説明

情報処理装置

【課題】情報処理装置において、限られた表示領域の中で複数の画面の表示を行ない、なおかつ、これら画面間の行き来が煩雑な操作なく行なえるようにする。
【解決手段】情報処理装置は、複数の画面をそれぞれ異なる向き52,53に向けて同時に表示可能な1つの表示領域3を有しかつ姿勢を変更可能なディスプレイ1と、上記複数の画面のうち少なくとも1つに対して操作を行なうための操作部2と、ディスプレイ1の姿勢を変えることによって、操作部2が操作対象とする画面の選択状態を切り替えるための制御手段とを備える。ディスプレイ1は、単一の画面のみを表示する第1の表示状態と、複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示する第2の表示状態とを切り替えることが可能なディスプレイである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関するものである。本発明は、特に、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などといった携帯型の情報処理装置に好適に用いられるものであるが、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータその他幅広い種類の情報処理機器に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯型の情報処理装置において複数の画面を逐次参照しながら扱いたい場合がある。このニーズに応えるために、特開2001−312346号公報(特許文献1)に開示された技術がある。この技術は、複数の画面が上下左右に隣接しているかのようなイメージで内部に保持し、キー操作によって上下左右に移動する感覚で画面表示を切り替えるものである。表示中の画面の上下左右に隣接する画面が何であるかは、表示中の画面の脇にアイコン化して表示されている。しかし、これでは、慣れないユーザにとってはアイコンを見ただけではそのアイコンが何の画面を意味するのかわかりにくく、結局、望む画面が現在表示されている画面のどちら側にあったかを素早く把握しづらい。
【0003】
一方、特開2003−209609号公報(特許文献2)に開示された技術では、1つのディスプレイの表示領域を複数の表示領域に分割して、現在主として参照している画面以外の画面はあたかも操作中の画面の後ろに部分的に隠れているかのように表示することとしている。しかし、この技術にしても、いちいちキー操作やダイヤル操作を行なわなければ別の画面に切り替えることができず、頻繁に画面を切り替えて複数の画面間を行き来しながら作業したいような場合にはユーザにとっては操作がきわめて煩雑となる。さらに、このような問題を回避するための技術として、特開2003−204378号公報(特許文献3)では、主表示部と副表示部とを物理的に別個に設け、それぞれ独立して表示を行なうこととしている。この場合、たしかにユーザは画面切替えの操作をせずとも複数の情報を同時に参照することができるが、副表示部は往々にして面積の小さなものとなりがちであり、十分な量の情報を表示できるとはいえない。また、副表示部を主表示部同様に大きくすると、情報処理装置全体の中に表示部が占める面積が大きくなってしまい、情報処理装置の小型化の妨げとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−312346号公報
【特許文献2】特開2003−209609号公報
【特許文献3】特開2003−204378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来提案されていたいずれの技術によっても、ユーザに煩雑さを感じさせることなく、限られた表示領域の中で複数の画面を扱うことはできていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、限られた表示領域の中で複数の画面の表示を行ない、なおかつ、ユーザにとってこれら画面間の行き来が煩雑な操作なく行なえる、情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に基づく情報処理装置の一つの局面では、複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示可能な1つの表示領域を有しかつ姿勢を変更可能なディスプレイと、上記複数の画面のうち少なくとも1つに対して操作を行なうための操作部と、上記ディスプレイの姿勢を変えることによって、上記操作部が操作対象とする画面の選択状態を切り替えるための制御手段とを備える。この構成を採用することにより、情報処理装置は、限られた表示領域の中で複数の画面の表示を行なうことができ、なおかつ、ユーザにとってはディスプレイの姿勢を変えるだけで操作対象とする画面の選択状態を切り替えることができるので、これらの画面間の行き来を煩雑な操作なく行なえる。
