説明

感光性組成物

【課題】高感度であり、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性に優れた感光性組成物の提供。
【解決手段】樹脂と、光重合開始剤と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、前記樹脂が、芳香族基を含む芳香族基含有成分A1と、ビニル基を含むビニル基含有成分A2と、ヘテロ原子Xとを含む下記一般式(1)で表される化合物であり、前記ビニル基含有成分A2が、環状脂肪族構造、芳香族構造、及び繰り返し単位を有する鎖状脂肪族構造のいずれかを含む感光性組成物である。


前記一般式(1)において、nは、1以上の任意の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光によって、画像形成を行うソルダーレジスト材料として好適な感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成するに際して、支持体上に感光性組成物を塗布し、乾燥することにより感光層を形成させた感光性フィルムが用いられてきている。ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成される銅張積層板等の基体上に、感光性フィルムを積層させて積層体を形成し、該積層体における感光層に対して露光を行い、該露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法等が知られている。
【0003】
前記ソルダーレジストの形成に用いた感光性組成物において、折り曲げ耐性及び耐メッキ性の向上と高感度化を図ることは重要な課題の一つであり、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、多価フェノール類と多価ビニルエーテル類とをアセタール化反応させて得られる変性多価フェノール類をグリシジルエーテル化してなるエポキシ樹脂に、エチレン性不飽和一塩基酸を反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂を用いた感光性組成物が開示されている。
しかしながら、上記感光性組成物によれば、折り曲げ耐性を向上させることはできるものの、耐メッキ性を向上させることはできないという問題があった。
耐メッキ性を向上させるため、特許文献2には、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、エラストマー、光重合開始剤、希釈剤及び硬化剤を含む光硬化性樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、上記光硬化性樹脂組成物によれば、耐メッキ性を向上させることはできるものの、高感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、解像性、永久パターン形状、及び現像性、などの諸特性をバランスよく満たすことができないという問題があった。
以上より、高感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性などの諸特性について十分満足できる性能を有するものではなく、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−60469号公報
【特許文献2】特開平11−240930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高感度であり、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性に優れた感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 樹脂と、光重合開始剤と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、
前記樹脂が、芳香族基を含む芳香族基含有成分A1と、ビニル基を含むビニル基含有成分A2と、ヘテロ原子Xとを含む下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記ビニル基含有成分A2が、部分構造として、脂肪族環状、芳香族、及び繰り返し単位を有する脂肪族鎖状のいずれかを含むことを特徴とする感光性組成物である。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、nは、1以上の任意の整数を表す。
<2> 芳香族基含有成分A1が、下記一般式(2)で表される前記<1>に記載の感光性組成物である。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Lは、直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、−S−、−CO−、又は−O−を示す。R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、一価の有機基、ハロゲン原子、−OR、―N(R)(R)、又は−SRを表し、R、R、R、及びRは、水素原子、又は一価の有機基を表す。
<3> 樹脂が、エポキシ樹脂とビスフェノールの重合反応で合成される前記<1>から<2>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<4> 光重合開始剤が、アシルホスフィンオキシド化合物又はそのエステル化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム誘導体化合物、有機過酸化物、及びチオ化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<5> 硬化剤が、アミン化合物、多官能フェノール化合物、イミダゾール化合物、メルカプタン化合物、酸無水物化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びオキサゾリン化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<6> 希釈剤を更に含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<7> 希釈剤が、有機溶剤及び光重合性化合物の少なくともいずれかである前記<6>に記載の感光性組成物である。
<8> 有機溶剤が、ケトン化合物、芳香族炭化水素化合物、グリコールエーテル化合物、エステル化合物、脂肪族炭化水素化合物、及び石油系溶剤から選択される少なくとも1種である前記<7>に記載の感光性組成物である。
<9> 光重合性化合物が、(メタ)アクリレート化合物である前記<7>から<8>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層を支持体上に有してなることを特徴とする感光性フィルムである。
<11> 基体上に、前記<1>から<9>のいずれかに記載の感光性組成物を含む感光層を有することを特徴とする感光性積層体である。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを少なくとも含むことを特徴とする永久パターン形成方法である。
<13> 前記<12>に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されることを特徴とするプリント基板である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、高感度であり、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性に優れた感光性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、永久パターンの形状を示す図である。
【図2】図2は、合成例1のビニル基含有樹脂のNMRの測定結果を示す図である。
【図3】図3は、合成例1のビニル基含有樹脂のIRの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、樹脂と、光重合開始剤と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、希釈剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0010】
<樹脂>
前記樹脂としては、下記一般式(1)で表される化合物である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化3】

ただし、前記一般式(1)中、A1は、芳香族基を含む芳香族基含有成分を表し、A2は、ビニル基を含むビニル基含有成分を表し、Xは、ヘテロ原子を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、1〜200が好ましく、2〜100が更に好ましい。
【0011】
ここで、芳香族という用語は、文献、特にJerry MARCH,Advanced Organic Chemistry,第4版,John Wiley and Sons,1992,40頁以下に定義されているような芳香族の慣用概念を意味する。
ここで、脂肪族という用語は、文献、特に、T.W.Graham Solomons,ORGANIC Chemistry(上)、第9版,HIROKAWA Publishing CO.2008,523頁以下に定義されているような脂肪族の慣用概念を意味する。
ここで、鎖状、及び、環状という用語は、文献、特に、K.Peter C. Vollhart,ORGANIC Chemistry Strucutre and Function(上)、第4版,2004,75頁以下に定義されているような鎖状、及び、環状の慣用概念を意味する。
ここで、繰り返し単位の定義は、単位構造(E)を持ち、該単位構造(E)が2つ以上連結した化合物を示す。
前記単位構造(E)の具体的な構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるものなどが挙げられる。
【化4】

ただし、前記式中、nは2以上の整数を表し、現像性の観点から、2〜100が好ましく、解像性の観点から、エーテル結合を有することがより好ましい。
【0012】
<<芳香族基含有成分>>
前記芳香族基含有成分A1としては、前記一般式(1)において、Xとの連結鎖上に芳香族環を1つ以上含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビスフェニレン基等を含む成分が挙げられる。これらの中でも、塗布適正の観点から、フェニレン基とビスフェニレン基を含むことが好ましく、前記芳香族基含有成分A1が、下記一般式(2)で表される成分であることが特に好ましい。
【化5】

