説明

情報機器

【課題】空冷のためのコールドアイル又はラック内の通風路を省くことで、サーバーを高密度に集積可能な情報機器を提供する。
【解決手段】
背面パネル2に吸気口5及び排気口4を有する2台のサーバ1A、1Bを、互いの吸気口と排気口とを対向させて収容するラック20と、2台のサーバの背面パネル間に設置され、一方のサーバの排気口からの排気22を冷却して冷風とし、他方のサーバの吸気口へ吸気23として導入する熱交換器6と、2台のサーバの間で、一方のサーバ内、そのサーバの排気口、熱交換器、他方のサーバの吸気口、そのサーバ内、そのサーバの排気口、熱交換器及び一方のサーバの吸気口を経て再び一方のサーバ内へ戻る冷風の循環流24を生成する送風機7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のITシステムのクラウド化の進行に伴い、データセンタの限られたスペースに多くの高性能サーバを高密度に集積する要望が高まっている。しかし、高性能なサーバは発熱も大きく、高集積化するには効率の高いサーバの冷却システムが欠かせない。
【0003】
従来の情報機器では、複数のサーバを、前後パネルがそれぞれコールドアイル及びホットアイルに面するようにラック内に1列に積層して収容し、サーバ前面パネルからコールドアイルの冷気を吸入し、サーバ背面パネルからホットアイルへ排気を排出することでサーバを冷却していた。しかし、コールドアイルやホットアイルを設けるため、データセンタ全体のサーバーの集積密度を高くすることは難しい。
【0004】
そこで、コールドアイルやホットアイルを建設することなく、閉じられたラック内に多数のサーバを収容し、ラック内で冷気を冷却して循環させる密閉式のサーバの冷却システムを用いた情報機器が考案されている。
【0005】
かかる密閉式の冷却システムとして、多数のサーバトレイを熱交換器を介して水平方向に一列に並べてラック内に収容するものが知られている。この冷却システムは、冷気を列方向にサーバ内及び熱交換器を通過して一方向に流すことで、風上のサーバー内で加熱された冷気(排気)を熱交換器を通して冷却し、風下のサーバ内に送り込みそのサーバを冷却ずる。従って、コールドアイルやホットアイルの設備が不要である。
【0006】
他方、サーバトレイを高密度に集積するために、通常の半分の奥行きを有するハーフデプスサーバを背中合わせにラック内に収容する情報機器が知られている。
【0007】
図6は従来の情報機器の部分斜視図であり、ラック内に収容された2台のハーフデプスサーバを表している。なお、図6は、多段に積層されてラック内に収容されたハーフデプスサーバのうち、その1段を構成するサーバの対を表している。
【0008】
図6を参照して、この従来の情報機器では、対をなす2台のサーバ101A、101B(ハーフデプスサーバ)が互いに背面パネル2を対向させてラックに収容される。サーバ101A、101Bの前面パネル3には吸気口5が、背面パネル2には排気口4が設けられており、両サーバ101A、101Bの吸気口5から吸入された冷気(吸気23)は、サーバ101A、101B内部を冷却した後、排気口4から排気22として排出される。
【0009】
なお、この情報機器は、前面パネル3をコールドアイル103に面し、背面パネルをホットアイル102(又は機器内に設けられた排気の通風路)に面して設置される。従って、多数のサーバ101A、101Bをラック内に高密度に収容できるものの、コールドアイル103及びホットアイル102(又は通風路)の配置によりデータセンタのサーバ集積密度は制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−234428号公報
【特許文献2】米国特許第7355847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来のコールドアイルから冷気をサーバ内へ吸入しホットアイルへ排気するサーバの冷却システムを用いる情報機器では、コールドアイル及びホットアイルを配置するため、データセンタ全体のサーバの集積密度が制限されるという問題がある。
【0012】
熱交換器を介してサーバを列設し、列の一方方向に冷風を通過させる上述の密閉式冷却システムを用いた従来の情報機器では、コールドアイル及びホットアイルが不要であり、サーバを高密度に収容することができる。
【0013】
