説明

感染症及び疾患の診断及び治療において使用するタンパク質

本発明は、HIV−1感染、AIDS、ARC、多発性硬化症、慢性疲労症候群、関節リウマチ、アルツハイマー病、皮膚炎、1型糖尿病、大腸炎、炎症性腸疾患/過敏性腸症候群、クローン病、乾癬、慢性閉塞性肺疾患、全身性エリテマトーデス、移植による拒絶反応及び癌などの、ヘルパーT細胞減少に関連する疾患の治療及び診断器具で用いられる、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを含む組成物について記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学及びウイルス学の分野に関し、特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症のような感染症及び疾患、それに関連した後天性免疫不全症候群(AIDS)やエイズ関連症候群(ARC)のような疾患、また、T細胞数の減少に関連する疾患の診断法及び治療法に有用なシスタチンA及びヒストンを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨髄は、免疫細胞になる細胞を生み出す。これらの細胞は、リンパ球又は食細胞になる。リンパ球は、免疫系の活動を行うための大きな責務を担う小さな白血球である。リンパ球の2つの主な種類は、B細胞及びT細胞である。B細胞は、骨髄で成長する(これにより“B細胞”という)。T細胞は胸腺に移動し(これにより“T細胞”という)、そこで増殖して免疫反応が可能な細胞へと成長する。骨髄や胸腺から出たうえでB及びT細胞の両方は、体中を広く且つ継続的に移動する。
【0003】
T細胞には、2種の主な方法において免疫防御に寄与する制御性T細胞と細胞傷害性T細胞という2つの型がある。T細胞における主細胞は、“ヘルパー/インデューサー”細胞である。T4細胞マーカーによって特定されるヘルパーT細胞は、ナチュラルキラー細胞やマクロファージだけでなくB細胞や他のT細胞の活性化にとって必須である。細胞傷害性T細胞は、例えば、ウイルスに感染又はガンによって形質転換した細胞体を直接攻撃して取り除くキラー細胞である。
【0004】
重要な食細胞は、単球及びマクロファージである。単球は、血液を巡り組織に移動し、そこでマクロファージ(“大食漢”)へと発達する。マクロファージは、体中の組織で見受けられ多くの役割を担う万能細胞である。スカベンジャーとしてマクロファージは、損傷を受けた細胞体や他の残骸を取り除く。最初に消化をおこなって処理しT細胞に抗原を提示する細胞の第一線に立って、マクロファージは免疫反応を開始するうえでの重要な役割を担う。分泌細胞として、単球、及びマクロファージは、免疫反応の調整に不可欠である。これらは、病原菌や腫瘍細胞を追跡するためにそれ自身を“活性化”することを可能にするリンホカイン受容体をも持っている。
【0005】
後天性免疫不全症候群(AIDS)などいくつかの疾患は、ウイルス、AIDSの場合、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる。このようなウイルスは、例として再びAIDSを挙げると、ヘルパーT細胞を破壊し、マクロファージ及び単球に潜伏する。ヘルパーT細胞へのHIV−1の侵入は、CD4一次レセプター、CCR5及びCXCR4コレセプターに作用するものである。細胞侵入の最初の段階は、HIV−1糖タンパク質gp120が標的細胞のCD4レセプターに結合したときに生じる。次の段階は、HIV−1外膜タンパク質とCCR5コレセプターとの間の相互作用である。いったんgp120がレセプター及びコレセプターに作用すると、HIV−1外膜タンパク質gp41は、構造変化を受け、まさにウイルス膜を細胞膜のごく近傍に接近させる。そして2つの脂質二重層の融合が生じ、ウイルス内容物の細胞内侵入が可能となる(例えば、Nature (1997) 387:426-430を参照)。
【0006】
HIVがヒト患者に感染するとき、HIVはそれ自身を免疫細胞のデオキシリボ核酸(DNA)へと組み込み、そして3ヶ月から何年という変動する期間、患者は免疫不全の兆候を示さず、ときには検出可能レベルの対AIDS抗原を産生しないこともある。最初のHIV感染は検出可能な臨床疾患症状又は抗体の検出可能レベルを直ちにもたらすものではないことから、本明細書における“HIV感染”との用語は、感染、及びそれからもたらされる疾患の両方を包含し、後者は“HIV関連疾患”という。HIV関連疾患の例は、AIDS及びARCである。上記潜伏期間の後、HIVは感染された細胞内で増殖し、いずれ宿主細胞を破裂させて新しく作られたウイルスを放出する。宿主細胞は過程のなかで破壊されることから、患者の免疫機構は機能しなくなり、宿主は、正常な免疫機構を備えたヒトが影響を受けない日和見疾患の影響を受けやすくなる。ヒトにおいては、一般的にAIDSウイルスが増殖し、ヒトはいずれ重度の免疫不全で死亡する。興味深いことに、ヒトのみがAIDSにかかる。ウサギ、マウス、ラット又はウシのようなヒト以外の哺乳類がHIVを注射されると、その動物は一時的にいくらかT細胞の破壊を受ける。しかしながら、感染後14〜21日でその動物は抗体攻撃を備え、AIDSでは死亡しない。このように、AIDSには、動物モデルがない。
【0007】
これまでのところ、多大な努力にもかかわらず、AIDSのための治療はなく、有効な治療法は限られており、ある場合には取るに足らない結果となる。
【0008】
疾患のより早い段階でAIDSを正確に診断することは、研究活動における焦点である。これまでのところ、一般的に、商業的に有効な診断検査は、HIVに対する患者の抗体を検出することに向けられている。しかしながら、ウイルスに対する抗体産生は、一般的に、患者がAIDSに感染したときから約14〜21日後までは起こらない。それゆえ、仮に、抗体産生が始まり十分な量となる前に患者が検査されると、検査は、間違った陰性の結果を出し得る。一方で、これら検査のいくつかは、抗体の非特異的結合により誤った陽性の結果をも出し得る。ウイルス感染を検出する他の手段は、核酸ハイブリッド形成によるものである。