ただし、前記一般式(2)中、Lは、直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、−S−、−CO−、又は−O−を示す。R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、一価の有機基、ハロゲン原子、−OR、―N(R)(R)、又は−SRを表し、R、R、R、及びRは、水素原子、又は一価の有機基を表す。
前記Lとしては、現像性の観点で、−CH−、−O−が好ましく、−CH−が特に好ましい。
前記R、R、R、R、R、R、R、及びRにおける一価の有機基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、−OR(ただし、Rは一価の有機基を表す)、アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
前記R、R、R、及びRとしては、解像性の観点で、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、−ORが好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0013】
以下、芳香族基含有成分の構造の具体例として、下記構造式(A1−1)〜(A1−5)を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化6】

【0014】
<<ビニル基含有成分>>
前記ビニル基含有成分としては、ビニル基を含む成分であり、かつ部分構造として、脂肪族環状、芳香族、及び、繰り返し単位を有する脂肪族鎖状のいずれかを含む成分である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。現像性の観点から、脂肪族環状、及び、繰り返し単位を有する脂肪族鎖状のいずれかを含むことが好ましい。
【0015】
前記繰り返し単位を有する鎖状脂肪族構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記繰り返し単位としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシド、及び、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を開環重合して得られるエステル等が挙げられる。これらの中でも、折り曲げ耐性の観点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシドが好ましく、現像性の観点から、エチレンオキシドが特に好ましい。
【0016】
以下に、繰り返し構造の具体例として、下記構造式(7a)〜(7b)で表される構造を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化7】

【0017】
前記構造式(7a)〜(7b)において、Rは、水素原子、又は下記構造式(8a)〜(8c)で示される化合物を表す。
【化8】

ただし、前記構造式(8a)中、「*」は酸素原子との連結を示し、前記構造式(7a)〜(7b)におけるORとエーテル結合での連結を持つこと示す。
【0018】
【化9】

ただし、前記構造式(8b)中、「*」は酸素原子との連結を示し、前記構造式(7a)〜(7b)におけるORとエーテル結合での連結を持つこと示す。
【化10】

ただし、前記構造式(8c)中、「*」は酸素原子との連結を示し、前記構造式(7a)〜(7b)におけるORとエーテル結合での連結を持つこと示す。
【0019】
前記脂肪族環状構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロアルカン、シクロアルケン、などが挙げられる。これらの中でも、折り曲げ耐性の観点から、シクロヘキサンが好ましい。
具体例として、下記構造式(9)で表される構造を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化11】

前記構造式(9)中、Rは、水素原子、又は下記構造式(4)を表す。
【化12】

ただし、前記構造式(4)における「*」は酸素原子との連結を示し、構造式(9)においてORとエステル結合での連結を持つこと示す。
【0020】
前記芳香族構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン等が挙げられる。現像性の観点から、フェニレンが好ましい。
具体例として、下記構造式(10)で表される構造、下記構造式(11)で表される構造などが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化13】

ただし、前記構造式(10)中、Rは、水素原子、又は上記構造式(4)を表す。
【化14】

【0021】
<<ヘテロ原子>>
前記へテロ原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素、無置換でも置換していても良い窒素、硫黄、などが挙げられる。塗布適正と保存性の観点から、酸素原子が好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例として、下記構造式(1)、(3)、(5)で表される化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されることは無い。
【化15】

