説明

情報検出装置及び方法

【課題】
信頼性の高い情報検出装置及び方法を提案する。
【解決手段】
バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から伝送情報を検出する情報検出装置及び方法において、伝送信号の信号レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出すると共に、伝送信号の信号レベルの絶対値が第2の閾値以上であるか否かを検出し、検出結果に基づいて、伝送信号のレベル変位がノイズによるものか、又は伝送情報を受信したことによるものかを判定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報検出装置及び方法に関し、例えば、シリアルATA(Advanced Technology Attachment)規格に準拠した受信装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストコンピュータ(以下、ホストと呼ぶ)と光ディスク装置、ハードディスク装置等のストレージデバイス(以下、デバイスと呼ぶ)とを接続する方式として、高速シリアル転送プロトコル規格であるシリアルATAが策定されている。
【0003】
シリアルATA規格では、データ転送を行う前に、OOB(Out of Band)シーケンスと呼ばれるネゴシエーションが行われる。このOOBシーケンスは、図7に示す以下の手順により行われる。
【0004】
すなわち、ホストが、パワーオン後、デバイスに対してCOMRESET信号を送信する。そしてデバイスは、そのCOMRESET信号を受信すると、デバイスに対してCOMINIT信号を送信する。次に、ホストは、そのCOMINIT信号を受信すると、デバイスに、COMWAKE信号を送信し、デバイスは、そのCOMWAKE信号を受信すると、ホストにCOMWAKE信号を送信する。
【0005】
以上のように、かかるネゴシエーションは、ホスト又はデバイスが送信した各信号を他方が検出するという動作を繰り返すことにより行われる。このネゴシエーションが正常に行われたとき、データ転送が開始される。なお、これらのCOMRESET信号、COMWAKE信号、及びCOMINIT信号は、総称して、OOB信号と呼ばれる。
【0006】
これらのOOB信号は、シリアルATA規格で定められたバースト信号が伝送される一定の長さの期間(バースト期間)と無信号期間(スペース期間)とを繰り返す信号であり、バースト期間及びスペース期間の長さ、並びにそれらの回数が規格により定められている。具体的に、COMRESET信号及びCOMINIT信号のバースト期間及びスペース期間は、それぞれ約106.7[ns]、及び約320[ns]であり、そのバースト期間の数は、6回であり、COMWAKE信号のバースト期間及びスペース期間は、それぞれ約106.7[ns]であり、そのバースト期間の数は、6回である。一般的に、シリアルATA規格に準拠した受信装置では、バースト期間及びスペース期間をそれぞれ連続して3回以上検出すると、OOB信号を検出したと認識する。
【0007】
ところが、かかる受信装置では、ノイズをOOB信号と誤検出してしまうことがある。そこで、特許文献1では、出力に応じて閾値を変化させるスケルチ検出回路を用いてかかる誤検出を防止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−203338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、かかる特許文献1に開示された方法によっても、ノイズをOOB信号として誤検出してしまうことが多く、信頼性の面で未だ不十分な問題があった。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、信頼性の高い情報検出装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明においては、バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から前記伝送情報を検出する情報検出装置において、前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出する第1の比較回路と、前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第2の閾値以上であるか否かを検出する第2の比較回路と、前記第1及び第2の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号の振幅レベル変位がノイズによるものか、又は前記伝送情報を受信したことによるものかを判定する判定部とを設け、前記第1及び第2の閾値を異なる値に設定するようにした。
【0012】
