説明

懸濁形態でのアリール複素環活性薬物の蓄積製剤

【課題】精神分裂症等の治療に効果的な濃度で、持続的時間に渡って薬物送達を提供することができる、ジプラシドン等のアリール複素環化合物の注射可能蓄積製剤;かかる蓄積製剤を製造するために便利に使用することができる医薬キット、を提供すること。
【解決手段】ジプラシドン等のアリール複素環医薬化合物の注射可能蓄積製剤を製造するための医薬キット、及び当該蓄積製剤を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジプラシドン(ziprasidone)を含むアリールピペラジニル−C2及び−C4アルキレン複素環化合物等のアリール複素環化合物のための注射可能な蓄積製剤、並びに同じものの製造法に関する。本発明の注射可能蓄積製剤は、例えば筋肉内(IM)注射によって患者に投与した後の長期間、活性複素環物質を制御放出することができる。特別な態様では、本発明は、注射可能蓄積製剤として実用的なジプラシドン懸濁液がそれから調製することができる医薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のアリール複素環化合物は、向精神効果を有することが知られている。特にジプラシドンは、精神分裂症の治療によく処方される異型の抗精神病薬であるアリール複素環式クロロオキシインドール類である。ジプラシドン等の異型の抗精神病薬は、それらが錐体外路系症状(EPS)等の低発生副作用に関連するその程度において、古典的な抗精神病薬を超える明確な利点を提供し、またあるいはより古典的な薬物療法に反応しない患者の治療により高い効果を与える。精神分裂症等の特定の疾患は、必ずしも全ての患者が同じ治療処方に同様に反応するとは限らない異質疾患と考えられるので、薬で治療することが特に難しいことがある。これの悪化は、一般的に精神分裂症の治療が長期間に及ぶという問題、すなわち、投薬スケジュールへの患者の非服従を引き起こす。実際に、精神分裂症の患者の相当数は、薬による治療に非服従であるか又は部分的に服従するにすぎないと一般的に考えられる。低服従は、精神病的症状の再発を引き起こし、如何なる利益が第一段階での治療で達成されたとしてもそれを打ち消してしまう。
【0003】
患者の服従が問題とされる場合、時には、薬剤の剤形の作用を長引かせる必要がある。これは、単回投与が、延長された期間に渡って、薬剤の徐放を導く剤形である。次に、これは、患者が順守しなければならない投薬処方を簡略化し、より厳しいスケジュールで起こる非服従の機会を減ずることができる。かかる剤形の中には、筋肉内注射を含む種々の方法によって投与することができる蓄積製剤がある。蓄積投薬量注射は、特に投与部位からの薬物の減速的吸収を提供するように製剤化されており、数日又は数週間に一度の患者のシステムにおいて同一の治療的レベルをしばしば維持する。しかし、蓄積型の使用が利用できなかった例がある。例えば、現行の実施では、ジプラシドンは、精神分裂症の急性及び長期間治療のために、迅速放出(IR)カプセルの形態で、日に一回又は二回投与され、あるいは、精神分裂症患者の興奮の緊急の制御のために筋肉内迅速放出注射型で投与される。
【0004】
ジプラシドンは低溶解性である。実際に、前記の筋肉内の迅速放出製剤のためには、一般的に他の周知のジプラシドン塩に比較して溶解性であるジプラシドンメシラートは、参考として本明細書に記載した米国特許第6,232,304号明細書に記載されているシクロデキストリンの使用により、現在、更に溶解する必要がある。
【0005】
ジプラシドンの場合には、その低溶解度は、当該薬物がほとんど溶解性でないために(破裂せず)、放出を長引かせる必要がある蓄積製剤に従うことを示唆するが、実際には、そのような蓄積製剤で構成される場合に、十分な薬物動力学的暴露を提供するものではない、ことが判っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ヒトを含む哺乳動物において、精神分裂症等の治療に効果的な濃度で、持続的時間に渡って薬物送達を提供することができる、ジプラシドン等のアリール複素環化合物の注射可能蓄積製剤が求められている。特に、かかる蓄積製剤を製造するために便利に使用することができる医薬キットが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、迅速な放出と典型的に関連する(又はそれよりも更に高いレベルで)アリール複素環の可溶化型が蓄積製剤に驚くべきことに調合できることの発見に基いている。一つの態様では、本発明は、ジプラシドン等のアリール複素環化合物を含む医薬キットに関する。ここで、当該化合物は可溶化されていても又は非可溶化されていてもよく、構成する液体媒質は粘性剤を含んでいてもよい。但し、当該アリール複素環化合物が非可溶化されている場合には、当該液体は更に可溶化剤を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ヒトを含み、治療を必要としている哺乳動物の精神分裂症等の精神病の治療に有用である。本発明は、障害又は症状の治療、ジプラシドン投与によって促進されるその治療にも有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の医薬キットは、著しく高い溶解度のアリール複素環薬物を製剤中に有する注射可能な蓄積製剤を便利に提供するものである。本発明のキットは、粘性剤と共に可溶化剤を使用することにより、改良薬物の装填及び送達を達成し、その結果、蓄積効果を象徴する制御された放出が得られる。
【0010】
