説明

情報処理装置

【課題】再起動により外部からの問い合わせに対してネットワークインターフェースが応答できなくなるような場合でも、応答できないような状況を防ぐことができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、第1のネットワークインターフェース(メインNIC13で例示)を有し、メインNIC13を介して他の情報処理装置と通信可能になっている。情報処理装置10は、メインNIC13の再起動が必要になったときに、メインNIC13における処理の一部を代行する第2のネットワークインターフェース(省エネNIC20で例示)をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、より詳細には、ネットワークを介して他の情報処理装置に接続することが可能な、コンピュータや画像形成装置などの情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報処理装置は、IP(Internet Protocol)アドレスのセグメント、ホスト名等の変更により、TCP(Transmission Control Protocol)/IP関連のタスクを立ち上げ直す必要がある際、情報処理装置全体の電源を切った後に情報処理装置を起動することで、タスクを立ち上げ直す手順を取っていた。
【0003】
その際、一度電源を切るため、ネットワークを介しての外部(例えば他の情報処理装置)からの問い合わせに対して、応答できないタイミングが発生していた。例えば、共有フォルダへの接続要求、印刷の実行要求等が挙げられるが、これらに対し、情報処理装置のNIC(Network Interface Card)等のネットワークインターフェースが起動していないため、接続確認のためのIPアドレスの問い合わせに応答できず、接続していないと判断されるため、それらの要求に対する応答が、しばらくの間できないのである。
【0004】
このことを図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、従来の情報処理装置の構成を示す図で、図8は、図7の情報処理装置を複数台繋いでなる従来のネットワークシステムの構成例を示す図である。図7に示す情報処理装置50は、基板51とLAN(Local Area Network)端子52とを備え、基板51上にはNIC53、制御部55、及び記憶部56が配設されている。NIC53はLAN端子52に接続されており、また通信制御部54を備えている。図8に示すネットワークシステムは、ネットワークサーバ61と、情報処理装置a(62),b(63),c(64),d(65),e(66)とが、ネットワーク回線67を介して繋がっている。
【0005】
通常時は、情報処理装置50へLAN端子52を通じてLANケーブルから問い合わせ等のデータが送られてきた場合、NIC53に送られ、通信制御部54がデータの解析を行い、その結果を制御部55に渡す。制御部55は、解析結果に基づき、記憶部56に必要な情報を問い合わせ、NIC53を通じてネットワークへの応答を返す。一方、再起動中は、情報処理装置50aとして図7の下段に図示しているように、情報処理装置50aへLAN端子52を通じてLANケーブルから送られてきたデータに対して、NIC53、NIC53内の通信制御部54、制御部55、及び記憶部56は、全て起動していない。そのため、再起動中の情報処理装置50aは、応答を返すことができず、ネットワーク上へそのままデータを返すことになる。
【0006】
これにより、例えば図8に示すネットワークシステムでは、1台の情報処理装置(この例では情報処理装置63)が再起動中である場合、情報処理装置63からはPING(Packet Internet Groper)等による問い合わせに対する応答がないため、問い合わせに対するネットワークの流れは符号68で示すようになり、情報処理装置63はネットワーク上には存在しないものとして扱われる。
【0007】
特許文献1には、OS(Operating System)の立ち上げ中に、他の情報処理装置とのリンクを保持することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−280636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、OS立ち上がった後、ネットワークインターフェースが起動するまでの間しかリンクを保持できず、OSが立ち上がっていない電源が切られている間には、リンクを保持できず応答もできない。
【0010】
再起動中はネットワークを切断する、若しくは、OS立ち上げ中のみ他の情報処理装置とのリンクを保持するといった従来の方法では、どうしても、外部からの問い合わせに応答できない場合が発生してしまう。そのため、再起動中、その情報処理装置はネットワーク上に存在していないという状況が発生する。そして最悪の場合、通信トラブルとなってしまう虞がある。
【0011】
