説明

情報記録装置及び情報記録方法並びに情報送出装置及び情報送出方法

デジタル放送を受信してこれを記録する場合に、記録すべき情報内における番組の変更点を示す情報の欠落を確実に検出して正確な番組構成によりその情報を記録することが可能な情報記録装置等を提供する。 複数イベントにより構成されセットトップボックスから出力されてきたパーシャルTSを記録装置等に記録する場合に、イベントの出力順序を示すイベント参照数フラグを、当該入力から抽出し、一方でパーシャルTSとして実際に入力されたイベントの数を計数し、その計数結果と、イベント参照数フラグにより示されるイベント数と、を比較し、当該計数結果とイベント数とが異なるとき、イベントの境界情報が欠落してパーシャルTSが入力されたと認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報記録装置及び情報記録方法の技術分野に属し、より詳細には、記録すべき記録情報として出力装置から出力されてくる記録情報を記録媒体に記録する情報記録装置及び情報記録方法並びに当該の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるデジタルハイビジョン放送等のデジタル放送が開始され始めている。そして、最近の記録媒体における高記録密度化の傾向とも相まって、元来高画質である当該デジタル放送をセットトップボックス等の受信装置により受信し、その後にその画質を維持したままレコーダ等の情報記録再生装置に伝送して光ディスクやハードディスクに記録することが行われている。
【0003】
このとき、一般に、再生時の利便性の観点から、当該デジタル放送として放送されてくる番組を受信して記録しようとするとき、その番組の切れ目(変更点)を検出して、例えばインデックスや題名を挿入する必要がある。
【0004】
ここで、従来では、例えば、上記した如き番組の変更点を検知する従来の方法として、MPEG2方式におけるいわゆるパーシャルトランスポートストリームを対象としたものとして、特開平11−239186号公報に記載された技術がある。
【特許文献1】特開平11−239186号公報(第1図及び第5図)
【0005】
この特許文献1に記載されている手法では、いわゆるPSI(Program Specific information)又はSI(Section Information)の変更点において、DIT((Discontinuity Information Table)。PCR(Program Clock Reference)の不連続性を示すテーブル)を挿入することにより、再生時において番組の変更点を検出することとしている。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術によると、複数の番組が受信装置から情報記録再生装置に伝送される際に、例えば伝送路上の雑音等の原因により上記DITがその伝送途中で欠落する場合があり、この場合に従来では、そのDITの欠落を検出する手段がなく、本来DITにより情報記録再生装置において異なる番組であると認識されるべき複数の番組を、誤って連続した番組であると認識して光ディスク等に記録してしまうこととなっていた。
【0007】
そして、この点は、番組の構成が使用者の意図しない間に変更されて記録されてしまうこととなり、その再生時において著しく利便性が低下する問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、デジタル放送を受信してこれを記録する場合に、記録すべき情報内における番組の変更点を示す情報の欠落を確実に検出して正確な番組構成によりその情報を記録することが可能な情報記録装置及び情報記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の部分記録情報により構成される記録情報に前記部分記録情報と他の前記部分記録情報との境界を示す境界情報を付加する付加手段と、前記境界情報が付加された記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、を送出する送出手段と、を備える。
【0010】
よって、記録情報に境界情報を付加し、これと送出順序情報とを送出するので、これらの情報の受信先において、境界情報と送出順序情報との対応関係を比較する構成とすれば、それが齟齬しているときに、各情報の伝送経路上において境界情報が欠落していることを当該受信側において確実に認識することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報送出装置において、前記送出順序情報を、情報が送出先に到達することが保証されている伝送方法を用いて送出する第1送出手段と、前記記録情報を、前記送出順序情報とは異なる伝送方法で送出する第2送出手段と、を更に備える。
【0012】
よって、送出順序情報を、情報が送出先に到達することが保証されている伝送方法を用いて送出し、更に記録情報を送出順序情報とは異なる伝送方法で送出するので、境界情報が付加されている記録情報よりも確実な伝送方法で送出順序情報を送出するので、これらの受信先において境界情報の欠落を確実に認識することができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、複数の部分記録情報により構成されると共に前記部分記録情報の境界を示す境界情報を含む記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、が入力され、少なくとも前記記録情報を記録媒体へ記録する情報記録装置であって、前記送信順序情報に基づいて、前記境界情報の誤検出を検出する誤検出検出手段を備える。
【0014】
よって、送出情報情報に基づいて境界情報の誤検出を検出するので、各情報の伝送経路上において境界情報が欠落していることを確実に認識することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の情報記録装置において、前記誤検出検出手段は、前記境界情報の数を計数する計数手段と、前記計数手段による計数値と前記送信順序情報の値とを比較する比較手段と、を含むように構成される。
【0016】
よって、境界情報の誤検出を検出する際に、境界情報の数を計数してその結果と送信順序情報の値とを比較するので、簡易な構成で確実に境界情報の欠落を認識することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の情報記録装置において、前記境界情報に基づいて、管理情報を生成する生成手段と、前記境界情報の誤検出を検出したとき、記録された前記記録情報を管理するための前記管理情報を修正する修正手段と、前記修正された管理情報を前記記録媒体に記録する記録手段と、を備える。
【0018】
よって、境界情報の誤検出が検出されたとき管理情報が修正されるので、各情報の受信側において、管理情報の内容と記録情報との間で整合性の取れたものに常に維持することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の情報記録装置において、前記記録媒体に記録される前記記録情報に時間情報を付加する付加手段を更に備え、前記修正手段は、前記記録情報に付加された時間情報の不連続点を検出し、当該検出された不連続点を前記部分記録情報の境界とみなして前記管理情報を再生成する。
【0020】
よって、記録媒体に記録される記録情報に時間情報を付加し、当該付加された時間情報の不連続点を検出し、検出された不連続点を部分記録情報の境界とみなして管理情報を再生成するので、確実に部分記録情報の境界を検出して管理情報を再生成することができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、複数の部分記録情報により構成される記録情報に対して前記部分記録情報と他の前記部分記録情報との境界を示す境界情報を付加する付加工程と、前記境界情報が付加された記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、を送出する送出工程と、を含む。
【0022】
よって、記録情報に境界情報を付加し、これと送出順序情報とを送出するので、これらの情報の受信先において、境界情報と送出順序情報との対応関係を比較する構成とすれば、それが齟齬しているときに、各情報の伝送経路上において境界情報が欠落していることを当該受信側において確実に認識することができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、複数の部分記録情報により構成されると共に前記部分記録情報の境界を示す境界情報を含む記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、が入力され、少なくとも前記記録情報を記録媒体へ記録する情報記録方法であって、前記送信順序情報に基づいて、前記境界情報の誤検出を検出する誤検出検出工程を含む。
【0024】
よって、送出情報情報に基づいて境界情報の誤検出を検出するので、各情報の伝送経路上において境界情報が欠落していることを確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[図1]図1は、実施形態の放送受信記録システムの概要構成を示すブロック図である。