また、本発明においては、バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から前記伝送情報を検出する情報検出方法において、前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出すると共に、前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第2の閾値以上であるか否かを検出する第1のステップと、検出結果に基づいて、前記伝送信号の振幅レベル変位がノイズによるものか、又は前記伝送情報を受信したことによるものかを判定する第2のステップとを設けるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、伝送情報を精度良く検出し得る信頼性の高い情報検出装置及び方法を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面について本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体として第1の実施形態による受信装置を示す。この受信装置1は、シリアルATA規格に準拠したホスト又はデバイスの物理層コントローラに搭載されるものであり、ハイパスフィルタ部3、OOB信号検出部4、シリアルATAインタフェースコントロール部5及びデータ抽出部6を備えて構成される。
【0015】
ハイパスフィルタ部3は、第1の入力端子2Aに直列接続された第1のAC結合コンデンサC1及び第1の終端抵抗R1から構成される第1のハイパスフィルタと、第2の入力端子に直列接続された第2のAC結合コンデンサC2及び第2の終端抵抗R2から構成される第2のハイパスフィルタとを備える。そして第1の入力端子2Aには、通信相手から差動伝送される伝送信号の正相側が与えられ、第2の入力端子2Bには、かかる伝送信号の逆相側が与えられる。また第1及び第2の終端抵抗R1,R2は、負極側が接地されたバイアス電源Eの正極側に共通接続されている。
【0016】
かくしてハイパスフィルタ部3は、伝送信号の正相側の高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分にバイアス電源Eの出力電圧に応じたバイアス電圧を重畳して、これを正相側高周波成分信号として第1のAC結合コンデンサC1及び第1の終端抵抗R1の接続中点から出力する。またハイパスフィルタ部3は、伝送信号の逆相側の高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分に上記バイアス電圧を重畳して、これを逆相側高周波成分信号として第2のAC結合コンデンサC2及び第2の終端抵抗R2の接続中点を介して出力する。
【0017】
OOB信号検出部4は、スケルチ検出用差動アンプ10と、第1及び第2のウインドコンパレータ11A,11Bと、第1及び第2の波形整形回路12A,12Bと、第1及び第2のOOB検出ブロック13A,13Bと、アンドゲート回路14とから構成される。
【0018】
スケルチ検出用差動アンプ10は、非反転入力端子がハイパスフィルタ部3の第1のAC結合コンデンサC1及び第1の終端抵抗R1の接続中点と接続され、反転入力端子がハイパスフィルタ部3の第2のAC結合コンデンサC2及び第2の終端抵抗R2の接続中点と接続されている。そしてスケルチ検出用差動アンプ10は、ハイパスフィルタ部3から非反転入力端子に与えられる正相側高周波成分信号と、当該ハイパスフィルタ部3から反転入力端子に与えられる逆相側高周波成分信号との間の差電圧に応じた図2(A)に示すような差分信号を生成し、生成した差分信号を第1及び第2のウインドコンパレータ11Aに送出する。
【0019】
第1のウインドコンパレータ11Aは、スケルチ検出用差動アンプ10から与えられる差分信号の信号レベルを第1及び第2の基準電圧(第1の基準電圧>第2の基準電圧とする)と比較し、差分信号の信号レベルが第1の基準電圧よりも大きい期間又は第2の基準電圧よりも小さい期間はハイレベルに立ち上がり、差分信号の信号レベルが第1及び第2の基準電圧間にあるときにはローレベルに立ち下がる第1のウインドコンパレート信号を生成して、これを第1の波形整形回路12Aに送出する。なお、本実施の形態の場合、第1のウインドコンパレータ11Aを、かかる差分信号の信号レベルの絶対値が予め設定された第1の閾値以上であるか否かを検出するスケルチ検出回路として機能させるため、第1の基準電圧が「D1」、第2の基準電圧が「−D1」にそれぞれ設定されている。
【0020】
第1の波形整形回路12Aは、第1のウインドコンパレータ11Aから与えられる第1のウインドコンパレート信号に対して、各バースト部分をそれぞれ1つのパルスにまとめる波形整形処理を施し、かくして得られた図2(B)に示すような第1の波形整形信号を第1のOOB検出回路13Aに送出する。
【0021】
第1のOOB検出回路13Aは、第1の波形整形回路12Aから与えられる第1の波形整形信号を監視し、その第1の波形整形信号に含まれる各パルスのパルス幅(OOB信号のバースト期間に相当)、連続するパルスの個数(OOB信号のバースト期間の回数に相当)及びパルス間隔(OOB信号のスペース期間に相当)をそれぞれ測定する。そして第1のOOB検出回路13Aは、かかる測定により得られたパルス幅及びパルス間隔の双方が、シリアルATA規格において規定されたCOMRESET信号、COMWAKE信号又はCOMINIT信号のバースト期間及びスペース期間として定められた時間とそれぞれ合致する連続する3つ以上のパルスを検出すると、これに応じた第1のOOB検出信号をアンドゲート回路14に送信する。
