説明

情報担体からの情報再生

開示される本発明は、情報担体11上に記録された情報を再生する装置であって、読出信号Sに波形等化を施すことにより、補正された信号S'を取得する波形イコライザ6であって、ゲインKの増幅素子を有する波形イコライザ6と、情報担体11上に記憶された数値ゲイン設定を読み出し、増幅素子のゲインKを、その数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定するゲイン設定手段1とを含む装置である。情報担体から数値ゲイン設定を読み出すことにより、装置は、波形イコライザのゲインKを、ノイズおよび符号間干渉を抑制するのに最適な値に設定することができる。イコライザに後続して、リミットイコライザが設けられてもよい。このリミットイコライザのゲインも、情報担体から読み出された波形であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報担体上に記録された情報を再生する装置に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、かかる装置内で使用するための情報担体にも関するものである。
【0003】
本発明はまた、情報担体上に記録された情報を再生する方法にも関するものである。
【背景技術】
【0004】
情報担体から情報を再生する装置であって、波形イコライザを有する装置が、欧州特許出願公開0940811A1号より知られている。この既知の装置では、光ピックアップユニットが、記録ディスクから、記録された情報を読み出す。記録ディスクは、スピンドルモーターにより回転させられる。光ピックアップユニットは、読出信号を増幅器へと供給する。増幅器は、読出信号を所望のレベルまで増幅し、得られた読出信号を波形イコライザへと供給する。波形イコライザ内に存在する振幅制限回路が、読出信号の振幅を制限することにより、読出信号の信号レベルを変換する。振幅が制限された読出信号は、高周波強調フィルタに供給される。高周波強調フィルタは、振幅が制限された読出信号の高周波成分のレベルを強め、結果として得られた信号を、等化補正読出信号として、二値判定回路に供給する。二値判定回路は、等化補正読出信号の信号レベルが、論理レベル「1」と「0」とのいずれに対応するかを区別し、その区別の結果を、再生データとして生成する。
【0005】
情報記録の分野がより発展するにつれて、情報担体上の情報密度は、ますます高くなっている。そのため、DVDからブルーレイディスクに移行するにつれて、符号間干渉を低減するため、読出信号の等化がますます必要となっている。等化処理は、読出信号中の最小信号を適切に検出することを可能にする。ブルーレイディスクの場合、最小信号はI2と呼ばれている。これらの信号は、チャネルの最も高い周波数を表しており、その高周波数近くにカットオフを有する光学MTFのため、最も小さな振幅を有する。欧州特許出願公開0940811A1号に記載されているいわゆるリミットイコライザは、符号間干渉を低減するのにより長けており、したがって読出信号中の「目(eye)」を開かせるのに非常に良好に機能する(等化されていない読出信号は、非常に小さなI2信号のため、閉じた「目」を有するかもしれない)。イコライザの1つの重要なパラメータは、そのイコライザが与える「ブースト」の尺度となるゲインである。
【0006】