[図2]図2は、実施形態のセットトップボックスの細部構成を示すブロック図である。
[図3]図3は、実施形態の情報記録再生装置の細部構成を示すブロック図である。
[図4]図4は、実施形態の記録フォーマットを示す模式図である。
[図5]図5は、実施形態の記録フォーマットと物理フォーマットとの関係を示す模式図である。
[図6]図6は、実施形態の記録ストリーム生成処理の全体を示すフローチャートである。
[図7]図7は、実施形態の時刻規正処理を示すフローチャートである。
[図8]図8は、実施形態のイベント認識処理を示すフローチャートである。
[図9]図9は、実施形態のイベント変更検出処理を示すフローチャートである。
[図10]図10は、実施形態のストリーム送信処理を示すフローチャートである。
[図11]図11は、実施形態の記録ストリームの態様を示す模式図である。
[図12]図12は、実施形態の記録処理の全体を示すフローチャートである。
[図13]図13は、実施形態のパケット記録処理を示すフローチャートである。
[図14]図14は、実施形態の記録後のハードディスクの態様を示す模式図である。
[図15]図15は、実施形態のユニット情報等の記録態様を示す図(I)である。
[図16]図16は、実施形態の管理情報記録処理を示すフローチャートである。
[図17]図17は、実施形態の記録処理例を示す図である。
[図18]図18は、実施形態のユニット情報の表示例を示す図である。
[図19]図19は、実施形態のユニット情報等の記録態様を示す図(II)である。
[図20]図20は、実施形態の事故検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1…デジタル放送受信部
2…デマルチプレクサ部
3、23…マイコン部
5…グラフィックス部
6…画像デコード部
9…OSD部
10、20…HSI部
11、25…リモコン受光部
12、26…リモコン
21…再生制御部
22…記録部
24…ハードディスク部
S…放送受信記録システム
ST…セットトップボックス
SR…情報記録再生装置
B…ネットワーク
D…ディスプレイ
HD…ハードディスク
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本願に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、MPEG方式を圧縮方式として用いるいわゆるデジタルテレビジョン放送(以下、単にデジタル放送と称する)等の放送電波を受信することにより当該放送電波を介して送信されて来る放送番組を受信し、当該受信した放送番組に対応する受信情報を出力する情報出力装置(いわゆるセットトップボックス)と、当該受信情報を受信装置から取得してこれを記録媒体に記録する情報記録装置と、により構成される放送受信記録システムに対して本願を適用した場合の実施の形態である。
【0028】
(I)放送受信記録システムの全体構成
始めに、実施形態に係る放送受信記録システムの全体構成について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、図1乃至図3は当該放送受信記録システムの概要構成を示すブロック図であり、図4は受信した放送電波に含まれている放送番組を記録する際の記録フォーマットを示す図である。
【0029】
図1に示すように、実施形態に係る放送受信システムSは、アンテナANTを介して受信される上記放送電波に対して必要な復号処理を施し、当該放送電波に含まれている番組を含む記録用の記録ストリームを生成して情報記録再生装置SRに出力するセットトップボックスSTと、上記記録ストリームをシリアルバス又はIP(Internet Protocol)ネットワーク等により構成されるネットワークBを介して受信し、これをハードディスク等の記録媒体に記録すると共に再生する上記情報記録再生装置SRと、により記録されている。
【0030】
次に、セットトップボックスST及び情報記録再生装置SRの細部構成及び動作について説明する。
【0031】
先ず、図2に示すように、実施形態のセットトップボックスSTは、アンテナANTが接続されているデジタル放送受信部1と、デマルチプレクサ部2と、付加手段、送出手段、第1送出手段及び第2送出手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)部3と、グラフィックス部5と、映像デコード部6と、OSD(On Screen Display)部9と、上記ネットワークに直接接続されているHSI(High Speed Interface)部10と、持ち運び可能なリモコン12と、リモコン12から赤外線等を用いて送信された情報を受信するリモコン受光部11と、により構成されている。
【0032】
次に、全体動作を説明する。
先ず、セットトップボックスSTを用いて、上記放送電波により放送されているデジタル放送中のデジタル情報を受信してネットワークBを介して情報記録再生装置SRに出力すると共に、必要に応じて当該受信したデジタル放送の内容等を示す表示を行う場合の全体動作を説明する。
【0033】
デジタル情報の出力処理等を行う場合には、先ず、アンテナANTは当該放送電波を受信し、当該受信した放送電波に対応する受信信号Srvを生成してデジタル放送受信部1へ出力する。
【0034】
次に、リモコン12において当該出力処理を開始する旨の操作が実行されると、当該開始操作に対応して当該リモコン12から射出される赤外線IRをリモコン受光部11において受信することで当該リモコン受光部11から出力される操作情報Sopに基づき、マイコン部3は、当該開始操作において指定されたデジタル情報を受信してネットワークBへ出力すべく制御情報Scnを生成してデジタル放送受信部1へ出力する。
【0035】
これにより、デジタル放送受信部1は、当該制御情報Scnの授受によるマイコン部3からの制御の下、受信したデジタル情報から所望されているチャンネルに対応するデジタル情報を選択し、デジタル情報Srnとしてデマルチプレクサ部2に出力する。これと並行して、デジタル放送受信部1は、選択したチャンネル内のデジタル情報を構成している各パケットのPID(Packet ID)を検出し、その内容を制御情報Scnとしてマイコン部3に出力する。
【0036】
次に、デマルチプレクサ2は、上記デジタル情報Srnの中から、予め選択されている情報記録再生装置SRに出力すべきデジタル情報を抽出し、それを予め設定されている記録レートにより記録情報Spdとして映像デコード部6及びHSI部10並びにマイコン部3へ出力する。
【0037】
これにより、記録情報Spdが入力されている映像デコード部6は、当該記録情報Spdに含まれているデジタル情報を復調し、復調情報Sdcとしてグラフィックス部5へ出力する。
【0038】
そして、グラフィックス部5は、当該復調情報Sdc内に含まれている画像情報を表示用に加工し、アナログ信号である表示情報Svとして外部の図示しないディスプレイに出力し、当該画像情報に対応する画像を表示させる。
【0039】
なお、上記した映像デコード部6及びグラフィックス部5における画像に関する処理と並行して、記録情報Spdに含まれる音声情報は、図示しない音声デコード部において復調された後、外部の図示しないスピーカに出力されて放音される。
【0040】
また、復調情報Sdcに含まれる画像に対応する字幕又は表示諸元等の副画像は、制御信号Scoの授受によるマイコン部3からの制御の下、OSD部9において別途生成され、OSD情報Sosdとしてグラフィックス部5へ出力される。
【0041】
そして、グラフィックス部5は、当該OSD情報Sosdに含まれている副画像情報を必要に応じて上記復調情報Sdcに重畳し、これらを合わせて上記表示情報Svに含まれる画像情報を生成する。
【0042】
これらと並行して、記録情報Spdが入力されているHSI部10は、制御情報Sccの授受によるマイコン部3の制御の下、当該記録情報Spdに対してデジタル的なインターフェース処理を施し、デジタル情報である出力情報Sdpとして上記ネットワークBを介して情報記録再生装置SRに出力する。なお、当該出力情報Sdpには、デジタル情報としての画像情報及び音声情報の双方が含まれている。
【0043】
上述した一連の記録動作により、受信したデジタル情報に含まれている画像情報の情報記録再生装置SRへの出力を、その出力される画像情報の内容を図示しない外部のディスプレイ等において確認しつつ実行できることとなる。
【0044】
そして、マイコン部3は、リモコン12において実行された記録処理を制御するための操作の内容に対応して当該リモコン12から射出される赤外線IRをリモコン受光部11において受光することにより当該リモコン受光部11から出力される操作情報Sopに基づいて、上記制御情報Scn及びSco等を生成して対応する構成部材に出力すると共に、上述した記録処理を統轄制御する。
【0045】
