説明

感圧式接着剤用樹脂組成物及びそれを用いてなる感圧式接着剤

【課題】本発明は、液晶セル用ガラス部材等の光学部材に貼着するための光学用感圧式接着フィルムであって、液晶セル用ガラス部材からの再剥離性や被着体汚染性に優れ、貼着後の耐久性(耐熱性、耐湿熱性)に優れる光学用感圧式接着フィルムを形成し得る新規な感圧式接着剤用樹脂組成物、及び感圧式接着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性してなることを特徴とする、感圧式接着剤用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な感圧式接着剤用樹脂組成物と、それを含む感圧式接着剤と、当該感圧式接着剤を用いてなる、光学用途に好適に用いられる光学用感圧式接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用される。
【0003】
このような表示装置には、通常、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)など、用途に応じて様々なフィルムが使用されており、例えば、LCDを構成する液晶セル用部材においては、偏光フィルムや位相差フィルムが積層されている。
また、FPDは、表示装置として利用するだけではなく、その表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。タッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
このようなフィルムは、感圧式接着剤を介して被着体に貼着して表示装置に使用されている。表示装置に用いられる感圧式接着剤は、まず透明性に優れることが要求されるので、プロペン酸系樹脂を主剤とする感圧式接着剤が一般に使用されている。
【0004】
ところで、前記した種々のフィルムのうち、偏光フィルムは、ポリヒドロキシエテン系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系やシクロオレフィン系の保護フィルムで挟んだ3層構造が一般的である。このため、偏光フィルムでは、各層を構成する材料の寸法変化特性が異なるため、温度や湿度の変化に伴う寸法変化によるソリが生じやすい。
【0005】
一方、例えばLCD製造工程での、液晶セル用のガラス面に偏光フィルムを貼り付けた積層体の検品工程においては、積層時のエアーや粉塵の巻き込み等があるものについて、偏光フィルム等を剥がして新しい偏光フィルム等が貼り直される。この貼り直しを「リワーク」ともいう。
しかし、貼着後の積層体は、一般に、接着性向上のために高温下で一定時間保管した後に検査されるので、その間に剥離強度が高くなって偏光フィルムを剥ぎ取り難くなるばかりでなく、偏光フィルムの再剥離性が低下して剥がした後、ガラス面に糊残りや曇り等の汚染が生じる場合があった。
【0006】
また、高温下または高温高湿条件下では、偏光フィルム中のポリヒドロキシエテン系フィルムは寸法変化が大きいため、例えば偏光フィルム/接着層/ガラスからなる積層体が、高温下または高温高湿条件下に置かれ、偏光フィルムの寸法が変化すると、接着層とガラスとの界面に気泡が生じたり(発泡現象)、偏光フィルムがガラスから浮き上がり、剥がれたりする場合がある(浮き・剥がれ現象)。
そこで感圧式接着剤の分子量や感圧式接着剤の架橋度を調整し、接着力を高くすることによって、偏光フィルムの寸法変化に抗して、過酷な環境下でも発泡、浮き、剥がれが生じないようにする試みがなされた。
【0007】
しかし、単に接着力を高くすることによって、偏光フィルムの寸法変化に抗しようとすると、高温下または高温高湿条件下で生じる偏光フィルムの寸法変化に起因する応力分布が不均一となり、応力が偏光フィルムの四隅や周端部に集中してしまう。その結果、偏光フィルムが用いられる表示装置において、表示装置の周端部から光が漏れる、いわゆる白抜けが発生するという問題が生じた。
【0008】
上述のように、液晶セル用のガラス部材に偏光フィルムを積層するための感圧式接着剤には、良好な光学特性(透明性)、耐熱性及び耐湿熱性、良好な応力緩和性、再剥離性等が求められる。また、位相差フィルムや各種ディスプレイのカバーフィルムを積層するための感圧式接着剤についても同様の性能が求められる。
【0009】
これに対して様々な感圧式接着剤が提案されてきた。
例えば、感圧式接着光学フィルム用の感圧式接着剤として、プロペン酸系樹脂に可塑剤などの低分子量体を添加することで、感圧式接着剤層を適度に軟らかくして応力緩和性を付与するプロペン酸系感圧式接着剤が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0010】
また、例えば、分子量の異なるプロペン酸系樹脂をブレンドし、更に架橋剤とを含有するプロペン酸系感圧式接着剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、例えば、プロペン酸系樹脂と架橋剤とを含有する感圧式接着剤の他に、プロペン酸系樹脂にポリウレタン系樹脂を併用してなるものが知られている(特許文献3参照)。
【0012】
しかし、これら特許文献1〜3に記載される感圧式接着剤を用いてなる光学用感圧式接着フィルムは、被着体に貼着後、高温下または高温高湿条件下に長期間曝されると、光学フィルムの周辺端部に、低分子量のプロペン酸系樹脂からなる極めて小さい気泡がスジ状に連なった状態で発生してしまう。スジ状に連なった極めて小さい気泡が一種のヒビのように見えることから、この現象は「クラック」と呼ばれる。
また、電子顕微鏡でなければ確認できない10μm以下の気泡が、中央部に1m2あたり10個程度発生してしまう。
さらに、19インチ以上の表示装置では、見やすさの観点から光源の輝度を高く設定しなければならない。特許文献1に記載される感圧式接着剤を用いてなる感圧式接着光学フィルムは、19インチ未満の表示装置では白抜けは問題視されなかった。しかし、19インチ以上で使用される高輝度の光源を用いた表示装置では白抜けが目立ってしまうという問題も生じた。
【0013】
また、例えば、耐熱性を向上させるために、アミノ基及び/またはアミド基含有モノマーを共重合させることが開示されており(特許文献4参照)、また、複素環含有モノマーを共重合させることが開示されており(特許文献5参照)、得られた共重合体を利用することで高湿高温環境下でも浮きやハガレ等の外観欠点が生じない感圧式接着剤が開示されている。
【0014】
しかしながら、ここに開示されている感圧式接着剤は、80℃熱経時や60℃−相対湿度90%湿熱経時環境下では、浮きやハガレを生じさせないものの、より過酷な環境下、例えば、120℃熱経時や80℃−相対湿度90%湿熱経時の環境下では、その耐久性は充分なものではなく、クラックや発泡が生じ易いという問題もあった。
【0015】
以上のように種々の樹脂のブレンドを用いた従来のプロペン酸系感圧式接着剤から、「リワーク性」といわれる被着体からの再剥離性、被着体汚染、貼着後の高度な耐久性をバランスよく満足する、感圧式接着光学フィルムを得ることはできないだけでなく、いずれの感圧式接着剤も不揮発分が低いわりには溶液粘度が高く、塗加工性や価格面で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3272921号公報
【特許文献2】特開2001−049200号公報
【特許文献3】特許第3272921号公報
【特許文献4】特開平06−108025号公報
【特許文献5】特開2007−277510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、本発明は、耐熱性、耐湿熱性、透明性に優れ、さらに良好なリワーク性を有する感圧式接着フィルムに用いる感圧式接着剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、第1の発明は、活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性してなることを特徴とする、感圧式接着剤用樹脂組成物に関する。
【0019】
また、第2の発明は、活性水素基を有する樹脂(A)が、活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)を必須とする単量体成分を重合してなる樹脂であることを特徴とする、第1の発明の感圧式接着剤用樹脂組成物に関する。
【0020】
また、第3の発明は、活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基が、水酸基またはアミノ基であることを特徴とする、第1または第2の発明の感圧式接着剤用樹脂組成物に関する。
【0021】
また、第4の発明は、官能基(b)が、イソシアネート基であることを特徴とする、第1〜第3いずれかの発明の感圧式接着剤用樹脂組成物に関する。
【0022】
また、第5の発明は、第1〜第4いずれかの発明の感圧式接着剤用樹脂組成物と、該樹脂組成物と反応し得る反応性化合物(C)とを含む感圧式接着剤に関する。
【0023】
また、第6の発明は、フィルム状基材の少なくとも一方の面に、第5の発明の感圧式接着剤からなる感圧式接着剤層が設けられてなる光学用感圧式接着フィルムに関する。
【0024】
また、第7の発明は、光学部材の少なくとも一方の面に、第5の発明の感圧式接着剤からなる感圧式接着層が設けられてなる接着性光学部材に関する。
【0025】
また、第8の発明は、光学部材と、第5の発明の感圧式接着剤からなる接着剤層と、ガラスとが順次積層されてなる光学用ガラス積層体に関する。
【0026】
また、第9の発明は、活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性する工程を含むことを特徴とする、感圧式接着剤用樹脂組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の新規な感圧式接着剤用樹脂組成物を用いることにより、液晶セル用ガラス部材からの再剥離性や被着体汚染性に優れ、貼着後の耐久性(耐熱性、耐湿熱性)に優れる光学用感圧式接着フィルムを形成し得る感圧式接着剤を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。
本発明の感圧式接着剤は、活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性してなることを特徴とする感圧式接着剤用樹脂組成物と、該樹脂組成物と反応し得る反応性化合物(C)とを含むものである。
上記構造を持つ感圧式接着剤は、感圧式接着剤用樹脂組成物の側鎖にウレタン結合またはウレア結合が存在するため、ウレタン結合またはウレア結合に由来する多数の耐熱ユニットが重合体にペンダントされた状態を呈している。従って、例えば、該感圧式接着剤を偏光板の貼り合せに用いた場合、高湿高温環境下でも多数の耐熱ユニットが樹脂全体を網羅するため、浮き剥がれや発泡等の外観欠点が生じなくなると推測している。
【0029】
本発明に用いられる活性水素基を有する樹脂(A)は、活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)を必須とする単量体成分を重合してなる樹脂が好ましく用いられ、活性水素基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基などが好ましいが、後述の反応性化合物(C)と反応し得る官能基であれば、特に制限はない。その中でも後述の化合物(B)との反応により、ウレタン結合またはウレア結合を形成するために、水酸基とアミノ基の少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。
本発明に用いられる活性水素基を有する樹脂(A)を構成するエチレン性不飽和単量体として、プロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸誘導体、2−メチルプロペン酸誘導体、及び他のアルケニル基含有化合物等のうち、活性水素基を有する化合物を挙げることができる。
【0030】
活性水素基を有する樹脂(A)を得るために用いる単量体100重量%中、活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)を0.01〜50重量%含むことが好ましい。上記数値範囲外でも使用できるが透明性、耐熱性、耐湿熱性といった本発明の課題の解決が困難になる恐れがある。
【0031】
活性水素基を有する樹脂(A)は、バランスの良い接着特性(特に、タックと凝集力の両立)が得られるように、そのガラス転移温度(Tg)は−80〜10℃であることが好ましく、−60〜0℃がより好ましい。ガラス転移温度が−80℃より低い場合、感圧式接着フィルムとして用いたときに接着層の凝集力が低下し、浮き剥がれが生じやすくなる。一方、ガラス転移温度が10℃を超えると、十分なタックを有する接着層を得ること難しい。なお樹脂(A)の構成成分である各単量体から形成され得るホモポリマーのTgが既知であれば、各ホモポリマーのTgと各単量体の構成比とに基づいて、樹脂(A)のTgを理論的に求めることができる。
【0032】
また活性水素基を有する樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜2,000,000であることが好ましく、200,000〜1,500,000がより好ましい。Mwが2,000,000を越えると樹脂(A)の流動性が低下し、感圧式接着剤の塗工性が悪化する恐れがある。一方、Mwが50,000未満の場合は、接着層の凝集力が不足する恐れがある。
【0033】
活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)は、前述のように、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基を含有する単量体が挙げられる。
水酸基を含有する単量体としては、例えば、
(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシエチル〔プロペン酸2−ヒドロキシエチルと2−メチルプロペン酸2−ヒドロキシエチルとを併せて「(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシエチル」と表記する。以下同様。〕、(2−メチル)プロペン酸1−ヒドロキシプロピル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシプロピル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシブチル、(2−メチル)プロペン酸4−ヒドロキシブチル、(2−メチル)プロペン酸4−ヒドロキシフェニル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(2−メチル)プロペン酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロペノン酸メチル、(2−メチル)プロペン酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル等の水酸基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0034】