【0009】
特に断りのない限り、次の記載は非特許文献1に基づく。
【0010】
HIV感染の段階に最も密接に関連している代理マーカーは、CD4+又はTヘルパー細胞数である。HIV−1外膜糖タンパク質gp120は、具体的には、リンパ球の一部には高濃度で、単球やマクロファージでは低量で発現されているCD4レセプターに結合する。CD4レセプターを発現している細胞は、“ヘルパー/インデューサー”サブセットと称され、ヒト白血球抗原クラスIIレセプターを有する細胞で示される抗原に対するB細胞の反応のためのヘルパー細胞、及びT細胞の免疫反応を抑制させるインデューサー細胞の両方として役割をはたす。CD4+細胞の選択的な減少は、AIDSの顕著な特徴である日和見性の感染への易感染性に関連する数々の免疫欠如をもたらす。
【0011】
HIVコア抗原p24は、HIV抗体の発現前に検知できる。酵素免疫測定法(ELISA)による検査によるHIV抗体の出現の後、p24抗原は、ときには存続し、しばしば疾患の末期に再発するが、ほとんどの場合、検出されなくなる。血漿及び末梢血単核細胞培養で発見されるHIV−1力価は、特異抗体が検出されると急速に低下し、少なくとも一時的に宿主免疫反応が効力を有することを示す。免疫刺激のマーカーは、β2−ミクログロブリンを含む。
【0012】
患者においては、セロコンバージョンの時期に引き続き、CD4+細胞の減少がAIDSへの進行に関連している。β2−ミクログロブリンの血中濃度及び血中におけるp24抗原の検出は、両者とも独立して進行速度に関連していた。CD4細胞数と相まって、β2−ミクログロブリン及びp24抗原の使用が、CD4+細胞数のみと比べて、AIDSへの進行の予後精度を増加した。
【0013】
しかしながら、次の3年を経過してもセロコンバーターがCD4+細胞の百分率において一貫した減少をするのはまれである。訪問しない間に、CD4+細胞の百分率の安定段階又は減少段階は、被験者の38%で見受けられ、CD4細胞欠如速度における平坦化の後に、12%減少する。概して、3年を超える追跡調査後、CD4+細胞百分率において62%減少する。
【0014】
セロコンバージョンの時期が不明で血清反応陽性の同性愛男性HIV感染者306人の研究において、CD4+細胞数が500/μl未満であること及びp24抗原の検出されることの両方が、30ヶ月以内にAIDSとなる予測となる。
【0015】
CD8+細胞の増加は、続いて起こるAIDSの進行の若干なりとも予測となった。
【0016】
AIDSへ進行すること及びAIDSながら生存することなどの臨床評価項目を、抗ウイルス療法の効果の代理マーカーとより相関させるために、ネオプテリン及びβ2−ミクログロブリンなどの付加マーカーの分析が、CD4細胞数及びp24抗原と組み合わせられつつある。
【0017】
抗エイズ薬であるジドブジンを許容し12週間生存しているAIDS及びARC患者の限定された研究(非特許文献2)では、下記の事項が見出された。
【0018】
3つの要因(年齢、開始時のAIDS診断、血清ネオプテリン濃度の基準の記録)を制御した後、経時的な変化ではなく、8〜12週におけるCD4+の記録が生存継続を最も予測できた。8〜12週におけるβ2−ミクログロブリン濃度の減少が生存を有意に予測し、CD4+細胞数の記録と相関し、最良の予測モデルを示した。p24抗原、血清ネオプテリン濃度、及びカルホフスキー一般状態(日常活動の機能測定)の減少は、臨床における生存と有意な相関を示さなかった。
【0019】
ステインら(非特許文献1)は、CD4+細胞数及び代理マーカーの変化が抗レトロウイルス活動の調査用、薬剤や臨床、HIV感染初期の患者における唯一の評価項目として使われることが多くなってくると推論している。
【0020】
1型糖尿病、大腸炎及びクローン病などの他の疾患は、ウイルス感染により引き起こされるとは、現在のところ知られていない。しかしながら、これら疾患もヘルパーT細胞(TH)の数の減少と関連している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Stein et al.(1992)Infect. Diseases 165:352
【非特許文献2】Jacobson(1991)BNJ, 302:73
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
それゆえ本発明は、ヘルパーT細胞数の減少に関わるHIV−1感染、AIDS、ARC及び他の疾患のための診断及び治療をおこなう、シスタチンAと少なくとも1種のヒストンとを含む組成物を提供するものである。
【0023】
本発明は、さらに、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを含みヒトへの投与に適した組成物を投与することによる、HIV−1感染、AIDS、ARC、そして他のT細胞の激減に関連する疾患にかかった又はかかる危険性がある被験者の治療法を具体化している。
【0024】
本発明の他の実施形態においては、HIV−1感染を特定するために用いられる診断法に、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンが含まれている。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを用いた、HIV感染の特定を可能にするキットを含んでいる。
【0026】