情報担体から読出しを行う際には、多かれ少なかれ、読出信号中にノイズが含まれる。ノイズの特性は、情報担体のタイプに依存する。たとえば、書換可能型のブルーレイディスク(Blu−ray Disc Rewritable)については、その物理的特性の仕様書によれば、23.3GB、25GBおよび27GBという3つの異なる容量が規定されている。これら3つの容量のそれぞれは、異なるチャネルビット長を有し、容量が大きいほどチャネルビット長は短い。チャネルビット長が短いほど、I2信号の検出はより困難になる。このことは、読出信号中のノイズに関係がある。したがって、所与のノイズの特性の下で、I2が最適にブーストされるようなイコライザのゲイン設定は、情報担体のタイプに依存する。記録可能型のブルーレイディスク(Blu−ray disc Recordable)のような追記型の記録では、複数の異なる適切な媒体タイプが存在する。これらの媒体タイプとは、有機(色素)タイプならびに無機タイプ、およびLow−to−High(L2H)媒体である。異なる媒体タイプは、互いに異なるノイズ特性を有するか、MTFから予想できるように最も高い周波数においてより少ない変調を得るものであり、したがってイコライザについても異なる最適ゲイン設定を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、イコライザの最適ゲイン設定は、情報担体のタイプに依存する。情報担体の最適な読出しのためには、情報担体上の情報を再生する装置は、イコライザの最適ゲイン設定を知る必要がある。既知の装置は、最適ゲイン設定を特定することができないので、最適でないかもしれないゲイン設定を用いて情報を再生する。その結果、読出信号中の符号間干渉およびノイズは、イコライザによる最適な抑制を受けないこととなる。
【0008】
本発明の1つの目的は、冒頭の段落で述べたような情報を再生する装置であって、読出信号中の符号間干渉およびノイズを、より良好に抑制する装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる1つの目的は、冒頭の段落で述べたような情報を再生する方法であって、読出信号中の符号間干渉およびノイズを、より良好に抑制する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる1つの目的は、本発明に係る装置内で使用するための情報担体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的のため、本発明に係る装置は、
情報担体から読み出された読出信号Sに波形等化を施すことにより、補正された信号S'を取得する波形イコライザであって、ゲインKの増幅素子を有する波形イコライザと、
情報担体上に記憶された数値ゲイン設定を読み出し、上記の増幅素子のゲインKを、この数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定するゲイン設定手段とを含むものとされる。
【0012】
本発明に係る方法は、
ゲインKの増幅素子を有する波形イコライザを用いて、情報担体から読み出された読出信号Sに波形等化を施すことにより、補正された信号S'を取得する工程と、
情報担体上に記憶された数値ゲイン設定を読み出し、上記の増幅素子のゲインKを、この数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定する工程とを含むものとされる。
【0013】
本発明に係る情報担体上には、上記の数値ゲイン設定が記憶されている。
【0014】
所与の情報担体に対するイコライザの最適なゲイン設定は、その情報担体を分析することによって、前もって決定され得る。この決定された最適なゲイン設定を、数値ゲイン設定の形式で情報担体上に記憶することにより、本発明に係る装置は、その最適なゲインを読み出し、それに従って増幅素子のゲインKを設定することができる。その後、イコライザは、読出信号中の符号間干渉およびノイズを最適に抑制することにより、その情報担体に対して最適に機能することができる。
【0015】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、波形イコライザは、読出信号Sに対してフィルタリング処理を施すことができるFIRフィルタであって、タップ係数
【数2】