α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸メチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸エチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸プロピル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸イソプロピル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸ブチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸イソブチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸tert−ブチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸ペンチル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸ヘキシル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸2−エチルヘキシル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸フェニル、α−ヒドロキシメチル(2−メチル)プロペン酸ベンジル、α−(1−ヒドロキシエチル)(2−メチル)プロペン酸メチル、α−(1−ヒドロキシエチル)(2−メチル)プロペン酸エチル、α−(1−ヒドロキシエチル)(2−メチル)プロペン酸ブチル、α−(1−ヒドロキシエチル)(2−メチル)プロペン酸2−エチルヘキシル等のα−ヒドロキシアルキル(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0035】
2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシプロピルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等の水酸基含有のベンゾトリアゾール系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0036】
2−ヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシジフェニルメタノン、2−ヒドロキシ−4−{2−((2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}ブトキシジフェニルメタノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシジフェニルメタノン、2−ヒドロキシ−4−{2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシ}エトキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルメタノン等の水酸基含有のジフェニルメタノン系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0037】
2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−プ(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)] −S−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエトキシルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(2−メチル)プロパン−2−エノイルオキシエトキシ)]−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−2−メチルプロパ−2−エノイルオキシエチル−s−トリアジン等の水酸基含有のトリアジン系の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0038】
(2−メチル)プロペン酸のオキシラン付加物などの末端に水酸基を有するアルケンオキサイド含有の(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0039】
N−ヒドロキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド等の水酸基を有する脂肪族系アミド基含有エテニル系単量体類;
【0040】
N−p−ヒドロキシフェニルマレイミドなどの水酸基を有するマレイミド誘導体類などが挙げられる。
【0041】
これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。また、上記以外でも水酸基を含有していれば、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に含まれるが、特に1級水酸基を含有したエチレン性不飽和単量体が好ましい。
【0042】
カルボキシル基を含有する単量体としては、例えば、プロペン酸、2−メチルプロペン酸、プロペン酸2−カルボキシエチル、2−メチリデンブタン二酸、cis−ブテン二酸、trans−ブテン二酸、ペンタ−2−エン二酸、2−メチル(E)−2−ブテン二酸等の不飽和カルボン酸類;
【0043】
2,5−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−メチリデンテトラヒドロフラン−2,5−ジオン、3−メチル−2,5−ジヒドロフラン−2,5−ジオン等の不飽和カルボン酸無水物類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0044】
スルホニル基を含有する単量体としては、例えば、(2−メチル)プロペン酸スルホメチル〔プロペン酸スルホメチルと2−メチルプロペン酸スルホメチルとを併せて「(2−メチル)プロペン酸スルホメチル」と表記する。以下同様。〕、(2−メチル)プロペン酸2−スルホエチル、(2−メチル)プロペン酸2−スルホプロピル、(2−メチル)プロペン酸3−スルホプロピル、(2−メチル)プロペン酸2−スルホブチル、(2−メチル)プロペン酸4−スルホブチル、(2−メチル)プロペン酸2−スルホブチル、(2−メチル)プロペン酸6−スルホヘキシル、(2−メチル)プロペン酸スルホオクチル、(2−メチル)プロペン酸スルホデシル、(2−メチル)プロペン酸スルホラウリル、(2−メチル)プロペン酸スルホステアリル等のスルホニル基含有の(2−メチル)プロペン酸アルキルエステル類、(2−メチル)プロペン酸スルホフェノキシエチル、(2−メチル)プロペン酸スルホシクロヘキシル等のスルホニル基含有の(2−メチル)プロペン酸環状エステル類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0045】
ホスホニル基を含有する単量体としては、例えば、(2−メチル)プロペン酸アシッドホスホオキシエチル、(2−メチル)プロペン酸アシッドホスホオキシプロピル、(2−メチル)プロペン酸アシッドホスホオキシブチル、(2−メチル)プロペン酸−3−クロロ−2−アシッドホスホオキシエチル、2−メチル)プロペン酸−3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、2−メチル)プロペン酸−3−クロロ−2−アシッドホスホオキシブチル、(2−メチル)プロペン酸アシッドホスホオキシエテンオキサイド(エテンオキサイド付加モル数:4〜10)、(2−メチル)プロペン酸アシッドホスホオキシプロペンオキサイド(プロペンオキサイド付加モル数:4〜10)等の不飽和ホスホン酸類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0046】
アミノ基を含有する単量体としては、例えば、(2−メチル)プロペン酸N−メチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N−トリブチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N,N−ジメチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸N,N−ジエチルアミノエチル、(2−メチル)プロペン酸ペンタメチルピペリジニル、(2−メチル)プロペン酸テトラメチルピペリジニルなどのアミノ基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0047】
アミド基を含有する単量体としては、例えば、2−プロペンアミド、2−メチルプロパ−2−エノイルアミン、N,N−ジメチル−2−プロペンアミド、N,N−ジエチル−2−プロペンアミド、N−[3−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル]−2−プロペンアミド、N−イソプロピル−2−プロペンアミド、N−エテニルメタンアミド、N−エテニルアセトアミド、N−メトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシドデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシオクタデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(ペントキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(オキセタン−2−イルメトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(オキセタン−3−イルメトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド等の脂肪族系アミド基含有エテニル系単量体類;
2−プロペンアミド、2−メチルプロパ−2−エノイルアミン、N,N−ジメチル−2−プロペンアミド、N,N−ジエチル−2−プロペンアミド、N−[3−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル]−2−プロペンアミド、N−イソプロピル−2−プロペンアミド、N−エテニルメタンアミド、N−エテニルアセトアミド、N−メトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシドデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−メトキシオクタデシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−エトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソプロポキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐ブトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシメチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシプロピル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシブチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシヘキシル(2−メチル)2−プロペンアミド、N‐イソブトキシオクチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(ペントキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(オキセタン−2−イルメトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N−(オキセタン−3−イルメトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)(2−メチル)2−プロペンアミド等の脂肪族系アミド基含有エテニル系単量体類;
【0048】
4−プロペノイルモルホリン、N−エテニル−2−ピロリドン、N−エテニル−2−アゼハン−2−オンなどの環状アミド基含有エテニル系単量体類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0049】
マレイミド基を含有する単量体としては、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド誘導体類;
が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0050】
活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と共重合可能なその他の単量体としては、以下のものを例示することができる。
【0051】
エチレン性不飽和単量体のうち、プロペン酸誘導体あるいは2-メチルプロペン酸誘導体としては、
例えば、(2−メチル)プロペン酸メチル〔プロペン酸メチルと2−メチルプロペン酸メチルとを併せて「(2−メチル)プロペン酸メチル」と表記する。以下同様。〕、(2−メチル)プロペン酸エチル、(2−メチル)プロペン酸1−プロピル、(2−メチル)プロペン酸2−プロピル、(2−メチル)プロペン酸n−ブチル、(2−メチル)プロペン酸sec−ブチル、(2−メチル)プロペン酸iso−ブチル、(2−メチル)プロペン酸tert−ブチル、(2−メチル)プロペン酸n−アミル、(2−メチル)プロペン酸iso−アミル、(2−メチル)プロペン酸n−ヘキシル、(2−メチル)プロペン酸2−エチルヘキシル、(2−メチル)プロペン酸n−オクチル、(2−メチル)プロペン酸iso−オクチル、(2−メチル)プロペン酸n−ノニル、(2−メチル)プロペン酸iso−ノニル、(2−メチル)プロペン酸デシル、(2−メチル)プロペン酸ドデシル、(2−メチル)プロペン酸オクタデシル、(2−メチル)プロペン酸ラウリル、(2−メチル)プロペン酸ステアリルなどの(2−メチル)プロペン酸アルキルエステル類;
