説明

情報表示灯器

【課題】本来の主情報信号の点灯表示に影響を与えることなく副情報信号の表示を加えることができ、かつデジタル信号に限らずアナログ信号の形でも表示灯による情報表示や光情報信号とし送信可能な情報表示灯器を提供する。
【解決手段】交通信号機10は、表示灯11と、表示灯11の点灯を制御する点灯駆動制御装置15とを備えている。表示灯11は、表示盤12に青色,黄色,赤色発光ダイオード素子13a〜13cを備えている。点灯駆動制御装置15は、通常の交通信号表示である主情報入力を処理する駆動制御部16と、その他の情報信号である副情報入力を処理する副駆動制御部18とを備えている。駆動制御部による発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副駆動制御部18により副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより、副情報を主情報に含めて発信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード素子からなる表示灯を備えた交通信号機等に適用される情報表示灯器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青色の発光ダイオードが開発されたことにより、交通信号機の発光源として発光ダイオードのみを用いて構成された交通信号機が採用されるようになってきている。このように、発光ダイオードを発光手段とすることにより、信号に変調を加えることが可能になり、交通信号機が、単なる交通表示のみならず、種々の交通情報等を可視光変調信号として発信することが可能になった。
【0003】
このような交通信号機としては、例えば特許文献1に示すように、外部情報発信源から通信網を通して集められた情報信号を変調して変調パルス信号として出力する変調手段と、変調パルス信号に基づいて点灯信号を変調パルス信号と同一周期のパルス信号に変換して出力する変調点灯信号出力手段と、変調点灯信号出力手段からの出力に基づいて表示灯を駆動して可視光の光変調信号を発信させる駆動手段とを備えたものが知られている。そして、表示灯から放射される光変調信号を受信して電気信号に変換する受光手段と、受光手段からの出力信号を復調する復調手段と、復調手段からの出力の内容を表示する表示手段からなる受光装置を車両に設けることにより、信号機から車両への光変調信号の伝達が可能になっている。
【特許文献1】特開2001−67585号公報
【0004】
ところで、上記交通信号機については、表示灯を点灯させる本来の点灯信号に変調信号を加えた変調点灯信号により表示灯を点灯させるものであり、変調信号を加えない場合は、単独で表示灯に点灯信号を加える必要があり、信号処理が2系統と複雑になる。また、情報信号は変調信号に変換されて点灯信号に加えられるものであり、アナログ信号の形では光信号として送信できないという制約もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決しようとするもので、本来の主情報信号の点灯表示に影響を与えることなく副情報信号の表示を加えることができ、かつデジタル信号に限らずアナログ信号の形でも表示灯による情報表示や情報光信号とし送信可能な情報表示灯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は、表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動制御装置よって発光ダイオード素子の一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより副情報を主情報に含めて発信することにある。ここで、情報表示灯器とは、交通信号機の表示灯、横断歩道の信号表示灯等の交通表示灯の他に、電飾表示板、車両のテールランプ等も含まれる。また、情報には、道路の交通に関係のある、交通量情報、事故発生情報、災害情報の他に、周辺地図情報、コマーシャル情報(名物、観光地、催し物、等)等の一般的な情報も含まれる。
【0007】
上記のように構成した本発明においては、駆動制御装置が、情報信号に基づいて複数の発光ダイオード素子を一定時間点灯させた後に消灯させることにより、発光ダイオード素子を配列した表示盤に通常の主情報の表示が行われる。さらに、この発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副駆動制御装置よって副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより副情報を主情報に含めて発信させることができる。従って、副情報が無いときは、主情報のみの表示が行われる。その結果、本発明においては、本来の主情報に係る点灯信号に影響を与えることなく、その他の副情報を点灯表示し発信することができ、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、信号処理系統を簡易な構成とすることができる。また、情報信号あるいは副情報信号については、デジタル信号に限らずアナログ信号の形でもよいので、情報信号の多様化が可能になる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、複数の発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の発光ダイオード素子を消灯させることにより副情報を表示盤にキャラクタ表示させることにある。