【0008】
上記発明において好ましくは、上記制御手段は、上記操作部に向かうユーザから見える画面が、上記操作部が操作対象とする画面となるように制御することができる。この構成を採用することにより、ユーザは現在見えている画面を見ながら操作を行なうことができる。
【0009】
上記発明において好ましくは、上記ディスプレイが、単一の画面のみを表示する第1の表示状態と、複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示する第2の表示状態とを切り替えることが可能なディスプレイであって、上記表示領域を上記操作部に向かうユーザに向けた状態では、上記ディスプレイは上記第1の表示状態となって、上記表示領域は単一の画面のみを表示し、上記表示領域を上記ユーザに対して斜めに向けた状態では、上記ディスプレイは上記第2の表示状態となって、上記表示領域は、上記ユーザから見える第1の画面と、上記ユーザからは見えず異なる向きからは見える第2の画面とを同時に表示することができる。この構成を採用することにより、操作部に向かうユーザが1人で専有的にディスプレイを使用する場合と、操作部に向かうユーザのほかに異なる側にも同時にディスプレイを見るユーザがいて各ユーザが見るべき画面が異なっている場合との両方に対応することができ、その切替えを、ディスプレイの姿勢を変えるというわかりやすい操作によって簡単に行なうことができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に基づく情報処理装置の他の局面では、複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示可能な1つの表示領域を有し、かつ、姿勢を変更可能なディスプレイを備え、上記表示領域を主ユーザに向けた姿勢では、上記表示領域は単一の画面のみを表示し、上記表示領域を上記主ユーザに対して斜めに向けた姿勢では、上記表示領域は、上記主ユーザから見える第1の画面と、上記主ユーザからは見えず異なる向きからは見える第2の画面とを同時に表示することができる。この構成を採用することにより、1台のディスプレイだけで、主ユーザが1人で専有的にディスプレイを使用する場合と、主ユーザのほかに異なる側にも同時にディスプレイを見るユーザがいて各ユーザが見るべき画面が異なっている場合との両方に対応することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の画面を表示領域全域を占める十分な大きさでそれぞれ独立して同時に表示することができ、ユーザは、ディスプレイの姿勢を変えるという簡単でわかりやすい操作によって、これらの複数の画面間を行き来することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の第1の状態での概念図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の第1の使用状態の説明図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の第2の状態での概念図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の第2の使用状態の説明図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置としての携帯電話の第3の使用状態の説明図である。
【図7】1つの表示領域から異なる向きに向けてそれぞれ対応する複数の画面を同時に表示するディスプレイの原理の説明図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態2における情報処理装置としてのカーナビゲーションシステムの斜視図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態2における情報処理装置としてのカーナビゲーションシステムの第1の使用状態の説明図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態2における情報処理装置としてのカーナビゲーションシステムの第2の使用状態の説明図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態3における情報処理装置としてのデスクトップ型のパーソナルコンピュータの使用状態の説明図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態4における情報処理装置としてのノート型のパーソナルコンピュータの第1の使用状態の説明図である。
