説明

情報表示装置

【課題】ワークの形状特徴の種類に関する情報を容易に表示する情報表示装置を得ること。
【解決手段】ワイヤ放電加工によって加工処理されるワークに関する情報を表示する情報表示装置において、ワークを加工処理する際の加工経路とワークの形状を示す3次元データとを用いて作成された情報であって、加工経路内でワークが形状特徴を有している加工位置および当該加工位置に対応する形状特徴の種類を含む情報を、形状特徴情報として表示する形状特徴表示手段15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの形状特徴に関する情報を表示する情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工装置では、ワーク上の加工箇所の形状によっては加工速度を犠牲にした加工条件を選択しなければ、ワーク断線や加工不良の原因となる場合がある。このため、ワイヤ放電加工装置では、ワーク上の加工箇所の形状によって加工条件を特別に修正して加工を実施したり、すべての領域においてもっともワーク断線が生じやすい箇所の加工条件を用いた加工を行っていた。このようなワイヤ放電加工装置において、加工処理に関する情報(加工箇所に関する情報や加工条件の変化)をオペレータ(ワイヤ放電加工装置の使用者)に通知することができれば、オペレータは加工状況に応じた適切な対応策を講じることが可能となる。また、加工処理に関する情報をオペレータに認識させることができれば、ワーク加工の際にオペレータに安心感を与えることができる。
【0003】
加工条件の変化をオペレータに通知する方法として、情報の表示装置などによってワーク加工に関する情報を表示する技術がある。例えば、特許文献1のワイヤ放電加工機用制御装置では、ワイヤ放電加工において荒加工などの加工状況を判断できるようにするため、荒加工から仕上げ加工までを順次実行する複数回加工の実行過程において、所定距離の移動毎に、加工速度と、加工電圧と、実行箇所の情報とを組にして記憶させ、2次元グラフを表示している。
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/58281号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、加工条件の修正が必要な形状特徴を持つ箇所に関する情報を表示していなかった。このため、ワーク形状に関する情報をオペレータに認識させることができないといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワークの形状特徴の種類に関する情報を容易に表示する情報表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ワイヤ放電加工によって加工処理されるワークに関する情報を表示する情報表示装置において、前記ワークを加工処理する際の加工経路と前記ワークの形状を示す3次元データとを用いて作成された情報であって、前記加工経路内で前記ワークが形状特徴を有している加工位置および当該加工位置に対応する前記形状特徴の種類を含む情報を、形状特徴情報として表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ワークの加工経路内においてワークが形状特徴を有している加工位置と、この加工位置おけるワークの形状特徴の種類を容易に表示する情報表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる情報表示装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかる情報表示装置の構成を示すブロック図である。情報表示装置1は、ワイヤ放電加工装置などのワークの加工機器と接続し、ワイヤ放電加工などの加工処理に関する情報(ワークの形状特徴に関する情報)を表示するNC装置の一機能である。情報表示装置1は、3D(Dimensions)モデル記憶手段11、NC(Numerical Control)プログラム記憶手段12、形状特徴抽出手段(情報作成手段)13、形状特徴DB(Data Base)14、形状特徴表示手段(表示手段)15、加工位置検出手段(位置検出手段)16、入力手段17、形状特徴編集手段(編集手段)18を備えている。
【0011】
3Dモデル記憶手段11は、ユーザがCAD等を用いて作成する加工対象となるワーク(被加工物)の形状に関する情報(座標などを用いた3Dモデルで示される情報)(以下、3Dモデル情報という)をワークの種類毎に記憶する。NCプログラム記憶手段12は、ワークのワイヤ放電加工に用いるNCプログラム(ワークの加工経路を含み、ワイヤ放電加工を行なう際の加工制御に用いる制御情報)をワーク毎に記憶する。