を有するFIRフィルタを含むものとされる。
【0016】
略語FIRは、Finite Impulse Response(有限インパルス応答)の略である。すなわち、このフィルタは、有限のインパルス応答を有する。かかるフィルタは、タップ遅延器、増幅ユニット、およびそれらタップ遅延器ならびに増幅ユニットの出力を加算する加算器からなる。増幅ユニットは、Kの増幅を有する。このKの値に応じて、波形イコライザは特定の周波数応答を有する。このゲインKは、情報担体から最適ゲインを読み出し、それに従ってゲインKを設定することにより設定される。この波形イコライザは、ランレングス制限(RLL)コードでの使用が可能である。RLLコードは、パラメータdおよびkにより示される。パラメータdは、最小ランレングス制約を表し、パラメータkは、最大ランレングス制約を表す。d+1よりも短いランレングスは許容されず、k+1よりも長いランレングスも許容されない。上記で述べた波形イコライザは、d=1であるRLLコードに適している。
【0017】
このFIRフィルタは、伝達関数
【数3】

を有する、4タップ・トランスバーサルフィルタである。
【0018】
ブルーレイディスク書込装置のような装置では、波形イコライザに後続して、リミットイコライザが設けられてもよい。
【0019】
リミットイコライザの一例は、欧州特許出願公開0940811A1号に記載されている。この欧州特許出願公開0940811A1号に記載されているように、リミットイコライザは、ノイズおよび符号間干渉を実質的に抑制する。
【0020】
本発明に係る装置のさらなる実施形態では、リミットイコライザは、
読出信号Sに対してフィルタリング処理を施すことのできる、タップ係数[0,0,0,1]を有する第1のFIRフィルタと、
読出信号Sの振幅レベルを、予め決められた振幅制限値により制限することによって、振幅が制限された読出信号を取得することができる振幅制限手段と、
上記の振幅が制限された読出信号に対してフィルタリング処理を施すことのできる、適切な増幅因子mに対しタップ係数[−m,m,m,−m]を有する第2のFIRフィルタと、
上記の第1のFIRフィルタおよび第2のFIRフィルタの各々によってフィルタリング処理を実行することにより得られた信号を加算し、補正された信号S'を出力することができる加算器とを含むものとされる。ブルーレイディスク書込装置の場合は、増幅因子mの1つの適切な値は、m=3/16である。本発明に係る装置の1つの実施形態では、上記のゲイン設定手段1は、追加の数値ゲイン設定を読み出し、リミットイコライザの増幅因子を、その追加の数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定するように構成される。
【0021】
情報担体の一例としては、DVD+Rの光ディスクが挙げられる。ディスク上の、情報が書き込まれた領域または情報が書き込まれ得る領域は、情報領域と呼ばれる。情報領域は、内側ドライブ領域、リードイン領域、データ領域、リードアウト領域、および外側ドライブ領域からなる。リードイン領域は、制御情報を含んでいる。リードイン領域は、情報領域の内径側に配されている。リードイン領域は、制御データ領域を含む。この制御データ領域は、物理フォーマット情報、ディスクの製造情報、およびコンテンツプロバイダ情報を含む。物理フォーマット情報は、ディスクサイズ、記録密度、最大読出パワー、および記録用のパラメータ設定等の、情報を含んでいる。数値ゲイン設定は、物理フォーマット情報テーブル内に記憶されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る装置、情報担体および方法の、上記およびその他の側面は、図面を参照した以下の説明により明らかにされる。
【0023】
図1に示した情報を再生する装置は、情報担体11から情報を読み出すための読出ヘッド3を含んでいる。変位手段2は、情報担体11と読出ヘッド3との間に相対的な変位を生じさせることができる。動作中においては、読出ヘッド3の出力信号Sが、増幅器4に供給される。増幅器4は、出力信号Sを所望のレベルまで増幅し、増幅された信号Sを、アナログ−デジタル(A/D)変換器5に供給する。A/D変換器5は、T秒のサンプリング周期を用いて、増幅された信号Sを、サンプリングされた読出信号Sに変換する。サンプリングされた読出信号Sは、波形イコライザ6に供給される。波形イコライザ6は、読出信号Sに波形等化を施すことにより、補正された信号S'を取得する。波形イコライザ6の出力は、ビット検出手段7に供給される。ビット検出手段7の出力は、チャネル復号手段8に供給される。ゲイン設定手段1は、情報担体から数値ゲインを読み出し、その記憶された数値ゲイン設定に関連付けられた値に、波形イコライザのゲインKを設定することができる。図1では数値ゲインはウォブルチャネルWを介して読み出されているが、本発明は、ウォブルチャネルWを介して数値ゲインを読み出す形態に限定されるものではない。別の実施形態では、数値ゲインは、読出信号チャネルを介して読み出され得る。単純な形態では、ゲインKは、記憶された数値ゲイン設定に等しい値に設定される。
【0024】