【図13】本発明に基づく実施の形態4における情報処理装置としてのノート型のパーソナルコンピュータの第2の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
(構成)
図1〜図7を参照して、本発明に基づく実施の形態1における情報処理装置について説明する。本実施の形態における情報処理装置は、携帯電話である。この携帯電話は、図1に示すように、ディスプレイ1と操作部2とを備える。ディスプレイ1はその主表面に表示領域3を有する。操作部2にはキー4が配置されている。ディスプレイ1と操作部2とはネック部5を介して接続されている。ネック部5は、ディスプレイ1を回転軸6の周りに回動自在に保持している。ユーザは手でディスプレイ1を持って回転軸6を中心に回転させ、ディスプレイ1の操作部2に対する相対的な姿勢を変更することができる。
【0014】
この携帯電話の構成の概念図を図2に示す。この携帯電話は、ネック部5の内部またはその近傍にディスプレイ1の姿勢を検出するための姿勢検出部8を備える。姿勢検出部8はディスプレイ1の姿勢を検出し、その姿勢情報を制御部9に伝える。この携帯電話は、複数の画面41,42,43を保持する画面保持部10を備えており、制御部9は、操作部2から操作を行なう対象となる画面を画面保持部10に保持されている複数の画面のうちのどれにするかの選択を切り替える。
【0015】
図2に示した状態では、画面41のみが表示領域3に表示されている。この状態は、図3に示す状態に対応する。すなわち、ディスプレイ1の主表面は操作部2の主表面と平行であり、表示領域3は矢印51の向き、すなわち、操作部2に向かうユーザ7の方を向いている。ユーザ7は矢印51の向きに表示される画面41を見ることができる。なお、図1に示したように、ディスプレイ1と操作部2とは上から見れば同じ大きさに見えるはずであるが、説明の便宜のため、操作部2はディスプレイ1よりも大きな長方形で表示している。
【0016】
ここで、ディスプレイ1の姿勢を変更すると、姿勢検出部8(図2参照)が姿勢の変更を検出し、制御部9に知らせる。制御部9は、図4に示すように、画面保持部10に保持されている複数の画面のうち画面41と画面42とを同時に表示領域3に表示するように指令を出す。この状態は、図5または図6に示す状態に相当する。すなわち、ディスプレイ1の姿勢が変更され、表示領域3は操作部2に向かうユーザ7に対して斜めを向いている。この状態で、表示領域3には2つの画面が同時に表示され、図5では、ユーザ7に見える矢印52の向きに第1の画面を表示し、ユーザ7からは直接は見えない矢印53の向きに第2の画面を表示している。この状態ではユーザ7には矢印52の向きに表示されている第1の画面のみが見えている。ユーザ7は、矢印53の向きに表示されている画面を見たい場合は、手を動かして携帯電話自体の向きを変え、矢印53がユーザ7の方を向くようにすればよい。
【0017】
図6においても同様である。図6では、ユーザ7に見える矢印54の向きに第3の画面を表示し、ユーザ7からは直接は見えない矢印55の向きに第4の画面を表示している。この場合も、ユーザ7は、第3,第4の画面間を行き来するには、手を動かして携帯電話自体の向きを変えるだけでよい。
【0018】
このように、1つの表示領域から異なる向きに向けてそれぞれ対応する複数の画面を同時に表示するディスプレイは、たとえば特開平8−101367号公報(以下「’367」という。)に開示されている技術の原理を応用することによって実現可能である。その詳細を、図7を参照して説明する。
【0019】
図7では、2つの異なる向きに表示をすることによって、2人のユーザ7,11にそれぞれ異なる映像を見せる例を示している。図7に示すように、このディスプレイは、画像表示用液晶パネル12と、その手前に一定の距離dを離して配置されたスリット13とを備えている。スリット13は、光を遮る部分と光を透過する部分とが交互に繰返す構造となっている。スリット13は、遮光部分と透過部分とが固定された機械的なスリットであってもよいが、液晶層を配置することによって液晶に印加する電圧のオン/オフによって透過部分と遮光部分とを実現するものであってもよい。また、’367に開示されている技術のように液晶の配向方向を電気的に制御して光の透過率が高くなる方向が領域ごとに異なるようにしてもよい。
【0020】
画像表示用液晶パネル12においては、ユーザ7に向けて表示する映像aとユーザ11に向けて表示する映像bとが同時に表示されているが、映像a,bの各画素は、画像表示用液晶パネル12の表面において繰返すように分散配置されて表示されている。ユーザ7から見ると、スリット13の影響で映像aの画素のみがそれぞれ見えて映像bの画素はいずれも見えない。一方、ユーザ11から見ると、スリット13の影響で映像bの画素のみがそれぞれ見えて映像aの画素はいずれも見えない。
