説明

懸濁液の濃縮

本発明は、固体粒子の水性懸濁液を濃縮する方法であって、少なくとも1種の有機高分子凝集剤を懸濁液に加えることにより、凝集した固体を形成させて、凝集した固体に固体の層を形成せしめ、それによってより濃縮された懸濁液を形成する工程を含み、方法が、フリーラジカル剤、酸化剤、酵素及び放射線からなる群より選択される有効量の作用物質の添加を含み、有機高分子凝集剤の添加の前若しくは添加と実質的に同時に、作用物質を懸濁液に適用し、そして/又は有機高分子凝集剤を容器中の懸濁液に加え、かつ作用物質を同じ容器中の懸濁液に適用する方法に関する。この方法は、凝集した固体が重力濃縮器による沈降分離により沈降される固体液体分離に、特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液の濃縮における改善された凝集方法に関する。特に、凝集した固体を沈降させて床を形成させることができ、そこでより高い固体量及び/又は低減された降伏応力を達成することができる。
【0002】
凝集剤の使用により水性液体中の固体の懸濁液を濃縮して、固体の凝集をもたらし、それが液体からの固体の分離を促進することが知られている。多くの方法において、凝集した固体は、沈降分離により沈降して床を形成する。他の方法において、分離は、機械的脱水、例えば圧力濾過、遠心分離により、ベルト濃縮器及びベルトプレスにより促進することができる。
【0003】
懸濁液に添加される凝集剤の種類は、多くの場合、基材によって決まる。一般に、懸濁液は、高分子量のポリマーにより凝集させられる傾向がある。この例は、赤泥のような鉱物懸濁液の凝集に関してWO−A−9314852及びUS3975496に記載されている。高分子量の高分子凝集剤の他の開示には、下水汚泥の凝集を扱っているUS6447687、WO−A−0216495及びWO−A−02083258が含まれる。他の化学添加剤を時には加えて懸濁液をコンディショニング(conditioning)することが知られている。例えば、懸濁液を、ポリDADMAC又は塩化第二鉄を含む無機凝固剤のような高電荷密度の高分子凝固剤で最初に凝固させることができる。
【0004】
他の添加剤も懸濁液のコンディショニングに使用される。例えば、過酸化物が、臭気、気体形成を低減するため又は腐敗を防止するため、還元剤を除去するために、下水汚泥のような懸濁液又は有機材料を含有する他の懸濁液に時には添加される。一般に、過酸化物又は酸化剤は、懸濁液に含有されている有害若しくは所望しない物質、又は他の材料を除去するために添加される傾向がある。
【0005】
一般に、添加される過酸化物の量は、所望しない物質及び材料を除去するのに十分な分だけ添加され、一般に、過酸化物又は他の酸化剤は、比較的少量で含まれる。
【0006】
過酸化物を下水汚泥に添加する例は、JP56150481に記載されている。過酸化物又は酸化剤を、US2003 121863及びJP10109100に記載されているように、しゅんせつ材料を処理して汚染物を除去することを含む、同様の理由で他の懸濁液に加えることもできる。JP11156397は、非イオン性及びアニオン性ポリマーを使用する泥の凝集方法を記載し、ここで泥は酸化剤により前処理されている。
【0007】
US6733674は、1種以上のセルロース加水分解酵素及び1種以上のオキシダント及び1種以上の凝集剤の有効量を加えて水中に混合物を形成し、それが凝固し、凝集し、続いて水から固体を分離することによる、汚泥を脱水する方法を記載する。この実施例は、オキシダントの添加と凝集剤との間に著しい時間が経過することを示唆すると見られる。酵素は、汚泥に含有されている材料を分解するために存在すると思われる。
【0008】