図2aは、トラック9および中心穴10を有する、ディスク形状の情報担体11を示した図である。トラック9は、情報を表す記録された(または記録されるべき)一連のマークの位置であり、情報層上に、実質的に平行なトラックを形成する複数回転の螺旋パターンに従って配されている。情報担体は、光ディスクと呼ばれる光学的に読取可能なものであってもよく、記録可能型の情報層を有している。記録可能型のディスクの例としては、CD−RならびにCD−RW、およびDVD+RWのような書込可能型のDVDが挙げられる。DVDディスクのさらなる詳細は、参考文献「ECMA−267:120mm DVD−Read−Only Disc(ECMA−267:120mm DVD−読出専用ディスク)」(1997年)に記載されている。情報は、トラックに沿って光検出可能なマーク(たとえば、相変化材料中の結晶またはアモルファスマーク)を記録することにより、情報層上に表される。記録可能型の情報担体上のトラック9は、空の情報担体の製造時において予めエンボス形成された、トラック構造により示されている。このトラック構造は、たとえば、走査中において読出/書込ヘッドがトラックを辿ることを可能にする、プリグルーブ14により構成される。トラック構造は、通常は情報ブロックと呼ばれる情報単位の位置を示す、位置情報(たとえばアドレス)を含む。この位置情報は、それら情報ブロックの始点の位置を特定するための、特別な同期マークを含んでいる。位置情報は、後述するように、変調されたウォブルのフレーム内に符号化される。
【0025】
図2bは、記録可能型の情報担体11の、直線b−bに沿って得られた断面の一部を示した図である。この図では、透明基板15に、記録層16および保護層17が設けられている。たとえば記録層が0.6mmの基板に設けられておりその背面に別の0.6mmの基板が貼り合わせられているDVDのように、保護層17が、さらなる支持層を備えていてもよい。プリグルーブ14は、基板15の材料の凹部または凸部として実装されてもよいし、周囲と異なる材料特性として実装されてもよい。
【0026】
情報担体11は、フレームを含む変調信号により表される情報を担持することを意図されている。フレームは、同期信号に後続する、予め決められた量のデータである。通常、そのようなフレームはエラー訂正符号(たとえばパリティワード)も含んでいる。複数のフレームが情報ブロックを構成し、その情報ブロックは、さらなるエラー訂正ワードを含んでいる。情報ブロックは、十分な信頼性で情報を取り出すことを可能とする、最小の記録可能単位である。そのような記録システムの一例は、フレームが172個のデータワードと10個のパリティワードとを担持し、208個のフレームが1つのECCブロックを構成するような、DVDシステムから既知である。
【0027】
図3は、情報担体11の情報領域20の一例を示している。情報領域20は、データ交換に関連する情報担体上の情報をすべて含む。内側ドライブ領域21および外側ドライブ領域25は、ディスクのテスト用の領域である。リードイン領域22は、制御情報を含む。リードアウト領域24は、円滑なリードアウトを可能とし、かつ制御情報を含む領域である。データ領域23は、ユーザーデータの記録用に意図された領域である。リードイン領域は、制御データ領域を含んでいる。
【0028】
図4は、上記の制御データ領域内に含まれる物理フォーマット情報の一例の表を示している。物理フォーマット情報は、上記のように、ADIP内に符号化されている。この情報は、図4に示した256バイトを含むものとされる。これには、最適パワー制御(Optimum Power Control;OPC)アルゴリズムが書込みのための最適なレーザーパワーレベルを決定するのに使用されるディスク情報および値が、含まれている。この情報は、ディスクの初期化時において、制御データと呼ばれる記録可能な領域にコピーされる。データの内容は、たとえば以下のとおりである。
【0029】
・バイト0−ディスクカテゴリーおよびバージョン情報
ビットb7からb4:ディスクカテゴリーを指定すべきビット。DVD+Rディスクを示す、1010に設定されるものとする。
ビットb3からb0:バージョン番号を指定すべきビット。バージョンを示す0000に設定されるものとする。
【0030】
・バイト1−ディスクサイズおよび最大転送レート
ビットb7からb4:ディスクサイズを指定すべきビット。120mmディスクを示す、0000に設定されるものとする。
ビットb3からb0:最大読出転送レートを指定すべきビット。最大読出転送レートが指定されていないことを示す、1111に設定されるものとする。
【0031】
・バイト2−ディスク構造
ビットb7からb4:0000に設定されるものとする。
ビットb3からb0:記録層のタイプを指定すべきビット。追記型の記録層であることを示す、0010に設定されるものとする。
【0032】
・バイト3−記録密度
ビットb7からb4:情報領域内の平均チャネルビット長を指定すべきビット。0.133μmを示す、0000に設定されるものとする。
ビットb3からb0:平均トラックピッチを指定すべきビット。0.74μmの平均トラックピッチを示す、0000に設定されるものとする。
【0033】
・バイト4から15−データ領域割当て