一方、図3に示すように、実施形態の情報記録再生装置SRは、ネットワークBに直接接続されているHSI部20と、再生制御部21と、記録部22と、誤検出検出手段、計数手段及び比較手段としてのマイコン部23と、図4に示す記録フォーマットによりデジタル情報が記録される記録媒体としてのハードディスクHDを含むハードディスク部24と、持ち運び可能なリモコン26と、リモコン26から赤外線等を用いて送信された情報を受信するリモコン受光部25と、により構成されている。
【0046】
次に、全体動作を説明する。
先ず、情報記録再生装置SRを用いて、ネットワークBを介してセットトップボックスSTから送信されてきたデジタル情報である出力情報Sdpを受信し、これをハードディスクHDに記録する際の全体動作を説明する。
【0047】
当該記録時においては、先ず、リモコン26において当該記録処理を開始する旨の操作が実行されると、当該開始操作に対応して当該リモコン26から射出される赤外線IRをリモコン受光部25において受信することで当該リモコン受光部25から出力される操作情報Sopに基づき、マイコン部23は、当該開始操作において指定されたデジタル情報をネットワークBから取得してハードディスクHDに記録すべく制御情報Sccを生成してHSI部20へ出力する。
【0048】
これにより、HSI部20は、当該制御情報Sccの授受によるマイコン部23の制御の下、当該送信されてくる出力情報Sdpに対してデジタル的にインターフェース処理を施し、記録部22へ出力する。
【0049】
これにより、記録部22は、上記出力情報Sdpの中から、予め選択されているハードディスクHDに記録すべきデジタル情報を抽出し、それを連続してハードディスクHDへの記録が可能な記録レートにより記録情報Srとして当該ハードディスクHDを含むハードディスク部24へ出力する。
【0050】
そして、ハードディスク部24は、制御情報Sshの授受によるマイコン部23からの制御の下、内蔵するハードディスクHDに対して図4に示す記録フォーマットに則って上記必要なデジタル情報を含む記録情報Srを記録する。
【0051】
次に、上述のようにしてハードディスクHDに記録されたデジタル情報を再生する場合の動作を説明する。
【0052】
当該再生処理時においては、先ず、リモコン26において当該再生処理を開始する旨の操作が実行されると、当該開始操作に対応して当該リモコン26から射出される赤外線IRをリモコン受光部25において受信することで当該リモコン受光部25から出力される操作情報Sopに基づき、マイコン部23は、当該開始操作において指定されたデジタル情報をハードディスクHDから検出すべく制御情報Sshを生成してハードディスク部24へ出力する。
【0053】
これにより、ハードディスク部24は、当該制御情報Sshにより指定されたデジタル情報をハードディスクHDから検出し、検出情報Spとして再生制御部21へ出力する。
【0054】
そして、再生制御部21は、当該検出情報Sp内に含まれているデジタル情報に対して予め設定されている再生処理を施し、再生処理情報Sppを生成してHSI部20へ出力される。
【0055】
そして、当該HSI部20は、制御情報Sccの授受によるマイコン部23の制御の下、当該再生処理情報Sppに対してデジタル的にインターフェース処理を施し、デジタル情報である出力情報Sdpとして外部の図示しないデジタルテレビジョン装置等に出力する。なお、当該出力情報Sdpには、デジタル情報としての画像情報及び音声情報の双方が含まれている。
【0056】
次に、上述した構成を有する情報記録再生装置SRにおいてデジタル情報をハードディスクHDに記録する際に用いられる上記記録フォーマットについて、具体的に図4を用いて説明する。なお、図4に示す記録フォーマットは、当該デジタル情報をハードディスクHDに記録する際に用いられる論理的な記録フォーマットであり、更に図4は、当該デジタル情報が当該記録フォーマットに基づいてハードディスクに記録された後の当該記録フォーマットを階層的かつ模式的に夫々示す図である。
【0057】
なお、当該デジタル情報のハードディスクHDへの記録の際に用いられる物理的な記録フォーマットについては、当該ハードディスクHDに用いられている周知の物理フォーマットがそのまま用いられる。
【0058】
先ず、記録されているデジタル情報(音声情報及び画像(静止画像並びに動画像)情報の双方を含む)の内容及び記録態様を効率的に管理するべく当該記録フォーマットにおいて採用されている種々の概念について、以下の記録フォーマットの理解のための前提としてその概要を説明する。
【0059】
第一に、以下の記録フォーマットにおいては、記録されているデジタル情報を取り扱う際の単位として、「ユニットなる概念が用いられている。すなわち、ユニットとは、時間的に連続してハードディスクHDに記録された一のデジタル情報を言う。より具体的には、例えば、当該デジタル情報がBS(Broadcast Satellite)デジタル放送等のデジタル放送で放送された場合は、当該デジタル放送における一のイベントが一のユニットとなるように定義されている。
【0060】
第二に、以下の記録フォーマットにおいては、例えばデジタル放送中において、放送配信者側の意図によって、上記放送電波における後述するトランスポートストリーム中の画像情報等を格納するPIDが同一のパケットにより構成されている部分についてディレクトリなる概念が用いられている。すなわち、ディレクトリとは、一のユニット全体またはその一部を特定して、同一のPIDである区間を表すものである。
【0061】
第三に、以下の記録フォーマットにおいては、ディレクトリ中において、MPEG2規格で述べられているGOPを搬送している一の区間を示すものとして、アプリケーションGOPなる概念が用いられている。
【0062】
次に上述してきた種々の概念に基づいて、本実施形態に係る論理的な記録フォーマットについて説明する。
【0063】
図4示すように、必要なデジタル情報が記録された後のハードディスクHD上には、上記したユニットの夫々に対応する番組管理情報であるユニット情報INFと、放送されハードディスクHDに記録されているデジタル情報の実態そのものである一又は複数のストリーム情報SOBと、が記録されている。
【0064】
次に、図4に示すように上記ユニット情報INFは、上記ユニットの記録に係る情報で管理に必要がないとされる情報である予備情報RSV(4バイト)と、その記録されたイベントの放送電波上での放送開始時刻を示す情報である番組開始時刻情報EST(5バイト)と、その記録されたイベントの放送電波上での放送時間を示す番組放送時間情報EDUR(3バイト)と、上記デジタル情報の放送時におけるフォーマットであるトランスポートストリーム(以下、適宜TS(Transport Stream)と称する)の画像情報を搬送しているパケットの識別番号PID毎に割り振られるディレクトリがユニット内に包含されている数示す情報であるディレクトリ数情報DN(2バイト)と、夫々のディレクトリに関する属性情報等である後述のディレクトリ情報DIFのユニット情報の先頭からの位置を示すディレクトリ参照位置情報DS1乃至DSn(夫々4バイト)と、当該各ディレクトリ情報DIF1乃至DIFnと、により構成されている。このとき、特に本願に係る情報は上記番組開始時刻情報EST及び番組放送時間情報EDURである。
【0065】
次に、各ディレクトリ情報DIFの細部構成について説明する。
図4に示すように、各ディレクトリ情報DIFは、対応するディレクトリの中に含まれるTSパケットの数を示すディレクトリサイズ情報DS(4バイト)と、各ディレクトリに含まれている画像情報でビデオPIDにより識別される画像の総表示時間を示すディレクトリ表示時間情報DPTM(4バイト)と、そのディレクトリ中で一意の画像情報を搬送しているパケットを識別する番号PIDを示すビデオパケット識別情報VID(2バイト)と、画像情報の基本表示周波数を示すフレームコード情報FC(1バイト)と、予備情報RSV(1バイト)と、各ディレクトリを記録した時に最初にTSパケットであることを認識できる位置を各ディレクトリの先頭からのバイト数で示すパケットポインタPPT(4バイト)と、各ディレクトリを記録した時に最初にアプリケーションGOPであることを認識できる位置をそのディレクトリの先頭から上記パケットポインタPPTだけ移動した位置からのパケット数で示すGOPパケットポインタGPP(4バイト)と、各ディレクトリ中に含まれるアプリケーションGOPの数を示すポインタテーブル数情報PTN(4バイト)と、そのディレクトリに含まれている各アプリケーションGOP毎の属性情報等を示すポインタテーブルPT1乃至PTmと、により構成されている。
【0066】
更に、上記ポインタテーブルPTの細部構成について説明する。
図4に示すように、ポインタテーブルPTは、アプリケーションGOPに含まれるパケット数を示すGOPサイズ情報GPSZ(4バイト)と、アプリケーションGOPが属するディレクトリのビデオパケット識別情報VIDにより識別される画像情報の総表示時間を示す表示時間情報PBTM(2バイト)と、アプリケーションGOPの最初のパケットから数えてそのアプリケーションGOPの中にある最初の参照画像を包含し終えるパケットまでの数を示す第一参照画像サイズFESZ(2バイト)と、により構成される。
【0067】
