説明

情報配信システム、情報配信サーバ、プログラム

【課題】ウェブブラウザを搭載した住宅情報盤とウェブブラウザを搭載しない住宅情報盤との混在を可能にする。
【解決手段】情報配信サーバ1は、ウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤2Aと、ウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する情報盤側記憶部27を備えた第2の住宅情報盤2Bとに対して、構内通信網6を通して情報を配信する。情報配信サーバ1は、取得した情報を保存するサーバ側記憶部13と、サーバ側記憶部13に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも第1の住宅情報盤2Aに提供する情報提供処理部101と、取得した情報を少なくとも第2の住宅情報盤2Bに配信する情報送信処理部102とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅において構内通信網を通して情報配信を行う情報配信システム、この情報配信システムにおいて情報の配信を行う情報配信サーバ、コンピュータを情報配信サーバとして機能させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、集合住宅用インターホンシステムにおいて、管理室に設置された管理室親機からの指示により、住戸に配置された居室機に対して、行事や予定表を配信する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機と、管理室に設置された管理室親機と、住戸に設置された居室機とが、それぞれ幹線を介して制御機に接続されたインターホンシステムが記載されている。制御機には幹線を介してサーバも接続されている。
【0004】
特許文献1に記載されたインターホンシステムでは、伝言メモや回覧情報を居室機に送信するために管理室親機が操作されると、伝言メモや回覧情報が制御機を経由してサーバに送信され、サーバによって伝言メモや回覧情報が加工される。また、制御機は、サーバで加工された伝言メモや回覧情報を居室機に送信する機能を備える。つまり、制御機は、集合玄関機と管理室親機と居室機とサーバとの間で通信の制御を行う機能を備えている。
【0005】
特許文献2にも特許文献1と同様に、集合玄関機と管理室親機と居室親機とが、それぞれデータ幹線を介して制御機に接続されたインターホンシステムが記載されている。特許文献2に記載されたインターホンシステムはサーバを備えていないが、制御機は、集合玄関機、居室親機、管理室親機をそれぞれ制御する旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−57805号公報
【特許文献2】特開2010−74457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されたインターホンシステムは、管理室親機からの情報がサーバにより加工された後に居室機に送信されている。一方、特許文献2に記載されたインターホンシステムは、サーバを用いずに居室親機に情報が配信されている。
【0008】
近年では、住戸に配置される住宅情報盤(居室機、居室親機)にウェブブラウザを搭載しておき、ウェブブラウザで閲覧可能になる容量の大きい情報を住宅情報盤に配信することが提案されているが、ウェブブラウザを搭載した住宅情報盤は高価である。すなわち、ウェブブラウザを搭載するには、メモリ容量を大きくしたり表示装置の画面を大きくする必要があり、また違和感なく動作させるには高性能のプロセッサが必要になる。つまり、ウェブブラウザを搭載した高性能の住宅情報盤は、ハードウェア資源に要する費用が上昇する。
【0009】
集合住宅において高価格帯の住戸の居住者は高性能の住宅情報盤を採用する意欲を示すと考えられる。しかしながら、一般価格帯の住戸の居住者は一般性能の住宅情報盤で満足すると考えられる。そのため、高性能の住宅情報盤と一般性能の住宅情報盤とを混在させることが望ましいと言える。しかしながら、特許文献1、2に記載された技術では、仕様の異なる住宅情報盤を混在させて使用することは想定されていない。
【0010】
本発明は、ウェブブラウザを搭載した住宅情報盤とウェブブラウザを搭載しない住宅情報盤との混在を可能にした情報配信システムを提供することを目的とし、さらに、情報配信サーバ、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る情報配信システムは、配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤と、ウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤と、取得した情報を構内通信網を通して第1の住宅情報盤および第2の住宅情報盤に配信する情報配信サーバとを備え、情報配信サーバは、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えることを特徴とする。
