説明

情報処理装置

【課題】
記録を行いつつ撮影中の映像を携帯端末に配信する場合の使い勝手を向上することを目
的とする。
【解決手段】
通信機能付き動画記録装置と携帯端末とを有する動画記録システムであって、該通信機
能付き動画記録装置は、動画を記録媒体に記録する記録手段と、該記録手段が動画を記録
媒体に記録しているとき、記録中であることを示す情報を該携帯端末に送信する送信手段
とを備え、該携帯端末は、該記録中であることを示す情報を受信する受信手段と、該記録
中であることを示す情報を受信すると、該通信機能付き動画記録装置が動画を記録中であ
ることをユーザに通知する通知手段とを備えること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野における背景技術として、特開2004−32228号公報(特許文献1)
がある。この公報には、課題として「撮像装置で撮影した映像データを、携帯端末と無線
デジタル通信網を通して、別の携帯端末又は情報端末に送信し、撮影した映像をその端末
側で、撮影と略同時にストリーミング再生することができる映像配信システムを提供する
」と記載されている。そして解決手段として、「映像送信携帯端末1の撮像装置4で撮影
された動画の映像データは、データ圧縮された後、無線デジタル通信網を通して連続して
映像配信サーバ2に送信され、映像配信サーバ2は、映像送信携帯端末1から送られた映
像データを、直ちに連続して映像再生携帯端末3または映像再生情報端末6に配信し、映
像再生携帯端末3または映像再生情報端末6は、受信した映像データを殆ど遅延時間を持
つことなく、直ちにデコーディングしてディスプレイに表示する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−32228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、撮像装置で撮影された動画の映像データをデータ圧縮した後無線通信
網を通して映像配信サーバに送信し、映像配信サーバがそれを携帯端末に配信し表示する
映像配信システムである。
【0005】
上記従来技術は、記録を行いつつ撮影中の映像を携帯端末に配信する場合の使い勝手に
ついて考慮されていなかった。すなわち、従来技術は、撮像装置で撮像した動画を携帯端
末に表示することはできるが、携帯端末のユーザは、現在閲覧している動画が記録中であ
るか否かを知ることができない。そこで、例えば、記録中か否かを示す情報を携帯端末に
表示すると使い勝手が向上する。
【0006】
本発明の目的は、情報処理装置の使い勝手向上である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報処理装置の使い勝手向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による動画記録システムのブロック図
【図2】本発明による動画記録の手順を示したフローチャート
【図3】本発明による表示画像の例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、情報処理装置の一例である通信機能付動画記録装置を例にして本発明を
説明する。また、本発明を実施するうえでさらに次のような点も考慮したものを説明する
。すなわち、上記従来技術は、撮影中の映像を携帯端末に配信することは可能であるが、
画質が劣り、コンシューマや監視用途のビデオカメラの記録には適さないという欠点があ
るので、高画質の記録を行いつつ撮影中の映像を携帯端末に配信することは考慮されてい
なかった。一方、撮像された動画データをMPEG−2などの圧縮符号化方式で符号化し
てDVDなどの記録媒体に高画質で記録することのできるビデオカメラが普及している。
また、ストリーミング再生技術により、携帯電話網やインターネットなどの無線の公衆回
線を介して配信される動画を携帯電話やPDAなどの携帯端末上でリアルタイムに視聴で
きるようになっている。この場合には、放送のように大容量の伝送路を占有することがで
きないため、MPEG−4などの通信に適した高圧縮符号化方式で符号化することが多い
。そこで、これを応用し、撮像された動画データを高画質で記録媒体に記録しながら、イ
ンターネットや携帯電話などの公衆回線に接続された携帯端末でモニタリングすることが
できるようにすると使い勝手が向上する。本実施例では、動画をMPEG−2で符号化し
て記録するとともに、MPEG−4で符号化して携帯端末に送信する例を説明する。
【0012】
図1は、本発明による動画記録システムのブロック図である。点線1より上部が通信機
能付き動画記録装置、点線1と点線2の間が被写体および被写体が持っている携帯端末、
点線2より下部が公衆回線およびサービスプロバイダである。
【0013】
