説明

情報通信機能付電力量自動検針システム

【課題】集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、セキュリティを確保し、電力線搬送通信での減衰を低減して集合住宅への情報通信機能付電力量自動検針システムの導入をし易くする。
【解決手段】電力量計26で計量した家庭3での使用電力量を、計測電力量送出端子台26T3、アダプタ253、PLC子機251、及びPLC親機23を経て自動検針回線4へ伝送し、宅内用PLC機器子機28を、家庭内分電盤27、電力量計26の負荷側電力量計端子26T2、宅内用PLC機器親機252、PLC子機251、及びPLC親機23を介して前記電力量とは異なる他の情報の通信回線11に接続することを特徴とする情報通信機能付電力量自動検針システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力線搬送通信(PLC(Power Line Communication)とも言われている。以下、「PLC」の表記は「電力線搬送通信」を意味するものとする)を使用して電力量計の指示値を遠隔にて収集し、またインタネットなど電力量とは異なる他の情報の通信用伝送路としても共用可能な伝送路に対応する伝送端末器を使用した情報通信機能付電力量自動検針システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の2種類の技術を、従来技術例1及び従来技術例2として説明する。
【0003】
従来技術例1.
従来の集合住宅の各家庭を対象とした電力量自動検針システム及びインタネットシステムの併用は、図4に示すように、電力量自動検針システムとインタネットシステムとが独立して設置されている。分電盤室1が集合住宅にあり、メータ収納箱2が各家庭3の各家庭屋内外仕切り壁3Wの外側にある。
【0004】
電力量自動検針システムは、電力会社の営業所等と接続される集合住宅外部の自動検針回線(ネットワーク)4と、集合住宅分電盤室に設置される外部自動検針回線4の終端装置である伝送装置5と、集合住宅分電盤室1と各家庭をPLCで接続する場合に必要となる電気信号を電力線に重畳するためのPLC親機6と、PLCを使用する場合の集合住宅分電盤室1から各家庭3にAC100Vを供給するための配電線7と、各家庭のメータ収納箱2に設置されるPLC子機8と、電力使用量を計量するために各家庭に設置されている通信機能付電力量計9と、通信機能付電力量計9とPLC子機8とを接続するためのインタフェース装置10とで構成されている。9通信機能付電力量計の通信は一般的にカレントループ方式が用いられており、PLC子機8の持つインタフェースは一般的にイーサネット(登録商標)(登録商標)を使用しているため両者を接続するためにはインタフェース装置10が必要となる。
【0005】
インタネットシステムは、集合住宅に接続するための光ファイバ等の高速インタネット回線11と、集合住宅分電盤室に設置され高速インタネット回線11と接続された伝送装置12と、分電盤室に設置され伝送装置12と接続されたxDSL用親機13と、分電盤室1と各家庭3とを接続している通信線14と、各家庭に設置されxDSL用親機13と通信線14を介して接続されたxDSL子機15と、xDSL子機15と接続され各家庭で使用されるパーソナルコンピュータ(以下「以下パソコン」と略記する)16とで構成されている。
【0006】
以下に従来技術例1の動作について説明を行う。
【0007】
これまでは、PLCは認可されている使用周波数帯域(10〜450kHz)の関係で、低速のPLCが用いられている。電力会社が設置している低速PLCを使用した電力量検針システムは一般的に図4のような構成をしており、電力会社の営業所等から検針指令がでると、自動検針回線4、PLC親機6、配電線7、PLC子機8を経由して通信機能付電力量計9に指示が伝わり、その応答として電力量計9の計量値が前述の検針指令とは逆のルートで返送され、自動検針回線4を介して営業所等でデータの収集が可能となる。
【0008】
インタネット等の用途に用いられる集合住宅のxDSL回線は、一般的に図4に示すような構成であり、集合住宅外部のインタネット高速回線11と各家庭3とがxDSL回線で接続され各家庭のパソコン16でインタネットが楽しめる構成となっている。
【0009】
従来技術1の構成では、検針業務とインタネット等通信業務の事業者が別であり、これらのシステムを構成する装置や機器の設置、工事の施行等すべて別々に行われている。すなわち集合住宅分電盤室から各戸入り口まで2系統の伝送路および通信デバイスが必要となり、システムコストが非常に高価になるという欠点があった。また、通信線を宅内に入れるために、壁に2系統の伝送路用の2つの穴PT1,PT2を開けたり、夫々の伝送路の引き込みの工事が必要になるなどそれなりの工事が必要になった。機器設置スペース、機器の設置、取り付け工事コスト等の増加もシステム導入に大きな影響を与えるなどの問題があった。
【0010】
従来技術例2.