なお、図4に示す記録フォーマット(論理フォーマット)と、ハードディスクHDの物理フォーマットとの関係については、図5に示すように、一のストリーム情報SOBはハードディスクHD上の情報の区分としてのアラインドユニットALUを一又は複数含むこととなり、更に一のアラインドユニットALUは一又は複数のセクタ(一般のハードディスクHDの場合は512バイトの情報量を有する)SRにより構成されている。そして、一のセクタSRが隣り合う二つのアラインドユニットALUに跨って属することはなく、また、一のアラインドユニットALUが隣り合う二つのストリーム情報に跨って属することはない。
【0068】
更に、通常は、一のストリーム情報SOBが一の上記イベントに相当するように記録される。
【0069】
(II)本願の実施形態
次に、上述した構成の放送受信記録システムSにおいて実行される本願に係るデジタル放送の受信処理及び記録処理について、具体的に図6乃至図13を用いて説明する。
【0070】
後述する如く、実施形態の放送受信記録システムSにおいては、受信したデジタル放送の放送電波に含まれているデジタル情報を情報記録再生装置SRへの送信用の記録ストリームに変換するに当たり、受信したデジタル放送におけるイベントの変わり目(変更点)を示す情報が確実に情報記録再生装置SR向けの記録ストリーム中に反映させるべく、主としてセットトップボックスSTにおける当該記録ストリームの生成処理において、受信した放送電波におけるトランスポートストリーム中におけるイベントの変更点(より具体的には、その変更時刻)を検出し、その検出した変更時刻を、生成される記録ストリーム内に反映させる。
【0071】
(A)セットトップボックスの実施形態
先ず、図6を用いて、セットトップボックスSTにおいて実行される上記二つの処理の全体構成について、図6を用いて説明する。なお、図6は当該全体処理を示すフローチャートである。
【0072】
図6に示すように、実施形態のセットトップボックスSTにおいては、先ず、受信したデジタル放送を情報記録再生装置SRに出力して記録させる旨の操作が上記リモコン12において実行されたか否かが確認され(ステップS1)、実行されないときは(ステップS1;NO)そのまま待機し、実行されたときは(ステップS1;YES)、次に、受信したデジタル放送中に含まれている時刻情報(より具体的には、そのデジタル放送を放送した放送局内にある基準時計において刻まれている時刻情報)を用いてセットトップボックスST内のマイコン部3に含まれている図示しないシステム時計を規正する時刻規正処理(ステップS10)と、受信したデジタル放送中に含まれている各イベントの開始時刻等を認識するイベント認識処理(ステップS20)と、その認識したイベントの変更点(変更時刻)を検出するイベント変更検出処理(ステップS40)と、その検出した変更点を反映させた記録ストリームを情報記録再生装置SRに対して送信するストリーム送信処理(ステップS60)と、を相互に並行して独立に行う。
【0073】
そして、実行中の出力処理を終了する旨の操作がリモコン12において実行されたか否かが確認され(ステップS70)、実行されないときは(ステップS70;NO)引き続き上記ステップS10、S20、S40及びS60の処理を並行して行い、一方、終了処理が実行されたときは(ステップS70;YES)そのまま実施形態に係るセットトップボックスSTにおける処理を終了する。
【0074】
次に、上述したステップS10、S20、S40及びS60の処理の夫々につき、詳細に説明する。
【0075】
先ず、上記ステップS10としての時刻規正処理について、図7を用いて説明する。なお、図7は当該時刻規正処理を示すフローチャートである。
【0076】
図7に示すように、実施形態の時刻規正処理(ステップS10)においては、始めに、リモコン12において実施形態の受信・記録処理を中止する旨の操作がされたか否かが常に監視されており(ステップS11)、その操作が為されたときは(ステップS11;YES)、図6に示すステップS70の処理に移行し、一方、その操作が為されないときは(ステップS11;NO)、次に、デジタル放送としてのトランスポートストリーム内の一のパケットを受信し(ステップS12)、そのパケット内に、当該デジタル放送を放送した放送局内にある基準時計において刻まれている時刻情報が例えばタイムオフセットテーブル等の形態で含まれているか否かを確認する(ステップS13)。
【0077】
そして、当該時刻情報が含まれていないときは(ステップS13;NO)、上記ステップS11の処理に戻って以降の処理を繰り返し、一方、当該時刻情報が受信した(ステップS12)パケット内に含まれていたときは(ステップS13;YES)、その時刻情報をマイコン部3において復号し(ステップS14)、その後当該マイコン部3内にあるセットトップボックスSTの動作の基準時刻を示す上記システム時計をその復号した時刻情報に合わせるように規正し(ステップS15)、再度上記ステップS11に戻って今までの処理を繰り返す。
【0078】
次に、上記ステップS20としてのイベント認識処理について、図8を用いて説明する。なお、図8は当該イベント認識処理を示すフローチャートである。
【0079】
図8に示すように、実施形態のイベント認識処理(ステップS20)においては、始めに、マイコン部3内の図示しないレジスタ等において、マイコン部3として一の新たなイベントの認識を完了したか否かを示すパラメータであるイベント認識フラグを初期化すると共に(ステップS21)、そのイベントが変更される変更点を情報記録再生装置SR向けの記録ストリームに含ませて当該情報記録再生装置SRに通知する準備が完了したか否かを示すパラメータであるイベント変更通知フラグを初期化する(ステップS22)。
【0080】
各フラグの初期化が完了した後は、リモコン12において実施形態の受信・記録処理を中止する旨の操作がされたか否かが常に監視されており(ステップS23)、その操作が為されたときは(ステップS23;YES)、図6に示すステップS70の処理に移行し、一方、その操作が為されないときは(ステップS23;NO)、次に、デジタル放送としてのトランスポートストリーム内の一のパケットを受信し(ステップS24)、そのパケット内において、予め規定されている特定のPIDを有するイベント情報テーブルが受信できているか否かを確認する(ステップS25)。
【0081】
ここで、当該イベント情報テーブルとは、放送されているデジタル放送におけるイベント毎の属性を示す属性情報、そのイベントの放送開始時刻を示す放送開始時刻情報及びそのイベントの放送に必要な時間を示す放送時間情報等が、イベント毎に相互に区別可能に特定のPIDを有して含まれているものであり、セットトップボックスSTにおいて各イベントの放送開始時刻及び放送時間が各イベント毎に取得できる。そこで、本願ではこのイベント情報テーブルから取得した放送開始時刻情報及び放送時間情報を用いて現在受信しているイベントが他のイベントに変更されたか否かを判断する。
【0082】
すなわち、ステップS25の判定において、特定イベント情報テーブルが受信されないときは(ステップS25;NO)再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、受信できたときは(ステップS25;YES)、次に、その受信した特定イベント情報テーブル内のうち、予め規定されている特定のテーブルIDを有するイベント情報セクションが受信できているか否かを確認する(ステップS26)。
【0083】
ここで、当該イベント情報セクションとは、上記イベント情報テーブルのうち、上記属性情報、放送開始時刻情報及び放送時間情報が、イベント毎に相互に区別可能に特定のテーブルIDを有して含まれているものであり、セットトップボックスSTにおいて各イベントの放送開始時刻及び放送時間が各イベント毎に取得できるものである。
【0084】
そして、ステップS26の判定において、特定イベント情報セクションが受信されないときは(ステップS26;NO)再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、受信できたときは(ステップS26;YES)、次に、そのイベント情報セクションを受信した時点において上記イベント認識フラグの値が「0」か否か、すなわち、デジタル放送におけるイベント自体が未だ認識されていないか否かを確認する(ステップS27)。
【0085】
ステップS27の判定において、イベント認識フラグの値が「0」、すなわち、現在イベントが一つも認識されていない場合は(ステップS27;YES)、次に、現在受信しているイベントに後続する次のイベントがあるか否かを示す次イベントインジケータが「1」か否かを、受信しているトランスポートストリーム内において確認する(ステップS28)。
【0086】