本発明は、ジプラシドンの使用が指摘されている出願、例えば米国特許第6,245,766号明細書;同6,245,765号明細書;同6,387,904明細書;同5,312,925明細書;同4,831,031明細書及び1999年3月17日に公開された欧州EP第0901789号明細書等(これらは全て参考として本明細書に記載した)を有する。
【0011】
本発明での使用に画された薬物化合物は、アリール複素環の、好ましくは薬理効果、例えば向精神薬効果を有する化合物である。
【0012】
本発明の実施に供されるアリール複素環化合物の実施態様は、限定されず、下記式:
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
Arはベンゾイソチアゾリル又はその酸化物もしくは二酸化物であり、場合により、各々は、一つのフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル、メトキシ、シアノ又はニトロで置換されていてもよい;nは1又は2であり;並びに、
X及びYは、それらが結合しているフェニルと一緒になって、ベンゾチアゾリル;2−アミノベンゾチアゾリル;ベンゾイソチアゾリル;インダゾリル;3−ヒドロキシインダゾリル;インドリル;場合により、1〜3の(C1−C3)アルキル、又は塩素原子、フッ素原子もしくはフェニルの内の一つで置換されていてもよく、当該フェニルは、場合により、一つの塩素原子又はフッ素原子で置換されていてもよいオキシインドリル;ベンゾオキサゾリル;2−アミノベンゾオキサゾリル;ベンゾオキサゾロニル;2−アミノベンゾオキサゾリニル;ベンゾチアゾロニル;ベンゾイミダゾロニル;あるいはベンゾトリアゾリルを形成する。]
で表される構造を有する。
上記定義内の化合物の代表例は、本明細書に参考として記載した米国特許第4,831,031号明細書に見られる。
【0015】
一つの実施態様では、本発明は好ましくは、X及びYがそれらが結合しているフェニルと一緒になって、オキシインドールを形成する上記化合物、より好ましくは、当該オキシインドール部分が6−クロロオキシインドール−5−イルを形成する上記化合物を用いる。別の好ましい態様では、Arはベンゾイソチアゾリルであり、更に好ましい態様では、nは1である。本発明に関する特に好ましいアリール複素環は、ジプラシドン、5−[2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾリル−3−イル)−1−ピペラジニル]エチル]−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンであり、下記式:
【0016】
【化2】

【0017】
で表される構造を有する。
【0018】
本明細書に記載されたアリール複素環化合物は、遊離塩基として構成することができるが、アリール複素環化合物が薬学的に許容される塩として存在するならば、それが好ましい。この点に関し、「塩」の語は、ジプラシドンを含むアリール複素環の薬学的に許容される酸付加塩を意味する。本発明のキット及び製剤を製造する目的のため、当該塩は、無水物又は水和物等の1以上の溶媒和物(それらの混合物を含む)の形態でもよい。当該塩はまた、異なった多形相に存在してもよい。例を挙げれば、アリール複素環式ジプラシドンのメシラート塩は、本明細書に参考として記載した、米国特許第6,110,918号明細書及び同6、245,765明細書に開示された二水和物又は三水和物として存在してもよい。好ましい塩は、限定されず、トシラート、タートレート、ナプシレート、ベンジレート、アスパルテート、エシレート及びメシラートの塩である。特に好ましい実施態様では、アリール複素環はジプラシドンメシラートであり、より好ましくはキット又は製剤の目的のための三水和物の形態である。本明細書で使用されているように、「ジプラシドン」の語は、特に断らなければ、全てのジプラシドンの形態、すなわちジプラシドン遊離塩基及びジプラシドンの薬学的に許容される全ての塩(かかる塩の無水物及び水和物形態を含む)を包含する。
【0019】
本発明の医薬キットは、精神分裂症等の疾患の治療に効果的な濃度で、持続的時間、例えば迅速な放出注射系によって得られる時間を超える時間、アリール複素環活性薬物を送達するための注射可能な蓄積製剤を提供する。従って、更に定義すれば、本発明の注射可能な蓄積製剤は、例えば、約0.1ml〜約3ml、約1ml〜約2mlが一般的である典型的な注射体積を用いて、少なくとも約8時間、活性薬物の有効な血漿レベルを提供する。好ましくは、前記の注射体積を用いる本発明によって提供される持続的時間は、少なくとも約24時間、より好ましくは約1週間まで、更により好ましくは約1週間〜約2週間又は約8週間までを含むそれ以上である。例えば、ジプラシドンの場合には、本発明の実施態様では、少なくとも約0.5〜約350mgA/mlの蓄積製剤を送達することができる。従って、約1〜2mlの注射体積で、約1〜約700mgAを持続的時間、注射により送達することができる。
【0020】
他の実施態様では、約10mgA〜約560mgAのジプラシドンを、持続的時間に送達することができる。更に別の実施態様では、約10mgA(例えば5mgA/ml)〜約420mgA(例えば210mgA/ml)のジプラシドンを持続的時間に注射により送達することができる。更に別の実施態様では、約10mgA(例えば5mgA/ml)〜約280mgA(例えば140mgA/ml)のジプラシドンを持続的時間に注射により送達することができる。別の態様では、約10mgA〜約140mgA(例えば70mgA/ml)のジプラシドンを持続的時間に注射により送達することができる。かかる量のジプラシドンを注射によって送達するための好ましい時間は、上に列挙した通りであり、すなわち、少なくとも約8時間、好ましくは少なくとも約24時間、より好ましくは少なくとも約1週間から約2週間まで、約4週間まで、約8週間までが好ましい。
【0021】