本発明は、上述のような実状を鑑みてなされたものであり、その目的は、再起動により外部からの問い合わせに対してネットワークインターフェースが応答できなくなるような場合でも、応答できないような状況を防ぐことができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、第1のネットワークインターフェースを有し、該第1のネットワークインターフェースを介して他の情報処理装置と通信可能な情報処理装置であって、前記第1のネットワークインターフェースの再起動が必要になったときに、前記第1のネットワークインターフェースにおける処理の一部を代行する第2のネットワークインターフェースをさらに有することを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記再起動が必要なときのうち、前記情報処理装置のホスト名又はセグメントの変更によりTCP/IP関連のタスクの立ち上げ直しが必要なとき、前記第1のネットワークインターフェースから前記第2のネットワークインターフェースに変更後の設定内容を通知し、前記第2のネットワークインターフェースが通知された設定内容に従って前記第1のネットワークインターフェースの処理の一部を代行することを特徴としたものである。
【0014】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記第2のネットワークインターフェースは、前記第1のネットワークインターフェースにおける処理を代行する際に、前記第1のネットワークインターフェースでの処理に使用する最新の設定内容を記憶するメモリを有することを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記第2のネットワークインターフェースは、前記第1のネットワークインターフェースの再起動中、他の情報処理装置から問い合わせがあった場合、前記メモリに記憶された前記最新の設定内容で問い合わせに応じることを特徴としたものである。
【0016】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれかの技術手段において、前記第2のネットワークインターフェースは、他の情報処理装置からのアクセスの内容が前記第2のネットワークインターフェースでは処理しきれない内容の場合、前記アクセスの内容の受け付け及び必要に応じて受け付けた応答を行い、前記第1のネットワークインターフェースの再起動後、代行を終了させて前記第2のネットワークインターフェースから前記第1のネットワークインターフェースへ処理を移行する際に、前記第1のネットワークインターフェースに前記アクセスの内容の通知を行い、前記第1のネットワークインターフェースは、再起動後に前記通知を受けて、前記アクセスの内容に対する応答を行うことを特徴としたものである。
【0017】
第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記第2のネットワークインターフェースは、前記受け付けの後、一定時間以上、前記第1のネットワークインターフェースが起動しない場合、前記他の情報処理装置に、オフラインであることの応答を返すことを特徴としたものである。
【0018】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれかの技術手段において、前記第1のネットワークインターフェース及び前記第2のネットワークインターフェースは、ネットワークに接続するための共通の接続端子又は無線接続部を有することを特徴としたものである。
【0019】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれかの技術手段において、前記第2のネットワークインターフェースは、前記情報処理装置が省電力状態のときに前記第1のネットワークインターフェースの処理の一部を代行するネットワークインターフェースであることを特徴としたものである。
【0020】
第9の技術手段は、第1〜第8のいずれかの技術手段において、前記情報処理装置はコンピュータ又は画像形成装置であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報処理装置によれば、再起動により外部からの問い合わせに対してネットワークインターフェースが応答できなくなるような場合でも、応答できないような状況を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る情報処理装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1の情報処理装置における省エネNICの一構成例を示す図である。
