情報記録再生装置
【課題】ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、光源から射出された光の光路を切り換えて２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、光源から２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【解決手段】情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、光源から射出された光の光路を切り換えて２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、光源から２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００３】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００４】
光アシスト磁気記録方式に用いられるヘッドは、レーザ光源からのレーザ光を、ヘッド本体部に形成された開口部に導いて、開口部から記録媒体にレーザ光を射出している。このような光アシスト磁気記録ヘッドを用いて、両面に記録再生可能な複数枚の磁気記録ディスクに同時に記録再生する情報記録再生装置が利用されている。このような情報記録再生装置ではレーザ光源はヘッドを支持するアーム上に設けられ、レーザ光源から射出した光が光ファイバでヘッドに導かれている（例えば、特許文献１、特許文献２参照）。
【特許文献１】特開２００２−１１７５０２号公報
【特許文献２】特開２００２−５００７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１、特許文献２のように各ヘッド毎に光源を設けると、コスト高になるうえ、各光源の光量を合わせる必要があり、調整時間がかかるという問題があった。
【０００６】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
１．
情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、
前記光源から射出された光の光路を切り換えて前記２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、
前記光源から前記２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【０００８】
２．
前記光源から前記光スイッチが光の光路を切り換えて射出する複数の光射出口までの光路長はそれぞれ等しいこと特徴とする１に記載の情報記録再生装置。
【０００９】
３．
複数の前記光射出口から前記２つのヘッドに光を照射する光ファイバはそれぞれ同じ長さであることを特徴とする１または２に記載の情報記録再生装置。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、１つの光源から光路を切り換えて同じ光路長で各ヘッドに射出するので、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【００１２】
〔情報記録再生装置の概略構成〕
図１、図２に、本発明に係わる情報記録再生装置の構成の概略を示す。図１は情報記録再生装置１００の上面の図である。図２は、本発明の情報記録再生装置１００の図１におけるＡ−Ａ’方向の断面図である。
【００１３】
情報記録再生装置１００は、記録媒体５１、情報の記録や再生を行うためのヘッド５３、駆動軸５４、光源５５、光スイッチ６０、光ファイバ５６を主に備える。図１に示すように、ヘッド５３は、アーム１９のサスペンション部１８に支持され、アーム１６は駆動軸５４に取り付けられている。記録媒体５１が停止しているとき、ヘッド５３はサスペンション部１８によって下方に付勢されているので、ヘッド５３の底面は記録媒体５１に接している。記録媒体５１が矢印Ｃ方向に回転を開始すると、ヘッド５３は記録媒体５１とヘッド５３との界面に発生する空気流により１０〜３０ｎｍ程度の微小間隔で浮上し、記録媒体５１の磁性膜との距離を一定に保つ。
【００１４】
光源５５は例えば半導体レーザ素子などのレーザ光源であり、光スイッチ６０に光を入射するように配置されている。光スイッチ６０は各ヘッド５３に光路を切り換えて出力するスイッチであり、各ヘッド５３と光スイッチ６０の間は光ファイバ５６で接続されている。
【００１５】
図２を用いて複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する場合について説明する。
【００１６】
記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各ヘッド５３のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。図示せぬ制御装置は、記録媒体５１に記録されているサーボパターンをヘッド５１に搭載された再生素子で読み出し、読み出されたサーボ信号に基づいてヘッド５３の記録媒体５１上の位置検出を行う。制御装置は位置検出の結果に基づいて、モータ８０を駆動して駆動軸５４を回転させ、所定の位置まで各ヘッド５３を図１の矢印Ｂ方向に移動させる。図示せぬ制御装置は光スイッチ６０に制御信号を送って光路を切り換え、記録再生を行うヘッド５３に順次光源５５からの光を射出する。