【0012】
形状特徴抽出手段13は、3Dモデル記憶手段11、NCプログラム記憶手段12、形状特徴DB14と接続している。形状特徴抽出手段13は、3Dモデル記憶手段11が記憶する3Dモデル情報と、NCプログラム記憶手段12が記憶するNCプログラムとを用いて、ワークの形状特徴を抽出(形状特徴の種類を設定)する。形状特徴抽出手段13は、ワークの形状特徴として例えばワーク内(加工経路中)の段差(板厚が変化する位置)、止め穴(ざぐり穴)の入口(止め穴入口)、止め穴の出口(止め穴出口)などを抽出する。抽出方法は、例えば特開2006−142396、特願2001−578119によって公知になっている。形状特徴抽出手段13は、抽出した形状特徴と、この形状特徴が存在する3Dモデル情報上のワークの座標と対応付けし、形状特徴情報として形状特徴DB14に記憶させる。
【0013】
形状特徴DB14は、形状特徴抽出手段13が生成した形状特徴情報や、形状特徴抽出手段13が生成する後述の加工シミュレーションデータ、形状特徴編集手段18によって編集された形状特徴情報や加工シミュレーションデータを記憶する。
【0014】
加工位置検出手段16は、加工中に加工位置(ワークに対するワイヤの位置)を形状特徴表示手段15に送信する。なお、NCプログラムは3Dモデルから作成されており原点は一致しているため、NCプログラムの加工位置が3Dモデル上の加工位置となっている。
【0015】
形状特徴表示手段15は、タッチパネルなどの情報の表示機能を含んで構成されており、形状特徴DB14が記憶している形状特徴情報や加工シミュレーションデータを表示する。形状特徴表示手段15は、ワークの加工中に、加工位置検出手段16が検出したワークの加工位置に応じた形状特徴情報を形状特徴DB14から抽出し表示する。形状特徴情報とは例えば止め穴入り口、止め穴出口、段差などで、これらの箇所では急激に加工状況が変わり加工が不安定になる。また、形状特徴表示手段15は、入力手段17に所定の指示情報(加工のシミュレーションデータを表示させる指示情報)が入力された場合には、入力された指示情報に基づいて、ワーク上の加工経路やこの加工経路上での形状特徴情報を形状特徴DB14から抽出し、加工シミュレーションデータ(加工経路と形状特徴情報とを対応付けした情報)(図4)として表示する。
【0016】
入力手段17は、マウスやキーボードなどの情報の入力機能を備えて構成されており、オペレータなどによって入力された情報を、形状特徴編集手段18や形状特徴表示手段15に送信する。ここでの入力手段17へは、加工経路上の形状特徴情報を表示させるための情報(加工経路上の位置を指定する情報)や、形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)を編集する際の指示情報などが入力される。加工経路上の形状特徴情報を表示させる場合、例えばマウスポインタ(マウスカーソル)によって加工経路上の位置を指定する。
【0017】
形状特徴編集手段18は、形状特徴表示手段15に形状特徴情報を表示させながら、入力手段17に入力された指示情報に基づいて、形状特徴DB14内の形状特徴情報を変更する。形状特徴編集手段18は、編集後の形状特徴情報を形状特徴DB14に記憶させる。
【0018】
つぎに、情報表示装置1の処理手順について説明する。ここでは、まず情報表示装置1がワーク加工を行っている際の情報の表示処理手順を説明し、その後、加工シミュレーションデータの作成処理手順、加工シミュレーションデータの表示処理手順、加工シミュレーションデータの編集処理手順について説明する。
【0019】
まず、情報表示装置1がワーク加工を行っている際の情報の表示処理手順について説明する。図2は、ワーク加工中の情報の表示処理手順を示すフローチャートである。情報表示装置1の形状特徴DB14には、予め形状特徴情報を格納しておく。
【0020】
ワイヤ放電加工装置がワークの放電加工を開始すると、たとえば0.1mm進む毎に加工位置検出手段16はワーク上の加工位置(XY平面上のX座標とY座標)の検出を開始する(ステップS10)。そして、加工位置検出手段16は、検出したワークの加工位置(加工位置情報)を、加工中、形状特徴表示手段15に送信する。
【0021】
形状特徴表示手段15は、検出したワークの加工位置を表示する。形状特徴表示手段15は、検出したワークの加工位置に応じて、表示しているワーク上で位置ポインタを進めていく(ステップS20)。
【0022】
形状特徴表示手段15は、検出したワークの加工位置(座標)が形状特徴を有した位置(形状特徴位置)であるか否かを判断するため、例えば0.1mm進む毎に形状特徴DB14を参照する(ステップS30)。
【0023】
