説明

情報表示装置

【課題】鮮明さを向上させたカラー画像を表示可能な情報表示装置を提供する。
【解決手段】 ロジックコントローラ150は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって透明領域110Wに表示されるW領域の階調zwを、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bに表示される各色の階調(R領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zb)のうち最も低い階調を有する色と同じ階調に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が表示される表面基板側に形成される電極と、表面基板に対向する裏面基板側に形成される電極とに電圧を印加することにより、電極間に封入された表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報が表示される情報表示領域を有する透明な表面基板と、前記表面基板に対向する裏面基板との間に、隔壁により互いに隔離された空間(セル)を形成し、電気的に駆動可能な白色又は黒色に着色された表示媒体(例えば、電子粉流体(登録商標))をセル内に1種類以上封入した情報表示装置が知られている。このような情報表示装置では、表面基板側に形成された電極と、裏面基板側に形成された電極とに電圧を印加することによって、白色又は黒色に着色された表示媒体を表面基板側或いは裏面基板側に移動させることにより画像を含む情報を表示する。
【0003】
また、このような情報表示装置において、三原色カラーを有するカラーフィルタを用いて、カラー画像を表示する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような情報表示装置は、バックライトを備えていないため、観測者にカラー画像が全体的に暗く表示されるような印象を与える。
【0004】
そこで、このような情報表示装置では、明るさを補うことを目的として、例えば、1つの画素を三原色カラーが形成される領域と無色透明な領域の4領域から構成し、白色又は黒色に着色された表示媒体によって、無色透明な領域において反射される反射光を調整することにより、カラー画像の明るさを修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−171650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した情報表示装置では、本来、三原色カラーで表されるカラー画像を無色透明領域に表示される白黒の階調を含む4色で表示している。そのため、白色又は黒色に着色された表示媒体によって調整される階調が三原色カラーに対して過大な場合には、カラー画像の再現性が損なわれ、過少な場合には、表示されるカラー画像の明るさが不十分になることがあった。このように、上述した情報表示装置には、依然として改善の余地が残されていた。
【0007】
そこで、本発明は、カラー画像の再現性と明るさとを両立させることにより、鮮明さを向上させたカラー画像を表示可能な情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、少なくとも一方が透明な一対の電極部と、前記一対の電極部と対応して設けられ、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の電極部の間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極部に向けて移動する表示媒体と、前記表示媒体が駆動する電圧を前記一対の電極部に印加する駆動部と、前記透明な基板側にカラー画像の表示に必要な複数の所定カラーが表示されるC領域と、黒色、白色、及び黒色と白色の中間色が表示されるW領域とを有する情報表示装置であって、前記駆動部は、前記W領域に表示される色の階調を、前記任意のカラーデータのうち最も低い階調と同じ階調に設定することにより、前記複数の所定カラーによって前記カラー画像を表現した任意のカラーデータを前記複数の所定カラーと黒色、白色、及び黒色と白色の中間色とを含むカラーデータに変更することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鮮明さを向上させたカラー画像を表示可能な情報表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の平面図であり、図2(b)は、幅方向(Y方向)及び高さ方向(Z方向)に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るカラー調整処理を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、図5に示すフローチャートにおける処理Aを説明するフローチャートである。
【図7】図7は、図6に示すフローチャートにおける処理Bを説明するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係るカラー調整処理を説明する図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係るカラー調整処理を説明する図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係るカラー調整処理を説明する図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係るカラー調整処理によって調整された後のC領域及びW階調の階調を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る情報表示装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0012】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0013】
