説明

感光シールの現像システム及び感光シール

【課題】 電気機器の表示部に表示した画像を受像層に現像させる感光シールの現像システム、及び該現像システムに用いる感光シールの提供。
【解決手段】 DVカメラ40の筐体60には表示部46及び電池収容部61が設けられている。表示部46は筐体60に開閉自在であり、閉じた状態で電池収容部61を閉鎖する。使用者は感光シール10を電池70に貼り付けてから電池70を電池収容部61に収容する。感光シール10は最上面に遮光シート7を有し、遮光シート7より下側に感光層、現像処理材及び受像層を有する。遮光シート7には自身より長寸の帯片7aを設けてある。次に使用者は表示部46を閉じる。このとき帯片7aは表示部46と筐体60との間の隙間から突出する。そして使用者は帯片7aを引き抜いて遮光シート7を引き剥がす。DVカメラ40は露光ボタン53が押圧された場合に表示部46に画像を表示して感光シール10を露光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の表示部に画像を表示することにより、感光シールの感光層を露光して受像層に画像を現像させる感光シールの現像システム、及び該感光シールの現像システムに用いる感光シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルビデオカメラ(以下、DVカメラという)は、表示部を筐体に開閉可能に取り付けてあり、撮像時には表示部を開け、撮像画像を表示部に表示して映像を確認しつつ撮像を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。このようなDVカメラの小型化及び軽量化を図るために、本願出願人は、駆動用の電池の収容部の蓋を省略し、表示部を閉じた状態で表示部が蓋を兼ねるようにしたDVカメラを特願2004−296873にて出願している。
【特許文献1】特開2002−381700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、昨今のDVカメラは、顧客の嗜好に適うように筐体の色を数種類用意する傾向にある。一方、電池は本体であるDVカメラの付属品として、本体に同梱される他、単体でも別売されるので、本体のように種々の色を電池自体に用意した場合、別売用に用意された電池は、種々の色を用意する分、コスト高になるだけでなく、いずれの色のものが過剰在庫/欠品状態を招き易いか予想し難いため、本体のように種々の色を電池自体に用意することに抵抗がある。
【0004】
よって、電池外観の一部を露出するようにして筐体の電池収容部に電池を収容する構造のDVカメラでは、表示部を開けた際に、筐体及び電池の両者の顕著な色の差異が露呈して色感の統一性が損なわれる。そこで、DVカメラの筐体と同色のシールを別途用意して同梱しておき、同梱されたシールを電池の露出部に必要に応じて購入者に貼り付けさせることにより、色感に不統一性が生じることを解消する策が考えられる。
【0005】
しかしながら、購入者が所望の色を電池表面に施し、逆に筐体との色感の不統一性をアクセントとしたい場合には、同梱されるシールはDVカメラの筐体と同色であるため、購入者の要望を満たすことはできないという問題がある。そこで、色が相異するシールを一の電池に対して複数枚同梱しておくことも考えられるが、このような場合では不要な色のシールは使用されないことがあるため、使用されないシールは無駄になるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる問題に鑑みてなされたものであり、電気機器の表示部に表示した画像を感光シールの受像層に現像させて好みの色柄にできる感光シールの現像システム、及び該現像システムに用いる感光シールを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、電気機器の筐体の外部側に駆動用の電池を収容する電池収容部を設け、電池収容部を開放/閉鎖するようにして表示部を筐体に開/閉可能に取り付ける構成とすることにより、電気機器の表示部に表示した画像を電池表面に形成することができることに加え、感光シールが無駄になることを防止できる感光シールの現像システム、及び該現像システムに用いる感光シールを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、画像の表示指示を受け付け、表示指示を受け付けた場合に、電気機器の表示部に画像を所定時間だけ表示する構成とすることにより、操作性を向上することができる感光シールの現像システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、電気機器の表示部に画像を表示していることを報知する構成とすることにより、電気機器の表示部に表示した画像を確実に感光層に現像させることができる感光シールの現像システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、電気機器の表示部に単色画像を表示する構成とすることにより、電気機器の表示部に表示した画像と同一色のみを感光層に着色させることができる感光シールの現像システム、及び該現像システムに用いる感光シールを提供することにある。
