説明

情報表示装置および情報表示方法

【課題】発電装置および商用電源を備え、表示板に表示すべき重要情報がないときには発電装置から供給される電力に見合った表示をすることができる情報表示装置および情報表示方法を提供する。
【解決手段】複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、表示板を点灯させる電力を供給するDC/DCコンバータと、太陽電池を用いて発電した電力をDC/DCコンバータに供給する発電装置と、商用電源から電力の供給を受けて発電装置の出力電圧より低い直流電圧によってDC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータと、商用電源からDC/DCコンバータに供給される電力を検出するための電源計測手段と、電源計測手段により検出された電力が一定値以下となるように表示板の表示状態の変更をする制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置および情報表示方法に関し、更に詳しくは、発電装置および商用電源を備え、発電した電力により表示に必要な電力を補助するとともに、表示すべき重要情報がないときには発電装置から供給される電力に見合った表示をすることが可能な情報表示装置および情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の発光ダイオード等の発光素子をマトリクス状に配列した表示板を備え、発光素子を点灯することにより文字や図形を表示する情報表示装置が広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような情報表示装置は、高速道路や一般道路の渋滞・事故・気象などの情報をドライバーに提供する道路情報板システム、異常降雨やダム放流による増水などを河川敷利用者などに知らせる河川情報提供システム、行政情報などを広報伝達するための公共情報提供システムなど、多様な目的で使用されている。こうした情報表示装置においては、発光素子の高輝度化により表示板の低消費電力化が進んでおり、その電源として太陽電池など自然エネルギを利用した発電装置の導入が図られている。例えば、商用電源が使用できない場所などにおいて情報板を使用するため、太陽光発電による独立型電源を備え、情報表示装置の電光表示の負荷容量を日照に比例して制御、調整することにより消費電力の低減を図る情報提供システムが開示されている(特許文献2を参照)。
また、照明装置や家電機器、業務用設備などの負荷装置に、太陽電池などを用いた直流発電装置により得られる電力と商用電源から得られる電力とを配電する技術が知られている。例えば、直流電力源の出力を負荷装置に供給するとともに、商用電力系統と直流電力源と負荷装置の間での電力の融通が可能な電力供給システムが開示されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−328536号公報
【特許文献2】特開2004−348355号公報
【特許文献3】特開2009−142013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の発光素子からなる表示板を備えた情報表示装置においては、前記のとおり発光素子の高輝度化・低消費電力化に伴い、太陽電池パネルなど自然エネルギを利用した発電装置により電源を供給するものが多数存在する。しかし、大型の表示板の場合には消費電力も大きく、太陽電池パネルだけで必要な電力を賄うことは困難である。このため、太陽電池パネルなどを供えた大型の表示板においては、発電された電力を蓄電池に蓄えておき、停電など緊急時の一定時間内の表示維持や夜間表示など、限られた範囲で使用するものが大半である。それでも相当数の蓄電池を搭載しなければならないため、蓄電池の実装に必要な寸法や重量から、情報表示装置がさらに大規模化してしまうという問題があった。また、蓄電池の寿命から保守の負担も大きく、情報表示装置として高コストになるという問題があった。
前記特許文献2に示されているように、電光表示の負荷容量を日照に比例して制御、調整することにより消費電力を低減するとしても、太陽電池などを用いた独立型電源によって表示板の常時点灯を図るためには、非常に大規模かつ高価な情報表示システムとなってしまう。
【0005】
太陽電池などを用いた直流電力源と商用電力系統とを備える場合、前記特許文献3に示されているような直流電力源の発電量と負荷装置の電力量とに応じて電力を融通する配電技術を用いれば、発電電力を商用電源よりも優先して使用することが可能となる。しかし、大型の表示板を備える情報表示装置にあっては、太陽電池の発電電力程度では表示板の消費電力の一部(例えば、表示板の消費電力の30%程度)を賄うことができるに止まる。蓄電池を備えたとしても、前記同様に情報表示装置が大型化し高コストとなる。