(1)情報表示装置の概略説明
図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。図1に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100と筐体200とを有する。画像表示パネル100は、情報表示装置10に読み込まれた画像データに基づいて画像を表示する。筐体200は、画像表示パネル100及び画像表示パネル100を駆動する電源やプリント回路基板(PCB)などを収容する。筐体200の側部には、メモリカードのスロット及びUSBインタフェース(不図示)などが設けられてもよい。
【0014】
画像表示パネル100は、表示媒体移動型であり、具体的には、例えば、白色と黒色の電子粉流体(登録商標)などの帯電性粒子を含んだ複数の粒子群が用いられる。画像表示パネル100のサイズは、特に限定されないが、本実施形態では、6インチ〜15インチ程度であるものとして以下説明する。
【0015】
(2)画像表示パネルの構造
以下において、画像表示パネル100の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2(a)は、画像表示パネル100の拡大平面図である。図2(b)は、図2(a)のB−B断面図である。図2(b)は、白色表示媒体90Wが情報表示面側(図中の「目」のマークを参照)に位置している状態を示す。
【0016】
図2(a)及び(b)に示すように、画像表示パネル100は、表面基板20a、裏面基板20b、平坦化層30、表面電極40a、裏面電極40b、隔壁50及びカラーフィルタ110を有する。
【0017】
一対の表面基板20a及び裏面基板20bのうち、表面基板20aは、情報表示面側に形成される。表面基板20aは透明な基板である。表面基板20aは、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものが好ましい。裏面基板20bは、表面基板20aと対向する。本実施形態では、裏面基板20bも透明な基板である。なお、裏面基板20bは必ずしも透明でなくてもよく、一方の基板(表面基板20a)が透明であればよい。
【0018】
表面基板20a及び裏面基板20bは、一対の電極部(表面電極40a,裏面電極40b)に対応して設けられる。具体的には、表面基板20a及び裏面基板20bは、表面電極40a,裏面電極40bよりも外側にそれぞれ設けられる。
【0019】
平坦化層30は、表面基板20aと表面電極40aとの間に形成される。平坦化層30は、表面基板20aの全面を覆っているが、平坦化層30は、表面基板20aを部分的に覆っていてもよい。平坦化層30の表面電極40a側の表面は、平らに形成される。平坦化層30は、透明である。表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bとが含まれる。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、C領域を構成する。C領域を構成する赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、カラー画像の表示に必要な、いわゆる三原色カラー「R(赤)、G(緑)、B(青)」であり、「所定カラー」に相当する。
【0020】
図2(a)に示されるように、表面基板20a側からの平面視において、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは規則性を持って配列されている。具体的には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、平面視において格子状に形成された隔壁50に囲まれた領域に配置されている。隔壁50に囲まれた領域において、図2の紙面において、左上に赤フィルタ110Rが配置され、右上に緑フィルタ110Gが配置され、左下に青フィルタ110Bが配置されている。右下の領域には、カラーフィルタ110が配置されない透明領域110Wが形成されている。透明領域110Wは、W領域を構成する。透明領域110W領域には、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって、黒色、白色、及び黒色と白色の中間色が表示される。
【0021】
図2(b)に示されるように、白色表示媒体90Wが表面基板20a側の青フィルタ110Bに対応する位置にある場合、観察者には青色が表示されていると視認される。その他の色についても同様である。
【0022】
表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。更に、カラーフィルタ110のの裏面電極40b側には、平坦化層30が形成されている。そのため、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔が一定に保たれる。平坦化層30を形成することによって、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔を一定に保つことができ、表示媒体100の応答性を均一にできる。カラーフィルタ110は、例えば、表面基板20a上にカラーフィルタレジストを塗布したり、カラーインクを印刷することによって形成される。
【0023】
