた時間差以内であった場合に2点以上の座標情報がセットアップ上有意な情報であることを判定する。また、CPU40は、時間差が予め決められた時間差より長い場合には、2点以上の座標情報がセットアップ上無為な情報であるとし、表示パネル20を通してその旨をユーザに通知し、ステップS201の処理を繰り返し行う(ステップS201のNo)。
【0123】
CPU40は、入力された2点以上の座標情報が有意な情報であることを判定した場合(ステップS201のYes)、2つ以上の点の座標情報と、この2つ以上の点のそれぞれの2点間の距離情報とをもとに、複数のキーボード部200の配置を次のように判定する。まず、CPU40は、有意性が判定された2つ以上の点のそれぞれの2点間の距離情報を求める(ステップS202)。
【0124】
図14は、タッチセンサパネル30に載置された複数のキーボード部200を示す模式図である。
例えば、図14に示すように2つのキーボード部200がタッチセンサパネル30に載置された場合には、CPU40は、点C,D,E,Fの計4点の座標情報が有意な情報であると判定する(ステップS201のYes)。CPU40は、点C,D,E,Fの座標情報を基に、それぞれの2点間の距離を求める。より詳細には、CPU40は、点C,D,E,Fの座標情報を基に、CD,CE,CF,DE,DF,EF間の各距離をそれぞれ求める(ステップS202)。
【0125】
次に、CPU40は、それぞれの2点間の距離情報を基に、それぞれの2点間のそれぞれの距離がそれぞれ所定距離dであるかどうかを判定する(ステップS203)。ここで所定距離dとは、1つのキーボード部200の所定の操作キー96によりタッチセンサパネル30に入力される基準位置間の距離である。所定の操作キー96とは、例えば、略矩形状のキーボード部200の一端部に沿って配置されたユーザ寄りの操作キー96列の左右端の2つの操作キー96である。例えば図14に示す場合であれば、CPU40は、CD,CE,CF,DE,DF,EF間のそれぞれの距離情報を基に、CD,CE,CF,DE,DF,EF間のそれぞれの距離が所定距離dであるかどうかをそれぞれ判定する(ステップS203)。
【0126】
例えば図14に示す場合であれば、CPU40は、CD,CE,CF,DE,DF,EF間のそれぞれの距離情報と所定距離dとをそれぞれ比較し、CD,DE,DF,EF間の各距離がそれぞれ所定距離dであると判定する。なお、CPU40は、所定距離dとなる2点のペアを判定するまで、ステップS201〜ステップS203の処理を繰り返し行う(ステップS203のNo)。
【0127】
CPU40は、所定距離dとなる2点のペアの数を判定する(ステップS204)。CPU40は、所定距離dとなる2点のペアの数が1ペアであると判定した場合(ステップS204のNo)、タッチセンサパネル30に載置されたキーボード部200の数が1台であると判定する。CPU40は、所定距離dとなる2点のペアを1つのキーボード部200の2つの操作キー96により入力された2点として、上記ステップS102〜ステップS107の処理を行い、キーボード部200のセットアップを行う(ステップS205)。次に、CPU40は、セットアップを行ったキーボード部により入力された2点のほかに有意性が判定された座標情報があるかどうかを判定する(ステップS207)。CPU40は、有意性が判定された座標情報が他にある場合(ステップS207のYes)、上記ステップS204からの処理を繰り返し行う。一方、有意性が判定された座標情報が他に無い場合(ステップS207のNo)、CPU40は、キーボード部200のセットアップ処理を終了する。
【0128】
一方、CPU40は、ステップS204において所定距離dとなる2点のペアの数が2ペア以上であると判定した場合(ステップS204のYes)、タッチセンサパネル30に載置されたキーボード部200の数が2台以上であると判定する。次に、CPU40は、所定距離dとなる点のペアが1点に決まる点の有無を判定し(ステップS206)、その点のペアにより1台のキーボード部200を識別する。
【0129】
例えば図14に示す場合であれば、CPU40は、所定距離dとなる点のペアはCD,DE,DF,EFであるので、所定距離dとなる点のペアは2ペア以上であると判定する(ステップS204のYes)。次に、CPU40は、点C,D,E,Fの座標情報を基に、CD,DE,DF,EFの各ペアのうち、点Cとペアをなす点は点Dの1点のみであると判定する。一方、点Dとペアをなす点は点C,Eであり、1点に決まらない。点Eとペアをなす点は点D,Fであり、1点に決まらない。点Fとペアをなす点は点D,Eであり、1点に決まらない。CPU40は、点C,D,E,Fの座標情報を基に、点Cとペアをなす点は点Dのみであると判定すると(ステップS206のYes)、点C,Dが1つのキーボード部200の2つの操作キー96により入力された2点と判定する。CPU40は、点C,Dを1つのキーボード部200の2つの操作キー96により入力された2点として、上記ステップS102〜ステップS107の処理を行い、この1つのキーボード部200のセットアップを行う(ステップS205)。