【図3】図1の情報処理装置を複数台繋いでなるネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図4】図1の情報処理装置における代行処理の実行/不実行を判定する処理及びその判定に従った処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】図4の処理において省エネNICへ処理を移行させる処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】省エネNICへ処理を移行後の代行処理と代行処理後の復帰処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図7】従来の情報処理装置の構成を示す図である。
【図8】図7の情報処理装置を複数台繋いでなる従来のネットワークシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る情報処理装置としては、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等のコンピュータをはじめ、画像形成装置も挙げられる。画像形成装置としては、印刷機器(プリンタ)をはじめ、コピー機能、電子メール送信機能、ファイリング機能など、プリント機能以外の機能も兼ね備えた複合機などが挙げられる。また、本発明に係る情報処理装置と通信を行う他の情報処理装置についても同様である。
【0024】
図1は、本発明に係る情報処理装置の一構成例を示す図で、図2は、図1の情報処理装置における省エネNICの一構成例を示す図である。図1に例示する情報処理装置10は、基板11とLAN端子12とを備え、基板11上には第1のネットワークインターフェースの一例としてのメインNIC13、制御部15、及び記憶部16が配設されている。情報処理装置10は、メインNIC13を介して他の情報処理装置と通信可能になっている。なお、図1では、LAN端子12にLANケーブルが挿入された状態を図示している。
【0025】
制御部15は、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、及びその実行時の作業用メモリであるRAM(Random Access Memory)等で構成される。制御部15は、メインNIC13の制御も行う。また、記憶部16は、HDDや他の不揮発性メモリで構成される。このように、基板11には、制御部15及び記憶部16を有するシステムコントローラと、メインNIC13とが搭載されている。勿論、これらは同じ基板上に設けられなくてもよい。メインNIC13はLAN端子12に接続されており、また通信を制御する通信制御部14を備える。
【0026】
さらに、情報処理装置10には、メインNIC13の再起動が必要になったときに、メインNIC13における処理の一部を代行する第2のネットワークインターフェースを備える。メインNIC13の再起動が必要になる一例としては、情報処理装置のホスト名又はセグメントの変更によりTCP/IP関連のタスクの立ち上げ直しが必要なときが該当する。メインNIC13における処理の一部とは、例えば、外部から問い合わせに対する応答や問い合わせの受け付けなどが該当し、メインNIC13でしか実行できない処理は除く。
【0027】
図1では、第2のネットワークインターフェースの一例としての省エネNIC20が設けられている。省エネNIC20は、通常の電力供給状態(通常の待機状態や動作状態)から省電力状態に遷移させる際、つまり通常モードから省電力モードへ移行した際に通信を行うNICである。省エネNIC20は、CPUとメモリを有し、制御部15とは独立した制御が可能となっており、基板11側とは独立した少ない電力で動作する。なお、第2のネットワークインターフェースは、省エネNIC20で例示しているが、省電力状態用に設けたネットワークインターフェースで兼用する必要性は必ずしもなく、メインNIC13で例示する第1のネットワークインターフェースの代理となってネットワークの切断を防ぐために設けられていればよい。
【0028】
また、LAN端子12で例示したように、第1のネットワークインターフェース及び第2のネットワークインターフェースは、ネットワークに接続するための共通の接続端子を有することが好ましい。また、この接続端子の代わりに共通の無線接続部を有するようにしてもよい。
【0029】
情報処理装置10は、上述のような構成をもち、他の情報処理装置からデータが送られてきた場合、通常時とメインNIC13の再起動中とで次のように異なった処理を行う。
【0030】
通常時は、情報処理装置10へLAN端子12を通じてLANケーブルから問い合わせ等のデータが送られてきた場合、メインNIC13に送られ、通信制御部14がデータの解析を行い、その結果を制御部15に渡す。制御部15は、解析結果に基づき、記憶部16に必要な情報を問い合わせ、メインNIC13を通じてネットワークへの応答を返す。このとき、省エネNIC20は何も処理を行わない。
【0031】
