説明

感熱記録材料

【課題】本発明は、耐可塑剤性及び発色特性に優れると共に、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能な感熱記録材料を提供することを目的とする。
【解決手段】感熱記録材料は、支持体上に、感熱発色層を有し、感熱発色層は、ロイコ染料、一般式


で表される化合物と、一般式


で表される化合物を反応させることにより得られると共に、一般式


で表される化合物のモル分率が35%以上85%以下である第一の顕色剤及び一般式


で表される第二の顕色剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において、各種の記録材料が研究・開発され、実用化されている。中でも、感熱記録材料は、加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取り扱いやすく、安価であること等の利点を有するため、情報処理分野(卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低、高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、P0Sシステムのラベル分野等、多岐に亘り、用いられている。
【0003】
これら感熱記録材料の利用分野の中で、POSシステムのラベル分野、特に、弁当や惣菜といった画像の信頼性を重視する分野で、急速に使われるようになっており、包装等に使用される有機高分子材料に含有されている可塑剤や油脂類に対して、高い保存安定性を要求する用途に使われている。また、レシート、領収書等の数年間の保存安定性を要求する用途にも使われ、感熱記録材料への要求品質が年々高まっているのが現状である。一方で、感熱記録材料がコンビニエンスストアで販売される食品にPOSラベルとして使用されることが近年多くなっているが、販売時に電子レンジで食品を温めると、ラベルが地肌発色を起こし、バーコードの読み取りができなくなるという問題がある。このため、染料、顕色剤、保存安定剤等の助剤の開発がされているが、可塑剤に対する画像の安定性と地肌の耐熱性を高いバランスで満足できるものは未だ見出されていない。
【0004】
ところで、感熱記録材料に使用されるロイコ染料を加熱時に発色させる顕色剤としては、ビスフェノールA、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを始めとするフェノール系顕色剤が広く使われている。しかしながら、これらの顕色剤は、発色性に優れている一方で、高熱環境下では、地肌かぶりが発生しやすいという問題があるために、90℃以上の高温での使用には適さない。また、これらの顕色剤は、単独では、十分な耐可塑剤性を有さないという問題がある。
【0005】
これに対して、比較的安価に製造することが可能であり、地肌の耐熱性に優れる顕色剤として、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−置換フェノールと、2つのオルト位及びパラ位が無置換であるフェノール類を反応させて得られる純度が95%以上で且つ融点が150〜200℃であるフェノール系3核体組成物(特許文献1参照)及びフェノール三核体の分率が35〜85%であるフェノール樹脂系顕色剤(特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されている顕色剤は、融点が極めて高いために、プリンター印字時の動的発色特性が不足するという問題があり、さらに、可塑剤に対する画像安定性が十分ではない。また、特許文献2に記載の顕色剤は、動的発色特性が改善されているものの、可塑剤に触れる環境下では、画像の消色が大きいという問題がある。
【0006】
また、類似の構造を持つ顕色剤として、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)を80%含有する縮合組成物と共に、安定化剤として、4−ベンジルオキシ−4’−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等のエポキシ基を含む化合物を用いること(特許文献3参照)及び前記縮合組成物と共に、増感剤として、ジフェニルスルホンを用いること(特許文献4参照)が開示されているが、特許文献3に記載されている顕色剤は、動的発色特性が不十分である。また、特許文献4に記載されている顕色剤は、電子レンジでの加熱に耐え得る地肌の耐熱性と耐可塑剤性が両立されていない。
【特許文献1】特開2001−96926号公報
【特許文献2】特開2003−291541号公報
【特許文献3】特開2003−154761号公報
【特許文献4】再表03/029017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、耐可塑剤性及び発色特性に優れると共に、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能な感熱記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、支持体上に、感熱発色層を有する感熱記録材料において、該感熱発色層は、ロイコ染料、一般式
【0009】
【化1】