【0009】
上記のように構成した他の特徴においては、複数の発光ダイオード素子による主情報の点灯中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の発光ダイオード素子を消灯させることにより、主情報の表示を邪魔することなく、表示盤に副情報をキャラクタ表示させることができる。従って、副情報が無いときは、主情報のみの表示が行われる。その結果、本発明においては、本来の主情報に係る点灯信号に影響を与えることなく、副情報を表示盤にキャラクタ表示することができ、外部から副情報を視覚によって簡単に認識できるので便利である。また、本発明によれば、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、信号処理系統を簡易な構成とすることができる。また、情報信号あるいは副情報信号については、デジタル信号に限らずアナログ信号の形でもよいので、情報信号の多様化が可能になる。
【0010】
また、本発明のその他の特徴は、表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動制御装置よって発光ダイオード素子の一定時間内の点灯の一部を点灯強度を強めることにより副情報を主情報に含めて発信することにある。
【0011】
上記のように構成したその他の特徴においては、駆動制御装置が、情報信号に基づいて複数の発光ダイオード素子を一定時間点灯させた後に消灯させることにより、発光ダイオード素子を配列した表示盤に通常の主情報の表示が行われる。さらに、この発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副駆動制御装置よって副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部について点灯強度を強めることにより副情報を主情報に含めて発信させることができる。従って、副情報が無いときは、主情報のみの表示が行われる。その結果、本発明においては、本来の主情報に係る点灯信号に影響を与えることなく、その他の副情報を点灯表示し発信することができ、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、信号処理系統を簡易な構成とすることができる。また、情報信号あるいは副情報信号については、デジタル信号に限らずアナログ信号の形でもよいので、情報信号の多様化が可能になる。
【0012】
また、本発明のさらに他の特徴は、表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、複数の発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の発光ダイオード素子の点灯強度を強めることにより副情報を表示盤にキャラクタ表示させることにある。
【0013】
上記のように構成したさらに他の特徴においては、複数の発光ダイオード素子による主情報の点灯中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の発光ダイオード素子の点灯強度を強めることにより、主情報の表示を邪魔することなく、表示盤に副情報をキャラクタ表示させることができる。従って、副情報が無いときは、主情報のみの表示が行われる。その結果、本発明においては、本来の主情報に係る点灯信号に影響を与えることなく、副情報を表示盤にキャラクタ表示することができ、外部から副情報を視覚によって簡単に認識できるので便利である。また、本発明によれば、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、信号処理系統を簡易な構成とすることができる。また、情報信号あるいは副情報信号については、デジタル信号に限らずアナログ信号の形でもよいので、情報信号の多様化が可能になる。
【0014】
また、本発明において、副駆動制御装置を、ホトカプラ−を介して電気的に遮断された状態で複数の発光ダイオード素子の入力端子間に接続させることができる。このように、副駆動制御装置が、ホトカプラ−を介して駆動制御装置側と電気的に遮断されているため、駆動制御装置側から何ら影響を受けることが無い。そのため、副駆動制御装置の取扱いが容易になる。
【0015】
また、本発明において、副駆動制御装置にて、副情報信号を情報信号と同期させることができる。このように、副駆動制御装置において副情報信号を情報信号と同期させたことにより、情報信号の点灯表示中に必ず副情報信号により点灯強度が強められた箇所が生じる。そのため、副情報が確実に主情報と共に表示される。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより副情報を主情報に含めて発信させることができ、主情報による発光ダイオード素子の点灯に影響を与えることなく、また副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、信号処理系統を簡易な構成とすることができる。また、本発明によれば、副情報信号に基づいて主情報表示の所定位置の発光ダイオード素子を消灯させることにより、表示盤に副情報をキャラクタ表示させることができるので、外部から視覚により副情報を容易に認識することができる。