説明

感触変更装置

【課題】基材の触り心地を変える。
【解決手段】本発明の感触変更装置10は、基材12と、第一表面性状を有する複数の第一表面性状部22Aと、第一表面性状とは異なる第二表面性状を有する複数の第二表面性状部22Bと、基材12の延在方向を回転軸方向として回転可能とされると共に、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bが回転方向に並んで設けられた回転部材14と、を備える。この構成によれば、回転部材14が回転されることにより、複数の第一表面性状部22A及び複数の第二表面性状部22Bを突出状態と退避状態とに切り替えることができる。これにより、基材12の表側に、第一表面性状部22Aの第一表面性状が出現した状態と、第二表面性状部22Bの第二表面性状が出現した状態とに切り替えることができるので、基材12の触り心地を変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感触変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マトリックス状に配列された複数の触覚ピンを備えた触覚ディスプレイ装置が開示されている。この触覚ディスプレイ装置では、複数の触覚ピンが駆動制御されることで触覚により検知可能な図形がユーザに対して出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−101677号公報
【特許文献2】特開2003−91233号公報
【特許文献3】特開2003−248540号公報
【特許文献4】特開2008−129437号公報
【特許文献5】特開2002−315810号公報
【特許文献6】特開2008−149844号公報
【特許文献7】特許第4124367号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】下条 誠、“触覚の生理・心理学の初歩”、[online]、2007年3月版、電気通信大学 知能機械工学科、[平成20年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.rm.mce.uec.ac.jp/sice/2006HapticsCommiteePPt.pdf>
【非特許文献2】特定非営利活動法人 プロジェクトゆうあい、OUV3000、製品情報、[online]、[平成20年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.project-ui.com/OUV3000HP/status/status.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、複数の触覚ピンによって形成される図形の触り心地が単一であり、この触り心地を変えることができない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、基材の触り心地を変えることができる感触変更装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の感触変更装置は、基材と、第一表面性状を有する複数の第一表面性状部と、前記第一表面性状とは異なる第二表面性状を有する複数の第二表面性状部と、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部が一体に設けられると共に、前記複数の第一表面性状部を互いに間隔を空けた状態で前記基材に対する表側に突出させ前記複数の第二表面性状部を前記第一表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる第一切替態様と、前記複数の第二表面性状部を互いに間隔を空けた状態で前記基材に対する表側に突出させ前記複数の第一表面性状部を前記第二表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる第二切替態様とを取り得る切替部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の感触変更装置では、切替部が第一切替態様とされると、複数の第一表面性状部が互いに間隔を空けた状態で基材に対する表側に突出され、複数の第二表面性状部が第一表面性状部に対する基材の裏側に退避される。
【0009】
一方、切替部が第二切替態様とされると、複数の第二表面性状部が互いに間隔を空けた状態で基材に対する表側に突出され、複数の第一表面性状部が第二表面性状部に対する基材の裏側に退避される。
【0010】
ここで、第一表面性状部は、第一表面性状を有しており、第二表面性状部は、第一表面性状とは異なる第二表面性状を有している。従って、上述のように、第一表面性状部及び第二表面性状部が突出状態と退避状態とに切り替えられることにより、基材の表側に、第一表面性状部の第一表面性状が出現した状態と、第二表面性状部の第二表面性状が出現した状態とに切り替えることができる。
【0011】
このように、請求項1に記載の感触変更装置によれば、基材の表側に、第一表面性状部の第一表面性状が出現した状態と、第二表面性状部の第二表面性状が出現した状態とに切り替えることができるので、基材の触り心地を変えることができる。
【0012】
請求項2に記載の感触変更装置は、請求項1に記載の感触変更装置において、前記切替部が、前記第一切替態様にあるときに、前記複数の第一表面性状部を使用者の身体のうち前記複数の第一表面性状部と接触されると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を互いに空けた状態で前記基材に対する表側に突出させる、構成とされている。
【0013】
請求項2に記載の感触変更装置によれば、複数の第一表面性状部は、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部と接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材に対する表側に突出される。これにより、基材の表面全体の性状を変えなくても、使用者に対して基材の表面全体の触り心地が変わったように錯覚させることができる。
【0014】
請求項3に記載の感触変更装置は、請求項1に記載の感触変更装置において、前記切替部が、前記第一切替態様にあるときに、前記複数の第一表面性状部を使用者の身体のうち前記複数の第一表面性状部と接触されると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を互いに空けた状態で前記基材に対する表側に突出させる、構成とされている。
【0015】
請求項3に記載の感触変更装置によれば、複数の第一表面性状部は、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部と接触すると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を空けた状態で基材に対する表側に突出される。これにより、使用者が複数の第一表面性状部を接触することで、この複数の第一表面性状部のそれぞれの配置等を認識できるようになるので、例えば、使用者に対して所定の情報を伝達することができる。
【0016】
請求項4に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度を変更させるための温度変更部と、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感に合うように、前記温度変更部を制御する制御部と、をさらに備えている。
【0017】
請求項4に記載の感触変更装置によれば、温度変更部が制御部によって制御されることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、第一表面性状部及び第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感に合うように調節される。これにより、第一表面性状部及び第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が有する温度感を強調することができる。
【0018】
請求項5に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度を変更させるための温度変更部と、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感と反するように、前記温度変更部を制御する制御部と、をさらに備えている。
【0019】
請求項5に記載の感触変更装置によれば、温度変更部が制御部によって制御されることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、第一表面性状部及び第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感と反するように調節される。これにより、使用者が基材に接触した場合に、使用者に対し予期せぬ感触を与えることができる。
【0020】
請求項6に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記切替部が、前記第一切替態様としての第一回転位置と、前記第二切替態様としての第二回転位置とを取り得るように、前記基材の延在方向を回転軸方向として回転可能とされると共に、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部が回転方向に並んで設けられた回転部材を有する、構成とされている。