従来技術例2として、特開2006-253971号公報を示す。
本例はユーザ家屋で消費される電力量を計測する電力量計測手段と、PLC方式による電力線搬送通信を行うPLC通信手段とバックアップとしての無線通信手段を備えた一体的なユニット装置をユーザ家屋の外部に設置したものである。ユーザ家屋から得られた消費電力量は、光ネットワークを介して電力会社の検針装置に収集され、ユーザ装置からインタネットを介してサーバにアクセスし、消費電力量をリアルタイムに参照することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2006-253971号公報(図2及びその説明)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、従来技術1の電力量自動検針システム及びインタネット併用システムでは、集合住宅分電盤室から各戸入り口まで2系統の伝送路および通信デバイスが必要となり、また、伝送路を宅内に入れるために、壁に2つの穴を開けることや、夫々の伝送路の引き込みの工事が必要になるなどそれなりの工事が必要になり、機器設置スペース、機器の設置、取り付け工事コスト等の増加もシステム導入に大きな影響を与えるなどの問題があった。
従来技術2によれば、ユニット装置を集合住宅分電盤室に配置することにより、集合住宅分電盤室から各戸入り口まで1系統の伝送路および通信デバイスでよくなり、機器設置スペース、機器の設置、取り付け工事コスト等の増加を抑制できる。しかし、従来技術2では電力量のデータがインタネットを流れることにより、セキュリティ上で問題である。また、高速PLCは特性上分電盤とか分岐回路があると信号の減衰が大きく、それに伴い伝送速度が大幅に落ちることが知られている。
【0013】
この発明は前述のような課題を解決するためになされたものであり、集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、セキュリティを確保し、電力線搬送通信での減衰を低減して集合住宅への情報通信機能付電力量自動検針システムの導入をし易くすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る情報通信機能付電力量自動検針システムは、
集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、
集合住宅分電盤室に設けられ自動検針回線及び情報通信回線に接続され信号結合器によって配電線と信号結合されたモデムを有したPLC親機、
前記集合住宅の各家庭のメータ収納室に設けられ当該家庭の使用電力を計量する電力量計、
前記電力量計の電源側電力量計端子台を介して前記PLC親機の前記信号結合器に前記配電線によって接続された信号結合器とこの信号結合器に自己の端子台を介して接続されたモデムとを有するPLC子機と、前記PLC子機の前記モデムに接続されると共に前記電力量計の計測電力量送出端子台に接続されたアダプタと、前記PLC子機の前記モデムに接続されたモデムとこのモデムを前記電力量計の負荷側電力量計端子台に至る配電線に信号結合する信号結合器とを有する宅内用PLC機器親機とを収納する伝送端末器、
及び集合住宅の各家庭内に設けられ家庭内分電盤を介して配電線によって前記電力量計の前記負荷側電力量計端子台に接続された信号結合器とこの信号結合器に接続されたモデムとを有しその前記モデムが当該家庭内のパーソナルコンピュータに接続される宅内用PLC機器子機、
を備え、
前記電力量計で計量した前記家庭での使用電力量を、前記計測電力量送出端子台、前記アダプタ、前記PLC子機、及び前記PLC親機を経て前記自動検針回線へ伝送し、
前記宅内用PLC機器子機を、前記家庭内分電盤、前記電力量計の負荷側電力量計端子台、前記宅内用PLC機器親機、前記PLC子機、及び前記PLC親機を介して前記電力量とは異なる他の情報の通信回線に接続する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、
集合住宅分電盤室に設けられ自動検針回線及び情報通信回線に接続され信号結合器によって配電線と信号結合されたモデムを有したPLC親機、
前記集合住宅の各家庭のメータ収納室に設けられ当該家庭の使用電力を計量する電力量計、
前記電力量計の電源側電力量計端子台を介して前記PLC親機の前記信号結合器に前記配電線によって接続された信号結合器とこの信号結合器に自己の端子台を介して接続されたモデムとを有するPLC子機と、前記PLC子機の前記モデムに接続されると共に前記電力量計の計測電力量送出端子台に接続されたアダプタと、前記PLC子機の前記モデムに接続されたモデムとこのモデムを前記電力量計の負荷側電力量計端子台に至る配電線に信号結合する信号結合器とを有する宅内用PLC機器親機とを収納する伝送端末器、