さらに、本発明によれば、情報信号あるいは副情報信号については、デジタル信号に限らずアナログ信号の形でも光信号を送信可能なので、送信の多様化が可能になる。また、本発明においては、発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部を点灯強度を強めて副情報を主情報に含めて発信させ、主情報表示の所定位置の発光ダイオード素子の点灯強度を強めることによっても同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1は実施例1に係る情報表示灯器である表示灯を備えた交通信号機の使用状態を説明図により示し、図2は表示灯を説明図により示したものである。図3は点灯駆動制御装置の回路構成を回路図により示し、図4は受信装置の回路構成を回路図により示し、図5は図3及び図4の各部における信号を波形図により示したものである。この交通信号機10は、表示灯11に通常の交通点灯情報である主情報表示を行うと共に、他の情報である副情報を表示灯11から交差点周囲を通行する車両にも可視光信号の発信により提供するものである。交通信号機10は、表示灯11と、表示灯11の点灯を制御する信号処理系統である点灯駆動制御装置15とを備えている。また、車両21には、表示灯11からの光情報信号を受信する受信装置22が設けられている。表示灯11は、図2に示すように、表示盤12に多数の発光ダイオードからなる青色発光ダイオード素子13aと、黄色発光ダイオード素子13bと、赤色発光ダイオード素子13cとを備えている。
【0018】
点灯駆動制御装置15は、通常の青、黄色、赤色の信号表示である主情報入力を処理する駆動制御部16と、その他の情報信号である副情報入力を処理する副駆動制御部18とを備えている。駆動制御部16は、各発光ダイオード素子13a〜13cに抵抗R1,R2を介して直列に接続された電源Vと、主情報入力(1)によりオンオフするスイッチング回路17とにより構成されている。また、副駆動制御部18は、抵抗R3と副情報入力(2)によりオンオフするスイッチングトランジスタ19を直列に接続して構成され、各発光ダイオード素子13a〜13cの両端に接続されている。本実施例においては、点灯駆動制御装置15は各発光ダイオード素子13a〜13cに接続されているが、副駆動制御部18からの副情報信号については赤色発光ダイオード素子13cのみに入力されるようになっている。
【0019】
受信装置22は、発光ダイオード素子13cからの光情報信号を電気信号に変換する受光素子23と、受光素子23の出力信号から直流分を除くコンデンサ24と、受光素子23の出力信号を増幅する増幅器25と、増幅器25の出力から主情報成分と副情報成分を取り出す互いに並列に接続されたローパスフィルタLPF及びハイパスフィルタHPFと、LPFとHPFの切替を行うスイッチ26とを備えている。
【0020】
つぎに、上記のように構成した実施例1の動作について、図3〜図5に基づいて説明する。駆動制御部16が、図5に示す情報信号(1)に基づいてスイッチ回路17をオンオフさせることにより、複数の発光ダイオード素子13a〜13cを一定時間点灯させた後に消灯させ、発光ダイオード素子13a〜13cに主情報である通常の青色、黄色、赤色の交通信号情報の表示が行われる。さらに、赤色の発光ダイオード素子13cのt時間(例えば1分程度)の長時間の交通信号情報表示の点灯中に、副駆動制御部18よって他の情報であるオン時間t1(t1<<t)の副情報信号(2)をスイッチングトランジスタ19に入力することにより、その出力信号に基づいて発光ダイオード素子13cの点灯の一部を消灯させることにより、副情報を主情報に含めて光情報信号(3)として発信することができる。
【0021】
送信された光情報信号(3)は、車両に設けた受信装置22において受光素子23により電気信号に変換され、スイッチ26によりローパスフィルタLPFあるいはハイパスフィルタHPFに切替えられて、主情報成分信号(5)か、あるいは副情報成分信号(6)が取り出され、表示装置(図示しない)に信号の内容が表示される。これにより、車両の乗員は、信号機の表示灯11からの主情報あるいは副情報を得ることができる。その結果、実施例1においては、本来の主情報に係る交通信号情報の表示に影響を与えることなく、その他の副情報を主情報に含めて光情報信号として送信することができ、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、点灯駆動制御装置15を簡易な構成とすることができる。
【0022】
つぎに、実施例1の変形例1について図6により説明する。
変形例1においては、図6に示すように、副情報信号(ii)としてパルス信号の代りに、アナログ信号としたものである。駆動制御部16により、赤色の発光ダイオード素子13cの主情報信号(i)によるt時間の交通信号情報表示の点灯中に、副駆動制御部18よって他の情報を示すアナログ信号である副情報信号(ii)をスイッチングトランジスタ19に入力することにより、その出力信号に基づいて発光ダイオード素子13cの点灯強度が部分的に弱められる。これにより、副情報を主情報に含めて光情報信号(iii)として送信することができる。このように、副情報信号をアナログ信号とすることもできるため、副情報信号の取扱いが容易になると共に、副情報の多様化が可能になる。