で表される化合物と、一般式
【0010】
【化2】

で表される化合物を反応させることにより得られると共に、一般式
【0011】
【化3】

で表される化合物のモル分率が35%以上85%以下である第一の顕色剤及び一般式
【0012】
【化4】

で表される第二の顕色剤を含有し、Rは、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上10以下のアルキル基、炭素数が1以上10以下のアルコキシル基又は炭素数が6以上8以下のアリール基であり、Rは、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシル基であり、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン基、炭素数が1以上6以下のアルキル基又は炭素数が1以上6以下のアルケニル基であり、aは、0以上10以下の整数であり、l、m、n、p、q及びrは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、X及びYは、それぞれ独立に、炭素数が1以上12以下の二価の炭化水素基、一般式
【0013】
【化5】

で表される官能基又は一般式
【0014】
【化6】

で表される官能基であり、R10は、メチレン基又はエチレン基であり、R11は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることを特徴とする。これにより、耐可塑剤性及び発色特性に優れると共に、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能な感熱記録材料を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の感熱記録材料において、前記ロイコ染料に対する前記第二の顕色剤の重量比は、0.2以上2以下であることを特徴とする。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、耐可塑剤性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の感熱記録材料において、前記第一の顕色剤及び第二の顕色剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、発色特性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感熱記録材料において、前記ロイコ染料は、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6’−(N−エチル−N−4−メチルフェニルアミノ)−3’−メチル−2’−フェニルアミノスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン又は2−アリニノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランであることを特徴とする。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、発色特性を向上させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感熱記録材料において、前記ロイコ染料の平均粒子径は、0.1μm以上0.3μm以下であることを特徴とする。これにより、発色特性を向上させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の感熱記録材料において、前記感熱発色層は、炭酸カルシウムをさらに含有し、前記ロイコ染料に対する該炭酸カルシウムの重量比は、0.5以上3以下であることを特徴とする。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することができると共に、地肌反射率を向上させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の感熱記録材料において、前記支持体と前記感熱発色層との間に、中空粒子を含有するアンダーコート層を有することを特徴とする。これにより、発色特性を向上させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の感熱記録材料において、前記中空粒子の中空率は、80%以上であることを特徴とする。これにより、発色特性をさらに向上させることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の感熱記録材料において、前記中空粒子の平均粒子径は、0.4μm以上10μm以下であることを特徴とする。これにより、発色特性をさらに向上させることができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の感熱記録材料において、前記感熱発色層上に、ジアセトン変性ポリビニルアルコールを含有する保護層を有することを特徴とする。これにより、保護層の耐熱性を向上させることができる。
【0024】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の感熱記録材料において、前記保護層は、ヒドラジド化合物をさらに含有することを特徴とする。これにより、耐水剥がれ性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、耐可塑剤性及び発色特性に優れると共に、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能な感熱記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0027】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱発色層を有するが、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能な第一の顕色剤を用いて、耐可塑剤性及び発色特性を両立させることができる。耐可塑剤性を向上させる方法としては、耐可塑剤性に優れる顕色剤を併用することが技術的に可能であるが、この場合、2つの顕色剤の相溶効果により、溶融開始温度が低下し、地肌かぶりが発生しやすくなるという問題がある。
【0028】
そこで、本発明においては、一般式(I)
【0029】
【化7】

(Rは、ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基又は炭素数6〜8のアリール基であり、Rは、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシル基である。)
で表される化合物と、一般式(II)
【0030】
【化8】

(Rは、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシル基である。)
で表される化合物を反応させることにより得られると共に、一般式(III)
【0031】
【化9】

で表される化合物のモル分率が35〜85%である第一の顕色剤と、一般式(IV)
【0032】
【化10】

(X及びYは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の二価の炭化水素基、一般式(V)
【0033】
【化11】