【0011】
また、本発明の更に他の目的は、感光シールの一方の最外面に配置される遮光シートに引き剥がし片を設けた構成とすることにより、使用者が遮光シートを容易に引き剥がすことができる感光シールの現像システム、及び該現像システムに用いる感光シールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る感光シールの現像システムは、画像を表示する表示部を有する電気機器と、感光層及び受像層を有する感光シールとを備え、前記表示部に表示した画像を前記受像層に現像させる感光シールの現像システムであって、前記感光シールは、前記受像層を覆うと共に、該受像層側から現像処理材及び前記感光層が順に配置されてなる感光シートと、該感光シートを覆うように粘着された遮光シートとを有し、前記電気機器は、前記表示部に画像を表示させる表示指示を受け付ける受付手段を有し、該受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を表示するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る感光シールの現像システムは、画像を表示する表示部を有する電気機器と、感光層及び受像層を有する感光シールとを備え、前記表示部に表示した画像を前記受像層に現像させる感光シールの現像システムであって、前記感光シールは、前記感光層及び受像層の間に現像処理材が介在し、前記受像層を覆うように粘着された遮光シートを有し、前記電気機器は、前記表示部に画像を表示させる表示指示を受け付ける受付手段を有し、該受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を表示するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る感光シールの現像システムは、前記電気機器が、外観が露出するようにして駆動用の電池を収容する電池収容部を設けてある筐体を有し、前記電池収容部を開放/閉鎖するようにして前記表示部を前記筐体に開/閉可能に取り付けてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る感光シールの現像システムは、前記電気機器が、前記受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を所定時間だけ表示するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る感光シールの現像システムは、前記電気機器が、前記表示部に画像を表示していることを報知する報知手段を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る感光シールの現像システムは、前記表示部に表示する画像は、単色画像であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る感光シールの現像システムは、前記感光シールは、前記遮光シートに引き剥がし片を設けてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る感光シールは、粘着層を一面に形成してあり、画像を現像する受像層を他面に形成してあるシート状の基材と、前記受像層を覆うと共に、該受像層側から現像処理材及び前記感光層が順に配置されてなる感光シートと、該感光シートを覆うように粘着された遮光シートとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る感光シールは、粘着層を一面に形成してあり、感光層を他面に形成してあるシート状の基材と、前記感光層を覆う現像処理材と、該現像処理材を覆う受像層と、
該受像層を覆うように粘着された遮光シートとを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る感光シールは、前記遮光シートに引き剥がし片を設けてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る感光シールの現像システム及び感光シールにあっては、使用者は、いわゆるインスタントフィルムでいうピールアパート型の感光シールを、例えば電気機器の駆動用の電池のような被貼付体に貼り付けた状態で、電気機器の表示部及び感光シールを対向配置し、次いで感光シールの遮光シートを引き剥がす。これにより、電気機器の表示部に対向位置して感光シールの感光シートが露呈する。
【0023】
一方、電気機器は画像を表示させる表示指示を受け付ける。そして、電気機器は表示指示を受け付けた場合に、感光シール(の感光層)を露光すべき画像を表示部に表示する。これにより、使用者により予め電気機器の表示部に対向配置された感光シールの感光シートを構成する感光層が直接露光され、感光層に潜像として記録された画像が現像処理材により受像層に転写される。つまり、電気機器の表示部に表示された画像が感光シールの受像層に現像される。続いて、使用者は感光シールの遮光シートを粘着していた感光シートを剥がす。これにより、感光シールの受像層に現像された画像が露呈する。