【0022】
具体的に、第1のOOB検出部13Aは、パルス幅が約106.7[ns]、間隔が約320[ns]である連続する3つ以上のパルスを検出すると、COMRESET信号又はCOMINIT信号を受信したと判断し、これに応じた第1のOOB検出信号(例えば所定の第1のパルスパターンのパルス信号)をアンドゲート回路14に送信する。また第1のOOB検出部13Aは、パルス幅が約106.7[ns]、間隔が約160.7[ns]である連続する3つ以上のパルスを検出すると、COMWAKE信号を受信したと判断し、これに応じた第1のOOB検出信号(例えば所定の第2のパルスパターンのパルス信号)をアンドゲート回路14に送信する。
【0023】
また第2のウインドコンパレータ11Bは、スケルチ検出用差動アンプ10から与えられる差分信号の信号レベルを、予め設定された第3及び第4の基準電圧(第3の基準電圧>第4の基準電圧とする)と比較し、差分信号の信号レベルが第3の基準電圧よりも大きい期間又は第4の基準電圧よりも小さい期間はハイレベルに立ち上がり、差分信号の信号レベルが第3及び第4の基準電圧間にあるときにはローレベルに立ち下がる第2のウインドコンパレート信号を生成して、これを第2の波形整形回路12Bに送出する。
【0024】
なお本実施の形態の場合、第2のウインドコンパレータ11Bについても、差分信号の信号レベルの絶対値が予め設定された第2の閾値以上であるか否かを検出するスケルチ検出回路として機能させるため、かかる第3の基準電圧が「D2」、第4の基準電圧が「−D2」に設定されている。また本実施の形態の場合、図2(A)に示すように、かかる第3の基準電圧(「D2」)は、第1の基準電圧よりも小さい「D2」に設定されている。
【0025】
第2の波形整形回路12Bは、第2のウインドコンパレータ11Bから与えられる第2のウインドコンパレート信号に対して第1の波形整形回路12Aと同様の波形整形処理を施し、かくして得られた第2の波形整形信号を第2のOOB検出回路13Bに送出する。
【0026】
第2のOOB検出回路13Bは、第2の波形整形回路12Bから与えられる第2の波形整形信号を監視し、第1のOOB検出回路13Aと同様にして、その第2の波形整形信号に含まれる各パルスのパルス幅及び間隔並びに連続するパルスの個数をそれぞれ測定する。そして第2のOOB検出回路13Bは、かかる測定により得られたパルス幅及び間隔の双方が、シリアルATA規格においてCOMRESET信号、COMWAKE信号又はCOMINIT信号のバースト期間及びスペース期間として定められた時間とそれぞれ合致する連続する3つ以上のパルスを検出すると、これに応じた第2のOOB検出信号をアンドゲート回路14に送信する。
【0027】
ANDゲート回路14は、第1のOOB検出回路13Aから与えられる第1のOOB検出信号と、第2のOOB検出回路13Bから与えられる第2のOOB検出信号とに基づいて、第1及び第2のOOB検出信号が共にハイレベルの期間のみハイレベルに立ち上がる論理和信号を生成し、これをシリアルATAインタフェースコントロール部5に送出する。
【0028】
シリアルATAインタフェースコントロール部5は、ANDゲート回路14から与えられる論理和信号に基づいて、COMRESET信号、COMRESET信号又はCOMINIT信号の入力の有無を判断し、判断結果に基づき必要に応じて、図7について上述したOOBシーケンスに関する所定処理を実行する。
【0029】
一方、データ抽出部6は、データ抽出用差動アンプ20及びデータ抽出ブロック21から構成される。
【0030】
データ抽出用差動アンプ20は、非反転入力端子がハイパスフィルタ部3の第1のAC結合コンデンサC1及び第1の終端抵抗R1の接続中点と接続され、反転入力端子がハイパスフィルタ部3の第2のAC結合コンデンサC2及び第2の終端抵抗R2の接続中点と接続されている。かくしてデータ抽出用差動アンプ20は、ハイパスフィルタ部3から非反転入力端子に与えられる正相側高周波成分信号と、当該ハイパスフィルタ回路部から反転入力端子に与えられる逆相側高周波成分信号との間の差電圧に応じた差分信号をデータ抽出ブロック21に送出する。
【0031】
またデータ抽出ブロック21は、シリアルATAインタフェースコントロール部5の制御のもとに、通信相手側のデバイス又はホストとの間のOOBシーケンスが終了した後に、データ抽出用差動アンプ20から与えられる差分信号に含まれるデータを抽出する。
【0032】
以上の構成において、かかる受信装置1の第1及び第2の入力端子2A,2Bに正常なOOB信号が入力した場合、スケルチ検出用差動アンプ10からは図2(A)に示すような波形の差分信号が出力され、この差分信号に基づいて、第1の波形整形回路12Aからは図2(B)に示すような波形の第1の波形整形信号が出力され、第2の波形整形回路12Bからも第1の波形整形信号とほぼ同じ波形の図2(C)に示すような第2の波形整形信号が出力される。
【0033】
従って、この場合、第1及び第2のOOB検出回路13A,13Bは、いずれも同じOOB信号(COMRESET信号、COMINIT信号又はCOMWAKE信号)を検出し、そのOOB信号に応じた同じパルスパターンの第1又は第2のOOB検出信号をANDゲート回路14に送出することから、そのパルスパターンと同じパルスパターンの論理和信号がANDゲート回路5からシリアルATAインタフェースコントロール部5に出力される。