【0021】
また、液晶層を配置して液晶に印加する電圧のオン/オフによってスリットを実現するものとした場合、このスリット状態を解除する、すなわち、遮光部分がない状態にするような電圧を液晶に印加することにより、単一の画面のみを表示する一般的な表示状態とすることも可能となる。したがって、このディスプレイを、「単一の画面のみを表示する表示状態」と、「複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示する表示状態」との間で切り替えることが可能なものにすることができる。
【0022】
’367の技術自体は、両眼立体視表示を目的としたものであって1人のユーザの左右の目にそれぞれ映像を見せることを想定していたため距離dが小さかったが、距離dを大きくすることで、2つの映像を表示する向きのなす角度を大きくすることができる。すなわちディスプレイから見たときのユーザ7とユーザ11とのなす角度は、必要に応じて適宜大きくすることができる。この原理を利用すれば、1つの表示領域から異なる向きに向けてそれぞれ対応する複数の画面を同時に表示するディスプレイは実現可能である。
【0023】
(作用・効果)
本実施の形態では、ユーザは、複数の画面間を行き来するには、携帯電話を持っている手を動かして携帯電話自体の姿勢を変えるだけでよく、キーやダイヤルの操作は必要とされない。実際には、ユーザは携帯電話を既に手に持っているので、この画面間の行き来のための動作は、ユーザにとっては、手首をひねるだけでよく、ユーザに与える煩雑さはきわめて小さなものとなる。これは、立体的な物の異なる側の面を見比べるときと同じ感覚であるので、機械操作に不慣れなユーザにとっても理解しやすい。
【0024】
なお、上述の例では、図5および図6の2通りの状態によって第1〜第4の画面を表示することとしたが、矢印52の向きに表示する画面と矢印54の向きに表示する画面とを同一の内容としてもよい。この場合、ユーザ7はディスプレイ1をひねる動作と、操作部2を持つ向きを変える動作とを組合せて、3通りの画面間を行き来することができる。
【0025】
上述の例では、ディスプレイ1の回転の中心となる回転軸6は縦の軸とし、ディスプレイは左右に首を振るような方向で姿勢を変更可能な構造としたが、回転軸の方向は縦に限らない。たとえば、横の軸であってもよい。その場合、ディスプレイは上下に仰角を変更するように姿勢が変更可能となる。さらに、ディスプレイの姿勢の変更は一定の回転軸の周りの回転のみに限らず、より柔軟な支持機構によって任意の姿勢に変更し保持できるものとしてもよい。
【0026】
本実施の形態では、1つの表示領域に同時に2つの画面のみを表示することとしたが、3つ以上の画面を同時に表示することとしてもよい。その場合は、画像表示用液晶パネル12の表面には、3つ以上の画面の各画素が繰返し表示されることとなり、ユーザは見る向きを少しずつ変えることによって、各画面を区別して見ることができる。
【0027】
本実施の形態において1つの表示領域から同時に表示する複数の画面としては、たとえば、受信メールの内容を表示する画面とこれから送信しようとするメールを編集する画面との組合せが考えられる。このようにすれば、ユーザは、受信メールの内容を逐次参照しながら送信メールを作成することができる。
【0028】
特に、表示領域が表示している複数の画面のうちユーザから見える画面が、ユーザにとって操作対象画面となっていることが好ましい。このようになっていれば、ユーザは現在見えている画面を見ながら操作を行なうことができる。
【0029】
また、近年は、携帯電話でゲームを行なうことも一般的になりつつあるが、本発明に基づく携帯電話において、表示領域を見る角度が変わることによって異なる画面を参照することができるという特徴を、ゲームに利用してもよい。
【0030】
本実施の形態では、情報処理装置の一例として携帯電話を示して説明したが、本発明は、PDAなどの携帯情報端末においても同様に適用可能である。また、情報処理装置は、携帯型液晶テレビジョン受像機や、液晶モニタ付きビデオカメラなどであってもよい。
【0031】
(実施の形態2)
(構成)
図8〜図10を参照して、本発明に基づく実施の形態2における情報処理装置について説明する。この情報処理装置は、カーナビゲーションシステムである。このカーナビゲーションシステムは、図8に示すように、ディスプレイ101と操作部102とを備える。ディスプレイ101はその主表面に表示領域103を有する。ディスプレイ101はネック部105を回動させることによって向きを変えることができる。操作部102はディスプレイ101に対して機械的には接続されていないが、たとえば赤外線などの無線通信手段によって通信を行なうことができるようになっている。操作部102は表示領域103に表示される画面に対して操作を行なうためのものである。表示領域103に表示される画面が複数あるときには、操作部102はそのうちの1つの画面に対して操作を行なうためのものである。