【0024】
本発明に係る感光シールの現像システム及び感光シールにあっては、使用者は、いわゆるインスタントフィルムでいうモノシート型の感光シールを、例えば電気機器の駆動用の電池のような被貼付体に貼り付けた状態で、電気機器の表示部及び感光シールを対向配置し、次いで感光シールの遮光シートを引き剥がす。これにより、電気機器の表示部に対向位置して感光シールの受像層が露呈する。
【0025】
一方、電気機器は画像を表示させる表示指示を受け付ける。そして、電気機器は表示指示を受け付けた場合に、感光シールを露光すべき画像を表示部に表示する。これにより、使用者により予め電気機器の表示部に対向配置された感光シールの感光層が受像層を介して露光され、感光層に潜像として記録された画像が現像処理材により受像層に転写される。つまり、電気機器の表示部に表示された画像が感光シールの受像層に現像される。ただし、本発明に係る感光シールはモノシート型であるため、上述したピールアパート型のように感光層及び現像処理材と、受像層とは分離されない。
【0026】
本発明の感光シールの現像システム及び感光シールにあっては、まず、使用者は電池収容部に予め収容されている若しくは自身が収容した電池の露出部となるべき部位にピールアパート型/モノシート型の感光シールを粘着層にて貼り付け、又は収容時に露出部となるべき電池の部位にピールアパート型/モノシート型の感光シールを粘着層にて貼り付けた後に電池を電池収容部に収容する。次に、使用者は表示部を閉じることにより、電池に貼り付けられた感光シールを表示部で覆う。これにより、感光シールは外界から遮光される。そして、使用者は、表示部を閉じた状態のままで、感光シールの遮光シートを引き剥がす。これにより、電気機器の表示部に対向位置して感光シールの感光シート/受像層が露呈する。
【0027】
一方、電気機器は画像を表示させる表示指示を受け付ける。そして、電気機器は表示指示を受け付けた場合に、感光シールを露光すべき画像を表示部に表示する。これにより、使用者により電池収容部に収容された電池に貼り付けられている感光シールの感光層が直接/受像層を介して露光され、感光層に潜像として記録された画像が現像処理材により受像層に転写される。つまり、電気機器の表示部に表示された画像が感光シールの受像層に現像される。
【0028】
続いて、使用者は表示部を開ける。感光シールがモノシート型である場合には、電気機器の表示部に表示した画像が電池表面に形成されたことになる。一方、感光シールがピールアパート型である場合には、使用者は感光シートを更に剥がす。これにより、電池に貼り付けられた感光シールの感光層に現像された画像が露呈し、電気機器の表示部に表示した画像が電池表面に形成されたことになる。
【0029】
特に、電池収容部が着脱可能に電池を収容する構成であり、電気機器が表示部に異なる種類の画像を表示する構成である場合には、一の電池表面に形成する画像の自由度が高まることに加え、複数の電池に各別に相異する画像を形成した場合には、各電池表面に形成された画像自体が電池を特定するための識別符号として機能する。
【0030】
本発明の感光シールの現像システムにあっては、電気機器は画像を表示させる表示指示を受け付ける。そして、電気機器は表示指示を受け付けた場合に、感光シールを露光すべき画像を表示部に表示し、所定時間、具体的には受像層に画像が現像されるのに要する時間が経過した後は表示部への画像の表示を停止する。
【0031】
本発明に係る感光シールの現像システムにあっては、電気機器は表示部に画像を表示していることを報知する。これにより、使用者は感光シールが露光中であることを認識する。
【0032】
本発明に係る感光シールの現像システム及び感光シールにあっては、電気機器は表示部に単色画像を表示する。これにより、感光シールの受像層は全体的に、表示部に表示された画像と同一色のみに着色される。例えば、電気機器の表示部に赤色の画像を表示した場合には、感光シールの受像層は全体的に赤色一色に着色される。したがって、感光シールが電池に貼り付けられている場合には、電気機器の表示部に表示された画像と同じ色が電池表面に施されることになる。
【0033】
本発明に係る感光シールの現像システム及び感光シールにあっては、遮光シートに引き剥がし片を設けてあるため、使用者による遮光シートの引き剥がし作業が容易となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の感光シールの現像システム及び感光シールによれば、感光シールが使用者により例えば被貼付体に貼り付けられた状態で電気機器の表示部に対向配置された場合に、電気機器の表示部に表示した画像を感光シールの受像層に現像させることができる。特に本発明の感光シールによれば、電気機器に付属品として同梱することが可能である他、単体での販売が可能であり、市場への提供形態を問わない。
【0035】