表面電極40aは、表面基板20a側に形成される透明な電極である。表面電極40aは、表面基板20aの内側の表面に形成されている。裏面電極40bは、裏面基板20b側に形成される電極である。裏面電極40bは裏面基板20bの内側に形成されている。表面電極40a及び裏面電極40bは、細長い帯状の電極であり、互いに交差(実施形態では、直交する)するように配設、つまり、マトリックス状に配設されており、画像表示パネル100では、パッシブマトリックス駆動方式が用いられる。
【0024】
具体的には、表面電極40aは、画像表示パネル100の長さ方向(X方向)に沿って複数配設される。一方、裏面電極40bは、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に沿って複数配設される。本実施形態において、表面電極40aは、所定方向に配設された第1電極を構成し、裏面電極40bは、所定方向と交差する方向に配設された第2電極を構成する。表面電極40aと裏面電極40bとが交差するそれぞれの部分が、画素に対応する。
【0025】
隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間に形成される。隔壁50は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bが封入される空間Sを仕切る。隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間の空間を確保するために設けられる。空間Sには、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bの他に、気体(例えば、空気)が封入されている。隔壁50は、表面基板20a側からの視点において格子状に形成される。格子状とは、所定の空間が形成されるように、周期的に配置されていればよい。空間Sは真空にすることもできる。
【0026】
なお、上述した表面基板20a、裏面基板20b、表面電極40a、裏面電極40b及び隔壁50としては、上述した特開2008−158509号公報などに記載されている材料を適宜用いることができる。また、平坦化層30としては、例えば、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマーなどの透明性を有する高分子を用いることができる。
【0027】
また、画像表示パネル100は、有色層70及び散乱層80を有する。有色層70は、裏面基板20bの外側に形成される。裏面基板20bの外側とは、表面基板20a側とは反対側をいう。有色層70は、裏面基板20bの外側の表面上に形成されている。なお、有色層70は、表面基板20a側からの視点において、隔壁50と対応する部分に形成されていてもよい。
【0028】
散乱層80は、表面基板20aの外側に形成されている。表面基板20aの外側とは、裏面基板20b側とは反対側をいう。散乱層80は、表面基板20a上に形成されている。散乱層80は、光を散乱する。散乱層80は、光を散乱すれば、散乱方法は問わない。例えば、散乱層80の表面に凹凸を有することにより、光を散乱させる。
【0029】
なお、図2(b)に示されるように、画像表示パネル100において、表面基板20aと、表面電極40aと、カラーフィルタ90とを含み、パネルPと表す。パネルPは、平坦化層30及び散乱層70を含んでもよい。パネルPは、表面基板20a側から白色表示媒体80との間にある部材によって構成される。
【0030】
白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、表面電極40aと裏面電極40bとの間に封入される。例えば、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群である白色表示媒体90W及び正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群である黒色表示媒体90Bは、表面電極40a及び裏面電極40bを介して電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。つまり、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、それぞれ異なる極性の帯電性を有し、電気的に駆動可能である。具体的には、表面電極40aと裏面電極40bとに電圧を印加することによって、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、何れかの電極に向けて移動する。
【0031】
本実施形態では、表面電極40aに正の電圧を印加すると、白色表示媒体90Wが表面電極40a側に移動し、黒色表示媒体90Bが裏面電極40b側に移動する。一方、表面電極40aに負の電圧を印加すると、黒色表示媒体90Bが表面電極40a側に移動し、白色表示媒体90Wが裏面電極40b側に移動する。
【0032】
本実施形態では、白色表示媒体90Wは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練する。得られた溶融混練物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して、負帯電性の白色粒子群(白色表示媒体90W)を得ることができる。
【0033】
また、黒色表示媒体90Bは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させる。分散させた液に、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させる。その後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させる。その液を、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製))を0.5%添加した精製水に懸濁させる。懸濁液をろ過し、得られた粒子を乾燥させる。得られた乾燥物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級することによって、黒色粒子群(黒色表示媒体90B)を得ることができる。