【0032】
このカーナビゲーションシステムにおいても、基本的な考え方は実施の形態1における携帯電話と同様である。すなわち、このカーナビゲーションシステムは、ディスプレイ101の姿勢を変えることで操作部102が操作対象とする画面の選択を切り替えるための制御手段(図示せず)を備える。
【0033】
図9に示すように、ディスプレイ101が運転者107の方を向いているときには、ディスプレイ101は、正面である矢印151の向きに1通りの画面を表示するのみである。たとえば第1の道路案内画面を表示する。運転者107は、操作部102を操作することでこの道路表示画面を操作することができる。
【0034】
しかし、図10に示すように、ディスプレイ101の向きを変更したときには、矢印152,153の2通りの向きにそれぞれ異なった画面を表示する。たとえば、運転者107に見える矢印152の向きには、第2の道路案内画面を表示しつつ、助手席に座る乗客111に見える矢印153の向きにはテレビジョン受像機としてテレビ番組の映像を表示することも可能である。図10に示す状態では、操作部102の操作対象は、たとえば矢印152の向きに表示される第2の道路案内画面となる。
【0035】
あるいは、図10に示す状態において、操作部102による操作対象が矢印153の向きに表示する画面であってもよい。すなわち、操作部102はテレビ番組のチャンネルの切替や音量の調節を行なうために用いられるようになっていてもよい。
【0036】
この例では、図10に示す状態で矢印153の向きに関しては、テレビジョン受像機として機能する例を示したが、テレビジョン受像機の代わりに、DVD(Digital Video Disc/Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)、MD(Mini Disc)などの再生機として機能することとしてもよい。また、ゲーム機や、通信端末として機能することとしてもよい。
【0037】
(作用・効果)
本実施の形態に示すように、ディスプレイの姿勢を変えることによって、操作部が操作対象とする画面の選択状態が切り替わるようにすれば、操作対象となる画面の切替操作がわかりやすくなり、1台のディスプレイだけで、あるユーザが1つの画面を操作している最中にも他の位置にいる他のユーザは他の画面を見続けることができる。
【0038】
他の変形例の可能性については実施の形態1で述べたものと同様である。
なお、「選択状態の切替え」とは、表示している1つ以上の画面の組合せと操作対象として選択している画面とのうち少なくともいずれか一方に変更が生じるような切替えを、すべて含むものとする。たとえば、以下のように状況1〜5を想定する。
【0039】
状況1 表示している画面がAであって操作対象画面がA
状況2 表示している画面がBであって操作対象画面がB
状況3 表示している画面がA,Bであって操作対象画面がA
状況4 表示している画面がA,Bであって操作対象画面がB
状況5 表示している画面がA,B,Cであって操作対象画面がA
この場合、状況1から状況2〜5のいずれに移行することも選択状態の切替えに該当するものとする。また、上記状況2〜5のいずれかから他のいずれかに対する移行についても、選択状態の切替えに該当するものとする。このことは、本明細書中の他の実施の形態においても同様である。
【0040】
(実施の形態3)
(構成)
図11を参照して、本発明に基づく実施の形態3における情報処理装置について説明する。この情報処理装置はデスクトップ型のパーソナルコンピュータである。このパーソナルコンピュータは、ディスプレイ201と操作部202とを備える。ディスプレイ201はその主表面に表示領域203を有する。操作部202は図11ではキーボードとなっているが、他の種類の入力装置であってもよい。ディスプレイ201は基台214の上側で回転させることによって姿勢を変えることができる。このパーソナルコンピュータは、ディスプレイ201の姿勢を変えることで、ディスプレイ201の表示内容や、操作部202が操作対象とする画面の選択を切り替えるための制御手段(図示せず)を備える。
【0041】
本実施の形態における情報処理装置の使用例として、図11では、説明者207がパーソナルコンピュータを操作し、被説明者211に対してディスプレイ201の画面を見せながら説明している様子を示す。説明者が1人でパーソナルコンピュータを使用するだけでよいときには、ディスプレイ201の姿勢を破線で示すようにし、説明者207は操作部202を使って画面操作を行なう。説明者207は、被説明者211に何らかの画面を見せつつ、操作も行ないたい場合、ディスプレイ201を回転させてディスプレイ201の姿勢を実線で示すようにする。この状態で、説明者207は矢印251の向きに表示される画面に対して操作を行なうことができ、その最中にも被説明者211は矢印252の向きに表示される画面を見ることができる。