また、本発明の感光シールの現像システム及び感光シールによれば、電池収容部に収容された電池に使用者により感光シールが貼り付けられた場合に、電気機器の表示部に表示した画像を電池表面に形成することができる。この場合、電気機器の表示部は使用者により閉じられた状態で画像を表示するため、外部からの不要な光による影響を受けることなく、表示部に表示した画像のみで感光シールの感光層を露光することができ、よって画像を受像層に再現性よく現像させる、つまり画像を再現性よく電池表面に形成することができる。
【0036】
なお、電池収容部が着脱可能に電池に収容する構成であり、電気機器が表示部に異なる種類の画像を表示する構成である場合には、一の電池表面に形成する画像の自由度を高めることができる。したがって、表示部に表示する画像を適宜変更することにより、複数の電池に各別に相異する画像を形成することができるため、複数の電池を混在させた場合でも各電池表面に形成された画像を識別符号として電池を特定することができる。これにより、各別に相異する画像が形成された複数の電池を用いて一の使用者が一の電気機器を使用する場合には、充電済み又は未充電等の電池の状態を電池表面に形成された画像毎で容易に管理することができる。また、各別に相異する画像が形成された複数の電池を複数の使用者に各別に割り当てて複数の使用者で一の電気機器を使用する場合には、各使用者が自身の電池の状態を独立して管理することができると共に、他人の電池を間違って使用することを防止できる。
【0037】
特に本発明の感光シールによれば、電池収容部が着脱可能に電池を収容する構成である場合には、単体で販売される電気機器用の電池に同梱することも可能である。しかも、一の電池に対して用意すべき感光シールは一枚でよいため、感光シールが無駄になることを防止できる。
【0038】
また、本発明の感光シールの現像システムによれば、電気機器は表示指示を受け付けた場合のみ、感光シールを露光すべき画像を表示部に表示する他、画像を表示してから所定時間経過後に画像の表示を自動的に停止するため、画像の表示を停止させるための操作を使用者に行わせる必要がなく、操作性を向上することができる。また過剰露光が防止される。
【0039】
また、本発明の感光シールの現像システムによれば、電気機器は表示部に画像を表示していることを報知するため、画像の表示中に、使用者が感光シールを貼り付けた被貼付体を移動させる又は表示部を開ける等、電気機器の表示部及び感光シールの対向配置状態が使用者により崩されて感光シールの露光に失敗することを防止できる。つまり、電気機器の表示部に表示した画像を受像層に確実に現像させることができる。
【0040】
また、本発明の感光シールの現像システム及び感光シールによれば、電気機器は表示部に単色画像を表示して感光シールを露光するため、表示した画像と同一色のみを感光シールの受像層に着色させることができる。したがって、感光シールが電池に貼り付けられている場合には、表示した画像と同じ色を電池表面に施すことができる。なお、電池収容部が着脱可能に電池を収容する構成であり、電気機器が表示部に色が相異する画像を表示する構成である場合には、複数の電池に各別に相異する色を施すことができ、よって直感的に電池を特定することができる。
【0041】
更に、本発明の感光シールの現像システム及び感光シールによれば、遮光シートに引き剥がし片を設けてあるため、使用者は、電池収容部に収容された電池に感光シールを貼り付けた状態で表示部を閉じた場合を含め、電気機器の表示部及び感光シールを対向配置した場合でも、帯片を用いて遮光シートを容易に引き剥がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る感光シール10の構成を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線における模式的断面図である。感光シール10は、電池70(図2参照)への貼付面と略同寸あり、矩形のシート状の基材1を備える。基材1は、裏面に粘着層2が形成され、画像を現像する受像層3が表面全面に形成されている。粘着層2は剥離シート30にて覆われている。
【0043】
受像層3は周縁を除いて感光シート4にて覆われている。感光シート4は、受像層3側から現像処理材5及び感光層6が順に形成されてなる。感光シート4は、基材1と同形・同寸法の遮光シート7にて覆われている。遮光シート7は矩形環状の粘着層8が感光シート4を覆う面の周縁に形成されている。遮光シート7の一側短辺の中央部には引き剥がし用の帯片7aが遮光シート7の表面側に延設されており、先端部が遮光シート7の他側短辺へ突出している。
【0044】
なお、感光シール10は後述するように、受像層3への画像の現像後、受像層3から感光シート4を剥がす処理を要する、いわゆるインスタントフィルムでいうピールアパート型に相当する。
【0045】
図2は本発明の実施の形態1に係る感光シール10の現像システムの構成を示す模式図である。図において、40はDVカメラであり、DVカメラ40は直方体状の筐体60を備える。筐体60は、正面に撮像レンズ41が設けられ、背面視左側面部に、DVカメラ40を駆動する直方体状の電池70を着脱自在に収容するための電池収容部61が凹設されている。なお、電池収容部61は電池70を着脱自在に収容する構成としたが、これに限らず、電池70を固定式に収容してある構成であってもよい。
