説明

情報表示システム

【課題】 緊急を要する情報などを、情報を受けるべき者に的確に提供する。
【解決手段】 複数の電柱P〜Pに配設される表示装置2〜2と、管理コンピュータ3とが通信可能に接続されている。管理コンピュータ3には、電柱P〜Pの設置場所や該電柱P〜Pに配設されている表示装置2〜2の識別情報などを記憶した電柱データベース34と、災害や迷子などのイベントの内容や発生場所などのイベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱P〜Pとを割り出し、イベント掲載内容を対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に送信するイベントタスク37と、を備える。そして、表示装置2〜2は、管理コンピュータ3から送信されたイベント掲載内容を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電柱にディスプレイを設置して、広告内容や災害情報などを表示する情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
広告などを掲載した袖看板などを電柱に取り付けることで、宣伝、広告や避難所の情報提供などに、電柱を活用することが従来から行われている。また、電柱に表示装置を設置し、電柱に既設されている通信線を利用して、いろいろな情報を表示装置に表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、自社PR情報や広告情報などが更新されると、電柱に既設されている通信線を介して、サーバから表示装置に更新情報を送信する。そして、表示装置では、受信した更新情報に基づいて、自社PR情報や広告情報などを順次一定時間表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−181055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば災害などが発生した場合、災害の内容や避難所などの災害情報を、その災害の発生場所や内容、状況などに応じて提供する必要がある。つまり、避難などを要する地域の住民などに対して、的確に災害情報を提供する必要がある。従って、電柱に設置した表示装置で災害情報を提供する場合、例えば、避難を要する地域内の電柱の表示装置でのみ避難情報を表示する必要があり、他の地域内の電柱の表示装置で避難情報を表示すると、混乱を招くおそれがある。また、災害情報や迷子に関する情報などは、広告情報などとは異なり緊急性を要し、優先的に提供されるべきものである。
【0005】
そこでこの発明は、緊急を要する情報などを、情報を受けるべき者に的確に提供することが可能な情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、複数の電柱に配設される表示装置と、情報提供管理装置とが通信可能に接続され、前記情報提供管理装置に、前記電柱の設置場所や該電柱に配設されている表示装置の識別情報などを記憶した電柱データベースと、災害や迷子などのイベントの内容や発生場所などのイベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱とを割り出し、前記イベント掲載内容を前記対象電柱の表示装置に送信する処理手段と、を備え、前記表示装置は、前記情報提供管理装置から送信されたイベント掲載内容を表示する、ことを特徴とする情報表示システムである。ここで、この発明では、電柱には、配電線が架空敷設された柱状の電力柱の他に、配電線が地中に埋設された路上機器(外筐)や、通信線を架空敷設した通信柱も含む。
【0007】
この発明によれば、災害や迷子などのイベントが発生すると、情報提供管理装置の処理手段によって、イベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱とが割り出され、イベント掲載内容が対象電柱の表示装置に送信される。そして、このイベント掲載内容を受信した表示装置によって、イベント掲載内容が表示される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報表示システムにおいて、イベントが発生していない場合には、前記処理手段は、広告内容や電柱の所在地などの通常時掲載内容を、所定の電柱の表示装置に送信し、前記表示装置は、前記情報提供管理装置から送信された通常時掲載内容を表示する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、イベントが発生していない通常時においては、所定の電柱の表示装置に通常時掲載内容が送信され、表示装置によって広告内容や所在地などが表示される。