本発明の他の実施形態は、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを含みヒトへの投与に適した組成物を投与することによる治療の方法であって、多発性硬化症(Nakajimaら. (2004) European Neurology 52:162-168)、慢性疲労症候群、関節リウマチ(Leader (1998) Ann Rheum Dis 57:328- 330)、アルツハイマー病、皮膚炎、(Feizy 及び Ghobadi, Dermatology Online Journal 12(3):3)、1型糖尿病(Feizy 及び Ghobadi, Dermatology Online Journal 12(3):3)、大腸炎(Fort ら. (2001) J Immunol 166:2793-2800)、炎症性腸疾患/過敏性腸症候群(Weinstock及び Summers (2001) Currents VoI 2, Number 1; Fichtner-Feigl ら. (2005) J Clin Invest doi: 10.1172/JCI24792)、クローン病(Sato ら. (2005) Gut 54:1254-1262)、乾癬(Simpson ら. (2002) Clin Exp Allergy 32:37-42)、慢性閉塞性肺疾患(Bottini ら. (2005) Intl Arch Allergy Immunol 138:328-333)、全身性エリテマトーデス、移植による拒絶反応、及び癌(Wu ら. (2005) Leukemia 19:268-274; Vujanovic ら. (2006) Cancer Gene Therapy 13:798-805)など、TH細胞の数の減少に関わる疾患(Simpsonら. (2002) Clin Exp Allergy 32:37-42; Bottini ら. (2005) Intl Arch Allergy Immunol 138:328-333)の治療の方法を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】HIV−1外膜糖タンパク質及びヒトCD4分子に結合したTNPを示す。(A):クマシー染色の後のTNPの10%SDS−PAGE分析(レーン1−分子量基準;レーン2−TNP 80μg/mL)。(B):Biacoreセンサーチップに固定された糖タンパク質 ヒトCD4分子とTNPとの代表的な結合センサー図(8μg/mL;、1.6μg/mL、0.4μg/mL)。(C):Biacoreセンサーチップに固定された糖タンパク質 HIV−1全長gp41とTNPとの結合センサーグラムの代表的な図(8μg/mL;、1.6μg/mL、0.4μg/mL)。(D):Biacoreセンサーチップに固定された糖タンパク質 HIV−1全長gp120とTNPとの結合センサーグラムの代表的な図(8μg/mL;、1.6μg/mL、0.4μg/mL)。
【図2】HIV−1gp120及びCD4との結合によって精製されたTNPタンパク質のSDS−PAGE分析を示す。
【図3A】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3B】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3C】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3D】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3E】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3F】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【図3G】ヒストン画分H1、全ヒストン画分の異種混合物、非分画全ヒストン、並びに、BSAのヒトCD4及びHIV−1 gp120との結合活性の代表例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.定義
次の定義は、本明細書において用いられる。
【0029】
添加物(アジュバント):この用語は、特異的又は非特異的に免疫反応を高める抗原に、取り込まれ、関連し又はその抗原と同時に投与される物質をあらわすために用いられる。
【0030】
ヒストン:他に断りのない限り、この用語は、H1、H2A、H2B、H3、H4、及びH5を含む全てのヒストンタンパク質を包含する。
【0031】
ヒトへの投与に適する:この用語は、化合物又は組成物のさらなる操作をヒトへの投与前に必要としないように、毒性がなく十分に純度を高められた化合物又は組成物であることを求めている。
【0032】
胸腺タンパク質:この用語は、もっぱら胸腺で産生され見つけられるタンパク質を表す。この用語は、構造に組み込まれる、又は全ての細胞型で起こる生理的過程に加わるタンパク質を包含する。例として、ヒストン及びユビキチンは、胸腺タンパク質と考えられる一方で、アルブミン及びインシュリンは、胸腺タンパク質ではない。
【0033】
2.本発明
本発明は、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを含みヒトへの投与に適した組成物を提供する。これらタンパク質は、胸腺から得られる抽出物の副画分であり、子牛胸腺から単離されたときはしばしば“胸腺核タンパク質(TNP)”として表現される(例えば、US20040018639参照)。
【0034】