一方、再起動中は、情報処理装置10aとして図1の下段に図示しているように、情報処理装置10aへLAN端子12を通じてLANケーブルから送られてきたデータに対して、メインNIC13、メインNIC13内の通信制御部14、制御部15、及び記憶部16は、全て起動していない。この場合、データは省エネNIC20に送られ、省エネNIC20がメインNIC13の代行処理を行う。例えば、再起動を行う際、つまり再起動を開始する前処理として、メインNIC13からの設定内容(外部からのアクセスに対する応答方法などの設定内容)を受け継いでおくことで、メインNIC13が起動後に応答するのと同様に、省エネNIC20が応答を返すことができる。
【0032】
なお、図1で濃く表示したように、メインNIC13の再起動は制御部15及び記憶部16と共に行われる、すなわち基板全体でなされるが、この理由はタスクを立ち上げ直す必要があるためである。つまり、設定の変更を指示しても、前の設定値でネットワーク関連のタスクが複数の箇所で立ち上がっているため、新しい設定値でそれらのタスクを立ち上げ直す必要があり、そのためには、メインNIC13を含む基板の再起動が必要となる。一方で、省エネNIC20では、メインNIC13から処理が移行される段階(代行処理を行う段階)ではタスクが立ち上がっていないため、メインNIC13から設定内容を受け継ぐだけで再起動せずに設定を反映させることができる。例えばホスト名の変更があった場合でも、代行開始以降、ネットワーク内の他の機器から問い合わせがあった場合に、ブロードバンド経由でその変更後のホスト名を通知することができる。
【0033】
このように、省エネNIC20はメインNIC13の再起動が必要になったときに、メインNIC13における処理の一部を代行する。換言すると、メインNIC13は、自身の再起動が必要となったときに通信処理の実行権を省エネNIC20に渡してから、再起動を実行する。
【0034】
以上、本発明の情報処理装置10によれば、再起動により外部からの問い合わせに対してネットワークインターフェースが応答できなくなるような場合でも、省エネNIC20にメインNIC13の一部の処理を移行することにより、ネットワークとの接続やネットワークを介しての通信を代行することができる。つまり、この情報処理装置10では、再起動中も外部からの問い合わせに対して省エネNIC20から情報を返すことができることから何らかの応答ができるため、メインNIC13が起動している起動していないにも拘わらず、その情報処理装置10がネットワーク上に存在する状況(ネットワークが切断されていない状況)を維持できる。
【0035】
省エネNIC20は、上述した代行処理をより多くの部分で実行できるようにするために、例えば図2に示すような構成をもつ。図2で例示する省エネNIC20は、CPU等を有し外部との通信を制御する通信制御部21、記憶部22、及び蓄積部23を備える。記憶部22及び蓄積部23は、揮発性又は不揮発性のメモリで構成される。ここでは、記憶部22がメインNIC13での設定内容を記憶し、蓄積部23が外部からのアクセス内容(行うべき処理の内容)を記憶するものとして分けて説明する。
【0036】
省エネNIC20は、上述したようにLAN端子12を介してLANケーブルからデータを取得し、通信制御部21がそのデータの解析を行う。ここで、省エネNIC20で応答を返すことができるもの、例えば、IPアドレスの問い合わせ等、省エネNIC20上でIPアドレス等の設定値を記憶しているものについては、省エネNIC20は、記憶部22に記憶されているIPアドレスやSNMP(Simple Network Management Protocol)のバージョン等の設定値24から適切なものを取得し、通信制御部21を通じてネットワーク上に応答を返す。
【0037】
記憶部22で例示したように、省エネNIC20は、メインNIC13における処理を代行する際に、メインNIC13での処理に使用する最新の設定内容(再起動前に設定変更等された内容)を記憶するメモリを有することが好ましい。さらに、省エネNIC20は、メインNIC13の再起動中、他の情報処理装置からPING等の問い合わせがあった場合、そのメモリに記憶されたその最新の設定内容で問い合わせに応じることが好ましい。
【0038】
このように、メインNIC13が再起動する際に、その時点での最新のマシン状態などの情報を省エネNIC20に記憶させておくことで、外部からのステータス情報などの要求に対しても最新のマシン状態(メインNIC13が立ち上がっている際に応答する内容とほぼ同様の情報)を返すことができる。
【0039】
他方で、制御部15等に問い合わせなどを行う必要がある内容については、省エネNIC20では処理ができないため、省エネNIC20は、後にメインNIC13側で対応できるように、蓄積部23にそのデータ25を蓄積する。蓄積されたデータ25は、メインNIC13が起動した際、メインNIC13側に処理を移行するために、メインNIC13に渡すための処理データとなる。情報処理装置10が画像形成装置である場合、例えば印刷処理などが省エネNIC20では処理できないものとなり、情報処理装置10がPCである場合、例えばデータをHDDの所定の格納領域に転送する処理などが省エネNIC20では処理できないものとなる。