図2は、本発明による動画記録の手順を示したフローチャートである。以下、図1およ
び図2を用いて実施例1の動作を説明する。最初に、図示しない撮影者によって通信機能
付き動画記録装置が起動され、撮像が開始される。撮像部3は被写体4を撮像して動画デ
ータを生成する。5は、記録用の符号化ストリームと配信用の符号化ストリームを同時に
生成するデュアルエンコーダである。本実施例では、MPEG−2符号化部6、MPEG
−4符号化部7およびキューアイコン重畳部8から構成されている。続いて、パスワード
指示部9に保持されていたパスワードがパケット送信部10を通して公衆回線11に送出
され、サービスプロバイダが保有する認証サーバ12に届けられる。なお、パスワードは
撮影者により適宜変更することが可能である。次に、MPEG−4符号化部7で符号化さ
れた配信用の符号化ストリームがパケット送信部10を通して公衆回線11に送出され、
サービスプロバイダが保有する配信サーバ13に届けられる。
【0014】
一方、被写体4は、手に持った携帯端末のパスワード入力部14からパスワードを入力
する。入力されたパスワードはパケット送信部15を通して公衆回線11に送出され、サ
ービスプロバイダが保有する認証サーバ12に届けられる。認証サーバ12は通信機能付
き動画記録装置のパスワードとの照合を行い、一致した場合には、配信を許可する。配信
が許可されると、配信用の符号化ストリームが配信サーバ13から公衆回線11を介して
パケット受信部16へ配信される。配信された符号化ストリームはMPEG−4復号部1
7でデコードされ、表示部18に撮影中の画像が映し出される。この時点での表示部18
の表示画像の例を図3(a)に示す。このように、被写体が今自分がどのように写ってい
るかを手持ちの携帯端末を用いて確認することができる。ここで、被写体が自分が中央に
なるように写して欲しいと思った場合、その旨撮影者に口頭で指示を出して、写り方を変
えてもらうことができる。
【0015】
撮影者がRECボタンなどを用いて記録開始を指示すると、記録開始停止指示部19か
らMPEG−2符号化部6、記録部20およびキューアイコン重畳部8へ記録開始の指示
が出る。MPEG−2符号化部6は記録用の符号化ストリームを生成し、記録部20がこ
れを光ディスクや磁気ディスクや半導体メモリその他の記憶素子などの記録媒体21に記
録することによって、記録が開始される。一方、キューアイコン重畳部8は、MPEG−
4符号化部7への入力画像データに記録中であることを示すアイコンを重畳する。アイコ
ンが重畳された画像が配信され、表示部18に表示される。この時点での表示部18の表
示画像の例を図3(b)に示す。このように、被写体が記録が開始されたことを手持ちの
携帯端末を用いて確認することができる。ここで、記録中を示す情報は画像データに重畳
するのではなく、別パケットで配信して、携帯端末側でOSD(オンスクリーンディスプ
レイ)表示するようにしてもよい。
【0016】
記録停止時は、記録開始停止指示部19からMPEG−2符号化部6、記録部20およ
びキューアイコン重畳部8へ記録停止の指示が出る。MPEG−2符号化部6、記録部2
0は動作を停止し、アイコンは重畳しなくなる。この時点での表示部18の表示画像の例
を図3(c)に示す。
【0017】
以上、被写体のみ携帯端末を持っている場合を説明したが、第3者が持っている携帯端
末でもパスワードを入力することにより、同時に配信することができる。これにより、多
くの人が保有している携帯電話などの携帯端末を用いてマルチビューワ機能を実現できる
ので、撮影時の使い勝手が向上する。
【0018】
なお、上記説明では、記録中を示す情報を重畳する例を説明したが、この他に、あるい
はこれに加えて、次のような情報を重畳するようにしても良い。例えば、記録を開始して
からの経過時間や、記録媒体に記録可能な残り時間(または残容量)や、バッテリの残容
量を重畳して携帯端末に表示するようにしても良い。これらの情報を被写体が知ることに
よって、撮影者のみではなく被写体も、どのくらいの時間撮影をするか等を考えることが
でき、使い勝手が向上する。また、例えば、自動露光制御のモード(例えば、標準モード
、スポーツモード、夜景モード等)や画質に関するモード(例えば、高画質モードや低画
質モード)を伝送路に送信する映像信号に重畳して、携帯端末に表示するようにしても良
い。この場合、例えば被写体が高画質で撮影して欲しいのに低画質モードが設定されてい
るときに、撮影者に高画質モードに変えて欲しい旨を伝える等が可能となり、使い勝手が
向上する。
【0019】
また、上記では説明していないが、携帯端末は、受信した映像を表示するのみではなく
、記録するようにしても良い。これは、受信した映像を記録媒体に記録する記録部を携帯
端末に設ければ実現できる。この場合、撮影者のみではなく、被写体にも撮影した動画の