【0012】
この情報配信システムにおいて、記憶手段は、第2の住宅情報盤に内蔵された情報盤側記憶部と、第2の住宅情報盤に着脱可能に装着される記憶媒体とを含み、情報配信サーバは、情報提供処理部から第2の住宅情報盤に情報を提供する状態と、情報送信処理部から第2の住宅情報盤に情報を送信する状態とを選択する機能を有し、第2の住宅情報盤は、情報配信サーバから取得した情報の保存先を情報盤側記憶部と記憶媒体とから選択する保存先選択部を備えることが好ましい。
【0013】
本発明に係る情報配信サーバは、配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤、およびウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤に対して、取得した情報を構内通信網を通して配信する情報配信サーバであって、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤、およびウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤に対して、取得した情報を構内通信網を通して配信する情報配信サーバであって、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えた情報配信サーバとして機能させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、ウェブブラウザを搭載した住宅情報盤とウェブブラウザを搭載しない住宅情報盤とを混在して使用することが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の表示例を示す図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態は、図1のように、集合住宅の住戸ごとに配置された住宅情報盤2A,2Bと、集合住宅の共用玄関に配置された共同玄関子機3と、管理室などに配置された管理装置4とが、集合住宅の建物内に敷設された構内通信網6を通して通信する構成例を示す。構内通信網6にはシステム制御装置5が接続され、管理装置4とシステム制御装置5との間には、情報配信サーバ1が配置される。構内通信網6は、デジタル通信を行うように構築され、有線の通信路と無線の通信路とが適宜に用いられる。
【0018】
一般性能の住宅情報盤2Bは、集合住宅において用いられている従来品であって、プロセッサの処理能力が比較的低いとともに、メモリの記憶容量が比較的小さく、また液晶表示器のような表示装置を備えているが画面サイズが比較的小さい製品を意味している。住宅情報盤2Bの表示装置には、たとえば画面サイズが3.5インチ程度の表示器が用いられる。住宅情報盤2Bに搭載されるプログラムは、共同玄関子機3および管理装置4との通信を行うために必要な機能を有している。ただし、住宅情報盤2Bは、製造コストを抑制しているために、ハードウェア資源(とくに、メモリ容量および表示装置の画面サイズ)に制約があり、ウェブブラウザのような高機能のアプリケーションソフトウェアは実行できない。
【0019】
一方、高性能の住宅情報盤2Aは、高コストではあるが、処理能力の高いプロセッサを搭載し、またメモリの記憶容量が比較的大きく、表示装置の画面サイズも比較的大きくなっている。住宅情報盤2Aの表示装置には、たとえば画面サイズが5〜7インチ程度の表示器が用いられる。すなわち、住宅情報盤2Aは、ウェブブラウザなどの高機能のアプリケーションソフトウェアを実行可能なハードウェア資源を備えている。
【0020】
以下では、ウェブブラウザが搭載された住宅情報盤2Aと、ウェブブラウザが搭載されていない住宅情報盤2Bとが、構内通信網6に混在して接続されていることを想定して説明する。このような使用形態は、たとえば、集合住宅において、平均価格帯の住戸に住宅情報盤2Bを設置し、高額な住戸に住宅情報盤2Aを設置することによって、住戸を差別化するために採用される。
【0021】
図示しているように、システム制御装置5は、構内通信網6のうちの第1の通信路61を通して住宅情報盤2A,2Bと通信し、構内通信網6のうちの第2の通信路62を通して共同玄関子機3と通信する。さらに、システム制御装置5は、構内通信網6のうちの第3の通信路63を通して管理装置4と通信する。
【0022】