より詳しくは、シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンは、それぞれ12kD、15及び/又は16kDの分子量を有する。これらのタンパク質は、子牛、羊、山羊、豚などの哺乳類の胸腺から標準的な操作によってサイズ排除法をおこなうことにより単離され得る。例えば、胸腺抽出物は、Hand ら. (1967) Biochem. BioPhys. Res. Commun. 26:18-23、Hand ら. (1970) Experientia 26:653-655、又は、Moudjou ら (2001) J Gen Virol 82:2017-2024の操作法を採用することにより得られる。サイズ排除クロマトグラフィーは、例えば、Folta-Stogniew 及び Williams (1999) J. Biomolec. Tech. 10:51-63 、並びに、Brooks ら. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. 97:7064-7067に記載されている。
【0035】
シスタチンA及びヒストンは、CD4、gp120、gp40の少なくとも1つへの連続的な結合によって、サイズの選択された結果として生じたタンパク質溶液から精製される。精製は、Moritz ら. (1990) FEBS Lett. 275:146-50、Hecker ら. (1997) Virus Res. 49:215-223、Mclnerney ら. (1998) J. Virol. 72:1523-1533、及び、Poumbourios ら. (1992) AIDS Res. Hum. Retroviruses 8:2055-2062に記載されているように例えば親和性クロマトグラフィーによって実行され得る。
【0036】
必要であれば、ヒトへの投与に適した組成物を得るためにさらなる精製が実施される。付加的な精製方法の例を挙げるとすれば、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、質量分析、等電点電気泳動法、親和性クロマトグラフィー、HPLC、逆相クロマトグラフィー、電気泳動法である。これらの技術は標準的でよく知られたものであり、また、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel ら (eds), John Wiley and Sons, New York.;Protein Purification: Principles, High Resolution Methods, and Applications, 2nd ed., 1998, Janson and Ryden (eds.) Wiley-VCH;並びに、Protein Purification Protocols, 2nd ed., 2003, Cutler (ed.) Humana Pressのような研究マニュアルで参照される。
【0037】
また、シスタチンA及びヒストンは、上述したようにヒトへの投与に適した状態で混合、精製され、商業的に購入できる。シスタチンA及びヒストンの供給メーカーの例を挙げると、例えば、Sigma、ProSpec-Tany TechnoGene LTD、Lab Vision Corporation、Upstate Cell Signaling Solutions and Stressgen Bioreagentsである。シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンの割合は、0.01重量%:0.99重量%から0.99重量%:0.1重量%である。好ましい範囲は、ヒストンに対しシスタチンA10重量%から90重量%である。
【0038】
3.本発明の組成物の重要な特徴
シスタチンA及び少なくとも1種のヒストンを含む本発明の組成物は、後述するようにさまざまな実験の結果によって証明されるように、組成物が患者個人に投与された場合、治療されなかった個人に比べて徐々に健康状態を向上させることから、興味深いものである。特に、本発明の組成物を受けた個人は、治療されなかった個人と比べてTH細胞の数の増加を示した。例えば、本発明の組成物で治療された個人は、TH細胞の増加を少なくとも10%、25%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又はそれ以上示した。加えて、本発明の組成物で治療された個人は、体重の増加を0.1〜1kg、1〜2kg、2〜3kg、又は3kg以上示した。
【0039】
ウイルス性又はレトロウイルス性の感染症を患う患者にとっては、本発明の組成物での治療は、ウイルス量の減少を少なくとも10%、25%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%もしくはそれ以上もたらし得る。
【0040】
さらに、本発明の組成物にでの治療によって得られる効果は、治療の終了から少なくとも90日、150日、180日、240日、330日、667日間もしくはそれ以上持続される。
【0041】
本発明の組成物は、直接使用されるか又は適した添加物及び/又は担体と混合され得る。適した添加物としては、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩添加物、リン酸カルシウムナノ粒子(BioSante Pharmaceuticals, Inc.)、ZADAXINTM、ヌクレオチドppGpp及びpppGpp、死滅されたBordetella pertussis又はその成分、Corenybacterium由来のP40成分、コレラ毒素とマイコバクテリアの全部又は一部、及び免疫刺激性複合体ISCOMs(DeVries ら., 1988; Morein ら., 199&, Lovgren : al., 1991)を含む。当業者であれば、製薬学的用途にふさわしい、又は、ヒトにおける使用に適した担体に精通している。
【0042】
4.本発明の組成物の使用
注射(筋肉内又は皮下)は、本発明の組成物の治療的投与にとって主要な経路になるであろう。しかしながら、静脈輸送、カテーテルを通した輸送、又は他の外科的なチューブも使用され得る。別の経路としては、錠剤もしくはその類似物、液状剤、凍結乾燥された吸入剤、又は噴霧性受容体が含まれる。液状剤は、粉状剤からの再構成後に使用され得る。