ここで、形状特徴DB14が記憶する形状特徴情報の構成について説明する。図3は、形状特徴情報の構成の一例を示す図である。形状特徴情報は、ワーク上の座標と、この座標に対応するワークの形状特徴と、この形状特徴に対応する加工処理(制御情報)とがそれぞれ対応付けられた情報(データテーブル)である。
【0024】
ここでは、例えば、ワーク上の座標(4,0)での形状特徴が「段差」(加工経路中で板厚が変化する箇所)であり、この段差位置ではワイヤ放電加工の際に用いる加工液の液量を小さくすること(例えば通常加工時の0.5倍)を示している。なお加工液の液量を小さくする等の制御はNCが自動的に行ってもよいし、ユーザが表示を見て手動で行うようにしてもよい。
【0025】
また、ワーク上の座標(8,0)での形状特徴が「止め穴入口」(加工経路中で止め穴位置に進入する箇所)であり、この止め穴入口の位置ではワイヤ放電加工の際に用いる加工液の液量を極めて小さくすること(例えば通常加工時の0.3倍)を示している。
【0026】
また、ワーク上の座標(10,0)での形状特徴が「止め穴出口」(加工経路中で止め穴位置から出てくる箇所)であり、この止め穴出口の位置ではワイヤ放電加工の際に用いる加工液の液量を小さくすること(例えば通常加工時の0.5倍)を示している。
【0027】
検出した加工位置が形状特徴位置の所定範囲内(例えば±1mm)である場合(ステップS40、Yes)形状特徴表示手段15は、検出した加工位置に対応する形状特徴情報(ワークの加工位置と形状特徴)を形状特徴DB14から抽出し表示する。
【0028】
ここで、形状特徴表示手段15が表示する画面の内容について説明する。図4は、表示画面の一例を示す図である。表示画面21では、例えばワーク22、ワイヤ23、加工された後のワーク22の加工面(ワークの断面)24、止め穴25などとともに、ワーク22の加工位置と形状特徴とを対応付けた形状特徴情報を表示する。
【0029】
表示画面21では、ワーク22の加工状態として、例えば加工中のワーク22の形状を加工面24が分かるよう3次元表示する。また、表示画面21では、形状特徴情報として例えば現在の加工位置の座標(現在位置X、現在位置Y)と、この座標に対応する形状特徴の種類を表示する。
【0030】
図5は、図4の表示画面で表示される形状特徴情報表示の別の例を示す図である。ここでは、形状特徴情報として現在の加工位置である現在位置X(4.000)と現在位置Y(0.000)を示している。また、この座標に対応する形状特徴の種類を示すため、形状特徴表示手段15は、現在の加工位置に対応する加工中の形状特徴の表示(状態表示)として例えば形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を点灯させる(ステップS60)。図5では現在止め穴入口付近に近づいていることを示している。
【0031】
一方、検出した位置が形状特徴位置でない場合(ステップS40、No)、形状特徴表示手段15は、検出した位置が「形状特徴位置+所定値A」の範囲内であるか否か(位置≦形状特徴位置+所定値A)を判断する(ステップS50)。なお所定値Aとは例えば加工液のかかり方の影響などで加工状況が急激に変化する可能性がある領域を示す。検出した位置が「形状特徴位置+所定値A」の範囲外となっている場合(ステップS50、No)、形状特徴表示手段15は、加工中の形状特徴の表示(状態表示)を終了する。形状特徴表示手段15は、状態表示の終了処理として、例えば形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を消灯させる(ステップS70)。
【0032】
検出した位置が(形状特徴位置+所定値A)の範囲内である場合や(ステップS50、Yes)、状態表示を点灯させた後(ステップS60)、形状特徴表示手段15は、NCプログラムが終了したか否かを判断する(ステップS80)。NCプログラムが終了していなければ(ステップS80、No)、形状特徴表示手段15は、ステップS10〜ステップS80の処理を繰り返す。形状特徴表示手段15は、NCプログラムが終了すると(ステップS80、Yes)、形状特徴の表示処理を終了する。
【0033】
つぎに、加工シミュレーションデータの作成処理手順について説明する。ここでの加工シミュレーションデータは、ワークの加工経路と形状特徴情報からなる情報であり、ワークの加工経路上で加工位置が指定された場合に、指定位置に応じた形状特徴情報を表示させるための情報である。
【0034】
図6は、加工シミュレーションデータの作成手順を示すフローチャートである。情報表示装置1の3Dモデル記憶手段11には予め3Dモデル情報を格納しておき、NCプログラム記憶手段12には予めNCプログラムを格納しておく。
【0035】