システム制御装置5には、第1の通信路61が接続される端子T51と、第2の通信路62が接続される端子T52と、第3の通信路63が接続されるコネクタT53とが設けられる。通信プロトコルの物理層は、第1の通信路61と第2の通信路62と第3の通信路63とで互いに異なっている。すなわち、第1の通信路61と第2の通信路62と第3の通信路63とは、互いに直接接続されず、システム制御装置5を通してのみ通信することが可能になる。
【0023】
具体的には、第1の通信路61と第2の通信路62とを通る通信信号は、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)などのデジタル変調を行った信号が用いられる。また、第3の通信路63はIEEE802.3に準拠する通信プロトコルを用いたベースバンドの信号を伝送する。そのため、システム制御装置5は、第1の通信路61と第2の通信路62と第3の通信路63との間で相互に通信が可能となるように、通信プロトコルを変換したりルーティングを行ったりする機能を備えている。システム制御装置5の構成は後述する。
【0024】
上述したように、構内通信網6は、デジタル通信を行うように構築されており、実際には、パケットを時分割多重伝送方式で伝送することにより通信を行っている。したがって、構内通信網6は、複数種類の情報を並行して伝送することができ、結果的に、情報の発生から到達までの時間が情報の種類によらずに平均化されている。構内通信網6を伝送される情報には、音声情報、画像情報、文字情報、制御情報などがある。以下では、音声情報を含むパケットを音声パケット、画像情報を含むパケットを画像パケット、文字情報を含むパケットを文字パケット、制御情報を含むパケットを制御パケットと呼ぶ。制御情報には、共同玄関子機3からの呼出の情報、管理装置4からの報知の情報などがある。
【0025】
管理装置4は、たとえば、パーソナルコンピュータのような汎用機器で適宜のプログラムを実行することにより実現される。ただし、管理装置4は専用機器として構成されてもよい。管理装置4は、集合住宅の居住者に通知する文字情報や制御情報を生成し、住宅情報盤2A,2Bに配信する機能を有する。
【0026】
管理装置4は、第3の通信路63が接続されるコネクタT41を備え、また、スキャナのような外部機器を接続するためのコネクタT42を備える。管理装置4は、プロセッサを主構成とする制御部40を備え、記憶部45に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部40は、通信インターフェイス回路41を介してコネクタT41と接続され、外部機器インターフェイス回路42を介してコネクタT42と接続される。さらに、管理装置4には、キーボードやマウスのような操作装置43と、液晶表示器のような表示装置44とが設けられる。
【0027】
管理装置4の外部機器としてスキャナを接続している場合には、スキャナで読み込んだ画像情報を住宅情報盤2A,2Bに伝送することが可能である。この場合、管理装置4は、スキャナで読み込んだ画像情報を加工したり、画像情報に文字情報によるコメントを付与することが可能である。また、管理装置4をインターネットのような公衆網に接続し、公衆網を通して集合住宅外のサーバから取得した画像情報や文字情報を住宅情報盤2A,2Bに配信することも可能である。
【0028】
共同玄関子機3は、第2の通信路62が接続されるコネクタT31を備える。共同玄関子機3は、プロセッサを主構成とする制御部30を備え、記憶部36に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部40は、幹線伝送インターフェイス回路31を介してコネクタT31と接続される。また、共同玄関子機3は、集合住宅の居住者や来訪者が操作するテンキーのような操作装置32と、来訪者が住宅情報盤2A,2Bと通話するための通話装置33と、共用玄関の画像を撮像する撮像装置34とを備える。さらに、図示例の共同玄関子機3は、発光ダイオードを用いた表示灯35を備えている。
【0029】
操作装置32が来訪者に操作され、住宅情報盤2A,2Bを特定して呼出信号(実際は、呼出の情報を含む制御パケット)が送出されると、呼出信号を受けた住宅情報盤2A,2Bは、撮像装置34が撮像した来訪者の画像に相当する画像パケットを受け取って表示装置25(後述する)に表示する。また、呼出信号を受けた住宅情報盤2A,2Bは、操作装置26(後述する)を用いて来訪者と通話するか否かの選択が可能になる。すなわち、呼出信号を受けた住宅情報盤2A,2Bが配置されている住戸の居住者は、住宅情報盤2A,2Bに表示された来訪者を確認した後に、来訪者と通話するか否かを選択する操作が可能になる。
【0030】