そして、次イベントインジケータが「1」でない、すなわち、現在受信しているイベントの情報でない場合は(ステップS28;NO)、現在受信しているイベントの変更点(終了時間などの情報)が得ることができないため、再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、次イベントインジケータが「1」である、すなわち、現在受信しているイベントの情報である場合は(ステップS28;YES)現在受信しているイベントの変更点(番組開始時刻と終了時間などの情報)が得ることができるため、現在受信中のイベントに対応する放送開始時刻情報の値を上記イベント情報セクションから取得して情報記録再生装置SRへの送信用のユニット情報一時ファイル(マイコン部3内の図示しないメモリ領域内に形成されている)に記述し(ステップS29)、同様に、現在のイベントに対応する放送時間情報の値を上記イベント情報セクションから取得して上記ユニット情報一時ファイルに記述し(ステップS30)、これらの処理により現在受信しているイベントが認識できたものとして上記イベント認識フラグを「1」に変更して(ステップS31)再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返す。
【0087】
一方、ステップS27の判定において、イベント認識フラグの値が「1」、すなわち、現在までの上記ステップS28乃至S31の処理により一のイベントが現時点で認識されている場合は(ステップS27;NO)、次に、上記次イベントインジケータが「1」か否かを、受信しているトランスポートストリーム内において確認する(ステップS32)。
【0088】
そして、次イベントインジケータが「0」でない、すなわち、現在受信しているイベントの次の情報でない場合は(ステップS32;NO)、現在受信しているイベントの次のイベントの開始点(番組開始時刻などの情報)、が得ることができないため、再度上記ステップS233の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、次イベントインジケータが「0」である、すなわち、現在受信しているイベントの次のイベントの情報である場合は(ステップS32;YES)現在受信しているイベントの次のイベントの開始点(番組開始時刻などの情報)が得ることができるため、現在受信中のイベントの次のイベントに対応する放送開始時刻情報の値を上記イベント情報セクションから取得して情報記録再生装置SRへの送信用の次イベント開示時刻情報ファイル(マイコン部3内の図示しないメモリ領域内に形成されている)に記述し(ステップS33)、同様に、当該次のイベントに対応する放送時間情報の値を上記イベント情報セクションから取得して情報記録再生装置SRへの送信用の次イベント時間情報ファイル(マイコン部3内の図示しないメモリ領域内に形成されている)に記述し(ステップS34)、これらの処理により現在受信しているイベントに後続するイベントの情報が取得できて現在受信しているイベントの変更点に関する情報の、情報記録再生装置SRへの通知準備ができたものとして上記イベント変更通知フラグを「1」に変更して(ステップS35)再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返す。
【0089】
次に、上記ステップS40としてのイベント変更検出処理について、図9を用いて説明する。なお、図9は当該イベント認識処理を示すフローチャートである。
【0090】
図9に示すように、実施形態のイベント変更検出処理(ステップS40)においては、始めに、マイコン部3内の上記レジスタ等において、セットトップボックスSTから記録ストリームとして送出したイベントの順序を示すパラメータであるイベント参照数フラグを初期化する(ステップS41)。
【0091】
そして、当該イベント参照数フラグの初期化後は、リモコン12において実施形態の受信・記録処理を中止する旨の操作がされたか否かが常に監視されており(ステップS42)、その操作が為されたときは(ステップS42;YES)、図6に示すステップS70の処理に移行し、一方、その操作が為されないときは(ステップS42;NO)、次に、デジタル放送としてのトランスポートストリーム内の一のパケットを受信し(ステップS43)、更に現時点でのイベント変更通知フラグの値が「1」であるか否か、すなわち、イベントが変更される変更点を情報記録再生装置SR向けの記録ストリームに含ませて当該情報記録再生装置SRに通知する準備が完了しているか否かを確認し(ステップS44)、当該イベント変更通知フラグの値が「1」でないときは(ステップS44;NO)、未だ当該変更点を通知することができないこととなるので再度上記ステップS42の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、イベント変更通知フラグの値が「1」であるときは(ステップS44;YES)、上述したステップS10の処理にて規正されているシステム時計の時刻を取得し(ステップS45)、更に、その取得した時刻が、図8ステップS33において次イベント開示時刻情報ファイルに記述された時刻の0.5秒前の時刻を示しているか否かを確認する(ステップS46)。なお、この「0.5秒」なる時間は、デジタル放送に用いられている上記MPEG方式における一のGOPに含まれる画像及び音声の再生時間に相当する時間である。
【0092】
これにより、取得した時刻が次イベント開示時刻情報ファイルに記述された時刻の0.5秒前の時刻を示していないときは(ステップS46;NO)、イベント変更点(変更時刻)は未だ到来していないこととなるので再度上記ステップS23の処理に戻って今までの処理を繰り返し、一方、取得した時刻が次イベント開示時刻情報ファイルに記述された時刻の0.5秒前の時刻を示しているときは(ステップS46;YES)、イベント変更情報テーブルを挿入すべきタイミングであるとして当該イベント変更情報テーブルを情報記録再生性装置SRに送信する記録ストリームに直ちに挿入するか、又は現在時刻において情報記録再生装置SRに送信しようとしている記録ストリーム内のパケットをそのイベント変更情報テーブルに置換により挿入する(ステップS47)。また、上記イベント変更情報テーブルとは、情報記録再生装置SRにおいてイベントの変更があったことを認識することができるように記述された情報テーブルである。
【0093】
イベント変更情報テーブルの挿入又は置換が完了したら、そのイベント変更情報テーブルを含むパケットを記録ストリームの一部として情報記録再生装置SRに送信し(ステップS48)、上記イベント変更通知フラグ、イベント認識フラグ及びイベント変更情報テーブルの内容を反映した上記ユニット情報INFを情報記録再生装置SRに送信したことを示す後述のファイル送信フラグを初期化して(ステップS49)、上記イベント参照数フラグを「1」だけインクリメントし(ステップS50)、次のイベントについて上述してきた図9の処理を施すべく上記ステップS42の処理に戻って今までの処理を繰り返す。
【0094】
次に、上記ステップS60としてのストリーム送信処理について、図10を用いて説明する。なお、図10は当該ストリーム送信処理を示すフローチャートである。
【0095】
図10に示すように、実施形態のストリーム送信処理(ステップS60)においては、始めに、上記ファイル送信フラグを初期化し(ステップS61)、その後、リモコン12において実施形態の受信・記録処理を中止する旨の操作がされたか否かが常に監視し(ステップS62)、その操作が為されたときは(ステップS62;YES)、図6に示すステップS70の処理に移行し、一方、その操作が為されないときは(ステップS62;NO)、次に、現在のイベント認識フラグの値が「1」か否か、すなわち、現在受信中のイベントが認識できているかを確認し(ステップS63)、未だ認識できていないときは(ステップS63;NO)、上記ステップS62の処理に戻って今までの処理を繰り返す。
【0096】
一方、ステップS63の判定において、イベント認識フラグの値が「1」であり、現在受信中のイベントが認識できているときは(ステップS63;YES)、次に、上記イベント送信フラグの値が「1」か否か、すなわち、イベントの変更点を示すイベント変更情報テーブルが送信済みか否かを確認する(ステップS64)。そして、送信済みであるときは(ステップS64;YES)、次のイベントについて上述してきた処理を繰り返すべく上記ステップS62に戻り、一方、送信済みでないときは(ステップS64;NO)、次に、上記ユニット情報一時ファイル(図8ステップS29及びS30参照)に現在のイベント参照数フラグの値を記述し(ステップS65)、その後当該記述後のユニット情報一時ファイルを情報記録再生装置SRに対して上記ユニット情報INFとして送信し(ステップS66)、その後にファイル送信フラグの値を「1」に更新して上記ステップS62に戻り次のイベントについて上述した処理を繰り返す。
【0097】
最後に、上述してきたステップS1、S10、S20、S40、S60及びS70の処理により形成される記録ストリームの態様について、具体的に図11を用いて説明する。なお、図11は、デジタル放送として放送されているトランスポートストリーム中のパケットPT(図11上段)と、出力情報Sdpに相当する記録ストリーム中のパケットPTとを、時間軸上で比較した模式図である。
【0098】
上述してきた一連の処理によれば、図11に示すように、トランスポートストリーム中のイベントの変更時刻の0.5秒前に相当する記録ストリーム中の時間位置に、上記したイベントの変更時刻を示すイベント変更情報テーブルDITが挿入されることとなる。なお、情報記録再生装置SRにおける当該イベント変更情報テーブルDITの検出精度を高めるべく、当該イベント変更情報テーブルDITに相当するパケットは二つ連続して記録ストリーム内に挿入されることが望ましい。また、イベントが変更されることに対応する記録ストリームとしてのストリーム情報SOBの変更点は、図11に示すようにイベント変更時刻に対応した表示画像が搬送されているパケットのタイミングと一致することになる。