一方、イベントが発生すると、情報提供管理装置から表示装置にイベント掲載内容が送信され、表示装置によって通常時掲載内容に代わってイベント掲載内容が表示される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の情報表示システムにおいて、前記処理手段は、前記イベント情報に基づいて、特定の者に提供する特定者提供内容を割り出し、該特定者提供内容を前記表示装置に送信し、前記表示装置は、可視光通信機能を備え、前記情報提供管理装置から送信された特定者提供内容を可視光通信によって発信する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、可視光通信によるデータ受信が可能なレシーバを所持した特定の者が、レシーバでデータ受信することで特定者提供内容が知得される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、イベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱とが割り出され、その対象電柱の表示装置からイベント掲載内容が表示される。つまり、緊急を要する情報などのイベント掲載内容と、情報を受けるべき者が所在する地域の電柱とが割り出され、その対象電柱の表示装置からイベント掲載内容が表示されるため、緊急を要する情報などを、その情報を受けるべき者に的確に提供することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、通常時においては、電柱の表示装置に広告内容や所在地などが表示され、イベントが発生すると、広告内容などに代わってイベント掲載内容が表示されるため、緊急を要する情報など(イベント掲載内容)を、優先的にかつ的確に提供することが可能となる。しかも、通常時は広告内容などを表示するため、表示装置を宣伝、広告などに有効活用することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、特定の者に提供する特定者提供内容を、表示装置から可視光通信によって発信するため、より多様な情報提供が可能となる。つまり、表示装置の表示による情報提供と、表示装置の可視光通信による情報提供との二種類の提供方法・手段により、イベントの内容や発生状況などに応じた適正かつ多様な情報提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態に係る情報表示システムを示す概略構成図である。
【図2】図1のシステムの表示装置の概略構成ブロック図である。
【図3】図1のシステムの管理コンピュータの電柱データベースのデータ構成図である。
【図4】図1のシステムの管理コンピュータの広告データベースのデータ構成図である。
【図5】図1のシステムの管理コンピュータの広告タスクのフローチャートである。
【図6】図1のシステムの管理コンピュータのイベントタスクのフローチャートである。
【図7】図1のシステムによる情報提供方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態に係る情報表示システム1を示す概略構成図である。このシステム1は、電柱P〜Pを利用して広告内容や災害情報などを提供するシステムであり、主として、各電柱P〜Pに配設された表示装置2〜2と、情報管理センタに設置された管理コンピュータ(情報提供管理装置)3とを備えている。また、各表示装置2〜2と管理コンピュータ3とは、電柱P〜Pに既設されている通信網NWを介して通信可能に接続されている。
【0018】
各表示装置2〜2は、図2に示すように、平板状(袖看板状)の装置本体21と、装置本体21の上部に取り付けられたソーラパネル22と、装置本体21の両面に配設された高輝度LED(Light Emitting Diode)パネル23とを備えている。また、装置本体21には、充放電制御部211と、バッテリ212と、直交流変換部213と、電源制御部214と、送受信部215と、パネル制御部216と、これらを制御などする中央制御部217とを備えている。
【0019】
そして、ソーラパネル22で太陽光発電された電力が、充放電制御部211を介してバッテリ212に供給され、バッテリ212が充電されるようになっている。また、電源制御部214は、電柱P〜Pに架設されている配電線を介して商用電源CPに接続され、所定の電圧に変圧してLEDパネル23に電力を供給するようになっている。一方、商用電源CPからの電力供給が途絶えた場合には、充放電制御部211を介してバッテリ212が放電し、直交流変換部213によって交流に変換されて電源制御部214に送られ、LEDパネル23に電力供給される。
【0020】
送受信部215は、通信網NWに接続され、管理コンピュータ3から後述する通常時掲載内容やイベント掲載内容などを受信する通信機器であり、受信した情報はメモリ(図示せず)に記憶されるようになっている。パネル制御部216は、変調機能を備え、LEDパネル23の表示や点滅を制御する機器である。すなわち、中央制御部217からの制御指令に従って、通常時掲載内容やイベント掲載内容などをLEDパネル23に表示出力させたり、LEDパネル23の点滅速度・周波数を変調(サブキャリア反転パルス位相変調など)させて後述する特定者提供内容を可視光通信で発信させたりするものである。
【0021】