【0021】
請求項6に記載の感触変更装置によれば、回転部材が第一回転位置と第二回転位置とに回転されることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部を突出状態と退避状態とに切り替えることができる。
【0022】
また、基材の延在方向を回転軸方向として回転可能な回転部材を用いることにより、例えば、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部をスライドさせるためのスライド機構等が不要となり、装置の構造を簡素化することができる。
【0023】
請求項7に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記切替部が、前記基材の延在方向に沿って延在された可撓性を有するシート状に構成されると共に、前記第一切替態様としての第一スライド位置と、前記第二切替態様としての第二スライド位置とを取り得るように、前記基材の延在方向に沿ってスライド可能に設けられたシート部材を有し、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部が、前記シート部材の一部を構成すると共に、前記シート部材のスライド方向に並んで配置され、前記シート部材に対する裏側に設けられ、前記シート部材が前記第一スライド位置にあるときに、前記第一表面性状部を前記基材に対する表側に膨出させて突出させると共に、前記第二表面性状部を前記第一表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させ、前記シート部材が前記第二スライド位置にあるときに、前記第二表面性状部を前記基材に対する表側に膨出させて突出させると共に、前記第一表面性状部を前記第二表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる駆動部をさらに備えた、構成とされている。
【0024】
請求項7に記載の感触変更装置によれば、シート部材が第一スライド位置と第二スライド位置とにスライドされることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部を突出状態と退避状態とに切り替えることができる。
【0025】
また、シート部材は、基材の延在方向に沿って延在されると共に、基材の延在方向に沿ってスライドされる構成とされている。従って、基材の法線方向に装置が大型化することを抑制して、装置を薄型化することができる。
【0026】
請求項8に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記切替部が、それぞれ前記基材の表裏方向に独立して移動可能とされると共に、前記第一切替態様として一方が他方に対して前記基材の表側に移動され、前記第二切替態様として他方が一方に対して前記基材の表側に移動される一対の可動部材を有し、前記第一表面性状部が、前記一方の可動部材に設けられ、前記第二表面性状部が、前記他方の可動部材に設けられた、構成とされている。
【0027】
請求項8に記載の感触変更装置によれば、一対の可動部材の互いの相対位置が切り替えられることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部を突出状態と退避状態とに切り替えることができる。
【0028】
また、基材の表裏方向に移動可能な一対の可動部材を用いることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部の基材の延在方向への配置間隔を狭めることができる。これにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部の配置の自由度を向上させることができる。
【0029】
請求項9に記載の感触変更装置は、請求項1〜請求項5、及び、請求項8のいずれか一項に記載の感触変更装置において、前記切替部が、温度の変化に応じて、前記第一切替態様としての第一形態と、前記第二切替態様としての第二形態とに変化する可変部を有する、構成とされている。
【0030】
請求項9に記載の感触変更装置によれば、可変部が温度の変化に応じて第一形態と第二形態とに切り替えられることにより、複数の第一表面性状部及び複数の第二表面性状部を突出状態と退避状態とに切り替えることができる。
【0031】
また、温度の変化に応じて第一形態と第二形態とに変化する可変部を用いることにより、例えば、別途、アクチュエータや温度センサ等を設ける必要が無くなり、装置の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上詳述したように、本発明によれば、基材の触り心地を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の第一動作状態を示す側面断面図である。
【図1B】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の第二動作状態を示す側面断面図である。
【図2A】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の第一動作状態を示す平面図である。
【図2B】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の第二動作状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る感触変更装置の分解斜視図である。
【図6A】図5に示されるシート部材の第一スライド位置を説明する図である。
【図6B】図5に示されるシート部材の第二スライド位置を説明する図である。
【図7A】本発明の第二実施形態に係る感触変更装置の第一動作状態を示す平面図である。
【図7B】本発明の第二実施形態に係る感触変更装置の第二動作状態を示す平面図である。
【図8A】図7Aの6A−6A線断面図である。
【図8B】図7Bの6B−6B線断面図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置を示す図である。
【図10】図9に示される感触変更装置の分解斜視図である。
【図11A】図9に示される感触変更装置の第一動作状態を示す側面断面図である。
【図11B】図9に示される感触変更装置の第二動作状態を示す側面断面図である。
【図12】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図14A】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例における第一動作状態を示す図である。
【図14B】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例における第二動作状態を示す図である。
【図15】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図16】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図17】本発明の第三実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図18】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置を示す図である。
【図19】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図21】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図22】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図23】本発明の第四実施形態に係る感触変更装置の変形例を示す図である。
【図24】本発明の第一応用例に係るアシストグリップ装置を示す図である。
【図25】本発明の第二応用例に係るセンターコンソール装置を示す図である。
【図26A】本発明の第二応用例に係るセンターコンソール装置の変形例における第一動作状態を示す図である。
【図26B】本発明の第二応用例に係るセンターコンソール装置の変形例における第二動作状態を示す図である。
【図27】本発明の第三応用例に係る体重計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0035】
図1A〜図2Bには、本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10が示されている。
【0036】
これらの図に示されるように、感触変更装置10は、基材12と、複数の回転部材14(切替部)とを備えている。この感触変更装置10は、例えば、乗用自動車等の車両の室内に備えられるアシストグリップ、ステアリングホイール、シート、センターコンソール、アームレスト、インストルメントパネル等の車室部材に一体に設けられるものである。
【0037】
基材12は、例えば上述の車室部材における一般面を構成している。この基材12には、後述する球状部材20と対応する位置に、この基材12の表側と裏側とを連通する連通孔16が複数形成されている。
【0038】