【0034】
(3)情報表示装置のブロック構成
図3は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。図4は、情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【0035】
(3.1)ハードウェア構成
図3に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアとして、電源部210、PCB220、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225B及びTCP230を備える。
【0036】
電源部210は、バッテリ、またはAC電源と交直電圧変換器とによって構成される。PCB220(プリント回路基板)には、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225Bが搭載される。
【0037】
DC−DCコンバータ221は、電源部210から供給された電源を用いて、画像表示パネル100を駆動する複数の直流電圧を生成する。具体的には、DC−DCコンバータ221は、高電圧(HV)及び3種類の中間電圧(MV1,MV2,MV3)を生成する。なお、これらの電圧は以下の関係を満たす。
【0038】
MV1=HV−MHV
MV2=MHV−MLV
MV3=MLV ここで、HV>MHV>MLV>0
TCP230(テープキャリアパッケージ)は、画像表示パネル100に取り付けられている。TCP230は、画像表示パネル100を駆動するドライバIC170(図3において不図示、図4参照)を実装し、コネクタ225A,225Bと接続される。
【0039】
コンデンサ223A〜223Dは、ノイズ除去及び電源の安定化のために設けられる。コンデンサは、コネクタ毎に挿入され、PCB220上において可能な限りコネクタ225A,225Bに近い位置に挿入される。具体的には、コンデンサ223A,223Bは、コネクタ225Aの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。コンデンサ223C,223Dは、コネクタ225Bの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。
【0040】
(3.2)論理ブロック構成
図4に示すように、情報表示装置10は、画像表示モジュール300、CPU400及び共通プラットフォーム500に区分することができる。
【0041】
画像表示モジュール300は、表面電極40a及び裏面電極40bに電圧を印加することによって白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動する。本実施形態において、画像表示モジュール300は駆動部を構成する。
【0042】
画像表示モジュール300は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動するために必要なデバイスによって構成される。具体的には、画像表示モジュール300は、ロジックコントローラ150、高圧電源160、画像表示パネル100、ドライバIC170及び位置検出部180によって構成される。
【0043】
ロジックコントローラ150は、CPU400からの制御に基づいてドライバIC170を制御する。具体的には、ロジックコントローラ150は、画像表示パネル100に適切な画像を表示させるために必要な処理が記憶されたチップによって構成される。
【0044】
高圧電源160は、DC−DCコンバータ221(図3参照)によって生成された複数の電圧をドライバIC170に供給する。
【0045】
ドライバIC170は、画像表示パネル100を駆動するICによって構成される。ドライバIC170は、ロジックコントローラ150からの制御に基づいて、高圧電源160から供給された複数の電圧のうち何れかの電圧を選択し、当該電圧値のパルスを出力する。
【0046】
位置検出部180は、タッチペンとタッチパネルとから構成される。画像表示パネル100の表面基板20aの観察側の表面がタッチペン或いは使用者の手指によって接触されると、タッチパネルによって接触位置が検出される。位置検出部180による画像表示パネル100上の接触位置は、CPU400上で動作するデバイスドライバを介して検出される。
【0047】
位置検出部180、画像表示パネル100、及びCPU400上で動作するデバイスドライバは、情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部を構成する。情報表示領域への接触位置を検出する具体的な方法としては、例えば、本願出願人によって既に出願されている、特開2008−176213号公報、特開2009−134354号公報等の方法などを適用可能である。
【0048】
CPU400上では、ユーザアプリケーション、画像処理アプリケーション及びシステムアプリケーション(例えば、外部との通信アプリケーション)が動作する。また、CPU400上では、オペレーティングシステム(例えば、Linux)及びオペレーティングシステムに対応した各種のデバイスドライバが動作する。CPU400としては、1チップのマイコンなどを用いることができる。
【0049】