データが残り、被写体もいつでも撮影した動画を閲覧等することができる。従来であれば
、撮影者から動画データを記録媒体または通信を介して譲り受けなければならなかったが
、このような手間がなくなり、使い勝手が向上する。
【0020】
また、本実施例は、動画をMPEG−2で符号化して記録するとともに、MPEG−4
で符号化して携帯端末に送信する例を説明したが、符号化はこの2種類に限られるもので
はなく、その他の様々な符号化を適用可能である。さらに、本発明は、必ずしも記録用と
送信用との2つの異なる符号化が必要なわけではなく、同一の符号化であっても構わない

【0021】
また、上記説明では、通信機能付動画記録装置と携帯端末の組み合わせで説明したが、
本発明はこれに限られず、さまざまな装置に適用可能である。例えば、カメラ付携帯電話
同士でのテレビ電話機能にも好適である。この場合、上記説明と同様に、ユーザAの携帯
電話で撮像した動画をユーザBの携帯電話に送信する際に、その動画をユーザAの携帯電
話で記録中は、記録中を示す情報を重畳してユーザAの携帯電話からユーザBの携帯電話
に送信するようにしても良い。あるいは、ユーザAの携帯電話で撮像した動画をユーザB
の携帯電話に送信する際に、ユーザAの携帯電話で撮像した動画ではなくユーザBから受
信した動画をユーザAの携帯電話で記録中は、記録中を示す情報を、ユーザAの携帯電話
からユーザBの携帯電話に別パケットで送信して、ユーザBの携帯電話でOSD表示する
ようにしても良い。この場合、ユーザBは自分の撮影した動画がユーザAの携帯電話で記
録されていることを知ることができ、ユーザAが無断で記録するようなことを防止あるい
は中断させることができ、使い勝手が向上する。なお、携帯電話同士のテレビ電話の場合
、上記説明での認証サーバや配信サーバは必ずしも必要ではない。
【0022】
上記説明に加え、携帯端末にマイクを設け、被写体の音声を入力し、この音声を通信機
能を用いて通信機能付動画記録装置に送信し、通信機能付動画記録装置はこの受信した音
声を映像と合わせて圧縮符号化するようにしてもよい。この場合、被写体と撮影者とが離
れている場面で、通信機能付動画記録装置のマイクでは被写体の音声を拾えないときでも
、被写体が用いる携帯端末のマイクにより被写体の音声を記録することができるようにな
り、使い勝手が向上する。また、通信機能付動画記録装置にマイクおよびスピーカを設け
、携帯端末にマイクおよびスピーカを設け、これらを用いて記録中以外に撮影者と被写体
とで連絡をとりあうようにすることもできる。この場合、例えば、上記実施例のように被
写体が撮影者に指示を出したいが、撮影者と被写体とが離れて口頭で話すのが難しいとき
でも、撮影者と被写体とで話すことができ、使い勝手が向上する。
【0023】
また、上記説明では、携帯端末において、通信機能付動画記録装置から送信された記録
中を示す情報を表示部に表示する説明をしたが、表示する代わりに、あるいは表示に加え
、音や光や振動等で被写体に通知するようにしても良い。この場合、被写体が表示部を見
ていない場合でも記録が開始されたことを知ることができ、使い勝手が向上する。
【0024】
また、上記説明では、動画の記録や配信について説明したが、本発明は動画に限られな
い。例えば、静止画にも適用可能である。静止画を記録する前に画角を決めるためモニタ
(動画)するのが一般的であり、このモニタ画面(動画)を携帯端末に送信する。そして
、静止画を撮像/記録したとき、携帯端末に記録した静止画と記録したことを示す情報を
送信する。この場合、被写体は、モニタ画像により画角に関する要望を撮影者に指示する
ことができ、かつ、静止画を記録したことを知ることができ、また、撮像/記録された静
止画を確認することができるので、使い勝手が向上する。
【0025】
最後に、上記説明でも様々な変形例や応用例を説明したが、本発明はこれらに限られる
ものではないことは言うまでもなく当然である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
ビデオカメラの使い勝手を向上できる。
【符号の説明】
【0027】
3…撮像部、
4…被写体、
5…デュアルエンコーダ、
6…MPEG−2符号化部、
7…MPEG−4符号化部、
8…キューアイコン重畳部、
9…パスワード指示部、
10、15…パケット送信部、
11…公衆回線、
12…認証サーバ、
13…配信サーバ、
14…パスワード入力部、
16…パケット受信部、
17…MPEG−4復号部、
18…表示部、
19…記録開始停止指示部、
20…記録部、
21…記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能付き動画記録装置と携帯端末とを有する動画記録システムであって、
該通信機能付き動画記録装置は、動画を記録媒体に記録する記録手段と、該記録手段が