【0023】
つぎに、実施例1の変形例2について図7により説明する。
変形例2においては、赤色の発光ダイオード素子13cの全てを画一的に駆動するのではなく、個々の発光ダイオード素子13cにそれぞれ副情報信号を加えて、特定の発光ダイオード素子を消灯させることにより、図7に示すように、消灯した赤色発光ダイオード素子13cによって表示盤12に特定のキャラクタを表示するようにしたものである。これにより、車両の運転者等が、交差点で赤信号を待つ間に、信号機の表示灯11を見ることにより、副情報を視覚によって容易に認識することができるので便利である。
【0024】
つぎに、実施例2について図8、図9により説明する。
実施例2においては、主情報信号を電源周波数を利用して全波整流を施した周期的に変化する脈流信号とし、副情報信号としてパルス状の信号とした場合である。この場合、副情報信号をランダムに入力すると、主情報信号から外れることにより信号を入力できない不都合が生じることがある。そのため、実施例2では、副情報信号を主情報信号に同期させるようにしたものである。
【0025】
図8,図9に示すように、点灯駆動制御装置31は、通常の青、黄色、赤色の信号表示である主情報入力を処理する駆動制御部32と、その他の情報信号である副情報入力を処理する副駆動制御部35とを備えている。駆動制御部32は、各発光ダイオード素子13a〜13cに抵抗Rを介して直列に接続された商用電源Vの電圧を全波整流する整流器33を備えている。また、副駆動制御部35は、副情報信号を増幅する入出力間が遮断された発光素子とホトトランジスタを組み合わせたホトカプラ−36と、その出力をバイパスするトランジスタ37と、ホトカプラ−36の出力を情報信号と同期させる同期部38とを備えている。
【0026】
つぎに、上記のように構成した実施例2の動作について説明する。駆動制御部32が、図9に示す商用電圧を全波整流した情報信号(1)に基づいて複数の発光ダイオード素子13a〜13cを一定時間点灯させ主情報である通常の青色、黄色、赤色の交通信号情報の表示が行われる。さらに、赤色の発光ダイオード素子13cの交通信号情報表示の点灯中に、副駆動制御部18よって他の情報であるオン時間t1(t1<<t)の副情報信号(2)をホトカプラ−36に入力することにより、その出力信号が同期部38に戻されて副情報信号(2)を同期化する。この同期化された信号(3)によって発光ダイオード素子13cの点灯の一部を消灯させることにより、副情報を主情報に含めて光情報信号(4)として発信することができる。
【0027】
以上に説明したように、実施例2においては、副駆動制御部35において副情報信号(2)を情報信号(1)と同期させたことにより、情報信号(1)の点灯表示中に必ず副情報信号(2)により消灯箇所が弱められた箇所が生じる。その結果、実施例2によれば、副情報が確実に主情報と共に表示され発信される。また、副駆動制御部35が、ホトカプラ−36を介して駆動制御部32側と電気的に遮断されているため、駆動制御部32側から何ら影響を受けることが無い。そのため、副駆動制御部35の取扱いが容易になる。
【0028】
つぎに、実施例3について図10により説明する。
実施例3においては、情報表示灯器を、車両のテールランプ42に適用し、車両の点灯駆動制御装置41により点灯制御を行うようにしたものである。例えば上記変形例2のように、テールランプ42を多数の発光ダイオード素子で構成し、車両の点灯駆動制御装置41において、主情報として車両の停止等の際の点灯信号とし、副情報として交通信号機10の表示灯11から得た副情報をそのままテールランプ42に表示することができる。これにより、車両において、テールランプ42を点灯させると共に、テールランプ42に副情報をキャラクタ表示させることにより、後続の車両に対して交通信号機からの情報を視覚的に発信することができるので、後続車両の注意を引き付けることができる。また、副情報としては、交通信号機からのものに限らず、車両から独自の情報を後続車両に対して発信することもできる。
【0029】
つぎに、実施例4について図11により説明する。
実施例4は、上記実施例1のように、発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、デジタル信号である副情報信号に基づいて副駆動制御装置よって発光ダイオード素子の一定時間内の点灯の一部を点灯強度を弱める代わりに、点灯強度を強めることにより、副情報を主情報に含めて発信するようにしたものである。
【0030】
点灯駆動制御装置44は、通常の青、黄色、赤色の信号表示である主情報入力を処理する駆動制御部45と、その他の情報信号である副情報入力を処理する副駆動制御部46とを備えている。駆動制御部45は、各発光ダイオード素子13a〜13cに抵抗R1,R2を介して直列に接続された電源Vと、抵抗R1と電源Vの間に直列接続された主情報入力(1)によりオンオフするスイッチング回路47とにより構成されている。また、副駆動制御部46は、副情報入力(2)によりオンオフするスイッチングトランジスタ48のベースに抵抗R3を接続して構成され、トランジスタ48のコレクタ、エミッタが抵抗R1の両端に並列接続されている。本実施例においては、点灯駆動制御装置44は各発光ダイオード素子13a〜13cに接続されているが、副駆動制御部46からの副情報信号については赤色発光ダイオード素子13cのみに入力されるようになっている。