【００１７】
ここで図３を用いて本発明に係わる光スイッチ６０の一例について説明する。図３は光スイッチ６０の機能を説明するブロック図である。
【００１８】
光スイッチ６０は、光を入力する入力ポート１８と、光スイッチ６０に入力された電気信号に応じて光を分岐して出力する複数の光射出口２１を有している。図３では４つの光射出口２１を有する光スイッチ６０の例を図示している。光源５５は、光源５５から出射したレーザ光が、光スイッチ６０の入力ポート１８ａに入射するように配置されている。入力ポート１８ａに入射した光は光スイッチ素子１９ａ内の導波路を伝搬し、光スイッチ素子１９ａ内で光路を切り換えられて出力ポート２５ａまたは出力ポート２６ａから出力される。光スイッチ素子１９には例えば電気光学結晶を用いたマッハツェンダ干渉計型光スイッチ素子などを用いることができる。
【００１９】
出力ポート２５ａから光が出力された場合は導波路２０ｂを光が伝搬し、光スイッチ素子１９ｂの入力ポート１８ｂに入力し、光スイッチ素子１９ｂ内で光路を切り換えられて出力ポート２５ｂまたは出力ポート２６ｂから出力される。出力ポート２５ｂまたは出力ポート２６ｂから出力された光は導波路２０ｃまたは導波路２０ｄを伝搬し、光射出口２１ａまたは光射出口２１ｂから出力される。光スイッチ素子１９ａの出力ポート２６ａから出力された場合も同様である。本実施形態では、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄまで光が伝搬する経路が同じ長さになっていて、光路長も等しい。
【００２０】
図示せぬ制御装置は、各ヘッド５３が情報の記録、再生を行うタイミングに応じて、各光スイッチ素子１９に制御電圧を与え、各光スイッチ素子１９の出力ポート２５、２６を順次切り換える。このようにして、入力ポート１８ａから入射した光を各光射出口２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄの何れかに切り換えて出力する。各光射出口２１には同じ長さの光ファイバ５６が接続されており、ヘッド５３に光を導く。
【００２１】
ヘッド５３の概略構成の一例を図４に示す。
【００２２】
ヘッド５３は、アーム１９のサスペンション部１８に支持されている。ヘッド５３には、記録素子１０３、再生素子１０４が設けられている。また、ヘッド５３には、上下面を貫通する穴１０６が形成されており、穴１０６は、大径部１０６ａと小径部１０６ｂとに分けられ、大径部１０６ａの底面にはプリズム１０５が収容されている。小径部１０６ｂは、約２００ｎｍの口径で形成されており、ヘッド５３の底面において開口部１０２を区画する。更に、ヘッド５３には、光ファイバ５６が埋設されており、光ファイバ５６から射出されたレーザ光がプリズムに入射されるように、光ファイバ５６の射出端がヘッド５３内に配置されている。また、光ファイバの他端は光スイッチ６０の各光射出口２１に接続されている。光ファイバは直径６０〜３００μｍ程度のものが用いられる。
【００２３】
情報記録時には、光ファイバ５６を介してプリズム１０５にレーザ光が照射される。プリズム内で屈折及び反射したレーザ光は、穴１０６の小径部１０６ｂによりガイドされるとともに、レーザビーム径が制限される。それゆえ、記録媒体５１上で所定のスポットサイズの光スポットを形成することができる。
【００２４】
このように、開口部１０２を通じてレーザ光を媒体上に照射し、記録媒体５１の微小領域を加熱するとともに、当該加熱された微小領域に記録素子１０３で磁界を印加する。
【００２５】
図４ではプリズム１０５を用いた例について説明したが、光学素子はプリズム１０５に限定されるものではなくミラーやレンズなどを用いても良い。また、図５に示すように光学素子を用いないヘッド５３を用いても良い。
【００２６】
図５に示すヘッド５３は、ヘッド５３の上方から下方に向かって貫通した貫通穴１１１を形成し、貫通穴１１１に光ファイバ５６を、その先端部５６ａが開口部１０２に達するまで挿入している。
【００２７】
本実施形態では各ヘッド５３と光スイッチ６０を接続する光ファイバ５６は同じ長さである。光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長は等しく、また各光射出口２１と各ヘッド５３を接続する光ファイバ５６の長さは等しいので、光源５５から各ヘッド５３までの光路長は等しい。このことにより、１つの光源５５から各ヘッド５３に同じ光量の光を導くことができるので、各ヘッド５３毎の光量調整を無くすことができる。
【００２８】