住宅情報盤2A,2Bは、第1の通信路61が接続されるコネクタT21と、各住戸のドア横に配置される住戸子器(図示せず)を接続するためのコネクタT22とを備える。住宅情報盤2A,2Bは、プロセッサを主構成とする制御部20を備え、住宅情報盤2A,2Bが内蔵する情報盤側記憶部27に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部20は、幹線伝送インターフェイス回路21を介してコネクタT21と接続され、住戸子器インターフェイス回路22を介してコネクタT22と接続される。住宅情報盤2A,2Bには、音声を入出力する音声入出力装置23と、発光ダイオードを用いた表示灯24と、画像を表示する表示装置25と、タッチパネルのような操作装置26とが設けられる。音声入出力装置23は、マイクロホンとスピーカとを備え、主として共同玄関子機3および住戸子器との間で住戸の居住者が来訪者と通話を行うために用いられる。音声入出力装置23は、ハンドセットとして構成されるほか、ハンズフリーでの通話が可能になるように構成されていてもよい。音声入出力装置23は、共同玄関子機3から呼出信号を受けたことなどを居住者に報知するための報知音を出力する機能も備える。
【0031】
表示装置25は、液晶表示器のような表示器を備え、住宅情報盤2A,2Bが共同玄関子機3から画像(つまり、画像パケット)を受け取ると共用玄関の画像を表示する。操作装置26は、表示器の画面にタッチスイッチを重ねたタッチパネルを想定しているが、操作装置26として、機械的に接点を開閉するスイッチを用いたり、タッチパネルとスイッチとを併用してもよい。操作装置26を居住者が操作することによって、住宅情報盤2A,2Bに対する指示操作が行われる。
【0032】
制御部20は、他装置から文字情報を受け取ったときに、文字情報を音声入出力装置23と表示装置25との少なくとも一方に提示させるデータ変換部201として機能する。データ変換部201は、文字情報を音声データに変換可能であるが、以下では、データ変換部201が文字情報を表示装置25に提示させる画像データに変換する場合を想定して説明する。
【0033】
住宅情報盤2Aと住宅情報盤2Bとは、上述したように、表示装置25の画面サイズが異なるとともに、情報盤側記憶部27を構成するメモリの容量が異なっており、また搭載されたプロセッサの処理能力も異なっている。そのため、プロセッサにより実行可能なアプリケーションプログラムは、住宅情報盤2Aと住宅情報盤2Bとでは異なっており、住宅情報盤2Aにはウェブブラウザの機能が搭載されるが、住宅情報盤2Bにはウェブブラウザの機能は搭載されない。
【0034】
システム制御装置5は、プロセッサを主構成とする制御部50を備え、記憶部54に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部50は、第1の通信インターフェイス部51を介して端子T51に接続され、第2の通信インターフェイス部52を介して端子T52に接続され、第3の通信インターフェイス部53を介してコネクタT53に接続される。
【0035】
制御部50は、第1の通信路61と第2の通信路62と第3の通信路63とで、パケットを組み立てて伝送するパケット多重化部501の機能を備える。また、パケット多重化部501は、上述した通信プロトコルの変換やルーティングを行う機能も備える。
【0036】
上述のように、第1の通信インターフェイス部51と第2の通信インターフェイス部52と第3の通信インターフェイス部53とは、互いに物理層が異なっているから、同時並行してパケットを伝送することが可能である。
【0037】
たとえば、共同玄関子機3が住宅情報盤2A,2Bとの間で通話を行っている間に、当該住宅情報盤2A,2Bに対して伝送する連絡事項のような情報が管理装置4において発生した場合を考える。この場合、パケット多重化部501は、共同玄関子機3から住宅情報盤2A,2Bに伝送している音声パケットおよび画像パケットに、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに伝送する情報を含むパケットを多重化する。したがって、住宅情報盤2A,2Bは、共同玄関子機3との間で通話を行っている間に、管理装置4からの情報を含むパケットを受信することが可能になる。
【0038】
言い換えると、住宅情報盤2A,2Bは、共同玄関子機3と通話している間に、管理装置4からの情報を遅滞なく受け取ることが可能になる。したがって、管理装置4は、住宅情報盤2A,2Bに対して情報を配信する際に、住宅情報盤2A,2Bでの通話が終了するのを待つ必要がない。その結果、管理装置4は、情報の配信をいつでも行えることになる。
【0039】