【0040】
これにより、データ25として受け付けた処理内容をメインNIC13の再起動後にメインNIC13に移行してから処理することができるため、省エネNIC20で対応できない内容であっても、外部に対してエラーを返すことなく、応答することができる。
【0041】
図3は、図1の情報処理装置を複数台繋いでなるネットワークシステムの構成例を示す図である。図3に示すネットワークシステムは、ネットワークサーバ1と、情報処理装置a(2),b(3),c(4),d(5),e(6)とが、ネットワーク回線7を介して繋がっている。ネットワークサーバ1及び各情報処理装置2〜6は、図1の情報処理装置10(10a)に該当する。
【0042】
図3に示すネットワークシステムでは、1台の情報処理装置(この例では情報処理装置3)が再起動中である場合にも、情報処理装置3に内蔵されている省エネNIC(図1及び図2の省エネNIC20)が代行処理を行うことにより、情報処理装置3からはPING等の問い合わせに対する応答ができるため、問い合わせによるネットワークの流れは符号8で示すようになり、情報処理装置63はネットワーク上に存在するものとして扱われる。
【0043】
以上説明したような代行処理について、その流れを図4〜図6を参照しながら説明する。図4は、図1の情報処理装置における代行処理の実行/不実行を判定する処理及びその判定に従った処理の一例を説明するためのフロー図である。また、図5は、図4の処理において省エネNICへ処理を移行させる処理の一例を説明するためのフロー図で、図6は、省エネNICへ処理を移行後の代行処理と代行処理後の復帰処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0044】
まず、図4を参照して、省エネNICへの処理を移行するか否かの判定を行う処理について説明する。制御部15は、情報処理装置10を再起動する必要があるか否かを判定する(ステップS1)。これは、TCP/IP関連のタスクを立ち上げ直す場合以外の要因で、再起動が必要な場合も含む。再起動する必要がない場合(ステップS1でNOの場合)、通常通り、メインNIC13での処理を継続する(ステップS5)。
【0045】
再起動が必要な場合(ステップS1でYESの場合)、制御部15は、省エネNIC20が起動しているか否かの判定を行う(ステップS2)。省エネNIC20が起動している場合(ステップS2でYESの場合)、省エネNIC20へ処理を移行し(ステップS6)、図5で後述する処理を行う。
【0046】
一方、省エネNIC20が起動していない場合(ステップS2でNOの場合)、ステップS1で再起動が必要であると判定してから省エネNICを起動させた回数を比較する(ステップS3)。所定回数以上起動させた場合(ステップS3でYESの場合)、省エネNIC20は何らかの要因で起動できないことから、処理の以降は行わず、従来の情報処理装置と同様、ネットワークを一時切断させる再起動を行う(ステップS7)。省エネNIC20の起動回数が所定回数未満である場合(ステップS3でNOの場合)、省エネNIC20を起動させる処理を実行し(ステップS4)、ステップS2の判定に戻る。ここで、省エネNICを起動させる所定回数は、予め設定されており、好ましくはユーザによって設定可能にしておくとよい。ステップS2でYESとなったとき、つまり省エネNIC20が代行処理が可能であると判断された段階で、ステップS6へ進み省エネNIC20へ処理を移行する。
【0047】
ステップS6に続く処理について、図5を参照しながら説明する。メインNIC13から省エネNIC20へ処理を移行して、省エネNIC20での代行処理を可能とするために、まず、メインNIC13又は制御部15が、メインNIC13の内部に記憶している設定内容を省エネNIC20に渡す処理を行う(ステップS11)。次に、省エネNIC20は、記憶部22にメインNIC13から渡された設定内容を記憶させる(ステップS12)。その後、制御部15が、ネットワークからのデータの繋ぎ先をメインNIC13から省エネNIC20に変更し(ステップS13)、省エネNIC20が代行処理を開始する(ステップS14)。
【0048】
ステップS14により代行処理が開始された後の、外部からの問い合わせ(要求)に対する処理を、図6を参照しながら説明する。まず、省エネNIC20は、ネットワークから送られてきた問い合わせのデータを受信し、省エネNIC20内にある通信制御部21が内容の解析を行う(ステップS21)。省エネNIC20は、解析後、省エネNIC20で処理が可能か否かの判定を行う(ステップS22)。この判定は、省エネNIC20の記憶部22に、応答のための情報が記憶されているか否かによって行えばよい。
【0049】
省エネNIC20で処理が可能な場合(ステップS22でYESの場合)、省エネNIC20は内部の記憶部22にアクセスする(ステップS23)。そして、省エネNIC20は、記憶部22から応答に必要な情報を取得し(ステップS29)、通信制御部21が応答を返すためにネットワーク上で解析可能なデータに変換し(ステップS30)、通信制御部21がネットワーク上へ問い合わせに対する応答を返す(ステップS31)。