【0034】
よって、この場合、シリアルATAインタフェースコントロール部5は、この論理和信号に基づいて、そのOOB信号に応じた動作を実行する。
【0035】
これに対してかかる受信装置1の第1及び第2の入力端子に図3(A)に示すようなノイズが入力した場合、第1の波形整形回路12Aからは図3(B)に示すような波形の第1の波形整形信号が出力され、第2の波形整形回路12Bからは第1の波形整形信号と異なる波形の図3(C)に示すような第2の波形整形信号が出力される。
【0036】
従って、この場合、第1及び第2の波形整形信号の波形が異なるために、第1及び第2のOOB検出回路13A,13Bの双方が共に同じOOB信号を受信したと誤検出することはない。また第1及び第2のOOB検出回路13A13Bのいずれか一方がOOB信号を受信したと誤検出した場合においても、誤検出していない第2又は第1のOOB検出回路13B,13AからはCOMRESET信号、COMINIT信号又はCOMWAKE信号と対応付けられたパルスパターンのOOB検出信号が出力されることはない。
【0037】
よって、この場合には、ANDゲート回路14からそのOOB信号と同じパルスパターンの論理和信号が出力されることはなく、論理和信号に基づいてシリアルATAインタフェースコントロール部5が誤動作することはない。
【0038】
以上のように本実施の形態の受信装置1によれば、スケルチ検出用差動アンプ10から出力される差分信号に対して第1及び第2のウインドコンパレータ11A,11Bにおいてそれぞれ異なる閾値でのスケルチ検出を行い、その検出結果に基づいて伝送信号のレベル変位がノイズによるものか、又はOOB信号を受信したことによるものかを判定するようにしたことにより、ノイズをOOB信号と誤検出するのを高い精度で防止することができ、かくして信頼性の高い受信装置を実現できる。
【0039】
(2)第2の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付して示す図4は、第2の実施の形態による受信装置30を示す。この受信装置30は、OOB信号検出部31の構成が異なる点を除いて第1の実施の形態による受信装置1(図1)と同様に構成されている。
【0040】
すなわち本実施の形態の場合、OOB信号検出部31は、スケルチ検出用作動アンプ10と、第1及び第2のウインドコンパレータ11A,11Bと、波形整形回路32Aと、エッジタイミング比較判定回路33と、OOB検出ブロック34とから構成される。
【0041】
そしてOOB信号検出部31においては、第1のウインドコンパレータ11Aから出力される第1のウインドコンパレータ信号が波形整形回路11A及びエッジタイミング比較判定回路33に与えられ、第2のウインドコンパレータ11Bから出力される第1のウインドコンパレータ信号がエッジタイミング比較判定回路33に与えられる。
【0042】
波形整形回路32は、第1の実施の形態における第1及び第2の波形整形回路12A,12B(図1)と同じ機能を有するものであり、第1のウインドコンパレータ11Aから与えられる第1のウインドコンパレート信号に対して、各バースト部分をそれぞれ1つのパルスにまとめる波形整形処理を施し、かくして得られた波形整形信号をOOB検出回路34に送出する。
【0043】
またエッジタイミング比較判定回路33は、第1のウインドコンパレータ11Aから与えられる第1のウインドコンパレータ信号と、第2のウインドコンパレータ11Bから与えられる第2のウインドコンパレータ信号とについて、これら第1及び第2のウインドコンパレータ信号がローレベルからハイレベルに変化するタイミング、つまり立ち上がりエッジのタイミングを比較する。
【0044】
そしてエッジタイミング比較判定回路33は、第2のウインドコンパレータ信号がハイレベルに立ち上がってから第1のウインドコンパレータ信号がハイレベルに立ち上がるまでの時間差が予め定められた所定の閾値(以下、これをエッジタイミング比較閾値と呼ぶ)よりも大きい場合にはローレベル、第2のウインドコンパレータ信号が立ち上がってから第1のウインドコンパレータ信号が立ち上がるまでの時間差がエッジタイミング比較閾値以下の場合にはハイレベルの比較判定信号をOOB検出ブロック34に送信する。
【0045】
OOB検出回路34は、波形整形回路32から与えられる波形整形信号を監視し、第1の実施の形態における第1及び第2のOOB検出回路13A,13B(図1)と同様の方法により、その波形整形信号に含まれる各パルスのパルス幅、連続するパルスの個数及びパルス間隔をそれぞれ測定する。そしてOOB検出回路34は、かかる測定により得られたパルス幅及びパルス間隔の両方が、シリアルATA規格において規定されたCOMRESET信号、COMWAKE信号又はCOMINIT信号のバースト期間及びスペース期間として定められた時間とそれぞれ合致する連続する3つ以上のパルスを検出し、かつ、このときエッジタイミング比較判定回路33から与えられる比較判定信号がハイレベルであったときにのみ、そのとき検出したOOB信号に応じたOOB検出信号をシリアルATAインタフェースコントロール部5に送信する。