なお、本発明は、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長は等しく、また各光射出口２１と各ヘッド５３を接続する光ファイバ５６の長さが同じ場合に限定されるものではなく、光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しければ良い。例えば、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長が等しくない場合は、光ファイバ５６の長さを調整して光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しくなるようにしても良い。あるいは、各ヘッド５３までの光ファイバ５６の長さをそれぞれ適当な長さにして、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長をそれぞれ光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しくなるように変えても良い。
【００２９】
以上このように、本発明によれば、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明に係る情報記録再生装置の構成例を示す説明図である。
【図２】本発明に係る情報記録再生装置の断面図である。
【図３】光スイッチ６０の機能を説明するブロック図である。
【図４】本発明に係る光学素子を用いるヘッドの一例の概略構成である。
【図５】本発明に係る光学素子を用いないヘッドの一例の概略構成である。
【符号の説明】
【００３１】
１８ サスペンション部
１９ アーム
２１ 光射出口
５１ 記録媒体
５２ スピンドル
５３ ヘッド
５４ 駆動軸
５５ 光源
５６ 光ファイバ
６０ 光スイッチ
８０ モータ
１００ 情報記録再生装置
１０２ 開口部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００３】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００４】
光アシスト磁気記録方式に用いられるヘッドは、レーザ光源からのレーザ光を、ヘッド本体部に形成された開口部に導いて、開口部から記録媒体にレーザ光を射出している。このような光アシスト磁気記録ヘッドを用いて、両面に記録再生可能な複数枚の磁気記録ディスクに同時に記録再生する情報記録再生装置が利用されている。このような情報記録再生装置ではレーザ光源はヘッドを支持するアーム上に設けられ、レーザ光源から射出した光が光ファイバでヘッドに導かれている（例えば、特許文献１、特許文献２参照）。
【特許文献１】特開２００２−１１７５０２号公報
【特許文献２】特開２００２−５００７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１、特許文献２のように各ヘッド毎に光源を設けると、コスト高になるうえ、各光源の光量を合わせる必要があり、調整時間がかかるという問題があった。
【０００６】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
１．
情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、
前記光源から射出された光の光路を切り換えて前記２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、
前記光源から前記２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【０００８】
２．
前記光源から前記光スイッチが光の光路を切り換えて射出する複数の光射出口までの光路長はそれぞれ等しいこと特徴とする１に記載の情報記録再生装置。
【０００９】
３．
複数の前記光射出口から前記２つのヘッドに光を照射する光ファイバはそれぞれ同じ長さであることを特徴とする１または２に記載の情報記録再生装置。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、１つの光源から光路を切り換えて同じ光路長で各ヘッドに射出するので、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【００１２】
〔情報記録再生装置の概略構成〕
図１、図２に、本発明に係わる情報記録再生装置の構成の概略を示す。図１は情報記録再生装置１００の上面の図である。図２は、本発明の情報記録再生装置１００の図１におけるＡ−Ａ’方向の断面図である。
【００１３】
情報記録再生装置１００は、記録媒体５１、情報の記録や再生を行うためのヘッド５３、駆動軸５４、光源５５、光スイッチ６０、光ファイバ５６を主に備える。図１に示すように、ヘッド５３は、アーム１９のサスペンション部１８に支持され、アーム１６は駆動軸５４に取り付けられている。記録媒体５１が停止しているとき、ヘッド５３はサスペンション部１８によって下方に付勢されているので、ヘッド５３の底面は記録媒体５１に接している。記録媒体５１が矢印Ｃ方向に回転を開始すると、ヘッド５３は記録媒体５１とヘッド５３との界面に発生する空気流により１０〜３０ｎｍ程度の微小間隔で浮上し、記録媒体５１の磁性膜との距離を一定に保つ。
【００１４】
光源５５は例えば半導体レーザ素子などのレーザ光源であり、光スイッチ６０に光を入射するように配置されている。光スイッチ６０は各ヘッド５３に光路を切り換えて出力するスイッチであり、各ヘッド５３と光スイッチ６０の間は光ファイバ５６で接続されている。
【００１５】
図２を用いて複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する場合について説明する。