動画を記録媒体に記録しているとき、記録中であることを示す情報を該携帯端末に送信す
る送信手段とを備え、
該携帯端末は、該記録中であることを示す情報を受信する受信手段と、該記録中である
ことを示す情報を受信すると、該通信機能付き動画記録装置が動画を記録中であることを
ユーザに通知する通知手段とを備えること、
を特徴とする動画記録システム。
【請求項2】
動画を記録媒体に記録する記録手段と、
該記録手段が動画を記録媒体に記録しているとき、記録中であることを示す情報を伝送
路へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信機能付き動画記録装置。
【請求項3】
撮像手段と、
該撮像手段の出力信号を符号化する符号化手段と、
該符号化手段の出力信号を記録媒体に記録する記録手段と、
該符号化手段の出力信号を携帯端末に送信する送信手段と、
を備え、
該送信手段は、該記録手段が記録中は、記録中であることを示す情報を該携帯端末に送
信すること、
を特徴とする通信機能付き動画記録装置。
【請求項4】
動画データから第1の符号化ストリームと第2の符号化ストリームを生成する符号化手
段と、第1の符号化ストリームを記録媒体に記録する記録手段と、第2の符号化ストリー
ムを伝送路へ送信する送信手段と、を備え、前記符号化手段は、前記記録手段による第1
の符号化ストリームの記録中は、記録中であることを示す情報を第2の符号化ストリーム
に重畳することを特徴とする通信機能付き動画記録装置。
【請求項5】
撮像された動画データから第1の符号化ストリームと第2の符号化ストリームを生成す
る符号化手段、第1の符号化ストリームを記録媒体に記録する記録手段、および、第2の
符号化ストリームを伝送路へ送信する送信手段を備え、前記符号化手段は、前記記録手段
による記録中は、記録中であることを示す情報を第2の符号化ストリームに重畳する通信
機能付き動画記録装置と、
伝送路上に配置され、前記第2の符号化ストリームを受信し配信するサーバと、
前記配信された第2の符号化ストリームを受信・復号して表示する複数の端末と、
を備えることを特徴とする動画記録システム。
【請求項6】
撮像手段を有する携帯端末から該撮像手段で撮像した動画データを受信する受信手段と

該受信した動画データを記録媒体に記録する記録手段と、
該記録手段が該受信した動画データを記録媒体に記録しているとき、記録中であること
を示す情報を該携帯端末に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信機能付き動画記録装置。
【請求項7】
通信機能付き動画記録装置と携帯端末とを有する動画記録システムであって、
該通信機能付き動画記録装置は、
撮像手段と、
該撮像手段の出力信号から、MPEG2の記録用符号化ストリームとMPEG4の配
信用符号化ストリームを生成する符号化手段と、
該MPEG2の記録用符号化ストリームを記録媒体に記録する記録手段と、
該MPEG4の配信用符号化ストリームを該携帯端末に送信する送信手段と、
を備え、
該符号化手段は、該記録手段が記録中は、記録中であることを示す情報を該MPEG
4の配信用符号化ストリームに重畳し、
該携帯端末は、
該送信されたMPEG4の配信用符号化ストリームを受信する受信手段と、
該受信されたMPEG4の配信用符号化ストリームを復号する復号手段と、
該復号手段で復号されたMPEG4の配信用符号化ストリームを表示する表示手段と

を備え、
該表示手段は、該MPEG4の配信用符号化ストリームに、該記録中であることを示
す情報が重畳されているとき、該通信機能付動画記録装置が該MPEG2の記録用符号化
ストリームを記録媒体に記録していることを表示すること、
を特徴とする動画記録システム。
【請求項8】
第1の情報処理装置と第2の情報処理装置とを有する情報処理システムにおける第1の
情報処理装置であって、
所定の情報を記録媒体に記録する記録手段と、
該記録手段が該所定の情報を記録媒体に記録しているとき、記録中であることを示す情
報を該第2の情報処理装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする該第1の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−93855(P2010−93855A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2459(P2010−2459)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2004−179144(P2004−179144)の分割
【原出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】