【0050】
一方、省エネNIC20での処理が不可能な場合(ステップS22でNOの場合)、まず、省エネNIC20は、内部の蓄積部23に、問い合わせの内容を蓄積しておく(ステップS24)。蓄積後、省エネNIC20は、メインNIC13が起動したか否かを判定する(ステップS25)。
【0051】
起動した場合(ステップS25でYESの場合)、省エネNIC20が省エネNIC20側で蓄積部23に蓄積した内容をメインNIC13に送り(ステップS26)、メインNIC側での処理に移行する(ステップS27)。そして、制御部15が、メインNIC13若しくは本体の記憶部16にアクセスする(ステップS28)。次に、問い合わせに対する応答を返すため、制御部15が、記憶部16又はメインNIC13内の記憶部で応答に必要な情報を取得し(ステップS29)、メインNIC13の通信制御部14がネットワーク上で解析可能なデータに変換し(ステップS30)、通信制御部14がネットワーク上へ応答を返す(ステップS31)。
【0052】
また、ステップS24の処理と共に、問い合わせ元に対して受け付けた旨の応答を返しておくことで、ステップS25でYESとなってステップS31での応答ができるタイミングが遅くなったとしても、問い合わせ元からはオフラインであると取り扱われることが無くなる。
【0053】
このように、省エネNIC20は、他の情報処理装置(外部)からのアクセス内容(問い合わせや処理要求の内容)が省エネNIC20では処理しきれない内容(制御部15への問い合わせや処理が必要な内容であって、例えば記憶部16内の共有フォルダへの接続要求等)の場合、そのアクセス内容の受け付けと、必要であれば受け付けた応答を行い、メインNIC13の再起動後、代行を終了させて省エネNIC20からメインNIC13へ処理を移行する際に、メインNIC13にそのアクセスの内容の通知を行うとよい。そして、メインNIC13が、再起動後にその通知を受けて、そのアクセスの内容に対する応答を行うことで、問い合わせや処理要求の応答を実行することができる。
【0054】
例えば、情報処理装置10が画像形成装置である場合で、外部からのアクセスが印刷要求であるような場合には、省エネNIC20では対応しきれないため、アクセスされた情報を受け付けておき、受け付けた処理内容をメインNIC13の再起動後にメインNIC13に移行してから処理することができるため、省エネNIC20で対応できない内容であっても、外部に対してエラーを返すことなく、応答することができる。
【0055】
一方で、メインNIC13が起動しない場合(ステップS25でNOの場合)、ステップS32の判定に移る。ステップS32では、省エネNIC20が、本体の再起動が実行されメインNIC13の電源が切られてからの時間を測定しておき、その時点で所定時間以上経過したか否かを判定する。所定時間以上経過していない場合(ステップS32でNOの場合)には、ステップS25の判定に戻る。
【0056】
所定時間以上経過した場合(ステップS32でYESの場合)には、省エネNIC20が、問い合わせに対する応答は不可であるとの応答をネットワークに対して行うことを決定する(ステップS33)。その後、上述した通り、ステップS30の処理として省エネNIC20の通信制御部21がその応答のデータを変換し、ステップS31の処理として通信制御部21が省エネNIC20からネットワーク上に応答不可である旨の応答を返す処理を実行する。
【0057】
このように、省エネNIC20は、受け付けを行った後、一定時間以上、メインNIC13が起動しない場合、他の情報処理装置(問い合わせ側)に、オフラインであることの応答を返すことが好ましい。何らかの装置トラブルによって、情報処理装置10の再起動が正常に行えない場合には、省エネNIC20での応答はできるものの、情報処理装置の修理などによって長時間利用できない可能性が高いため、一定時間メインNIC13が起動しない場合は、外部からのアクセスに対してオフラインであることを伝え、それ以降、メインNIC13が起動して自身の情報をネットワークに発するなどするまで、アクセスされないようにすることができる。
【0058】
以上、再起動が必要な場面として一般的な場面を想定し、再起動後の処理まで説明した。再起動が必要なときのうち、情報処理装置のホスト名又はセグメントの変更によりTCP/IP関連のタスクの立ち上げ直しが必要なときにも、制御部15又はメインNIC13が、メインNIC13から省エネNIC20に変更後の設定内容を通知しておけば済む。通知された設定内容は省エネNIC20の内部の記憶部22に設定値24として格納しておけばよい。メインNIC13自体は変更後の設定内容を記憶した状態で再起動されることになる。変更後の設定内容(つまり最新の設定内容)を通知された省エネNIC20は、通知された設定内容に従ってメインNIC13における処理の一部を代行すればよい。