回転部材14は、図1A,図1Bに示されるように、支持部材18と、複数の球状部材20とを有して構成されている。支持部材18は、基材12に対する裏側に配置されており、基材12の延在方向に沿って延びる棒状に構成されている。この支持部材18は、基材12の延在方向が回転軸方向となるように、その長手方向両側が図示しないベアリング等によって回転可能に支持されている。
【0039】
複数の球状部材20は、支持部材18の長手方向に略等間隔に配置されて、この支持部材18にそれぞれ一体回転可能に固定されている。そして、各球状部材20の表面には、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bが球状部材20の回転方向に並んで設けられている。つまり、各球状部材20において、回転中心軸に対する一方側の半球部の表面に設けられているのが第一表面性状部22Aであり、回転中心軸に対する他方側の半球部の表面に設けられているのが第二表面性状部22Bである。
【0040】
第一表面性状部22Aは、第一表面性状として、例えば木質調を有しており、第二表面性状部22Bは、第一表面性状とは異なる第二表面性状として、例えば金属調を有している。
【0041】
なお、木質調は、本物の木によるものであっても良く、木以外のものによるものであっても良い。同様に、金属調は、本物の金属によるものであっても良く、金属以外のものによるものであっても良い。また、木質調とは、使用者に対して視覚的及び触覚的に木と認識させ得る態様である。同様に、金属調とは、使用者に対して視覚的及び触覚的に金属と認識させ得る態様である。
【0042】
また、この感触変更装置10では、複数の球状部材20が図2A,図2Bに示される如くマトリックス状に配列されるように、回転部材14が互いに並行に設けられている。
【0043】
そして、この感触変更装置10では、回転部材14が図1Aに示される第一回転位置(第一切替態様)にあるときには、複数の第一表面性状部22Aが互いに間隔を空けた状態で連通孔16を介して基材12に対する表側に突出され、複数の第二表面性状部22Bが基材12に対する裏側(第一表面性状部22Aに対する基材12の裏側)に退避される構成とされている。
【0044】
また、この感触変更装置10では、図1Bに示されるように、回転部材14が上述の第一回転位置から180°回転した第二回転位置(第二切替態様)にあるときには、複数の第二表面性状部22Bが互いに間隔を空けた状態で連通孔16を介して基材12に対する表側に突出され、複数の第一表面性状部22Aが基材12に対する裏側(第二表面性状部22Bに対する基材12の裏側)に退避される構成とされている。
【0045】
なお、回転部材14は、使用者によって手動で回転される構成とされていても良く、また、モータ等によって電動で回転される構成とされていても良い。
【0046】
ところで、人間は、身体の各部位毎に、触覚の空間分解能(複数の接触物を異なるものとして識別できる距離)が異なるという性質を有する。例えば、指先の場合、それは2〜3mmであり、掌の場合、それは約10mm弱である。また、前腕部の場合、それは約40mm程度である。
【0047】
そして、この感触変更装置10では、この人間が有する触覚の空間分解能の性質を利用し、第一表面性状部22A又は第二表面性状部22Bが突出状態とされた場合には、この第一表面性状部22A又は第二表面性状部22Bが使用者の身体のうち第一表面性状部22A又は第二表面性状部22Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔で配置されるように、隣り合う球状部材20の間隔Aが例えば次の如く設定される。
【0048】
すなわち、例えば、基材12がアシストグリップにおける使用者の指先と接触される部分に配置される場合、隣り合う球状部材20の間隔Aは、指先の触覚の空間分解能(約2mm〜3mm)未満とされる。また、基材12がアシストグリップにおける使用者の掌と接触される部分に位置される場合、隣り合う球状部材20の間隔Aは、掌の触覚の空間分解能(約10mm)未満とされる。また、例えば、基材12がセンターコンソールを構成する場合、隣り合う球状部材20の間隔Aは、前腕部の触覚の空間分解能(約40mm)未満とされる。
【0049】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0050】
本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10では、回転部材14が図1Aに示される第一回転位置に位置されると、複数の第一表面性状部22Aが互いに間隔を空けた状態で基材12に対する表側に突出され、複数の第二表面性状部22Bが基材12に対する裏側に退避される。
【0051】
一方、回転部材14が図1Bに示される第二回転位置に位置されると、複数の第一表面性状部22Aが基材12に対する裏側に退避された退避状態とされ、複数の第二表面性状部22Bが互いに間隔を空けた状態で基材12に対する表側に突出される。
【0052】
ここで、第一表面性状部22Aは、例えば木質調を有しており、第二表面性状部22Bは、例えば金属調を有している。従って、上述のように、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bが突出状態と退避状態とに切り替えられることにより、基材12の表側に、第一表面性状部22Aの木質調が出現した状態と、第二表面性状部22Bの金属調が出現した状態とに切り替えることができる。これにより、基材12の触り心地を変えることができる。
【0053】
また、本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10によれば、複数の第一表面性状部22Aは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第一表面性状部22Aと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材12に対する表側に突出される。
【0054】
これにより、基材12の表面全体の性状を木質調に変えなくても、使用者に対して基材12の表面全体の触り心地が木質調に変わったように錯覚させることができる。
【0055】
同様に、複数の第二表面性状部22Bは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第二表面性状部22Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材12に対する表側に突出される。
【0056】
これにより、基材12の表面全体の性状を金属調に変えなくても、使用者に対して基材12の表面全体の触り心地が金属調に変わったように錯覚させることができる。
【0057】
また、本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10によれば、基材12の延在方向を回転軸方向として回転可能な回転部材14を用いることにより、例えば、複数の第一表面性状部22A及び複数の第二表面性状部22Bをスライドさせるためのスライド機構等が不要となり、装置の構造を簡素化することができる。
【0058】
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
【0059】
本発明の第一実施形態において、第一表面性状部22Aは、第一表面性状として、例えば木質調を有しており、第二表面性状部22Bは、第二表面性状として、例えば金属調を有していたが、次のように構成されていても良い。
【0060】
すなわち、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bは、例えば、使用者に心地よさを与えるベルベット調や使用者に温感を与える布調を有していても良く、また、鏡面調やシボ調等を有していても良い。また、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bは、これら以外にも、乾燥感や湿感等を与える表面性状を有していても良い。
【0061】
また、本発明の第一実施形態において、球状部材20には、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bに加えて、その他の表面性状部が設けられていても良い。
【0062】
例えば、図3に示されるように、球状部材20には、第一表面性状部22A、第二表面性状部22B、第三表面性状部22Cが一つずつ設けられていても良い。
【0063】
また、この場合に、第三表面性状部22Cは、第一表面性状部22A及び第二表面性状部22Bと異なる表面性状として、例えば、ベルベット調を有していても良い。
【0064】
また、各球状部材20には、例えば、図4に示されるように、互いに異なる表面性状を有する第一表面性状部22A、第二表面性状部22B、第三表面性状部22C、第四表面性状部22D、第五表面性状部22E、第六表面性状部22Fが一つずつ設けられていても良い。
【0065】
また、本発明の第一実施形態において、複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を互いに空けた状態で基材12に対する表側に突出される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0066】
つまり、複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を互いに空けた状態で基材12に対する表側に突出される構成とされていても良い。
【0067】