【0031】
つぎに、上記のように構成した実施例4の動作について説明する。駆動制御部45が、情報信号(1)に基づいてスイッチ回路47をオンオフさせることにより、複数の発光ダイオード素子13a〜13cを一定時間点灯させた後に消灯させ、発光ダイオード素子13a〜13cに主情報である通常の青色、黄色、赤色の交通信号情報の表示が行われる。このとき、発光ダイオード素子13cに流れる電流i1は、i1=V/(R1+R2+Rd)となる。Rdは発光ダイオード素子13cの抵抗である。さらに、赤色の発光ダイオード素子13cのt時間(例えば1分程度)の長時間の交通信号情報表示の点灯中に、副駆動制御部46よって他の情報であるオン時間t1(t1<<t)の副情報信号(2)をスイッチングトランジスタ48に入力し、スイッチングトランジスタ48をオン状態にする。このとき、発光ダイオード素子13cに流れる電流i2は、i2=V/(R2+Rd)となり、電流i2は電流i1より大きくなる。その結果、主情報による発光ダイオード素子13cの点灯の一部を、副情報信号によって発行強度を強めることができ、副情報を主情報に含めたデジタル変調による光情報信号(3)として発信することができる。
【0032】
送信された光情報信号(3)は、実施例1に示したと同様に車両に設けた受信装置22において受信される。その結果、実施例4においても、主情報信号に副情報信号を付加する点で実施例とは異なるが、実施例1と同様に本来の主情報に係る交通信号情報の表示に影響を与えることなく、その他の副情報を主情報に含めて光情報信号として送信することができ、副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないの、点灯駆動制御装置44を簡易な構成とすることができる。
【0033】
つぎに、実施例4の変形例について図12により説明する。
変形例では、実施例4のデジタル変調方式に代えてアナログ変調方式により、副情報を主情報に含めて発信するようにしたものである。点灯駆動制御装置51は、実施例4と同じ構成の駆動制御部45と、その他の情報信号である副情報入力を処理するアナログ変調方式の副駆動制御部52とを備えている。副駆動制御部52は、ベース側にコンデンサCが接続されて副情報入力(4)によりオンオフするスイッチングトランジスタ53を備えており、トランジスタ53のコレクタ、エミッタが抵抗R1の両端に並列接続されており、さらにベース側とコレクタ側間とベース側とエミッタ側間にそれぞれ抵抗R3,R4が接続されている。本変形例においてに、点灯駆動制御装置51は各発光ダイオード素子13a〜13cに接続されているが、副駆動制御部52からの副情報信号については赤色発光ダイオード素子13cのみに入力されるようになっている。
【0034】
つぎに、上記のように構成した変形例の動作について説明する。駆動制御部45が、情報信号(1)に基づいてスイッチ回路47をオンオフさせることにより、複数の発光ダイオード素子13a〜13cを一定時間点灯させた後に消灯させ、発光ダイオード素子13a〜13cに主情報である通常の青色、黄色、赤色の交通信号情報の表示が行われる。さらに、赤色の発光ダイオード素子13cのt時間(例えば1分程度)の長時間の交通信号情報表示の点灯中に、副駆動制御部46よって他の情報であるアナログの副情報信号(4)をスイッチングトランジスタ53に入力することにより、スイッチングトランジスタ53をオン状態にする。このとき、発光ダイオード素子13cに流れる電流は、情報信号(1)による電流にアナログ信号(4)を付加したアナログ変調された電流を付加して大きな値になる。その結果、主情報による発光ダイオード素子13cの点灯の一部を、副情報信号によって発行強度を強めることができ、副情報を主情報に含めたアナログ変調による光情報信号(5)として発信することができる。
【0035】
なお、上記実施例4及び変形例においては、赤色の発光ダイオード素子13cの全てを画一的に駆動しているが、これに代えて、上記変形例2のように、表示盤12の特定位置の発光ダイオード素子13cにそれぞれ副情報信号を加えて、特定の発光ダイオード素子の発光強度を他の発光ダイオード素子より強めることにより、高い発光強度の赤色発光ダイオード素子13cによって表示盤12に特定のキャラクタを表示することもできる。これにより、変形例2と同様の効果が得られる。
【0036】
なお、上記各実施例,変形例に示した回路構成や信号例については一例であり、これに限るものではない、その他、上記各実施例,変形例に示したものは一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、発光ダイオード素子の主情報の点灯中に、副情報信号に基づいて発光ダイオード素子による一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより副情報を主情報と共に発信させ、またキャラクタ表示させることができ、主情報による発光ダイオード素子の点灯に影響を与えることなく、また副情報信号が無くても主情報の表示に何ら影響しないので、信号処理系統を簡易な構成とすることができるため、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1である情報表示灯器に用いた交通信号機の使用状態を説明するための説明図である。