【0130】
次に、CPU40は、セットアップを行ったキーボード部200の2つの操作キー96により入力された2点のほかに、有意性が判定された座標情報があるかどうかを判定する(ステップS207)。CPU40は、有意性が判定された座標情報が他にある場合(ステップS207のYes)、上記ステップS204からの処理を繰り返し行う。一方、有意性が判定された座標情報が他に無い場合(ステップS207のNo)、CPU40は、キーボード部200のセットアップ処理を終了する。
【0131】
例えば図14に示す場合であれば、CPU40は、点C,Dのほかに、有意性が判定された座標情報があるかどうかを判定する。CPU40は、有意性が判定された座標情報をもつ点E,Fがあると判定し(ステップS207のYes)、上記ステップS204からの処理を繰り返し行う。
【0132】
一方、CPU40は、ステップS206において所定距離dとなる点のペアが1点に決まる点が無いと判定する場合がある(ステップS206のNo)。
【0133】
図15は、タッチセンサパネル30に載置された複数のキーボード部200を示す別の模式図である。
例えば図15に示すように2つのキーボード部200がタッチセンサパネル30に載置された場合には、CPU40は、点G,H,I,Jの座標情報を基に、各2点間の距離を求め、この距離情報を基に、各2点間の距離が所定距離dとなるかを判定する。CPU40は、所定距離dとなる点のペアはGH,GI,HJ,IJであり、所定距離dとなる点のペアは2ペア以上であると判定する(ステップS204のYes)。次に、CPU40は、点G,H,I,Jの座標情報を基に、GH,GI,HJ,IJの各ペアのうち所定距離dとなる点のペアが1点に決まる点の有無を判定する(ステップS206)。ここで、点Gとペアをなす点は点H,Iであり、1点に決まらない。点Hとペアをなす点は点G,Jであり、1点に決まらない。点Iとペアをなす点は点G,Jであり、1点に決まらない。点Jとペアをなす点は点H,Iであり、1点に決まらない。従って、CPU40は、点G,H,I,Jの座標情報を基に、GH,GI,HJ,IJの各ペアのうち所定距離dとなる点のペアが1点に決まる点が無いと判定する(ステップS206のNo)。
【0134】
CPU40は、所定距離dとなる点のペアが1点に決まる点が無い場合(ステップS206のNo)、何れの2点のペアが1つのキーボード部200の操作キー96により入力されたものか識別することができない。そこで、CPU40は、タッチセンサパネル30に対応して設けられた表示パネル20に、キーボード部200の配置の変更をユーザに促すメッセージを含む画面を表示させる(ステップS208)。この画面を表示させると、CPU40は、上記ステップS204からの処理を再び実行する。
【0135】
[表示制御]
次に、キーボード部200のセットアップ後に行われる情報処理装置1の表示制御について説明する。
【0136】
図16は、キーボード部200のセットアップ後の表示パネル20への表示例を示す模式図である。
キーボード部200の配置が判定されてキーボード部200の各操作キー96とタッチセンサパネル30の座標との対応関係を示す対応表が作成されると、CPU40は、システムバス41を通じてグラフィック演算処理部46に描画命令を出力する。この描画命令は、例えば、ユーザにキーボード部200のセットアップが完了したことを通知するためにキーボード部200を囲むようにGUI要素G1を表示させるための命令である。この描画命令には、例えば、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での配置情報が含まれる。
【0137】
グラフィック演算処理部46は、システムバス41を通じてCPU40より描画命令を取得し、この描画命令をもとに演算処理を行って表示データを生成する。グラフィック演算処理部46は、生成した表示データを表示制御部51へ供給する。表示制御部51は、グラフィック演算処理部46より表示データを取得すると、この表示データをもとに表示パネル20を駆動してGUI要素G1を表示する。これにより、キーボード部200のは位置情報に基き、表示パネル部20の所定の領域に表示を行うことができる。
【0138】
図17は、アプリケーションソフトの起動時の表示パネル20への表示例を示す模式図である。
次に、アプリケーションソフト起動時の表示パネル20への表示制御について説明する。ここで、アプリケーションソフトは、例えばテキスト入力用のソフトである。
【0139】
アプリケーションソフトを起動すると、CPU40は、システムバス41を通じてグラフィック演算処理部46に描画命令を出力する。例えば、この描画命令は、ユーザが入力するテキストを一時的に表示するための入力小窓としてのGUI要素G2と、この入力小窓に表示されたテキストを順次表示するためのアプリケーションエリアとしてのGUI要素G3とを表示させるための命令である。この描画命令には、例えば、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での配置情報が含まれる。