懸濁液は、重力濃縮容器で頻繁に濃縮されている。懸濁液の連続流は、典型的に濃縮器に供給され、凝集剤で処理される。このように形成された凝集した固体は、沈降して固体底流の床を形成し、上澄み水性液は、上向きに流れ、通常、水面の周辺トラフを介して濃縮容器から除去される。通常は、濃縮容器は、底流を底部の中心から容易に除去できるように円錐形の底部を有する。加えて、回転レーキが底流固体の除去を助ける。重力濃縮器により懸濁液を濃縮する典型的な方法が、US4226714に記載されている。
【0009】
廃水、下水及び下水汚泥のような有機固体の懸濁液を含む、多様な懸濁液を重力濃縮器で濃縮することができる。重力濃縮器を使用して鉱物懸濁液を濃厚にする又は脱水することも一般的なことである。
【0010】
典型的な鉱物処理操作において、水性処理で、廃棄固体は鉱物価値を含む固体から分離される。廃棄固体の水性懸濁液は、多くの場合粘土及び他の鉱物を含有し、通常尾鉱(tailings)と呼ばれる。これらの固体は、多くの場合、濃縮器において凝集方法により濃縮され、沈降して床を形成する。一般に、より高密度の底流を得るために、また最大限の処理済み水を回収するために、固体又は床から水をできる限り多く除去することが望ましい。通常、底流を、尾鉱ピット又はダムとたいてい呼ばれる表面保持領域まで、ポンプで送るが、それに代えて底流を、機械的に、例えば真空濾過、圧力濾過又は遠心分離により、更に脱水することができる。
【0011】
US5685900は、高い輝度のカオリン粘土を減らす目的で、低い輝度の微細粒径カオリンを選別する選択的凝集方法を記載する。この方法は、粒径の少なくとも90重量%が0.5μm未満であるカオリン画分を回収する分類工程を含む。次に回収された画分を、漂白工程に付して、部分的に漂白された有機脱色剤とする。得られたスラリーは、高分子量アニオン性ポリアクリルアミド又はアクリレートアクリルアミドコポリマーを使用して選択的に凝集される。この凝集工程は、汚染物のチタニアが高度に濃縮している上澄み相及び脱色剤を含有するチタニアのない綿状凝集粘土相を形成する。次に凝集塊を、残りの脱色有機物を酸化するために、また、凝集ポリマーを破壊してカオリンを分散状態に戻すために、気体オゾンで処理する。これは、凝集した固体を、好ましくは高剪断ポンプを使用するオゾン処理工程に通すことによって達成するとされている。
【0012】
同様の開示が、WO2004 071989及びUS2006 0131243において行われている。
【0013】
WO2005 021129は、1種以上の刺激物質を懸濁液に適用することを含む、液体中の固体粒子の懸濁の状態を制御することを開示している。この開示において、コンディショニングは、好ましくは可逆的であり、凝集及び/又は凝固を含み、粒子間の力は、液体内の固体粒子間で誘引的又は反発的であることができる。刺激物質は、1種以上の化学添加剤であることができ、例えば、粒子間に立体的又は静電的反発を作り出すのに十分な量で懸濁粒子の表面に吸収されうる、刺激感受性高分子電解質であることができる。一つの場合において、高分子電解質は、実質的に荷電されないpH値で実質的に不溶性であり、それによって懸濁液の凝集を実施することができる。温度刺激に反応性がある高分子電解質も記載されている。1種以上の刺激物質を床に適用することによって液体内の固体粒子の床の圧密を制御する方法も参照されている。それぞれの刺激効果は、1種以上の刺激物質の前記適用の前に一般的であった初期状態と、前記の1種以上の刺激物質の結果もたらされたコンディショニング状態との間に、可逆的に操作可能なコンディショニングを生じる。記載されている方法は、特定の固体液体分離活性に改善をもたらす。
【0014】
JP11−46541は、粒子の懸濁液に転移温度未満で添加され、すると、従来の凝集剤として、粒子を吸収し、架橋することにより凝集塊が形成される、温度感受性の親水性ポリマーを記載する。混合物が転移温度を超えて加熱され、吸収されたポリマーが疎水性になり、懸濁粒子が疎水性になり、疎水性相互作用によって凝集塊を形成する。この時点で適切な外圧が適用され、粒子が容易に再配列され、粒子間の水が粒子の疎水性により排出される。