【0052】
(2−メチル)プロペン酸シクロヘキシル、(2−メチル)プロペン酸ベンジル、(2−メチル)プロペン酸iso−ボニル、(2−メチル)プロペン酸フェニル、(2−メチル)プロペン酸2−フェノキシエチル、(2−メチル)プロペン酸2−オキソ−1,2−フェニルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルなどの(2−メチル)プロペン酸環状エステル類;
【0053】
(2−メチル)プロペン酸2−プロペニル、(2−メチル)プロペン酸1−メチル−2−プロペニル、(2−メチル)プロペン酸2−メチル−2−プロペニル、(2−メチル)プロペン酸1−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸2−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸3−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸1,3−メチル−3−ブテニル、(2−メチル)プロペン酸2−クロル2−プロペニル、(2−メチル)プロペン酸3−クロル2−プロペニル、(2−メチル)プロペン酸−o−2−プロペニルフェニル、(2−メチル)プロペン酸2−(2−プロペニルオキシ)エチル、(2−メチル)プロペン酸2−プロペニルラクチル、(2−メチル)プロペン酸3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−イル、(2−メチル)プロペン酸(E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−イル、(2−メチル)プロペン酸ロジニル、(2−メチル)プロペン酸シンナミル、(2−メチル)プロペン酸エテニル等のさらに不飽和基を含有する(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0054】
(2−メチル)プロペン酸パーフルオロメチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロエチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロプロピル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロブチル、(2−メチル)プロペン酸パーフルオロオクチル、(2−メチル)プロペン酸トリフルオロメチルメチル、(2−メチル)プロペン酸2−トリフルオロメチルエチル、(2−メチル)プロペン酸ジパーフルオロメチルメチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロエチルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(2−メチル)プロペン酸トリパーフルオロメチルメチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロデシルエチル、(2−メチル)プロペン酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(2−メチル)プロペン酸パーフルオロアルキルエステル類;
【0055】
(2−メチル)プロペン酸グリシジル、(2−メチル)プロペン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(2−メチル)プロペン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、(2−メチル)プロペン酸テトラヒドロフルフリル等の酸素原子含有複素環含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0056】
3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリイソプロポキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(2−メチルプロパン−2−エノイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−(プロパン−2−エノイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0057】
(2−メチル)プロペン酸のオキシラン付加物などのアルケンオキサイド含有(2−メチル)プロペン酸誘導体類;
【0058】
2官能の単量体として、ジ(2−メチル)プロペン酸エテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸トリエテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸テトラエテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸ポリエテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸プロペンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸ジプロペンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸トリプロペンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸ポリプロペンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸ブテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸ペンテンオキサイド、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2−ジメチルプロピル、ジ(2−メチル)プロペン酸ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート(通称マンダ)、ジ(2−メチル)プロペン酸ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネート、ジ(2−メチル)プロペン酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,5−ヘキサンジオールジ、ジ(2−メチル)プロペン酸2,5−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,7−ヘプタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,8−オクタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−オクタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,9−ノナンジオールジ、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,10−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,12−ドデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−ドデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,14−テトラデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−テトラデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,16−ヘキサデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−ヘキサデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−メチル−2-プロピル−1,3−プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2,4−トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸ジメチロールオクタン、ジ(2−メチル)プロペン酸2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,5−ジメチル-2,5−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2-メチル−1,8−オクタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−ブチル−2-エチル−1,3-プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,5−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,5−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,7−ヘプタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,8−オクタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2-オクタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,9−ノナンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,10−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−デカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,12−ドデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−ドデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,14−テトラデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2−テトラデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,16−ヘキサデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,2-−ヘキサデカンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−メチル−2,4−ペンタン、ジ(2−メチル)プロペン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−メチル−2-プロピル−1,3−プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸ジメチロールオクタン、ジ(2−メチル)プロペン酸2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2−ブチル−2-エチル−1,3−プロパンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、ジ(2−メチル)プロペン酸トリシクロデカンジヒドロキシメチル、ジ(2−メチル)プロペン酸トリシクロデカンジヒドロキシメチルジカプロラクトネート、ジ(2−メチル)−2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンのテトラエテンオキサイド付加体、ジ(2−メチル)プロペン酸2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンのテトラエテンオキサイド付加体、ジ(2−メチル)プロペン酸−4,4’−スルフォニルジフェノールのテトラエテンオキサイド付加体、ジ(2−メチル)プロペン酸−水添加2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンのテトラエテンオキサイド付加体、ジ(2−メチル)プロペン酸−水添加2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンのテトラエテンオキサイド付加体、ジ(2−メチル)プロペン酸−水添加2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、ジ(2−メチル)プロペン酸−水添加2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、ジ(2−メチル)プロペン酸−2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンのテトラエチレンオキサイド付加体−ジカプロラクトネート、ジ(2−メチル)プロペン酸−2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンのテトラエテンオキサイド付加体−ジカプロラクトネート等(2−メチル)プロペン酸系2官能誘導体類;
【0059】
3官能の単量体としてトリ(2−メチル)プロペン酸1,2,3−プロパントリオール、トリ(2−メチル)プロペン酸2−メチルペンタン−2,4−ジオール、トリ(2−メチル)プロペン酸2−メチルペンタン−2,4−ジオールトリカプロラクトネート、トリ(2−メチル)プロペン酸2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、トリ(2−メチル)プロペン酸トリメチロールヘキサン、トリ(2−メチル)プロペン酸トリメチロールオクタン、トリ(2−メチル)プロペン酸2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン等の3官能(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0060】