前記構造式(1)において、Yは、水素原子、又は、下記構造式(2)を表し、nは、1以上の任意の整数を表す。
【化16】

ただし、前記構造式(2)における「*」は酸素原子との連結を示し、構造式(1)において-OYがエステル結合での連結を持つこと示す。
【0023】
【化17】

ただし、前記構造式(3)において、Rは、水素原子、又は、上記構造式(4)を表し、nは、1以上の任意の整数を表す。
【0024】
【化18】

ただし、前記構造式(5)中、Rは、上記構造式(4)を表し、nは、1以上の任意の整数を表す。
【0025】
<<ビニル基含有樹脂の製造方法>>
以下に樹脂の製造方法を説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
前記樹脂の製造方法は、上記のビニル基含有樹脂を製造する方法であって、エポキシ樹脂とビスフェノールを重合させる反応、及び水酸基と、酸無水物、イソシアネート、又はビニル基とを反応させる工程を有し、必要に応じてその他の工程を有する。
【0026】
−エポキシとビスフェノールの重合反応−
エポキシ樹脂とビスフェノールを重合させる反応、及び水酸基と、酸無水物、イソシアネート、又はビニル基とを反応させる工程は、エポキシ樹脂とビスフェノールとを重合させるものであれば、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましい形態として、エポキシ樹脂は、現像性と感度の観点から2官能のエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂とビスフェノールとを重合させる反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。反応触媒として、トリフェニルホスフィン等のリン化合物やテトラメチルアンモニウムクロライドに代表されるアンモニウム塩等が、好適に用いられる。また、反応温度は0℃〜220℃が好ましく、反応時間が0.5時間〜15時間が好ましく、反応圧力が0.2気圧〜10気圧が好ましい。
【0027】
−末端に水酸基を含有する樹脂の作製工程−
前記エポキシ樹脂とビスフェノール重合反応において、ビスフェノールを多く用いた場合は、感度の観点から、前記、重合により得られた樹脂に末端に脂肪族水酸基を導入した後に架橋性基と現像性基を導入することが好ましい。脂肪族水酸基の導入方法としては、目的に応じて適宜選択できる。現像性の観点から、炭酸エチレンとの反応、エポキシとの反応、エピクロロヒドリンとの反応が好ましく、特に、炭酸エチレンを用いた反応が好ましい。
【0028】
−エポキシ樹脂の作製工程−
前記エポキシとビスフェノール重合反応において、エポキシ樹脂を多く用いた場合は、
感度の観点から、エピクロロヒドリン等を用いて、エポキシ樹脂を作製した後に、架橋性基と現像性基を導入することが好ましい。
【0029】
−架橋性基と現像性基の導入方法−
下記に架橋性基と現像性基の導入方法を説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
−水酸基と酸無水物とを反応させる工程−
この工程は、水酸基を有する化合物と酸無水物とを反応させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記水酸基を有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点で、任意の数の水酸基を有する炭素数1〜10の脂肪族化合物が好ましい。前記水酸基を有する化合物において、水酸基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1個〜5個が好ましい。
【0030】
この工程において、酸無水物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸無水物の形態をとり得る脂肪族化合物、芳香族化合物、などが挙げられる。中でも、上記の水酸基を有する化合物と酸無水物とを直接反応させる場合、親疎水性の点で、トリメリット酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
【0031】
水酸基と酸無水物とを反応させる反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重合の抑制の点で、温度が0℃〜130℃が好ましく、反応時間が0.5時間〜15時間が好ましく、反応圧力が0.2気圧〜10気圧が好ましい。
【0032】
このようにして、水酸基を有する化合物から出発して、酸無水物との反応を経てカルボン酸樹脂化合物が得られる。
【0033】
−水酸基と、イソシアネート又はビニル基を有する化合物との反応−
上記の水酸基を有する化合物と酸無水物とを反応させる工程において、水酸基を有する化合物は、イソシアネート又はビニル基を有する化合物と反応させて、水酸基含有樹脂を得て、上記と同様に酸無水物と反応させてもよい。
【0034】
−−水酸基と、イソシアネートを有する化合物との反応−−
水酸基を有する化合物とイソシアネートとを反応させる条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基とイソシアネート基が共存するものであってもよい。前記イソシアネートとしては、イソシアネート基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、任意の炭素数を有する脂肪族化合物、芳香族化合物などが挙げられる。これらの中でも、感度の点で、カレンズMOI(昭和電工株式会社製)、カレンズAOI(昭和電工株式会社製)などの(メタ)アクリル酸系のイソシアネート類が好ましい。
【0035】
この水酸基を有する化合物とイソシアネートとを反応させる条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重合の抑制の点で、温度が0℃〜120℃が好ましく、反応時間が0.5時間〜15時間が好ましく、反応圧力が0.2気圧〜10気圧が好ましい。
このように水酸基とイソシアネートとを反応させて、樹脂が得られる。
【0036】
また、水酸基を有する化合物とビニル基を有する化合物とを反応させる条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基とアクリレートが共存するもの、ビニル基とメタクリレートが共存するもの、などが挙げられる。ビニル基を有する化合物としては、ビニル基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、任意の炭素数を有する脂肪族化合物、芳香族化合物、などが挙げられる。これらの中でも、感度の点で、2−ビニロキシエチルアクリレート、4−ビニロキシブチルアクリレート、2−ビニロキシエチルメタクリレート、4−ビニロキシブチルメタクリレートが好ましい。
【0037】
この水酸基を有する化合物とビニル基とを反応させる条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重合の抑制の点で、温度が25℃〜130℃が好ましく、反応時間が0.5時間〜15時間が好ましく、反応圧力が0.2気圧〜10気圧が好ましい。
このように水酸基とビニル基とを反応させて、目的の樹脂が得られる。
【0038】
このようにイソシアネート又はビニル基を有する化合物との反応を経て得られる水酸基含有樹脂と、酸無水物との反応としては、上記の水酸基を有する化合物と酸無水物との反応に準じて行えばよい。水酸基含有樹脂と酸無水物の反応に用い得る酸無水物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、親疎水性の点で、マレイン酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が好ましい。
【0039】
−その他の工程−
−−カルボン酸樹脂化合物とエポキシ化合物とを反応させる工程−−
上記の通り得たカルボン酸樹脂化合物は、エポキシ化合物と反応させて、最終産物であるビニル基含有樹脂を合成してもよい。
【0040】
この工程において、エポキシ化合物としては、エポキシ基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、任意の炭素数を有する脂肪族化合物、芳香族化合物、などが挙げられる。これらの中でも、感度の点で、サイクロマーA400(ダイセル化学株式会社製)、4−HBAGE(日本化成株式会社製)等のエポキシアクリレートが好ましい。このカルボン酸樹脂化合物とエポキシ化合物とを反応させる反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重合の抑制の点で、温度が0℃〜130℃が好ましく、反応時間が0.5時間〜15時間が好ましく、反応圧力が0.2気圧〜10気圧が好ましい。
【0041】
<<樹脂の重量平均分子量>>
前記樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000〜60,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、2,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、2,000以上であると、高い硬化膜の硬度が得られ、60,000以下であると、塗布適性及び現像性が維持できる。
ここで、前記重量平均分子量は、例えば、高速GPC装置(東洋曹達株式会社製、HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムとしてTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器又はUV検出器(検出波長254nm)により測定し、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線により重量平均分子量を求めることができる。
【0042】
<<樹脂の酸価>>
前記樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mgKOH/g〜120mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/g〜110mgKOH/gがより好ましく、35mgKOH/g〜100mgKOH/gが特に好ましい。前記酸価が、20mgKOH/g以上であると、現像性が十分であり、120mgKOH/g以下であると現像速度を適度に保って、現像をコントロールすることができる。
ここで、前記酸価は、例えば、JIS K0070に準拠して測定することができる。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン、テトラヒドロフランなどを使用する。
【0043】
<<樹脂のビニル基当量>>
前記樹脂(例えば、酸変性ビニル基含有ポリウレタン樹脂)のビニル基当量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mmol/g〜4.0mmol/gが好ましく、0.5mmol/g〜4.0mmol/gがより好ましく、0.75mmol/g〜4.0mmol/gが特に好ましい。前記ビニル基当量が、0.05mmol/g以上であると、硬化膜の耐熱性を維持することができ、4.0mmol/g以下であると、耐クラック性を維持することができる。
ここで、前記ビニル基当量は、例えば、臭素価を測定することにより求めることができる。なお、前記臭素価は、例えば、JIS K2605に準拠して測定することができる。
【0044】
前記感光性組成物中における前記樹脂の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、5質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。前記含有量が、5質量%以上であれば、現像性、露光感度が悪化するのを防止することができ、80質量%以下であれば、感光層の粘着性が強くなりすぎるのを防止することができる。一方、前記樹脂の含有量が前記特に好ましい範囲内であると、膜硬度と現像性の点で有利である。
【0045】
また、前記樹脂は、耐メッキ性の点で、エポキシ樹脂とビスフェノールとの重合反応で製造されることが好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、4.4―ビフェノールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記重合反応としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル化反応、ポリアセタール化反応、ポリアミド化反応、アクリル等のラジカル重合などが挙げられる。
【0046】
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、アシルホスフィンオキシド化合物(ビスアシルホスフィンオキシド、モノアシルホスフィンオキシド、など)又はそのエステル化合物、オキシム誘導体化合物、有機過酸化物、チオ化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記感光性組成物中における前記光重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光性組成物100質量部に対し、0.5質量部〜20質量部が好ましく、2質量部〜15質量部がより好ましい。前記含有量が、0.5質量部以上であれば、露光部が現像中に溶出するのを防止することができ、20質量部以下であれば、耐熱性が低下するのを防止することができる。
【0048】
<硬化剤>
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それ自体が熱、紫外線等で硬化する化合物、又は本発明の感光性組成物中の樹脂成分であるビニル基含有樹脂の官能基と熱、紫外線、などで硬化する化合物が好ましい。前記硬化剤を用いることで、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等を向上させることができる。
【0049】
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化剤が、アミン化合物、多官能フェノール化合物、イミダゾール化合物、メルカプタン化合物、酸無水物化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、又は、オキサゾリン化合物、などが挙げられる。下記に硬化剤の具体例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
前記アミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチル、ピベラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミン、m−キシレンジアミン、o−キシリレンジアミン、ジシアンジアミド、アミンブラック粘稠液、ショーアミンブラック、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、などが挙げられる。
前記多官能フェノール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ノボラック樹脂のハロゲン化物、ノボラック樹脂のアルキル基置換体、などが挙げられる。
前記イミダゾール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、などが挙げられる。
前記メルカプタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピリミジンチオール化合物、トリアジンチオール化合物、メルカプト基を有するイミダゾール化合物、ポリメルカプタン、カレンズMT(昭和電工株式会社製)、などが挙げられる。
前記酸無水物化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水水添フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチル−エント−メチレンテトラヒドロフタル酸、などが挙げられる。
前記エポキシ化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールΑ型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールΑ型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールΑ型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、などが挙げられる。
前記メラミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチル等でエーテル化した化合物)、などが挙げられる。
前記オキサゾリン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンビスオキサゾリン、などが挙げられる。