【0015】
JP2001 232104は、JP11−46541と同様の方法であるが、懸濁粒子に吸収される非イオン性ポリマーに対して、イオン性温度感受性ポリマーである改善された温度感受性凝集剤を使用し、ポリマーがほぼ転移点の温度で疎水性になるとき、イオン基の周りに強力な水和物層が存在するが、ポリマー間の水和物層の接着は、疎水性相互作用によって防止される方法を記載する。
【0016】
Bertini, V.et. al. Particulate Science and Technology (1991), 9(3-4), 191-9は、チタン鉱物のpH制御凝集における多官能ポリマーの使用を記載する。ポリマーは、カテコール官能基及びアクリル酸単位を含有するラジカルビニルコポリマーである。ポリマーは、pHを変えることによって、凝集から分散へ、又は不活性からその反対へ、その効果を変えることができる。
【0017】
pH又は温度感受性凝集剤は、原則的に、懸濁液の凝集状態に対して制御をもたらす。しかし、凝集剤の選択は、凝集される特定の懸濁液又は床にとって適切である必要があり、同時に、可逆的に操作可能なコンディショニングをもたらす特定の刺激物質に対して反応性がある必要がある。幾つかの場合において、凝集剤の正しい選択肢を見つけることが困難なことがある。
【0018】
頻繁に、一部の水が凝集した固体に閉じ込められ、この水が多くの場合に放出されるのが困難であり、したがって床中に保持される。pH及び温度に反応性がある凝集剤がこの問題の助けとなりうるが、広範囲の基材にわたって満足のできる凝集を達成することは、多くの場合、困難である。
【0019】
重力濃縮器を伴う方法において、床が、底流として濃縮器から除去することができる可能な限り多い固体を有するように操作することが望ましい。通常、制限要因は、沈殿した固体を移動する濃縮器中のレーキの能力である。したがって、懸濁液からの固体の分離及び底流の除去の率を増加する方法を提供することが望ましい。
【0020】
本発明によると、固体粒子の水性懸濁液を濃縮する方法であって、少なくとも1種の有機高分子凝集剤を懸濁液に加えることにより、凝集した固体を形成させて、凝集した固体に固体の層を形成せしめ、それによってより濃縮された懸濁液を形成する工程を含み、方法が、フリーラジカル剤、酸化剤、酵素及び放射線からなる群より選択される作用物質(agent)の有効量の添加を含み、
作用物質を、有機高分子凝集剤の添加の前若しくは添加と実質的に同時に懸濁液に適用する、及び/又は
有機高分子凝集剤を、容器中の懸濁液に加え、作用物質を、同じ容器中の懸濁液に適用する
方法が提供される。
【0021】
作用物質を含めることによって、濃縮方法の効率を有意に改善することが見出された。濃縮とは、懸濁液の固形分が増加することを意味する。典型的には、懸濁液の濃縮には、脱水方法及び濃厚方法などが含まれる。
【0022】
好ましくは、凝集した固体を沈降させて、固体の床を形成し、それを沈殿物と呼ぶこともできる。より好ましくは、方法は、重力濃縮器による沈降分離を含み、沈殿物又は床は、底流として濃縮器から除去される。
【0023】
驚くべきことに、固体の層又は床を作用物質と接触させると、放出される水性液体を有意に増加することができる。
【0024】
望ましくは、作用物質は凝集した構造の崩壊(fragmentation)をもたらす。好ましいことに、凝集した網状構造を崩すことができ、多くの場合、沈降した固体が作用物質なしで占めたであろう容量よりも少ない容量を占めることが見出される。
【0025】