共通プラットフォーム500は、位置検出部180、画像表示モジュール300及びCPU400上で動作するオペレーティングシステム及びデバイスドライバによって構成される。また、情報表示装置10は、各種メモリ(SDカードなど)へのアクセス機能、USBインタフェース及びBluetoothを搭載することもできる。
【0050】
(4)カラー調整処理
(4−1)メイン処理
以下、図5〜図11を用いてカラー調整処理について説明する。図5〜図7は、情報表示装置10において実行されるカラー調整処理を説明するフローチャートである。図8〜図11は、カラー調整処理によって調整された赤、青、緑、白黒の階調を説明する図である。実施形態において、カラー調整処理とは、上述した透明領域110W(W領域)において白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって表示される色の階調と、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B(C領域)によって表示される色の階調とを設定する処理である。
【0051】
ロジックコントローラ150は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって透明領域110Wに表示される色の階調(W領域の階調zwという)を、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bに表示される各色の階調(それぞれR領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zbという)うち最も低い階調を有する色と同じ階調に設定する(ステップS1)。
【0052】
すなわち、図5に示すフローチャートでは、W領域の階調zwをR領域の階調zrと同じ値に設定し、G領域の階調zgと比較する。階調zgの方が小さければ、階調zwを階調zgと同じ階調に設定する。B領域の階調zbとも同様に比較して、W領域の階調zwを最も低い階調を有する色と同じ階調に設定する。例えば、図8に示すように、B領域の階調zbと同じ階調に設定される。
【0053】
次に、ロジックコントローラ150は、設定されたW領域の階調zwと、R領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zb(但し、最も低い階調、階調zwと同じ階調の領域は除く)との差分をそれぞれの階調に上乗せした階調を、それぞれの領域における階調として設定する(ステップS2)。ロジックコントローラ150は、設定後の階調が階調の最大値である255以下であれば(ステップS3、yes)、新たに設定された階調をR領域、G領域、B領域、W領域の新たな階調(R’、G’、B’、W’)に決定する(ステップS4)。
【0054】
一方、設定後の階調が階調の最大値である255を超える場合には(ステップS3,no)、処理Aによって設定された階調をR領域、G領域、B領域、W領域の新たな階調に決定する(ステップS5)。
【0055】
(4−2)サブ処理(処理A)について
図6は、カラー調整処理における処理Aを説明するフローチャートである。図6に示すように、ロジックコントローラ150は、上乗せした後の補正後のR領域の階調zr、G領域の階調zg、またはB領域の階調zbの階調が255を超える場合、補正後のR領域の階調zr、G領域の階調zg、またはB領域の階調zbの階調を255最大値に合致するように減算し、設定後の階調が255を超えなかった領域に対しては、階調を0に設定する(ステップS11,S12)。
【0056】
ロジックコントローラ150は、上乗せした後の補正後、階調が255を超えた領域における255との差分の値(zzr2,zzg2,zzb2)に基づいて、下記式によって表される階調補正値zmを算出する(ステップS13、図10参照)。
zm=(l×zr2+m×zg2+n×zb2)
【0057】
また、zmをW領域の階調に加算し、W領域の階調補正値zw1を算出するとともに、階調が255を超えた領域における255との差分の値と、階調補正値zmとを用いて、階調が255を超えた領域に新たな階調(zr3,zg3,zb3)を設定する(ステップS13)。ここで、l,m,nは、階調補正値を算出するための係数である。l,m,nの決定の仕方の詳細は後述する。以上のように算出されたR,G,B,W領域の階調が負値であれば、補正値(zzr3,zzg3,zzb3)は、各々に階調(zr3,zg3,zb3)の負の値を乗算したものとする。また、0以上であれば、0にリセットする(ステップS14)。
【0058】
ステップS11によれば、ステップS2で設定された後の階調が255を超えなかった領域に対しては、階調0のままであるため、ステップS13,14により、R領域、G領域、B領域のうち階調が255を超えた領域と、W領域との階調が調整される。
【0059】
続いて、ステップS12,13で設定された階調(zr3,zg3,zb3)を用いて、階調補正値zm1を算出する(ステップS15)。続いて、階調補正値zm1と、ステップS12,13で設定された階調(zr3,zg3,zb3)とを用いて、新たな階調(zr4,zg4,zb4)を設定する(ステップS16)。ステップS11〜S16によって再設定された新たな階調(zr4,zg4,zb4)は、サブ処理(処理B)に受け渡される。
【0060】
(4−3)サブ処理(処理B)について
処理Bでは、ステップS11〜S16によって再設定された新たな階調(zr4,zg4,zb4)について、階調0以下であれば、0に設定し、255以上であれば、255に設定する。ステップS11〜S16によって再設定された新たな階調(zr4,zg4,zb4)が0<(zr4,zg4,zb4)<255であれば、その値を、R領域、G領域、B領域、W領域の新たな階調(R’、G’、B’、W’)に決定する(ステップS4)。
【0061】