【0042】
被説明者211に見せていた画面を説明者207が直接操作したい場合、ディスプレイ201を回転させて矢印252が説明者207の方を向くようにし、操作を行なう。この状態では、操作部202の操作対象は、矢印252の向きに表示されている画面となる。あるいは、ディスプレイ201を破線で示す姿勢とすることで、元々矢印252の向きに表示されていた画面が説明者207に向けて表示され、なおかつ操作部202によって操作可能となるようにしてもよい。これらの切替えは、基台214の内部に姿勢検出部(図示せず)を設けておくことによって実現可能である。
【0043】
(作用・効果)
本実施の形態に示すように、ディスプレイの姿勢を変えることによって、操作部が操作対象とする画面が切り替わるようにすれば、操作対象となる画面の切替操作がわかりやすくなり、あるユーザが1つの画面を操作している最中にも他の位置にいる他のユーザは他の画面を見続けることができる。特に、説明者と被説明者との関係で情報処理装置を用いる場合、説明者が操作する画面と、被説明者が見る画面とを異なる内容として、それぞれ区別しつつ同時に表示し続けることができるので、1つのディスプレイだけでもそれぞれの立場のユーザにとって最適な画面を同時に並行して提供することができる。
【0044】
他の変形例の可能性については実施の形態1で述べたものと同様である。
(実施の形態4)
(構成)
図12、図13を参照して、本発明に基づく実施の形態4における情報処理装置について説明する。この情報処理装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ(以下「ノートパソコン」という。)である。このノートパソコンは、ディスプレイ301と操作部302とを備える。ディスプレイ301はその主表面に表示領域303を有する。ディスプレイ301は操作部302に対して回転可能なように接続されており、傾きを変えることで姿勢を変えることができる。このノートパソコンは、ディスプレイ301の姿勢を変えることで、ディスプレイ301の表示内容や、操作部302が操作対象とする画面の選択を切り替えるための制御手段(図示せず)を備える。
【0045】
本実施の形態における情報処理装置の使用例として、図12、図13では、説明者307と被説明者311とが机312を挟んで向かい合って座っている様子を示している。
【0046】
商談などでノートパソコンを用いてその場で情報処理を行ない、導出結果などを相手に見せながら説明するということは、従来からもしばしば行なわれることであったが、従来は、説明者がノートパソコンを操作して、被説明者に見せたい画面を表示させた後に、この画面を被説明者に見せるためにパーソナルコンピュータ全体を机の上で180°回転させる必要があった。その状態では操作部であるキーボードは被説明者の側を向いてしまい、引き続き操作を行ないたい場合には、その都度机の上でノートパソコンの向きを変えて操作を行ない、再び向きを変えて被説明者に見せ直すという手間が避けられなかった。
【0047】
しかし、本実施の形態における情報処理装置としてのノートパソコンによれば、図12に示す状態では表示領域303には矢印351の向きに説明準備用画面が表示されている。この状態では、単一の画面のみが表示されている。説明者307がまず操作部302から説明準備用の画面に対して操作を行ない、必要な操作を終えた時点で、図13に示すようにディスプレイ301を倒す。こうすることで、表示領域303の表示内容は切り替わる。矢印352の向きには、説明者用画面が表示され、矢印353の向きには被説明者用画面が表示される。説明者307は説明者用画面を見ることができ、これと並行して被説明者311は被説明者用画面を見ることができる。
【0048】
(作用・効果)
本実施の形態では、ノートパソコンのディスプレイ301を相手に向けて倒すという明快で簡単な操作によって、画面の切り替えを行なうことができる。場合によっては、図12の状態で矢印351の向きに表示している画面と、図13の状態で矢印352,353のうちいずれかの向きに表示している画面とは同じ内容であってもよい。
【0049】
図13に示す状態において、矢印352の向きに表示する説明者用画面と矢印353の向きに表示する被説明者用の画面とは、内容が異なるものであってもよいが、同一内容を天地逆にして表示することとしてもよい。こうすることによって、説明者307、被説明者311ともに各自にとって正しい向きで画面を見ることができる。
【0050】
