説明

情報機器端末

【課題】情報機器端末の設置の仕方や、操作する者の情報機器端末の持ち方により生じる情報機器端末の筐体の傾きに応じて、効率的な排熱を実行する廃熱機構を提供する。
【解決手段】情報機器端末は、排熱制御を実行する回転軸と、前記回転軸を中心にした円盤状の回転体と、前記回転体の近傍に備え付けられた回転フィンと、前記回転フィンを駆動する駆動源からなる第一の排熱機構を備え、前記回転体は、一部におもり22を備え、かつ、前記回転軸を中心に前記おもり22と略対称の位置に開口部24を有し、前記情報機器端末の傾きによって、前記おもり22の自重が前記回転体を回転させることで前記開口部24の位置が決定され、前記駆動源が前記回転フィンを動作させることにより、前記開口部24から排熱を行なわせる廃熱機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器端末の排熱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパソコンなどの情報機器端末では、設置向きが基本的に一様であったため、情報機器端末を構成する筐体のある一面から、一方向だけの熱の排気を行っていた。そのため、その面が塞がれてしまうと、情報機器端末内で発生する熱を効率的に排出することができなくなってしまう可能性があった。
【0003】
このような課題を解決するため、特許文献1には、プラズマディスプレイパネルのような情報機器端末の各側面部に、排気口とそれに対応するファンを複数備えることで、情報機器端末を、90度回転させて設置した場合や、上下逆に設置した場合においても、十分な熱の排出が行えるような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−132112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示された技術では、複数個のファンが必要になるため、携帯型の情報機器端末などには、重量的にも、構造的にも、適していないという課題が生じる。また、複数個のファンを制御する必要があるため、制御が複雑になるという課題も生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、効率的な排熱を実行する情報機器端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報機器端末は、筐体内に排熱機構を備える情報機器端末において、排熱機構が情報機器端末の傾きによって生じる情報機器端末の位置的に高い部分から熱を排出する排熱制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報機器端末の設置の仕方や、操作する者の情報機器端末の持ち方により生じる情報機器端末の筐体の傾きに応じて、効率的な排熱を実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の外観図である。
【図2】本発明に係る実施形態の構成図である。
【図3】本発明に係る実施形態の構成図の断面A−Aを示した図である。
【図4】本発明に係る実施形態の回転ファンユニットの構成図である。
【図5】本発明に係る実施形態の回転体の構成図である。
【図6】本発明に係る実施形態の排気プレートの構成図である。
【図7】本発明に係る実施形態の排気ガイドの構成図である。
【図8】本発明に係る実施形態の排気プレートと排気ガイドの連係図である。
【図9】本発明に係る実施形態の情報機器端末の状態図である。
【図10】本発明に係る実施形態の熱排出(1)の状態図である。
【図11】本発明に係る実施形態の熱排出(2)の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る実施形態の外観図である。図1において、情報機器端末1は、表示画面2および表示画面4を備えている。図1では、Y方向を情報機器端末1の上部とし、表示画面2および4の画像を見ることになるが、表示画面2および表示画面4に映し出される画像によっては、情報機器端末1をX方向に90度回転させ、見ることも想定される。
【0011】
なお、図1では、表示画面2および表示画面4を備えている筐体が、本の見開きのように開閉する機構を有する情報機器端末を実施形態として取り上げているが、表示画面がひとつのみで構成される直方体形状の情報機器端末にも、本発明は適用される。
【0012】
図2は、本発明に係る実施形態の構成図である。情報機器端末1において、表示画面4(不図示)が備え付けられている方の筐体内に、回転ファンユニット10(不図示)と、回転体20と、排気プレート30と、排気ガイド40とが備え付けられている。また、表示画面4(不図示)が備え付けられている方の筐体内の側面には、排気口6a、6b、6c、6dがあるが、これらは必ずしもすべて必要ではなく、通常の使用時に、操作者に最も近い側面に位置する排気口6aは、塞がれる場合もある。どの側面の排気口が塞がれるかは、適宜決定される。
【0013】
図3は、図2における断面A−Aを示した図である。情報機器端末1において、表示画面4が備え付けられている方の筐体内に、回転ファンユニット10と、回転体20と、排気プレート30と、排気ガイド40とが備え付けられている。なお、熱の排出が矢印線でしめしてあるが、これは、回転ファンユニット10によって、空気の流れを起こし、筐体内の熱を回転体20の熱排気穴24(図5参照)から、排気プレート30の熱吹き出し用穴34(図6参照)を通して、筐体側面の排気口6bへ排出することを示している。
【0014】
図4は、回転ファンユニット10の構成を示した図である。回転ファンユニット10は、風吸い込み穴12を有する風吸い込みプレート13と、フィン14と、フィンを回すモータ(不図示)から構成される。
【0015】
図5は、回転体20の構成を示した図である。回転体20は、円盤状の形状をしており、円周部のある一部におもり22が備え付けられている。そして、熱排気穴24は、回転体20の回転軸を中心として、おもり22とほぼ対称となる位置にある。
【0016】
図6は、排気プレート30の構成を示した図である。排気プレート30は、大きく2つの部品から構成されている。それは、排気プレート(外)32と排気プレート(内)36である。これらの2つの部品によって、熱吹き出し用穴34が構成される。なお、排気プレート(外)32と排気プレート(内)36は、筐体や他の部品にネジなどで固定されている。
【0017】