このように構成されていると、使用者が複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bを接触することで、この複数の第一表面性状部22A又は複数の第二表面性状部22Bのそれぞれの配置等を認識できるようになるので、例えば、使用者に対して所定の情報を伝達することができる。
【0068】
また、人間については、身体と接触する接触物の表面性状によりこの性状を検知する脳部位が選択されることが知られている。つまり、例えば、ベルベット調の場合、眼窩前頭皮質などの大脳辺縁系(身体の各部位からくる情報を受け取り、さらに適切な感情と行動に変えるのに重要な役割をする脳部位)が選択される。また、むき出しの木質粗面調の場合、体性感覚野(触覚などの体性感覚が最初に入力される脳部位)が選択される。
【0069】
そこで、この人間の性質を利用し、触感による感情(マッサージなどによる気持ちよさ)を呼び起こしたい場合には、基材12に対する表側にベルベット調が出現されるように構成されていても良い。また、車両衝突予知時等には刺激による信号伝達を行う目的で基材12に対する表側にむき出しの木質粗面調が出現されるように構成されていても良い。
【0070】
また、本発明の第一実施形態において、球状部材20は、マッサージなどの押圧手段として用いられても良い。また、この場合に、複数の球状部材20の間隔がマッサージの目的に応じて設定されても良い。
【0071】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0072】
図5〜図8Bには、本発明の第二実施形態に係る感触変更装置30が示されている。
【0073】
これらの図に示されるように、感触変更装置30は、基材32と、シート部材34(切替部)と、複数の球状部材35(駆動部)とを備えている。この感触変更装置30は、上述の本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10と同様に、例えば、乗用自動車等の車両の車室部材に一体に設けられるものである。
【0074】
基材32は、例えば上述の車室部材における一般面を構成している。この基材32には、後述する球状部材35と対応する位置に、この基材32の表側と裏側とを連通する連通孔36が複数形成されている。
【0075】
シート部材34は、基材32に対する裏側に配置されており、且つ、基材32の延在方向に沿って延在された可撓性を有するシート状に構成されている。また、このシート部材34は、基材32の延在方向(X方向)に沿ってスライド可能とされており、例えば、ロールを有する巻取機構やスライド機構等によってスライドされる。
【0076】
また、シート部材34には、スライド方向に交互に並ぶように木質調処理部38と金属調処理部40が設けられている。木質調処理部38には、第一表面性状として、例えば木質調の表面処理が施されている。一方、金属調処理部40には、第一表面性状とは異なる第二表面性状として、例えば金属調の表面処理が施されている。
【0077】
なお、この木質調及び金属調については、上述の本発明の第一実施形態の場合と同様である。
【0078】
複数の球状部材35は、シート部材34に対する裏側にマトリックス状に設けられると共に、木質調処理部38又は金属調処理部40の間隔と略同一の間隔を空けて配置されている。
【0079】
各球状部材35は、シート部材34が図6Aに示される第一スライド位置(第一切替態様)にあるときには、図8Aに示されるように、木質調処理部38の一部を基材32に対する表側に膨出させ、シート部材34が図6Bに示される第二スライド位置(第二切替態様)にあるときには、図8Bに示されるように、金属調処理部40の一部を基材32に対する表側に膨出させる構成とされている。
【0080】
なお、上述の木質調処理部38の一部は、図7A,図8Aに示される第一表面性状部42Aとして構成されており、上述の金属調処理部40の一部は、図7B,図8Bに示される第二表面性状部42Bとして構成されている。
【0081】
さらに、この感触変更装置30では、上述の人間が有する触覚の空間分解能の性質を利用し、第一表面性状部42A又は第二表面性状部42Bが突出状態とされた場合には、この第一表面性状部42A又は第二表面性状部42Bが使用者の身体のうち第一表面性状部42A又は第二表面性状部42Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔で配置されるように、隣り合う球状部材35の間隔Aが例えば次の如く設定される。
【0082】
すなわち、例えば、基材32がアシストグリップにおける使用者の指先と接触される部分に配置される場合、隣り合う球状部材35の間隔Aは、指先の触覚の空間分解能(約2mm〜3mm)未満とされる。また、基材32がアシストグリップにおける使用者の掌と接触される部分に位置される場合、隣り合う球状部材35の間隔Aは、掌の触覚の空間分解能(約10mm)未満とされる。また、例えば、基材32がセンターコンソールを構成する場合、隣り合う球状部材35の間隔Aは、前腕部の触覚の空間分解能(約40mm)未満とされる。
【0083】
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について説明する。
【0084】
本発明の第二実施形態に係る感触変更装置30では、シート部材34が図6Aに示される第一スライド位置に位置されると、図7A,図8Aに示されるように、第一表面性状部42Aが球状部材35によって基材32に対する表側に膨出される。これにより、複数の第一表面性状部42Aが互いに間隔を空けた状態で基材32に対する表側に突出される。一方、第二表面性状部42Bは球状部材35によって基材32に対する表側に膨出されず、これにより、複数の第二表面性状部42Bは基材32に対する裏側(第一表面性状部42Aに対する基材12の裏側)に退避される。
【0085】
一方、シート部材34が図6Bに示される第二スライド位置に位置されると、図7B,図8Bに示されるように、第二表面性状部42Bが球状部材35によって基材32に対する表側に膨出される。これにより、複数の第二表面性状部42Bが互いに間隔を空けた状態で基材32に対する表側に突出される。一方、第一表面性状部42Aは球状部材35によって基材32に対する表側に膨出されず、これにより、複数の第一表面性状部42Aは基材32に対する裏側(第二表面性状部42Bに対する基材12の裏側)に退避される。
【0086】
ここで、第一表面性状部42Aは、例えば木質調を有しており、第二表面性状部42Bは、例えば金属調を有している。従って、上述のように、第一表面性状部42A及び第二表面性状部42Bが突出状態と退避状態とに切り替えられることにより、基材32の表側に、第一表面性状部42Aの木質調が出現した状態と、第二表面性状部42Bの金属調が出現した状態とに切り替えることができる。これにより、基材32の表側の触り心地を変えることができる。
【0087】
また、本発明の第二実施形態に係る感触変更装置30によれば、複数の第一表面性状部42Aは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第一表面性状部42Aと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材32に対する表側に突出される。
【0088】
これにより、基材32の表面全体の性状を木質調に変えなくても、使用者に対して基材32の表面全体の触り心地が木質調に変わったように錯覚させることができる。
【0089】
同様に、複数の第二表面性状部42Bは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第二表面性状部42Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材32に対する表側に突出される。
【0090】
これにより、基材32の表面全体の性状を金属調に変えなくても、使用者に対して基材32の表面全体の触り心地が金属調に変わったように錯覚させることができる。
【0091】
また、本発明の第二実施形態に係る感触変更装置30によれば、シート部材34は、基材32の延在方向(X方向)に沿って延在されると共に、基材32の延在方向に沿ってスライドされる構成とされている。従って、基材32の法線方向に装置が大型化することを抑制して、装置を薄型化することができる。
【0092】
次に、本発明の第二実施形態の変形例について説明する。
【0093】
本発明の第二実施形態において、第一表面性状部42A及び第二表面性状部42Bは、上述の本発明の第一実施形態の場合と同様に、ベルベット調、布調、鏡面調、シボ調等を有していても良く、また、これら以外にも、乾燥感や湿感等を与える表面性状を有していても良い。
【0094】
また、本発明の第二実施形態において、シート部材34には、第一表面性状部42A及び第二表面性状部42Bに加えて、その他の表面性状部が設けられていても良い。
【0095】
また、本発明の第二実施形態において、複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を互いに空けた状態で基材32に対する表側に突出される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0096】
つまり、複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を互いに空けた状態で基材32に対する表側に突出される構成とされていても良い。
【0097】