4官能以上の単量体として、テトラ(2−メチル)プロペン酸2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、テトラ(2−メチル)プロペン酸2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオールテトラカプロラクトネート、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジ1,2,3−プロパントリオール、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジ2−メチルペンタン−2,4−ジオール、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジ2−メチルペンタン−2,4−ジオールテトラカプロラクトネート、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジ2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジトリメチロールブタン、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジトリメチロールヘキサン、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジトリメチロールオクタン、テトラ(2−メチル)プロペン酸ジ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、ヘキサ(2−メチル)プロペン酸ジ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、ヘキサ(2−メチル)プロペン酸トリ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、ヘプタ(2−メチル)プロペン酸トリ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、オクタ(2−メチル)プロペン酸トリ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオール、ヘプタ(2−メチル)プロペン酸ジ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1,3−プロパンジオールポリアルケンオキサイド等の多官能(2−メチル)プロペン酸エステル類;
【0061】
ジ(2−メチル)プロペン酸エタン1,2−ジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸、2,2´−オキシエタン−1−オール、ジ(2−メチル)プロペン酸3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−1,14−ジオール、トリ(2−メチル)プロペン酸2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、トリ(2−メチル)プロペン酸2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、ジ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリ(2−メチル)プロペン酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン等の多官能(2−メチル)プロペン酸エステル類などが挙げられる。
【0062】
また、プロペン酸誘導体あるいは2−メチルプロペン酸誘導体以外のエチレン性不飽和単量体としては、以下のものを例示することができる。
【0063】
アルケニル基含有化合物類としては、例えば、エテニルベンゼン、α−イソプロペニルベンゼン、β−イソプロペニルベンゼン、1−メチルエテニルベンゼン、2−メチルエテニルベンゼン、3−メチルエテニルベンゼン、1−ブチルエテニルベンゼン、1−クロロ−4−イソプロペニルベンゼンなどの芳香族エテニル系単量体;
【0064】
エテニルフェニルペンチルエーテル、エテニルフェニルヘキシルエーテル、エテニルフェニルヘプチルエーテル、エテニルフェニルオクチルエーテル、エテニルフェニルノニルエーテル、エテニルフェニルデシルエーテル、エテニルフェニルウンデシルエーテル、エテニルフェニルドデシルエーテル、エテニルフェニルトリデシルエーテル、エテニルフェニルテトラデシルエーテル、エテニルフェニルペンタデシルエーテル、エテニルフェニルヘキサデシルエーテル、エテニルフェニルヘプタデシルエーテル、エテニルフェニルオクタデシルエーテル、エテニルフェニルノナデシルエーテル、エテニルフェニルエイコシルエーテル、エテニルフェニルヘンエイコシルエーテル、エテニルフェニルドコシルエーテル、エテニルフェニルメチルブチルエーテル、エテニルフェニルメチルペンチルエーテル、エテニルフェニルメチルヘキシルエーテル、エテニルフェニルメチルヘプチルエーテル、エテニルフェニルメチルオクチルエーテル、エテニルフェニルメチルノニルエーテル、エテニルフェニルメチルデシルエーテル、エテニルフェニルメチルウンデシルエーテル、エテニルフェニルメチルドデシルエーテル、エテニルフェニルメチルトリデシルエーテル、エテニルフェニルメチルテトラデシルエーテル、エテニルフェニルメチルペンタデシルエーテル、エテニルフェニルメチルヘキサデシルエーテル、エテニルフェニルメチルヘプタデシルエーテル、エテニルフェニルメチルオクタデシルエーテル、エテニルフェニルメチルノナデシルエーテル、エテニルフェニルメチルエイコシルエーテル、エテニルフェニルメチルヘンエイコシルエーテル、エテニルフェニルメチルドコシルエーテルなどの長鎖アルキル基を有する芳香族エテニルエーテル系単量体;
【0065】
イソプロペニルフェニルメチルブチルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルペンチルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルヘキシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルヘプチルエーテル、イソプロペニルフェニルメチル オクチルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルノニルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルウンデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルドデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルトリデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルテトラデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルペンタデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルヘキサデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルヘプタデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルオクタデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルノナデシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルエイコシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルヘンエイコシルエーテル、イソプロペニルフェニルメチルドコシルエーテルなどの長鎖アルキル基を有するイソプロペニルフェニル系単量体;
【0066】
4−エテニルベンゼンカルボン酸ヘキシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸オクチル、4−エテニルベンゼンカルボン酸ノニル、4−エテニルベンゼンカルボン酸デシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸ドデシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸テトラデシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸ヘキサデシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸オクタデシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸エイコシル、4−エテニルベンゼンカルボン酸ドコシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸ヘキシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸オクチル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸ノニル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸デシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸ドデシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸テトラデシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸ヘキサデシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸オクタデシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸エイコシル、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸ドコシルなどの長鎖アルキル基を有するエテニルベンゼンカルボン酸エステル系またはイソプロペニルベンゼンカルボン酸エステル系単量体;
【0067】
テトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、メチルテトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、エチルテトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、プロピルテトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、n−ブチルテトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、n−ペンチルテトラ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、テトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、メチルテトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、エチルテトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、プロポキシテトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、n−ブチルテトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、n−ペンタキシテトラ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、ポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、メチルポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、エチルポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、ポリ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、メチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、エチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエーテル、ポリ(エテンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、メチルポリ(エテンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、エチルポリ(エテンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、ポリ(プロペンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、メチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、エチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルベンジルエーテル、ポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエチルエーテル、メチルポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエチルエーテル、エチルポリ(エテンオキサイド)エテニルフェニルエチルエーテル、ポリ(オキシプロピレン) ビニルフェニルエチルエーテル、メチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエチルエーテル、エチルポリ(プロペンオキサイド)エテニルフェニルエチルエーテルなどの長鎖ポリアルケンオキサイド部位を有するエテニルベンゼン系単量体;
【0068】
ポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、メチルポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、エチルポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、ポリ(プロペンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、メチルポリ(プロペンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、エチルポリ(プロペンオキサイド)イソプロペニルフェニルエーテル、ポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルベンジルエーテル、メチルポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルベンジルエーテル、エチルポリ(エテンオキサイド)イソプロペニルベンジルエーテル、ポリ(プロペンオキサイド)イソプロペニルベンジルエーテル、メチルポリ(プロペンオキサイド)イソプロペニルベンジルエーテルなどのポリアルケンオキサイド部位を有するイソプロペニル系単量体;