(R10は、メチレン基又はエチレン基である。)
で表される官能基又は一般式(VI)
【0034】
【化12】

(R11は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基である。)
で表される官能基であり、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルケニル基であり、aは、0〜10の整数であり、l、m、n、p、q及びrは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
で表される第二の顕色剤を併用することにより、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することが可能であると共に、耐可塑剤性及び発色特性に優れる感熱記録材料が得られる。なお、メカニズムは、明確になっていないが、嵩の大きい第一の顕色剤と第二の顕色剤を組み合わせることにより、加熱時に相溶することによる地肌かぶりの発生が抑制されると推定される。さらに、第二の顕色剤は、分子量が大きいため、可塑剤に触れても容易には、消色反応しにくいため、発色画像の安定性を向上させることができる。
【0035】
次に、本発明で用いられる第一の顕色剤について、説明を行う。
【0036】
一般式(I)及び(III)において、Rのハロゲン基としては、クロロ基、フルオロ基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルコキシル基としては、メトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。また、Rのハロゲン基、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシル基としては、Rと同様のものが挙げられる。なお、2つのRは、互いに同一でも、異なっていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0037】
一般式(I)で表される化合物としては、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−イソプロピルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−3,4,5−トリメチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−フェニルフェノール等が挙げられる。中でも、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−フェニルフェノールが好ましく、入手の容易さ等の点から、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール及び2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−ブチルフェノールが特に好ましい。
【0038】
一般式(I)で表される化合物は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、水酸基に対して、2つのオルト位が無置換のパラ置換フェノールに、アルカリの存在下、ホルムアルデヒドを反応させることにより、得ることができる。
【0039】
一方、一般式(II)及び(III)において、Rのハロゲン基、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシル基としては、Rと同様のものが挙げられる。なお、2つのRは、互いに同一でも、異なっていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0040】
一般式(II)で表される化合物としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、3−エチルフェノール等が挙げられる。
【0041】
次に、本発明で用いられる第二の顕色剤について、説明を行う。
【0042】
一般式(IV)において、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、l、m、n、p、q及びrは、それぞれ独立に、0又は1であることが好ましく、aは、1〜7の整数であることが好ましい。なお、l、m、n、p、q及びrがそれぞれ2以上である場合は、2つ以上のR、R、R、R、R及びRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。また、X及びYの炭素数1〜12の二価の炭化水素基は、直鎖及び分枝鎖のいずれであってもよく、飽和及び不飽和のいずれであってもよく、エーテル結合を有してもよい。さらに、一般式(VI)において、R11は、水素原子であることが好ましい。
【0043】
X及びYとしては、炭素数1〜12のエーテル結合を有する二価の飽和炭化水素基が挙げられ、炭素数1〜6のエーテル結合を有する二価の飽和炭化水素基が好ましく、化学構造式
−CHCHOCHCH
で示される官能基が特に好ましい。
【0044】
なお、第二の顕色剤としては、例えば、D−90(日本曹達社製)が市販されている。D−90は、一般式(IV)において、R〜Rが水素原子であり、X及びYは、化学構造式
−CHCHOCHCH
で示される官能基であり、l、m、n、p、q及びrが4である化合物である。
【0045】
本発明において、ロイコ染料に対する第二の顕色剤の重量比は、0.2〜2であることが好ましい。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、耐可塑剤性を向上させることができる。
【0046】
また、顕色剤は、分散剤及び/又は界面活性剤を用いて、分散機により分散させることができるが、顕色剤の平均粒子径は、0.5〜2.0μmであることが好ましい。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、発色特性を向上させることができる。
【0047】
本発明において、ロイコ染料は、単独又は2種以上混合して用いることができる。ロイコ染料としては、この種の感熱記録材料に適用されているものを用いることができ、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物を好ましく用いることができる。
【0048】
ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−1,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−アミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシベンゾインドリノースピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシベンゾインドリノースピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロロ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−ビス(p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−p−クロロフェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−フェニル−1”,3”−ブタジエン)イル}ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3’(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トリルスルホニルメタン等が挙げられる。中でも、3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6’−(N−エチル−N−4−メチルフェニルアミノ)−3’−メチル−2’−フェニルアミノスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン又は2−アリニノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランであることが好ましい。これにより、高温環境下における地肌かぶりの発生をさらに抑制することができると共に、発色特性を向上させることができる。
【0049】
本発明において、ロイコ染料は、顕色剤と同様に、分散剤及び/又は界面活性剤を用いて、分散機により分散させることができるが、ロイコ染料の平均粒子径は、0.1〜0.3μmであることが好ましい。これにより、発色特性を向上させることができる。ロイコ染料を分散させる際には、分散剤及び/又は界面活性剤を、ロイコ染料に対して、5〜20重量%添加することが好ましい。ロイコ染料の分散方法としては、ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ジェットミル等を用いることができるが、メディアを用いた分散方式が好ましい。具体的には、メディアとして、直径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いることが好ましい。このとき、メディアの直径が0.5〜1.0mmのジルコニアメディアを用いて粗粉砕した後に、メディアの直径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いて分散させることがさらに好ましい。これにより、ロイコ染料を微粒子化することができる。
【0050】
本発明の感熱記録材料を構成する成分粒子の平均粒子径の測定方法としては、例えば、マイクロトラックHRA9320−X100型、堀場製作所製LA920型、レーゼンテックFBRM装置等を用いたレーザー解析・散乱法、遠心沈降方式、コールターカウンター、電子顕微鏡等の通常用いられている測定機により、測定することができる。
【0051】
また、本発明において、感熱発色層は、必要に応じて、補助添加剤として、電子受容性であるが発色能力の比較的少ない種々のヒンダードフェノール化合物及びヒンダードアミン化合物を併用することができる。その具体例としては、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
【0052】
本発明の感熱記録材料を製造する際には、ロイコ染料及び顕色剤を支持体上に結合支持させるために慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。結合剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸ブチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。
【0053】