情報表示装置は、表示すべき重要情報がないときには、商用電源から電力を使用しないようにして省エネルギ化を図る必要がある。一方、重要情報がない間は表示板を消灯するというのでは、その表示板を有効活用することができないという問題があった。また、蓄電池を備えない場合には、表示板を消灯している間に発電された電力を利用することも不可能であった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑み、発電装置および商用電源を備え、発電した電力により表示に必要な電力を補助するだけでなく、表示すべき重要情報がないときには発電装置から供給される電力に見合った表示をすることができる低コストの情報表示装置および情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の通りである。
1.複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、
前記発光素子を点灯させる電力を前記表示板に供給するDC/DCコンバータと、
太陽電池を用いて発電し、発電した直流電圧を出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する発電装置と、
商用電源から電力の供給を受けて前記発電装置の定格出力電圧より低い直流電圧を生成し、その直流電圧を前記発電装置から前記DC/DCコンバータへの電源供給経路に出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータと、
前記商用電源から前記表示系AC/DCコンバータを介して前記DC/DCコンバータに供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測する電源計測手段と、
前記電源計測手段による計測値に応じて前記表示板の表示状態の変更をする制御部と、
を備えることを特徴とする情報表示装置。
2.商用電源から電力の供給を受けて前記制御部に常時電源を供給する制御系AC/DCコンバータを備える前記1.の情報表示装置。
3.前記制御部は、所定の重要情報がないときには、前記電源計測手段による計測値が所定の値以下となるように前記表示状態の変更をする前記1.または2.の情報表示装置。
4.前記表示状態の変更は、表示項目の変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯のうちのいずれかまたは2以上の組合せである前記1.ないし3.のいずれかの情報表示装置。
5.複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、
前記発光素子を点灯させる電力を前記表示板に供給するDC/DCコンバータと、
太陽電池を用いて発電し、発電した直流電圧を出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する発電装置と、
商用電源から電力の供給を受けて前記発電装置の定格出力電圧より低い直流電圧を生成し、その直流電圧を前記発電装置から前記DC/DCコンバータへの電源供給経路に出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータと、
前記商用電源から前記表示系AC/DCコンバータを介して前記DC/DCコンバータに供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測する電源計測手段と、
を備えた情報表示装置を使用して、
前記表示板に情報を表示する表示ステップと、
前記前記電源計測手段により計測を行う電源計測ステップと、
前記電源計測ステップによる計測値が所定値を超える場合には、前記表示板の表示状態の変更をする表示変更ステップと、
を備えることを特徴とする情報表示方法。
6.商用電源から電力の供給を受けて前記制御部に電源を供給する制御系AC/DCコンバータを備えた情報表示装置を使用して、前記制御部に対して常時電源を供給する前記5.の情報表示方法。
7.所定の重要情報がないときには、表示板の消費電力が大きい表示状態から消費電力が小さい表示状態に向けて順次に、前記表示ステップと前記電源計測ステップと前記表示変更ステップとを繰り返して行うことにより、前記電源計測ステップによる計測値が所定の値以下となるように前記表示状態の変更をする前記5.または6.の情報表示方法。