【0046】
またシリアルATAインタフェースコントロール部5は、OOB検出回路34から与えられるOOB信号に基づいて、COMRESET信号、COMRESET信号又はCOMINIT信号の入力の有無を判断し、判断結果に基づき必要に応じて、図7について上述したOOBシーケンスに関する所定処理を実行する。
【0047】
以上の構成において、かかる受信装置30の第1及び第2の入力端子2A,2Bに正常なOOB信号が入力した場合、スケルチ検出用差動アンプ10からは図5(A)に示すような波形の差分信号が出力される。この場合において、OOB信号におけるバースト部位は立ち上がりが俊敏であるため、これに対応する差分信号の対応する部分のパルス波形も図5(B)に示すように立ち上がりが俊敏となり、図5(C)及び(D)に示すように、第1のウインドコンパレータ11Aから出力される第1のウインドコンパレータ信号(図5(C))の立ち上がりのタイミングと、第2のウインドコンパレータ11Bから出力される第2のウインドコンパレータ信号(図5(D))の立ち上がりのタイミングとの間の時間差t1は極僅かなものとなる。
【0048】
これに対して受信装置30の第1及び第2の入力端子2A,2Bにノイズが入力した場合、スケルチ検出用差動アンプ10から出力される差分信号は、図6(A)に示すようにランダム波形となる。この場合において、図6(B)に示すように、ノイズの立ち上がりはOOB信号におけるバースト部位に比べて立ち上がりが緩やかであり、その分第2のウインドコンパレータ信号の立ち上がりのタイミングと、第1のウインドコンパレータ信号の立ち上がりのタイミングとの間の時間差t2は大きくなる。
【0049】
そこで本実施の形態においては、正常なOOB信号が入力した場合における第1のウインドコンパレータ信号の立ち上がりのタイミングと、第2のウインドコンパレータ11Bから出力される第2のウインドコンパレータ信号の立ち上がりのタイミングとの間の時間差t1よりも僅かに大きな値にかかるエッジタイミング比較閾値が設定されている。
【0050】
これにより本実施の形態による受信装置30では、OOB信号が入力した場合には、エッジタイミング比較判定回路33から出力される比較判定信号の信号レベルがハイレベルとなるため、OOB検出回路34からシリアルATAインタフェースコントロール部5に対してOOB検出信号が送信されるのに対して、ノイズが入力した場合には、エッジタイミング比較判定回路33から出力される比較判定信号の信号レベルがローレベルとなるため、OOB検出回路34からシリアルATAインタフェースコントロール部5に対してOOB検出信号が送信されない。よって、ノイズが入力した場合にも、シリアルATAインタフェースコントロール部5が誤動作することはない。
【0051】
以上のように本実施の形態の受信装置30によれば、第1のウインドコンパレータ11Aから出力される第1のウインドコンパレート信号の立ち上がりエッジと、第2のウインドコンパレータ11Bから出力される第2のウインドコンパレート信号の立ち上がりエッジとの時間差に基づいて、入力信号がノイズであるか又はOOB信号であるかを判定するようにしたことにより、ノイズをOOB信号と誤検出するのを高い精度で防止することができ、かくして信頼性の高い受信装置を実現できる。
【0052】
(3)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、本発明を、OOB信号を検出する受信装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から伝送情報を検出する、この他種々の情報検出装置に広く適用することができる。
【0053】
また上述の第1及び第2の実施の形態においては、伝送信号の信号レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出する第1の比較回路と、伝送信号の信号レベルの絶対値が第1の閾値と異なる第2の閾値以上であるか否かを検出する第2の比較回路とをそれぞれ第1及び第2のウインドコンパレータ11A,11Bにより構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる第1及び第2の比較回路としてはこの他種々の構成を広く適用することができる。
【0054】
さらに上述の第1の実施の形態においては、第1及び第2のウインドコンパレータ11A,11Bの出力に基づいて、伝送信号のレベル変位がノイズによるものか、又はOOB信号を受信したことによるものかを判定する判定部を、第1及び第2の波形整形部12A,12Bと、第1及び第2のOOB検出回路13A,13Bと、ANDゲート回路14とにより構成し、第2の実施の形態においては、かかる判定部を、波形整形回路32、エッジタイミング比較判定回路33、OOB検出回路34により構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる判定部の構成としては、この他種々の構成を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、OOB信号を検出する受信装置のほか、バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から伝送情報を検出する、この他種々の情報検出装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施の形態による受信装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の受信装置が正常なOOB信号を受信した場合における差分信号並びに第1及び第2のウインドコンパレータ信号の波形を示す波形図である。