また、本発明において、感熱発色層には、目的に応じて(例えば、感度向上剤として)、種々の熱可融性物質を添加することができる。なお、惣菜等の用途向けに耐熱性が要求される場合には、熱可融性物質は、できるだけ使用しないか、融点が100℃以上の化合物を選択して使用することが好ましい。
【0054】
熱可融性物質の具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、p−アセチルビフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフト酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グレヤコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジロキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジフェニルチオブタン、1,4−ジフェニルチオ−2−ブテン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパルギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−フェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)等が挙げられる。
【0055】
また、本発明においては、必要に応じて、この種の感熱記録材料に慣用される補助添加成分、例えば、フィラー、界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤等を感熱発色層に添加することができる。
【0056】
フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレーカオリン、タルク、表面処理されたカルシウム、シリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、塩化ビニリデン樹脂等の有機系微粉末が挙げられる。中でも、炭酸カルシウムは、高温環境下における地肌かぶりの発生を抑制することができると共に、地肌反射率を向上させることができるため、好ましい。このとき、ロイコ染料に対する炭酸カルシウムの重量比は、0.5〜3であることが好ましい。また、シリカ等の吸油性を有するフィラーを感熱発色層に添加すると、サーマルプリンターを用いて印字する際に、熱溶融物がサーマルヘッドに付着することによる、印字かすれ等の発生を抑制することができる。
【0057】
滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
【0058】
本発明において、支持体としては、上質紙、古紙パルプからなる支持体(古紙パルプを50%以上使用)、合成紙、ラミネート紙等を用いることができる。
【0059】
本発明においては、感熱発色層と支持体の間にアンダーコート層を設けることが好ましい。これにより、サーマルヘッド等から与えられる熱エネルギーを効率的に用いて発色させることができ、発色特性を向上させることができる。アンダーコート層を形成する材料としては、感熱発色層に用いられる結合剤、フィラー等が挙げられる。
【0060】
アンダーコート層は、フィラーとして、中空粒子を含有することが好ましい。これにより、断熱性及びヘッドとの密着性を向上させることができ、発色特性をさらに向上させることができる。また、中空粒子は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有し、発泡状態となっている中空粒子であることがさらに好ましい。
【0061】
本発明において、中空粒子の平均粒子径(粒子外径)は、0.4〜10μmであることが好ましい。平均粒子径が0.4μmより小さいものは、中空率を制御することが難しいこと等の生産上の問題がある。また、平均粒子径が10μmより大きいものは、支持体上に塗布する時にスクラッチ状のスジを形成しやすく、乾燥後の支持体の表面平滑性が低下して、サーマルヘッドとの密着性が低下し、発色特性を向上させる効果が低下することがある。したがって、中空粒子は、粒子径分布のバラツキが少ないことが好ましい。
【0062】
さらに、中空粒子の中空率は、80%以上であることが好ましく、90〜98%が特に好ましい。なお、中空率とは、中空粒子の外径と内径の比であり、式
中空率=(中空粒子の内径)/(中空粒子の外径)×100
で表される。
【0063】
中空粒子に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン及びこれらの共重合体が挙げられる。中でも、中空率を良好に制御するためには、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体が好ましい。
【0064】
本発明においては、感熱発色層上に、可塑剤、油等の物質から画像を保護するために保護層を設けることが好ましい。保護層を形成する材料としては、感熱発色層に用いられる結合剤、フィラー等が挙げられる。
【0065】
保護層に用いられる結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉及びその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、スチレン−アクリル酸−アクリルアミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、水性ポリエステル、水性ポリウレタン、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体及びその誘導体等の水溶性樹脂や、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及びこれらの誘導体が挙げられる。中でも、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましく、ジアセトン変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。これにより、保護層の耐熱性を向上させることができ、印字する際の耐ヘッド張り付き性を向上させることができる。さらに、保護層は、耐水化剤として、ヒドラジド化合物をさらに含有することが好ましい。これにより、ジアセトン変性ポリビニルアルコールの架橋反応が促進され、耐水剥がれ性を向上させることができる。ヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0066】
また、保護層に用いられるフィラーとしては、例えば、感熱発色層に用いられるものと同様のものを用いることができるが、水酸化アルミニウム、シリカ等が特に有用である。フィラーの添加量は、保護層に対して、通常、30〜80重量%であり、40〜70重量%が好ましい。
【0067】
なお、保護層の乾燥塗布量は、3.0g/m以下であることが好ましい。保護層の乾燥塗布量が3.0g/mを超えると、保護層の下層の感熱発色層への熱の移動に支障を来すことがある。
【0068】
なお、支持体上に、アンダーコート層、感熱発色層及び保護層を形成するためには、従来公知の方法を用いればよく、支持体上に、それぞれアンダーコート層塗布液、感熱発色層塗布液及び保護層塗布液を塗布して乾燥させればよい。塗布方法としては、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法、エクストルージョン塗布法等の従来公知の塗布方法が利用できる。
【0069】
本発明の感熱記録材料の記録方法としては、使用目的によって、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等の記録方法が挙げられるが、特に限定されない。
【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%は、何れも重量基準である。
(1)感熱発色層を構成する各成分を含有する液の調製
下記組成の各液を、サンドグラインダーを用いて、A液、B液及びC液については、表1に記載されている平均粒子径となるように、また、D液については、平均粒子径が1.5μmになるように、分散させることにより、A液、B液、C液及びD液を調製した。
[A液]
ロイコ染料(表1参照):20部
ポリビニルアルコールの10%水溶液:20部
水:60部
[B液]
2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール及びフェノールを反応させることにより得られると共に、一般式(I)で表される化合物(R=CH、R=R=H)の分率が50%である第一の顕色剤:20部
ポリビニルアルコールの10%水溶液:20部
水:60部
[C液]
第二の顕色剤(表1参照):20部
ポリビニルアルコールの10%水溶液:20部
水:60部
[D液]
フィラー(表1参照):20部
ポリビニルアルコールの10%水溶液:20部
水:60部
(2)感熱発色層塗布液の調製
A液、B液、C液及びD液の各液を、表1に記載されている添加量で添加して混合することにより、感熱発色層塗布液を調製した。
(3)アンダーコート層塗布液の調製
中空粒子(表1参照)25部、固形分47.5%のスチレン−ブタジエン共重合体のラテックス15部及び水60部を撹拌分散させることにより、アンダーコート層塗布液を調製した。
(4)保護層塗布液の調製
平均粒子径が0.6μmの水酸化アルミニウムのハイジライトH−43M(昭和電工社製)20部、ポリビニルアルコール20部及び水60部からなる混合物を、サンドミルを用いて24時間分散させることにより、E液を調製した。
【0071】
E液75部、水溶性樹脂(表1参照)100部、耐水化剤(表1参照)15部、45%室温硬化型シリコーンゴム0.05部及び水90部からなる混合物を攪拌混合することにより、保護層塗布液を調製した。
(5)感熱記録材料の作製
坪量60g/mの紙上に、ロイコ染料の付着量が0.50g/mになるように、感熱発色層塗布液を塗布、乾燥することにより、感熱発色層を形成した。さらに、その上に、乾燥塗布量が3.0g/mになるように、保護層塗布液を塗布、乾燥した後に、スーパーキャレンダーで処理することにより、実施例1〜12、比較例1〜3の感熱記録材料を作製した。
【0072】
また、坪量60g/mの紙上に、乾燥塗布量が3.0g/mになるように、アンダーコート層塗布液を塗布、乾燥することにより、アンダーコート層を形成した。次に、その上に、ロイコ染料の付着量が0.50g/mになるように、感熱発色層塗布液を塗布、乾燥することにより、感熱発色層を形成した。さらに、その上に、乾燥塗布量が3.0g/mになるように、保護層塗布液を塗布、乾燥した後に、スーパーキャレンダーで処理することにより、実施例13〜17の感熱記録材料を作製した。
【0073】
【表1】