【0046】
筐体60は背面視左側面部における正面側部分にヒンジ62が縦向きに設けられており、ヒンジ62により直方体状の液晶表示装置からなる表示部46が筐体60に対して開閉可能に枢支されている。表示部46は、開いた/閉じた状態で電池収容部61を開放/閉鎖し、閉じた状態で電池収容部61と対向する面に表示面46aが配置されている。
【0047】
筐体60は、電池収容部61の上側の部位に、画像の選択を受け付ける色選択ボタン51、選択した画像の決定指示を受け付ける決定ボタン52、露光開始指示を受け付ける露光ボタン53、及び露光中、すなわち画像を表示中であることを点灯することにより報知するLED56が設けられている。色選択ボタン51は、上下左右の4方向に独立して押圧することが可能な十字キー型であり、押圧方向に応じて4色(例えば白色、青色、赤色及び緑色)の画像の中から1色の画像を選択することが可能である。筐体60は背面に記録ボタン54及び電源スイッチ55等が設けられている。
【0048】
電池70は、電池収容部61に収容された状態で表示部46側の露出すべき面に、図1に示す本発明に係る感光シール10が、剥離シート30を引き剥がされた状態で粘着層2にて貼り付けられる。ただし、感光シール10の貼り付けは、帯片7aの基端部側及び先端部側がそれぞれ筐体60の正面側及び背面側に配置されるようにして行われる。電池70は以上のようにして感光シール10が貼り付けられた状態で電池収容部61に収容される。
【0049】
図3は図2に示すDVカメラ40の構成を示すブロック図である。DVカメラ40は、CCDにて構成される撮像素子42を備える。撮像素子42は、撮像レンズ41にて集光して結像した像をアナログの撮像信号に光電変換し、光電変換した撮像信号をA/D変換部43へ出力する。A/D変換部43は、撮像素子42から入力されたアナログの撮像信号をデジタルの撮像データにAD変換し、AD変換した撮像データを信号処理部44へ出力する。
【0050】
信号処理部44は、DSP(Digital Signal Processor)にて構成され、A/D変換部43から入力された撮像データを、SRAM又はSDRAM等の作業用のメモリ45に書き込む機能と、表示用の信号に変換して表示部46へ出力する機能とを有する。表示部46は、信号処理部44から入力された信号に基づいて撮像データに係る撮像画像を表示する他、本発明の感光シール10を露光すべき画像を表示する。
【0051】
また、信号処理部44は、メモリ45に書き込んだ撮像データをMotionJPEG又はMPEG等の圧縮伸長方式にて圧縮する機能と、圧縮した撮像データを記録再生部47へ出力し、記録再生部47に収容された記録媒体48に圧縮した撮像データを記録する機能とを更に有する。記録媒体48は記録再生部47に対して着脱が自在な磁気テープ又は半導体メモリ等である。
【0052】
DVカメラ40は、タイマを用いてなる時計部49と、使用者から種々の操作指示の入力を受け付ける操作部50とを備える。操作部50は、筐体60に設けられた色選択ボタン51、決定ボタン52、露光ボタン53、記録ボタン54及び電源スイッチ55等にて構成される。
【0053】
以上のDVカメラ40が備えるハードウェア各部の動作は、CPUにて構成される制御部57がROM58に格納してある制御プログラムを実行することにより制御される。制御部57による制御プログラムの実行時に発生するデータはRAM59に一時的に記憶される。制御部57は、所定の条件に従って筐体60に設けられたLED56を点灯/消灯する。
【0054】
ROM58には制御プログラムの他、感光シール10を露光すべき4色(白色、青色、赤色及び緑色)の画像に係るデータも格納されている。よって、制御部57は、色選択ボタン51が押圧された場合に、押圧方向に対応付けてある色の画像に係るデータをROM58から読み出して信号処理部44へ転送する。これにより、色選択ボタン51の押圧方向に応じて、各色の画像が表示部46に適宜表示される。
【0055】
以上の如き構成のDVカメラ40を用い、電池70に貼り付けられた感光シール10を露光する手順を以下に説明する。
【0056】
図4乃至図6はそれぞれ、図2及び図3に示すDVカメラ40の制御部57による感光シール10の露光処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4乃至図6において示す「A」〜「D」の符号を付した箇所は、同符号の箇所とそれぞれ連結されることを意味する。
【0057】
まず制御部57は、画像の表示指示の入力として、色選択ボタン51の押圧を監視する(S1)。ただし、この段階では表示部46は開けられた状態にある。色選択ボタン51が押圧されていない場合(S1:NO)には、制御部57は押圧の監視を続行する。一方、色選択ボタン51が押圧された場合(S1:YES)には、制御部57は色選択ボタン51が上に押圧されたか否かを判定する(S2)。
【0058】