【0043】
前記組成物は、ミクロスフェア、リポソーム、他の微粒子輸送システム、又は血液を含むある組織に留置された持続性放出剤によっても投与され得る。
【0044】
投与される組成物の量は、用いられる剤型の特性次第であり、医師の技量の範囲内であるように、例えば、その結合活性、体内での血漿中濃度半減期、剤型内での組成物の濃度、投与経路、投与の場所及び速度、患者に関連する臨床的耐性、患者の病状などによって決まる。
【0045】
異なる使用量が一連の連続的な予防接種で採用される;医師は、初回接種を投与し、次に比較的少ない組成物量で促進する。
【0046】
次に示すのは、TF剤型、投与量、投与スケジュールの例である。各個人には、8mgの組成物を含む筋肉内又は皮下注射が投与(好ましくは生理学的に許容される溶液中に組成物を4mg/ml含む2mlの剤型)、又は、患者の体重1kgあたり57μgのTFタンパク質が投与される。いずれの治療コースも16回の投与からなり、8週間にわたって週あたり連続した日に2回の注射がある。患者の疾患状態は、以下に示す方法によって観察される。最終の注射から3ヶ月でもなお患者が疾患に苦しんでいる場合、投与計画は繰り返される。投与計画は、満足できる結果が得られるまで繰り返され、例えば、疾患の終了、疾患の進行の鈍化、疾患もしくは治療の緩和が得られるまで繰り返される。好ましくは、組成物は水酸化アルミニウム添加物で製剤化される。例えば、最終の組成物の剤型の1mlは、4mgの組成物を含み、0.016M AlPO4(又は0.5mgAl3+)、0.14M NaCl、0.004M CH3COONa、0.004M KCl、pH6.2である。
【0047】
また、各人は、5ヶ月後以降、好ましくは6ヶ月後以降から2年後、より好ましくは8ヶ月以降から1年後に患者の“免疫記憶”を高めるために接種され得る。Anderson ら., Infectious Diseases, 160 (6):960-969 (1989)を参照のこと。一般的に、比較的長い期間における組成物の不定期的な免疫投与は、最大免疫反応を導き出すために頻繁な免疫付与よりも好ましい。
【0048】
本発明の組成物は、様々な方法で、異なる部類の受諾者に投与され得る。
【0049】
本発明の組成物は、一度の “カクテル”接種で他の抗原と組み合わせて投与され得る。該組成物は、長い時間をかけて投与される一連の予防接種として投与され得る。このような一連の予防接種は、抗原又は他のワクチンの同一又は異なる調合での接種を包含し得る。
【0050】
例えば、投与量、スケジュール、添加物の選択など、選択された処置条件の妥当性は、患者からの血清の一定分量を取り、治療プログラムの経過の間における抗体及び/又はT細胞力価を測定することにより決定される。T細胞力価は、従来の方法で測定される。例えば、Bach, F., Contemporary Topics in Immunology, Vol. 2: Thymus Dependency, p. 189, Plenum Press, New York, 1973;、及び、Hoffmnan, T. & Kunkel, H. G., and Kaplan, M. E., ら.の両論文に記載されているように、Tリンパ球は、E−ロゼット形成により検出され得る。例えば、T細胞ロゼット形成の量は、治療後の3週間後であるが10週間より以前に測定される。65%を超えるロゼット形成は、患者における良好な細胞性免疫反応を示している。
【0051】
加えて、患者の病体は、例えばT細胞数の増加及び/又は体重増加といった望ましい結果のために観察され得る。仮に不十分な効果となった場合、患者はさらなる治療で補完され、免疫反応を高めるために、例えば、本発明の組成物及び/又は添加物の量を増加させること、シスタチンA及び/又は少なくとも1種のヒストンを担体と複合化すること、又は免疫原生タンパク質に接合させること、又は投与経路を変更することなどにより、治療条件が変更され得る。
【0052】
前記組成物は、付加的に、HIV感染、AIDS及びARCなど、個人がかかった疾患を治療するために用いられる他の薬理作用のある物質とともに投与され得る。これら薬理作用のある物質の例は、AZT、抗生物質、インターフェロンなどの免疫促進剤、抗炎症剤、及び抗腫瘍剤である。多発性硬化症、間接リウマチ、1型糖尿病及び炎症性腸症候群のような他の疾患は、他の薬理作用のある物質と関連している。適した薬理作用物質を特定することは、十分医師の技量の範囲にある。
【0053】
感染及び/又は疾患を特定するための診断用装置
もう1つの側面として本発明は、感染及び/又は疾患をインビトロで特定するために有用な診断用装置を提供する。
【0054】
本発明を記載したうえで、次の例は本発明を説明するために示され、そして本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【実施例】
【0055】
5.本発明の組成物の有用性を裏付ける実験
(試験例1)
US 20040018639に準じ、新鮮な子牛の胸腺から胸腺タンパク質を単離した。ウシ血清アルブミン(Sigma,cat.No A-3912)を用いたブラッドフォード分析によって較正基準によりタンパク質の濃度を決定した。10%及び/又は15%のアクリルアミドゲルを用いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によってサンプルの純度を分析した。製造者の手順書に従い、クマシーブリリアントブルーR250及び/又は銀染色(BioRad, Cat #161-0443)によって分離されたタンパク質を視覚化した。同じゲル上で測定し、分子量既知のマーカータンパク質の相対移動度と比較することにより、タンパク質帯の分子量を見積もった(図1A)。