及び集合住宅の各家庭内に設けられ家庭内分電盤を介して配電線によって前記電力量計の前記負荷側電力量計端子台に接続された信号結合器とこの信号結合器に接続されたモデムとを有しその前記モデムが当該家庭内のパーソナルコンピュータに接続される宅内用PLC機器子機、
を備え、
前記電力量計で計量した前記家庭での使用電力量を、前記計測電力量送出端子台、前記アダプタ、前記PLC子機、及び前記PLC親機を経て前記自動検針回線へ伝送し、
前記宅内用PLC機器子機を、前記家庭内分電盤、前記電力量計の負荷側電力量計端子台、前記宅内用PLC機器親機、前記PLC子機、及び前記PLC親機を介して前記電力量とは異なる他の情報の通信回線に接続する
ので、
集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、セキュリティを確保し、電力線搬送通信での減衰を低減して集合住宅への情報通信機能付電力量自動検針システムの導入をし易くすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を、集合住宅に適用した場合の自動検針システムの一例を示す図1に基づいて説明する。
【0017】
本実施の形態1は、集合住宅の自動検針システムにおいて、集合住宅電気室から各家庭までの電力線を伝送路として使用するアクセス系電力線通信装置子機の機能と各家庭の入り口から家庭内の電力線を伝送路として使用する宅内系電力線通信装置親機の機能と通信機能付電力量計との通信インタフェース機能を備えた伝送端末器を使用家庭の取引用電力量計の近傍に設置して使用することを特徴とする自動検針システムの事例である。集合住宅の電力量自動検針において、各家庭に設置する伝送端末器にアクセス系高速PLC機能と宅内用高速PLC機能を内蔵し、また自動検針用信号変換装置を内蔵することにより、1台の伝送端末器ですべての処理を実現できるばかりでなく、伝送端末器内部でPLC信号の中継再生を行いPLC信号強度を保つことが可能となる自動検針システムを得るものである。
【0018】
具体的には、図1に示すように、集合住宅においては、集合住宅分電盤室1、各家庭メータ収納室2,2−2,・・・2−n、及び各家庭3,3−2,・・・3−nがあり、各家庭メータ収納室2,2−2,・・・2−nは各家庭3,3−2,・・・3−nの各々に対して各家庭屋内外仕切壁3Wの外側に設けられ、集合住宅分電盤室1は各家庭メータ収納室2,2−2,・・・2−nから離れた場所に設けられている。
【0019】
集合住宅分電盤室1内には、伝送装置21,22、及びPLC親機23が夫々収納され、AC100V等の配電線24が配線されている。
PLC親機23には、コンデンサC1を有した容量型の信号結合器231、及びモデム232が夫々設けられている。
モデム232は、伝送装置21,22とLAN(LN)を介して接続されている。
容量型の信号結合器231は、モデム232と配電線24とを信号結合する機能を有している。
【0020】
各家庭メータ収納室2内には、伝送端末器25、および通信機能付電力量計26が収納され、AC100V等の配電線24が配線されている。
伝送端末器25内には、高速PLC子機251、宅内用高速PLC機器親機(図では「HA親機」と略記してある)252、およびアダプタ(図では「E-CL I/F」と略記してある)253が収納されている。また、伝送端末器252の伝送端末器外箱250には第1の貫通孔25T1、第2の貫通孔25T2、および第3の貫通孔25T3が設けられている。
高速PLC子機251内には、コンデンサC2を有した容量型の信号結合器2511、及び端子台2512Tを有するモデム2512が夫々収納されている。容量型の信号結合器2511は、第1の貫通孔25T1を通る配電線24を介して電力量計26の電源側電力量計端子台26T1に接続され、配電線24とモデム2512とを信号結合する機能を有している。
宅内用高速PLC機器親機252内には、コンデンサC2を有した容量型の信号結合器2521、及び端子台2522Tを有するモデム2522が夫々収納されている。容量型の信号結合器2521は、第2の貫通孔25T2を通る配電線24を介して電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2に接続され、配電線24とモデム2522とを信号結合する機能を有している。また、宅内用高速PLC機器親機252内には信号増幅機能を持たせている。
アダプタ253は、高速PLC子機251のモデム2512とLAN(LN)を介して接続されると共に、第3の貫通孔25T3を通るLAN(LN)及び計測電力量送出端子台26T3を介して電力量計26と接続されている。
また、アダプタ253は、LAN(LN)を介して高速PLC子機251のモデム2512と接続され、モデム2512はLAN(LN)を介して宅内用高速PLC機器親機252のモデム2522と接続されている。