ところで、住宅情報盤2Aに設けられた表示装置25は、5〜7インチ程度とサイズが比較的大きいから、表示装置25の1画面に、A4版程度のサイズの情報を表示してもほぼ全体を読み取ることが可能である。一方、住宅情報盤2Bに設けられた表示装置25は3.5インチ程度とサイズが限られているから、表示装置25の1画面に、A4版程度のサイズの情報を表示すると細部を読み取ることは困難である。すなわち、住宅情報盤2Bでは、情報の視認性が低いという問題がある。この問題は、表示装置25に画像情報の一部を拡大して表示する機能を設けることにより解決されるが、連絡事項が1画面内に収まらないために情報の一覧性が低下する。
【0040】
一方、住宅情報盤2Bには、連絡事項のような情報を文字情報として伝送すれば、視認性や一覧性を向上させることができる。また、文字情報に用いるフォントがアウトラインフォントであれば、拡大や縮小が容易であり、ビットマップの画像情報ではないから、1画面に表示される情報量を増加させるために文字のサイズを縮小しても視認性を維持できる。あるいはまた、視力の低下した高齢者などにとっては、文字のサイズを拡大することによって視認性を高めることが可能である。
【0041】
なお、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに対して配信する情報には、ごみ収集に関するごみの種類(可燃ごみ、資源ごみ、プラスチックなど)と収集日および時間帯、清掃や点検の実施日時、薬剤散布の実施日時などがある。その他、集会の実施日時および場所、催し物の実施日時および場所、自治会などの会議報告、警察・消防からの連絡事項なども住宅情報盤2A,2Bに配信される。以下では、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに配信する事項を「行事」と呼び、行事の情報には行事を実施する日時が含まれるものとして説明する。
【0042】
上述したように、住宅情報盤2Bでは文字情報しか表示することができないから、住宅情報盤2Bの表示装置25には、たとえば、図2(b)の形式で行事が表示される。一方、住宅情報盤2Aでは文字情報のほか画像情報も表示することができるから、住宅情報盤2Aの表示装置25には、たとえば、図2(a)のようにカレンダ形式で行事を表示することが可能である。ここに、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに配信する情報は、情報配信サーバ1を通して各住宅情報盤2A,2Bに配信される。すなわち、情報配信サーバ1は、情報を配信する住宅情報盤2A,2Bの機能に応じて、上述した文字情報や画像情報に加工する機能を備える。
【0043】
情報配信サーバ1は、図1に示すように、管理装置4とシステム制御装置5との間に挿入されている。すなわち、情報配信サーバ1は、第3の伝送路63に挿入されている。そため、情報配信サーバ1は、第3の伝送路63を介して管理装置4が接続されるコネクタT11と、第3の伝送路63を介してシステム制御装置5が接続されるコネクタT12とを備える。さらに、情報配信サーバ1は、プロセッサを主構成とする制御部10を備え、サーバ側記憶部13に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部10は、通信インターフェイス部11を介してコネクタT11と接続され、また、通信インターフェイス部12を介してコネクタT12と接続される。さらに、制御部10は、通信インターフェイス部11を通して管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに配信する情報を受け取ると、サーバ側記憶部13に保存する機能を備える。
【0044】
管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに配信する情報は、主として文字情報であるが、スキャナで読み込むなどして作成した画像情報も含まれる。画像情報は、JPEG、GIF、PDFなどの形式で配信され、住宅情報盤2A,2Bでは必要に応じて拡大して表示される。以下では、画像情報についてはとくに説明せず、文字情報を扱う構成について説明する。
【0045】
上述のように、住宅情報盤2Aは、カレンダ形式のような情報量の多い情報を表示可能であり、住宅情報盤2Bは、情報量の少ない文字情報であれば表示可能である。このように機能が異なる住宅情報盤2A,2Bに対応するために、制御部10は情報提供処理部101と情報送信処理部102とを備える。
【0046】