【0140】
グラフィック演算処理部46は、システムバス41を通じてCPU40より描画命令を取得し、この描画命令をもとに演算処理を行って表示データを生成する。グラフィック演算処理部46は、生成した表示データを表示制御部51へ供給する。表示制御部51は、グラフィック演算処理部46より表示データを取得すると、この表示データをもとに表示パネル20を駆動して各GUI要素G2,G3を表示する。これにより、キーボード部200のは位置情報に基き、表示パネル部20の所定の領域に表示を行うことができる。
【0141】
図18は、キーボード部200のセットアップ後の表示パネル20への別の表示例を示す模式図である。
【0142】
アプリケーションソフトが起動され、アプリケーションエリアとしてのGUI要素G4がすでに表示されているときにキーボード部200がセットアップされた場合について説明する。
【0143】
キーボード部200の配置が判定されてキーボード部200の各操作キー96とタッチセンサパネル30の座標との対応関係を示す対応表が作成されると、CPU40は、システムバス41を通じてグラフィック演算処理部46に描画命令を出力する。この描画命令は、例えば、すでに表示されているアプリケーションエリアとしてのGUI要素G4の表示を終了させ、セットアップされたキーボード部200の配置情報に対応して新たにアプリケーションエリアとしてのGUI要素G5を表示させるための命令である。この描画命令には、例えば、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での配置情報が含まれる。
【0144】
グラフィック演算処理部46は、システムバス41を通じてCPU40より描画命令を取得し、この描画命令をもとに演算処理を行って表示データを生成する。グラフィック演算処理部46は、生成した表示データを表示制御部51へ供給する。表示制御部51は、グラフィック演算処理部46より表示データを取得すると、この表示データをもとに表示パネル20を駆動してGUI要素G4の表示を終了し、セットアップされたキーボード部200の配置情報に対応してGUI要素G5を新たに表示する。これにより、キーボード部200のは位置情報に基き、表示パネル部20の所定の領域に表示を行うことができる。なお、本実施形態においては、上記各表示制御を組み合わせて行ってもよい。
【0145】
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
【0146】
上記実施形態では、キーボード部200の基準位置をタッチセンサパネル30を通して情報処理装置1に入力するための基準位置入力部を、ユーザ寄りの操作キー96列の左右端の2つの操作キー96とした。しかしながら、これに限定されない。例えば、キーボード部200の対角等に位置する2つの操作キー96を基準位置入力部としてもよい。この場合も、2つの操作キー96により入力された2点の座標情報と、この2点からタッチセンサパネル30の2軸方向のそれぞれの辺まで距離情報とをもとに、キーボード部200の配置を判定することができる。
【0147】
あるいは、キーボード部200の基準位置をタッチセンサパネル30を通して情報処理装置1に入力するための基準位置入力部を、三角形の頂点をなす所定の3つの操作キー96としてもよい。所定の3つの操作キー96により構成される三角形は、正三角形でなければよい。CPU40は、この所定の3つの操作キー96によりタッチセンサパネル30に入力された3点の座標情報を基に、キーボード部200の位置及び向きを判定する。このように、所定の3つの所定の3つの操作キー96によりタッチセンサパネル30に入力された座標情報を基に、キーボード部200の位置及び向きが一義的に定まるので、ステップS102〜ステップS106の処理を行う必要がなくなる。
【0148】
あるいは、キーボード部200の基準位置をタッチセンサパネル30を通して情報処理装置1に入力するための基準位置入力部を、操作キー96とは別にキーボード部200の底面に設けてもよい。具体的には、キーボード部200の底面の所定の位置に例えば2つの誘電部材を設け、この誘電部材が接触又は近接したタッチセンサパネル30の座標情報をもとにキーボード部200の配置を判定すればよい。
【0149】
キーボード部200の底面に設けられた2つの誘電部材の誘電率を、異なる材料や接触面積により変化させる。このキーボード部200をタッチセンサパネル30に載置すると、タッチセンサパネル30は、タッチセンサパネル30に接触又は近接した2つの誘電部材の座標情報を検出するとともに、2つの誘電部材の誘電率のレベルを検出し、座標情報と誘電率のレベルの情報とをCPU40に出力する。
【0150】
CPU40は、取得した座標情報をもとに、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での位置を判定する。CPU40は、取得した誘電率のレベルの情報をもとに、キーボード部200のタッチセンサパネル30上での向きを判定する。このように、2つの誘電部材により入力された2点の座標情報及び誘電率のレベルの情報により、キーボード部200の位置及び向きが一義的に定まるので、ステップS102〜ステップS106の処理を行う必要がなくなる。