一つの形態において、作用物質は、有機高分子凝集剤の分解(degradation)をもたらすことができる。凝集剤と固体との化学相互作用は、この高分子凝集剤の分解の結果、恒常的に変わると考えられる。ポリマーを分解して、固体が低減した凝集した網状構造を有するようにできる。一つの態様において、ポリマー鎖を、固体に対して分散剤効果を誘導するより小さい鎖に分解することができる。幾つかの場合において、ポリマーを、固体に対して凝集効果を有することのないような程度まで分解することができる。有機高分子凝集剤の分解は、好ましくは、凝集した構造の分解又は粉砕を伴っている。より好ましい形態において、凝集した網状構造が崩れ、それによって所与の容量における固形分が増加することが見出される。
【0026】
一つの好ましい形態において、作用物質は、有機凝集剤の作用により形成された固体の層の降伏応力に低減をもたらす。より好ましくは、固体の層は、作用物質の添加がない相当固形分の固体の層の降伏応力の少なくとも30%より低くあるべきである。したがって、作用物質は、望ましくは、固体の層又は床の降伏応力に低減をもたらし、より多い固体を得ること及び底流の除去の増大を可能にする。好ましくは、降伏応力の低減は、作用物質の添加がない相当固形分の固体の層の降伏応力の少なくとも50%より低い。より好ましくは、降伏応力の低減は、少なくとも60又は70%、多くの場合、少なくとも80又は90%である。
【0027】
予想外のことには、応力を、凝集されず、作用物質の添加のない相当固形分の固体の層の降伏応力よりも低く低減できることが見出された。現在まで、凝集がない固体の沈降分離が最も低い降伏応力を達成するというのが、一般に受け入れられている見解であった。凝集剤は沈殿固体を構造の中に保持する傾向があり、そのことが降伏応力を増加する傾向にあるので、一般に、凝集を伴う方法は、凝集剤が不在のときよりも高い降伏応力を常にもたらすと考えられた。したがって、そのような凝集剤の使用を伴う方法が、凝集剤の使用なしで沈降した懸濁液の降伏応力よりも低い降伏応力をもたらすことができることは、特に予期しないことである。
【0028】
好ましくは、上記の記述された降伏応力の低減が、凝集した構造の分解若しくは崩壊と組み合わされ、そして/又は代替的に有機高分子凝集剤の分解と組み合わされる。特に好ましくは、有機高分子凝集剤の分解が、凝集した構造の分解又は寸法減少の原因となり、それが固体の層又は床の降伏応力の低減をもたらすことである。
【0029】
方法の好ましい形態において、凝集した固体は沈降して床を形成し、かつ水は懸濁液から放出され、ここで、凝集した固体の作用物質への暴露は、懸濁液からの水の放出の増加をもたらすことが見出された。したがって、この水の放出における増加は、また固体の増加を伴うことが見出される。
【0030】
更なる態様において、作用物質は気体を発生することができる。固体の層又は床への気体の放出は、水の放出を増強しうることが見出される。好ましい形態において、凝集した固体は沈降して床を形成し、作用物質は凝集した固体又は床と接触し、このことは更なる水の放出及び固体の増加をもたらす。好ましくは、気体が放出され、気泡を形成する。理論に限定されるものではないが、気体は、例えば、固体の床の中に流路又は割れ目の形成をもたらし、懸濁液からの水の放出を促進することができる。
【0031】
気体を発生することができる作用物質には、炭酸塩、重炭酸塩及び過酸化物が含まれる。
【0032】
本発明の方法は、特に重力沈降分離により、懸濁液の濃縮を増強することが見出された。この意味において、分離固体の圧密率が増加する。加えて、濃縮相、すなわち沈降又は沈殿固体の移動性を有意に改善することができる。
【0033】
作用物質は、フリーラジカル剤、酸化剤及び酵素からなる群より選択されるからなる群より選択される1種以上の化学化合物であることができる。あるいは又は追加的に、作用物質が、凝集した構造の分解若しくは崩壊、及び/又は有機高分子凝集剤の分解をもたらす場合、或いは固体の層又は床の降伏応力に低減をもたらす場合、作用物質には、放射線を含めることもできる。放射線は、例えば、超音波、電離放射線又は電磁放射線であることができる。作用物質が気体を発生する場合、それは、代替的には、特に層が沈降物又は床である固体の層内に気泡を放出する機械的装置であることができる。