しかし、冷風は1列を構成する全てのサーバに対して同一風量であるため、熱交換器の冷却能力をその列を構成するサーバのうちの発熱量が最大のサーバに合わせなければならない。このため、一部のサーバにとって過剰な冷却能力を有するものとなり、効率的な冷却システムを構築することが難しい。
【0014】
他方、上述した2台のハーフデプスサーバを背面パネルを対向させて1組とし、この組を積層してラックに収容する従来の情報機器は、ラック内にサーバを高密度に収容することができる。しかし、冷気及び排気の通風路、例えばコールドアイル及びホットアイルを必要とするため、データセンタ全体のサーバ集積密度が制限されるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の情報機器は、本発明の1観点によれば、背面パネルに吸気口及び排気口を有する第1のサーバ及び第2のサーバを、互いのサーバの前記吸気口と前記排気口とが対向するように前記2台のサーバの前記背面パネルを対向させて収容するラックと、前記第1及び第2のサーバの前記背面パネルの間に設置され、一方の前記サーバの前記排気口から排出される温風を冷却して冷風とし、他方の前記サーバの吸気口へ導入する熱交換器と、前記第1及び第2のサーバの間で、一方の前記サーバ内、一方の前記サーバの前記排気口、熱交換器、他方の前記サーバの吸気口、他方の前記サーバ内、他方の前記サーバの前記排気口、熱交換器及び一方の前記サーバの吸気口を経て再び一方の前記サーバ内へ戻る経路で循環する前記冷風の循環流を生成する送風機と、を有する情報機器として提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の情報機器では、2台のサーバを背面パネルを対向させてラック内に収容するので、ラック内のサーバ収容密度が高い。また、密閉式の冷却システムを用いているので、コールドアイル及びホットアイルのような通風路を省いてデータセンタのサーバ収容密度を高くすることができる。一方、冷気は2台のサーバ間を循環し、その循環途中で熱交換器により冷却されるので、熱交換機の冷却能力を対をなす2台のサーバごとに調整することができる。このため、情報機器の冷却システムを、容易に、必要十分な冷却能力を有する冷却効率の高いシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態の情報機器斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の情報機器水平断面図
【図3】本発明の第1実施形態の熱交換機の配置を示す組立図
【図4】本発明の第1実施形態の冷却板斜視図
【図5】本発明の第2実施形態の情報機器水平断面図
【図6】従来の情報機器の部分斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態は、同一の2台のサーバ(第1及び第2のサーバ)を互いに背面パネルを対向させてラック内に収容し、密閉式冷却システムで冷却する情報機器に関する。
【0019】
図1は本発明の第1実施形態の情報機器斜視図であり、ラック内に収容されたサーバ及びサーバーの冷却システムの主要構成を表している。
【0020】
図1を参照して、本発明の第1実施形態の情報機器では、密閉されたラック20内に、熱交換器6及び2台のサーバ1A、1B(第1のサーバ1A及び第2のサーバ1B)、例えば2台のハーフデプスサーバを1組として、その複数組を積層して収容する。
【0021】
ラック20は、密閉されたシェルを構成し、その前後面(図1中の左右のラック側面)に扉20aを備える。この扉20a、サーバ1A、1Bの収容及び点検の際に用いられる。さらにラック20全面が断熱遮音材からなる外周壁21(図2参照)で被覆されている。この外周壁21は、気密にラック20を密閉することができる。なお、この外周壁21は必要なければ設けなくともよい。
【0022】
ラック20内は、水平に設置された仕切り板26により水平に分割され、分割された各領域はサーバ1A、1Bを収容する高さを有する収容室25となる。即ちラック20内に、収容室25が積層されて形成される。その収容室25ごとに、板状のブレード型の外形を有する2台のサーバ1A、1Bが、扉20a側から背面パネル2を奥に向けて水平に挿入されて収容される。
【0023】
後述するように、収容室25の中央部には、熱交換器6が収容室25を前後に分けるように配置される。従って、サーバ1A及びサーバ1Bは、熱交換器6の両側に互いの背面パネル2が対向する向きに、即ち背面パネル2が熱交換器6に対向するように配置される。このように、熱交換器6及び2台のサーバ1A、1Bからなる組が複数組、ラック20内に積み重なるように収容される。