【0099】
(B)情報記録再生装置における記録動作の実施形態
次に、上述してきたセットトップボックスSTから送信されてくる記録ストリームを情報記録再生装置SR内の上記ハードディスクHDに図4に示す記録フォーマットにて記録する際の情報記録再生装置SRの記録処理について、図12乃至図20を用いて説明する。
【0100】
始めに、図12を用いて、情報記録再生装置SRにおいて実行される記録処理の全体構成について説明する。なお、図12は当該全体処理を示すフローチャートである。
【0101】
図12に示すように、実施形態の情報記録再生装置SRにおいては、先ず、セットトップボックスSTから伝送されてきた出力情報Sdpを記録する旨の操作が上記リモコン26において実行されたか否かが確認され(ステップS2)、実行されないときは(ステップS2;NO)そのまま待機し、実行されたときは(ステップS2;YES)、次に、当該伝送されてきた出力情報SdpをハードディスクHDに記録する記録処理(ステップS80)と、当該出力情報Sdpの記録中のいて、セットトップボックスSTからの伝送過程において、例えばパケット落ち等の予期せぬ事故が発生したか否かを検出する事故検出処理(ステップS100)と、その検出した事故の状態を反映した内容を有する番組管理情報としてのユニット情報INFをハードディスクHD上に記録する番組管理情報記録処理(ステップS115)と、を相互に並行して独立に行う。
【0102】
そして、実行中の記録処理を終了する旨の操作がリモコン26において実行されたか否かが確認され(ステップS140)、実行されないときは(ステップS140;NO)引き続き上記ステップS80、S90及びS115の処理を並行して行い、一方、終了処理が実行されたときは(ステップS140;YES)そのまま実施形態に係る情報記録再生装置Rにおける処理を終了する。
【0103】
次に、上述したステップS80、S90及びS115の処理の夫々につき、詳細に説明する。
【0104】
先ず、上記ステップS80としてのパケット記録処理について、図13を用いて説明する。なお、図13は当該パケット記録処理を示すフローチャートである。
【0105】
図13に示すように、実施形態の情報記録再生装置SRにおいてセットトップボックスSTからの記録ストリームをハードディスクHDに記録する場合は、先ず、ハードディスクHDに記録したパケットPTの数を示す参照数フラグを初期化し(ステップS80)、次に、これから記録するアラインドユニットALU(図5参照)が含まれるストリーム情報SOB(図4及び図5参照)のハードディスクHD上の記録開始位置をハードディスクHDに基づいて取得してマイコン部23内の図示しないメモリに一時的に記憶し(ステップS81)、更に、リモコン26において実施形態の記録処理を中止する旨の操作がされたか否かを常に監視し(ステップS82)、その操作が為されたときは(ステップS82;YES)、記録処理を終了し、一方、その操作が為されないときは(ステップS82;NO)、次に、記録ストリームとして送信されてきたパケットPTを一つ受信し(ステップS83)、更にその受信したパケットPT内の情報をハードディスクHDの記録すべき位置に記録し(ステップS84)、上記参照数フラグを「1」だけインクリメントする(ステップS85)。
【0106】
そして、図11に示す例において、イベント変更情報テーブルDITが二つ連続して記録ストリーム内に挿入されている場合において、そのイベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出したか否かを確認する(ステップS86)。
【0107】
ステップS86の判定において、イベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出したときは(ステップS86;YES)、ストリーム情報SOBのハードディスクHD上の記録終了位置をハードディスクHDに基づいて取得してマイコン部23内の上記メモリに一時的に記憶し(ステップS87)、次のパケットPTをセットトップボックスSTから受信すべく上記ステップS82の処理に移行する。
【0108】
一方、ステップS86の判定において、イベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出しないときは(ステップS86;NO)、次に、一のアラインドユニットALU内において受信したパケット数を示す現時点での参照数フラグの値が一のアラインドユニットALUに含まれるパケットPTの数として予め設定されている数になったか否かを確認し(ステップS88)、参照数フラグの値がそのパケット数に到達していないときは(ステップS88;NO)次のパケットPTをセットトップボックスSTから受信すべく上記ステップS80の処理に移行し、一方、参照数フラグの値がそのパケット数に到達しているときは(ステップS88;YES)、一のアラインドユニットALUの形成が完了したとして次のアラインドユニットALUについて上述した処理を繰り返すべく、上記ステップS80の処理に移行する。
【0109】
なお、図11には図示していないが、全てのストリーム情報SOBのハードディスクHDへの記録が完了したときは、図10ステップS60に示す処理により送信されてくるユニット情報一時ファイルを用いて図4に示すユニット情報INFを形成し、これを図4に示す記録フォーマットに則ってハードディスクHDに記録することとなる。
【0110】
次に、図13に示した処理により記録ストリームが記録されたハードディスクHD上の態様について、具体的に図14を用いてその概要を説明する。なお、図14は、情報記録再生装置SRによりデジタル情報が記録された後のハードディスクHD上におけるアラインドユニットALUとパケットPTの関係を、時間軸上で模式的に示した図である。
【0111】
上述してきた一連の記録処理によれば、図14に示すように、一のアラインドユニットALUの境界がストリーム情報SOBの境界と一致するようになって各パケットPTが記録される。
【0112】
すなわち、図13に示す記録処理によれば、結果として情報記録再生装置SRにおいてイベント変更情報テーブルDITが受信されると、その次のパケットPTから続く記録ストリームは未記録のアラインドユニットALUの先頭から記録されることとなる。このとき、ストリーム情報SOBの境界とアラインドユニットALUの境界とを一致させようとした場合には、図14に示す如く、パケットPTの境界とアラインドユニットALUの境界とを一致させるべく、何ら情報を含まないヌルパケットNを必要数だけ挿入した後にイベント変更情報テーブルDITを挿入することとなる。
【0113】
次に、上記図10に示したストリーム送信処理(特に図10ステップS65及びS66の処理)と上記図13に示したパケット記録処理(特に図13ステップS83及びS84の処理)との間でイベント参照数パラメータが記述されたユニット情報一時ファイルが正常に授受されている場合の各段階におけるストリーム情報の態様について、図15を用いて説明する。なお、図15は当該態様を模式的に示す図である。
【0114】
先ず、上記ユニット情報一時ファイルが正常に授受されている場合には、図15最上段に示すように、セットトップボックスSTから出力される出力情報Sdpの段階では、イベントとしての内容が変化する度にイベント変更情報テーブルDITが挿入された状態で伝送される。
【0115】
ここで、図15最上段に示す場合において、向かって左から三番目のイベント変更情報テーブルDITについては、出力情報Sdpの生成時において何らかの原因で元のTSに含まれていたEIT(イベント情報テーブル(Event Information Table)の略語であり、各イベントの属性等を示す情報である)が取得できなかったユニットであり直前のイベント変更情報テーブルDIT(図15最上段中向かって左から二番目のイベント変更情報テーブルDIT)が挿入された後に短時間で挿入されているものとする。
【0116】
この場合、上記図9に示したイベント変更検出処理に沿って考えると、当該各イベント変更情報テーブルDITに対応するイベント参照数フラグの値は、図15上から二段目に示す如く、向かって左のイベント変更情報テーブルDITから順に「0」、「1」、「2」及び「3」となる。
【0117】
このとき、イベント参照数フラグ「2」に相当する出力情報Sdp内には上記EITが含まれていないため、結果としてイベント参照数フラグ「2」に相当する出力情報Sdpに対応するユニット情報一時ファイルが生成されないため、図15に示す場合にセットトップボックスSTから出力されてきた出力情報Sdpに対応して生成されるユニット情報一時ファイルは、図15上から三段目に示すように、イベント参照数フラグ「0」に相当するユニット情報一時ファイルTF0と、イベント参照数フラグ「1」に相当するユニット情報一時ファイルTF1と、イベント参照数フラグ「3」に相当するユニット情報一時ファイルTF3と、の三つとなる。
【0118】