また、中央制御部217は、後述するように、管理コンピュータ3から受信した広告内容・期間に基づいて、広告期間でのみ広告内容を表示するようにパネル制御部216に指令を送信し、広告内容を受信していない場合には、受信した所在地のみを表示するようにパネル制御部216に指令を送信する。さらに、広告内容や所在地などの通常時掲載内容を表示中にイベント掲載内容を受信した場合には、通常時掲載内容に代わってイベント掲載内容を表示するように、送受信部215に指令を送信したりするものである。
【0022】
このようにして、各表示装置2〜2は、管理コンピュータ3から受信した通常時掲載内容やイベント掲載内容などを表示するとともに、可視光通信機能を備え、特定者提供内容を可視光通信によって発信するようになっている。ここで、この実施の形態では、後述するように、災害や迷子などのイベントが発生していない場合には、電柱P〜Pの所在地や広告内容を、通常時掲載内容として表示装置2〜2に表示、掲載し、イベントが発生している場合には、イベント掲載内容を表示装置2〜2に表示するとともに、特定者提供内容を可視光通信で発信するものとする。
【0023】
管理コンピュータ3は、主として、通信部31と、テキスト解析部32と、記憶部33と、電柱データベース34と、広告データベース35と、広告タスク(処理手段)36と、イベントタスク(処理手段)37と、これらを制御などする中央処理部38とを備えている。
【0024】
通信部31は、表示装置2〜2や広告担当機関、情報提供機関などと、通信網NWを介してデータ通信するための通信装置である。ここで、広告担当機関とは、この実施の形態では、表示装置2〜2への広告掲載を担当する電力会社の担当部署などであり、情報提供機関とは、緊急を要する情報や臨時の情報などを提供して表示装置2〜2への掲載を依頼する自治体や警察署、消防署などである。具体的には、これらの機関のコンピュータやサーバなどと、通信網NWを介して通信可能に接続され、これらの機関から、広告内容や広告対象地域、広告期間などの広告依頼情報や、災害や迷子などのイベントの内容や発生場所などのイベント情報などを、受信するようになっている。
【0025】
テキスト解析部32は、テキスト形成の情報(データ)を解析するテキスト解析機能を備え、テキスト形成の広告依頼情報やイベント情報などを解析し、広告依頼情報中の広告内容や広告対象地域、イベント情報中のイベントの内容や発生場所などを抽出するものである。記憶部33は、通信部31で受信した広告依頼情報やイベント情報や、後述するイベントタスク37での演算結果などを記憶するメモリである。
【0026】
電柱データベース34は、各電柱P〜Pの設置場所や電柱P〜Pに配設されている表示装置2〜2の識別情報などを記憶したデータベースであり、図3に示すように、電柱番号341ごとに、設置場所342、表示装置ID343、広告ID344、イベント掲載ID345、避難所346、およびその他347が記憶されている。そして、電柱番号341には、各電柱P〜Pを識別する識別番号が記憶され、設置場所342には、この電柱P〜Pの所在地、経緯、緯度が記憶され、表示装置ID343には、この電柱P〜Pに配設されている表示装置2〜2の識別情報が記憶されている。
【0027】
さらに、広告ID344には、この表示装置2〜2に掲載される広告内容の識別情報が記憶され、イベント掲載ID345には、この表示装置2〜2で提供されているイベント掲載内容や特定者提供内容の識別情報が記憶されている。また、避難所346には、この電柱P〜Pの所在地における避難所の情報が記憶され、災害規模・状況や避難所が満員の場合などに対応できるように、第1の避難所、第2の避難所と、複数の避難所が記憶されている。これらの情報のうち、電柱番号341、設置場所342、表示装置ID343および避難所346は、システム起動当初に記憶され、広告ID344は、後述するように広告タスク36で記憶され、イベント掲載ID345は、後述するようにイベントタスク37で記憶されるようになっている。
【0028】
広告データベース35は、広告に関する情報を記憶したデータベースであり、図4に示すように、広告ID351ごとに、広告内容352、広告主353、掲載地域354、掲載期間355、およびその他356が記憶されている。そして、広告ID351には、広告を識別する識別情報が記憶され、広告内容352には、広告の掲載内容が記憶され、広告主353には、広告の依頼者に関する情報が記憶されている。さらに、掲載地域354には、広告を掲載する広告対象地域、範囲が記憶され、掲載期間355には、広告を掲載する期間が記憶され、これらの情報は、後述するように広告タスク36で記憶されるようになっている。
【0029】
広告タスク36は、広告担当機関から受信した広告依頼情報に基づいて、広告を掲載する対象電柱P〜Pを割り出し、広告内容などを対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に送信するプログラムである。すなわち、図5に示すように、まず、テキスト解析部32を起動して広告依頼情報を解析し、広告内容や広告対象地域、広告期間などを抽出する(ステップS1)。次に、抽出した広告対象地域内に設置されている対象電柱P〜Pを、電柱データベース34の設置場所342に基づいて検索する(ステップS2)。続いて、この広告の識別情報を割り当て(ステップS3)、割り当てた識別情報を広告データベース35の広告ID351に記憶し、ステップS1で抽出した広告内容や広告期間などを広告内容352や掲載期間355などに記憶する(ステップS4)。さらに、割り当てた広告の識別情報を、ステップS2で検索した対象電柱P〜Pの広告ID344に記憶する(ステップS5)とともに、対象電柱P〜Pの表示装置2〜2(表示装置ID343)に対して、広告内容と広告期間とを送信する(ステップS6)ものである。このような広告タスク36は、広告担当機関から広告依頼情報を受信した際に、中央処理部38によって起動される。