【図3】図1の受信装置がノイズを受信した場合における差分信号並びに第1及び第2のウインドコンパレータ信号の波形を示す波形図である。
【図4】第2の実施の形態による受信装置の全体構成を示すブロック図である。
【図5】図1の受信装置が正常なOOB信号を受信した場合における差分信号並びに第1及び第2のウインドコンパレータ信号の波形を示す波形図である。
【図6】図1の受信装置がノイズを受信した場合における差分信号並びに第1及び第2のウインドコンパレータ信号の波形を示す波形図である。
【図7】OOBシーケンシャルの説明に供する波形図である。
【符号の説明】
【0057】
1,30……受信装置、2A,2B……入力端子、3……ハイパスフィルタ部、4,31……OOB信号検出部、5……シリアルATAコントロール部、6……データ抽出部、10……スケルチ検出用差動アンプ、11A,11B……ウインドコンパレータ、12A,12B,32……波形整形回路、13A,13B,34……OOB検出回路、14……ANDゲート、20……データ抽出用差動アンプ、21……データ抽出ブロック、33……エッジタイミング比較判定回路、C1,C2……AC結合コンデンサ、R1,R2……終端抵抗、E……バイアス電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から前記伝送情報を検出する情報検出装置において、
前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出する第1の比較回路と、
前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が前記第1の閾値と異なる第2の閾値以上であるか否かを検出する第2の比較回路と、
前記第1及び第2の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号の振幅レベル変位がノイズによるものか、又は前記伝送情報を受信したことによるものかを判定する判定部と
を備えることを特徴とする情報検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記第1の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号から前記伝送情報を検出する第1の情報検出部と、
前記第2の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号から前記伝送情報を検出する第2の情報検出部と、
前記第1及び第2の情報検出回路の検出結果に基づいて、前記第1及び第2の情報検出部が同じ前記伝送情報を検出したときに、当該伝送情報を出力する検出情報出力部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第1の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号から前記伝送情報を検出する第3の情報検出部と、
前記第1の比較回路により検出された前記伝送信号の立ち上がりのタイミングと、前記第2の比較回路により検出された前記伝送信号の立ち上がりのタイミングとの時間差に基づいて、当該時間差が予め定められた第3の閾値内にあるか否かを判定するタイミング判定部と
を備え、
前記第3の情報検出部は、
前記第1の比較回路の検出結果に基づいて、前記伝送信号から前記伝送情報を検出し、かつ、前記タイミング判定部により前記時間差が前記第3の閾値内にあると判定されたときに、当該伝送情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載に情報検出装置。
【請求項4】
バースト信号が伝送されるバースト期間と、無信号期間であるスペース期間とが伝送情報の内容に応じたパターンで繰り返される伝送信号から前記伝送情報を検出する情報検出方法において、
前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が第1の閾値以上であるか否かを検出すると共に、前記伝送信号の信号振幅レベルの絶対値が前記第1の閾値と異なる第2の閾値以上であるか否かを検出する第1のステップと、
検出結果に基づいて、前記伝送信号の振幅レベル変位がノイズによるものか、又は前記伝送情報を受信したことによるものかを判定する第2のステップと
を備えることを特徴とする情報検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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