ステップS2において色選択ボタン51が上に押圧されたと判定した場合(S2:YES)には、制御部57は、ROM58に格納してある白色の画像に係るデータを読み出して信号処理部44に転送することにより、白色の画像を表示部46に表示する(S3)。次に制御部57は、表示部46に表示中の画像の変更指示の入力として、色選択ボタン51が押圧されたか否かを判定する(S4)。
【0059】
ステップS4において色選択ボタン51が押圧されたと判定した場合(S4:YES)には、制御部57はステップS2へ移行して以降の処理を繰り返す。一方、ステップS4において色選択ボタン51が押圧されていないと判定した場合(S4:NO)には、制御部57は、表示部46に表示中の画像の決定指示の入力として、決定ボタン52が押圧されたか否かを判定する(S5)。ステップS5において決定ボタン52が押圧されていないと判定した場合(S5:NO)には、制御部57はステップS3へ移行して以降の処理を繰り返す。
【0060】
また、ステップS2において色選択ボタン51が上に押圧されていないと判定した場合(S2:NO)には、制御部57は色選択ボタン51が下に押圧されたか否かを判定する(S6)。
【0061】
ステップS6において色選択ボタン51が下に押圧されたと判定した場合(S6:YES)には、制御部57は、ROM58に格納してある青色の画像に係るデータを読み出して信号処理部44に転送することにより、青色の画像を表示部46に表示する(S7)。次に制御部57は、表示部46に表示中の画像の変更指示の入力として、色選択ボタン51が押圧されたか否かを判定する(S8)。
【0062】
ステップS8において色選択ボタン51が押圧されたと判定した場合(S8:YES)には、制御部57はステップS2へ移行して以降の処理を繰り返す。一方、ステップS8において色選択ボタン51が押圧されていないと判定した場合(S8:NO)には、制御部57は、表示部46に表示中の画像の決定指示の入力として、決定ボタン52が押圧されたか否かを判定する(S9)。ステップS9において決定ボタン52が押圧されていないと判定した場合(S9:NO)には、制御部57はステップS7へ移行して以降の処理を繰り返す。
【0063】
また、ステップS6において色選択ボタン51が下に押圧されていないと判定した場合(S6:NO)には、制御部57は色選択ボタン51が左に押圧されたか否かを判定する(S10)。
【0064】
ステップS10において色選択ボタン51が左に押圧されたと判定した場合(S10:YES)には、制御部57は、ROM58に格納してある赤色の画像に係るデータを読み出して信号処理部44に転送することにより、赤色の画像を表示部46に表示する(S11)。次に制御部57は、表示部46に表示中の画像の変更指示の入力として、色選択ボタン51が押圧されたか否かを判定する(S12)。
【0065】
ステップS12において色選択ボタン51が押圧されたと判定した場合(S12:YES)には、制御部57はステップS2へ移行して以降の処理を繰り返す。一方、ステップS12において色選択ボタン51が押圧されていないと判定した場合(S12:NO)には、制御部57は、表示部46に表示中の画像の決定指示の入力として、決定ボタン52が押圧されたか否かを判定する(S13)。ステップS13において決定ボタン52が押圧されていないと判定した場合(S13:NO)には、制御部57はステップS11へ移行して以降の処理を繰り返す。
【0066】
また、ステップS10において色選択ボタン51が左に押圧されていないと判定した場合(S10:NO)には、色選択ボタン51は右に押圧されたことになるので、制御部57は、ROM58に格納してある緑色の画像に係るデータを読み出して信号処理部44に転送することにより、緑色の画像を表示部46に表示する(S14)。次に制御部57は、表示部46に表示中の画像の変更指示の入力として、色選択ボタン51が押圧されたか否かを判定する(S15)。
【0067】
ステップS15において色選択ボタン51が押圧されたと判定した場合(S15:YES)には、制御部57はステップS2へ移行して以降の処理を繰り返す。一方、ステップS15において色選択ボタン51が押圧されていないと判定した場合(S15:NO)には、制御部57は、表示部46に表示中の画像の決定指示の入力として、決定ボタン52が押圧されたか否かを判定する(S16)。ステップS16において決定ボタン52が押圧されていないと判定した場合(S16:NO)には、制御部57はステップS14へ移行して以降の処理を繰り返す。
【0068】
続いて、ステップS5、S9、S13又はS16において決定ボタン52が押圧されたと判定した場合(S5、S9、S13又はS16:YES)には、制御部57は表示部46への画像の表示を停止する(S17)。
【0069】
以上のように、色選択ボタン51が押圧される都度、決定ボタン52が押圧されるまでの間に押圧方向に応じて各色の画像が表示部46に表示されるため、使用者は表示部46の表示面46aを確認しつつ4色の画像の中から所望の色の画像を選択することができる。なお、感光シール10が貼り付けられた電池70は、以上の画像の選択が行われる前に予め電池収容部61に収容しておいてもよく、また、以上の画像の選択が行われた後に電池収容部61に収容してもよい。