情報提供処理部101は、サーバ側記憶部13に保存されている文字情報を、住宅情報盤2Aに搭載されたウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式(HTMLなど)に加工し、プッシュ型サービスによって、住宅情報盤2Aに情報を提供する。たとえば、上述したカレンダ形式で住宅情報盤2Aの表示装置25に行事を表示する場合、情報提供処理部101が適宜のタイミングで情報を配信し、住宅情報盤2Aのウェブブラウザが配信された情報を表示する。また、カレンダ形式で表される行事から操作装置26によって所望の項目を選択すると、当該項目に関する詳細な文字情報が表示装置25に表示される。
【0047】
上述の例では、情報提供処理部101においてプッシュ型サービスを提供し、かつ住宅情報盤2Aにおいてプッシュ型サービスの受信が可能である場合の動作を示している。これに対して、情報配信サーバ1から住宅情報盤2Aに対して新規の文字情報が発生したことのみの通知を行い、この通知に対して、住宅情報盤2Aから情報配信サーバ1にアクセスさせるプル型サービスを提供してもよい。
【0048】
一方、情報送信処理部102は、管理装置4から受け取った文字情報を住宅情報盤2Bに向けて送信する。すなわち、情報配信サーバ1は、管理装置4から文字情報を受け取ると、情報送信処理部102に引き渡して住宅情報盤2Bに配信する。住宅情報盤2Bは、情報配信サーバ1の情報送信処理部102から受信した情報を情報盤側記憶部27に一時的に保存し、情報盤側記憶部27から読み出して表示装置25に表示する。
【0049】
情報配信サーバ1は、管理装置4から取得した情報を住宅情報盤2Aと住宅情報盤2Bとのどちらに配信するかに応じて、サーバ側記憶部13に記憶し情報提供処理部101で加工するか、情報送信処理部102を通して送信するかを選択している。ただし、この動作は一例であって、情報の配信先にかかわらず、情報の内容や情報の容量に応じて、情報提供処理部101と情報送信処理部102との一方を選択してもよい。あるいはまた、取得した情報を、情報提供処理部101と情報送信処理部102との両方を通して住宅情報盤2A,2Bに配信することも可能である。情報提供処理部101から住宅情報盤2Bに情報を提供しても、住宅情報盤2Bでは閲覧することができないが、後述するように、住宅情報盤2Bに着脱される記憶媒体を介在させて別装置で情報を閲覧することが可能である。
【0050】
なお、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに対して伝送される情報は、システム制御装置5において、音声パケット、画像パケット、制御パケットとともに多重化され、住宅情報盤2A,2Bにおいて上述した処理が行われ表示装置25に表示される。
【0051】
上述した構成により、ウェブブラウザのようなアプリケーションソフトウェアを実行することが可能な高性能の住宅情報盤2Aと、ウェブブラウザを搭載できない一般性能の住宅情報盤2Bとを、構内通信網6に混在させることができる。このことから、集合住宅の住戸物件の価格が差別化されている場合に、高級物件には高性能の住宅情報盤2Aを設置し、通常物件には一般性能の住宅情報盤2Bを設置することによって、利便性の上からも住戸物件の差別化が可能になる。すなわち、物件の価格に応じて情報配信の機能を差別化することができるから、顧客ニーズに柔軟に対応することが可能になる。しかも、デジタル通信を行っているから、通話機能と情報配信機能とを混在させることが可能である。
【0052】
上記構成では、情報配信サーバ1が管理装置4から受け取った情報を住宅情報盤2Aに配信する際には、サーバ側記憶部13に保存している。そのため、サーバ側記憶部13の記憶領域を大きくしておけば、配信する情報の件数が多い場合や情報の容量が大きい場合でも対応可能である。しかも、高性能の住宅情報盤2Aは、ウェブブラウザを搭載して情報配信サーバ1のクライアントとして機能しているから、住宅情報盤2Aには大量の情報を蓄積する必要がない。つまり、件数の多い情報や容量の大きい情報は、情報配信サーバ1のサーバ側記憶部13に保存しておくことにより、住宅情報盤2Aでは件数の多い情報や容量の大きい情報を保存する必要がない。
【0053】
なお、住宅情報盤2Aは、ウェブブラウザを搭載しているから、情報配信サーバ1がインターネットに接続されていれば、住宅情報盤2Aを用いて、インターネットに設けられている外部のサーバから情報を取得してもよい。ただし、インターネットを通しての不正アクセスが防止されるように、情報配信サーバ1には情報セキュリティの機能が付加されていることが望ましい。さらに、管理装置4をインターネットに接続しておき、インターネットに設けられた外部のサーバから画像情報や文字情報を取得し、住宅情報盤2A,2Bに対して情報配信してもよい。
【0054】
ところで、一般性能の住宅情報盤2Bは、ウェブブラウザを搭載できず、管理装置4から配信される画像情報や文字情報のような情報は情報盤側記憶部27に保存している。そのため、住宅情報盤2Bの情報盤側記憶部27に保存することができる情報の件数および情報の容量には制限がある。