【0069】
ブタン二酸エテニルフェニルノニル、ヘキサヒドロベンゼン−1,2−ジカルボン酸エテニルフェニルメチルデシル、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸エテニルフェニルエチルドデシルなどのジカルボン酸のモノ長鎖アルキルエステル系単量体;
【0070】
ブタン二酸エテニルフェニルポリ(エテンオキサイド)、ヘキサヒドロベンゼン−1,2−ジカルボン酸エテニルフェニルメチルポリ(エテンオキサイド)、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸エテニルフェニルエチルポリ(エテンオキサイド)などのジカルボン酸のモノポリアルケンオキサイドエステル、4−エテニルベンゼンカルボン酸メチルポリ(エテンオキサイド)、4−エテニルベンゼンカルボン酸エチルポリ(エテンオキサイド)、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸メチルポリ(プロペンオキサイド)、4−イソプロペニルベンゼンカルボン酸エチルポリ(プロペンオキサイド)などのポリアルケンオキサイド部位を有するエテニルベンゼンカルボン酸エステル系またはイソプロペニルベンゼンカルボン酸エステル系単量体;
【0071】
パーフルオロエテン、パーフルオロプロペン、パーフルオロ(プロピルエテニルエーテル)、フッ化エテニリデンなどのフッ素含有エテニル系単量体;
【0072】
エテニルトリメトキシシラン、エテニルトリエトキシシランなどのトリアルキルオキシシリル基含有エテニル系単量体類;
【0073】
cis−ブテン二酸ジ2−プロペニル、2−メチリデンブタン二酸ジアリル、(E)−ブタ−2−エン酸エテニル、(Z)−オクタデカ−9−エン酸エテニル、(9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン酸エテニル等のさらに不飽和結合を含有するエテニルエステル系単量体類;
【0074】
2−プロペンニトリル、2−メチル−2−プロペンニトリル、(2−メチル)プロペン酸2−シアノエチルなどのニトリル基含有エテニル系単量体類;
【0075】
2−エテニルピリジン、4−エテニルピリジン、2−エテニルピペラジン、N−エテニルイミダゾール、4−エテニルピペラジン、2,4−ジアミノ−6−エテニル−s−トリアジンなどの窒素原子含有複素環エテニル系単量体;
【0076】
エタン酸エテニル、プロパン酸エテニル、ピバリン酸エテニル、ベンゼンカルボン酸エテニル、3−フェニル−2−プロペン酸エテニルなどのエテニルエステル類;
【0077】
例えば、エテニルベンゼンスルホン酸アンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸モノメチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸ジメチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸トリメチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニム、エテニルベンゼンスルホン酸エチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸ジエチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸トリエチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸プロピルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸ジプロピルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸トリプロピルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸ブチルアンモニウム、エテニルベンゼンスルホン酸ペンチルアンモニウムまたはエテニルベンゼンスルホン酸ヘキシルアンモニウム等のアルケニル基含有エテニルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩類;
エテニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エテニルベンゼンスルホン酸カリウム、エテニルベンゼンスルホン酸リチウム、エテニルベンゼンスルホン酸マグネシウム、エテニルベンゼンスルホン酸亜鉛、エテニルベンゼンスルホン酸鉄等のアルケニル基含有エテニルベンゼンスルホン酸の金属塩類;
エテニルスルホン酸アンモニウム、エテニルスルホン酸ナトリウム、エテニルスルホン酸カリウム、ナトリウムエテニルアルキルスルホサクシネート等の金属塩やアンモニウム塩類;
エテニルオキシベンゼンスルホン酸アンモニウム、エテニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、エテニルオキシベンゼンスルホン酸カリウム等のアルケニル基含有エテニルオキシベンゼンスルホン酸の金属塩やアンモニウム塩類;
2−メチル−2−プロペニルスルホン酸アンモニウム、2−メチル−2−プロペニルスルホン酸ナトリウム、2−メチル−2−プロペニルスルホン酸カリウム等のアルケニル基含有2−メチル−2−プロペニルスルホン酸の金属塩やアンモニウム塩類;
2−メチル−2−プロペニルオキシベンゼンスルホン酸アンモニウム、2−メチル−2−プロペニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−メチル−2−プロペニルオキシベンゼンスルホン酸カリウム等のアルケニル基含有2−メチル−2−プロペニルオキシベンゼンスルホン酸の金属塩やアンモニウム塩類;
また、(2−メチル)プロペノイルオキシジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、(2−メチル)プロペノイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムサルフェート、(2−メチル)プロペノイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムサルフェート等のスルホニル基含有の(2−メチル)プロペン酸アルキルエステル類の金属塩やアンモニウム塩類;
(2−メチル)プロペン酸スルホベンジル、(2−メチル)プロペノイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム−p−トルエンスルホネート、(2−メチル)プロペノイルオキシエチルトリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホネート、(2−メチル)プロペノイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホネート等のスルホニル基含有の(2−メチル)プロペン酸環状エステル類の金属塩やアンモニウム塩類;
【0078】
グリシジルシンナマート、2−プロペニルグリシジルエーテル、エテニルシクロヘキセンモノオキシラン、1,3−ブタジエンモノオキシラン等のグリシジル基含有エテニルエステル類;
【0079】
クロロエテン、1,1−ジクロロエテン、2−プロペニルクロライド、2−プロペニルアルコール等のエテニルエステル類;
【0080】
エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテン等ならびにその混合物やポリブテン−1,ポリペンテン−1,ポリ4−メチルペンテン−1等などのアルケン類;
【0081】
アレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどのジエン類などが挙げられる。
【0082】
また、例えば、上記、単量体の共重合体であって、共重合体末端にエチレン性不飽和二重結合を有する高分子量タイプの重合可能な共重合体、いわゆるマクロモノマーも含まれる。
【0083】
また、例えば、上述のグリシジル基含有エテニルエステル類と脂肪酸とを反応させて得られた共重合可能なエチレン性不飽和単量体、上述のハロゲン化アルキルエテニルベンゼン類と長鎖アルコール、ポリ(エテンオキサイド)、および/あるいはポリ(エテンオキサイド)モノアルキルエーテルより選ばれる少なくとも一種のアルコール性水酸基含有化合物を反応させて得られた共重合可能なエチレン性不飽和単量体等も、前記したエチレン性不飽和単量体に含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0084】
次に感圧式接着剤用樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明において、感圧式接着剤用樹脂組成物は、以下の2段階の工程にて製造することができる。
単量体を共重合して、樹脂(A)を得る工程1、および、
前記樹脂(A)中の活性水素基と化合物(B)とを反応させ、ウレタン結合またはウレア結合を形成して、感圧式接着剤用樹脂組成物を得る工程2、の2段階の工程の製造工程が挙げられる。
【0085】
本発明における樹脂(A)は、上記したような種々の単量体の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成される。好ましくは溶液重合で合成される。
【0086】
重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)や2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)やジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)や2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾ系化合物が挙げられる。
【0087】
また、過酸化ベンゾイルやtert−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエートやtert−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0088】
また合成時には、ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルエテニルベンゼンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用しても良い。
【0089】
本発明における活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)の官能基(b)は、イソシアネート基であることが好ましい。
このイソシアネート基は単一官能基であることが好ましい。
【0090】
化合物(B)としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ステアロイルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、2,4−ジクロロフェニルイソシアネート、3−クロロ−4−メチルフェニルイソシアネート、トリクロロアセチルイソシアネート、クロロスルホニルイソシアネート、(R)−(+)−α−メチルベンジルイソシアネート、(S)−(−)−α−メチルベンジルイソシアネート、(R)−(−)−1−(1−ナフチル)エチルイソシアネート、(R)−(+)−1−フェニルエチルイソシアネート、(S)−(−)−1−フェニルエチルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
【0091】
本発明において、樹脂(A)の活性水素基は、化合物(B)との反応性を考慮すると、少なくとも水酸基、またはアミノ基であることが好ましい。樹脂(A)のアミン価は、0.1〜100mgKOH/gが好ましく、0.5〜50mgKOH/gがより好ましい。
一方、樹脂(A)の水酸基価は0.1〜100mgKOH/gが好ましく、0.5〜50mgKOH/gがより好ましい。
【0092】
アミン価や水酸基価が0.1mgKOH/gよりも低いと、アミノ基又は水酸基に対する化合物(B)の反応性が劣り、感圧式接着剤のペンダントされたウレタン結合またはウレア結合量が低下して耐熱性が低下する恐れがある。また、アミン価又は水酸基価が100mgKOH/gよりも高くなると、化合物(B)の反応量が多くなって感圧式接着剤層が硬くなるため、接着力の低下を招く恐れがある。
【0093】
本発明で、ウレタン結合またはウレア結合を形成する反応において、触媒を適宜使用することも可能である。触媒としては、アンモニア、アミン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、アルカリ金属水酸化物類、アルカリ土類金属水酸化物類、ルイス酸類、錫,鉛,チタン,鉄,亜鉛,ジルコニウム,コバルト等を含有した有機金属化合物類、金属ハロゲン化物類等の外添触媒が挙げられる。
【0094】
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、フェニルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルオキサゾリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等を挙げることができる。
【0095】