【0021】
各家庭3内には、家庭内分電盤27、宅内用高速PLC機器子機(図では「HA子機」と略記してある)28、及びパソコン(図では「PC」と略記してある)29が設けられている。
家庭内分電盤27には、各家庭3内の各機器に接続される複数のノーヒューズブレーカ271が収納されている。また、家庭内分電盤27の各家庭メータ収納室2側の配電線24は各家庭屋内外仕切壁3Wの配電線貫通孔PT1を貫通して電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2に接続されている。
宅内用高速PLC機器子機28内には、コンデンサC2を有した容量型の信号結合器281、及び端子台282Tを有するモデム282が夫々収納されている。容量型の信号結合器281は、配電線24とモデム282とを信号結合する機能を有している。モデム282はLAN(LN)を介してパソコン29と接続されている。
【0022】
なお、各家庭メータ収納室2−2,・・・2−nは、その内部構成を図示省略してあるが、前述の各家庭メータ収納室2と同じ内部構成である。同様に、各家庭3−2,・・・3−nは、その内部構成を図示省略してあるが、前述の各家庭3と同じ内部構成である。また、各家庭メータ収納室2,2−2,・・・2−nは、建屋内の一部やメータ収納箱内に形成される。
【0023】
また、本実施の形態1においては、前記各所のLANではイーサネット(登録商標)通信が行われる。アダプタ253と電力量計26との間では例えばカレントループを用いた例えばRS422規格に準拠したデジタル通信が行われるが、カレントループを用いない他のデジタル通信方式で通信が行われるようにしてもよい。
また、本実施の形態1における各所の容量型の信号結合器231,2511,2521,281は、誘導型の信号結合器としてもよい。
【0024】
次に動作について説明する。
【0025】
本実施の形態1で用いている高速PLCは搬送波の周波数帯域が2−34MHzを使用したものであり、物理速度が最大200Mbpsの性能を持つ。従来国内では使用できる周波数帯域の規制があり使用できなかったが、2006年10月の規制緩和により型式認定を取得した機器であれば屋内使用を条件にして使用できることとなった。
【0026】
本実施の形態1では、集合住宅の分電盤室1から各家庭のメータ収納室2までをアクセス系高速PLC機能、家庭の中のネットワークについては宅内高速PLC機能と2種類のPLC機能を使用したシステムとしてある。
【0027】
本実施の形態1は、このような高速PLC技術を応用したものであり、さらにアクセス系高速PLC機能と宅内高速PLC機能を融合した伝送端末器25を使用してある。
【0028】
本実施の形態1における検針機能系の動作については、外部の自動検針回線4の信号が、集合住宅の入り口で伝送装置21に入力され、更にPLC親機23に入力される。PLC親機23に入ったデータ信号は、電力量計26の電源側電力量計端子台26T1、伝送端末器25に内蔵のPLC子機251における信号結合器2511及びモデム2512、及びLAN(LN)を経由してアダプタ253に入力され、アダプタ253でカレントループ信号に変換され通信機能付電力量計26に入力される。通信機能付電力量計26で計測された電力量のデータ信号は、前述とは逆の流れで自動検針回線4へ返送される。
【0029】
インタネット系については外部のインタネット高速回線11から集合住宅の入り口で伝送装置22に接続され、アクセス系PLC親機23に入力される。アクセス系PLC親機23と伝送端末器25との間はアクセス系PLC高速回線で接続され、そのまま伝送端末器25内で宅内PLC親機252に接続される。宅内PLC親機252すなわち伝送端末器25と宅内PLC子機28間は宅内高速PLC機能で接続され、宅内PLC子機28には家庭3内のパソコン29が接続され、家庭3内でインタネットが行える環境になっている。
【0030】
更に具体的には、外部のインタネット高速回線11のインタネット情報は、集合住宅の入り口で伝送装置22に入力され、LAN(LN)を通って更にPLC親機23に入力される。PLC親機23に入ったインタネット情報等は、配電線24を通って電力量計26の電源側電力量計端子台26T1、伝送端末器25に内蔵のPLC子機251における信号結合器2511及びモデム2512、及びLAN(LN)を経由して宅内PLC親機252のモデム2522に入力され、更に、宅内PLC親機252の信号結合器2521から、配電線端子25T2、配電線24、負荷側電力量計端子台26T2、各家庭屋内外仕切壁3Wを貫通の配電線24、家庭内分電盤27のノーヒューズブレーカ271、及び配電線24を経て、宅内用高速PLC機器子機28に至り、宅内用高速PLC機器子機28の信号結合器281から宅内用高速PLC機器子機28のモデム282を経てパソコン29に至る。