【００１６】
記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各ヘッド５３のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。図示せぬ制御装置は、記録媒体５１に記録されているサーボパターンをヘッド５１に搭載された再生素子で読み出し、読み出されたサーボ信号に基づいてヘッド５３の記録媒体５１上の位置検出を行う。制御装置は位置検出の結果に基づいて、モータ８０を駆動して駆動軸５４を回転させ、所定の位置まで各ヘッド５３を図１の矢印Ｂ方向に移動させる。図示せぬ制御装置は光スイッチ６０に制御信号を送って光路を切り換え、記録再生を行うヘッド５３に順次光源５５からの光を射出する。
【００１７】
ここで図３を用いて本発明に係わる光スイッチ６０の一例について説明する。図３は光スイッチ６０の機能を説明するブロック図である。
【００１８】
光スイッチ６０は、光を入力する入力ポート１８と、光スイッチ６０に入力された電気信号に応じて光を分岐して出力する複数の光射出口２１を有している。図３では４つの光射出口２１を有する光スイッチ６０の例を図示している。光源５５は、光源５５から出射したレーザ光が、光スイッチ６０の入力ポート１８ａに入射するように配置されている。入力ポート１８ａに入射した光は光スイッチ素子１９ａ内の導波路を伝搬し、光スイッチ素子１９ａ内で光路を切り換えられて出力ポート２５ａまたは出力ポート２６ａから出力される。光スイッチ素子１９には例えば電気光学結晶を用いたマッハツェンダ干渉計型光スイッチ素子などを用いることができる。
【００１９】
出力ポート２５ａから光が出力された場合は導波路２０ｂを光が伝搬し、光スイッチ素子１９ｂの入力ポート１８ｂに入力し、光スイッチ素子１９ｂ内で光路を切り換えられて出力ポート２５ｂまたは出力ポート２６ｂから出力される。出力ポート２５ｂまたは出力ポート２６ｂから出力された光は導波路２０ｃまたは導波路２０ｄを伝搬し、光射出口２１ａまたは光射出口２１ｂから出力される。光スイッチ素子１９ａの出力ポート２６ａから出力された場合も同様である。本実施形態では、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄまで光が伝搬する経路が同じ長さになっていて、光路長も等しい。
【００２０】
図示せぬ制御装置は、各ヘッド５３が情報の記録、再生を行うタイミングに応じて、各光スイッチ素子１９に制御電圧を与え、各光スイッチ素子１９の出力ポート２５、２６を順次切り換える。このようにして、入力ポート１８ａから入射した光を各光射出口２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄの何れかに切り換えて出力する。各光射出口２１には同じ長さの光ファイバ５６が接続されており、ヘッド５３に光を導く。
【００２１】
ヘッド５３の概略構成の一例を図４に示す。
【００２２】
ヘッド５３は、アーム１９のサスペンション部１８に支持されている。ヘッド５３には、記録素子１０３、再生素子１０４が設けられている。また、ヘッド５３には、上下面を貫通する穴１０６が形成されており、穴１０６は、大径部１０６ａと小径部１０６ｂとに分けられ、大径部１０６ａの底面にはプリズム１０５が収容されている。小径部１０６ｂは、約２００ｎｍの口径で形成されており、ヘッド５３の底面において開口部１０２を区画する。更に、ヘッド５３には、光ファイバ５６が埋設されており、光ファイバ５６から射出されたレーザ光がプリズムに入射されるように、光ファイバ５６の射出端がヘッド５３内に配置されている。また、光ファイバの他端は光スイッチ６０の各光射出口２１に接続されている。光ファイバは直径６０〜３００μｍ程度のものが用いられる。
【００２３】
情報記録時には、光ファイバ５６を介してプリズム１０５にレーザ光が照射される。プリズム内で屈折及び反射したレーザ光は、穴１０６の小径部１０６ｂによりガイドされるとともに、レーザビーム径が制限される。それゆえ、記録媒体５１上で所定のスポットサイズの光スポットを形成することができる。
【００２４】
このように、開口部１０２を通じてレーザ光を媒体上に照射し、記録媒体５１の微小領域を加熱するとともに、当該加熱された微小領域に記録素子１０３で磁界を印加する。
【００２５】
図４ではプリズム１０５を用いた例について説明したが、光学素子はプリズム１０５に限定されるものではなくミラーやレンズなどを用いても良い。また、図５に示すように光学素子を用いないヘッド５３を用いても良い。
【００２６】
図５に示すヘッド５３は、ヘッド５３の上方から下方に向かって貫通した貫通穴１１１を形成し、貫通穴１１１に光ファイバ５６を、その先端部５６ａが開口部１０２に達するまで挿入している。
【００２７】
本実施形態では各ヘッド５３と光スイッチ６０を接続する光ファイバ５６は同じ長さである。光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長は等しく、また各光射出口２１と各ヘッド５３を接続する光ファイバ５６の長さは等しいので、光源５５から各ヘッド５３までの光路長は等しい。このことにより、１つの光源５５から各ヘッド５３に同じ光量の光を導くことができるので、各ヘッド５３毎の光量調整を無くすことができる。