【0050】
前記感光性組成物中における前記硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記感光性組成物100質量部に対し、2質量部〜50質量部が好ましく、5質量部〜40質量部がより好ましい。前記含有量が、2質量部以上であれば、最終硬化塗膜の耐熱性が低くなるのを防止することができ、50質量部以下であれば、現像性が低下するのを防止することができる。一方、前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、耐熱性と冷熱衝撃性の点で有利である。
【0051】
<希釈剤>
前記希釈剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤、光重合性化合物、などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル化合物;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素化合物;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;などが挙げられる。
【0052】
また、光重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート化合物;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート化合物;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート化合物;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール化合物のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート化合物;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート化合物;メラミン(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
【0053】
前記感光性組成物中における前記希釈剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光性組成物100質量部に対し、5質量部〜80質量部が好ましく、10質量部〜70質量部がより好ましい。前記含有量が、5質量部以上であれば、光感度が低く露光部が現像中に溶出するのを防止することができ、80質量部以下であれば、耐熱性が低下するのを防止することができる。
【0054】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料又は染料)、などが挙げられ、更に、基材表面への密着促進剤、光重合開始助剤、その他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記フィラーについては、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0098〕〜〔0099〕に詳細に記載されている。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に詳細に記載されている。
前記着色剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されている。
前記光重合開始助剤については、例えば特開平11−240930号公報の段落〔0041〕に詳細に記載されている。
【0055】
(感光性フィルム)
前記感光性フィルムは、少なくとも、支持体と、該支持体上に本発明の感光性組成物からなる感光層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0056】
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
【0057】
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0058】
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜150μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、8μm〜50μmが特に好ましい。
【0059】
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10m〜20,000mの長さのものが挙げられる。
【0060】
−感光層−
前記感光層は、感光性組成物からなる層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記感光層の積層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0061】
前記感光層の形成方法としては、前記支持体の上に、本発明の前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
【0062】
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、メトキシプロピルアセテート等のエステル化合物;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0063】
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、前記支持体に直接塗布する方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0064】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
【0065】
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護フィルム、熱可塑性樹脂層、バリア層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層等の層が挙げられる。前記感光性フィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
【0066】
<<保護フィルム>>
前記感光性フィルムは、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが特に好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、8μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、などが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、層間接着力を調整することができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理、などが挙げられる。
【0067】
前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3以上であれば、滑り過ぎによって、ロール状にした場合に巻ズレが発生することを防止でき、1.4以下であれば、良好なロール状に巻くことができる。
【0068】
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いることが好ましい。
【0069】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30℃〜150℃で1分間〜30分間乾燥することにより形成することができる。前記乾燥の際の温度は、50℃〜120℃が特に好ましい。
【0070】
(感光性積層体)
前記感光性積層体は、少なくとも基体と、前記基体上に設けられた感光層と有してなり、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
前記感光層は、上述の製造方法で作製された前記感光性フィルムから転写されたものであり、上述と同様の構成を有する。
【0071】
<基体>
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は前記感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
【0072】
<感光性積層体の製造方法>
前記感光性積層体の製造方法として、前記感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
【0073】
感光性積層体の製造方法は、前記基体の表面に前記感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15℃〜180℃が好ましく、60℃〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1MPa〜1.0MPaが好ましく、0.2MPa〜0.8MPaがより好ましい。
【0074】
前記加熱の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネータ(例えば、大成ラミネータ株式会社製、VP−II、ニチゴーモートン株式会社製、VP130)などが好適に挙げられる。
【0075】
前記感光性フィルム及び前記感光性積層体は、膜厚が均一でピンホールやハジキ等の面状欠陥の発生割合が極端に低いため、絶縁信頼性に優れ、高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなど)を効率よく形成可能である。したがって、電子材料分野における高精細な永久パターンの形成用として広く用いることができ、特に、プリント基板の永久パターン形成用に好適に用いることができる。
【0076】
(永久パターン形成方法)
前記永久パターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した現像工程等のその他の工程を含む。
【0077】
<露光工程>
前記露光工程は、前記感光性積層体における感光層に対し、露光を行う工程である。前記感光性積層体については上述の通りである。
【0078】
前記露光の対象としては、前記感光性積層体における感光層である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述のように、基材上に感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層して形成した積層体に対して行われることが好ましい。
【0079】
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられる。
【0080】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
【0081】
<<現像工程>>
前記現像としては、前記感光層の未露光部分を除去することにより行われる。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
【0082】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0083】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHは、例えば、8〜12が好ましく、9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1質量%〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度は、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、25℃〜40℃が好ましい。
【0084】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0085】
<<硬化処理工程>>
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0086】
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記永久パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0087】
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記永久パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜200℃がより好ましい。前記加熱温度が、120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
前記全面加熱における加熱時間は、10分間〜120分間が好ましく、15分間〜60分間がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0088】
前記永久パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する永久パターン形成方法である場合には、プリント配線板上に前記永久パターン形成方法により、永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント配線板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜又は絶縁膜(層間絶縁膜)、ソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
【0089】
(プリント基板)
前記プリント基板は、少なくとも基体と、前記永久パターン形成方法により形成された永久パターンとを有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の構成を有する。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材と前記永久パターン間に、更に絶縁層が設けられたビルドアップ基板などが挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0091】
(合成例1)
−ビニル基含有樹脂A1の合成−
まず、コンデンサーに撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコ内に、デナコールEX−850L(ナガセケムテックス株式会社製)29質量部と、ビスフェノールF40質量部と、テトラエチルアンモニウムクロリド0.08質量部とを投入し、200℃で8時間撹拌した。反応後、メチルエチルケトンを500質量部加えた後、水洗を3回行い、塩を除去した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、エポキシ樹脂69質量部を得た。
得られたフェノキシ樹脂69質量部をエピクロロヒドリン300質量部に溶解させた後、テトラメチルアンモニウムクロライド1.1質量部を添加し、60℃にて、NaOH12.5質量部を90分かけて添加し、40℃で、時間反応を行った後、水洗2回を行い、油槽分離後、加熱減圧下でエピクロロヒドリンを留去して、エポキシ当量299g/eqのエポキシ樹脂70質量部を得た。
得られたエポキシ樹脂29.9質量部にアクリル酸7.2質量部、ハイドロキノン0.05質量部、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート30質量部を仕込み、90℃に加熱、撹拌して反応混合物を溶解した。次に60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム0.2質量部を仕込み、100℃に加熱して、酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。次に、テトラヒドロ無水フタル酸8.7質量部とプロピレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート8.5質量部を仕込み、80℃に加熱し、約6時間反応し冷却し、固形分濃度が45質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルモノアセテートで希釈して、ビニル基含有樹脂A1溶液を得た。
得られたビニル基含有樹脂A1溶液の固形分酸価をJIS K0070に準拠して測定したところ、酸価70mgKOH/gであった。また、GPC(商品名:HLC−802A、東洋曹達株式会社製)による測定にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で3,400であった。また、架橋基密度をJIS K2605に準拠して測定したところ、1.61mmol/gであった。
なお、ビニル基含有樹脂A1は、下記構造式(1)により表されることを、下記の同定方法により同定した。
【化19】