このように構成されていると、使用者が複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bを接触することで、この複数の第一表面性状部42A又は複数の第二表面性状部42Bのそれぞれの配置等を認識できるようになるので、例えば、使用者に対して所定の情報を伝達することができる。
【0098】
また、本発明の第二実施形態において、球状部材35は、マッサージなどの押圧手段として用いられても良い。また、この場合に、複数の球状部材35の間隔がマッサージの目的に応じて設定されても良い。
【0099】
また、本発明の第二実施形態では、複数の球状部材35の代わりに、第一表面性状部42A及び第二表面性状部42Bを突出状態と退避状態とに切り替えるためのアクチュエータが駆動部として用いられても良い。
【0100】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0101】
図9〜図11Bには、本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50が示されている。
【0102】
これらの図に示されるように、感触変更装置50は、基材52と、複数の可動部材54(切替部)と、第一アクチュエータ56A及び第二アクチュエータ56Bとを備えている。この感触変更装置50は、上述の本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10と同様に、例えば、乗用自動車等の車両の車室部材に一体に設けられるものである。
【0103】
基材52は、例えば上述の車室部材における一般面を構成している。この基材52には、後述する可動部材54と対応する位置に、この基材52の表側と裏側とを連通する連通孔66が複数形成されている。
【0104】
各可動部材54は、図10に示されるように、基材52に対する裏側に設けられており、円筒状の第一可動部材54A(一方の可動部材)と、第一可動部材54Aの内側に挿入された棒状の第二可動部材54B(他方の可動部材)とを有して構成されている。この第一可動部材54A及び第二可動部材54Bは、基材52の表裏方向(法線方向)に独立して移動可能とされている。
【0105】
また、第一可動部材54Aには、基材52側の先端に、第一表面性状部72Aが設けられている。一方、第二可動部材54Bには、基材52側の先端に、第二表面性状部72Bが設けられている。
【0106】
第一表面性状部72Aは、第一表面性状として、例えば木質調を有しており、第二表面性状部72Bは、第一表面性状とは異なる第二表面性状として、例えば金属調を有している。
【0107】
なお、この木質調及び金属調については、上述の本発明の第一実施形態の場合と同様である。
【0108】
第一アクチュエータ56Aは、複数の第一可動部材54Aと図示しない動力伝達機構等を介して連結され、複数の第一可動部材54Aを移動させる構成とされている。同様に、第二アクチュエータ56Bは、複数の第二可動部材54Bと図示しない動力伝達機構等を介して連結され、複数の第二可動部材54Bを移動させる構成とされている。
【0109】
また、この感触変更装置50において、可動部材54は、第一アクチュエータ56A及び第二アクチュエータ56Bによって例えば次のように切替動作される。
【0110】
すなわち、可動部材54は、図11Aに示されるように、第一可動部材54Aが第二可動部材54Bに対して基材52の表側(Z1側)に移動された第一切替態様と、図11Bに示されるように、第二可動部材54Bが第一可動部材54Aに対して基材52の表側(Z1側)に移動された第二切替態様とに切替動作される。
【0111】
また、この感触変更装置50では、図11Aに示されるように、第一可動部材54Aが第二可動部材54Bに対して基材52の表側(Z1側)に移動されたときには、第一表面性状部72Aが基材52に対する表側に突出され、第二表面性状部72Bが基材52に対する裏側(第一表面性状部72Aに対する基材52の裏側(Z2側))に退避される構成とされている。
【0112】
また、この感触変更装置50では、図11Bに示されるように、第二可動部材54Bが第一可動部材54Aに対して基材52の表側(Z1側)に移動されたときには、第二表面性状部72Bが基材52に対する表側に突出され、第一表面性状部72Aが基材52に対する裏側(第二表面性状部72Bに対する基材52の裏側(Z2側))に退避される構成とされている。
【0113】
さらに、この感触変更装置50では、上述の人間が有する触覚の空間分解能の性質を利用し、第一表面性状部72A又は第二表面性状部72Bが突出状態とされた場合には、この第一表面性状部72A又は第二表面性状部72Bが使用者の身体のうち第一表面性状部72A又は第二表面性状部72Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔で配置されるように、隣り合う可動部材54の間隔Aが例えば次の如く設定される。
【0114】
すなわち、例えば、基材52がアシストグリップにおける使用者の指先と接触される部分に配置される場合、隣り合う可動部材54の間隔Aは、指先の触覚の空間分解能(約2mm〜3mm)未満とされる。また、基材52がアシストグリップにおける使用者の掌と接触される部分に位置される場合、隣り合う可動部材54の間隔Aは、掌の触覚の空間分解能(約10mm)未満とされる。また、例えば、基材52がセンターコンソールを構成する場合、隣り合う可動部材54の間隔Aは、前腕部の触覚の空間分解能(約40mm)未満とされる。
【0115】
次に、本発明の第三実施形態の作用及び効果について説明する。
【0116】
本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50では、図11Aに示されるように、第一可動部材54Aが第二可動部材54Bに対して基材52の表側(Z1側)に移動されたときには、第一表面性状部72Aが基材52に対する表側に突出され、第二表面性状部72Bが基材52に対する裏側(Z2側)に退避される。
【0117】
一方、図11Bに示されるように、第二可動部材54Bが第一可動部材54Aに対して基材52の表側(Z1側)に移動されたときには、第二表面性状部72Bが基材52に対する表側に突出され、第一表面性状部72Aが基材52に対する裏側(Z2側)に退避される
【0118】
ここで、第一表面性状部72Aは、例えば木質調を有しており、第二表面性状部72Bは、例えば金属調を有している。従って、上述のように、第一表面性状部72A及び第二表面性状部72Bが突出状態と退避状態とに切り替えられることにより、基材52の表側に、第一表面性状部72Aの木質調が出現した状態と、第二表面性状部72Bの金属調が出現した状態とに切り替えることができる。これにより、基材52の表側の触り心地を変えることができる。
【0119】
また、本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50によれば、複数の第一表面性状部72Aは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第一表面性状部72Aと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材52に対する表側に突出される。
【0120】
これにより、基材52の表面全体の性状を木質調に変えなくても、使用者に対して基材52の表面全体の触り心地が木質調に変わったように錯覚させることができる。
【0121】
同様に、複数の第二表面性状部72Bは、突出状態とされた場合には、使用者の身体のうち第二表面性状部72Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を空けた状態で基材52に対する表側に突出される。
【0122】
これにより、基材52の表面全体の性状を金属調に変えなくても、使用者に対して基材52の表面全体の触り心地が金属調に変わったように錯覚させることができる。
【0123】
また、本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50によれば、基材52の表裏方向に移動可能な第一可動部材54A及び第二可動部材54Bを用いることにより、複数の第一表面性状部72A及び複数の第二表面性状部72Bの基材52の延在方向への配置間隔を狭めることができる。これにより、複数の第一表面性状部72A及び複数の第二表面性状部72Bの配置の自由度を向上させることができる。
【0124】
次に、本発明の第三実施形態の変形例について説明する。
【0125】
本発明の第三実施形態において、第一表面性状部72A及び第二表面性状部72Bは、上述の本発明の第一実施形態の場合と同様に、ベルベット調、布調、鏡面調、シボ調等を有していても良く、また、これら以外にも、乾燥感や湿感等を与える表面性状を有していても良い。
【0126】
また、本発明の第三実施形態において、可動部材54には、第一可動部材54A及び第二可動部材54Bに加えて、その他の可動部材が備えられていても良い。
【0127】
例えば、図12に示されるように、可動部材54には、第一可動部材54A、第二可動部材54Bに加えて、第三表面性状部72Cを有する第三可動部材54Cが備えられていても良い。また、この場合に、第三可動部材54Cを駆動させるための第三アクチュエータ56Cが用いられても良い。
【0128】