(6)評価試験
以上のようにして作製した感熱記録材料について、以下の試験を実施した。
(耐可塑剤性試験)
印字シミュレーター(大倉電機社製)を用いて、0.45mJ/dotの熱エネルギーを印加して印字した感熱記録材料の試験片に、塩ビラップ3枚及び一般上質紙10枚を重ね、200g/cmとなるように錘を載せたものを、40℃環境下で24時間放置した後に、画像部の濃度を測定した。
(耐熱性試験)
感熱記録材料を90℃環境下で1時間放置した後の地肌部の濃度を測定した。
(地肌反射率試験)
地肌反射率計モデル577(フォトボルト社製)を用いて、感熱記録材料の地肌反射率を測定した(フィルター:グリーン使用)。
(発色特性試験)
印字シミュレーター(大倉電機社製)を用いて、0.27mJ/dot、0.36mJ/dot及び0.45mJ/dotの熱エネルギーを印加して印字し、それぞれの発色濃度を、マクベス濃度計RD−914を用いて測定した。
(塗布均一性)
感熱記録材料の表面を、ルーペを用いて目視で観察した。なお、欠陥が無く、極めて均一な状態を◎、若干欠陥があるが、全体的には均一な状態を○、若干凹凸があり、不均一な状態を△、極めて凹凸が激しく、不均一な状態を×として、判定した。
(耐水剥がれ)
感熱記録材料を3cm四方にカットし、20℃の水に15時間浸漬させた後、指で10往復表面を擦って剥がれの程度を観察した。なお、剥がれが無く、ぬめり感が全く無いものを◎、剥がれは無いが、若干ぬめり感があるものを○、若干剥がれがあるものを△、激しく剥がれを起こすものを×として、判定した。
(印字時の搬送性)
感熱記録材料及びプリンターSM−90(寺岡精工社製)を40℃、90%RHの高温高湿環境下に1時間放置して調湿した後、印字を行った。搬送性が劣っている場合は、感熱記録材料とサーマルヘッドの貼り付きによる搬送不良が発生し、印字パターンの長さが短くなったり、変形したりする。なお、搬送不良が無いものを◎、若干の搬送不良が有るものを○、明らかな搬送不良があるものを△、搬送不良により紙が全く進まないものを×として、判定した。
【0074】
以上の試験の結果を表2に示す。
【0075】
【表2】