前記構造式(1)において、Yは、水素原子、又は下記構造式(2)を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、現像性の観点から、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数が更に好ましい。
【化20】

ただし、前記構造式(2)における「*」は酸素原子との連結を示し、前記構造式(1)においてエステル結合での連結を持つこと示す。
【0092】
なお、樹脂の化学構造の同定は、以下の同定方法により行うことができる。
<NMRの測定>
試料を5mg程度とり、重DMSO0.5mLに溶解し、得られた溶液を、専用のチューブに移した後、VARIAN株式会社製 FT型 NMR GEMINI−300型にて測定を行うことができる。
【0093】
<IRの測定>
試料を1mg程度とり、KBr10mgを加え、乳鉢で磨り潰し、得られた固体を専用のディスクに入れ、株式会社島津製作製FTIR−8300で測定を行うことができる。
【0094】
<同定結果>
前記構造式(1)及び(2)の同定結果を示す。その他の構造についても同様の方法で、構造決定を行うことができた。
NMRの測定結果を図2に示し、IRの測定結果を図3に示す。
【0095】
(合成例2)
−ビニル基含有樹脂A2の合成−
まず、コンデンサーに撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、デナコールEX−216L(ナガセケムテックス株式会社製)36質量部と、ビスフェノールF50質量部と、テトラエチルアンモニウムクロリド0.08質量部とを投入し、200℃で8時間撹拌した。反応後、メチルエチルケトンを500質量部加えた後、水洗を3回行い、塩を除去した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、フェノキシ樹脂86質量部を得た。
得られたフェノキシ樹脂86質量部をコンデンサーと撹拌機を備えた500mL丸底フラスコに投入し、炭酸エチレン24質量部とテトラエチルアンモニウムアイオダイド3質量部を添加し、165℃にて、8時間加熱した。反応後、メチルエチルケトンを200質量部加えた後、水洗を3回行い、塩を除去した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、水酸基を有するフェノキシ樹脂80質量部を得た。
得られたフェノキシ樹脂25質量部を、コンデンサーと撹拌機を備えた100mL丸底フラスコに投入し、更に、プロピレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート71質量部、トリメリット酸無水物16質量部、トリフェニルホスフィン0.3質量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.4質量部を前記100mL丸底フラスコに投入し、100℃にて3時間撹拌した。反応後、サイクロマーA400(ダイセル化学株式会社製)17質量部を加え、120℃で4時間加熱し、ビニル基含有樹脂A2溶液(固形分濃度が45質量%)を得た。
得られたビニル基含有樹脂A2溶液の固形分酸価をJIS K0070に準拠して測定したところ、酸価70mgKOH/gであった。また、GPC(商品名:HLC−802A、東洋曹達株式会社製)による測定にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で4,000であった。また、架橋基密度をJIS K2605に準拠して測定したところ、1.61mmol/gであった。
なお、ビニル基含有樹脂A2は、下記構造式(3)により表されることを、合成例1と同様の方法により同定した。
【化21】