形状特徴抽出手段13は、加工シミュレーションデータの作成処理の対象となっているワークの3Dモデル情報を3Dモデル記憶手段11から抽出する。また、形状特徴抽出手段13は、加工シミュレーションデータの作成処理の対象となっているワークのNCプログラムをNCプログラム記憶手段12から抽出する。
【0036】
なお、加工シミュレーションデータは加工前に全て作成してもよいし、加工途中にNCプログラムの先読み処理をしながら判断してもよい。形状特徴抽出手段13は、3Dモデル情報内の3Dモデル上でNCプログラム(加工経路(軌跡))に沿って加工位置を移動させていく(ステップS110)。形状特徴抽出手段13は、3Dモデル上で加工位置を移動させながら、各加工位置に特別な処理を施す必要がある特徴的な形状があるか否かを判断する(ステップS120)。ここでの特徴的な形状は、例えばワーク内の段差、止め穴などである。
【0037】
加工位置に特徴的な形状がある場合(ステップS120、Yes)、形状特徴抽出手段13は、特徴的な形状と交わる点(加工位置)と、この点に対応する形状特徴を形状特徴DB14に記憶させる(ステップS130)。加工位置と形状特徴を対応付けした情報が形状特徴情報であり、この形状特徴情報と加工経路が加工シミュレーションデータとなる。一方、加工位置に形状特徴がない場合(ステップS120、No)、形状特徴抽出手段13は、形状特徴DB14へは形状特徴情報を記憶させない。
【0038】
つぎに、形状特徴抽出手段13は、NCプログラムに基づくワーク上のワイヤ経路移動シミレーションが、が終了したか否かを判断する(ステップS140)。NCプログラムが終了していなければ(ステップS140、No)、形状特徴抽出手段13は、ステップS110〜ステップS140の処理を繰り返す。形状特徴抽出手段13は、NCプログラムが終了すると(ステップS140、Yes)、加工シミュレーションデータの作成処理を終了する。
【0039】
つぎに、加工シミュレーションデータの表示処理手順について説明する。例えばユーザが「加工シミュレーションデータ表示ボタン」を押すことによって表示される。この作業は3次元データは必ずしも実際のワークと同じとは限らない。また、通常特別な処理を行う形状であっても他の理由(例えば断線してもよい)により必ずしも特別な処理をしないようにするため、ユーザは3次元データを確認、修正するために行う。図7は、加工シミュレーションデータの表示処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは加工中のワークの形状特徴を表示する処理と同様の処理を行う手順についてはその説明を省略する。
【0040】
形状特徴表示手段15は、入力手段17に入力された指示情報に基づいて加工シミュレーションデータを表示させるため、マウスなどによって移動させられた位置ポインタ(マウスポインタによって指定される加工経路上の位置)を検出する(ステップS210)。
【0041】
そして、形状特徴表示手段15は、検出した位置ポインタに対応する位置(座標)が形状特徴を有した位置(形状特徴位置)であるか否かを判断するため、形状特徴DB14に格納されている座標と大きさを参照し範囲内か否かの判断を行う。
【0042】
検出した位置が形状特徴位置である場合、形状特徴表示手段15は、検出した位置に対応する形状特徴を形状特徴DB14から抽出し表示する(ステップS220,S230)。形状特徴表示手段15は、加工シミュレーションデータ(形状特徴)の表示として、例えば形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を点灯させる。
【0043】
検出した位置が形状特徴位置でない場合、形状特徴表示手段15は、検出した位置が「形状特徴位置+所定値A」の範囲内であるか否かを判断する。検出した位置が「形状特徴位置+所定値A」の範囲外となっている場合、形状特徴表示手段15は、表示している加工シミュレーションデータの表示を終了する。形状特徴表示手段15は、加工シミュレーションデータ(形状特徴)の表示の終了処理として、例えば形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を消灯させる。
【0044】
つぎに、加工シミュレーションデータの編集処理手順について説明する。図8は、加工シミュレーションデータの編集処理手順を示すフローチャートである。加工シミュレーションデータ(形状特徴情報)の編集を指示する指示情報がユーザにより入力手段17に入力されると、入力手段17は、この指示情報を形状特徴編集手段18や形状特徴表示手段15に送信する。
【0045】
形状特徴表示手段15は、指示情報によって指定された編集対象となる加工シミュレーションデータを形状特徴DB14から抽出する。そして、NCプログラム記憶手段12から編集対象となる加工シミュレーションデータのNCプログラム(加工経路)、3Dモデル記憶手段11からワーク形状(上面図)、図9で示す通りの形状特徴名の一覧表(特徴一覧データ42)とを読み出すと共に、マウスポインタ41とあわせてを画面表示する。