そして、このような出力情報SdpをハードディスクHD上の連続した空き領域に記録した場合、その態様は、図15下から二段目に示すように、各イベントの変化点においてアラインドユニットALUの境界が形成される形となる。このとき、各イベント参照数フラグに属するアラインドユニットALUにより、ハードディスクHD上に記録されている情報における上記ストリーム情報SOBに対応する一纏まりの情報である「エクステント」が形成される。また、ユニット情報一時ファイルTFが形成されない出力情報Sdpは、ハードディスクHD上においては不要な情報であるガーベージエクステントを形成することとなる。
【0119】
これらにより、図15最下段に示すように、各エクステントに対応する出力情報Sdpが、ハードディスクHD上での各イベントに対応する論理フォーマット上のユニットYを夫々形成して記録されることとなる。
【0120】
次に、図15に示すようにして正常に必要な出力情報Sdpが受信できたときにおける番組管理情報としてのユニット情報INFの記録処理について、具体的に図16乃至図18を用いて説明する。
【0121】
なお、図16は当該記録処理を示すフローチャートであり、図17及び図18は、当該記録処理によりハードディスクHDに記録されているユニット情報INFを用いて、当該ハードディスクHDに記録された出力情報Sdpを再生する際に図3において図示していないディスプレイに表示される再生制御画面の一例である。
【0122】
図16に示すように、ユニット情報INFの記録処理においては、初めに、一のファイル(ユニット情報一時ファイルを含む。以下、同じ。)を正常に受信していることを示すファイル取得フラグを初期化し(ステップS116)、情報記録再生装置SRにおいてセットトップボックスSTとは別個に一イベント分の出力情報Sdpを受信する度にインクリメントしているパラメータであるイベントカウンタを初期化し(ステップS117)、更に、ユニット情報INFがハードディスクHD上において登録可能な状態となっているか否かを示すパラメータであるユニット登録フラグを初期化し(ステップS118)、情報記録再生装置SR内における記録クロック信号等に用いるタイマの計時を開始する(ステップS119)。
【0123】
次に、リモコン26において記録ストリームのハードディスクHDへの記録処理を中止する旨の操作が為されたか否かを確認し(ステップS120)、当該操作が実行されたときは(ステップS120;YES)そのまま図12に示すステップS140へ移行し、一方、当該操作が実行されていないときは(ステップS120;NO)、次に、伝送されてきた出力情報Sdp中の含まれている必要なパケットを受信する(ステップS121)。
【0124】
そして、図11に示す例において、イベント変更情報テーブルDITが二つ連続して記録ストリーム内に挿入されている場合に、そのイベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出したか否かを確認する(ステップS122)。
【0125】
ステップS86の判定において、イベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出したときは(ステップS122;YES)、次に、上記ファイル取得フラグが「1」であるか否かを確認する(ステップS123)。
【0126】
そして、当該ファイル取得フラグが「1」であるときは(ステップS123;YES)、後述する如きパケット落ちが発生せずに正常に必要な再生情報Sdpが全て受信されたことになるので、次に、その受信したファイルをハードディスクHDに記録すべくユニット登録フラグが「1」であるか否かを確認し(ステップS124)、ユニット登録フラグも「1」であるときは(ステップS124;YES)、受信したファイル内からユニット情報一時ファイルを読み出してユニット情報INFとして記録し(ステップS125)、その記録開始位置と記録終了位置を記録し(ステップS126)、ファイル取得フラグを初期化して(ステップS127)上記イベントカウンタを「1」だけインクリメントして(ステップS128)次のパケットの受信に備えるべく上記ステップS118に移行する。
【0127】
一方、上記ステップS123の判定においてファイル取得フラグが「1」でないとき(ステップS123;NO)及び上記ステップS124の判定においてユニット登録フラグが「1」でないときは(ステップS124;NO)、未だ正常にユニット情報INFを記録するだけの情報が受信されていないので、そのまま上記ステップS128に移行する。
【0128】
他方、上記ステップS122の判定において、イベント変更情報テーブルDITを二つ連続して検出していないときは(ステップS122;NO)、次に、ユニット登録フラグが「0」であり、且つ上記タイマの計時が2秒を越えたか否かを確認する(ステップS129)。
【0129】
そして、ユニット登録フラグが「0」でないか、又はタイマの計時が2秒を越えていないときは(ステップS129;NO)、上記ステップS120に戻って引き続きパケットの受信を継続し、一方、ユニット登録フラグが「0」であり、且つタイマの計時が2秒を越えているときは(ステップS129;YES)、ユニット登録フラグを「1」として(ステップS130)上記ステップS120に戻って引き続きパケットの受信を継続する。
【0130】
このステップS122→S129→S130の処理が繰り返されることにより、セットトップボックスSTにおいて、例えば選局動作中のスキップ動作の如く、2秒未満の短時間の選局動作(すなわち、所望される放送局に到達するまでのスキップ選局動作)によって不要な出力情報Sdpが伝送されてハードディスクHDに記録されたとしても、この不要な出力情報Sdpを示すユニット情報INFは記録されないこととなる。
【0131】
従って、例えば図17にディスプレイD上の表示例と共に例示するチャンネル選択動作のように、チャンネル101で放送されている番組を7分間記録(録画)した後、選局のためにチャンネル102で放送されている番組を2秒未満の短時間だけ見てスキップし、その後チャンネル103で放送されている番組を5分間録画して一旦録画処理を終了(中断)し、その同じチャンネル103において新たな番組の放送が開始されてそれを8分間録画し、次にチャンネル141で放送されている番組を10分間録画した場合でも、上記チャンネル102で放送されている番組については、たとえその番組の実体としての出力情報SdpがハードディスクHDに記録されたとしても、その記録したことを示すユニット情報INFが記録されない。従って、この結果として、一連の録画処理が完了した後のユニット情報INFとしては、図18に例示するディスプレイD上のユニット情報の如く、当該チャンネル102で放送されていた番組「BBB」は全く表示されないこととなる。
【0132】
なお、図16におけるステップS129の判定で用いた「2秒」なる閾値時間は、基本的には任意に設定し得るものであり、より具体的には情報記録再生装置SRの使用者が任意に設定できるように構成することも可能であるし、或は、パーシャルTS上のパケット等の情報単位の情報量等を参照して設定しても良い。
【0133】
次に、上記図10に示したストリーム送信処理と上記図13に示したパケット記録処理との間でユニット情報一時ファイルの授受が実行されているときに、ネットワークB上に発生した障害等の何らかの理由でパケット落ちが発生して正常にイベント変更情報テーブルDITが授受されなかった場合の各段階におけるストリーム情報の態様について、図19を用いて説明する。なお、図19は当該態様を模式的に示す図である。
【0134】
先ず、セットトップボックスSTから出力される段階の出力情報Sdpにおいては、図15を用いて説明した場合と同様に、各イベント変更情報テーブルDITの挿入タイミングで変化するイベント参照数フラグに対応してユニット情報一時ファイルTF0、TF1及びTF2が夫々に形成されているとする(図19最上段参照)。
【0135】
ここで、図19上から四段目に示すようにネットワークB上の障害等により、図19において向かって左から二番目のイベント変更情報テーブルDITを含むパケットが欠落したとすると、これを受信した情報記録再生装置SRにおいては記録ストリームにおけるイベントの変化点が認識できなくなってしまうため、図19下から三段目に示すように、本来ならばエクステント1とエクステント2として別個に記録されるべきアラインドユニットALUが一つのエクステントとして記録されてしまうこととなる。
【0136】
そして、この時点でイベントの変化点を示す情報が消失してしまっているため、そのままだとハードディスクHDに記録された情報の再生時においてイベントの変化が正しく認識されなくなるので、例えば各アラインドユニットALUが情報記録再生装置SRに入力されるべき時刻を示す到着時刻情報の不連続点を検出する等の複雑な処理により、図19下から二段目に示すように本来のエクステントの境界点を検出し、その検出結果を図19最下段に示すようにユニット情報Yの生成に反映する必要がある。
【0137】
このため、実施形態の情報記録再生装置SRにおいては、このパケット落ち等の事故の発生を早期に認識すべく、以下に説明する事故検出処理(ステップS100)を上記したパケット記録処理(ステップS80)と並行して行う。
【0138】