前記構造式(3)において、Rは、下記構造式(4)を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、現像性の観点から、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数が更に好ましい。
【化22】

なお、前記構造式(4)における「*」は酸素原子との連結を示し、前記構造式(3)においてエステル結合での連結を持つこと示す。
【0096】
(合成例3)
−ビニル基含有樹脂A3の合成−
コンデンサーに撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコ内に、YX4000(ジャパンエポキシレジン株式会社製)47質量部と、ビスフェノールF 50質量部と、テトラエチルアンモニウムクロリド0.08質量部とを投入し、200℃で8時間撹拌した。反応後、メチルエチルケトンを500質量部加えた後、水洗を3回行い、塩を除去した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、フェノキシ樹脂97質量部を得た。
得られたフェノキシ樹脂97質量部をコンデンサーと撹拌機を備えた500mL丸底フラスコに投入し、炭酸エチレン24質量部とテトラエチルアンモニウムアイオダイド3質量部を添加し、165℃にて、8時間加熱した。反応後、メチルエチルケトンを200質量部加えた後、水洗を3回行い、塩を除去した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、末端に脂肪族水酸基を有するフェノキシ樹脂80質量部を得た。
【0097】
得られたフェノキシ樹脂25質量部を、コンデンサーと撹拌機を備えた100mL丸底フラスコに投入し、更に、プロピレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート71質量部、トリメリット酸無水物16質量部、トリフェニルホスフィン0.3質量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.4質量部を前記100mL丸底フラスコに投入し、100℃にて3時間撹拌した。反応後、サイクロマーA400(ダイセル化学株式会社製)17質量部を加え、120℃で4時間加熱し、ビニル基含有樹脂A3溶液(固形分濃度が45質量%)を得た。
得られたビニル基含有樹脂A3溶液の固形分酸価をJIS K0070に準拠して測定したところ、酸価70mgKOH/gであった。また、GPC(商品名:HLC−802A、東洋曹達株式会社製)による測定にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で4,000であった。また、架橋基密度をJIS K2605に準拠して測定したところ、1.61mmol/gであった。
なお、ビニル基含有樹脂A3は、下記構造式(5)により表されることを、合成例1と同様の同定方法により同定した。
【化23】

前記構造式(5)において、Rは、上記構造式(4)を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、現像性の観点から、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数が更に好ましい。
【0098】
以下、表1に表した化合物を用い、合成例1と同様にして、ビニル基含有樹脂A5〜A12溶液(固形分濃度が45質量%)を合成した。また、得られたビニル基含有樹脂A5〜A12について、GPCによる重量平均分子量の測定結果、滴定による酸価、及び架橋基当量の測定結果を表1に示した。
【0099】
【表1】

【0100】
以下、下記表2で表した化合物を用い、合成例2及び3と同様にして、ビニル基含有樹脂A13〜A23溶液(固形分濃度が45質量%)を合成した。また、得られたビニル基含有樹脂A13〜A23について、GPCによる重量平均分子量の測定結果、滴定による酸価、及び架橋基当量の測定結果を表2に示した。
【表2】

【0101】
(実施例1)
−デジタル露光用感光性組成物溶液の組成−
・合成例1のビニル基含有樹脂A1の溶液(固形分45質量%)・・・37.2質量部
・重合性化合物(A−DPH、新中村化学工業株式会社製)・・・11.15質量部
・熱架橋剤(エポトートYDF−170、東都化成株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)・・・2.0質量部
・下記構造式C−1で表される光重合開始剤・・・1.0質量部
【0102】
【化24】