【0070】
そして使用者は、感光シール10が貼り付けられた電池70を電池収容部61に収容した状態で表示部46を閉じて感光シール10を表示部46で覆う。図7は図2に示すDVカメラ40の表示部46を閉じて感光シール10を覆った状態を示すDVカメラ40の斜視図である。図7に示すように、表示部46を閉じた状態では、表示部46と筐体60との間の僅かな隙間から、感光シール10の帯片7aの先端部が突出している。よって、使用者は帯片7aの先端部を破線矢符にて示す方向に引き抜いて、粘着層8諸共遮光シート7を折り返すように引き剥がす。これにより、感光シール10の感光シート4が表示部46の表示面46aに対向して露呈する。
【0071】
DVカメラ40の制御部57は、以上のように感光シール10の遮光シート7が使用者により引き剥がされた後に、以下の処理を実行する。
【0072】
制御部57は、露光開始指示の入力として、露光ボタン53の押圧を監視する(S18)。露光ボタン53が押圧されていない場合(S18:NO)には、制御部57は押圧の監視を続行する。一方、露光ボタン53が押圧された場合(S18:YES)には、制御部57はLED56を点灯し(S19)、次いで選択が決定された色の画像を表示部46に表示する(S20)。これにより、電池70に貼り付けられた感光シール10の感光シート4を構成する感光層6が表示部46に表示された画像により直接露光され、感光層6に潜像として記録された像が現像処理材5により受像層3に転写され、受像層3に画像が現像される。
【0073】
続いて制御部57は、時計部49により、画像の表示を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(S21)。なお、所定時間は、受像層3に画像が現像されるのに要する時間に設定されている。ステップS21において所定時間が経過していないと判定した場合(S21:NO)には、制御部57はステップS19へ移行して以降の処理を繰り返す。
【0074】
一方、ステップS21において所定時間が経過したと判定した場合(S21:YES)には、制御部57は、表示部46への画像の表示を停止し(S22)、次いでLED56を消灯し(S23)、処理を終了する。
【0075】
以上の処理をDVカメラ40にて行った後、使用者は、LED56の消灯を確認して感光シール10の露光が終了されたと認識することができ、表示部46を開けて、遮光シート7を粘着層8にて貼り付けていた感光シート4を受像層3から剥がす。これにより、表示部46に表示した画像と同じ色を受像層3に全体的に着色させることができる、つまり電池70に色を施すことができる。
【0076】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2に係る感光シール20の構成を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線における模式的断面図である。シート状の基材1の表面全面に感光層6が形成されている。感光層6は現像処理材5に覆われており、現像処理材5は受像層3に覆われている。受像層3は遮光シート7にて覆われている。遮光シート7は矩形環状の粘着層8が受像層3を覆う面の周縁に形成されている。
【0077】
その他の構成は、実施の形態1の感光シール10と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、感光シール20は、実施の形態1の感光シール10と異なり、受像層3への画像の現像後、感光層6及び現像処理材5と、受像層3とは分離されることがない、いわゆるインスタントフィルムでいうモノシート型に相当する。
【0078】
また、本発明の実施の形態2に係る感光シール20の現像システムの構成は、図2において、感光シール10に代えて感光シール20を電池70に貼り付けて構成されるものであり、DVカメラ40を用いて感光シール20を露光する手順も実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
なお、上述した実施の形態1,2においては、感光シール10,20を露光すべき各画像を単色画像としたが、これに限らず、例えばストライプ状又はドット状等のような単純な模様を各別に有する画像であってもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態1,2においては、感光シール10,20を露光すべき各画像をDVカメラ40に予め用意しておいたが、これに限らず、DVカメラ40にて撮像した画像を用いて感光シール10,20を露光してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係る感光シールの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る感光シールの現像システムの構成を示す模式図である。
【図3】図2に示すDVカメラの構成を示すブロック図である。