【0034】
作用物質は、好ましくは、フリーラジカル剤、酸化剤及び酵素からなる群より選択される。
【0035】
フリーラジカル剤又は酸化剤を凝集方法に組み込むことは、除去方法を実施する装置が耐えることができる最大粘度を超えることなくより高い固形分を得ることができるように、対応する固形分において固体の層若しくは床、例えば沈殿物のより急速な圧縮相及び/又は粘度の低減をもたらすことが見出された。更なる実施態様において、酵素も同様の効果をもたらすことが見出された。このことは、ポリマーが天然ポリマー又は半天然ポリマー、例えば改質されていてもよい多糖類である場合に特に当てはまり、選択された酵素は、天然又は半天然ポリマーを分解することが知られている。
【0036】
適切なフリーラジカル剤には、硫酸第一鉄アンモニウム、硝酸第二セリウムアンモニウムなどからなる群より選択される化学化合物が含まれる。
【0037】
活性化剤をフリーラジカル剤と一緒に使用することが望ましいこともあり、これは、幾つかの場合において、ラジカルの発生を加速することもある。典型的には、そのような活性化剤には、アミノカルボキシレート及びジアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)第二銅、並びにフルクトース及びラクトースのような還元糖が含まれる。
【0038】
あらゆる従来の酸化剤を使用することができる。酸化剤は、塩素、それぞれ強力な酸化剤である物質を含むクロム、マンガン、鉄及び銅化合物のような遷移金属又は高酸化状態の他の金属化合物、tBHP(第三級ブチルヒドロペルオキシド)、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸塩化合物、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及びオゾンからなる群より選択される化学物質であることができる。
【0039】
オゾン、過酢酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩及び過硫酸塩の使用が、酸化の目的に特に有効であることが見出された。
【0040】
特に天然ポリマーである有機高分子凝集剤に対して作用することが可能なあらゆる適切な酵素を使用することができる。典型的には、そのような酵素にはヒドロラーゼが含まれる。適切な酵素には、タンパク質を分解するプロテアーゼ;糖を分解するグリコシラーゼ;ペクチンを分解するペクチナーゼ;デンプンを分解するアミラーゼ;あらゆるエステル結合を分解するエステラーゼ;セルロース及びセルロース化合物を分解するセルラーゼ;グルコシダーゼ及びガラクトシダーゼ又は分解糖が含まれる。他のヒドロラーゼは、例えばポリアミド及びポリエステルを含む他の高分子凝集剤の表面を改質することができる。他の酵素には、ポリマー、特にポリエステルのような微生物学的に生成したポリマーを分解するデポリメラーゼが含まれる。好ましい酵素には、アミラーゼ、セルラーゼ、ガラクトマンナナーゼが含まれる。一般に、これらは、天然又は半天然ポリマー、例えば、デンプン、CMC(カルボキシメチルセルロース)、グアー、アルギン酸塩、ペクチン酸塩及び硫酸化カラギナンゴムと共に使用するのが適している。他の特定の酵素はキトサンに作用することが知られている。
【0041】
本発明に使用するのが好ましい作用物質は、過酸化物である。特に好ましい過酸化物は、過酸化水素である。
【0042】