【0031】
本実施の形態1は、前述のように、集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、
集合住宅分電盤室1に設けられ自動検針回線4及び情報通信回線11に接続され信号結合器231によって配電線24と信号結合されたモデム232を有したPLC親機23、
前記集合住宅の各家庭のメータ収納室2に設けられ当該家庭の使用電力を計量する電力量計26、
前記電力量計の電源側電力量計端子台26T1を介して前記PLC親機23の前記信号結合器231に前記配電線24によって接続された信号結合器2511とこの信号結合器2511に自己の端子台2512Tを介して接続されたモデム2512とを有するPLC子機251と、前記PLC子機251の前記モデム2512に接続されると共に前記電力量計26の計測電力量送出端子台26T3に接続されたアダプタ253と、前記PLC子機251の前記モデム2512に接続されたモデム2522とこのモデム2522を前記電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2に至る配電線24に信号結合する信号結合器2521とを有する宅内用PLC機器親機252とを収納する伝送端末器25、
及び集合住宅の各家庭3内に設けられ家庭内分電盤27を介して配電線24によって前記電力量計26の前記負荷側電力量計端子台26T2に接続された信号結合器281とこの信号結合器281に接続されたモデム282とを有しその前記モデム282が当該家庭内のパーソナルコンピュータ29に接続される宅内用PLC機器子機28、
を備え、
前記電力量計26で計量した前記家庭3での使用電力量を、前記計測電力量送出端子台26T3、前記アダプタ253、前記PLC子機251、及び前記PLC親機23を経て前記自動検針回線4へ伝送し、
前記宅内用PLC機器子機28を、前記家庭内分電盤27、前記電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2、前記宅内用PLC機器親機252、前記PLC子機251、及び前記PLC親機23を介して前記電力量とは異なる他の情報の通信回線11に接続する
ことを特徴とする情報通信機能付電力量自動検針システムである。
【0032】
高速PLCは特性上分電盤とか分岐回路があると信号の減衰が大きく、それに伴い伝送速度が大幅に落ちることが知られている。宅内用高速PLC親機252は家庭内の分電盤より負荷側に設置される案もあるが、この場合にはアクセス系PLCの通信路に電力量計26、家庭内分電盤27等が入るため減衰が大きくなり通信速度が遅くなり家庭内でインタネット通信が困難になる可能性が高い。そこで、本実施の形態1では、宅内系PLCの親局252を、電力量計26の近傍に、電力量計26を経由しないように信号結合器2521を電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2に接続して設置し、電力量計26における信号レベルの減衰を回避し、分電盤27での減衰に対してはHA親機の増幅機能で信号強化し、アクセス系PLCと宅内系PLC間で高い信号レベルでの通信を行うことを可能にしてある。
【0033】
また、本実施の形態1では、伝送端末器25内に、検針データ信号系のPLC子機251及びアダプタ253を収納し、更にインタネット系の宅内用高速PLC機器親機(HA親機)252も収納した構成としてあるので、インタネット系の情報は、各家庭屋内外仕切壁3Wの配電線貫通孔PT1を貫通する配電線24に重畳されることになり、各家庭3,3−2,3−nでは電力量とインタネット情報とを、共通の宅内配電線24で得られる。従って、各家庭3,3−2,3−nでインタネット通信を行えるようにする場合、図4に示す従来のようなインタネット通信線用の貫通孔PT2を各家庭屋内外仕切壁3Wに穿設する工事を必要としない。更に、伝送端末器25内に、検針データ信号系のPLC子機251及びアダプタ253を収納し更にインタネット系の宅内用高速PLC機器親機(HA親機)252も収納した構成としてあるので、検針データ信号系のPLC子機251及びアダプタ253並びに宅内用高速PLC機器親機252を、各家庭メータ収納室2内に個別に取り付ける工事や、検針データ信号系のPLC子機251及びアダプタ253並びに宅内用高速PLC機器親機252間の相互接続配線する配線工事を各家庭メータ収納室2内で行う必要も無くなる。
【0034】
以上のように、本実施の形態1のような多機能化した伝送端末器25を用いることによりシステム構築コスト、機器を設置するための工事費用等の削減ができる。さらに通信機能付電力量計の近傍で検針用高速PLCモデムと宅内用高速PLCモデムを中継することにより、設備工事コストを最小限に留めながらPLC信号強度を保つことで、効率的にインタネット通信速度を確保できる。また、家庭内と各家庭メータ収納室間は配電線のみで、新たな通信線は不要であり、容易にシステムを構築することが可能となる。