【0024】
なお、ラック20内に収容室25を形成するための仕切り板26は、上下に隣接する収容室25間の気流(冷気の循環流24)の混合を遮断するので、上下の収容室25間の冷気の混合による冷気循環の擾乱が回避される。もちろん、冷気の循環に問題となる程度の擾乱が起きないならば冷気の通風を遮蔽する必要はなく、仕切り板に代えて通風性のある部材を用いてサーバ1A、1B等を支持することもできる。
【0025】
熱交換機6は、上記の収容室25を前後(図1中の左右方向)に分離するように、ラック20中央(図1中の左右の中央)に設置されている。この熱交換機6は、収容室25ごとに、即ち1対のサーバ1A、1Bごとに1台づつ設けられる。
【0026】
この構成では、熱交換器6の冷却能力を、1対のサーバ1A、1B毎の発熱に合わせで調整することができる。従って、複数組のサーバを備える情報機器40を、必要最小限の冷却能力の状態で運転することが可能であり、高い冷却効率が実現される。
【0027】
上述のように、熱交換器6及び2台のサーバ1A、1Bを1組とし、ラック20に垂直方向に積み重なって形成された収容室25のそれぞれに1組ずつ収容する。その結果、熱交換器6及び2台のサーバ1A、1Bからなる組が、ラック内に垂直方向に多段に積層されて収容される。
【0028】
図2は本発明の第1実施形態の情報機器水平断面図であり、ラック20内を水平に分割して形成された収容室25(図1参照)に収容されたサーバ1A、1B及び熱交換器6の1組の水平面内配置を表している。なお、水平断面は、サーバ1A、1Bの上部を通る水平面である。
【0029】
図2を参照して、収容室25を前後(図2では紙面の左右)に分割するように、熱交換器6が配設される。この熱交換器6は、例えば1対の2台のサーバ1A、1Bごとに設けられる。
【0030】
サーバ1A、1Bは、電子部品を収容した平たい箱状の筐体からなるハーフデプスサーバからなり、いずれもその背面パネル2の左右面対称(図2中の上下に対象)位置に、即ち背面パネル2に垂直な鉛直面を対称面とする面対称位置に、排気口4及び吸気口5が開設されている。従って、収容室25内で2台のサーバ1A、1Bの背面パネル2を対向させたとき、サーバ1Aの排気口4はサーバ1Bの吸気口5に対向し、サーバ1Aの吸気口5はサーバ1Bの排気口4に対向する。サーバ1A、1Bのそれぞれは、例えば吸気口5に接して、送風機7(例えばファン)を備える。この送風機7は、吸気口5から吸入した吸気23をサーバ1A、1B内に送風し、サーバ1A、1B内を半円状に流した後、排気口4から排気23として排出する。
【0031】
このとき、一方のサーバの排気口4から排出された温かい排気22は、サーバ1A、1Bの間に配置された熱交換器6を通過して冷却され、冷たい冷気となって対向する他方のサーバの吸気口25からその他方のサーバ内へ吸入される。その結果、サーバ1Aの吸気口5を通りサーバ1A内を半円状に流れサーバ1Aの排気口4から排出され、熱交換器6を通過して冷却され、サーバ1Bの吸気口5を通りサーバ1B内を半円状に流れた後にサーバ1Bの排気口4から排出され、熱交換器6を通過して冷却されて再度サーバ1Aの吸気口5から吸入される冷気の循環流24が形成される。なお、排気22及び吸気23は、循環流24の一部を構成する。
【0032】
サーバ1A、1B内には、マザーボード14が水平に設置され、そのマザーボード14上にCPU11、メモリモジュール13、ハードディスク12及びその他の電子部品が搭載される。発熱が大きなCPU11は、高い冷却能力で冷却するため、熱交換器6を通過した直後の冷たい冷気により冷却されるように、吸気口5の近くに置かれる。なお、CPU11上面には平行平板状の冷却フィンがもうけられており、この冷却フィンの放熱面(板面)は吸気23の流れに平行に配設される。また、DIMM(Dual Inline Memory Module)規格のメモリモジュール13は、メモリチップを搭載する基板主面を吸気口4及びマザーボード14上面に垂直に、CPU11の下流(CPU11を挟み吸気口5とは反対側)のマザーボード14上に配置される。さらに、ハードディスク12は、これら発熱部品、例えば発熱の激しい半導体装置から離れた位置、例えばCPU11から対角に位置する最遠の隅に配置される。従って、循環流24は、CPU11、メモリモジュール13を冷却した後、ハードディスク12(例えば放熱面である側面)を冷却し、排気口4から排出される。