図7は、排気ガイド40の構成を示した図である。排気ガイド40は、排気ガイドセル42が複数結合している。詳細に説明すると、排気ガイドセル42には、接続軸44aと接続軸44bがあり、これらの接続軸によって、前後に位置する排気ガイドセル42と結合している。接続軸は、自由度を有しているため、排気ガイド40全体としては、直線形状となったり、円弧形状になったりすることができる。また、排気ガイド40を構成する排気ガイドセル42の一部におもり46が備え付けられている。また、排気ガイド40全体は、ラバーやフィルムなどの柔軟性のあるシートで覆い包むことで、排気ガイドセル42の結合によって生じる隙間を無くす効果がある。なお、上記シートは、排気ガイド40の柔軟性を失うものではない。
【0018】
図8は、排気プレート30と排気ガイド40の連係を示した図である。排気ガイド40は、上述したように、直線形状となったり、円弧形状になったりすることができるので、排気プレート(外)32に沿って移動する構成になっている。この時、排気プレート(外)32と排気ガイド40は、図8に示したように、排気プレート(外)32の外縁に溝が加工されており、その溝に排気ガイド40の一部が嵌合するようになっている。ここで言う嵌合とは、排気ガイド40が、排気プレート(外)32に沿って移動することに支障のない程度の状態で、嵌っていることを指している。
【0019】
次に、本発明の動作について、上記の図および図9〜11を用いて詳細に説明する。図9に示したように、情報機器端末1を机などの平面に設置した場合について、どのようにして熱を排気するかを説明する。
【0020】
図9は、情報機器端末1を机などの平面に設置した場合、情報機器端末1に備え付けられた突起90によって、情報機器端末1の表示画面4が備え付けられている方の筐体が傾斜している状態を示した図である。
【0021】
図9において、情報機器端末1を操作する者(以下、操作者と略す)の位置が示してある。この時、情報機器端末1の表示画面4が備え付けられている方の筐体は、操作者側が低く、突起90の方が高くなっている。
【0022】
図10は、図9で示した情報機器端末1の設置状態における熱排出(1)を示した図であり、情報機器端末1の内部構造も示してある。筐体内部にある回転体20のおもり22は、上述の情報機器端末1の表示画面4が備え付けられている方の筐体の傾斜によって、その自重が作用し、操作者側に移動する。すると、回転体20の熱排気穴24は、おもり22と反対側に位置することになる。
【0023】
ここで、図4に示した回転ファンユニット10によって、空気の流れを起こし、筐体内の熱を回転体20の熱排気穴24から、図6に示した熱吹き出し用穴34を通して、筐体側面の排気口6b、6c、6dへ排出するようになっている。
【0024】
また、排気ガイド40は、上述の情報機器端末1の表示画面4が備え付けられている方の筐体の傾斜によって、おもり46の自重が作用し、排気プレート30の外縁を移動して、操作者側に位置する。これによって、操作者側の筐体側面に排気口6aがあるが、排気ガイド40が排気口6aへの熱の排出を防ぐため、操作者側への熱を排出しないという効果を奏する。
【0025】
図11は、本発明に係る実施形態の熱排出(2)の状態を示した図である。図11では、操作者の手持ちなどによって、情報機器端末1の表示画面4が備え付けられている方の筐体において、排気口6d側が低く、排気口6c側が高くなっている状態である。熱の排出については、上述と同じ原理であり、結果的に、排気口6a、6b、6cから熱が排出される。
【0026】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨およびその範囲から逸脱することなく、これらの実施形態や具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 情報機器端末
2 表示画面
4 表示画面
6a 排気口
6b 排気口
6c 排気口
6d 排気口
10 回転ファンユニット
12 風吸い込み穴
13 風吸い込みプレート
14 フィン
20 回転体
22 おもり
24 熱排気穴
30 排気プレート
32 排気プレート(外)
34 熱吹き出し用穴
36 排気プレート(内)
40 排気ガイド
42 排気ガイドセル
44a 接続軸
44b 接続軸
46 おもり
90 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に排熱機構を備える情報機器端末において、
前記排熱機構が前記情報機器端末の傾きによって生じる前記情報機器端末の位置的に高い部分から熱を排出する排熱制御を行う
ことを特徴とする情報機器端末。
【請求項2】
請求項1記載の情報機器端末において、
前記筐体は、略直方体の形状であって、前記筐体の上面に表示画面部を備え、前記筐体の側面に排熱用の開口部を有する
ことを特徴とする情報機器端末。
【請求項3】
請求項1または2記載の情報機器端末において、
前記排熱制御を実行する第一の排熱機構は、回転軸と、前記回転軸を中心にした円盤状の回転体とからなる部分と、前記回転体の近傍に備え付けられた回転フィンと、前記回転フィンを駆動する駆動源と、
から構成され、
前記回転体は、一部におもりを備え、かつ、前記回転軸を中心に前記おもりと略対称の位置に開口部を有し、
前記情報機器端末の傾きによって、前記おもりの自重が前記回転体を回転させることで前記開口部の位置が決定され、前記駆動源が前記回転フィンを動作させることによって、前記開口部から排熱が行われる
ことを特徴とする情報機器端末。
【請求項4】
請求項3記載の情報機器端末において、
前記排熱制御を実行する第二の排熱機構は、
排気ガイドと、
排気プレートと、
から構成され、
前記排気ガイドは、前記情報機器端末の傾きによって、該排気ガイドに備えられたおもりの自重で、前記排気プレートの外縁に嵌合した状態で移動し、前記筐体の側面の排熱用の開口部を塞ぐように位置する
ことを特徴とする情報機器端末。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の情報機器端末において
前記排熱機構を有する第一の筐体とは別に、前記第一の筐体に接続された第二の筐体を有する
ことを特徴する情報機器端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−204907(P2011−204907A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70794(P2010−70794)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】