【0151】
上記実施形態では、表示パネル20及び静電容量方式のタッチセンサパネル30をもつテーブル部100を用いたが、これに限定されない。例えば、プラスチック等からなる透明パネルをもつテーブル部を用いてもよい。透明パネル上には、キーボード部200が載置される。表示手段として、表示パネル20のかわりにプロジェクタが設けられる。ユーザ操作の検出手段として、タッチセンサパネル30のかわりに赤外線カメラが設けられる。透明パネルには、プロジェクタを用いて画像光を投影することによりGUI要素等が表示される。透明パネル上に載置されたキーボード部200の操作キー96の押下は、赤外線カメラを用いて屈折率の違いに基き検出される。本例では、静電容量方式のタッチセンサパネル30を用いないので、グラウンド電位部の接触により接地をする必要が無い。このため、キーボード部300にグラウンド接続部107を設ける必要がなくなる。
【0152】
上記実施形態で、情報処理装置1に1台及び2台のキーボード部200がセットアップされる場合を図示とともに説明した。しかしながら、キーボード部200の数は1台及び2台に限定されず、3台以上であってもよい。また、情報処理装置1はキーボード部200を有するものとして説明した。しかしながら、情報処理装置1はキーボード部300を有してもよいことは勿論である。
【0153】
上記実施形態では、情報処理装置としてテーブル部100を備える情報処理装置1を例示して説明した。しかし、これに限られず、情報処理装置としてはPDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器その他の電化製品等が挙げられる。
【符号の説明】
【0154】
1…情報処理装置
10…フレーム
11…脚部
20…表示パネル
30…タッチセンサパネル
60…ハウジング
64…導電板
67…導電弾性体
69…可動ピン
71…付勢バネ
72、97…キートップ部
80…上側フレーム
82…メンブレンシート
83…スペーサシート
84…下側フレーム
86…カップ部
89…導通部
90、99…接点
96…操作キー
100…テーブル部
107…グラウンド接続部
200、300…キーボード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有するテーブル部と、
前記タッチセンサパネル部に載置可能なキーボード部とを具備し、
前記キーボード部は、
前記タッチセンサパネル部に載置された状態にあって、前記タッチセンサパネル部に対して接離方向に移動可能に設けられ、前記タッチセンサパネル部に一端部が接触又は近接した第1の位置と、前記タッチセンサパネル部から前記一端部が離間した第2の位置との間で移動可能な導電性を有する複数の可動部と、
個々の前記可動部に対応して設けられ、対応する前記可動部を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させるための圧力をユーザより受けて前記可動部に伝達する複数のキートップ部と、
前記複数の可動部をグラウンドと電気的に接続するためのグラウンド接続部とを有する
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記キーボード部は、前記第1の位置に移動した各前記複数の可動部を、弾性力により前記第2の位置に復帰させる弾性部をさらに有する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記テーブル部は、前記タッチセンサパネル部による座標の検出が可能な領域以外の領域に前記グラウンド接続部と電気的に接触可能な接触部をさらに有する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記グラウンド接続部は、前記可動部と電気的に接触された導電板と、前記テーブル部の前記接触部及び前記導電板の間に介在された導通部とを有する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記導通部は、導電弾性体である
情報処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記複数の可動部は、弾性を有する基材に、導電性を有する複数の接点が形成されてなる
情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記キーボード部は、前記複数の接点と前記タッチセンサパネル部による座標の検出が可能な領域との間に、前記複数の接点と前記タッチセンサパネル部を導通可能な導通部をさらに有する
情報処理装置。
【請求項8】
物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有するテーブル部と、複数の操作キーを有し、前記タッチセンサパネル部に載置可能なキーボード部とを有する情報処理装置であって、