表2に示された試験結果について説明する。第二の顕色剤として、D−90を用いた実施例1は、D−90を用いない比較例1に対して、明らかに耐可塑剤性に優れ、耐熱性も十分である。第二の顕色剤として、他の顕色剤を用いた比較例3は、耐熱性が低く、地肌かぶりが発生した。また、第一の顕色剤を用いない比較例2は、耐熱性及び耐可塑剤性に優れているものの、発色特性が極めて低い。ロイコ染料に対するD−90の重量比が0.2〜2である実施例2、3では、耐可塑剤性を維持しながら、耐熱性及び地肌反射率が向上している。顕色剤の平均粒子径が0.5〜2.0μmである実施例4、5では、耐熱性が変動すること無く、発色特性が向上している。特定のロイコ染料との組み合わせである実施例6〜8では、耐熱性及び地肌反射率がさらに向上する傾向にある。ロイコ染料の平均粒子径が0.1〜0.3μmである実施例9、10では、他の品質を維持しながら、発色特性が向上している。フィラーとして、炭酸カルシウムを用いた実施例11、12では、地肌反射率が向上している。樹脂中空粒子を用いてアンダーコート層を形成した実施例13、14では、原紙の表面が平滑化する効果により、塗布層全体が均一になり、プリンターのヘッドとの密着性が向上して、発色特性が向上している。平均粒子径が0.4〜10μmの樹脂中空粒子を用いた実施例15では、アンダーコート層の表面がさらに均一となり、塗布均一性が向上している。ジアセトン変性ポリビニルアルコールを用いて保護層を形成した実施例16では、印字時の搬送性が向上し、さらに、耐水化剤として、ヒドラジド化合物を用いて保護層を形成した実施例17では、架橋反応が効率よく進行するため、保護層の水に対する溶解性が低下し、耐水剥がれが向上している。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の感熱記録材料は、情報処理分野(卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低速及び高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、P0Sシステムのラベル分野等における感熱記録材料として、適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、感熱発色層を有する感熱記録材料において、
該感熱発色層は、ロイコ染料、一般式
【化1】