【0035】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を、集合住宅に適用した場合の自動検針システムの他の例を示す図2に基づいて説明する。なお、図2において、図1と同一又は相当部分には同一符号を付してあり、以下の図2についての説明は、図1と同一又は相当部分については割愛し、図1と異なる点を主体に記載する。
【0036】
本実施の形態2は、伝送端末器25を、家庭3内で複数のパソコン(通信機器)を使用する場合に必要となるルータ機能を内蔵した伝送端末器25とした事例である。
【0037】
同一家庭にパソコンが2台以上ある場合は、例えば部屋毎に宅内用高速PLC機器子機を設置し、図2に例示のように、各宅内用高速PLC機器子機28−1,・・・28−nに対応してパソコン29−1,・・・29−nを設置する。宅内のパソコン29−1,・・・29−nの交通整理を行うルータ254を宅内用高速PLC機器親機252に付設し、ルータ254も伝送端末器25内に収納してある。
【0038】
このように、パソコンが同一家庭内に複数台ある場合は、ルータによるルーティング機能が必要になるが、本実施の形態2では、ルータ254を伝送端末器25内に組み込むことにより容易に効率的な通信システムを実現することができる。ルータ254を別置きにする場合はその設置スペース、設置する工事費等も必要になるが、ルータ254を伝送端末器25内に宅内用高速PLC機器親機252と一体化して付設することによりコストダウンが可能となる。
【0039】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を、集合住宅に適用した場合のインタネット共用自動検針システムの更に他の例を示す図3に基づいて説明する。なお、図3において、図1及び図2と同一又は相当部分には同一符号を付してあり、以下の図3についての説明は、図1及び図2と同一又は相当部分については割愛し、図1及び図2と異なる点を主体に記載する。
【0040】
本実施の形態3は、伝送端末器25を、宅内用高速PLC機器親機252をユニット化し伝送端末器25に着脱可能とした伝送端末器25とした事例である。
【0041】
具体的には、図3において、宅内用高速PLC機器親機252は、その一部が伝送端末器25に収納されているが、伝送端末器25に着脱可能に取り付けられており、宅内用高速PLC機器親機252と電力量計26の負荷側電力量計端子台26T2との間の配電線24は伝送端末器25の外側に配設されている。すなわち、宅内用高速PLC機器親機252を内蔵したい場合は、伝送端末器25に内蔵可能であり、宅内用高速PLC機器親機252が不要な場合には伝送端末器25から取り外すことが可能な構成となっている。
【0042】
電力会社が設置する自動検針機能部は集合住宅全軒に設置する必要があり、設置しないと電力量の計量値を読むため設置しない家に検針員が訪問する必要が発生するため非常に効率が悪い。一方、各家庭のインタネットは希望の家庭のみが使用料金を支払って導入するシステムであり、希望しない家庭には宅内系高速PLC機能は不要となる。本実施の形態3はこのような2種類の対応に対し効率よく経済的なシステムを供給する観点から発明されたものであり、伝送端末器25の宅内用高速PLC機器親機252を着脱式にし、インタネットが必要な家庭には宅内用高速PLC機器親機252を実装した伝送端末器25を設置し、インタネットが不要な家庭であれば宅内用高速PLC機器親機252を実装しない伝送端末器25を設置することが可能となる。また、当初インタネット機能が不要であった家庭でも将来インタネット機能を追加することも考えられ、この場合は宅内用高速PLC機器親機252のみを追加で伝送端末器25に実装可能であり、必要最小限のユニットコストのみで増設工事が対応可能であり非常に効率的で経済的なシステムの供給が可能となる。
【0043】
なお、図1〜3においては、インタネット高速回線11を例示してあるが、インタネット高速回線に限らず、インタネット高速回線以外の通信回線(画像通信も含む)など、所謂電力量とは異なる他の情報の通信回線を接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、集合住宅に適用した場合の情報通信機能付電力量自動検針システムの一例を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2を示す図で、集合住宅に適用した場合の情報通信機能付電力量自動検針システムの他の例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す図で、集合住宅に適用した場合の情報通信機能付電力量自動検針システムの更に他の例を示す図である。