【0055】
そのため、住宅情報盤2Bは、図1に破線で示しているように、半導体メモリからなる記憶媒体を着脱可能に接続する外部記憶媒体インターフェイス28を備えていることが好ましい。外部記憶媒体インターフェイス28に接続される記憶媒体は、半導体メモリを用いて構成され、住宅情報盤2Bに対して着脱可能かつ書換可能であればよい。この種の記憶媒体の一例を示すと、SDメモリカード、マイクロSDメモリカード、USBメモリなどがある。したがって、外部記憶媒体インターフェイス28は、メモリカード用のコネクタ、あるいはUSBコネクタにより実現される。
【0056】
住宅情報盤2Bが外部記憶媒体インターフェイス28を備えており、かつ外部記憶媒体インターフェイス28に記憶媒体が装着されている場合、住宅情報盤2Aと同様に、住宅情報盤2Bにおいてもプッシュ型サービスを受ける構成としてもよい。住宅情報盤2Bがプッシュ型サービスに対応するように構成されるときには、住宅情報盤2Bの制御部20は、情報配信サーバ1から配信された情報の保存先を、外部記憶媒体インターフェイス28に接続された外部記憶とサーバ側記憶部13とのどちらにするかを選択する。
【0057】
すなわち、制御部20は、受信した情報が通常のテキストで記述された文字情報を情報盤側記憶部27に保存し、受信した情報がHTMLなどで記述された情報を外部記憶媒体インターフェイス28に接続された記憶媒体に保存する保存先選択部202を備える。つまり、保存先選択部202は、住宅情報盤2Bが情報配信サーバ1から取得した情報を、情報盤側記憶部27と記憶媒体とに振り分けて保存する。情報の保存先を振り分けるルールは、適宜に設定することが可能であって、通常のテキスト(文字情報)であっても容量が規定値を超える場合や件数が規定値を超える場合は、外部記憶媒体インターフェイス28に接続された記憶媒体に保存してもよい。
【0058】
上述のように、住宅情報盤2Bは、情報配信サーバ1から受信した情報の記述形式、容量、件数などに基づいて、サーバ側記憶部13と記憶媒体とに振り分けて情報を保存するから、情報配信サーバ1からは住宅情報盤2Aと同様に扱うことができる。つまり、情報配信サーバ1は、住宅情報盤2Aと住宅情報盤2Bとに対して区別することなく情報を配信することが可能になる。
【0059】
ただし、住宅情報盤2Aは、ウェブブラウザが搭載されるから、プル型サービスに対応可能であるが、住宅情報盤2Bは、ウェブブラウザを備えていないから、プル型サービルには対応できない。また、住宅情報盤2Bにはウェブブラウザを備えていないから、プッシュ型サービスであっても受け取った情報を、住宅情報盤2Bの表示装置25に表示することはできない。この場合、外部記憶媒体インターフェイス28に接続された記憶媒体を外して、別装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)で記憶媒体の内容を読み込むことになる。
【0060】
上述の構成例では、住宅情報盤2Bにのみ外部記憶媒体インターフェイス28を設けているが、住宅情報盤2Aにも外部記憶媒体インターフェイス28を設けて、住宅情報盤2Bと同様に機能させてもよい。ただし、住宅情報盤2Aにおいて、情報を振り分けるルールは、住宅情報盤2Bにおいて情報を振り分けるルールとは異ならせておいてもよい。
【0061】
さらに、サーバ側記憶部13と外部記憶媒体インターフェイス28との両方を備えている場合には、配信された情報をサーバ側記憶部13と記憶媒体との両方に保存してもよい。このように、情報を2箇所に記憶させることにより、一方の情報が消失しても他方によってバックアップを行うことが可能になる。
【0062】
ところで、管理装置4と住宅情報盤2A,2Bとの間にシステム制御装置5が介在しているから、管理装置4から住宅情報盤2A,2Bに情報を配信したときに、管理装置4は住宅情報盤2A,2Bに情報が到達したか否かを住宅情報盤2A,2Bから直接確認することができない。そのため、システム制御装置5は、管理装置4からの情報が住宅情報盤2A,2Bに到達したか否かを確認する配信管理処理部502を備える。図示例では制御部50が配信管理処理部502として機能する。配信管理処理部502は、住宅情報盤2A,2Bへの情報の配信が完了したときに、管理装置4に対して情報配信の完了を通知する。管理装置4から複数台の住宅情報盤2A,2Bを配信対象として情報を配信する場合、配信管理処理部502は、配信対象であるすべての住宅情報盤2A,2Bへの情報の配信が完了した時点で管理装置4に完了を通知する。
【0063】