本発明の医薬キットは、少なくとも2つの別々の成分、すなわち、1)可溶化又は非可溶化アリール複素環化合物、及び2)アリール複素環化合物を注射可能製剤に構成するための液体媒質、からなる。当該液体媒質は、粘性剤を含み、当該アリール複素環が本明細書で定義したように非可溶化されているならば、それは更に可溶化剤を含む。当該キット中の2つの成分が接触する場合には、可溶化剤は、本明細書に画された蓄積効果を与える製剤を得るために十分なアリール複素環を可溶化するように働く。当該2つの成分は、二重のチェンバー要素等の、独特な構造の一部でもよく、あるいはより好ましくは、それらは、当該分野で周知のバイアル等の別々のパッケージで提供することができる。従って、例えば、例えばバイアル等の第一のパッケージは、当該アリール複素環を含み、例えばバイアル等の第二のパッケージは、必要ならば粘性剤及び可溶化剤を含む液体媒質を含む。当該パッケージは、好ましくは、一つの内容物が他の内容物と混合できるように構成される。好ましい態様では、当該バイアルは、ガラス又は樹脂からなり、透明又は有色、例えば琥珀色である。ガラスは、当該アリール複素環化合物がより好ましい場合には、琥珀色である。本発明のキットを含む当該2つの成分をここで更に記載する。
【0022】
本発明のキットの実施において、アリール複素環化合物は、可溶化又は非可溶化されている。「可溶化」の語及び本明細書で使用される同じものの関連する変化は、本発明によって想定される治療レベルにおいて活性薬物の長期間の系統的暴露を提供するために十分な程度に、当該複素環化合物が、過剰量のその遊離形又は塩の形で水に溶解性を有することを意味する。制限なく、当該複素環化合物は、本明細書で画される増大した溶解度を達成するために、シクロデキストリン又は他の可溶化剤を用いて「可溶化」することができる。従って、当該複素環は、部分的に又は完全に可溶化することができ、「可溶化」の定義を満たす。反対に、「非可溶化」の語及び本明細書で使用される同じものの関連する変化は、当該複素環が、画された前記蓄積効果を提供するために不十分な種類及び/又は程度の溶解度を有することを意味する。当該アリール複素環が非可溶化されている条件下では、粘性剤を含む液体媒質は、更に可溶化剤を含む。当該実施態様において、十分な量の可溶化剤は、液体媒質中に存在し、意図した蓄積目的のために非可溶化複素環を溶解性にするべく、十分な量の非可溶化複素環を可溶化する。
【0023】
本発明のキットの種々の実施態様が利用でき、これらの全てが本発明の企画の範囲内であることが理解できよう。例えば、一つの実施態様では、アリール複素環化合物は、意図した蓄積効果を提供するように十分に可溶化されている。当該例では、液体媒質は、追加の可溶化剤を含んでもよいが、含まなくてもよい。この点に関し、可溶性アリール複素環は、本明細書に記載された実施例に関して言えば、シクロデキストリンとの未形成複合体の形態で存在してもよい。別の実施態様では、当該アリール複素環は、部分的に可溶化することもできるが、意図した効果、すなわち当該複素環が本明細書の目的のために「非可溶化される」、を達成するためには十分でない。かかる状況下では、液体媒質は、差異を補って、残余の非可溶性複素環の十分な量を可溶化して意図した効果を提供するために、少なくとも十分な可溶化剤を含む。他の実施態様は、当該アリール複素環が実質的に全く可溶化されていない、すなわち、本明細書の目的のために「非可溶性される」場合である。当該例では、液体媒質は、当該複素環の全てが蓄積効果を獲得していない場合に十分に可溶化する十分な可溶化剤を含む。
【0024】
当該アリール複素環が非可溶化され、液体媒質が不可欠の可溶化剤を形又は量で含む実施態様では、液体媒質が当該アリール複素環化合物に接触する場合には、当該接触が、得られた蓄積製剤を注射する前の、当該複素環の可溶化を達成するために十分な期間になされることが好ましいい。例えば、当該2つの成分は、少なくも約15分間接触させるべきであり、より好ましくは、注射前に可溶化を達成するため、約15分間〜約45分間を経過させる必要がある。当該時間が、例えば加熱及び/又は音波処理機、ボルテックス、ミキサー等の使用によって、15分未満に短縮できることは、当業者によって理解されよう。注射前に、構成された懸濁液を、例えば振とうによって、好ましくは約1分以上、例えば約2分間、攪拌することが更に好ましい。
【0025】
便宜上、本発明は、アリール複素環化合物としてジプラシドンを例示して、ここで更に説明する。次の議論は、本発明の範囲を限定するものと解してはならず、また本明細書で後述する技術が、本明細書に開示されたアリール複素環ファミリーに付随し、当該ファミリーのみに適合できると解してはならない。記載の目的を達成する他の技術もまた本発明の実施の範囲内と画され、想定されている。
【0026】
本明細書で使用の「mgA/ml」の語は、本語が適用される組成物のml当たりの、ジプラシドン等のアリール複素環化合物の重量(mg)を指す。ジプラシドン遊離塩基については、分子量は412.9である。
【0027】
一つの実施態様では、ジプラシドン濃度は、本発明の蓄積製剤において、それが属する溶液中の量及び懸濁液中の量を含めて、約0.5mgA/ml〜約350mgA/mlであり、例えば少なくとも約60mgA/mlである。ジプラシドンについてより好ましくは、濃度は、蓄積製剤の約140mgA/mlと約210mgA/mlの間を含む、蓄積製剤の約70mgA/mlと約280mgA/mlの間であり、高濃度もまた本発明の実施の範囲内である。当該濃度レベルを得るためにジプラシドンを可溶化する種々の技術は、制限がなく、シクロデキストリン及び他の可溶化剤の使用を含む。
【0028】