バイト4:(00)に設定されるものとする。
バイト5から7:データ領域の最初の物理セクタのPSN196.608を指定するため、(030000)に設定されるものとする。
バイト8:(00)に設定されるものとする。
バイト9から11:データ領域の最後の可能な物理セクタとしてPSN2.491.711を指定するため、(26053F)に設定されるものとする。
バイト12から15:(00)に設定されるものとする。
【0034】
・バイト16−(00):(00)に設定されるものとする。
【0035】
・バイト17−予備:このバイトは予備のバイトであり、(00)に設定されるものとする。
【0036】
・バイト18−拡張情報インジケータ
ビットb7からb6:予備のバイトであり、00に設定されるものとする。
ビットb5からb0:これらのビットの各々は、拡張情報ブロックの存在を示すべきビットである。ビットbは、バイト(64+i×32)から(95+i×32)よりなる拡張情報ブロックiが使用されている場合に、1に設定されるものとする。そうでない場合は、ビットbは0に設定されるものとする。
【0037】
・バイト19から26−ディスク製造業者ID
これら8バイトは、ディスクの製造業者を識別すべきビットである。使用されない後方バイトは、(00)に設定されるものとする。
【0038】
・バイト27から29−媒体タイプID
ディスクの製造業者は、これら3バイトで指定されるべき、異なる複数のタイプの媒体を有し得る。ディスクの具体的なタイプは、このフィールドに示される。
【0039】
・バイト30−製品修正版番号
このバイトは、製品の修正版番号を二進表現で識別すべきバイトである。同一のディスク製造業者IDおよび同一の製品IDを有するディスクはすべて、製品修正版番号にかかわらず、同一の記録特性を有していなくてはならない(マイナーな違いのみが許容される。すなわち、製品修正版番号は、記録装置に無関係とされる)。使用されない場合は、このバイトは(00)に設定されるものとする。
【0040】
・バイト31−使用されている物理フォーマット情報バイトの数
このバイトは、物理フォーマット情報のために実際に使用されているバイトの数を示す、8ビットの二進数を構成する。ここでは、最初の54バイトのみの物理フォーマット情報のみが使用されていることを示す、(36)に設定されるものとする。
【0041】
・バイト32−参照記録速度
このバイトは、そのディスクに可能な最も低い記録速度(参照速度とも呼ばれる)を、
n=10×vref(nは、整数値に四捨五入される)
である番号nとして示す。ここでは、3.49m/秒の参照書込速度を示す(23)に設定されるものとする。
【0042】
・バイト33−最大記録速度
このバイトは、そのディスクに可能な最も高い記録速度を、
n=10×vref(nは、整数値に四捨五入される)
である番号nとして示す。ここでは、8.44m/秒の最大書込速度を示す(54)に設定されるものとする。
【0043】
・バイト34−波長λIND
このバイトは、後続のバイトの最適な書込パラメータを決定する基となったレーザーの波長(ナノメートル単位)を、
n=波長−600
であるnとして指定すべきバイトである。
【0044】
・バイト35−予備
【0045】
・バイト36−参照速度における最大読出パワーPr
このバイトは、参照速度における最大読出パワーPr(ミリワット単位)を、
n=20×(Pr−0.7)
であるnとして指定すべきバイトである。
【0046】
・バイト37−参照速度におけるPIND
INDは、OPCアルゴリズム内で使用されるPpoの決定のための開始値である。このバイトは、参照速度におけるPpoの指標値PIND(ミリワット単位)を、
n=20×(PIND−5)
であるnとして指定すべきバイトである。
【0047】
・バイト38−参照速度におけるβtarget
このバイトは、参照速度における、OPCアルゴリズム内で使用されるβの目標値βtargetを、
n=10×βtarget
であるnとして指定すべきバイトである。
【0048】
・バイト39−最大速度における最大読出パワーPr
このバイトは、最大速度における最大読出パワーPr(ミリワット単位)を、
n=20×(Pr−0.7)
であるnとして指定すべきバイトである。
【0049】
・バイト40−最大速度におけるPIND
INDは、OPCアルゴリズム内で使用されるPpoの決定のための開始値である。このバイトは、最大速度におけるPpoの指標値PIND(ミリワット単位)を、
n=20×(PIND−5)
であるnとして指定すべきバイトである。
【0050】
・バイト41−最大速度におけるβtarget
このバイトは、最大速度における、OPCアルゴリズム内で使用されるβの目標値βtargetを、
n=10×βtarget
であるnとして指定すべきバイトである。
【0051】
・バイト42−参照速度における、現在のマーク≧4に対する先頭パルス持続時間Ttop(≧4)
このバイトは、現在のマークが、参照速度での記録に対し4Tまたはそれより大きなマークである場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数4】