具体例を説明する。図3に示すように、管理装置4は、スキャナのような外部機器から配信用のデータを入力したり、操作装置43の操作によって配信用のデータを入力し、システム制御装置5にデータの配信を要求する。システム制御装置5は、管理装置4から受け取った配信用のデータを情報盤側記憶部27に記憶させた後、所要の住宅情報盤2A,2Bに対してデータを配信する。複数台の住宅情報盤2A,2Bにデータを配信する場合には、マルチキャスト通信を行う。住宅情報盤2A,2Bは情報盤側記憶部27(図1参照)を備えており、システム制御装置5から受信したデータを情報盤側記憶部27に保存する。
【0064】
システム制御装置5は、データをマルチキャスト通信で住宅情報盤2A,2Bに配信した後、住宅情報盤2A,2Bごとにデータの送達を確認する。すべての住宅情報盤2A,2Bに対してデータの送達が確認されると、システム制御装置5は、データの配信が完了したことを管理装置4に通知する。
【符号の説明】
【0065】
1 情報配信サーバ
2A (第1の)住宅情報盤
2B (第2の)住宅情報盤
6 構内通信網
13 サーバ側記憶部
27 情報盤側記憶部(記憶手段)
28 外部記憶媒体インターフェイス
101 情報提供処理部
102 情報送信処理部
202 保存先選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤と、ウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤と、取得した情報を構内通信網を通して前記第1の住宅情報盤および前記第2の住宅情報盤に配信する情報配信サーバとを備え、前記情報配信サーバは、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、前記サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも前記第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも前記第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えることを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第2の住宅情報盤に内蔵された情報盤側記憶部と、前記第2の住宅情報盤に着脱可能に装着される記憶媒体とを含み、前記情報配信サーバは、前記情報提供処理部から前記第2の住宅情報盤に情報を提供する状態と、前記情報送信処理部から前記第2の住宅情報盤に情報を送信する状態とを選択する機能を有し、前記第2の住宅情報盤は、前記情報配信サーバから取得した情報の保存先を前記情報盤側記憶部と前記記憶媒体とから選択する保存先選択部を備えることを特徴とする請求項1記載の情報配信システム。
【請求項3】
配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤、およびウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤に対して、取得した情報を構内通信網を通して配信する情報配信サーバであって、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、前記サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも前記第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも前記第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えることを特徴とする情報配信サーバ。
【請求項4】
コンピュータを、配信された情報を閲覧するウェブブラウザを搭載した第1の住宅情報盤、およびウェブブラウザを搭載せず配信された情報を保存する記憶手段を備えた第2の住宅情報盤に対して、取得した情報を構内通信網を通して配信する情報配信サーバであって、取得した情報を保存するサーバ側記憶部と、前記サーバ側記憶部に保存された情報をウェブブラウザの機能を用いて閲覧可能な形式に加工して少なくとも前記第1の住宅情報盤に提供する情報提供処理部と、取得した情報を少なくとも前記第2の住宅情報盤に配信する情報送信処理部とを備えた情報配信サーバとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−46204(P2013−46204A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182475(P2011−182475)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】