8.前記表示状態の変更は、表示項目の変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯のうちのいずれかまたは2以上の組合せである前記5.ないし7.のいずれかの情報表示方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報表示装置によれば、複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、その表示に必要な電力を供給するDC/DCコンバータと、太陽電池を用いて発電した直流電圧を出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する発電装置と、商用電源から電力の供給を受けて前記発電装置の定格出力電圧より低い直流電圧を生成し、その直流電圧を前記発電装置から前記DC/DCコンバータへの電源供給経路に出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータとを備えるため、発電装置により発電された電力は商用電源よりも優先して表示板に供給され、表示板の消費電力の一部を補助することができる。そして、商用電源から前記表示系AC/DCコンバータを介して前記DC/DCコンバータに供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測する電源計測手段と、その前記電源計測手段による計測値に応じて前記表示板の表示状態の変更をする制御部とを備えるため、表示すべき重要情報がないときであっても、太陽電池により発電が可能な状態であれば、注意喚起のための情報や標語などを表示することができ、表示板を有効に活用することができる。また、太陽電池の発電電力は表示板の点灯用のみに供給され、表示すべき重要情報がない場合には、太陽電池の発電電力や電圧を監視することなく表示板点灯用に商用電源を使用しないようにすることができるため、簡単な制御で発電電力の有効活用が可能になる。さらに、本発明の情報表示装置は蓄電池を使用する必要がないため、小型で保守性に優れた情報表示装置を実現することが可能である。本発明の情報表示装置は、高速道路用又は一般道路用の道路情報板システム、交通管理用情報板、河川情報提供システム、公共情報提供システム、そのほか主として屋外に設置される情報表示板システムに広く適用することができ、表示板の有効活用と省エネルギ化を低コストで実現することが可能になる。
【0009】
商用電源から電力の供給を受けて前記制御部に常時電源を供給する制御系AC/DCコンバータを備える場合には、太陽電池の発電状態とは関係なく、緊急な重要情報を瞬時に表示板に表示することができる。
前記制御部は、所定の重要情報がないときには、前記電源計測手段による計測値が所定の値以下となるように前記表示状態の変更をする場合には、日射の状態によって太陽電池の発電量が変化しても、その範囲内で最も適切な表示をするように制御することができ、発電電力を最大限に利用することができる。
前記表示状態の変更は、表示項目の変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯のうちのいずれかまたは2以上の組合せとすれば、重要情報がないときのさまざまな表示態様を準備して運用することができる。
【0010】
本発明の情報表示方法によれば、上記の情報表示装置の効果を発揮させるに好適な情報表示方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】情報表示装置が適用されるシステム構成例を表わすブロック図である。
【図2】情報表示装置に備えられる表示板の構成例を示す正面図である。
【図3】制御部を中心として情報表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】情報表示装置に備えられる表示板内部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の情報表示装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図6】本情報表示装置が備える電源計測手段の実施例を示すブロック図である。
【図7】表示すべき重要情報がないときの表示板の表示状態を説明するための模式図である。
【図8】本情報表示装置の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の情報表示方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の情報表示装置の構成、動作、情報表示方法の順に、その実施の形態について説明する。
(1)情報表示装置の構成