なるnとして表される。
【0052】
・バイト43−参照速度における、現在のマーク=3に対する先頭パルス持続時間Ttop(=3)
このバイトは、現在のマークが、参照速度での記録に対し3Tマークである場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数5】

なるnとして表される。
【0053】
・バイト44−参照速度における、マルチパルス持続時間Tmp
このバイトは、参照速度で記録を行うためのマルチパス・トレインの、2番目から、最後から2番目までのパルスの、持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数6】

なるnとして表される。
【0054】
・バイト45−参照速度における、最終パルス持続時間Tlp
このバイトは、参照速度で記録を行うためのマルチパス・トレインの、最後のパルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数7】

なるnとして表される。
【0055】
・バイト46−参照速度における、先頭パルス・リード時間(lead time)dTtop
このバイトは、参照速度における記録のための、データパルスの2番目のチャネルビットの立下がりエッジに対する、マルチパス・トレインの先頭パルスのリード時間
を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数8】

なるnとして表される。
【0056】
・バイト47−参照速度における、先行スペース=3に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
このバイトのビット7からビット4は、参照速度での記録に対し、先行スペースが3Tスペースであった場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスに対する立上りエッジ修正を指定すべきビットである。この値は、図8に従って、チャネルビットクロック周期で割った値で表される。
【0057】
・バイト48−最大速度における、現在のマーク≧4に対する先頭パルス持続時間Ttop(≧4)
このバイトは、現在のマークが、最大速度での記録に対し4Tまたはそれより大きなマークである場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数9】

なるnとして表される。
【0058】
・バイト49−最大速度における、現在のマーク=3に対する先頭パルス持続時間Ttop(3)
このバイトは、現在のマークが、最大速度での記録に対し3Tマークである場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数10】

なるnとして表される。
【0059】
・バイト50−最大速度における、マルチパルス持続時間Tmp
このバイトは、最大速度で記録を行うためのマルチパス・トレインの、2番目から、最後から2番目までのパルスの、持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数11】

なるnとして表される。
【0060】
・バイト51−最大速度における、最終パルス持続時間Tlp
このバイトは、最大速度で記録を行うためのマルチパス・トレインの、最後のパルスの持続時間を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数12】

なるnとして表される。
【0061】
・バイト52−最大速度における、先頭パルス・リード時間dTtop
このバイトは、最大速度における記録のための、データパルスの2番目のチャネルビットの立下がりエッジに対する、マルチパス・トレインの先頭パルスのリード時間
を示すべきバイトである。この値は、チャネルビットクロック周期で割った値を示す、
【数13】