【図2】同交通信号機の信号機本体の表示盤を概略的に示す正面図である。
【図3】同交通信号機の点灯駆動制御装置の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図4】車両に設けられる信号受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】点灯駆動部で処理される信号の波形を説明するための波形図である。
【図6】実施例1の変形例1である点灯駆動制御装置で処理される信号の波形を説明するための波形図である。
【図7】実施例1の変形例2である表示灯を概略的に示す正面図である。
【図8】実施例2である交通信号機の駆動制御装置の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図9】実施例2の点灯駆動制御装置で処理される信号の波形を説明するための波形図である。
【図10】実施例3である情報表示灯器として車両のテールランプに適用した例を説明するための説明図である。
【図11】実施例4である交通信号機の点灯駆動制御装置の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図12】実施例4の変形例である交通信号機の点灯駆動制御装置の回路構成を概略的に示す回路図である。
【符号の説明】
【0039】
10…交通信号機、11…表示灯、13a〜13c…青色、黄色,赤色発光ダイオード素子、15…点灯駆動制御装置、16…駆動制御部、18…副駆動制御部、22…受信装置、23…受光素子、31…点灯駆動制御装置、32…駆動制御部、35…副駆動制御部、36…ホトカプラ−、38…同期部、41…点灯駆動制御装置、42…テールランプ、44…点灯駆動制御装置、45…駆動制御部、46…副駆動制御部、51…点灯駆動制御装置、52…副駆動制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、前記発光ダイオード素子の点灯による前記主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動制御装置よって該発光ダイオード素子の前記一定時間内の点灯の一部を消灯ないし点灯強度を弱めることにより副情報を前記主情報に含めて発信することを特徴とする情報表示灯器。
【請求項2】
表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、前記複数の発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の該発光ダイオード素子を消灯させることにより副情報を前記表示盤にキャラクタ表示させることを特徴とする情報表示灯器。
【請求項3】
前記副駆動制御装置が、ホトカプラ−を介して電気的に遮断された状態で前記複数の発光ダイオード素子の入力端子間に接続されたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の情報表示灯器。
【請求項4】
前記副駆動制御装置において、前記副情報信号を前記情報信号と同期させることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示灯器。
【請求項5】
表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、前記発光ダイオード素子の点灯による前記主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動制御装置よって該発光ダイオード素子の前記一定時間内の点灯の一部を点灯強度を強めることにより副情報を前記主情報に含めて発信することを特徴とする情報表示灯器。
【請求項6】
表示盤に配列された複数の発光ダイオード素子を、情報信号に基づいて駆動制御装置によって一定時間点灯させた後に消灯させることにより主情報の表示を行う情報表示灯器において、前記複数の発光ダイオード素子の点灯による主情報の表示中に、副情報信号に基づいて副駆動装置よって所定位置の該発光ダイオード素子の点灯強度を強めることにより副情報を前記表示盤にキャラクタ表示させることを特徴とする情報表示灯器。
【請求項7】
前記副駆動制御装置が、ホトカプラ−を介して電気的に遮断された状態で前記複数の発光ダイオード素子の入力端子間に接続されたことを特徴とする前記請求項5又は6に記載の情報表示灯器。
【請求項8】
前記副駆動制御装置において、前記副情報信号を前記情報信号と同期させることを特徴とする前記請求項5〜7のいずれか1項に記載の情報表示灯器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−260523(P2006−260523A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299233(P2005−299233)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(504350854)有限会社ミヤビシステム (3)
【出願人】(599137828)株式会社 サンウェイブレックス (15)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】