本発明の情報表示装置は、高速道路用又は一般道路用の道路情報板システム、交通管理用情報板、河川情報提供システム、公共情報提供システム、そのほか主として屋外に設置される情報表示板システムに適用することができる情報表示装置である。本情報表示装置には、例えば図2に示すような表示板が備えられる。図2の表示板7は、表示ユニット70をマトリックス状に複数(例えば、8×28=224個)配置したものである。さらに、各表示ユニット70には、発光素子をマトリックス状に複数(例えば、16×16=256個)配置した発光素子アレイ71が備えられている。発光素子はとくに限定されないが、代表的な発光素子として発光ダイオード(LED)が挙げられる。単色のLEDが使用されてもよいし、発光波長の異なるLED(例えば、赤色と黄緑色のLED)を組み合わせるなどして、多色または白色に視認することができる表示板であってもよい。
表示板7には、文字、図形、絵またはそれらを組み合わせて、任意の表示を行うことができる。この他、表示板には複数の発光素子を配列して構成した注意灯などが備えられてもよい。
【0013】
前記道路情報板システムなどは、例えば図1に示すように、表示すべき情報を管理する中央制御装置8と、1または2以上の情報表示装置1とを伝送ライン82によって接続して構成することができる。この場合、表示板に表示すべき情報の指示は、中央制御装置8から情報表示装置1に送られる。また、情報表示装置1は、外部に設けられた各種センサや装置と接続される場合もある。
本発明において、中央制御装置8から受信した指示や、外部センサなどからの信号に基づいて本情報表示装置1が表示すべき情報を「重要情報」という。例えば、道路情報板システムの場合には、渋滞・事故・規制・気象などの情報である。
一方、上記のような重要情報がないときには、注意喚起のための表示、標語、案内のための表示など、予め定められた表示をすることにより情報板の有効活用を図ることができる。道路情報板システムの例では、このような表示として安全やマナー向上のための注意喚起、標語などが挙げられる。
【0014】
前記情報表示装置1は、図3に示すように、前記表示板7、制御部5および電源部2を備えて構成することができる。
制御部5は、処理装置(CPU)51、記憶部52、伝送部53および制御回路54などを備える。制御部5は、好ましくはマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)及び周辺回路によって構成することができる。
記憶部52には、本情報表示装置1の制御処理を行うためのプログラム、表示項目、文字や図形の表示パターンなどが格納されている。
伝送部53は、前記伝送ライン82を介して、中央制御装置8から表示すべき情報についての指示などを受信するためのインターフェース回路である。
制御回路54は、表示内容に対応した信号、およびその制御のための信号を表示板7(表示ユニット70)に送るためのインターフェース回路である。
電源部2は、本情報表示装置1内の各回路および表示板に電源を供給する。各回路の電源としてシステム電源Vsが生成され、表示板の発光素子の駆動用として表示用電源Vdが生成される。
【0015】
前記のとおり、表示板7は表示ユニット70を配列して構成される。図4は、その表示板7の構成例を表すブロック図である。複数の表示ユニット70が接続されており、それぞれの表示ユニット70は、発光素子を配列して構成された発光素子アレイ71、駆動回路72、シフトレジスタ73などを備える。各表示ユニット70のシフトレジスタ73は、制御部5から伝送される表示に対応したデータ列をラッチし、そのデータ列に基づいて駆動回路72が発光素子アレイ71の各発光素子を駆動するように構成されている。発光素子を駆動する電源として、電源部2から表示用電源Vdが供給される。
【0016】
図5に、本発明の情報表示装置1の全体の構成を示す。情報表示装置1は電源部2、表示板7、制御部5及び電源計測手段6を備えており、このうち表示板7及び制御部5の構成については前述のとおりである。図5において、外部信号(表示指示)84は、前記中央制御装置8や外部センサなどから与えられる表示の指示信号を表す。また、表示板7(表示ユニット70)は分かり易く複数の発光素子710と表示駆動部75によって表わしてあるが、具体的には前記図4に示したような構成とすることができる。
【0017】
本発明の特徴は、電源部2および電源計測手段6を用いた表示の制御方法にある。電源部2には、発電装置20及び商用電源30が備えられている。
まず、発電装置20として、太陽電池を直並列接続して構成された太陽電池パネルを用いることができる。風力発電装置などが補助的に用いられてもよい。太陽電池パネルの実装方法はとくに限定されず、表示板7の筐体の一部として実装されてもよいし、表示板7を支える支柱などに表示板7とは別に共架されてもよい。
発電装置20の出力は、逆流防止のためのダイオード22を介してDC/DCコンバータ4に接続されており、発電装置20により発電された電力はDC/DCコンバータ4に供給される。DC/DCコンバータ4は、発光素子710を駆動するために好適な直流電圧Vdに変換して、表示のための電源を表示板7に供給する。
電源部2は、負荷となる表示板7の発光素子が直流で駆動されるため、インバータを備える必要もなく、簡素な構成で効率のよい電源とすることができる。