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヒドロゲンフタレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイドペンタヒドレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムニトレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムトリブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム−p−トルエンスルホネート、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロゲンスルフェート、テトラ−n−プロピルアンモニウムパールテネート(VII)、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヒドロゲンサルフェート、テトラブチルアンモニウムニトレート、テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムシアノトリヒドロボレート、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタンネート、テトラブチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラブチルアンモニウムテトラチオフェネート(IV)、テトラブチルアンモニウムフルオライドヒドレイト、テトラ−n−ブチルアンモニウムジヒドロゲントリフルオライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリブチルアンモニウムビス(2,3−ジメルカプト−2−ブテンジニトリレート−S,S’)ニコレート、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムアイオダイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムアイオダイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムパークロレート、テトラオクチルアンモニウムブロマイド、テトラオクタデシルアンモニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0096】
4級ホスホニウム塩類としては、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウムビス(1,2−ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)、テトラブチルホスホニウムビス(4−メチル−1,2−ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)、テトラブチルホスホニウムビス(4,5−メルカプト−1,3−ジチオール−2−チオネート−S、S)ニコレート(III)等を挙げることができる。
【0097】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類;
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物類;
を挙げることができる。
【0098】
有機錫化合物類としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等を挙げることができる。
【0099】
有機ジルコニウム化合物類としては、例えば、エタン酸ジルコニウム、ベンゼンカルボン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム等を挙げることができる。
【0100】
有機チタン化合物類としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等を挙げることができる。
【0101】
有機鉛化合物類としては、例えば、エタン酸鉛、(Z)−オクタデカ−9−エン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ベンゼンカルボン酸鉛、ナフテン酸鉛などを挙げることができる。
【0102】
有機鉄化合物類としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどを挙げることができる。
【0103】
有機コバルト化合物類としては、例えば、エタン酸コバルト、ベンゼンカルボン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト等を挙げることができる。
【0104】
有機亜鉛化合物類としては、例えば、エタン酸亜鉛、エタン二酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0105】
金属ハロゲン化物類としては、例えば、塩化第一錫、臭化第一錫、ヨウ化第一錫等を挙げることができる。
【0106】
さらには、三フッ化ホウ素、エタン酸マンガン、酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化チタン等のルイス酸類が挙げられる。これらの触媒は一種のみを用いても、又は二種以上を併用しても良い。触媒の使用量としては、樹脂(A)と化合物(B)の合計100重量部に対して0.0001〜10重量部用いることが好ましく、0.0001〜1重量部の範囲がより好ましい。10重量部を超える量を用いると、生成物が着色したり、失活していない触媒が接着物性に悪影響を与えるなどの恐れがある。
【0107】
また、触媒としては、前記したようなカルボキシル基やアミド基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合することによる内添触媒としての利用も可能である。
【0108】
本発明の感圧式接着剤は、上述の感圧式接着剤用樹脂組成物と、該樹脂組成物と反応し得る反応性化合物(C)とを含むことにより構成されている。
【0109】
本発明に用いられる反応性化合物(C)は、感圧式接着剤用樹脂組成物が有する、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基などと反応し得る官能基を有する化合物である。このような化合物としてはポリイソシアネート化合物、オキシラン化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物及び金属キレート化合物などが挙げられる。これらの化合物は官能基を分子内に2個以上有することが必要である。
【0110】
感圧式接着剤用樹脂組成物が有する活性水素基がカルボキシル基の場合、反応性化合物(C)としては、ポリイソシアネート化合物、オキシラン化合物、アミノ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、金属キレート化合物が挙げられる。活性水素基がアミノ基の場合、反応性化合物(C)としては、ポリイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中で特にポリイソシアネート化合物は、反応後の樹脂組成物の接着性や被覆層への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
【0111】
例えば、ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0112】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0113】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロペンジイソシアネート、2,3−ブテンジイソシアネート、1,3−ブテンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0114】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0115】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0116】
また上記ポリイソシアネートの2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も使用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(別名:PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネートとして使用することができる。
【0117】
これらポリイソシアネート化合物の内、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)等の無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性、耐熱性あるいは耐湿熱性の点から、特に好ましい。
【0118】
反応性化合物(C)としてポリイソシアネート化合物を使用する場合、反応促進のため、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられ、単独でもあるいは複数を使用することもできる。
【0119】
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエテンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0120】
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、(Z)−オクタデカ−9−エン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ベンゼンカルボン酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、ベンゼンカルボン酸コバルト、2−エチルヘキ酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
【0121】
反応性化合物(C)のうち、オキシラン化合物の例としては、2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン・2−クロロメチルオキシラン型のオキシラン系樹脂や2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)メタン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン型、4,4’−スルフォニルジフェノール型、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エテン型、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン型、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン型、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−−ビフェニルイル)プロパン型及びこれらの共重合型のオキシラン系樹脂、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、パラターシャリーブチルフェノールノボラック型、パラオクチルフェノールノボラック型、ノニルフェノールノボラック型及びこれらの共縮合型のオキシラン樹脂、エテンオキサイドジグリシジルエーテル、ポリエテンオキサイドジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、2−メチルペンタン-2,4-ジオールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0122】
反応性化合物(C)のうち、アミン化合物の例としては、好ましくは1級アミノ基を2個以上有するポリアミンであり、反応速度が優れる点から、芳香環に直接結合していない1級アミノ基を2個以上有するポリアミンである脂肪族系ポリアミン(その骨格に芳香環を含んでも良い)が好ましい。
脂肪族系ポリアミンとしては、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロペンオキサイド(プロペンオキサイド骨格のジアミン、、プロペン骨格のトリアミン等)、エテンジアミン、プロペンジアミン、ブテンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエテンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、エテンオキサイド骨格のジアミン等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、メタキシリレンジアミン(別名:MXDA)、ポリアミドアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン等を挙げることができる。
これらの中でも、特に反応速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、HN(CHCHO)(CHNH(エテンオキサイド骨格のジアミン)、プロペンオキサイド骨格のジアミン、プロペンオキサイド骨格のトリアミン、ポリアミドアミンが有用に使用される。
【0123】
またこれらのポリアミンとケトンとの反応物であるケチミンもアミン化合物に含まれ、安定性、反応性の調整および重ね塗り性の観点から、1−フェニルエタノンまたは1−フェニルエタン−1−オンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの;1−フェニルエタノンまたは1−フェニルエタン−1−オンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの;1−フェニルエタノンまたは1−フェニルエタン−1−オンとメタキシリレンジアミンとから得られるもの;1−フェニルエタノンまたは1−フェニルエタン−1−オンと、エテンオキサイド骨格またはプロペンオキサイド骨格のジアミンであるジェファーミンEDR148、ジェファーミンD230、ジェファーミンD400等またはプロペンオキサイド骨格のトリアミンであるジェファーミンT403等とから得られるもの等も使用することができる。
【0124】
反応性化合物(C)のうち、アジリジン化合物の例としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、2−メチルペンタン−2,4−ジオールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、2−メチルペンタン−2,4-ジオールトリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、2−メチルペンタン−2,4-ジオールトリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、2−メチルペンタン−2,4−ジオールトリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N’−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N’−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられる。