【図4】図2及び図3に示すDVカメラの制御部による感光シールの露光処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図2及び図3に示すDVカメラの制御部による感光シールの露光処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図2及び図3に示すDVカメラの制御部による感光シールの露光処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図2に示すDVカメラの表示部を閉じて感光シールを覆った状態を示すDVカメラの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る感光シールの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0082】
1 基材
2,8 粘着層
3 受像層
4 感光シート
5 現像処理材
6 感光層
7 遮光シート
7a 帯片
10,20 感光シール
30 剥離シート
40 DVカメラ
46 表示部
49 時計部
51 色選択ボタン
52 決定ボタン
53 露光ボタン
56 LED
57 制御部
58 ROM
60 筐体
61 電池収容部
62 ヒンジ
70 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を有する電気機器と、感光層及び受像層を有する感光シールとを備え、前記表示部に表示した画像を前記受像層に現像させる感光シールの現像システムであって、
前記感光シールは、前記受像層を覆うと共に、該受像層側から現像処理材及び前記感光層が順に配置されてなる感光シートと、該感光シートを覆うように粘着された遮光シートとを有し、
前記電気機器は、前記表示部に画像を表示させる表示指示を受け付ける受付手段を有し、該受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を表示するようにしてある
ことを特徴とする感光シールの現像システム。
【請求項2】
画像を表示する表示部を有する電気機器と、感光層及び受像層を有する感光シールとを備え、前記表示部に表示した画像を前記受像層に現像させる感光シールの現像システムであって、
前記感光シールは、前記感光層及び受像層の間に現像処理材が介在し、前記受像層を覆うように粘着された遮光シートを有し、
前記電気機器は、前記表示部に画像を表示させる表示指示を受け付ける受付手段を有し、該受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を表示するようにしてある
ことを特徴とする感光シールの現像システム。
【請求項3】
前記電気機器は、外観が露出するようにして駆動用の電池を収容する電池収容部を設けてある筐体を有し、前記電池収容部を開放/閉鎖するようにして前記表示部を前記筐体に開/閉可能に取り付けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光シールの現像システム。
【請求項4】
前記電気機器は、前記受付手段が表示指示を受け付けた場合に、前記表示部に画像を所定時間だけ表示するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の感光シールの現像システム。
【請求項5】
前記電気機器は、前記表示部に画像を表示していることを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の感光シールの現像システム。
【請求項6】
前記表示部に表示する画像は、単色画像であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかひとつに記載の感光シールの現像システム。
【請求項7】
前記感光シールは、前記遮光シートに引き剥がし片を設けてあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかひとつに記載の感光シールの現像システム。
【請求項8】
粘着層を一面に形成してあり、画像を現像する受像層を他面に形成してあるシート状の基材と、
前記受像層を覆うと共に、該受像層側から現像処理材及び前記感光層が順に配置されてなる感光シートと
該感光シートを覆うように粘着された遮光シートと
を備えることを特徴とする感光シール。
【請求項9】
粘着層を一面に形成してあり、感光層を他面に形成してあるシート状の基材と、
前記感光層を覆う現像処理材と、
該現像処理材を覆う受像層と、
該受像層を覆うように粘着された遮光シートと
を備えることを特徴とする感光シール。
【請求項10】
前記遮光シートに引き剥がし片を設けてあることを特徴とする請求項8又は9に記載の感光シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−162702(P2006−162702A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350400(P2004−350400)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】