【0033】
次に、本第1実施形態の熱交換器6について詳細に説明する。
【0034】
図3は本発明の第1実施形態の熱交換機の配置を示す組立図であり、熱交換機6の構造と設置位置とを表している。図4は本発明の第1実施形態の冷却板斜視図であり、冷媒を流す冷媒管路を表している。
【0035】
図3を参照して、本第1実施形態の熱交換機6は、2台のサーバ1A、1B間に水平に設置される2枚の冷却板6a’、6a”からなる冷却板6aと、冷却板6a’の上面に設けられた熱交換用のフィン6bと、冷却板6a”の上面に設けられた熱交換用のフィン6cとを備える。
【0036】
冷却板6a’、6a”は、良熱伝導材料からなる板、例えば銅の矩形平面形状の板からなり、2台のサーバ1A、1Bの一方のサーバの排気口4とその排気口4に対向する他方のサーバの吸気口5との間の下側に置かれる。後述するように、この冷却板6a’、6a”は冷媒を用いて冷却されており、その上に配置されるフィン6b、6cは熱伝導により冷却される。
【0037】
熱交換器6のフィン6b、6cは、良熱伝導材料からなる平行板、例えば互いに平行する銅製の平行板から構成され、冷却板6a’、6a”の上面に密着して又は一体として設けられる。従って、フィン6b、6cは、対向する排気口4と吸気口5との間に配置される。さらに、このフィン6b、6cの板面(熱交換がなされる面)が排気22及び吸気23の流れに平行になるように、背面パネル2に垂直に設けられる。従って、2組のフィン6b、6cの内、フィン6bはサーバ1Bの排気口4とサーバ1Aの吸気口5との間に設置され、フィン6cはサーバ1Aの排気口4とサーバ1Bの吸気口5との間に設置される。
【0038】
かかる構造のフィン6b、6cは、排気口4から排出される温まった排気22を冷却して冷たい吸気23として他方のサーバの吸気口5へ導く機能、即ち、熱交換器としての冷却機能と、排気22を整流して吸気口5へ導く整流板としての機能とを併せ有する。このように熱交換機6に整流板の機能を持たせることで、循環流24の一部散逸又は外気の流入及び流れの乱れが抑制されるので、冷却効率を高くまた循環流24の維持を効率良くなすことができる。
【0039】
上述のように、2枚の冷却板6a’、6a”が、排気22及び吸気23の流れに垂直方向に隣接して設けられる。このうち、冷却板6a’は、サーバ1Bの排気口4とサーバ1Aの吸気口5の間の空間(熱交換器6のフィン6bが配設される領域)の下部の仕切り板26上に設置され、冷却板6a”は、サーバ1Aの排気口4とサーバ1Bの吸気口5の間の空間(熱交換器6のフィン6cが配設される領域)の下部の仕切り板16上に設置される。そして、フィン6b、6cはそれぞれ冷却板6a’、6a”上面に密接して又は一体として設けられる。
【0040】
図4を参照して、冷却板6a’、6a”には、板面に平行に、排気22側(排気口4に近い側)から吸気23側(吸気口5に近い側)に向かって蛇行する冷媒管路32が設けられている。この蛇行する冷媒管路32は、例えば、排気22及び吸気23に対して直交して延在する複数の管路部分を主たる管路として構成され、その複数の管路部分の両端を曲線部分で接続して折り返し部を構成する。
【0041】
この冷媒管路32の排気22側の先端は、チラー30(図1参照)で冷却された冷たい冷媒33が流入する流入口32aとなっており、吸気23側の先端は熱交換後の温かい冷媒33が流出する流出口32bとなっている。従って、冷却板6は、冷たい冷媒33が流入する流入口32a側が最も低温に冷却され、冷媒温度が上昇する流出口32b側へ向かって上昇する温度分布を有する。このように2つの冷却板6a’、6a”において冷媒33の流れる方向を逆にすることで、2組の熱交換用フィン6b、6cの熱交換能力が等しくなり、冷却システムの設計を容易にすることができる。もちろん、2つの冷却板6a’、6a”で異なる冷却能力が必要ならば、2つの冷却板6a’、6a”のそれぞれの冷媒管路32の形状、冷媒の流量、温度、流入方向等を適宜適切に設計する必要がある。
【0042】