【0125】
反応性化合物(C)のうち、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
【0126】
また、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。
このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、または、これらの混合物を使用することができる。
【0127】
カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。このような高分子量ポリカルボジイミドとしては日清紡績株式会社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。
【0128】
反応性化合物(C)のうち、オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2′−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エテンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エテンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−プロペンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのエテニル系単量体と、これらのエテニル系単量体と共重合しうる他の単量体との共重合体でもよい。
【0129】
反応性化合物(C)のうち、メラミン化合物としては、トリアジン環を分子内に有する化合物であり、メラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、メチルグアナミン、エテニルグアナミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。また、これらの低縮合化物やアルキルエーテル化ホルムアルデヒド樹脂やアミノプラスト樹脂を使用しても良い。
【0130】
反応性化合物(C)のうち、金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセトエタン酸エチルに配位した化合物が挙げられる。
【0131】
これらの反応性化合物(C)は、単独あるいは複数を使用することもできる。
【0132】
また、反応性化合物(C)は、感圧式接着剤用樹脂組成物100重量部に対して、0.001〜50重量部用いることが好ましく、0.01〜30重量部用いることがより好ましい。反応性化合物(C)の使用量が、50重量部を越えると感圧式接着フィルムの接着性が低下する恐れがある。一方、0.001重量部未満では、接着層の凝集力が低下し、耐熱性、耐湿熱性が低下する恐れがある。
【0133】
本発明の感圧式接着剤は、有機溶剤を含むことが好ましい。また本発明の効果を損なわない範囲であれば、タッキファイヤー等の粘着付与樹脂、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、帯電防止剤および老化防止剤等を配合しても良い。
【0134】
本発明の感圧式接着フィルムは、基材上に上述の感圧式接着剤からなる接着層が形成されたものである。感圧式接着フィルムの製造方法として、例えば剥離フィルムの剥離処理面に感圧式接着剤を塗工、乾燥し、基材を貼り合わせて作製する方法、または基材に感圧式接着剤を塗工、乾燥し、接着層の表面に剥離フィルムの剥離処理面を貼り合わせて作製する方法が挙げられる。
【0135】
基材とはセロハン、各種プラスチックシート、紙等のシート状基材が挙げられる。また、基材は単独でも用いることもできるし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。さらに表面を剥離処理したシート状基材も用いることもできる。
【0136】
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいい、ポリエテノールフィルム(PEAフィルムとも称する)やトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルムとも称する)、ポリプロペン(PPフィルムとも称する)、ポリエテン(PEフィルムとも称する)、ポリシクロオレフィン(COPフィルムとも称する)、エテン−エタン酸エテニル共重合体(EVAフィルムとも称する)などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエテンテレフタレート(PETフィルムとも称する)やポリブテンテレフタレート(PBTフィルムとも称する)などのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム(PCフィルムとも称する)、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、プロペン酸系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム(PPSフィルムとも称する)、ポリエテニルベンゼン樹脂のフィルム(PSTフィルムとも称する)、エテニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム(PAフィルムとも称する)、ポリイミド系樹脂のフィルム(PIフィルムとも称する)、オキシラン系樹脂のフィルムなどが挙げられる。これら基材の中でも、特にPEAフィルム、TACフィルム、ポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエステル系樹脂のフィルム、PCフィルムといったシート状基材を光学フィルムとして用いることが好ましい。
【0137】
また本発明では、基材に光学フィルムを用い、前記光学フィルム上へ感圧式接着剤からなる接着層が形成された光学用感圧式接着フィルムとすることも好ましい。前記光学用感圧式接着フィルムは、液晶セル等へ積層する等ディスプレイ用途に用いることもできる。
【0138】
本発明において用いられる光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。
偏光フィルムは、偏光板とも呼ばれ、ポリエテノール系偏光子の両面を2枚のトリアセチルセルロース系保護フィルムや2枚のシクロオレフィン系フィルムで挟んだ多層構造フィルムである。
【0139】
常法にしたがって適当な方法で剥離ライナーや光学フィルムに感圧式接着剤を塗工した後、感圧式接着剤が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、加熱等の方法により液状媒体を除去したり、感圧式接着剤が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある樹脂層を冷却して固化したりして、剥離ライナーや光学フィルムの上に接着層を形成することができる。
接着層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、0.1μm〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
【0140】
本発明の感圧式接着剤を塗工する方法としては、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等を用いることが好ましい。
【0141】
また、上記光学フィルムを包含する光学部材の少なくとも一方の面に接着剤層が設けられた、接着性光学部材を得ることもできる。
さらには、光学部材と接着剤層とガラスとが順次積層された、光学用ガラス積層体を得ることもでき、これは液晶セルなどの製造に好適に利用することができる。
【実施例】
【0142】
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0143】
(合成例1)
<樹脂(A)の製造(工程1)>
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、下記、活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)、他のエチレン性不飽和単量体、重合開始剤、及び溶剤をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
【0144】
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 29.5部
プロペン酸メチル 5部
プロペン酸 0.5部
2−メチルプロペン酸2−ヒドロキシエチル 15部
エタン酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 45部
プロペン酸 5部
エタン酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0145】
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中、還流温度下で反応を開始した。重合転化率が約70%まで達したところで、滴下装置から上記混合物の滴下を開始した。滴下終了後、さらに攪拌しながら8時間熟成した後、エタン酸エチル:167部を加えて室温まで冷却し、不揮発分約30%の樹脂(A)溶液を得た。
【0146】
<化合物(B)の反応(工程2)>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置及び窒素導入管を重合槽に取り付けた重合反応装置を用意し、重合槽及び滴下装置に、樹脂(A)溶液,化合物(B)、触媒及び有機溶剤を各々下記の比率で仕込んだ。
【0147】
[重合槽]
樹脂(A)溶液 200部
[滴下装置]
フェニルイソシアネート(B) 15部
テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート(触媒) 0.1部
エタン酸エチル 30部
【0148】
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、樹脂溶液を攪拌し、溶剤を系外に脱離しながら1時間で120℃に昇温した。この時、脱離した溶剤量は30部であった。
次いで、これに滴下装置より化合物(B)を含む混合物を1時間かけて等速で滴下した。さらに、攪拌しながら12時間反応・熟成した後、エタン酸エチルを35部加えて室温まで冷却して反応を終了し、側鎖ウレタン結合を有する不揮発分約30%の感圧式接着剤用樹脂溶液を得た。
【0149】
(合成例2)
合成例1の工程1において用いた単量体の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
プロペン酸n−ブチル 24.6部
プロペン酸メチル 10部
プロペン酸 0.3部
2−メチルプロペン酸テトラメチルピペリジニル 15部
2−メチルプロペン酸2−ヒドロキシエチル 0.1部
エタン酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
プロペン酸n−ブチル 49.8部
プロペン酸 0.2部
エタン酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0150】
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、混合物を攪拌しながら90℃に昇温し、8時間反応させ、合成例1と同様にして不揮発分約30%の樹脂(A)溶液を得た。
【0151】
更に、合成例1の工程2と同様にして化合物(B)を反応し、不揮発分約30%の感圧式接着剤用樹脂溶液を得た。
【0152】
(合成例3)
合成例1において用いた単量体の組成を変更して、重合槽及び滴下装置にそれぞれ下記の比率で仕込み、それ以外は合成例1と同様にして重合し、樹脂(A)を含む感圧式接着剤用樹脂の透明な溶液を得た。
[重合槽]
2−メチルプロペン酸ラウリル 18部
プロペン酸エチル 20部
エタニルピロリドン 5部
2,4−ジアミノ−6−メチルプロパ−2−エノイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン
7部
エタン酸エチル 30部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
[滴下装置]
2−メチルプロペン酸ラウリル 5部
プロペン酸エチル 40部
2,4−ジアミノ−6−メチルプロパ−2−エノイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン
5部
エタン酸エチル 36部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.05部
【0153】
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、混合物を攪拌しながら90℃に昇温し、8時間反応させ、合成例1の工程(1)と同様にして不揮発分約30%の樹脂(A)溶液を得た。
【0154】
更に、合成例1の工程2と同様にして化合物(B)を反応し、不揮発分約30%の感圧式接着剤用樹脂溶液を得た。
【0155】
(合成例4〜6)
合成例1の工程2で使用した化合物(B)であるフェニルイソシアネートをシクロヘキシルイソシアネート12部(合成例4)、オクタデシルイソシアネート8部(合成例5)、p−トルエンスルホニルイソシアネート8部(合成例6)にそれぞれ変更した以外は合成例1の工程2と同様にして調製を行って、エタン酸エチルで不揮発分を約30%に調整し、感圧式接着剤用樹脂溶液を得た。
【0156】
合成例1〜6で得た感圧式接着剤用樹脂溶液は、溶液外観、不揮発分(NV)、粘度(Vis)、重量平均分子量(Mw)、及びガラス転移温度(Tg)を以下のように評価した。結果を表1に示す。
【0157】
【表1】

【0158】
表1中の記号は以下の通りである。
PAB:プロペン酸n−ブチル、PAM:プロペン酸メチル、PAE:プロペン酸エチル、PA:プロペン酸、MPAHE:2−メチルプロペン酸2−ヒドロキシエチル、MPAL:2−メチルプロペン酸ラウリル、PATMP:プロペン酸テトラメチルピペリジン、MPATA:2,4−ジアミノ−6−メチルプロパ−2−エノイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン、EPR:エタニルピロリドン、PhNCO:フェニルイソシアネート、CHNCO:シクロヘキシルイソシアネート、ODNCO:オクタデシルイソシアネート、PTSI:p−トルエンスルホニルイソシアネート、EAc:エタン酸エチル、AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、TBAB:テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート。