で表される化合物と、一般式
【化2】

で表される化合物を反応させることにより得られると共に、一般式
【化3】

で表される化合物のモル分率が35%以上85%以下である第一の顕色剤及び一般式
【化4】

で表される第二の顕色剤を含有し、
は、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上10以下のアルキル基、炭素数が1以上10以下のアルコキシル基又は炭素数が6以上8以下のアリール基であり、
は、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシル基であり、
は、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシル基であり、
、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン基、炭素数が1以上6以下のアルキル基又は炭素数が1以上6以下のアルケニル基であり、
aは、0以上10以下の整数であり、
l、m、n、p、q及びrは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、
X及びYは、それぞれ独立に、炭素数が1以上12以下の二価の炭化水素基、一般式
【化5】

で表される官能基又は一般式
【化6】

で表される官能基であり、
10は、メチレン基又はエチレン基であり、
11は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることを特徴とする感熱記録材料。
【請求項2】
前記ロイコ染料に対する前記第二の顕色剤の重量比は、0.2以上2以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記第一の顕色剤及び第二の顕色剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記ロイコ染料は、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6’−(N−エチル−N−4−メチルフェニルアミノ)−3’−メチル−2’−フェニルアミノスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン又は2−アリニノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記ロイコ染料の平均粒子径は、0.1μm以上0.3μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記感熱発色層は、炭酸カルシウムをさらに含有し、
前記ロイコ染料に対する該炭酸カルシウムの重量比は、0.5以上3以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項7】
前記支持体と前記感熱発色層との間に、中空粒子を含有するアンダーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項8】
前記中空粒子の中空率は、80%以上であることを特徴とする請求項7に記載の感熱記録材料。
【請求項9】
前記中空粒子の平均粒子径は、0.4μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の感熱記録材料。
【請求項10】
前記感熱発色層上に、ジアセトン変性ポリビニルアルコールを含有する保護層を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項11】
前記保護層は、ヒドラジド化合物をさらに含有することを特徴とする請求項10に記載の感熱記録材料。

【公開番号】特開2007−245699(P2007−245699A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119854(P2006−119854)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】