【0046】
形状特徴表示手段15が表示する加工シミュレーションデータの画面が閉じられるまでの間(ステップS310、No)、形状特徴編集手段18は、加工シミュレーションデータとして表示されているワークの形状上でマウスがクリック(マウスポインタで指定)されたか否か(入力手段17を介して編集位置を指定する指示情報が入力されたか否か)を判断している(ステップS320)。
【0047】
加工シミュレーションデータとして表示されているワークの形状上でマウスがクリック(位置指定)された場合(ステップS320、Yes)、形状特徴表示手段15はクリックされた箇所に対応する形状特徴を形状特徴DB14から図9で示すとおり抽出し表示する(ステップS330)。
【0048】
図9は、マウスポインタで指定された加工位置の形状特徴の表示例を示す図である。同図に示すように、マウスポインタ41によって指定された位置が形状特徴位置である場合には、状態表示として例えば特徴一覧データ42内の形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を点灯させる。
【0049】
マウスポインタ41によって指定された位置が形状特徴位置である場合であって、この形状特徴位置とは異なる他の形状特徴が入力手段17を介して特徴一覧データ42内からマウスにより指定された場合、形状特徴編集手段18や形状特徴表示手段15は、形状特徴が変更されたと判断し(ステップS340、Yes)、この加工位置での形状特徴を指定された形状特徴に変更する処理を行う(ステップS350)。
【0050】
具体的には、入力手段17へ、形状特徴を変更する指示情報(オペレータ所望の形状特徴を指定する指示情報)が入力されると(例えば、特徴一覧データ42内の形状特徴名をクリックする処理や、形状特徴名に対応するボタン(図示せず)の押下)、入力手段17はこの指示情報を形状特徴編集手段18や形状特徴表示手段15に送信する。
【0051】
形状特徴表示手段15は、入力手段17に入力された指示情報に基づいて、形状特徴名の表示を変更(特徴一覧データ42内の形状特徴名の横に配置させたランプ図柄を変更)する。また、形状特徴編集手段18は入力された指示情報に基づいて、形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)内の形状特徴を変更する。形状特徴編集手段18は、編集(変更)後の形状特徴情報を形状特徴DB14に記憶させる。
【0052】
これにより、以降の処理で形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)を用いてワークの放電加工を行う際には、変更後の形状特徴情報を用いて加工処理が行われる。したがって、形状特徴情報が変更された加工位置では、実際の形状特徴を無視し、変更後の(オペレータによって指定された)形状特徴に対応する加工条件でワークの加工処理が行われる。
【0053】
形状特徴表示手段15が表示する加工シミュレーションデータの画面が閉じられるまでの間(ステップS310、No)、ステップS310〜S350の処理が繰り返される。加工シミュレーションデータの画面が閉じられと(ステップS310、Yes)、加工シミュレーションデータの変更処理を終了する。
【0054】
なお、本実施の形態では、形状特徴情報や加工シミュレーションデータの表示処理として、図4,5,9に示した情報を形状特徴表示手段15に表示することとしたが、形状特徴表示手段15に表示させる情報はこれらの情報に限られない。ここで、加工シミュレーションデータの他の表示例について説明する。
【0055】
図10は、加工シミュレーションデータの他の表示例を説明するための図である。同図に示すように、ここでは加工シミュレーションデータとして、ワイヤ放電加工による加工断面のデータ(加工経路の展開図)(加工断面情報)を表示している。
【0056】
さらに、形状特徴抽出手段13は、加工シミュレーションデータにおいて、加工断面内で板厚の変化(加工後の断面形状が変化)する位置に基づいて、加工断面内をブロック毎に区切って表示し、各ブロックに所定の色分けや模様分けなどの処理を行ってもよい。
【0057】
図11は、図10の加工断面をブロック分割した場合の加工断面図である。同図に示すように、ここでは加工断面内で板厚の変化する位置に基づいて加工断面内をブロック分割し、加工後の断面形状の種類毎に所定の色分けを行っている。
【0058】
また、加工後の断面形状が同じ場合であっても、加工方向が変化する位置で加工断面内をブロック分割してもよい。ここでは、図10での座標(0,0)の前後で加工方向がY方向からX方向に変化しているので、座標(5,0)〜(0,0)のブロックと、座標(0,0)〜(4,0)のブロックで異なる色分け表示を行なっている。