・顔料分散液(以下、「G−1」という)・・・36.1質量部
・メガファックF−780F(大日本インキ化学工業株式会社製)の30質量%メチルエチルケトン溶液・・・0.13質量部
・メチルエチルケトン(溶媒)・・・12.0質量部
なお、前記顔料分散液(G−1)は、シリカ(アドマテックス株式会社製、SO−C2)30質量部と、合成例1の光重合性基含有ポリウレタン樹脂U1の溶液48.2質量部と、フタロシアニンブルー0.51質量部と、アントラキノン系黄色顔料(C.I.PY24)0.14質量部と、酢酸ノルマルプロピル59.0質量部とを予め混合した後、モーターミルM−250(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製した。
【0103】
−アナログ露光用感光性組成物溶液の組成−
・合成例1のビニル基含有樹脂A1の溶液(固形分45質量%)・・・32.3質量部
・着色顔料:HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製)・・・0.021質量部
・着色顔料:Pariotol Yellow D0960(BASF社製)・・・0.006質量部
・分散剤:ソルスパース24000GR(ループリゾール社製)・・・0.22質量部
・重合性化合物:DCP−A(共栄社化学株式会社製)・・・5.3質量部
・開始剤:IRG907(チバスペシャリティケミカル株式会社製)・・・0.6質量部
・増感剤:DETX−S(日本化薬株式会社製)・・・0.005質量部
・反応助剤:EAB−F(保土ヶ谷化学化株式会社製)・・・0.019質量部
・硬化剤:メラミン(和光純薬工業株式会社製)・・・0.16質量部
・熱架橋剤:エポトートYDF−170(東都化成株式会社製)・・・2.9質量部
・フィラー:SO−C2(アドマテックス社製)・・・16.0質量部
・イオントラップ剤:IXE−6107(東亞合成株式会社製)・・・0.82質量部
・塗布助剤:メガファックF−780F(大日本インキ化学工業株式会社製、30質量%メチルエチルケトン溶液)・・・0.2質量部
・エラストマー:エスぺル1612(日立化成工業株式会社製)・・・2.7質量部
・シクロヘキサノン(溶媒)・・・38.7質量部
【0104】
−感光性フィルムの製造−
支持体としての厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、16FB50)上に、上記の組成を有する感光性組成物溶液を塗布し、乾燥させて、前記支持体上に厚さ30μmの感光層を形成した。前記感光層上に、保護層として、厚さ20μmのポリプロピレンフィルム(王子特殊紙株式会社製、アルファンE−200)を積層し、感光性フィルムを製造した。
【0105】
−基体への積層−
前記基体として、銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネータ(ニチゴーモートン株式会社製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された積層体を調製した。
圧着条件は、真空引きの時間40秒、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
【0106】
得られた積層体について、以下のようにして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0107】
<デジタル露光感度>
前記積層体を、室温(23℃)で55%RHにて10分間静置した。得られた前記積層体の感光層表面に、INPREX IP−3000(富士フイルム株式会社製、ピクセルピッチ=1.0μm)を用いて、L/S(ライン/スペース)=50μm/50μmのパターンデータを0.5mJ/cmから21/2倍間隔で500mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、L/S(ライン/スペース)=50μm/50μmのラインパターンを硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて最短現像時間の2倍〜3倍の時間(又は40秒〜60秒)スプレー現像し、未硬化の領域を溶解除去した。このようにして得られたL=50μmのパターンの線幅を、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製;対物レンズ50倍)を用いて測定し、線幅が50μmとなる露光量を感度(最適露光量)とし、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎ :30mjよりも高感度であり、感度が非常に優れる
○ :39mj〜30mjの感度であり、感度が優れる
△ :50mj〜40mjの感度であり、感度がやや劣る
× :50mjよりも低感度であり、感度が劣る
【0108】
<アナログ露光感度>
前記積層体を、室温(23℃)で55%RHにて10分間静置した。得られた前記積層体の感光層表面に、前記調製した積層体における感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、回路基板用露光機EXM−1172(オーク製作所製)を用いて、L/S(ライン/スペース)=50μm/50μmのパターンを0.5mJ/cmから21/2倍間隔で50mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、L/S(ライン/スペース)=50μm/50μmのラインパターンを硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて最短現像時間の2倍〜3倍の時間(又は40秒〜60秒)スプレー現像し、未硬化の領域を溶解除去した。このようにして得られたL=50μmのパターンの線幅を、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製;対物レンズ50倍)を用いて測定し、線幅が50μmとなる露光量を感度(最適露光量)とし、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎ :30mjよりも高感度であり、感度が非常に優れる
○ :39mj〜30mjの感度であり、感度が優れる
△ :50mj〜40mjの感度であり、感度がやや劣る
× :50mjよりも低感度であり、感度が劣る
【0109】
<冷熱衝撃性>
信頼性試験項目として、温度サイクル試験(TCT)によりクラックや剥れ等の外観と抵抗値変化率を評価した。TCTは気相冷熱試験機を用い、電子部品モジュールを温度が−55℃及び125℃の気相中に各30分間放置し、これを1サイクルとして1,000サイクル及び1,500サイクルの条件で行い、以下の基準で冷熱衝撃性を評価した。
〔評価基準〕
○:クラック発生無し
△:浅いクラック発生有り
×:深いクラック発生有り
【0110】
<折り曲げ耐性>
折り曲げ耐性は、18μmの厚みの銅箔をポリイミド基材(厚み25μm)に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(新日鉄化学株式会社製、商品名「エスパネックスMB」シリーズ)にドライフィルムレジストをラミネートし、200mJで露光した後、0.
15MPa/90sの条件で現像することにより、L/S=100/100μmのラインパターンを作製した。
そこで得られた銅箔ラインパターン付きポリイミドに作製した感光性組成物溶液による層を銅箔ラインパターン側にラミネートし、1,000mJで露光することにより評価用積層体を得た。
得られた評価用積層体のラインパターン側を外側にして、180°折り曲げ、折り曲げた部分に100g、200gのおもりを載せ、下記基準で耐折性を評価した。
〔評価基準〕
○ :200gに耐えられるもの
△ :100gに耐えられ、200gに耐えられないもの
× :100gに耐えられないもの
【0111】
<耐メッキ性>
前記基体として、銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施したものを使用した以外は、前記積層体と同様にして作製された積層体の感光層表面に、回路基板用露光機EXM−1172(オーク製作所製)を用いて、最適露光量にて30μm〜1,000μmまでの独立配線パターンを形成し、室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2〜3倍の時間(又は40秒〜60秒)スプレー現像し、未硬化の領域を溶解除去した。その後、超高圧水銀灯により200mJ/cmで全面露光を行い、更に150℃で1時間加熱処理(ポストベーク)をしてソルダーレジストパターン(永久パターン)を形成した。
〔評価基準〕
◎:まったくはがれなし
○:線幅50μm以上の画像でははがれなし
△:線幅500μm以上の画像でははがれなし
×:線幅500μm以上の画像でも剥がれあり
【0112】
<解像性>
前記積層体を室温(23℃)で55%RHにて10分間静置した。得られた感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、丸穴パターンを用い、丸穴の直径の幅50〜200μmの丸穴が形成できるよう露光を行った。
この際の露光量は、前記感度の評価における前記感光性フィルムの感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
このようにして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、パターンの丸穴底部に残渣が無いこと、パターン部の捲くれ・剥がれなどの異常が無く、かつスペース形成可能な最小の丸穴パターン幅を測定し、これを解像度とし、下記基準で評価した。該解像度は数値が小さいほど良好である。
〔評価基準〕
○:直径90μm以下の丸穴が解像可能で、解像性に優れている
○△:直径120μm以下の丸穴が解像可能で、解像性良好である
△:直径200μm以下の丸穴が解像可能で、解像性がやや劣る
×:丸穴が解像不可で、解像性が劣る
【0113】
<永久パターン形状>
前記耐メッキ性の評価において作製した永久パターン形状において、永久パターン形状を断面観察するために永久パターン形成後の感光性積層体を切断し、図1に示す永久パターン10の切断面から支持体1側の面2と永久パターンの側面3とのなす角θを走査型電子顕微鏡(S−4100、日立製作所製)を用いて断面観察を行った。
〔評価基準〕
○:なす角θが90°より小さい
△:なす角θが90°以上110°以下
×:なす角θが110°より大
【0114】
<現像性(最短現像時間)>
前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とし、下記基準で評価した。この最短現像時間が短い程、現像性に優れる。
〔評価基準〕
◎:現像時間が25秒以下であり、現像性が特に良好である
○:現像時間が35秒以下であり、現像性が良好である
△:現像時間が45秒以下であり、現像性がやや劣る
×:現像時間が45秒を超え、現像性が劣る
【0115】
(実施例2)
実施例1において、合成例1で合成したビニル基含有樹脂A1溶液を、合成例2で合成したビニル基含有樹脂A2溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性フィルム、積層体、及び永久パターンを製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様にして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0116】
(実施例3)
実施例1において、合成例1で合成したビニル基含有樹脂A1溶液を、合成例3で合成したビニル基含有樹脂A3溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性フィルム、積層体、及び永久パターンを製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様にして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0117】
(比較例1)
実施例1において、合成例1で合成したビニル基含有樹脂A1溶液を、下記樹脂溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性フィルム、積層体、及び永久パターンを製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様にして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0118】
前記樹脂は、下記構造式(11)により表されることを合成例1と同様の同定方法により同定した。
【化25】