本実施の形態で説明したようなノートパソコンは、商談などにおいて使用することもできるが、各人に個別に異なる画面を見せることができるという効果を生かして、ゲームなどに使用することとしてもよい。
【0051】
なお、上記各実施の形態では、同時に2つの向きに向けて異なる画面をそれぞれ表示する例を示したが、同時に3つ以上の向きに向けて異なる画面をそれぞれ表示することとしてもよい。たとえば、図示はしないが、1人の操作者を含む4人のユーザが机312を四方から取り囲み、机312の上に置かれたノートパソコンに注目する場合、これら4人各々に向けて、画面の上下左右がそれぞれ正しい向きに見えるように表示することとしてもよい。
【0052】
実施の形態2,3では、ディスプレイの向きを2通りとし、この2通りの状態の間で変更する例を示して説明したが、ディスプレイのとりうる向きを3通り以上としてもよい。たとえば、左、中央、右の合計3人のユーザがいて中央のユーザと対向するようにして1台のディスプレイが配置されている場合に、ディスプレイを斜め左に向けた場合には左と中央のユーザがそれぞれ異なる画像を見ることができ、ディスプレイを正面に向けた場合、中央のユーザだけが画像を見ることができ、ディスプレイを斜め右に向けた場合には右と中央のユーザがそれぞれ異なる画像を見ることができることとしてもよい。あるいは、ディスプレイを正面に向けたときには、3人が同時にそれぞれ異なる画像を見ることができることとしてもよい。
【0053】
本発明に関して「情報処理装置」といった場合、パーソナルコンピュータなどに限らず、通信端末、テレビジョン受像機、ビデオテープやDVDなどの映像記録物の再生機、CDやMDなどの音声記録物の再生機、モニタ付きビデオカメラ、ゲーム機、カラオケ装置、テレビ電話装置なども含むものとする。本発明はこれらの機器に対しても適用可能である。
【0054】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0055】
1,101,201,301 ディスプレイ、2,102,202,302 操作部、3,103,203,303 表示領域、4 キー、5,105 ネック部、6 回転軸、7,11 ユーザ、8 姿勢検出部、9 制御部、10 画面保持部、12 画像表示用液晶パネル、13 スリット、41,42,43 画面、51,52,53,54,55,151,152,153,251,252,351,352,353 矢印、107 運転者、111 乗客、214 基台、207,307 説明者、211,311 被説明者、312 机。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示可能な1つの表示領域を有しかつ姿勢を変更可能なディスプレイと、
前記複数の画面のうち少なくとも1つに対して操作を行なうための操作部と、
前記操作部に対する前記ディスプレイの相対的な姿勢を変えることによって、前記操作部が操作対象とする画面の選択状態を切り替えるための制御手段とを備え、
前記ディスプレイが、単一の画面のみを表示する第1の表示状態と、複数の画面をそれぞれ異なる向きに向けて同時に表示する第2の表示状態とを切り替えることが可能なディスプレイであって、
前記表示領域を前記操作部に向かうユーザに向けた状態では、前記ディスプレイは前記第1の表示状態となって、前記表示領域は単一の画面のみを表示し、前記表示領域を前記ユーザに対して斜めに向けた状態では、前記ディスプレイは前記第2の表示状態となって、前記表示領域は、前記ユーザから見える第1の画面と、前記ユーザからは見えず異なる向きからは見える第2の画面とを同時に表示することができる、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記操作部に向かうユーザから見える画面が、前記操作部が操作対象とする画面となるように制御することができる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ディスプレイと前記操作部とは回転軸方向に延在するネック部を介して接続され、前記ネック部は、前記ディスプレイを前記回転軸の周りに回動自在に保持している、請求項1に記載の情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−145906(P2009−145906A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69898(P2009−69898)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2003−321635(P2003−321635)の分割
【原出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】