また、本情報表示装置1には、発電装置20により発電された電力を蓄積するための蓄電池などを備える必要はないが、例えば、昼間に発電装置20の余った発電電力を蓄え、夜間に蓄えた電力をDC/DCコンバータ4に供給するような蓄電装置を備えてもよい。
【0018】
次に、電源部2は、商用電源30から電源の供給を受けるように構成されている。商用電源30は表示系AC/DCコンバータ32に接続されており、その表示系AC/DCコンバータ32の出力は、発電装置20からDC/DCコンバータ4への電源供給経路(ダイオード22とDC/DCコンバータ4との間)に接続されている。これにより、商用電源30から表示系AC/DCコンバータ32を介して、DC/DCコンバータ4に電源を供給することができる。なお、表示系AC/DCコンバータ32の出力側には逆流防止回路が組み込まれている。
【0019】
表示系AC/DCコンバータ32の出力する直流電圧V2は、一定の日照があるときの発電装置20の出力電圧V1を基準として、V1よりも低いように設定されている。基準とする電圧V1は、例えば、太陽電池パネルの定格出力時の電圧とすることができる。また、一定の日照時における太陽電池パネルの最大出力点に対応する電圧をV1としてもよい。いずれにしても、日照の強さと太陽電池の発電電力と表示の消費電力との関係に基づいて、適宜の電圧値をV1とすることができる。
表示系AC/DCコンバータ32の出力電圧V2は、上記電圧V1よりも低くなるように、上記電圧V1に一定の係数(例えば、0.85)を掛けた値としてもよいし、上記電圧V1から一定の値(例えば、電圧V1が70V程度である場合、10V程度)を引いた値としてもよい。
【0020】
電源部2には、商用電源30の供給を受けて、情報表示装置1内にシステム電源Vsを供給する制御系AC/DCコンバータ34を備えることができる。そして、少なくとも制御部5に、常時電源を供給するように構成することができる。
【0021】
電源計測手段6は、表示板に表示すべき重要情報がないときには表示のための商用電源30からの電力の使用を抑制するように制御するため、商用電源30から前記DC/DCコンバータ4に供給される電力(すなわち、表示板7の発光素子を点灯させるために商用電源30から供給される電力に対応する電力)を検出する手段である。上記電力の検出は、上記電源供給回路において電力(電圧及び電流)を計測するほか、商用電源30から前記DC/DCコンバータ4への供給電力に対応する電流、電圧等を計測することによってされてもよい。したがって、電源計測手段6は、商用電源30から表示系AC/DCコンバータ32を介してDC/DCコンバータ4に電源を供給する電源回路における電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測し、その計測値を制御部5に読み込むように構成することができる。例えば、図5に示すP点に電力計または電流計を備え、その計測値を制御部5に入力できればよい。
本発明の単純な実施形態においては、商用電源30から前記DC/DCコンバータ4への供給電力が一定の値以下であるかどうかが検出されれば足りる。その場合、電源計測手段6として、上記電流、電圧のいずれかまたはその両方が所定値以下であるかどうかを検出する比較手段を備えればよい。この比較手段は、比較回路などハードウェアを用いて構成されてもよいし、電流、電圧などの計測回路と制御部5に備えられるプログラムとにより構成されてもよい。上記所定値は、ゼロとしてもよい。その場合には、制御部5は、表示板7の表示のために商用電源30から供給される電力がほぼゼロであるかどうかを判断することができる。また、上記所定値は、表示板に表示すべき重要情報がないときの電力検出および表示動作を安定にするために、ゼロより大きい適宜の値とすることができる。
【0022】
商用電源30から発光素子を駆動するために供給される電力を検出可能である限り、電源計測手段6による計測部位や計測方法はとくに限定されない。例えば、図6(a)に示すように、商用電源30から表示系AC/DCコンバータ32のみに至る経路に電力(または電流)計測回路61を設け、その計測値を制御部に読み込むことが可能であるように電源計測手段6を構成することができる。また、予め設定された一定の電力値または電流値との比較回路を設け、その比較結果を制御部に読み込むように構成してもよい。
電源計測手段6は、図6(b)に示すように、表示系AC/DCコンバータ32のみからDC/DCコンバータ4に接続される経路に電流計測回路62を設けることにより構成されてもよい。電流計測回路62は、例えば上記経路に直列に挿入した抵抗素子の両端に生じる電圧を計測するなどの方法により、表示系AC/DCコンバータ32からDC/DCコンバータ4に供給される直流電流を計測することができる。上記と同様に、その直流電流を予め決められた一定の電流値と比較する比較回路を設け、その比較結果を制御部に読み込むように構成してもよい。