好ましい可溶化剤はシクロデキストリンである。シクロデキストリンは、外表面に水酸基を、中心に空洞を有する環状オリゴサッカライドである。外表面は、シクロデキストリンが水に溶解性であるため、通常、親水性である。一方の中心は、典型的には疎水性である。シクロデキストリンは、ジプラシドン等のゲスト分子によって複合体を形成する能力を有する。本発明によって画されるシクロデキストリンは、限定されないが、α−、β−、γ−シクロデキストリン、メチル化シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン(HEBCD)、1もしくは2のグルコース又はマルトースが酵素的にシクロデキストリン環に結合している分岐シクロデキストリン、エチル−及びエチル−カルボキシメチルシクロデキストリン、ジヒドロプロピルシクロデキストリン、並びにスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)等のスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む。シクロデキストリンは、当該分野で知られているように、置換されていなくてもよく又は全体的にもしくは部分的に置換されていてもよい。シクロデキストリンの混合物もまた使用することができる。本発明の蓄積製剤のための好ましいシクロデキストリンは、γ−シクロデキストリン、HPBCD、SBECD又はそれらの混合物であり、SBECDが最も好ましい。
【0029】
ジプラシドンを有するシクロデキストリン複合体は、本明細書に記載した米国特許番号第6,232,304号明細書に記載されているように、水に溶解することができる。本発明の目的のために、シクロデキストリン及びジプラシドンの未形成(固体)複合体は、本発明のキットの第一の構成成分として使用することができ、又はシクロデキストリンは、ジプラシドンを溶解するために蓄積製剤に別々に、例えばキットの第二の成分の一部である粘性剤又は他の成分との混合物中にシクロデキストリンを加える等により、提供することができる。
【0030】
当該キットの第二成分に使用される粘性剤は、粘性水、薬学的に許容される油及び油系剤、ポリマー剤及び他の非水性粘性媒質等の当該分野で知られたものを含む。好ましい念製剤は、限定されないが、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、キトサン、デキストラン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリアミン、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、コハク酸塩、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリヒドロキシセルロース、キチン、それらのコポリマー及びターポリマー、並びにそれらの混合物を含む。好ましいセルロース誘導体は、メチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)及びヒドロキシプロピル・メチルセルロースを含む。好ましいポリラクチド、ポリグリコリド、それらのコポリマー及びびターポリマーは、コポリ乳酸/グリコール酸(PLGA)を含む。また、例えば、ゲル系、例えばステアリン酸(SA)とN−メチルピロリドン(NMP)との組み合わせ、スクロース・アセテート・イソブチレート及びPLGAも、そのままで本発明の粘性剤として画される。
【0031】
第一の可溶化実施態様では、ジプラシドンは、SBECD等のシクロデキストリンで可溶化することができる。ここで、当該シクロデキストリンは、約60%w/vまでの濃度、より好ましくは約60%w/vまでの濃度、更により好ましくは約30%w/vまでの濃度で存在する。他の態様では、当該蓄積製剤は、約5%〜約35%、特に約10%〜約20%のSBECD等のシクロデキストリン濃度を含む。好ましい態様では、この点に関し、当該蓄積製剤は、水性懸濁液の形態をとり、ここで、NaCMC等の粘性剤は、注射用殺菌水等の水中に、3.2cpsよりも高い、好ましくは約20cps〜約200cps、より好ましくは約30cps〜約165cpsの蓄積製剤の粘性を与えるに十分な量で存在する。例えば、NaCMCは、約0.1%〜約3%w/v、好ましくは約0.5%〜約2%w/vの量で存在し得る。薬学的に許容される界面活性剤は、場合により使用することができ、この点に関し、界面活性剤は、例えば約1%w/v、好ましくは約0.01〜約0.1%w/vまでの量で存在し得、好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、好ましくはポリソルベート80(ツイーン80)である。
【0032】
第二の可溶化実施態様において、ジプラシドン及びシクロデキストリンの複合体は、固体として形成、単離される。次いで、当該可溶化複合体は、当該ジプラシドン−シクロデキストリン複合体がそこに溶解しない非水性粘性剤を含む好適な粘性媒質に懸濁することができる。固体未形成複合体は、限定されないが、上記第二の実施態様の高濃度溶液を凍結乾燥することによって得られる。当該凍結乾燥複合体は、限定されないが、モノステアリン酸アルミニウム(ALMS)ゲル化ゴマ油を含むゴマ油、及び例えばステアリン酸(SA)とNMPとの組み合わせを含む非水性粘性剤に懸濁する。
【0033】
本発明のキットの液体媒質(第二)成分は、使用される可溶化技術について水性又は非水性を選択できる。好ましい態様では、当該液体媒質は、例えば注射用水を含む水性である。当該液体媒質は、上で線引きした1以上の粘性剤を含む。非可溶化ジプラシドンを第一の成分として使用する本発明のキットの実施態様において、当該液体媒質が、水性であって、セルロース由来の粘性剤であることが好ましく、当該例において、当該液体媒質が可溶化剤としてシクロデキストリンを含むことが更に好ましい。キットに含まれる蓄積製剤の最終的な粘性が、3.2cpsより高く、好ましくは約30と約165cpsとの間にある必要があるが、粘性剤及び可溶化剤の量は、例えば本明細書に記載の投薬パラメーターに基いて変化させることができる。