方法において、作用物質及び有機高分子凝集剤を懸濁液に連続して又は同時に添加することができる。幾つかの操作は、作用物質が高分子凝集剤の後に続いて添加されると、より良好に働くであろう。この点は、作用物質が比較的急速に作用する場合、作用物質のいかなる実質的な効果も生じる前に、最初に実質的に凝集した構造を形成するのに十分な時間を許容しなければならないので、特に当てはまるであろう。いずれにせよ、この添加の順番で、有機高分子凝集剤を容器中の懸濁液に加え、作用物質を同じ容器中の懸濁液に適用する。この場合、作用物質を固体の層又は床に添加することが好ましい。典型的には、この容器は、濃縮器、例えば懸濁固体の沈降分離に使用される重力濃縮器であることができる。
【0043】
しかし、多くの場合において、作用物質を、有機高分子凝集剤を添加する前又は添加と実質的に同時に、懸濁液に適用することが好ましい。理論に限定されるものではないが、作用物質を凝集した構造のあらゆる実質的な形成の前に添加することは、作用物質が凝集した固体の全体にわたって分布することを確実にすると思われる。作用物質及び凝集剤の同時の添加は、特に作用物質及び凝集剤が予混合されている場合、単一の添加点の利益を提供することもできる。しかし、作用物質と凝集剤の混合物では、作用物質が凝集剤に対してあらゆる有意な悪影響を及ぼす前に混合物を懸濁液に適用することを確実にする必要がある場合がある。
【0044】
作用物質は有効量で定期要されるべきである。好ましくは、有効量は、以下:
i)凝集した構造の崩壊、及び/又は
ii)有機高分子凝集剤の分解、及び/又は
iii)凝集しておらず、作用物質の添加がない相当固形分の固体の層の降伏応力に対して、固体の層の降伏応力で低減をもたらすこと、及び/又は
iv)所定の降伏応力を有する層につき、作用物質が不在であるが同等な方法による同じ降伏応力を有する層と比較して、固形分で少なくとも5重量%の増加を可能にすることの少なくとも1つをもたらすことを確実にするために添加されるべきである。
【0045】
作用物質の量は、特定の方法条件、基材及び凝集剤の種類に応じて変わる。作用物質は、好ましくは、懸濁液の容量に対する作用物質の重量に基づいて少なくとも1ppmの量で存在するべきである。作用物質は、低レベル、例えば1〜10ppmで有効でありうる。一般に、作用物質は、少なくとも100ppmからの量で添加され、幾つかの場合では、懸濁液の固体の重量に基づいて少なくとも1000ppmであることができる。幾つかの場合において、有意に高いレベルの作用物質、例えば、40,000若しくは50,000ppm又はそれ以上を加えることが望ましいことがある。有効用量は、通常、150〜20,000ppm、特に1000〜15,000ppmの範囲である。
【0046】
より好ましくは、層又は床から放出された水の増加、及び層又は床の固体の増加も、降伏応力に減少に付随して起こる。好ましくは、層又は床の降伏応力は、凝集剤が作用物質に暴露されていない相当固形分の層又は床よりも少ないことが見出される。
【0047】
一般に、懸濁液中の固体は、多くの場合、凝集剤の添加なしで沈降することが知られている。凝集剤は、固体の凝集を橋渡しして、固体が沈降して床を形成する速度を増加する。したがって、従来の重力濃厚状態において、改善された自由沈降及び初期圧縮が、高分子凝集剤及び任意の凝固剤の使用によって達成される。そのような方法において、個々の固体粒子は、一緒になって凝集体を形成する傾向があり、これは、密度と表面積の比率にとってより好ましい。これらの凝集体は、沈降して圧縮床を形成することができ、それから水を上向き浸出により更に除去することができる。この方法により、床は、床の所望の固体濃度が達成されるまで、固形分が長時間にわたって累進的に増加し、床中の材料を除去することができる。
【0048】
残念なことに、一般に従来の方法において凝集した沈降固体の粘度又は降伏応力は、凝集剤の不在下で沈降した固体よりも有意に高い傾向がある。このことは、レーキングし、ポンプで送る除去方法を次第に困難にする傾向がある。一方、凝集剤の不在下で懸濁液を濃縮するのは実用的ではなく、それは、特に、自由沈降分離に依存する重量濃縮器では極めて長い時間がかかるからである。