【0159】
<溶液外観>
感圧式接着剤用樹脂溶液の外観を目視にて評価した。
【0160】
<不揮発分濃度(NV)の測定>
感圧式接着剤用樹脂溶液、約1gを金属容器に秤量し、150℃のオーブンで20分間乾燥して、残分を秤量して残率を計算することによって、不揮発分濃度(%)とした。
【0161】
<溶液の粘度(Vis)の測定>
感圧式接着剤用樹脂溶液の温度を25℃に維持し、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、12rpm、1分間回転の条件で粘度(mPa・s)を測定した。
【0162】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
感圧式接着剤用樹脂を、テトラヒドロフランに溶解し、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)「HPC−8020」を用い、液体クロマトグラフィーによって分子サイズの差による分離定量を行って、共重合体の重量平均分子量(Mw)をポリエテニルベンゼン換算で求めた。
【0163】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ロボットDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツルメンツ社製「RDC220」)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して、測定に使用した。
感圧式接着剤用樹脂溶液を、剥離処理されたポリエステルフィルムに塗工・乾燥し、乾燥した共重合体を約10mgかきとり、試料としてアルミニウムパンに入れ、秤量して示差走査熱量計にセットし、試料を入れない同タイプのアルミニウムパンをリファレンスとして、100℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、昇温中に得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)(℃)を決定した。
【0164】
(実施例1)
合成例1の工程2で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液100部に対して、エタン酸エチルを加え、更に反応性化合物(C)として、TDI/MHPD(トリレンジイソシネートの2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールアダクト体)10部を加えて、不揮発分約25%にし、よく撹拌して、感圧式接着剤を得た。
これを剥離フィルム上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、感圧式接着層を形成した。
乾燥後、接着層に、ポリエテノール(PEA)系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ多層構造の偏光フィルム(偏光板ともいう。)の片面を貼り合せ、「剥離フィルム/接着層/TACフィルム/PEA/TACフィルム」なる積層構成にして、さらに温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成し、光学用感圧式接着フィルムを得た。
【0165】
(比較例1)
合成例1の工程2で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液の代わりに、合成例1の工程1で得られた樹脂(A)の溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。この際、感圧式接着剤の著しい粘度上昇が認められ、塗工面に若干の荒れが確認された。
【0166】
(実施例2、3)
合成例1の工程2で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液の代わりに、合成例2,3の工程2で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。
【0167】
(比較例2、3)
合成例1で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液の代わりに、合成例2、3の工程1で得られた樹脂(A)の溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。この際、双方とも著しい粘度上昇が認められ、塗工面に若干の荒れが確認された。
【0168】
(実施例4〜6)
合成例1の工程2で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液の代わりに、合成例4〜6で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。
【0169】
(実施例7〜10)
合成例1の工程2で使用した感圧式接着剤用樹脂溶液に、反応性化合物(C)としてTDI/MHPD10部に代えて、実施例7ではHBAP(2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート])0.1部、実施例8ではTGMXDA(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン)5部、実施例9ではV−05(カルボジイミド化合物である「カルボジライトV−05」:日清紡績株式会社製)5部、実施例10ではAlキレート(アルミニウムトリス(アセチルアセトネート))1部を、それぞれ添加したこと以外は、実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。尚、実施例10では溶剤をエタン酸エチル(EAc)からイソプロピルアルコール(IPA)に変更した。
【0170】
(実施例11、12)
合成例1で得られた感圧式接着剤用樹脂溶液に、反応性化合物(C)として、TDI/MHPDに代えて、実施例11ではXDI/EHPD(キシリレンジイソシネートの2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールアダクト体)を1部添加、実施例12ではHMDI/ビュレット(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレットアダクト体)を1部添加、また、希釈溶剤をIPAに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学用感圧式接着フィルムを作製した。
【0171】
得られた感圧式接着剤のポットライフ、塗加工性について以下の方法で評価した。結果を表2に示す。また、得られた光学用感圧式接着フィルムについて、以下の項目について評価した。評価結果を表2に示す。
【0172】
【表2】

【0173】
<ポットライフの評価方法>
得られた感圧式接着剤について、25℃における粘度を1時間おきに10時間後まで、B型粘度計(東京計器社製)を用い、12rpm、1分間回転の条件で測定し、可使時間(ポットライフ)を3段階で評価した。
○:「8時間までの粘度上昇率が2倍未満。非常に良好である。」
△:「5時間までの粘度上昇率が2倍未満であるが、8時間までの粘度上昇率が2倍以上。良好である。」
×:「5時間未満でゲル化。実用上問題あり。」
【0174】
<塗工性の評価方法>
得られた感圧式接着剤を、剥離フィルムにコンマコーターにて速度2m/minで塗工し、100℃オーブンにて乾燥し、厚みが25μmの接着層を形成し、接着層の表面に厚さ50μmのポリエステルフィルムを貼り合わせ、感圧式接着フィルムを作製した。そして剥離フィルムを剥がした後の接着層表面(塗工面)の状態について目視にて観察し、3段階で評価した。
○:「平滑な塗工面が得られた。非常に良好である。」
△:「塗工面の端部に若干のハジキや発泡が認められるが、良好である。」
×:「塗工面にハジキ、発泡やスジ引きが認められ、実用上問題あり。」
【0175】
<光学特性の評価方法>
実施例および比較例で得られた感圧式接着剤を、剥離フィルムに上記と同様にして塗工・乾燥し、厚みが25μmの接着層を形成し、その表面に剥離フィルムを貼り合わせた。これを温度23℃、相対湿度50%の条件で1週間熟成させた後、両方の剥離フィルムを取り除き、接着層の外観を目視判定するとともに、HAZEを「NDH−300A」[日本電色工業(株)社製]で測定した。
○:「良好な外観。HAZE:1未満。全く問題なし。」
△:「曇り等は認められない、かつHAZE:1以上3未満。実用上使用可。」
×:「若干曇りが認められる、またはHAZE:3以上。実用上問題がある。使用不可。」
【0176】
<再剥離性(リワーク性)の評価方法>
得られた光学用感圧式接着フィルムを25mm×150mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板にラミネーターを用いて貼り付け、50℃で5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、光学用感圧式接着フィルムとガラス板との積層物を得た。この積層物を23℃、相対湿度50%で1週間放置した後に、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がし、剥離後のガラス表面の曇りを目視で観察し、3段階で評価した。
○:「曇りがなく、良好な外観。全く問題なし。」
△:「若干曇りが認められるが、実用上問題ない。」
×:「全面的に接着層の転着が認められ、実用不可である」。
【0177】
<耐熱性および耐湿熱性の評価方法>
得られた光学用感圧式接着フィルムを150mm×80mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、それぞれの偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼着した。続いて、この偏光板が貼り付けられたガラス板を50℃で5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、光学用感圧式接着剤フィルムとガラス板との積層物を得た。
上記積層物をそれぞれ80℃で1000時間放置した後の浮きハガレ、ズレ、及び、積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察し、耐熱性を評価した。
また、上記積層物をそれぞれ60℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ、ズレ、及び、積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察し、耐湿熱性を評価した。
ここで「ズレ」とは偏光板の収縮によって、ガラスに貼着した偏光板の周囲に観察される貼着位置の変位である。
耐熱性および耐湿熱性について、下記の4段階の基準に基づいて評価をおこなった。
◎:「浮きハガレ、白ぬけ、ズレが全く認められず、良好であった。」
○:「浮きハガレ・白ぬけが全く認められず、ズレが0.2mm未満で、実用上全く問題なし。」
△:「若干浮きハガレ・白ぬけが認められるが、ズレが0.2〜0.5mm未満で、実用上問題がない。」
×:「全面的に浮きハガレ・白ぬけがあり、実用不可である。」
【0178】
表2の結果より、比較例1〜3はポットライフ、及び塗工性が不良であり、また過酷な高温下にもしくは高温高湿度下に長期間放置されると、発泡や浮き剥がれ等が発生し、耐久性に劣ることがわかる。
これに対して、本発明の感圧式接着剤用樹脂組成物を用いた感圧式接着剤や光学用感圧式接着フィルムは、塗加工性、耐熱性、耐湿熱性、光学特性、及び光学フィルムのリワーク性に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
また、本発明の感圧式接着剤用樹脂組成物は、光学部材用途として好適であるほか、一般ラベル・シールのほか、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、タッキファイヤ、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング用等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合せガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性してなることを特徴とする、感圧式接着剤用樹脂組成物。
【請求項2】
活性水素基を有する樹脂(A)が、活性水素基を有するエチレン性不飽和単量体(a)を必須とする単量体成分を重合してなる樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の感圧式接着剤用樹脂組成物。
【請求項3】
活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基が、水酸基またはアミノ基であることを特徴とする、請求項1または2記載の感圧式接着剤用樹脂組成物。
【請求項4】
官能基(b)が、イソシアネート基であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の感圧式接着剤用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の感圧式接着剤用樹脂組成物と、該樹脂組成物と反応し得る反応性化合物(C)とを含む感圧式接着剤。
【請求項6】
フィルム状基材の少なくとも一方の面に、請求項5記載の感圧式接着剤からなる感圧式接着剤層が設けられてなる光学用感圧式接着フィルム。
【請求項7】
光学部材の少なくとも一方の面に、請求項5記載の感圧式接着剤からなる感圧式接着層が 設けられてなる接着性光学部材。
【請求項8】
光学部材と、請求項5記載の感圧式接着剤からなる接着剤層と、ガラスとが順次積層されてなる光学用ガラス積層体。
【請求項9】
活性水素基を有する樹脂(A)の活性水素基を、活性水素基と反応してウレタン結合またはウレア結合を形成し得る官能基(b)を有する化合物(B)で変性する工程を含むことを特徴とする、感圧式接着剤用樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−102279(P2012−102279A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253663(P2010−253663)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】