【0056】
BIAcore 2000(Biacore, Sweden)で結合試験をおこなった。組み換えヒトCD4(Progenies, Cat. # PRO 1008-1)、組み換えHIV−I gp120(NIH AIDS Resea
rch & Reference Reagent Program, # 4961)及びgp41(546-682 aa)を、チップのデキストランマトリックスにおけるカルボキシル基へ該当タンパク質をアミン結合させることによって、バイセンサーチップ(CM5)の表面に固定させた。10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.05% surfactant P20を含みpH7.4である流動緩衝液での粗試料の連続希釈液を、固定された各目的物に対して5μl/分で注入し、結合/解離の反応速度論をSPRシグナル(resonance units−RU)の変化として測定した。各注入に続いて1M NaCl、50mM NaOHでの30秒間パルスの再生ステップをおこなった。実験データの数式による近似をBIA評価ソフトウェア3.0でおこなった。粗タンパク質は、CD4分子(図1B)、HIV−1のgp41及びgp120(図1C、図1D)に強く結合したが、BSAには結合しなかった。
【0057】
製造者の取扱説明書に従い親和性クロマトグラフィーカラム(MicroLinkTM Protein Coupling Kit, Pierce, Cat. #20475)を用いて、単離された胸腺タンパク質サンプルからのタンパク質画分を精製した。即ち、組み換えヒトCD4(Progenies, Cat. # PRO 1008-1)の0.2mg、又は組み換えHIV−I gp120(NIH AIDS Research& Reference Reagent Program, #4961)、又は重要でない抗原(アミロイドベータペプチド)をアミノ架橋結合ゲルで固定させ、残存した活性結合部位を1M Tris・HCl, 0.05% NaN3でブロックした。固定させたタンパク質で1mLの粗胸腺タンパク質サンプルをインキュベートし免疫複合体を形成した。重要でない物質を取り除くべくゲル結合複合体を洗浄した。溶液(pH2.8)を含む1級アミンで、CD4又はgp120に特に結合したタンパク質を溶離させ、中和した。溶離させた画分を15%SDS−PAGE、続いてクマシーブリリアントブルーR250及び/又は銀染色(それぞれ図2A及び図2B)によって分析し、ブラッドフォードタンパク質分析によって濃度を決定した。これら帯の分子サイズは、約14〜17kDaであった。
【0058】
1種はgp120と結合しもう1種はヒトアミロイドベータペプチドに結合した2種のアミノ結合カラムを用いて、同じサンプルを精製し、15%SDS−PAGEゲルで溶離タンパク質の異なる画分を泳動することにより、これらタンパク質の特異性を確認した。3つの細い帯が検出され、gp120に特有の低分子量のタンパク質がgp120のカラムから溶離された画分#2、#3、及び#4に示された(図2C)一方で、アミロイドベータタンパク質のカラムから溶離したどの画分からもタンパク質は検出されなかった(図2D)。gp120のカラムから溶離された画分#2〜#4は、CD4と結合した他のアミノ結合カラムを通して出てきた。gp120に結合した3種全てのタンパク質は、CD4分子に特有でもあり、15%SDS−PAGEゲルでの検出で14〜17kDaであった(図2E)。
【0059】
(試験例2)
約16,000;15,000及び12,000ダルトンの分子量を備えた3つの帯の配列分析をカルフォルニア大学デービス校の分子構造施設でタンデム質量分析を用いて新たに配列分析することによりおこなった。LCカラムへ直接結合したFinnigan LCQ Deca XP Plus(サンノゼ、カリフォルニア州)を用いてタンパク質分析をおこなった。配列分析ソフトウェア(Bioworks v. 3.1)を用いて、観察されたMS/MSスペクトルに最も適合するペプチド配列をヒト又はウシのタンパク質データベースにおいて特定した。
【0060】
ウシのデータベースからの結果は、16kDaのタンパク質をヒストンH1.1又はH2Bと特定した。分析は、15kDa及び12kDaのタンパク質がウシのH1.1配列(それぞれ50.5%及び48.6%配列包括度)であり得ることをも示した。これら分析に加えて、配列をヒトのデータベースと比較した。さらに、16kDaタンパク質は、ヒトのヒストンH2.B(42.1%の包括度)を示すようであるが、このタンパク質の配列は、ヒトのシスタチンAのアミノ酸配列に24.5%の同一性をも有する。興味深いことに、15kDaタンパク質もシスタチンAに42.9%の同一性を示した一方で、12kDaのタンパク質は、61.2%の同一性を示した。注目すべきは、これら分子も、H1ヒストンファミリーに約24%のアミノ酸配列の同一性を有していた。
【0061】
(試験例3)
ヒストン及びシスタチンAの同一性を、これらタンパク質のHIV1gp120及びヒトCD4分子への結合を直接的に実証することにより確認した。結合のための研究は、BIAcore 2000 (Biacore, Sweden)でおこなった。組み換えヒトCD4(Progenies, Cat. # PRO 1008-1)、組み換えHIV−1 gp120(NIH AIDS Research & Reference Reagent Program, # 4961)、及びgp41(546-682 aa)を、チップのデキストランマトリックスにおけるカルボキシル基へ該当タンパク質をアミノ結合させることによって、バイオセンサーチップ(CM5)の表面へ固定した。10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.05% surfactant P20を含みpH7.4である流動緩衝液における粗サンプルの連続的な希釈物を、固定された各目的物に対して5μl/分で注入し、結合/解離の反応速度論をSPRシグナル(resonance units−RU)の変化として測定した。各注入に続いて1M NaCl、50mM NaOHでの30秒間パルスの再生ステップをおこなった。実験データの数式による近似をBIA評価ソフトウェア3.0でおこなった。