【0059】
これにより、情報処理装置10にてユーザ操作などによりホスト名やセグメントを変更し、TCP/IP関連のタスクを立ち上げ直す場合でも、ネットワークを切断させることなく再起動を実行でき、再起動中に情報処理装置10に対して、例えばIPアドレスの問い合わせ等の問い合わせが発生した場合に、記憶部22に記憶された設定値24のうちIPアドレスを読み出すことで応答することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…ネットワークサーバ、2〜6,10,10a…情報処理装置、7…ネットワーク回線、11…基板、12…LAN端子、13…メインNIC、14…通信制御部、15…制御部、16…記憶部、20…省エネNIC、21…省エネNIC内の通信制御部、22…省エネNIC内の記憶部、23…省エネNIC内の蓄積部、24…設定値、25…データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークインターフェースを有し、該第1のネットワークインターフェースを介して他の情報処理装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記第1のネットワークインターフェースの再起動が必要になったときに、前記第1のネットワークインターフェースにおける処理の一部を代行する第2のネットワークインターフェースをさらに有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記再起動が必要なときのうち、前記情報処理装置のホスト名又はセグメントの変更によりTCP/IP関連のタスクの立ち上げ直しが必要なとき、
前記第1のネットワークインターフェースから前記第2のネットワークインターフェースに変更後の設定内容を通知し、前記第2のネットワークインターフェースが通知された設定内容に従って前記第1のネットワークインターフェースの処理の一部を代行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記第2のネットワークインターフェースは、前記第1のネットワークインターフェースにおける処理を代行する際に、前記第1のネットワークインターフェースでの処理に使用する最新の設定内容を記憶するメモリを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、
前記第2のネットワークインターフェースは、前記第1のネットワークインターフェースの再起動中、他の情報処理装置から問い合わせがあった場合、前記メモリに記憶された前記最新の設定内容で問い合わせに応じることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記第2のネットワークインターフェースは、他の情報処理装置からのアクセスの内容が前記第2のネットワークインターフェースでは処理しきれない内容の場合、前記アクセスの内容の受け付け及び必要に応じて受け付けた応答を行い、前記第1のネットワークインターフェースの再起動後、代行を終了させて前記第2のネットワークインターフェースから前記第1のネットワークインターフェースへ処理を移行する際に、前記第1のネットワークインターフェースに前記アクセスの内容の通知を行い、
前記第1のネットワークインターフェースは、再起動後に前記通知を受けて、前記アクセスの内容に対する応答を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記第2のネットワークインターフェースは、前記受け付けの後、一定時間以上、前記第1のネットワークインターフェースが起動しない場合、前記他の情報処理装置に、オフラインであることの応答を返すことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記第1のネットワークインターフェース及び前記第2のネットワークインターフェースは、ネットワークに接続するための共通の接続端子又は無線接続部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記第2のネットワークインターフェースは、前記情報処理装置が省電力状態のときに前記第1のネットワークインターフェースの処理の一部を代行するネットワークインターフェースであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記情報処理装置はコンピュータ又は画像形成装置であることを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34406(P2011−34406A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180847(P2009−180847)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】