なるnとして表される。
【0062】
・バイト53−最大速度における、先行スペース=3に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
このバイトのビット7からビット4は、最大速度での記録に対し、先行スペースが3Tスペースであった場合における、マルチパルス・トレインの先頭パルスに対する立上りエッジ修正を指定すべきビットである。この値は、図8に従って、チャネルビットクロック周期で割った値で表される。
【0063】
・バイト54から63−予備−すべて(00)
これらのバイトは、すべて(00)に設定されるものとする。
【0064】
・バイト(64+i×32)から(95+i×32)−拡張情報ブロックi(i=0から5)
将来の拡張を容易にするために、拡張情報ブロックが導入されている。それら拡張情報ブロックの各々は、32バイトからなっている。これらのバイトは、たとえば、代替のライトストラテジのためのパラメータ(たとえば高速記録用)や、その他の改良パラメータを保持することができる。拡張情報ブロックの存在は、バイト18内のビットにより示されるものとする。
バイト(64+i×32):拡張情報ブロックiのバージョン番号は、ブロックのバージョンを示し、バイト(64+i×32)から(95+i×32)内のデータの定義を識別する。ディスクは、ブロックバージョン番号が同じでも異なっていてもよい複数の拡張情報ブロックを有し得る。ブロックiの具体的なブロックバージョン番号を与えられていないドライブは、この拡張情報ブロック内の改良パラメータを用いてディスクを使用するべきではない。ブロックバージョン番号が255に設定されている場合は、関連の拡張情報ブロックは、独立したブロックではなく、先行する拡張情報ブロックの続きとされる(パラメータのある組について、32バイトでは不十分な場合に用いられる)。
バイト(65+i×32)から(95+i×32):これらのバイトは、代替のライトストラテジその他のパラメータを保持するのに使用され得る。
【0065】
・高速ライトストラテジ用パラメータの例
バイト18:拡張情報ブロック0が使用されていることを示す0000 0001。
バイト64:ブロックバージョン1を示す0000 0001。このブロックバージョン1に対し、バイト65から95は以下の意味を有する。
バイト65:このEIブロック内で設定されるパラメータに対する、最大記録速度:n×0.25m/秒(max≦63.75m/秒=18.25x=175Hz@R=58mm)
バイト66:このEIブロック内で設定されるパラメータに対する、最小記録速度:n×0.25m/秒(最小記録速度=最大記録速度とされてもよい)
バイト67:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト68から81:最大記録速度に対して設定されたパラメータ
バイト68:PIND
バイト69:βtarget
バイト70:cm≧4に対する先頭パルス持続時間Ttop(≧4)
バイト71:cm=3に対する先頭パルス持続時間Ttop(=3)
バイト72:マルチパルス持続時間Tmp
バイト73:最終パルス持続時間Tlp
バイト74:cm≧4に対する先頭パルス・リード時間dTtop(≧4)
バイト75:cm=3に対する先頭パルス・リード時間dTtop(=3)
バイト76:ps=3に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
バイト77:ps=4に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
バイト78:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト79:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト80:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト81:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト82から95:最小記録速度に対して設定されたパラメータ
バイト82:PIND
バイト83:βtarget
バイト84:cm≧4に対する先頭パルス持続時間Ttop(≧4)
バイト85:cm=3に対する先頭パルス持続時間Ttop(=3)
バイト86:マルチパルス持続時間Tmp
バイト87:最終パルス持続時間Tlp
バイト88:cm≧4に対する先頭パルス・リード時間dTtop(≧4)
バイト89:cm=3に対する先頭パルス・リード時間dTtop(=3)
バイト90:ps=3に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
バイト91:ps=4に対する先頭パルス立上りエッジ修正dTle
バイト92:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト93:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト94:予備のバイトであり、(00)に設定されている
バイト95:予備のバイトであり、(00)に設定されている
【0066】
拡張情報ブロック、たとえばバイト64は、波形イコライザ6の数値ゲイン設定の記憶に用いることができる。
【0067】
記録可能型のブルーレイディスク(BD−R)フォーマットを有する情報担体11については、数値ゲイン設定は、たとえば記録担体11のPIC(Permanent Information & Control;固定情報および制御)データ領域内に記憶され得る。PIC領域は、リードイン領域内に配されている。PIC領域は、数値ゲイン設定を記憶するのに申し分なく適したディスク情報テーブル(Disc Information table)を含んでいる。
【0068】
波形イコライザ6の内部構造の一例が、図5に示されている。図5に示された波形イコライザは、3つのタップ遅延器D1からD3と、4つの増幅ユニットA1からA4を有している。増幅ユニット中のKの値は情報担体11から読み出され、設定手段1が、Kの値を、読み出された数値ゲイン設定に依存する値に設定する。増幅ユニットA1からA4の出力は、加算器B1により合計され、結果として補正された信号S'が得られる。
【0069】
波形イコライザ6に後続して、リミットイコライザが設けられてもよい。この実施形態は、図6に示されている。
【0070】
読出信号Sは、図5に示したのと同一の波形イコライザ6に供給される。波形イコライザ6の出力は、振幅制限手段62に供給される。振幅制限手段62は、波形イコライザ6の出力に対して振幅制限を施し、取得された振幅が制限された信号SLIMを、第2のフィルタ63に供給する。読出信号Sは、第1のフィルタ61への入力でもある。フィルタ61の出力とフィルタ63の出力とは、加算器64により加算される。
【0071】
振幅制限回路62は、符号間干渉の増大を抑制する。振幅制限回路62がなければ、過剰な高周波強調が施された場合、符号間干渉が増大し、結果としてジッタが増大する。
【0072】
図6の例では、第1のフィルタ61は、タップ係数[0,0,0,1]を有するFIRフィルタである。これは、このフィルタへの入力が、3つのタップ遅延器D7、D8およびD9により遅延させられることを意味する。これらのタップ遅延器は、情報担体上へのビット書込みに使用されたチャネルビットクロックの周期にほぼ等しい時間Tだけ、入力を遅延させる。第1のフィルタ61の出力Of1は、以下の式1で表されるように、このフィルタの入力、すなわち読出信号Sに関連付けられる。
【数14】