【0059】
なお、図10および図11に示した加工シミュレーションデータは、外部装置(CAD/CAM)(Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturing)で作成してもよい。
【0060】
なお、本実施の形態では、情報表示装置1が3Dモデル記憶手段11、NCプログラム記憶手段12を備える構成としたが、情報表示装置1が3Dモデル記憶手段11、NCプログラム記憶手段12を備えない構成としてもよい。この場合、情報表示装置1は、外部装置が記憶する3Dモデル情報とNCプログラムを用いて形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)を抽出し、抽出した形状特徴情報を形状特徴DB14に記憶させる。そして、形状特徴DB14内の形状特徴情報を用いてワークの形状特徴情報を表示させる。これにより、情報表示装置1の構成が簡易な構成となる。
【0061】
また、本実施の形態では、情報表示装置1が3Dモデル記憶手段11、NCプログラム記憶手段12、形状特徴抽出手段13を備える構成としたが、情報表示装置1が3Dモデル記憶手段11、NCプログラム記憶手段12、形状特徴抽出手段13を備えない構成としてもよい。この場合、情報表示装置1は、外部装置で作成された形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)を形状特徴DB14に記憶させ、形状特徴DB14内の形状特徴情報を用いてワークの形状特徴情報を表示させる。これにより、情報表示装置1の構成が簡易な構成となる。
【0062】
また、本実施の形態では、情報表示装置1が形状特徴DB14を備える構成としたが、情報表示装置1が形状特徴DB14を備えない構成としてもよい。この場合、情報表示装置1が形状特徴抽出手段13を備えていなければ、情報表示装置1は外部装置から形状特徴情報を読み出してワークの形状特徴情報を表示させる。また、情報表示装置1が形状特徴DB14を備えていない場合において形状特徴抽出手段13を備えていれば、形状特徴抽出手段13が抽出した形状特徴情報を用いてワークの形状特徴情報を表示させる。これにより、情報表示装置1の構成が簡易な構成となる。
【0063】
また、本実施の形態では、情報表示装置1がワイヤ放電加工装置と接続する構成としたが、ワークを加工していない時の処理(加工シミュレーションデータの作成、表示、編集)では、情報表示装置1がワイヤ放電加工装置と接続していなくてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、3Dモデル情報とNCプログラムを用いてワークの形状特徴を抽出することとしたが、3Dモデル情報とワークの加工経路を用いてワークの形状特徴を抽出してもよい。
【0065】
このように実施の形態によれば、ワークの形状特徴に関する情報を表示する情報表示装置を得ることが可能となる。これにより、ワーク形状に関する情報をオペレータに認識させることができ、ワーク加工の際にオペレータに安心感を与えることができる。また、加工処理中以外のタイミングであっても加工シミュレーションデータを表示できるので、ワークの加工に用いるNCプログラムの検証を容易に行なうことが可能となる。
【0066】
また、形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)を作成できるので、情報表示装置1へは、NCプログラムと3Dモデル情報を入力しておくだけで、形状特徴情報を表示することが可能となる。
【0067】
また、形状特徴情報(加工シミュレーションデータ)の編集を行えるので、実際の加工形状を無視した形状特徴情報の作成(変更)も可能となり、変更後の形状特徴情報を用いてワークの加工を行なうことによってワークの加工処理を効率よく行うことが可能となる。
【0068】
また、加工断面内をブロック分割し、加工経路の展開図として加工シミュレーションデータを表示させるので、ワーク形状に関する情報をオペレータに容易に認識させることが可能となる。さらに、ブロック毎に色分けや模様分けをして加工シミュレーションデータを表示させるので、ワーク形状に関する情報をオペレータにさらに容易に認識させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる情報表示装置は、ワークの形状特徴に関する情報の表示に適している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態にかかる情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ワーク加工中の情報の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図3】形状特徴情報の構成の一例を示す図である。