次に、当該事故検出処理について、具体的に図20を用いて説明する。なお、図20は当該事故検出処理を示すフローチャートである。
【0139】
図20に示すように、当該事故検出処理においては、初めに、当該事故が発生した可能性があることを示すエラー可能性フラグを初期化し(ステップS101)、次に、リモコン26において記録ストリームのハードディスクHDへの記録処理を中止する旨の操作が為されたか否かを確認し(ステップS102)、当該操作が実行されていないときは(ステップS102;NO)、図10に示すステップS60に示す処理により送信されてくるユニット情報一時ファイルを用いてユニット情報INFを形成する(ステップS103)。
【0140】
そして、上記イベントカウンタの現在値と、ユニット情報INFによって示される、現在受信している出力情報Sdpに対応するイベント参照数フラグの値と、を比較し、その値が等しいか否かを確認する(ステップS104)。
【0141】
これにより、イベントカウンタの現在値とイベント参照数フラグの値とが一致しないときは(ステップS104;NO)、上述したようなパケット落ちが発生した可能性があるとして上記エラー可能性フラグを「1」として(ステップS107)上記ステップS102に移行して次のファイルの受信に備える。
【0142】
一方、ステップS104の判定において、イベントカウンタの現在値と受信したユニット情報INFより示されるイベント参照数フラグの値とが一致するファイルがあるときは(ステップS104;YES)、現在は正常に出力情報Sdpの受信が実行されているとして、上記ファイル取得フラグを「1」とし(ステップS105)、受信したファイルをハードディスクHD上のユニット情報一時ファイルとして当該ハードディスクHD上に記録し(ステップS106)、上記ステップS102に移行して次のファイルの受信に備える。
【0143】
他方、上記ステップS102の判定において、記録処理を中止する旨の操作がリモコン26上で為されているときは(ステップS102;YES)、次に、エラー可能性フラグの値が「0」であるか否かを確認する(ステップS108)。そして、エラー可能性フラグの値が「0」であるときは(ステップS108;YES)必要な全ての出力情報Sdpがパケット落ちせずに記録されていることとなるので、そのまま図12に示すステップS140の処理に移行する。
【0144】
一方、ステップS108の判定においてエラー可能フラグの値が「0」でないときは(ステップS108;NO)、パケット落ちが発生した可能性が高いこととなるので、上述した到着時刻情報の不連続点を検出する等の処理によりパケット落ちが発生したタイミングである非連続点をハードディスクHD上で検索し(ステップS109)、検索された非連続点を含むアラインドユニットALUの最終アドレスをその直前のストリーム情報SOBの記録終了位置であり且つ直後のストリーム情報SOBの記録開始位置であると認識して(ステップS110)、管理情報であるファイルシステムを再生成し、図12に示すステップS140の処理に移行する。
【0145】
以上夫々説明したように、実施形態のセットトップボックスST及び情報記録再生装置SRの動作によれば、イベント参照数フラグとイベントカウンタとを比較し、それらの値が異なるときDITが欠落して出力情報Sdpが入力されたと認識するので、DITが欠落した状態で出力情報Sdpが入力されていることを確実に検出することができる。
【0146】
また、DITが欠落した状態で出力情報Sdpが入力されているときには、入力された出力情報Sdp内におけるイベントの構成を再構成するので、イベントの変更点を正確に反映した状態でハードディスクHDに記録することができる。
【0147】
更に、出力情報Sdp内における到着時刻情報の不連続点を検出することで、イベントの変更点を検出するので、確実にイベントの変更点を検出することができる。
【0148】
更にまた、イベント参照数フラグ及びイベントカウンタの値が一致するときはそのまま出力情報SdpをハードディスクHDに記録するので、この場合には高速に必要な情報をハードディスクHDに記録することができる。
【0149】
なお、上述してきた実施形態では、ハードディスクHD上に記録ストリームを記録する情報記録再生装置SRに対して本願を適用した場合について説明したが、これ以外に、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)等の大容量の光ディスクやテープ媒体、或は半導体記録媒体等に対して記録ストリームを記録する場合に本願を適用することも可能である。
【0150】
また、上述した実施形態では、イベントの変更時刻の0.5秒前にイベント変更情報テーブルDITを挿入する場合について説明したが、これ以外に、イベントの実際の変更時刻(図11参照)の直前に当該イベント変更情報テーブルDITを挿入しても良い。
【0151】
更に、上述してきた図6乃至図10、図12、図13、図16及び図20に夫々示すフローチャートに対応するプログラムをフレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、或は、インターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、これらを汎用のCPUで読み出して実行することにより、当該CPUを、実施形態に係るマイコン部3又は23として機能させることもできる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部分記録情報により構成される記録情報に前記部分記録情報と他の前記部分記録情報との境界を示す境界情報を付加する付加手段と、
前記境界情報が付加された記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、を送出する送出手段と、
を備えることを特徴とする情報送出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報送出装置において、
前記送出順序情報を、情報が送出先に到達することが保証されている伝送方法を用いて送出する第1送出手段と、
前記記録情報を、前記送出順序情報とは異なる伝送方法で送出する第2送出手段と、
を更に備えることを特徴とする情報送出装置。
【請求項3】
複数の部分記録情報により構成されると共に前記部分記録情報の境界を示す境界情報を含む記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、が入力され、少なくとも前記記録情報を記録媒体へ記録する情報記録装置であって、
前記送信順序情報に基づいて、前記境界情報の誤検出を検出する誤検出検出手段を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報記録装置において、
前記誤検出検出手段は、
前記境界情報の数を計数する計数手段と、
前記計数手段による計数値と前記送信順序情報の値とを比較する比較手段と、
を含むことを特徴とする情報記録装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の情報記録装置において、
前記境界情報に基づいて、管理情報を生成する生成手段と、
前記境界情報の誤検出を検出したとき、記録された前記記録情報を管理するための前記管理情報を修正する修正手段と、
前記修正された管理情報を前記記録媒体に記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報記録装置において、
前記記録媒体に記録される前記記録情報に時間情報を付加する付加手段を更に備え、
前記修正手段は、前記記録情報に付加された時間情報の不連続点を検出し、当該検出された不連続点を前記部分記録情報の境界とみなして前記管理情報を再生成することを特徴とする情報記録装置。
【請求項7】
複数の部分記録情報により構成される記録情報に対して前記部分記録情報と他の前記部分記録情報との境界を示す境界情報を付加する付加工程と、
前記境界情報が付加された記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、を送出する送出工程と、
を含むことを特徴とする情報送出方法。
【請求項8】
複数の部分記録情報により構成されると共に前記部分記録情報の境界を示す境界情報を含む記録情報と、前記部分記録情報の送出順序を示す送出順序情報と、が入力され、少なくとも前記記録情報を記録媒体へ記録する情報記録方法であって、
前記送信順序情報に基づいて、前記境界情報の誤検出を検出する誤検出検出工程を含むことを特徴とする情報記録方法。

【国際公開番号】WO2005/004475
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【発行日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511312(P2005−511312)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007929
【国際出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】