【0034】
好ましい態様では、医薬キットは、約1ml〜約3ml、好ましくは約1ml〜約2mlの通常の注射体積を考慮すると、日に少なくとも約10mg〜約30mgのジプラシドンを少なくとも約8時間、より好ましくは少なくとも24時間、更により好ましくは約1〜約2週間に提供するために十分な量で、ジプラシドン粉体を含む第一パッケージを含む。ジプラシドンは、好ましくはジプラシドンメシラート、より好ましくはジプラシドンメシラート三水和物である。一般的に、アリール複素環化合物が実質的は乾燥形態、例えば粉体、より特別には微粉体にある。当該第一パッケージの内容物は、制限されず、照射又はe−ビームによる殺菌を含み、殺菌することが更に好ましい。γ又はe−ビーム照射による殺菌が好ましく、γ照射が最も好ましく、特にジプラシドンメシラートに関し、投与量において約40kGyまでのγ照射、例えば約15〜約35kGyが更により好ましく、約25kGyが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい態様では、第二パッケージは、約60w/vまでの濃度でシクロデキストリン;約0.1%w/v〜約3%w/v、好ましくは約0.5%〜約3%w/vまでの濃度でシセルロース由来の粘性剤の水溶液を含む。薬学的に許容される界面活性剤は、場合により、例えば約1%w/vまでの濃度で、第二パッケージに存在してもよい。アリール複素環がジプラシドンである場合には、粘性剤は、好ましくは約0.1%〜約3%の濃度でより好ましくは約0.5%〜約2%の濃度のNaCMCであることが好ましい。液体媒質は、水性であり、好ましくは注射用殺菌水である。可溶化剤は、好ましくはSBECDであり、上記水の約5%w/v〜約35%w/vの濃度で存在する。界面活性剤は場合により存在し、制限されず、好ましくは、例えばポリソルベート80、ツイーン80等のポリオキシエチレンソルビタンエステルである。より好ましくは、当該界面活性剤は、約0.01〜約0.1%w/vの濃度で存在する。注射用水は、好ましくは、1注射当たり約1〜約3mlの注射体積を提供するために十分な量で存在する。第二パッケージ及びその内容物は、例えば約121℃で約15分間の蒸気(高圧蒸気殺菌法)殺菌等の好適な手段によって殺菌することが好ましい。
【0036】
一つの実施態様では、本発明の医薬キットは、殺菌した微粉体として、ジプラシドンメシラート三水和物を好ましくは約239mgの量(約175mgAのジプラシドンに相当)で含む第一のバイアル(非可溶化);殺菌注射用水、約30%w/vのSBECD、約0.5%のNaCMCw/v及び約0.02%ポリソルベート80(ツイーン80)を含む液体媒質の第二のバイアルであって、当該第二バイアルに含まれる水性媒質の総体積が約3mlである第二のバイアル、を含む。本態様の医薬キットは、70mgA/mlのジプラシドン水性懸濁液の2.5mlを製造するために使用することができる。
【0037】
表1では、キットが、注射用水中に、非可溶性ジプラシドン(バイアル1)、可溶化剤(SBECD)及び場合により界面活性剤(ツイーン80)を含む本発明の種々の実施態様であって、そこから、例えば筋肉内蓄積注射に有用な70mgA/mlのジプラシドンの水性懸濁液が製造できるキットを提供する。表2は、キットが、140mgA/mlのジプラシドン及び210mgA/mlのジプラシドンを含む、例えば筋肉内注射用の水性懸濁液の製造のためのものである本発明の実施態様を提供する。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【実施例】
【0040】
以下の実施例は例示にすぎず、それらは本発明の範囲又は精神を限定するものと解釈されるものではない。
【0041】
実施例1
本発明によって画される医薬キットの実施態様は、以下のようにして調製した。
バイアル−1:予め洗浄した10mlのAmber Glassバイアルに、約239gのジプラシドンメシラート三水和物を手で加えた(1バイアル当り約175mgAに相当)。1投薬量当たり25kGy±10%のγ線によって殺菌するために、当該バイアルに栓をし、型押しした。本発明に従って構成されたバイアル−1は、175mgAのジプラシドンに相当する239mgの殺菌したジプラシドンメシラート三水和物を含んでいた。
【0042】
バイアル−2:粘性剤及び可溶化剤を含む水溶液を次のようにして調製した。約15mgのNaCMC 7H3SFを約1600mgの注射用水に、室温で、NaCMCが完全に溶解し、水和するまで2時間、350RPMで攪拌しながら分散した。その後、約900mgのSBECDを攪拌しながらNaCMCに溶解した。約0.6mg量のポリソルベート80を添加し、使用する補填用の注射用水の総量が約2441.4mgとなるように、注射用水を添加した。得られた溶液を10μmのポリプロピレン フィルター及び6μmのポリプロピレン フイルターからなるフィルター列を通してろ過した。第一のフィルターを廃棄し、第二のフィルターを集めた。約3mlのこの後のろ液を10mlのFlint Type 1 Molded Glassバイアルに加えた。当該バイアルに栓をし、遮光し、次いで約121℃で約15分間、高圧蒸気殺菌法で滅菌した。本発明に従って構成されるバイアル−2は、30%w/vSBECD、0.5%w/vNaCMC及び0.02%ポリソルベート80(ツイーン80)を含む水性媒質(3ml)であった。
【0043】
実施例2