【0062】
5種のヒストンのうち4種がgp120及びCD4分子によく結合した(図3A及びB)。しかしながら、gp120への結合の親和性は、CD4のものと比べて顕著に高かった。
【0063】
(試験例4)
組成物のシスタチンA及びヒストン成分の結合親和性は、等温滴定熱量法(参照することによりそのまま援用されるVelazquez-Campoy 及び Freire (2006) Nature Protocols 1: 186-19l;Sigurskjold (2000) Anal Biochem 277:260-266;Wiseman ら. (1989) Anal. Biochem 179:131-137のような標準手順を用いて決定される。あるいは、結合親和性は、Biacore技術を用いることにより決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シスタチンAタンパク質、及び、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含み、
他の胸腺タンパク質がなく、ヒトへの投与に適しており、薬理学的に許容される添加物又は担体が付加され得る組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のヒストンタンパク質がヒストンH1である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のヒストンタンパク質がヒストンH2Aである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のヒストンタンパク質がヒストンH2Bである請求項1記載の組成物。
【請求項5】
2種のヒストンタンパク質がある請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記2種のヒストンタンパク質がヒストンH1及びヒストンH2である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がgp120への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物がgp41への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がCD4への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記添加物が水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムである請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記添加物がリン酸カルシウムである請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記添加物が、モノホスホリルリピッドA、Quil−A含有免疫刺激性複合体(ISCOMs)、及び、スレオニル誘導体又はムラミールジペプチドを含むSyntex adjuvant製剤からなる群より選ばれた請求項1記載の組成物。
【請求項13】
(a)シスタチンAタンパク質、及び、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含み、
他の胸腺タンパク質がなく、ヒトへの投与に適しており、少なくとも1種の前記シスタチンAタンパク質及び前記少なくとも1種のヒストンタンパク質がCD4、gp120及びp41からなる群より選ばれた少なくとも1種に複合化され、薬理学的に許容される添加物及び/又は担体が付加され得る組成物。
【請求項14】
前記組成物がgp120への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物がgp41への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物がCD4への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項1記載の組成物。
【請求項17】
前記添加物が水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムである請求項1記載の組成物。
【請求項18】
前記添加物がリン酸カルシウムである請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記添加物が、モノホスホリルリピッドA、Quil−A含有免疫刺激性複合体(ISCOMs)、及び、スレオニル誘導体又はムラミールジペプチドを含むSyntex adjuvant製剤からなる群より選ばれた請求項1記載の組成物。
【請求項20】
(a)シスタチンAタンパク質、及び、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含み、
他の胸腺タンパク質がなく、ヒトへの投与に適しており、薬理学的に許容される添加物又は担体が付加され得る組成物を必要としている被験者への投与を備え、AIDS(HIV−1感染)又はAIDSになる危険性がある患者のための治療方法。
【請求項21】
(a)シスタチンAタンパク質、及び、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含み、