ただし、前記構造式(11)において、Yは、水素原子、又は下記構造式(2)を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、現像性の観点から、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数が更に好ましい。
【化26】

ただし、前記構造式(2)における「*」は酸素原子との連結を示し、構造式(11)においてエステル結合での連結を持つこと示す。
【0119】
上記構造式(11)で表される樹脂溶液の固形分酸価をJIS K0070に準拠して測定したところ、酸価が76mgKOH/gであった。また、GPC(商品名:HLC−802A、東洋曹達株式会社製)による測定にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で3,000であった。また、架橋基密度をJIS K2605に準拠して測定したところ、1.51mol/gであった。
【0120】
(比較例2)
実施例1において、合成例1で合成したビニル基含有樹脂A1溶液を、下記ビニル基含有樹脂A4溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性フィルム、積層体、及び永久パターンを製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様にして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0121】
前記ビニル基含有樹脂A4溶液は、下記構造式(12)により表されることを合成例1と同様の同定方法により同定した。
【化27】

前記構造式(12)において、Yは、水素原子、又は下記構造式(2)を表す。nは、1以上の任意の整数を表し、現像性の観点から、nは1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数が更に好ましい。
【化28】

ただし、前記構造式(2)における「*」は酸素原子との連結を示し、構造式(12)においてエステル結合での連結を持つこと示す。
【0122】
ビニル基含有樹脂A4溶液の固形分酸価をJIS K0070に準拠して測定したところ、酸価105mgKOH/gであった。また、GPC(商品名:HLC−802A、東洋曹達株式会社製)による測定にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で13,000であった。また、架橋基密度をJIS K2605に準拠して測定したところ、1.54mmol/gであった。
【0123】
【表3−1】

【表3−2】

【0124】
(実施例4〜22)
実施例1において、合成例1で合成したビニル基含有樹脂A1溶液を、表4に示すように、上記表1及び表2に示す合成したビニル基含有樹脂A5〜A23溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性フィルム、積層体、及び永久パターンを製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様にして、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0125】
【表4−1】

【表4−2】

【0126】
表3及び表4の結果より、実施例1〜22は、比較例1〜2に比べて、アナログ露光感度、デジタル露光感度、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の感光性組成物は、アナログ露光感度及びデジタル露光感度が高く、冷熱衝撃性、折り曲げ耐性、耐メッキ性、解像性、永久パターン形状、及び現像性に優れているので、ソルダーレジストに好適に用いることができる。
前記感光性フィルムは、耐熱性及び保存安定性が向上し、高精細な永久パターンを効率よく形成可能であるため、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン等の各種パターン形成、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、TCP(テープキャリアパッケージ)等の半導体パッケージ形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などの液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造等に好適に用いることができ、特にプリント基板の永久パターン形成用、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、TCP(テープキャリアパッケージ)等の半導体パッケージの形成に好適に用いることができる。
前記パターン形成方法は、前記感光性組成物を用いるため、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、TCP(テープキャリアパッケージ)等の半導体パッケージ形成用、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン等の各種パターン形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造等に好適に用いることができ、特にプリント基板の永久パターン形成、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、TCP(テープキャリアパッケージ)等の半導体パッケージの形成に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 支持体
2 支持体側の面
3 永久パターンの側面
10 永久パターン
θ なす角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、光重合開始剤と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、
前記樹脂が、芳香族基を含む芳香族基含有成分A1と、ビニル基を含むビニル基含有成分A2と、ヘテロ原子Xとを含む下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記ビニル基含有成分A2が、部分構造として、脂肪族環状、芳香族、及び繰り返し単位を有する脂肪族鎖状のいずれかを含むことを特徴とする感光性組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、nは、1以上の任意の整数を表す。
【請求項2】
芳香族基含有成分A1が、下記一般式(2)で表される請求項1に記載の感光性組成物。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Lは、直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、−S−、−CO−、又は−O−を示す。R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、一価の有機基、ハロゲン原子、−OR、―N(R)(R)、又は−SRを表し、R、R、R、及びRは、水素原子、又は一価の有機基を表す。
【請求項3】
樹脂が、エポキシ樹脂とビスフェノールの重合反応で合成される請求項1から2のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項4】
光重合開始剤が、アシルホスフィンオキシド化合物又はそのエステル化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム誘導体化合物、有機過酸化物、及びチオ化合物から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項5】
硬化剤が、アミン化合物、多官能フェノール化合物、イミダゾール化合物、メルカプタン化合物、酸無水物化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びオキサゾリン化合物から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項6】
希釈剤を更に含有する請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項7】
希釈剤が、有機溶剤及び光重合性化合物の少なくともいずれかである請求項6に記載の感光性組成物。
【請求項8】
有機溶剤が、ケトン化合物、芳香族炭化水素化合物、グリコールエーテル化合物、エステル化合物、脂肪族炭化水素化合物、及び石油系溶剤から選択される少なくとも1種である請求項7に記載の感光性組成物。
【請求項9】
光重合性化合物が、(メタ)アクリレート化合物である請求項7から8のいずれかに記載の感光性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−227460(P2011−227460A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32188(P2011−32188)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】