また、図13に示されるように、可動部材54には、互いに異なる表面性状を有する第一表面性状部72A、第二表面性状部72B、第三表面性状部72C、第四表面性状部72D、第五表面性状部72E、第六表面性状部72Fがそれぞれ設けられた第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54C、第四可動部材54D、第五可動部材54E、第六可動部材54Fが備えられていても良い。
【0129】
また、この場合に、第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54C、第四可動部材54D、第五可動部材54E、第六可動部材54Fを駆動させるために第一アクチュエータ56A、第二アクチュエータ56B、第三アクチュエータ56C、第四アクチュエータ56D、第五アクチュエータ56E、第六アクチュエータ56Fが用いられても良い。
【0130】
また、本発明の第三実施形態において、複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を互いに空けた状態で基材52に対する表側に突出される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0131】
つまり、複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bは、使用者の身体のうち複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bと接触されると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を互いに空けた状態で基材52に対する表側に突出される構成とされていても良い。
【0132】
このように構成されていると、使用者が複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bを接触することで、この複数の第一表面性状部72A又は複数の第二表面性状部72Bのそれぞれの配置等を認識できるようになるので、例えば、使用者に対して所定の情報を伝達することができる。
【0133】
また、例えば、図14Aに示されるように、第一アクチュエータ56Aは、複数の第一可動部材54Aを選択的に(任意に)移動させることができる構成とされ、第一表面性状部72Aは、使用者の身体のうち第一表面性状部72Aと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を空けた状態で基材52に対する表側に突出される構成とされていても良い。
【0134】
また、この場合に、複数の第一表面性状部72Aは、図形や点字などの各種の形状パターンを形成しても良い。
【0135】
このように構成されていると、例えば、使用者に対してより多くの情報を伝達することができる。
【0136】
同様に、図14Bに示されるように、第二アクチュエータ56Bは、複数の第二可動部材54Bを選択的に(任意に)スライドさせることができる構成とされ、第二表面性状部72Bは、使用者の身体のうち第二表面性状部72Bと接触すると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を空けた状態で基材52に対する表側に突出される構成とされていても良い。
【0137】
また、この場合に、複数の第二表面性状部72Bは、複数の第一表面性状部72Aと同様に、図形や点字などの各種の形状パターンを形成しても良い。
【0138】
また、本発明の第三実施形態において、可動部材54は、マッサージなどの押圧手段として用いられても良い。また、この場合に、複数の可動部材54の間隔がマッサージの目的に応じて設定されても良い。
【0139】
また、上述の図12に示される変形例では、第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54Cが、第一アクチュエータ56A、第二アクチュエータ56B、第三アクチュエータ56Cによって移動される構成とされていたが、次のように構成されても良い。
【0140】
すなわち、図15に示される変形例では、第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54Cに形状記憶バネ57A〜57C(切替部、可変部)がそれぞれ接続されている。この形状記憶バネ57A〜57Cは、形状記憶樹脂や形状記憶金属等により形成されており、温度(それ自体の温度)の変化に応じて伸縮するように構成されている。
【0141】
そして、例えば、車両が屋外に放置された直後のように、室内が高温である場合には、形状記憶バネ57Aが伸長し、形状記憶バネ57B,57Cが自由状態に維持されることで(第一形態)、第一可動部材54Aが基材52の表側(Z1側)に移動され、第二可動部材54B、第三可動部材54Cが基材52の裏側(Z2側)に維持される。これにより、第一表面性状部72Aが突出状態とされ、第二表面性状部72B、第三表面性状部72Cが退避状態とされる。
【0142】
一方、例えば、車両の室内が低温である場合には、形状記憶バネ57A、形状記憶バネ57Cが自由状態に維持され、形状記憶バネ57Bが伸長することで(第二形態)、第二可動部材54Bが基材52の表側(Z1側)に移動され、第一可動部材54A、第三可動部材54Cが基材52の裏側(Z2側)に維持される。これにより、第二表面性状部72Bが突出状態とされ、第一表面性状部72A、第三表面性状部72Cが退避状態とされる。
【0143】
また、例えば、室内が中温である場合には、形状記憶バネ57Cが伸長し、形状記憶バネ57A,57Bが自由状態に維持されることで、第三可動部材54Cが基材52の表側(Z1側)に移動され、第一可動部材54A、第二可動部材54Bが基材52の裏側(Z2側)に維持される。これにより、第三表面性状部72Cが突出状態とされ、第一表面性状部72A、第二表面性状部72Bが退避状態とされる。
【0144】
このように、温度の変化に応じて伸縮する形状記憶バネ57A〜57Cを用いることにより、例えば、別途、アクチュエータや温度センサ等を設ける必要が無くなり、装置の構成を簡素化することができる。
【0145】
また、室内が高温である場合に突出状態とされる第一表面性状部72Aが清涼感を有する場合には、室内が高温である場合でも、乗員に対して清涼感を提供することができる。一方、室内が低温である場合に突出状態とされる第二表面性状部72Bが温暖感を有する場合には、室内が低温である場合でも、乗員に対して温暖感を提供することができる。
【0146】
なお、この場合に、図16に示されるように、形状記憶バネ57A〜57Cに配線58A〜58Cを介して電流回路59が接続され、この電流回路59によって形状記憶バネ57A〜57Cが通電されて、この形状記憶バネ57A〜57Cが発熱することで伸縮する構成とされていても良い。
【0147】
また、図17に示されるように、第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54Cがシリンダ60A〜60Cに摺動可能に支持されたピストンで構成されると共に、上述の形状記憶バネ57A〜57Cの代わりに、これらと同様の機能を有する、例えば、アルコール等の熱冷媒62A〜62C(切替部、可変部)が用いられていても良い。
【0148】
このように構成されていると、熱冷媒62A〜62Cの蒸発熱を利用して、第一可動部材54A、第二可動部材54B、第三可動部材54Cの温度を変化させることができる。
【0149】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
【0150】
図18には、本発明の第四実施形態に係る感触変更装置80が示されている。
【0151】
この図に示される感触変更装置80は、上述の本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10に、複数のペルチェ素子82(温度変更部)と、ECU84(制御部)とが追加された構成とされている。
【0152】
各ペルチェ素子82は、球状部材20に一体に設けられ、印加される電圧の向きに応じて、第一表面性状部22A側を冷却して第二表面性状部22B側を加熱する状態と、第一表面性状部22A側を加熱して第二表面性状部22B側を冷却する状態とに切替可能とされている。
【0153】
ECU84は、複数のペルチェ素子82と電気的に接続され、各ペルチェ素子82に印加される電圧の向き制御する構成とされている。
【0154】
次に、本発明の第四実施形態の作用及び効果について説明する。
【0155】
本発明の第四実施形態に係る感触変更装置80では、例えば、第一表面性状部22Aが基材12に対する表側に突出されているときに、ペルチェ素子82における第一表面性状部22A側が加熱状態となるようにペルチェ素子82がECU84によって制御される。これにより、第一表面性状部22Aの温度が、第一表面性状部22Aの木目調が使用者に視覚的に与える温度感(つまり、温もり感)に合うように調節される。従って、第一表面性状部22Aの木目調の温度感を強調することができる。
【0156】
同様に、例えば、第二表面性状部22Bが基材12に対する表側に突出されているときに、ペルチェ素子82における第二表面性状部22B側が冷却状態となるようにペルチェ素子82がECU84によって制御される。これにより、第二表面性状部22Bの温度が、第二表面性状部22Bの金属調が使用者に視覚的に与える温度感(つまり、ひんやり感)に合うように調節される。従って、第二表面性状部22Bの金属調の温度感を強調することができる。
【0157】