また、電源計測手段6は、図6(c)に示すように、DC/DCコンバータ4に供給される電圧を計測する電圧計測回路63を設けることにより構成されてもよい。前記のとおり、発電装置20からは出力電圧V1がDC/DCコンバータ4に供給されるが、表示の消費電力をまかなえなくなると出力電圧が低下する。そして、発電装置20からの出力電圧がV2を下回ると、表示系AC/DCコンバータ32から電圧V2の電源がDC/DCコンバータ4に供給される。したがって、DC/DCコンバータ4に供給される電圧を電圧計測回路63により計測することにより、表示系AC/DCコンバータ32すなわち商用電源30から電力が供給される状態であるかどうかを判断することができる。
【0023】
上記電源計測手段6による電流、電圧のいずれかまたはその両方の計測値に応じて、または電源計測手段6により上記電流、電圧などが所定値と比較された結果に基づいて、制御部5は表示板7の表示状態の変更をすることができる。表示状態の変更として、表示項目の変更、表示する文字や図形のサイズの変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯などが挙げられる。これらのうちのいずれか、またはこれらを組み合わせて変更することによって、表示に必要な電力を変化させることができる。
【0024】
表示項目は、例えば図7に表されるように、さまざまな構成とすることができる。図7の例では、同じ目的の表示内容であっても、同図(a)、(b)、(c)、(d)の表示項目の順に表示内容が簡素化されており、点灯する発光素子数が減り消費電力が少なくなる。さらに消費電力が少なくなるように、同図(e)のような別の目的の表示項目に変更してもよい。また、表示を構成する文字や図形のサイズを小さくすることによって点灯する発光素子数を減らし、消費電力を抑えることもできる。
表示の消費電力は、表示輝度を低くすることによっても抑えることができる。また、例えば発光色の異なる発光素子を用いて多色の表示を可能にしているような表示板の場合には、いずれかの発光素子を消灯させて単色表示にするなど、表示色を変更することによって消費電力を低減させてもよい。
また、文字や図形を構成するために点灯させる発光素子を間引きすることもできる。間引きの割合を増加させて点灯する発光素子数を少なくすることによって、消費電力を低減させることができる。
消費電力の最も少ない表示状態としても消費電力量が発電電力量を上回る場合には、表示板を消灯するようにすることができる。表示板が消灯しても、重要情報がないときに表示板の有効活用を図る本発明の趣旨からは問題にならない。
【0025】
(2)情報表示装置の動作
図8は、本情報表示装置の動作を説明するための図である。図8において、縦軸は電力、横軸は時間を表わす。実線で示すPdは、表示板7(発光素子)の消費電力であり、破線P1は発電装置20によって発電される電力である。すなわち、ある表示状態における消費電力Pdのうち、電力P1が発電装置20から供給され、残りの電力P2が商用電源30から供給されることとなる。
図8では、中央制御装置や外部センサなどから指示された重要情報がある期間を、重要情報表示期間Tとしている。まず、指示に基づく重要情報の表示D、続いて表示Dを行う。この期間Tにおいては、所定の情報が完全に表示されるため消費電力Pdが大きく、太陽電池で発電された電力P1によって消費電力Pdの一部が賄われる。すなわち、太陽電池による発電分だけ、商用電源からの電力消費を少なく抑えることができる。
【0026】
次に、表示すべき重要情報がなくなると、前記制御部5は表示のために商用電源から供給される電力を検出し、その検出電力が一定の値以下となるような表示状態で、予め定められた情報を表示する。すなわち、ほぼ太陽電池により発電された電力のみによって表示可能な表示を行う。ここで、上記検出電力は、具体的には前記のとおり電源計測手段6によって電圧、電流などとして計測される計測値である(以下同様)。また、電源計測手段6によって検出された電圧、電流などが所定値以下であるときは、上記検出電力が一定の値以下であるとすることができる。
図8において、重要情報表示期間Tの終了後、最初に表示Dをした状態となる。表示Dをして、表示板7に商用電源30から供給される電力を検出すると、この表示状態では消費電力Pdをほぼ発電電力P1によって賄うことができているため、検出される電力は一定の値以下となる。したがって、制御部はこの表示Dの表示状態を維持して、上記電力の監視を続ける。