【図4】表示画面の一例を示す図である。
【図5】表示画面で表示される形状特徴情報の一例を示す図である。
【図6】加工シミュレーションデータの作成手順を示すフローチャートである。
【図7】加工シミュレーションデータの表示処理手順を示すフローチャートである。
【図8】加工シミュレーションデータの編集処理手順を示すフローチャートである。
【図9】マウスポインタで指定された加工位置の形状特徴の表示例を示す図である。
【図10】加工シミュレーションデータの他の表示例を説明するための図である。
【図11】加工断面をブロック分割した場合の加工断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 情報表示装置
11 3Dモデル記憶手段
12 NCプログラム記憶手段
13 形状特徴抽出手段
14 形状特徴DB
15 形状特徴表示手段
16 加工位置検出手段
17 入力手段
18 形状特徴編集手段
21 表示画面
22 ワーク
23 ワイヤ
24 加工面
25,51 止め穴
41 マウスポインタ
42 特徴一覧データ
52 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ放電加工によって加工処理されるワークに関する情報を表示する情報表示装置において、
前記ワークを加工処理する際の加工経路と前記ワークの形状を示す3次元データとを用いて作成された情報であって、前記加工経路内で前記ワークが形状特徴を有している加工位置および当該加工位置に対応する前記形状特徴の種類を含む情報を、形状特徴情報として表示する表示手段を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記ワークの加工処理中の位置を加工位置情報として検出する位置検出手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記位置検出手段が検出した加工位置情報に応じた形状特徴情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記加工経路内の加工位置を指定する外部入力された情報に基づいて、前記形状特徴情報の中から指定された加工位置に応じた形状特徴の種類を抽出して表示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
外部入力された指示情報に基づいて、前記ワイヤ放電加工を行なう際の加工制御に用いる制御情報および前記形状特徴情報内の前記形状特徴の種類を変更して編集する編集手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記編集手段が編集した形状特徴情報を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記加工経路および前記3次元データに基づいて前記加工経路内から前記ワークが形状特徴を有している加工位置を抽出するとともに、前記加工位置および前記3次元データに基づいて前記加工位置に対応する前記形状特徴の種類を設定して前記形状特徴情報を作成する情報作成手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記情報作成手段が作成した形状特徴情報を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報表示装置。
【請求項6】
ワイヤ放電加工によって加工処理されるワークに関する情報を表示する情報表示装置において、
前記ワークを加工処理する際の加工経路と前記ワークの形状を示す3次元データとを用いて作成された情報であって、前記加工経路に沿ってワイヤ放電加工した場合の前記ワークの加工断面図を加工断面情報として表示する表示手段を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記加工断面図を表示する際に、前記加工経路内で前記ワークが形状特徴を有している加工位置で前記加工断面図を区切って表示することを特徴とする請求項6に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−100334(P2008−100334A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286576(P2006−286576)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】