ここで、Of1(n)はサンプリング瞬時nにおける第1のフィルタ61の出力を表し、S(n−3)はサンプリング瞬時n−3における第1のフィルタ61の入力を表す。
【0073】
第2のフィルタ63は、タップ係数[−m,+m,+m,−m]を有するFIRフィルタである。これは、このフィルタへの入力が、3つのタップ遅延器D4、D5およびD6により遅延させられ、それぞれ−m、+m、+mおよび−mの増幅係数を有する増幅ユニットA5、A6、A7およびA8に供給される、4つの出力が存在することを意味する。第1の増幅器A5は入力SLIMの直後に配され、第2の増幅器A6は第1の遅延タップD4の後に配され、以下同様である。増幅ユニットA5からA8の出力は、加算器B2により加算される。第2のフィルタ63の出力Of2は、以下の式2で表されるように、この第2のフィルタ63の入力Slimに関連付けられる。
【数15】

【0074】
この波形イコライザ6の実施形態の全体の出力S'は、
【数16】

で表される。
【0075】
ゲインKおよび/またはmの最適値は、情報担体11のノイズ特性に依存する。そのため、ゲインKおよび/またはmの最適値は、情報担体11上に記憶され、ゲイン設定手段1により読み出され、その後、読み出された数値ゲイン設定に設定される。
【0076】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、これらは非限定的な例である点に留意されたい。したがって、当業者には、特許請求の範囲で規定する本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変更形態が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に従う、情報を再生する装置を示した図
【図2a】ある情報担体の上面図
【図2b】ある情報担体の断面図
【図3】情報担体の情報領域の一例を示した図
【図4】物理フォーマット情報の一例を示した表
【図5】波形イコライザの一例を示した図
【図6】リミットイコライザが後続する波形イコライザを示した図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報担体上に記録された情報を再生する装置であって、
前記情報担体から読み出された読出信号に波形等化を施すことにより、補正された信号を取得する波形イコライザであって、ゲインKの増幅素子を有する波形イコライザと、
前記情報担体上に記憶された数値ゲイン設定を読み出し、前記増幅素子の前記ゲインKを、前記数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定するゲイン設定手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記波形イコライザが、前記読出信号に対してフィルタリング処理を施すことができるFIRフィルタであって、タップ係数
【数1】

を有するFIRフィルタを含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記波形イコライザに後続して、リミットイコライザが設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記リミットイコライザが、
前記読出信号に対してフィルタリング処理を施すことのできる、タップ係数[0,0,0,1]を有する第1のFIRフィルタと、
前記読出信号の振幅レベルを、予め決められた振幅制限値により制限することによって、振幅が制限された読出信号を取得することができる振幅制限手段と、
前記振幅が制限された読出信号に対してフィルタリング処理を施すことのできる、適切な増幅因子mに対しタップ係数[−m,+m,+m,−m]を有する第2のFIRフィルタと、
前記第1のFIRフィルタおよび前記第2のFIRフィルタの各々によって前記フィルタリング処理を実行することにより得られた信号を加算し、前記補正された信号を出力することができる加算器とを含んでいることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記ゲイン設定手段が、追加の数値ゲイン設定を読み出し、前記リミットイコライザの増幅因子を、前記追加の数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の装置内で使用するための情報担体であって、前記数値ゲイン設定が記憶されていることを特徴とする情報担体。
【請求項7】
光ディスクであることを特徴とする請求項6記載の情報担体。
【請求項8】
前記数値ゲイン設定が、当該情報担体のリードイン領域内の制御データ領域中に記憶されていることを特徴とする請求項6記載の情報担体。
【請求項9】
情報担体上に記録された情報を再生する方法であって、
ゲインKの増幅素子を有する波形イコライザを用いて、前記情報担体から読み出された読出信号に波形等化を施すことにより、補正された信号を取得する工程と、
前記情報担体上に記憶された数値ゲイン設定を読み出し、前記増幅素子の前記ゲインKを、前記数値ゲイン設定に関連付けられた値に設定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記波形イコライザに後続して、リミットイコライザが設けられることを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−521155(P2008−521155A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542419(P2007−542419)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053785
【国際公開番号】WO2006/054250
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】