さらに、本発明の第四実施形態に係る感触変更装置80は、例えば、乗員の眠気、渋滞、車両の前方に歩行者がいることなどが検知された場合には、次のように動作する。
【0158】
すなわち、例えば、第一表面性状部22Aが基材12に対する表側に突出されているときに、ペルチェ素子82における第一表面性状部22A側が冷却状態となるようにペルチェ素子82がECU84によって制御される。これにより、第一表面性状部22Aの温度が、第一表面性状部22Aの木目調が使用者に視覚的に与える温度感と反するように調節される。従って、使用者が基材12に接触した場合に、使用者に対し予期せぬ感触を与えることができ、使用者に対し警告を行うことができる。
【0159】
同様に、例えば、第二表面性状部22Bが基材12に対する表側に突出されているときに、ペルチェ素子82における第二表面性状部22B側が加熱状態となるようにペルチェ素子82がECU84によって制御される。これにより、第二表面性状部22Bの温度が、第二表面性状部22Bの金属調が使用者に視覚的に与える温度感と反するように調節される。従って、使用者が基材12に接触した場合に、使用者に対し予期せぬ感触を与えることができ、使用者に対し警告を行うことができる。
【0160】
次に、本発明の第四実施形態の変形例について説明する。
【0161】
本発明の第四実施形態において、感触変更装置80は、上述の本発明の第一実施形態に係る感触変更装置10に、ペルチェ素子82と、ECU84とが追加された構成とされていたが、図19に示されるように、上述の本発明の第二実施形態に係る感触変更装置30に、ペルチェ素子82と、ECU84とが追加された構成とされていても良い。
【0162】
また、この場合に、複数の球状部材35及びペルチェ素子82が用いられる代わりに、図20に示されるように、複数の半球部86が形成された基板88が用いられると共に、半球部86に人体とは絶縁された状態で電気抵抗体87(温度制御部)が塗布されていても良い。
【0163】
そして、電気抵抗体87が導電部90で接続されると共にバッテリ92と接続されて加熱される構成とされていても良い。また、電気抵抗体87とバッテリ92との間には、スイッチ93が設けられ、このスイッチ93がECU84によって制御されても良い。
【0164】
また、本発明の第四実施形態では、球状部材20にペルチェ素子82が一体に設けられていたが、図21に示されるように、ペルチェ素子82は、複数の球状部材20とは別体に構成されると共に、複数の球状部材20に対する基材12側と反対側に配置されていても良い。そして、ペルチェ素子82は、印加される電圧の向きに応じて、球状部材20側が冷却側とされて球状部材20全体を冷却する状態と、球状部材20側が加熱側とされて球状部材20全体を加熱する状態とに切り替えられても良い。
【0165】
また、この場合に、図22に示されるように、球状部材20における第一表面性状部22A側と第二表面性状部22B側との間に断熱層94が形成されていても良い。そして、第一表面性状部22Aは、基材12に対する裏側に退避されているときにペルチェ素子82によって加熱又は冷却され、その後、回転部材14が回転されることにより基材12に対する表側に突出されても良い。同様に、第二表面性状部22Bは、基材12に対する裏側に退避されているときにペルチェ素子82によって加熱又は冷却され、その後、回転部材14が回転されることにより基材12に対する表側に突出されても良い。
【0166】
また、本発明の第四実施形態において、感触変更装置80は、図23に示されるように、上述の本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50に、第一表面性状部72A及び第二表面性状部72Bの温度を調節するための第一ペルチェ素子82A及び第二ペルチェ素子82B(温度変更部)が可動部材54に設けられると共に、この第一ペルチェ素子82A及び第二ペルチェ素子82Bを制御するECU84(制御部)が追加された構成とされていても良い。
【0167】
[本発明の第一応用例]
次に、本発明の第一応用例について説明する。
【0168】
図24には、本発明の第一応用例に係るアシストグリップ装置100が示されている。
【0169】
この図に示されるアシストグリップ装置100は、アシストグリップ102に上述の本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50(図9〜図11B参照)が一体に備えられた構成とされている。
【0170】
つまり、アシストグリップ102における使用者の指先が接触される部分102Aには、複数の第一可動部材104Aが配置され、アシストグリップ102における使用者の掌が接触される部分102Bには、第二可動部材104Bが配置されている。
【0171】
この第一可動部材104A及び第二可動部材104Bは、上述の本発明の第三実施形態に係る感触変更装置50における可動部材54と同様の構成とされている。
【0172】
また、第一可動部材104Aは、指先の触覚の空間分解能(約2mm〜3mm)未満の間隔で配置されている。一方、第二可動部材104Bは、掌の触覚の空間分解能(約10mm)未満の間隔で配置されている。
【0173】
この本発明の第一応用例に係るアシストグリップ装置100によれば、第一可動部材104A及び第二可動部材104Bが駆動されることにより、アシストグリップ102における使用者の指先が接触される部分102Aの触り心地と、アシストグリップ102における使用者の掌が接触される部分102Bの触り心地とを例えば木質調と金属調とに変えることができる。
【0174】
なお、アシストグリップ装置100は、アシストグリップ102に上述の本発明の第三実施形態の変形例に係る感触変更装置50(図14A,図14B参照)が一体に備えられた構成とされていても良い。
【0175】
そして、第一可動部材104A及び第二可動部材104Bが駆動されることにより、アシストグリップ102における使用者の指先が接触される部分102Aと、アシストグリップ102における使用者の掌が接触される部分102Bとに図形や点字などの各種の形状パターンが形成されても良い。
【0176】
また、この場合に、第一可動部材104A及び第二可動部材104Bがアシストグリップ102の内部に一斉に退避した状態と各種の形状パターンを形成する状態とに切り替えられても良い。
【0177】
このようすると、所定の情報を連続して使用者に伝達することができる。また、このようにすると、第一可動部材104A及び第二可動部材104Bにおいて、第一表面性状部及び第二表面性状部の少なくとも一方が触覚の空間分解能未満の間隔で位相差を有して基材12に対する表側に順次突出される場合に比して、制御を容易とすることができる。
【0178】
[本発明の第二応用例]
次に、本発明の第二応用例について説明する。
【0179】
図25には、本発明の第二応用例に係るセンターコンソール装置110が示されている。
【0180】
この図に示されるセンターコンソール装置110は、センターコンソールの蓋部112に上述の本発明の第四実施形態に係る感触変更装置80(図18参照)が一体に備えられた構成とされている。
【0181】
また、蓋部112では、球状部材20が前腕部の触覚の空間分解能(約40mm)未満の間隔で配置されている。
【0182】
この本発明の第二応用例に係るセンターコンソール装置110によれば、球状部材20が回転されることにより、蓋部112の触り心地を例えば木質長と金属調とに変えることができる。
【0183】
また、球状部材20の温度が調節されることにより、蓋部112の表面性状の温度感を強調したり、蓋部112と接触した使用者に対し予期せぬ感触を与えたりすることができる。
【0184】
なお、センターコンソール装置110は、蓋部112に上述の本発明の第三実施形態の変形例に係る感触変更装置50(図14A,図14B参照)が一体に備えられた構成とされ、使用者に対して所定の情報(例えば、図形や点字などの各種の形状パターン)を伝達することができる構成とされても良い。
【0185】
また、このセンターコンソール装置110では、次のように構成されていても良い。すなわち、図26A,図26Bに示される変形例では、蓋部112の内部に空間部113が形成されており、この空間部113には、複数のバッグ114A,114B(切替部、可変部)が収容されている。このバッグ114A,114Bは、蓋部112の横方向(車両幅方向)に交互に配置されている。なお、バッグ114A,114Bは、蓋部112の縦方向(車両前後方向)に交互に配置されていても良い。
【0186】
このバッグ114A,114Bは、それぞれ伸縮自在な素材で形成とされると共に、その内部に例えば気体や液体等が封入されており、温度の変化に応じて膨縮する構成とされている。また、バッグ114Aにおける各連通孔16と対応する部位は、第一表面性状部22Aとされており、バッグ114Bにおける各連通孔16と対応する部位は、第二表面性状部22Aとされている。
【0187】
そして、例えば、車両が屋外に放置された直後のように、室内が高温である場合には、図26Aに示されるように、バッグ114Aが膨張し、バッグ114Bが収縮状態に維持される(第一形態)。そして、この場合には、バッグ114Aの一部である複数の第一表面性状部22Aが連通孔16を介して蓋部112に対する表側に突出され、バック114Bの一部である複数の第二表面性状部22Bは蓋部112に対する裏側に退避された状態に維持される。
【0188】