他の胸腺タンパク質がなく、ヒトへの投与に適しており、少なくとも1種の前記シスタチンAタンパク質及び前記少なくとも1種のヒストンタンパク質がCD4、gp120及びp41からなる群より選ばれた少なくとも1種と複合化され、薬理学的に許容される添加物又は担体が付加され得る組成物を必要としている被験者への投与を備え、AIDS(HIV−1感染)又はAIDSになる危険性がある患者のための治療方法。
【請求項22】
前記投与を8週間以上にわたっておこなう請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記投与が週に2回である請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記週に2回の投与を連続した日におこなう請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記投与が経口、皮下、静脈内、筋肉内及び粘膜の投与のうちの少なくとも1つである請求項20又は21に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物がgp120への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項20又は21に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物がgp41への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項20又は21に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物がCD4への結合親和性を少なくとも5000RU有する請求項20又は21に記載の方法。
【請求項29】
前記添加物が水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムである請求項20又は21に記載の方法。
【請求項30】
前記添加物がリン酸カルシウムである請求項20又は21に記載の方法。
【請求項31】
前記添加物が、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩添加物、リン酸カルシウムナノ粒子(BioSante Pharmaceuticals, Inc.)、ZADAXINTM、ヌクレオチドppGpp及びpppGpp、死滅されたBordetella pertussis又はその成分、Corenybacterium由来のP40成分、死滅されたコレラの毒素又はその一部、死滅されたマイコバクテリア又はその一部からなる群より選ばれた請求項20又は21に記載の方法。
【請求項32】
(a)被験者から血液、血清、又は血漿のサンプルを収集すること、
(b)前記サンプルを(i)シスタチンAタンパク質及び(ii)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含む組成物と混合すること、
(c)HIV−1感染の指標となる、CD4、gp120及びgp41のいずれか1つに結合した前記組成物の複合体を特定すること、
を有するHIV−1感染の診断方法。
【請求項33】
前記複合体を電気泳動により特定する請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記複合体をクロマトグラフィーにより特定する請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記複合体をHPLCにより特定する請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記複合体を免疫学的反応により特定する請求項32記載の方法。
【請求項37】
(a)シスタチンAタンパク質、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質、及び
(c)前記シスタチンAタンパク質及び前記少なくとも1種のヒストンタンパク質の複合体の少なくとも1種をCD4、gp120、又はgp41で特定する装置、
を備えたHIV感染の検出のためのキット。
【請求項38】
(a)シスタチンAタンパク質、及び、
(b)少なくとも1種のヒストンタンパク質を含み、
他の胸腺タンパク質がなく、ヒトへの投与に適しており、薬理学的に許容される添加物又は担体が付加され得る組成物を必要としている被験者への投与を有する、TH細胞数の減少に関連する疾患の治療方法。
【請求項39】
前記疾患が、多発性硬化症、慢性疲労症候群、関節リウマチ、アルツハイマー病、皮膚炎、1型糖尿病、大腸炎、炎症性腸疾患/過敏性腸症候群、クローン病、乾癬、慢性閉塞性肺疾患、全身性エリテマトーデス、移植による拒絶反応、及び癌からなる群より選ばれたものである請求項38記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【公表番号】特表2010−510174(P2010−510174A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535267(P2009−535267)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/021944
【国際公開番号】WO2008/054635
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509125176)ヴァイラル ジェネティックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VIRAL GENETICS,INC.
【住所又は居所原語表記】1321 Mountain View,Azusa,CA 91702(US)
【Fターム(参考)】