なお、上述した冷媒管路32への冷媒33の供給は、ラック20外に設置されたチラー30(図1参照)により冷却された冷媒33を、冷媒送出管31aを通して冷媒管路32の流入口32aに供給してなされる。このとき、冷媒送出管31aは2分岐され、各分岐の終端が2つの冷却板6a’、6a”のそれぞれの流入口32aに接続される。他方、冷媒管路32を流れた冷媒33は、2つの冷却板6a’、6a”のそれぞれの流出口32bに接続する冷媒回収管31bの分岐を通り、分岐を合流させた冷媒回収管31bからチラー30へ回収される。このようにして、2つの冷却板6a’、6a”に等しい温度及び流量の冷媒33が供給される。なお、冷媒送出管31a冷媒回収管31b(図1を参照)は、サーバ1A、1Bの間を上下に貫通して設けられ、各収容室25ごとに分岐して冷却板6に接続される。
【0043】
上述した第1実施形態では、空冷用の冷気は、1段の収容室25内に設置された2台のサーバ1A、1Bの間を循環するので、収容室25の外部に冷気の通風路を必要としない。このため、冷却システムが小型になる。このとき、冷気を収容室25内に閉じ込めてもよいので、ラック20の外壁又は各収容室25の外壁を遮音断熱効果を有する材料からなる外周壁21として、ラック20全体又は各収容室25を外周壁21で密閉することも可能である。これにより、ファンの騒音を遮蔽する高い遮音性と高い熱効率とを有し、加えて外部から冷気を導入する際に生ずサーバ内への塵埃の流入が回避される情報機器が実現される。さらに、収容室25ごとに熱交換器6の冷却能力をサーバ1A、1Bの発熱量に合わせて自由に調整できるので、冷却システム全体の熱効率を高くすることができる。また、2台のサーバ1A、1Bは180度回転対称位置に配置されるのて、同一のサーバを用いることができ、サーバの設計、製造が容易である。
【0044】
本第1実施形態の情報機器において、上下につながる複数の収容室25に収納された複数組のサーバー1A、1Bに対して、これら複数の収容室25を上下に貫通して設置された1台の熱交換機を設けることもできる。また、必要ならば各サーバ1A、1Bに設けられたフィンの送風量を制御して冷却能力を調整してもよい。
【0045】
本発明の第2実施形態は、内部の発熱部品の配置を冷気の循環流を擾乱しないように配置することで、冷却効率を高めたサーバに関する。なお、第2実施形態はの情報機器41は、サーバ1A’、2B’内の部品配置を除き、第1実施形態の情報機器40と同様である。
【0046】
図5は本発明の第2実施形態の情報機器水平断面図であり、第2実施形態で使用された第1のサーバ1A’及び第2のサーバ1B’内の部品配置を表している。
【0047】
図5を参照して、本第2実施形態の情報機器41で用いられる第1のサーバ1A’及び第2のサーバ1B’は、マザーボード14上に、第2実施形態の情報機器40と同じくCPU11、メモリモジュール13、ハードディスク12を備える他、特定の情報処理を実行するチップセット15、拡張カード17及び特定の情報処理に関わる拡張メモリモジュール16を備える。
【0048】
CPU11は、上面に吸気23の流線に平行に配置された冷却フィンが設けられている。従って、循環流24(即ち吸気23)は、第1実施形態と同様に、そのまま方向を変えることなくCPU上のフィン間を通過する。
【0049】
メモリモジュール13及び拡張メモリモジュール16は、CPU11の下流(循環流24の後流側)のマザーボード14隅部に、メモリモジュール13、16の放熱面(通常は基板主面)がマザーボード14上面に垂直に、かつマザーボード14隅部を頂角とする対辺をなすように配置される。これらメモリモジュール13、16の平行に配置された基板は、整流板として機能する。
【0050】
従って、CPU11上を通過した循環流24は、メモリモジュール13、16の基板により例えば45度近く風向を変えられ、その後、前面パネル3に沿って流れるように当初の風向から90度流れが変化する。このとき、整流板として機能する部品を当初の流れにに対して斜めに配置することにより、言い換えれば、整流板として機能する板面を循環流24の流れに沿って配置することで、吸気口5から吸入された循環流24を、乱れの発生を抑制しつつ前面パネル3に沿って流れるように循環流24の方向を変えることができる。
【0051】
ハードディスク12は、CPU11が置かれる隅と対角をなすマザーボード14の隅に、ハードディスク12の放熱面(外側面)がその隅の対辺をなすように配置される。また、チップセット15は、その上面に設けられた放熱フィンの放熱面がその隅の対辺をなすように配置される。
【0052】