また、例えば、車両の室内が低温である場合には、図26Bに示されるように、バッグ114Aが収縮状態に維持され、バッグ114Bが膨張する(第二形態)。そして、この場合には、バッグ114Aの一部である複数の第一表面性状部22Aは蓋部112に対する裏側に退避された状態に維持され、バック114Bの一部である複数の第二表面性状部22Bが連通孔16を介して蓋部112に対する表側に突出される。
【0189】
このように、温度の変化に応じて膨縮するバック114A,114Bを用いることにより、例えば、別途、アクチュエータや温度センサ等を設ける必要が無くなり、装置の構成を簡素化することができる。
【0190】
また、室内が高温である場合に突出状態とされる第一表面性状部22Aが清涼感を有する場合には、室内が高温である場合でも、乗員に対して清涼感を提供することができる。一方、室内が低温である場合に突出状態とされる第二表面性状部22Bが温暖感を有する場合には、室内が低温である場合でも、乗員に対して温暖感を提供することができる。
【0191】
また、このように構成されていると、バッグ114A,114Bに第一表面性状部22A、第二表面性状部22Bをそれぞれ成形等により直接的に形成することができるので、構造を簡素化することができる。
【0192】
なお、この場合に、バッグ114A,114Bを膨縮させるコンプレッサ等が用いられても良い。
【0193】
[本発明の第三応用例]
次に、本発明の第三応用例について説明する。
【0194】
図27には、本発明の第三応用例に係る体重計120が示されている。
【0195】
この図に示される体重計120は、上述の本発明の第四実施形態の変形例に係る感触変更装置80(図23参照)が一体に備えられた構成とされている。
【0196】
また、この体重計120のケース122(基材)では、可動部材54が足裏の触覚の空間分解能(約20mm)未満の間隔で配置されている。
【0197】
この本発明の第三応用例に係る体重計120によれば、可動部材54が駆動されることにより、ケース122の触り心地を変えることができる。
【0198】
また、可動部材54の温度が調節されることにより、ケース122の表面性状の温度感を強調したり、ケース122と接触した使用者に対し予期せぬ感触を与えたりすることができる。
【0199】
なお、この本発明の第三応用例に係る体重計120において、例えば冬にはケース122を例えば木質調としてこのケース122の表面性状の温感を強調したり、夏にはケース122を例えば金属調としてこのケース122の表面性状の冷感を強調したりする構成とされても良い。
【0200】
また、記憶された体重に対し所定以上の急激な変動があった場合には、例えば冬なのにケース122の表面性状を冷たさを感じさせる金属調としたり、夏なのにケース122の表面性状を暖かさを感じさせる木質調としたりする構成とされても良い。
【0201】
また、記憶された体重に対し所定以上の急激な変動があった場合には、使用者に対して所定の情報(例えば、図形や点字などの各種の形状パターン)を伝達するように構成されても良い。
【0202】
以上、本発明の一実施形態及びその応用例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0203】
また、上述の感触変更装置は、上記以外にも、例えば、オートバイの燃料タンク、ゲーム機の操作部、ヘルメット等に適用されても良い。
【符号の説明】
【0204】
10,30,50,80 感触変更装置
12,32,52,82 基材
14 回転部材(切替部)
22A,42A,72A 第一表面性状部
22B,42B,72B 第二表面性状部
34 シート部材(切替部)
35 球状部材(駆動部)
54A 第一可動部材(切替部、一方の可動部材)
54B 第二可動部材(切替部、他方の可動部材)
57A,57B,57C 形状記憶バネ(切替部、可変部)
62A,62B,62C 熱冷媒(切替部、可変部)
82 ペルチェ素子(温度調節部)
82A 第一ペルチェ素子(温度調節部)
82B 第二ペルチェ素子(温度調節部)
84 ECU(制御部)
87 電気抵抗体(温度調節部)
114A,114B バッグ(切替部、可変部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
第一表面性状を有する複数の第一表面性状部と、
前記第一表面性状とは異なる第二表面性状を有する複数の第二表面性状部と、
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部が一体に設けられると共に、前記複数の第一表面性状部を互いに間隔を空けた状態で前記基材に対する表側に突出させ前記複数の第二表面性状部を前記第一表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる第一切替態様と、前記複数の第二表面性状部を互いに間隔を空けた状態で前記基材に対する表側に突出させ前記複数の第一表面性状部を前記第二表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる第二切替態様とを取り得る切替部と、
を備えた感触変更装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記第一切替態様にあるときに、前記複数の第一表面性状部を使用者の身体のうち前記複数の第一表面性状部と接触されると想定される部位における触覚の空間分解能未満の間隔を互いに空けた状態で前記基材に対する表側に突出させる、
請求項1に記載の感触変更装置。
【請求項3】
前記切替部は、前記第一切替態様にあるときに、前記複数の第一表面性状部を使用者の身体のうち前記複数の第一表面性状部と接触されると想定される部位における触覚の空間分解能以上の間隔を互いに空けた状態で前記基材に対する表側に突出させる、
請求項1に記載の感触変更装置。
【請求項4】
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度を変更させるための温度変更部と、
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感に合うように、前記温度変更部を制御する制御部と、
を備えた請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の感触変更装置。
【請求項5】
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度を変更させるための温度変更部と、
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の温度が、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部の少なくとも一方の表面性状が使用者に視覚的に与える温度感と反するように、前記温度変更部を制御する制御部と、
を備えた請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の感触変更装置。
【請求項6】
前記切替部は、前記第一切替態様としての第一回転位置と、前記第二切替態様としての第二回転位置とを取り得るように、前記基材の延在方向を回転軸方向として回転可能とされると共に、前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部が回転方向に並んで設けられた回転部材を有する、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置。
【請求項7】
前記切替部は、前記基材の延在方向に沿って延在された可撓性を有するシート状に構成されると共に、前記第一切替態様としての第一スライド位置と、前記第二切替態様としての第二スライド位置とを取り得るように、前記基材の延在方向に沿ってスライド可能に設けられたシート部材を有し、
前記第一表面性状部及び前記第二表面性状部は、前記シート部材の一部を構成すると共に、前記シート部材のスライド方向に並んで配置され、
前記シート部材に対する裏側に設けられ、前記シート部材が前記第一スライド位置にあるときに、前記第一表面性状部を前記基材に対する表側に膨出させて突出させると共に、前記第二表面性状部を前記第一表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させ、前記シート部材が前記第二スライド位置にあるときに、前記第二表面性状部を前記基材に対する表側に膨出させて突出させると共に、前記第一表面性状部を前記第二表面性状部に対する前記基材の裏側に退避させる駆動部を備えた、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置。
【請求項8】
前記切替部は、それぞれ前記基材の表裏方向に独立して移動可能とされると共に、前記第一切替態様として一方が他方に対して前記基材の表側に移動され、前記第二切替態様として他方が一方に対して前記基材の表側に移動される一対の可動部材を有し、
前記第一表面性状部は、前記一方の可動部材に設けられ、
前記第二表面性状部は、前記他方の可動部材に設けられている、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の感触変更装置。
【請求項9】
前記切替部は、温度の変化に応じて、前記第一切替態様としての第一形態と、前記第二切替態様としての第二形態とに変化する可変部を有する、
請求項1〜請求項5、及び、請求項8のいずれか一項に記載の感触変更装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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