本例は、構成後の時間経過後の溶液中の濃度の点から、ジプラシドンの溶解プロファイルを説明する。15医薬キットの第一セットを実施例1に従って調製した。粘性剤として、NaCMC 7H3SFの換わりにNaCMC 7LFを使用する以外は実施例1で示したと同様な方法を用いて、本発明の別の実施態様を表す15医薬キットの第二セットを、調製した。NaCMC 7LFは、NaCMC 7H3SFよりも低粘性である。
【0044】
各キットは、以下のように、注射可能な水溶性懸濁蓄積製剤として構成した。バイアル−2から約2.3mlの水性媒質を、ジプラシドン粉体を含むバイアル−1に注入した。溶解プロファイルを、上記の15キットを用いて、5種の時点、すなわち初期、15分、30分、60分及び24時間において、3キットのプロトコールにより、各例について決定した。各時点で、3キットの懸濁液を0.22μmメンブレンフィルターでろ過し、分析用の透明な上清を得た。「初期」時点バイアルと表されるバイアルは、構成後直ちにHPLC分析のために、一つずつ調製した。得られた溶解プロファイルを以下の表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
表3から明らかなように、濃度は、約21〜22mgA/mlで、約15〜60分間でプラトーに達し、その後、媒質の粘性に関りなく、ジプラシドンの溶液濃度が若干、増加しただけであった。従って、当該溶液の高粘性は、ジプラシドンの溶解性には影響を与えなかった。一旦構成されると、懸濁蓄積製剤は、患者が受け入れる溶液中の薬物量に何の顕著な相違もなく、15〜60分間にわたって投薬することができた。ジプラシドン濃度は15分後でも特に変化しないので、本発明の態様を実施するには、投与前の懸濁液の構成後、約15〜約60分に相当する時間を採用するのが好ましく、より好ましくは約15〜約45分である。
【0047】
実施例3
本例は、140mgA/ml及び210mgA/mlを有する本発明に従う注射可能なジプラシドン水性懸濁蓄積製剤の溶解プロファイルを説明する。
【0048】
各キット(140mgA/mlのジプラシドン及び210mgA/mlのジプラシドン)を、次の注射可能な水性懸濁蓄積製剤に構成した。959mgのジプラシドンを詰めたバイアルを4.4mlの媒質で構成し、5mlの140mgA/ml懸濁液とした。また、1438mgのジプラシドンを詰めたバイアルを4.2mlの媒質で構成し、5mlの210mgA/ml懸濁液とした。18G注射針を付けた5ccのシリンジを使って媒質を加え、各バイアルを2分間、手で振とうさせ、所望の時間静置した。試料採集前に、試料を更に2分間振とうさせた(初期を除いて)。試料は、初期、15分、45分、3時間、6時間及び24時間の時点で採集した。2つのキット又は一対のバイアルを、各時点及び製剤構成のために使用した。当該試料を25℃で5分間、5000rpmで遠心した。上清を集め、0.45μmフィルター(10%SBECDを含む媒質)又は最初に1μmフィルター、次いで0.45μmフィルター(高粘性のため、20%SBECDを含む媒質)を通してろ過した。透明な上清を、HPLC試料を調製するために使用し、溶液中の薬物濃度を溶解度として分析した。次の結果から明らかなように、製剤中のジプラシドンの溶液濃度は、ジプラシドンメシラートの溶解度よりも著しく高かった。
【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
実施例4
本例は、実施例1に従って調製された医薬キットを用いて得られた蓄積製剤の薬物動力学的プロファイル説明する。実施例1のキットは、約2.3mlのバイアル−2の水性媒質をバイアル−1に注入し、2.5mlの70mgA/mlのジプラシドン水性懸濁液を得ることによって構成した。構成後、バイアルを約1分間振とうし、その後15分間静置し、次いで再度約1分間振とうした。粘性は、約31と165cpsとの間であった。22ゲージ、1〜1.5インチの注射針を2mlの蓄積製剤に装填して、約140mgのジプラシドンの投薬量を提供するように構成した。
【0052】
本発明のキットから得られた前記水性懸濁蓄積製剤の薬物動力学的(PK)プロファイルは、ビーグル犬で試験し、以下、すなわち、比較試料(1):可溶性ジプラシドンを含む迅速放出製剤、但し粘性剤を含まない;及び比較試料(2):粘性剤(SBECD)及び非可溶性ジプラシドンを含む水性懸濁液、と比較した。結果は以下のようであった。比較試料(1)は蓄積効果を示さなかった。すなわち、ジプラシドンの血清濃度は、48時間後は非定量的であり、血清濃度は持続的でなかった。比較試料(2)は、4.6±2.4ng/mlのジプラシドン血清濃度(12〜336時間の平均)を示した。一方、本発明は、12.9±3.7ng/mlのジプラシドン血清濃度を示し、最も近似した試料である比較試料(2)の蓄積効果を超える約280%という、蓄積効果において増加を示した。
【0053】
実施例5
表6は、本発明に従う医薬キットを用いる、140mgA/mlのジプラシドン及び210mgA/mlのジプラシドンを有する水性懸濁蓄積製剤の薬物動力学的プロファイルを示す。ジプラシドンに加えて、各製剤:10%SBECDに加えて1.5%NaCMC 7LFを含む製剤、及び20%SBECDに加えて0.5%NaCMC 7H3SFを含む製剤は、0.1%ツイーン80を含む。当該プロファイルは、実施例4に記載されたと同様の方法で、指示された蓄積製剤用いて注射されたビーグル犬の6群(群A〜F)から得た。結果をng(ジプラシドン)/ml(血漿)で示す。
【0054】
【表6】

【0055】
実施例6
本例は、本発明の医薬キットの実施態様に使用するための可溶性ジプラシドン固体の製造を説明する。当該例中の可溶性ジプラシドンは、ジプラシドン及びシクロデキストリンの未形成複合体である。
【0056】