次に、表示Dよりも消費電力が大きい表示Dをしても上記検出電力が一定の値以下となった場合には、表示Dの表示状態に変更する。また、1つの表示状態において検出電力が一定の値を超えた場合には、検出電力が所定の値以下となるように表示状態の変更をする。図8においては、表示Dから順にD、D、Dの表示状態とされている。発電量が減少して、どのような表示をしても検出電力が所定の値を超える場合には、表示板を消灯するようにすることができる。
【0027】
どのような表示状態であっても、表示すべき重要情報が発生したときには、制御部は、直ちにそれに対応した表示(図8のD)をすることができる。
以上のような動作によって、本情報表示装置1は、表示すべき重要情報がない場合には、商用電源30から表示板7への電力供給回路を実質上切り離すことができる。しかも、太陽電池20の発電量を監視する必要がなく、簡単な回路と制御方法によって、表示板の有効活用を図ることができる。
【0028】
(3)情報表示方法
本発明の情報表示方法は、上記情報表示装置1の構成を用いて表示を行う方法である。すなわち、本発明の情報表示方法は、前記表示板7、前記DC/DCコンバータ4、前記発電装置20、前記表示系AC/DCコンバータ32および前記電源計測手段6を備えた情報表示装置を使用して、表示板7に情報を表示する表示ステップと、商用電源30から表示系AC/DCコンバータ32を介してDC/DCコンバータ4に供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を電源計測手段6により計測する電源計測ステップと、その電源計測ステップにより計測された電力が所定値を超える場合には、表示板7の表示状態の変更をする表示変更ステップと、を備える。
【0029】
上記情報表示方法の基本的な流れを、図9のフローチャートに沿って説明する。
まず、点灯指示など重要情報があるかどうかを判断する(S01)。そして、表示すべき重要情報があるときには、それに対応した表示をする(S02)。これは前記表示ステップに当たる。重要情報がある場合には、前記電源計測ステップと前記表示変更ステップは実行しない。
一方、ステップS01で表示すべき重要情報がなかったと判断されたときには、予め定められた表示の1つを表示し(表示ステップ)、その表示状態で商用電源30から表示板7の表示のために供給される電力を検出し(電源計測ステップ)、その検出電力が所定値を超える場合には別の表示を準備する(表示変更ステップ)。そして表示ステップ、電源計測ステップおよび表示変更ステップを繰り返して実行することにより、検出電力が所定値以下となる表示状態とすることができる。このためには、表示板7の消費電力が大きい表示から消費電力が小さい表示に向けて順次に、表示ステップと電源計測ステップと表示変更ステップとを繰り返して行えばよい。
【0030】
具体的には、まず、消費電力が最も大きい第1の表示を選択して表示する(S12)。そして、電源計測手段6により電力を検出して(S13)、その検出電力が所定値以下であるかを判断する(S13)。検出電力が所定値以下であった場合には、ステップS01に戻る。これによって、重要情報がなく、かつ検出電力が所定値以下である間は、第1の表示をする状態(第1の表示状態)が維持されることになる。
上記ステップS13において検出した電力が所定値を超えると判断された場合には、消費電力が2番目に大きい第2の表示を選択して表示する(S22)。そして上記第1の表示の場合と同様にして(S23、S24)、重要情報がなく、上記第1の表示の場合には検出電力が所定値を超え、かつ第2の表示をしたときに検出電力が所定値以下である間は、第2の表示をする状態(第2の表示状態)が維持されることになる。
上記第2の表示をしたときにも検出電力が所定値を超える場合には、第3の表示について上記同様のプロセスを繰り返すことができる(S32〜S34)。そして、いずれの表示をしても検出電力が所定値を超える場合には、表示板7を消灯する(S42)。表示板7を消灯した状態であっても、点灯指示があった場合にはただちに対応する表示を行うことができる。
【0031】
ただし、以上に説明した表示方法そのままでは、表示のちらつきや頻繁な表示の変化が生じる。このため、実際には一定時間表示を安定にするような制御が必要とされるが、図9のフローチャートでは省略している。
【0032】
なお、本発明においては、上述の実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
例えば、以上の実施形態においてはとくに蓄電池を用いない場合を説明したが、蓄電池を備えて上記実施形態と同じ処理を実行するようにしてもよい。蓄電池を備えることによって、昼間に発電装置により発電された電力の一部を蓄電池に蓄えておくことができる。通常、表示板の夜間の消費電力は昼間に比べて少ないため、夜間にはその蓄電池から表示板に電力を供給することによって、以上に述べた実施形態と同様の効果を奏することが可能になる。
【符号の説明】
【0033】