【００２８】
なお、本発明は、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長は等しく、また各光射出口２１と各ヘッド５３を接続する光ファイバ５６の長さが同じ場合に限定されるものではなく、光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しければ良い。例えば、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長が等しくない場合は、光ファイバ５６の長さを調整して光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しくなるようにしても良い。あるいは、各ヘッド５３までの光ファイバ５６の長さをそれぞれ適当な長さにして、光スイッチ６０の入力ポート１８ａから各光射出口２１までの光路長をそれぞれ光源５５から各ヘッド５３の光路長が等しくなるように変えても良い。
【００２９】
以上このように、本発明によれば、ヘッド毎の光量調整が不要な情報記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明に係る情報記録再生装置の構成例を示す説明図である。
【図２】本発明に係る情報記録再生装置の断面図である。
【図３】光スイッチ６０の機能を説明するブロック図である。
【図４】本発明に係る光学素子を用いるヘッドの一例の概略構成である。
【図５】本発明に係る光学素子を用いないヘッドの一例の概略構成である。
【符号の説明】
【００３１】
１８ サスペンション部
１９ アーム
２１ 光射出口
５１ 記録媒体
５２ スピンドル
５３ ヘッド
５４ 駆動軸
５５ 光源
５６ 光ファイバ
６０ 光スイッチ
８０ モータ
１００ 情報記録再生装置
１０２ 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、
前記光源から射出された光の光路を切り換えて前記２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、
前記光源から前記２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項２】
前記光源から前記光スイッチが光の光路を切り換えて射出する複数の光射出口までの光路長はそれぞれ等しいことを特徴とする請求項１に記載の情報記録再生装置。
【請求項３】
複数の前記光射出口から前記２つのヘッドに光を照射する光ファイバはそれぞれ同じ長さであることを特徴とする請求項１または２に記載の情報記録再生装置。
【請求項１】
情報記録媒体に光源から射出された光を照射する少なくとも２つのヘッドを備えた情報記録再生装置において、
前記光源から射出された光の光路を切り換えて前記２つのヘッドの１つに選択的に光を射出する光スイッチを有し、
前記光源から前記２つのヘッドまでの光路長がそれぞれ等しいことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項２】
前記光源から前記光スイッチが光の光路を切り換えて射出する複数の光射出口までの光路長はそれぞれ等しいことを特徴とする請求項１に記載の情報記録再生装置。
【請求項３】
複数の前記光射出口から前記２つのヘッドに光を照射する光ファイバはそれぞれ同じ長さであることを特徴とする請求項１または２に記載の情報記録再生装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−１０２９７８（Ｐ２００８−１０２９７８Ａ）
【公開日】平成２０年５月１日（２００８．５．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２８２３３７（Ｐ２００６−２８２３３７）
【出願日】平成１８年１０月１７日（２００６．１０．１７）
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】（出願人による申告）国等の委託研究の成果に係る特許出願（平成１５年度新エネルギー・産業技術総合開発機構大容量光ストレージ技術の開発委託研究、産業活力再生特別措置法第３０条の適用を受けるもの）
【出願人】（３０３０００４０８）コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年５月１日（２００８．５．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１０月１７日（２００６．１０．１７）
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】（出願人による申告）国等の委託研究の成果に係る特許出願（平成１５年度新エネルギー・産業技術総合開発機構大容量光ストレージ技術の開発委託研究、産業活力再生特別措置法第３０条の適用を受けるもの）
【出願人】（３０３０００４０８）コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Ｆターム（参考）】
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