従って、前面パネル3に平行に流れる循環流24は、ハードディスク12の放熱面(外側面)及び放熱フィンの放熱面に沿って流れの方向を変えられ、排気口4に向かう流れとなる。この循環流24の流れの90度の変化の際も、ハードディスク12の放熱面が隅を斜めに区切るため、循環流24はこのハードディスク12の放熱面に沿って緩やかに方向を変える。このため、大きな乱流の発生が抑制される。また、循環流24の隅から離れた所で方向を変える領域では、チップセット15の放熱フィンの整流機能により同様に乱れが抑制される。
【0053】
拡張カード17は、ハードディスク1及びチップセット15の下流、排気口4の近くに配置される。拡張カード17の基板は、基板面を垂直にかつ循環流24の流れに平行に、即ち排気口4に垂直に設けられる。従って、拡張カード17の基板は循環流24に沿うように設けられ、整流板として機能する。
【0054】
上述のように、本第2実施形態のサーバ1A’、1B’では、発熱部品の冷却用フィンが或いはハードディスクの放熱面が循環流24に沿うように配置されるので、整流板として機能し、乱流の発生を抑制する。このため、循環流24を生成,維持する送風機7の送風効率を高くすることがてきる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明をデータセンタに集積する情報機器に適用することで、コールドアイル及びホットアイルが不要となり、また、ラック内に通風路を設けることもないから、データセンタ内のサーバの高い集積密度を実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1A、1B、1A’、1B’、101A、101B サーバ
2 背面パネル
3 前面パネル
4 排気口
5 吸気口
6 熱交換器
6a、6a’、6a” 冷却板
6b、6c フィン
7 送風機
11 CPU
12 ハードディスク
13、16 メモリモジュール
14 マザーボード
15 チップセット
17 拡張カード
20 ラック
20a 扉
21 外周壁
22 排気
23 吸気
24 循環流
25 収容室
26 仕切り板
30 チラー
31a 冷媒送出管
31b 冷媒回収管
32 冷媒管路
32a 流入口
32b 流出口
33 冷媒
40、41 情報機器
102 ホットアイル
103 コールドアイル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面パネルに吸気口及び排気口を有する第1のサーバ及び第2のサーバを、互いのサーバの前記吸気口と前記排気口とが対向するように前記2台のサーバの前記背面パネルを対向させて収容するラックと、
前記第1及び第2のサーバの前記背面パネルの間に設置され、一方の前記サーバの前記排気口から排出される温風を冷却して冷風とし、他方の前記サーバの吸気口へ導入する熱交換器と、
前記第1及び第2のサーバの間で、一方の前記サーバ内、一方の前記サーバの前記排気口、熱交換器、他方の前記サーバの吸気口、他方の前記サーバ内、他方の前記サーバの前記排気口、熱交換器及び一方の前記サーバの吸気口を経て再び一方の前記サーバ内へ戻る経路で循環する前記冷風の循環流を生成する送風機と、
を有する情報機器。
【請求項2】
前記熱交換器は、対向する前記吸気口と前記排気口との間に、前記背面パネルに設けられた複数の冷却フインを有することを特徴とする請求項1記載の情報機器。
【請求項3】
前記熱交換器は、
前記第1及び第2のサーバの前記排気口にそれぞれ設けられた2組の前記冷却フィンと、
前記複数のフィンをそれぞれ上面に固設する良熱伝導性材料からなる2個の冷却板と、
前記冷却板に前記冷却板の板面に平行に蛇行して設けられ、前記フィンの垂直方向に延在する複数の管路部分を有する冷媒を流すための冷媒管路と、
前記冷媒管路の前記排気口に近い先端に設けられた前記冷媒の流入口と、
前記冷媒管路の前記排気口に近い先端に設けられた前記冷媒の流出口と、
を有することを特徴とする請求項2記載の情報機器。
【請求項4】
前記サーバ内に収容される発熱部品を、その空冷される主面が前記冷風の循環流の流れに沿うように前記サーバ内に配置することを特徴とする請求項1、2又は3記載の情報機器。
【請求項5】
前記ラックは、断熱かつ遮音性を有する外周壁内に収容されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−191974(P2011−191974A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56980(P2010−56980)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】