【0030】
イベントタスク37は、情報提供機関から受信したイベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容や提供すべき対象電柱P〜Pなどを割り出し、イベント掲載内容などを対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に送信するプログラムである。すなわち、図6に示すように、まず、テキスト解析部32を起動してイベント情報を解析し、災害や迷子などのイベントの内容や、イベントの発生場所などを抽出する(ステップS11)。次に、抽出したイベントの内容や発生場所などに基づいて、イベント掲載内容を割り出す、あるいは作成する(ステップS12)。すなわち、イベント情報中にイベント掲載内容が含まれている場合には、これを割り出し、含まれていない場合には、イベントの内容や発生場所からイベント掲載内容を作成する。
【0031】
第1の例として、ステップS11でイベントの内容として地震、発生場所として避難対象地域(AAA)、発生日時として地震発生日時(BBB)が抽出された場合には、「BBB時に地震が発生しました。CCC避難所に避難してください。」などというイベント掲載内容を作成する。また、第1の例に続いて第2の例として、ステップS11でイベントの内容として避難所満員、発生場所として避難所(DDD)が抽出された場合には、「DDD避難所は満員となりましたので、EEE避難所に避難してください。」などというイベント掲載内容を作成する。ここで、避難所を示すCCCとEEEは、後述するようにステップS13で挿入される。
【0032】
さらに、第3の例として、ステップS11でイベントの内容として迷子、発生場所として子供を見失った場所(FFF)、発生日時として子供を見失った日時(GGG)が抽出され、さらにイベント情報に迷子の特徴(HHH)が含まれている場合には、「GGG時に、FFFで迷子が発生しました。迷子の特徴はHHHです。発見した方は最寄りの警察にご連絡ください。」などというイベント掲載内容を作成する。また、第3の例に続いて第4の例として、ステップS11でイベントの内容として迷子を見かけた旨、発生場所として迷子を見かけた場所(JJJ)、発生日時として見かけた日時(KKK)が抽出された場合には、「KKK時に、JJJで迷子を見かけたという情報がありました。迷子の特徴はHHHです。発見した方は最寄りの警察にご連絡ください。」などというイベント掲載内容を作成する。
【0033】
続いて、ステップS11での解析、抽出結果に基づいて、イベント掲載内容を提供すべき対象電柱P〜Pを割り出す(ステップS13)。すなわち、上記の第1の例の場合、抽出した避難対象地域内に設置されている対象電柱P〜Pを、電柱データベース34の設置場所342に基づいて検索する。そして、検索した対象電柱P〜Pに対する第1の避難所(CCC)を電柱データベース34の避難所346から取得し、ステップS12で作成したイベント掲載内容のCCCに挿入する。また、上記の第2の例の場合、満員である避難所DDDが避難所346に記憶されている対象電柱P〜Pを、電柱データベース34から検索する。そして、検索した対象電柱P〜Pにおける次の避難所(EEE)を電柱データベース34の避難所346から取得し、ステップS12で作成したイベント掲載内容のEEEに挿入する。
【0034】
さらに、上記の第3の例の場合、子供を見失った場所(FFF)から半径所定距離内に設置されている対象電柱P〜Pを、電柱データベース34の設置場所342に基づいて検索する。また、上記の第4の例の場合、子供を見失った場所(FFF)から半径所定距離内に設置されている対象電柱P〜Pと、迷子を見かけた場所(JJJ)から半径所定距離内に位置する対象電柱P〜Pとを、電柱データベース34の設置場所342に基づいて検索する。このようにして、迷子を見かけた回数に応じて、対象電柱P〜Pが増えるものである。
【0035】
次に、ステップS11での解析、抽出結果に基づいて、特定の者に提供する特定者提供内容を割り出し、あるいは作成する(ステップS14)。すなわち、ステップS12と同様に、イベント情報中に特定者提供内容が含まれている場合には、これを割り出し、含まれていない場合には、イベント情報中の情報から特定者提供内容を作成する。
【0036】
上記の第1、2の例の場合、例えば、イベント情報中に被害情報が含まれている場合、「この地震によって、○○名の重傷者が出ました。」などという特定者提供内容を作成する。また、第3、4の例の場合、例えば、イベント情報中に迷子の親に関する情報が含まれている場合、「迷子親の氏名は、LLLで、連絡先はNNNです。」という特定者提供内容を作成する。なお、イベント情報によっては、特定者提供内容が作成されない場合もある。