前記キーボード部は、前記操作キーの位置の割り当てのための2つ以上の基準位置を前記タッチセンサパネル部に検出させるための基準位置入力部を有し、
前記情報処理装置は、前記タッチセンサパネル部により検出された前記キーボード部の前記2つ以上の基準位置に基き、前記タッチセンサパネル部の座標空間に対する前記キーボード部の前記個々の操作キーの位置の割り当てを行うセットアップ手段を具備する
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記セットアップ手段は、前記タッチセンサパネル部により検出された前記2つ以上の基準位置と前記各基準位置から前記タッチセンサパネル部の前記座標空間の二軸方向のそれぞれの端までの距離とをもとに、前記座標空間における前記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定し、この判定結果をもとに前記タッチセンサパネル部の前記座標空間に対する前記キーボード部の前記個々の操作キーの位置の割り当てを行う
情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置であって、
前記セットアップ手段は、前記タッチセンサパネル部により検出された前記2つ以上の基準位置と前記2つ以上の基準位置のそれぞれの2つの基準位置間の距離とをもとに前記キーボード部の位置を判定し、この判定結果をもとに、このキーボード部について前記配置の判定を行う
情報処理装置。
【請求項11】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記キーボード部は、前記操作キーの位置の割り当てのための3つの基準位置を前記タッチセンサパネル部に検出させるための基準位置入力部を有し、
前記3つの基準位置は、2つの基準位置とこの2つの基準位置を結んだ直線に対して直交する軸方向にずれた位置にある1つの基準位置とを含み、2つの基準位置間の距離は、少なくとも他の2つの基準位置間の距離と異なる距離であり、
前記セットアップ手段は、前記タッチセンサパネル部により検出された前記3つの基準位置をもとに、前記座標空間における前記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定し、この判定結果をもとに前記タッチセンサパネル部の前記座標空間に対する前記キーボード部の前記個々の操作キーの位置の割り当てを行う
情報処理装置。
【請求項12】
請求項10に記載の情報処理装置であって、
前記タッチセンサパネル部の前記座標空間に対応して、前記タッチパネル部に重ね合わせられた表示パネル部と、
前記判定結果に基き、前記タッチセンサパネル部の前記座標空間に対応して、前記表示パネル部への表示を行う表示処理手段と
をさらに具備する情報処理装置。
【請求項13】
物体の接触又は近接により指示された座標の検出が可能なタッチセンサパネル部を有するテーブル部と、複数の操作キーを有し、前記タッチセンサパネル部に載置可能なキーボード部とを有する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記キーボード部に設けられた基準位置入力部により、前記操作キーの位置の割り当てのための2つ以上の基準位置を前記タッチセンサパネル部に検出し、
前記タッチセンサパネル部により検出された前記キーボード部の前記2つ以上の基準位置に基き、前記タッチセンサパネル部の座標空間に対する前記キーボード部の前記個々の操作キーの位置の割り当てを行う
情報処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理方法であって、
前記タッチセンサパネル部により検出された前記2つ以上の基準位置と前記各基準位置から前記タッチセンサパネル部の前記座標空間の二軸方向のそれぞれの端までの距離とをもとに、前記座標空間における前記キーボード部の位置及び向きを含めた配置を判定し、
この判定結果をもとに前記タッチセンサパネル部の前記座標空間に対する前記キーボード部の前記個々の操作キーの位置の割り当てを行う
情報処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置であって、
前記タッチセンサパネル部により検出された前記2つ以上の基準位置と前記2つ以上の基準位置のそれぞれの2つの基準位置間の距離とをもとに前記キーボード部の位置を判定し、
この判定結果をもとに、このキーボード部について前記配置の判定を行う
情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−48571(P2011−48571A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195660(P2009−195660)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】