以上の処理A,Bにより、ステップS2で設定された後の階調が255を超えた場合には、階調が255を超えた領域以外の領域(一例として、図11参照)の階調を0に設定する代わりに、W領域の階調で補完する。
【0062】
(4−4)係数l、m、nについて
ここで、l、m、nは、t(パネル透過率)、h(白色表示媒体90Wの反射率)をパラメータとする関数である。以下では、係数l、m、nの一例について説明する。加法混色の原理に基づいて、三原色の混合量によって色を表すXYZ表色系が知られている。このXYZ表色系は、反射による物体色の三刺激値X,Y,Zによって色を表現する。Xは、赤の色味だけをもち、明るさをもたない指標である。Yは、緑の色味と、明るさをもつ指標である。Zは、青の色味だけをもち、明るさをもたない指標である。本実施形態では、このうちのYに基づいて、l、m、nを決定する。Yに基づいてW領域に表示される色の階調を決定することによって、減少した光の強度を反映させることができる。
【0063】
物体色の三刺激値X,Y,Zを求める式は、以下のように表される。
【0064】
【数1】

…(3)

…(4)

…(5)
【0065】
ここで、λは、波長(単位nm)であり、λ=380からλ=780まで(可視光線の波長範囲、nm)の定積分である。kは、以下の式(6)で表される。
【0066】
【数2】

…(6)
【0067】
但し、S(λ)は、色の表示に用いる標準の光の分光分布である。S(λ)は、JIS Z8720で規定されている。
【0068】
以下に示す式(7),(8),(9)は、XYZ表色系における等色関数であり、各波長における赤み、緑み、青みと感じる度合いを表す。式(7),(8),(9)は、JIS Z8701 付表1で各波長ごとの値が規定されている。R(λ)は、分光立体角反射率である。
【0069】
【数3】

…(7)


…(8)


…(9)
【0070】
本実施形態において、C領域の透過率とW領域の透過率とは異なる。さらに、C領域の中でも、各カラーフィルタ110の透過率によってYの値が異なる。従って、これらのYの値に基づいてW領域に表示される色の階調を決定することによって、減少した光の強度を強調させることができる。
【0071】
具体的には、以下の式(10)で各カラーフィルタ90の反射率が考慮されたYが求められる。
【0072】
【数4】

…(10)
【0073】
(λ)には、tとhとの関数が当てはめられる。パネルPは、基板20a側からの入射光及び白色表示媒体80Wからの反射光が2回通過することから、関数f(λ)は、以下の式(11)で表すことができる。
【0074】
(λ)=t×h …(11)
【0075】
これらを用いて、係数l、m、nを以下のように決定できる。
l=Y/(Y+Y+Y
m=Y/(Y+Y+Y
n=Y/(Y+Y+Y)} …(12)
【0076】
なお、パネルPの透過率とは、パネルPは、表面基板20a側から白色表示媒体80Wまでの間にある部材によって構成されるため、これらの部材の透過率を表す。具体的には、領域Cにおいては、表面基板20aと平坦化層30とカラーフィルタ90と表面電極40aとを通過した光の割合によって求められる。領域Wにおいては、表面基板20aと平坦化層30と表面電極40aとを通過した光の割合によって求められる。なお、散乱層70をパネルPに含めて、散乱層70を考慮した透過率としても良いし、散乱層70を除いた透過率としても良い。透過率は、例えば、顕微分光測定器(顕微分光システム TFCAM−7000 KSオリンパス株式会社製)を用いて測定することができる。
【0077】
白色表示媒体80Wの反射率は、以下のようにして測定できる。白色表示媒体80Wが封入され、カラーフィルタ90を備えていない画像表示パネル100を作成する。白色表示媒体80Wが表面基板20a側を移動させ、白色表示をする。この状態において、顕微分光測定器を用いて、200μmφの測定範囲の反射率を測定する。パネルPの透過率を考慮して、白色表示媒体80Wの反射率が求められる。
【0078】
(5)階調変換処理
実施形態の情報表示装置10は、カラー調整処理のステップS4,ステップS5において新たに設定されたR領域、G領域、B領域、W領域の階調(R’、G’、B’、W’)を減じる階調変更処理(減色処理)を行うことができる。減色方法としては、誤差拡散法が適用できる。誤差拡散法の一例として、Floyd-Steinberg法を使用することができる。このほか、Javis , Judice & Ninke法、Stucki法などを使用できる。また、パターンディザ法を用いてもよい。これにより、例えば、256階調の色濃度表現を127階調、或いは16階調に減色することができる。
【0079】
(6)作用・効果
実施形態の情報表示装置10によれば、ロジックコントローラ150は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって透明領域110Wに表示される色の階調(W領域の階調zwという)を、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bに表示される各色の階調(それぞれR領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zbという)うち最も低い階調を有する色と同じ階調に設定する。
【0080】
情報表示装置10によれば、ロジックコントローラ150は、色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって表される階調がR領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zb(いわゆる三原色カラーの階調)に応じて設定されるため、色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって表される階調が三原色カラーに対して過大になることが避けられ、カラー画像の再現性の低下を抑えることができ、鮮明さを向上させたカラー画像を表示できる。