【0037】
続いて、イベント掲載内容および特定者提供内容の識別情報を割り当て(ステップS15)、割り当てた識別情報を、ステップS13で割り出した対象電柱P〜Pのイベント掲載ID345に記憶するとともに、イベント掲載内容および特定者提供内容を識別情報とともに、記憶部33に記憶する(ステップS16)。そして、対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に対して、イベント掲載内容および特定者提供内容を送信する(ステップS17)ものである。ここで、特定者提供内容は、すべての対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に送信してもよいが、特定者提供内容の内容などに応じて、特定の対象電柱P〜Pの表示装置2〜2にのみ(例えば、警察署や役場の近くの電柱の表示装置にのみ)送信してもよい。このようなイベントタスク37は、情報提供機関からイベント情報を受信した際に、中央処理部38によって起動される。
【0038】
次に、このような構成の情報表示システム1の作用および、このシステム1による情報提供方法について、図7のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0039】
まず、システム1の起動時において、管理コンピュータ3からすべての電柱P〜Pの表示装置2〜2に対して、各電柱P〜Pの所在地、つまり電柱データベース34の設置場所342のデータが送信される(ステップS21)。続いて、広告担当機関から情報管理センタ(管理コンピュータ3)に広告依頼情報が送信されると(ステップS22)、広告タスク36が起動され(ステップS23)、上記のようにして広告掲載の対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に対して、広告内容と広告期間とが送信される(ステップS24)。そして、各表示装置2〜2において現在時刻が広告期間外の場合には、該電柱P〜Pの所在地が通常時掲載内容としてLEDパネル23に表示され、現在時刻が広告期間内の場合には、該電柱P〜Pの所在地と広告内容とが通常時掲載内容としてLEDパネル23に表示される(ステップS25)。これにより、電柱P〜Pの近くを通った通行者が通常時掲載内容を見て、その所在地や広告内容を知得できるものである。
【0040】
次に、情報提供機関から情報管理センタ(管理コンピュータ3)にイベント情報が送信されると(ステップS26)、イベントタスク37が起動され(ステップS27)、上記のようにして情報提供の対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に対して、イベント掲載内容および特定者提供内容が送信される(ステップS28)。そして、受信した各表示装置2〜2において、通常時掲載内容に代わってイベント掲載内容がLEDパネル23に表示される(ステップS29)とともに、特定者提供内容が可視光通信によってLEDパネル23から発信される(ステップS30)。これにより、電柱P〜Pの近くを通った通行者がイベント掲載内容を見て、災害や迷子の発生などを知得する。さらに、可視光通信によるデータ受信が可能なレシーバを所持した特定の者(例えば、警察官や役場の担当者)が、レシーバでデータ受信することで特定者提供内容を知得できるものである。その後、情報提供機関からイベント情報が送信される度に、上記のようにして(上記の第1の例から第2の例や、上記の第3の例から第4の例)、イベント掲載内容および特定者提供内容が更新され、最新の情報がLEDパネル23から提供される。
【0041】
続いて、情報提供機関からイベントが終了した旨のイベント情報が送信されると(ステップS31)、イベントタスク37が起動されて(ステップS32)、該当する対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に対して、イベント掲載内容等の終了指令が送信される(ステップS33)。この指令を受けて、各表示装置2〜2において、イベント掲載内容に代わって通常時掲載内容がLEDパネル23に表示される(ステップS34)とともに、可視光通信による情報発信が停止される(ステップS35)。さらに、広告担当機関から新たな広告依頼情報が送信されると、上記と同様にして(ステップS22〜S25)、対象電柱P〜Pの表示装置2〜2に新たな広告内容と広告期間とが送信され、広告内容が更新されるものである。
【0042】