1;情報表示装置、2;電源部、20;発電装置(太陽電池)、30;商用電源、32;表示系AC/DCコンバータ、34;制御系AC/DCコンバータ、4;DC/DCコンバータ、5;制御部、6;電源計測手段、7;表示板、70;表示ユニット、710;発光素子、P1;発電装置の供給電力、Pd;表示板(発光素子)の消費電力、V1;発電装置の出力電圧、V2;表示系AC/DCコンバータの出力電圧、Vd;表示板(発光素子)への供給電源、Vs;システム電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、
前記発光素子を点灯させる電力を前記表示板に供給するDC/DCコンバータと、
太陽電池を用いて発電し、発電した直流電圧を出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する発電装置と、
商用電源から電力の供給を受けて前記発電装置の定格出力電圧より低い直流電圧を生成し、その直流電圧を前記発電装置から前記DC/DCコンバータへの電源供給経路に出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータと、
前記商用電源から前記表示系AC/DCコンバータを介して前記DC/DCコンバータに供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測する電源計測手段と、
前記電源計測手段による計測値に応じて前記表示板の表示状態の変更をする制御部と、
を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
商用電源から電力の供給を受けて前記制御部に常時電源を供給する制御系AC/DCコンバータを備える請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定の重要情報がないときには、前記電源計測手段による計測値が所定の値以下となるように前記表示状態の変更をする請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記表示状態の変更は、表示項目の変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯のうちのいずれかまたは2以上の組合せである請求項1ないし3のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項5】
複数の発光素子を用いて情報を表示する表示板と、
前記発光素子を点灯させる電力を前記表示板に供給するDC/DCコンバータと、
太陽電池を用いて発電し、発電した直流電圧を出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する発電装置と、
商用電源から電力の供給を受けて前記発電装置の定格出力電圧より低い直流電圧を生成し、その直流電圧を前記発電装置から前記DC/DCコンバータへの電源供給経路に出力して前記DC/DCコンバータに電源を供給する表示系AC/DCコンバータと、
前記商用電源から前記表示系AC/DCコンバータを介して前記DC/DCコンバータに供給される電源の電流、電圧のいずれかまたはその両方を計測する電源計測手段と、
を備えた情報表示装置を使用して、
前記表示板に情報を表示する表示ステップと、
前記電源計測手段により計測を行う電源計測ステップと、
前記電源計測ステップによる計測値が所定値を超える場合には、前記表示板の表示状態の変更をする表示変更ステップと、
を備えることを特徴とする情報表示方法。
【請求項6】
商用電源から電力の供給を受けて前記制御部に電源を供給する制御系AC/DCコンバータを備えた情報表示装置を使用して、前記制御部に対して常時電源を供給する請求項5記載の情報表示方法。
【請求項7】
所定の重要情報がないときには、表示板の消費電力が大きい表示状態から消費電力が小さい表示状態に向けて順次に、前記表示ステップと前記電源計測ステップと前記表示変更ステップとを繰り返して行うことにより、前記電源計測ステップによる計測値が所定の値以下となるように前記表示状態の変更をする請求項5または6に記載の情報表示方法。
【請求項8】
前記表示状態の変更は、表示項目の変更、表示輝度の変更、表示色の変更、表示パターンを間引きする割合の変更、および表示板の消灯のうちのいずれかまたは2以上の組合せである請求項5ないし7のいずれかに記載の情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−209635(P2011−209635A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79427(P2010−79427)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】