【図4】従来の電力量自動検針システム及びインタネットシステムの併用の例(従来技術1)を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 分電盤室、
2 各家庭メータ収納室、
2−2 各家庭メータ収納室、
2−n 各家庭メータ収納室、
3 各家庭、
3−2 各家庭、
3−n 各家庭、
3W 各家庭屋内外仕切壁、
4 自動検針回線、
11 インタネット高速回線(情報通信回線)、
21 伝送装置、
22 伝送装置、
23 高速PLC親機、
231 容量型の信号結合器、
232 モデム、
232T 端子台、
24 配電線、
25 伝送端末器、
250 伝送端末器外箱、
251 高速PLC子機、
2511 容量型の信号結合器、
2512 モデム、
2512T 端子台、
252 宅内用高速PLC機器親機(HA親機)、
2521 容量型の信号結合器、
2522 モデム、
2522T 端子台、
253 アダプタ、
253T 端子台、
254 ルータ、
25T1 第1の貫通孔、
25T2 第2の貫通孔、
25T3 第3の貫通孔、
26 通信機能付電力量計、
26T1 電源側電力量計端子台、
26T2 負荷側電力量計端子台、
26T3 計測電力量送出端子台、
27 家庭内分電盤、
271 ノーヒューズブレーカ、
28 宅内用高速PLC機器子機(HA子機)、
281 容量型の信号結合器、
282 モデム、
282T 端子台、
29 パソコン(PC)、
C1 コンデンサ、
C2 コンデンサ、
LN LAN、
PT1 配電線貫通孔。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の各家庭での使用電力量の自動検針と、各家庭での電力量とは異なる他の情報の通信とを電力線搬送通信で共用する情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、
集合住宅分電盤室に設けられ自動検針回線及び情報通信回線に接続され信号結合器によって配電線と信号結合されたモデムを有したPLC親機、
前記集合住宅の各家庭のメータ収納室に設けられ当該家庭の使用電力を計量する電力量計、
前記電力量計の電源側電力量計端子台を介して前記PLC親機の前記信号結合器に前記配電線によって接続された信号結合器とこの信号結合器に自己の端子台を介して接続されたモデムとを有するPLC子機と、前記PLC子機の前記モデムに接続されると共に前記電力量計の計測電力量送出端子台に接続されたアダプタと、前記PLC子機の前記モデムに接続されたモデムとこのモデムを前記電力量計の負荷側電力量計端子台に至る配電線に信号結合する信号結合器とを有する宅内用PLC機器親機とを収納する伝送端末器、
及び集合住宅の各家庭内に設けられ家庭内分電盤を介して配電線によって前記電力量計の前記負荷側電力量計端子台に接続された信号結合器とこの信号結合器に接続されたモデムとを有しその前記モデムが当該家庭内のパーソナルコンピュータに接続される宅内用PLC機器子機、
を備え、
前記電力量計で計量した前記家庭での使用電力量を、前記計測電力量送出端子台、前記アダプタ、前記PLC子機、及び前記PLC親機を経て前記自動検針回線へ伝送し、
前記宅内用PLC機器子機を、前記家庭内分電盤、前記電力量計の負荷側電力量計端子台、前記宅内用PLC機器親機、前記PLC子機、及び前記PLC親機を介して前記電力量とは異なる他の情報の通信回線に接続する
ことを特徴とする情報通信機能付電力量自動検針システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、前記家庭内の複数のパーソナルコンピュータへのルーティング機能を有するルータが、前記宅内用PLC機器親機に付設して前記伝送端末器内に収納されることを特徴とする情報通信機能付電力量自動検針システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報通信機能付電力量自動検針システムにおいて、前記宅内用PLC機器親機が前記伝送端末器25に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする情報通信機能付電力量自動検針システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−10899(P2009−10899A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172816(P2007−172816)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000164391)株式会社キューキ (15)
【Fターム(参考)】