以上のように、この情報表示システム1および情報提供方法によれば、情報提供機関からのイベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱P〜Pとが割り出され、その対象電柱P〜Pの表示装置2〜2からイベント掲載内容が表示される。例えば、上記の第1の例の場合、避難対象地域内の電柱P〜Pから、「BBB時に地震が発生しました。CCC避難所に避難してください。」などという情報が提供される。さらに、上記の第2の例の場合には、満員である避難所DDDを避難所とする電柱P〜Pから、「DDD避難所は満員となりましたので、EEE避難所に避難してください。」などという情報が提供される。また、上記の第3の例の場合、子供を見失った場所から所定距離内の電柱P〜Pから、「GGG時に、FFFで迷子が発生しました。迷子の特徴はHHHです。発見した方は最寄りの警察にご連絡ください。」などという情報が提供される。さらに、上記の第4の例の場合、子供を見失った場所と迷子を見かけた場所から所定距離内の電柱P〜Pから、「KKK時に、JJJで迷子を見かけたという情報がありました。迷子の特徴はHHHです。発見した方は最寄りの警察にご連絡ください。」などという情報が提供される。
【0043】
このように、緊急を要する情報などを、その情報を受けるべき者に的確に提供することが可能となる。さらに、イベント掲載内容とは別に特定者提供内容を、表示装置2〜2から可視光通信によって発信するため、より多様な情報提供が可能となる。しかも、レシーバを所持した特定の者しか情報を知得できないため、個人情報の保護やパニックの防止などを図ることができる。
【0044】
また、通常時においては、電柱P〜Pの表示装置2〜2に広告内容や所在地などを表示するため、電柱P〜Pおよび表示装置2〜2が宣伝、広告などに有効活用される。しかも、広告担当機関からの広告依頼情報に基づいて、広告タスク36によって掲載対象の電柱P〜Pや広告内容などが自動的に割り出され、表示装置2〜2に送信されるため、広告の掲載、更新を適正かつ迅速に行うことが可能となる。
【0045】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、広告担当機関から受信した広告依頼情報に基づいて、広告タスク36によって対象電柱P〜Pの割り出しや、広告データベース35の広告内容352への記憶などを行っているが、キーボードなどの入力装置から、対象電柱P〜Pや広告内容などを直接設定、記憶するようにしてもよい。また、情報提供機関からイベント情報を受信して、イベントタスク37を起動するようにしているが、イベントタスク37を起動してキーボード入力や音声入力などによって、イベント情報を入力するようにしてもよい。
【0046】
さらに、上記の第1、2の例の場合に、避難所の方向を矢印で示してもよく、イベント掲載内容として生活支援情報(飲食物の供給計画や仮設住宅に関する情報など)やインフラ設備の復旧情報などを提供してもよい。また、表示装置2〜2にLEDパネル23以外のディスプレイ、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネルを使用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 情報表示システム
〜2 表示装置
23 LEDパネル
3 管理コンピュータ(情報提供管理装置)
34 電柱データベース
35 広告データベース
36 広告タスク(処理手段)
37 イベントタスク(処理手段)
〜P 電柱
NW 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電柱に配設される表示装置と、情報提供管理装置とが通信可能に接続され、
前記情報提供管理装置に、
前記電柱の設置場所や該電柱に配設されている表示装置の識別情報などを記憶した電柱データベースと、
災害や迷子などのイベントの内容や発生場所などのイベント情報に基づいて、提供するイベント掲載内容と提供すべき対象電柱とを割り出し、前記イベント掲載内容を前記対象電柱の表示装置に送信する処理手段と、を備え、
前記表示装置は、前記情報提供管理装置から送信されたイベント掲載内容を表示する、ことを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
イベントが発生していない場合には、前記処理手段は、広告内容や電柱の所在地などの通常時掲載内容を、所定の電柱の表示装置に送信し、
前記表示装置は、前記情報提供管理装置から送信された通常時掲載内容を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
前記処理手段は、前記イベント情報に基づいて、特定の者に提供する特定者提供内容を割り出し、該特定者提供内容を前記表示装置に送信し、
前記表示装置は、可視光通信機能を備え、前記情報提供管理装置から送信された特定者提供内容を可視光通信によって発信する、ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の情報表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−257107(P2010−257107A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104900(P2009−104900)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(591260672)中電技術コンサルタント株式会社 (58)
【Fターム(参考)】