【0081】
また、ロジックコントローラ150は、設定されたW領域の階調zwと、R領域の階調zr、G領域の階調zg、B領域の階調zb(但し、最も低い階調、階調zwと同じ階調の領域は除く)との差分をそれぞれの階調に上乗せした階調を、それぞれの領域における階調として設定する。これにより、カラー画像の再現性の低下を抑えるとともに、明るさを補うことができ、鮮明さを向上させたカラー画像を表示できる。
【0082】
また、ロジックコントローラ150は、処理A,Bを実行することにより、ステップS2で設定された後の階調が255を超えた場合には、階調が255を超えた領域以外の領域(一例として、図11参照)の階調を0に設定する代わりに、W領域の階調で補完する。これにより、カラー画像の明るさを補うことができ、鮮明さを向上させたカラー画像を表示できる。
【0083】
(7)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0084】
例えば、複数のカラーフィルタ110(赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B、透明領域W)の配列は、いわゆる、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などであってもよい。
【0085】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0086】
10…情報表示装置、 20a…表面基板、 20b…裏面基板、 30…平坦化層、 40a…表面電極、 40b…裏面電極、 50…隔壁、 70…有色層、 80…散乱層、 90B…黒色表示媒体、 90W…白色表示媒体、 100…画像表示パネル、 110R…赤フィルタ、 110G…緑フィルタ、 110B…青フィルタ、 150…ロジックコントローラ、 160…高圧電源、 170…ドライバIC、 180…位置検出部、 200…筐体、 210…電源部、 220…PCB、 221…DCコンバータ、 223A〜223D…コンデンサ、 225A,225B…コネクタ、 230…TCP、 300…画像表示モジュール、 400…CPU、 500…共通プラットフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な一対の電極部と、
前記一対の電極部と対応して設けられ、少なくとも一方が透明な一対の基板と、
前記一対の電極部の間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極部に向けて移動する表示媒体と、
前記表示媒体を駆動する電圧を前記一対の電極部に印加する駆動部と、
透明な基板側に設けられ、カラー画像の表示に必要な複数の所定カラーが表示されるC領域と、
黒色、白色、及び黒色と白色の中間色が表示されるW領域と
を有する情報表示装置であって、
前記駆動部は、
前記W領域に表示される色の階調を、前記任意のカラーデータのうち最も低い階調を有する所定カラーと同じ階調に設定することにより、前記複数の所定カラーによって前記カラー画像を表現した任意のカラーデータを前記複数の所定カラーと、黒色、白色、及び黒色と白色の中間色とを含むカラーデータに変更する情報表示装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記最も低い階調を有する所定カラーを除く他の所定カラーの階調と、前記W領域の階調との差分を前記他の所定カラーの階調に上乗せした階調を前記他の所定カラーの階調として設定する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示媒体は、
白色表示媒体と黒色表示媒体とを含み、
前記駆動部は、
前記補正後の所定カラーの階調が前記最大値を超える場合、前記補正後の所定カラーの階調を前記最大値に合致するように減算するとともに、前記W領域を除く他の所定カラーの階調を前記補正後の所定カラーの減算分と、前記白色表示媒体の反射率と前記カラーフィルタの透過率とを用いて求められる三刺激値に基づいて、前記W領域の階調を決定する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタは、赤フィルタと緑フィルタと青フィルタとを有し、
前記赤フィルタの透過率を含むパネルの透過率をtとし、前記緑フィルタの透過率を含むパネルの透過率をtとし、前記青フィルタの透過率を含むパネルの透過率をtとし、
前記任意のカラーデータの赤の階調をRとし、前記任意のカラーデータの緑の階調をGとし、前記任意のカラーデータの青の階調をBとするとき、下記式かつλの範囲が380〜780nmまでの定積分で表されるYにおけるf(λ)に、t×hを当て嵌めて、
前記W領域に表示される色の階調wを、Y(x=R,G,B)を用いて、
w={Y/(Y+Y+Y)}R+{Y/(Y+Y+Y)}G+{Y/(Y+Y+Y)}B
により決定する請求項3に記載の情報表示装置。
【数5】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−209328(P2011−209328A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73898(P2010−73898)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.Bluetooth
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】