ジプラシドンメシラート三水和物及びシクロデキストリンSBECDの単離未形成複合体は、以下のようにして製造した。固形での単離未形成複合体は、本発明の医薬キットの成分として得ることができた。同じものの一つの実施態様では、キットの他の成分は、キットが蓄積製剤を構成する場合に、当該複合体が水溶性でないために可溶性ジプラシドンの非水性懸濁液を形成しない液体媒質を含む。
【0057】
溶液の1095.3mg単位は、80℃の温浴中で製造した。SBECDを注射用殺菌水(SWFI)に溶解した後、ジプラシドンメシラート三水和物を得られた溶液に添加した。工程全体において、当該溶液を磁気によって攪拌した。薬物溶液(82mgA/ml)を、0.45μmフィルターを通してろ過し、2mlアリコートをピペットで取って20mlのバイアルに移した。
【0058】
上記製造のバイアル溶液を凍結乾燥して、ジプラシドンSBECD複合体を凍結乾燥固体として得た。凍結乾燥サイクルは、次の条件を使用した。すなわち、1)凍結ステップ:温度は1℃/分で−55℃まで下げた;2)一次乾燥:0.05℃/分で−55℃〜−32℃まで上昇させ、真空度100mTorrで、−32℃で7日間維持した;3)二次乾燥:0.1℃/分で−32℃〜8℃まで上昇させ、真空度70mTorrで、8℃で20日間、次いで、0.1℃/分で8℃〜30℃まで上昇させ、真空度70mTorrで、30℃で20日間維持した。当該複合体は、約56%のSBECDを含む約80mgA/mlのジプラシドンを含んでいた。
【0059】
凍結乾燥複合体の試料を、種々の生物適合的な徐放性非水性媒質中に懸濁した。次にビーグル犬への投与が実現できる当該製剤及びジプラシドン血清濃度を、以下の表7に示す。
【0060】
【表7】

【0061】
実施例7
本例は、本発明のキットの実施態様を用いる種々の代表的な投薬操作を説明する。実施例1に従って製造したキットを準備した。注射可能な蓄積製剤を製造するための同じ構成は以下の通りである。
【0062】
22G 1又は1.5インチの注射針を付けた3mlのLuer−Lokシリンジで、バイアル−2から2.5mlの液体媒質を取り出した。空気泡を除いた(例えば叩いて)。液体媒質の体積を、シリンジの2.3mlの印のところまでとした。バイアル−1は、攪拌し(例えば叩いて)、ジプラシドンが確実に当該バイアルの底にあるようにした。シリンジ中の液体媒質をバイアル−1に注入し、バイアル−1を直立させた。バイアル−1を再度攪拌し(叩いて)、バイアルの底周辺にジプラシドンの皺がよらないようにした。注射針付きのシリンジをバイアル−1から除き、シリンジのプランジャーを外し、バイアル内の陽圧を減じた。注射針付のシリンジを、プランジャーを押すことなく取り除いた。得られた懸濁液を2分間攪拌した(例えば混合、振とう)。次いで、当該バイアルを30±15分間静置した。投薬する直前に、このようにして構成された懸濁液のバイアルを2分間攪拌した(例えば振とう)。投薬のために、22G 1又は1.5インチの注射針(あるいは16〜21標準規格注射)付けた好適なシリンジを一定の懸濁液の好適な体積を取り出すために使用した。捕獲された空気泡をシリンジの外筒を叩くことによって、除くことができた。シリンジ中の懸濁液の体積は、表8に代表的に記載された7〜140mgAの投薬量を送達するために、好適な印のところまでとした。
【0063】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 可溶化又は非可溶化ジプラシドン(ziprasidone);及び
(ii) メチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピル・メチルセルロース及びそれらの組み合わせから選ばれる粘性剤を含む液体媒質、但し、当該ジプラシドンが非可溶化されている場合には、当該液体媒質はγ−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)及びそれらの混合物から選ばれる可溶化剤を更に含み、ここで、当該液体媒質は注射用殺菌水である、
を含む、医薬キットであって、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約70mgA/mlのジプラシドン〜280mgA/mlのジプラシドンを提供する、前記キット。
【請求項2】
前記ジプラシドンが粉体である、請求項1記載の医薬キット。
【請求項3】
前記液体媒質(ii)が、薬学的に許容される界面活性剤を更に含む、請求項1記載の医薬キット。
【請求項4】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンエステルである、請求項3記載の医薬キット。
【請求項5】
前記構成される蓄積製剤が、30〜165cpsの粘性を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬キット。
【請求項6】
(i) ジプラシドンを含む第一パッケージ;及び
(ii) γ−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)及びそれらの混合物から選ばれるシクロデキストリン、メチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピル・メチルセルロースから選ばれるセルロース由来粘性剤、及び薬学的に許容される界面活性剤の水溶液を含む第二パッケージ
を含む、注射可能蓄積製剤のための医薬キットであって、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約70mgA/mlのジプラシドン〜280mgA/mlのジプラシドンを提供する、前記キット。
【請求項7】
(i) 滅菌微粉化ジプラシドンメシラート三水和物粉末を含む第一バイアル;並びに
(ii) 注射に好適な水;10%〜30%w/vの濃度のスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD);0.5%〜2%w/vの濃度のナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC);及び、0.01%〜0.1%w/vの濃度のポリオキシエチレンソルビタンエステルの溶液を含む第二バイアル
を含む、ジプラシドンの筋肉内蓄積注射製剤を製造するための医薬キットであって、
当該注射に好適な水が、1〜3ml注射の注射体積を提供するために十分な量で存在し、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約70mgA/mlのジプラシドン〜280mgA/mlのジプラシドンを提供する、前記キット。
【請求項8】
前記第一バイアルが前記ジプラシドンを含み;及び、前記第二バイアルが30%w/vのスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)、0.5%w/vのナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)、0.1%w/vのポリオキシエチレンソルビタンエステルを含み、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約70mgA/mlのジプラシドンを提供する、請求項7記載の医薬キット。
【請求項9】
前記第一バイアルが前記ジプラシドンを含み;及び、前記第二バイアルが10%w/vのスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)、1.5%w/vのナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)、0.1%w/vのポリオキシエチレンソルビタンエステルを含み、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約140mgA/mlのジプラシドンを提供する、請求項7記載の医薬キット。
【請求項10】
前記第一バイアルが前記ジプラシドンを含み;及び、前記第二バイアルが20%w/vのスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)、0.5%w/vのナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)、0.1%w/vのポリオキシエチレンソルビタンエステルを含み、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約140mgA/mlのジプラシドンを提供する、請求項7記載の医薬キット。
【請求項11】
前記第一バイアルが前記ジプラシドンを含み;及び、前記第二バイアルが10%w/vのスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)、1.5%w/vのナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)、0.1%w/vのポリオキシエチレンソルビタンエステルを含み、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約210mgA/mlのジプラシドンを提供する、請求項7記載の医薬キット。
【請求項12】
前記第一バイアルが前記ジプラシドンを含み;及び、前記第二バイアルが20%w/vのスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)、0.5%w/vのナトリウム・カルボキシメチルセルロース(NaCMC)、0.1%w/vのポリオキシエチレンソルビタンエステルを含み、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約210mgA/mlのジプラシドンを提供する、請求項7記載の医薬キット。
【請求項13】
ジプラシドンが殺菌されている又は微粉化されている、請求項7〜12のいずれか1項記載の医薬キット。
【請求項14】
可溶化又は非可溶化されたジプラシドンを、懸濁液を形成するためのメチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース及びそれらの組み合わせから選ばれる粘性剤を含む水溶液と接触させることを含む、注射可能蓄積製剤を製造する方法であって、
当該ジプラシドンが非可溶化されている場合には、
a)当該水溶液がγ−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBECD)及びそれらの混合物から選ばれる可溶化剤を更に含み、かつ
b)当該接触が、前記蓄積製剤を注射する前に、当該可溶化剤でジプラシドンを可溶化するために十分な時間行われる
ことを条件とし、
蓄積製剤に構成される場合には、ジプラシドン量は、約70mgA/mlのジプラシドン〜210mgA/mlのジプラシドンを提供する、前記方法。

【公開番号】特開2006−219501(P2006−219501A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142886(P2006−142886)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【分割の表示】特願2004−546259(P2004−546259)の分割
【原出願日】平成15年10月13日(2003.10.13)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】