【0049】
本発明の方法において、より急速な圧縮を達成できることが見出された。加えて、本発明の方法は、作用物質による処理の結果、固体の層又は床の粘度又は降伏応力に有意な低減をもたらす傾向があることが見出された。特に、降伏応力は、作用物質の不在下での同等の方法よりも低いだけでなく、降伏応力は、凝集剤の不在下で沈降した固体と同じ低さであるか又はそれよりも低い可能性がある。幾つかの場合において、方法は、凝集剤の不在下で沈降した固体よりも有意に低い降伏応力を有する固体の層又は床をもたらすことが見出される。沈降固体のこの予想外の特性は、固体底流の除去の容易さを助長し、そして同時に固体の急速な沈降を確実にする。更に、方法は、圧密床の固形分を、作用物質が不在の装置で耐えることができるものを有意に超えて増加することが可能なように操作されることが好ましい。この意味において、圧密床を、依然として装置の最大降伏応力で操作することができるが、その固形分は、作用物質を用いない方法における床よりも有意に多い。
【0050】
沈殿床を含む固体の層の降伏応力は、基材に応じて変わる。典型的には、従来の装置で耐えることができる沈殿床の最大降伏応力は、通常250Pa以下である。現存する装置の能力の範囲内では、降伏応力が高くなりすぎるので、従来の方法を使用して固体を増加することは可能ではない。作用物質を用いる本発明の方法は、少なくとも10%、通常少なくとも50%、幾つかの場合では80若しくは90%、又はそれ以上、降伏応力を低減することが見出された。一方、本発明により製造される層又は床の固形分は、装置が耐えることができる最大降伏応力を超えることなく、少なくとも5%、時には10%を超えて増加させることができる。幾つかの場合において、同等であるが、作用物質が不在の方法により得られた同じ降伏応力を有する層又は床と比較して、固体を15若しくは20%まで又はそれ以上増加することが可能でありうる。
【0051】
許容される降伏応力で達成することができる底流固体の実際の重量%は、懸濁粒子の構成及び粒径に、また沈降装置の年代及び精巧さに応じて大きく変わる。およそ12%の低さ(典型的なフロリダのリン酸塩粘泥)であることができるが、通常、およそ20%〜50%である。
【0052】
降伏応力は、Controlled Shear RateモードのRHEO V2.7ソフトウエアプログラムを使用して、周囲実験室温度の25℃でBrookfield R/S SST Rheometerにより測定する。0.025rpmの120の均等段階増加での羽根式スピンドル(Vane spindal)(3〜1容器サイジングで50_25羽根)の回転は、増加する剪断速度を累進的に適用させる。
【0053】
降伏応力は、剪断の始まる前の最大剪断応力として定義される。降伏応力は、剪断速度>0.1 1/sの4つの測定点の線形回帰により計算され、続いて剪断速度=0でタウ(Pa)の軸の切片が計算される。
【0054】
本発明は、固体が懸濁液から分離される、あらゆる固体液体分離活性に適用可能である。これには、例えば、沈降分離、遠心分離、圧力濾過、ベルト圧締又はベルト濃厚を伴う方法が含まれうる。本発明は沈降分離方法にとって特に利益がある。特に好ましい方法は、懸濁液を重量濃縮器で凝集に付すことを伴う。そのような方法において、固体は濃縮固体の圧縮相を形成し、それは一般に作用物質の不在のときよりも有意に多い。
【0055】
本方法によりもたらされる凝集した固体は、底流を形成することができ、それを凝集及び沈降区域から除去することができる。多くの場合において、凝集した固体は底流を形成し、次にそれは処理領域(disposal area)に移動される。
【0056】
前記に示したように、本発明は一般に固体液体分離方法に適用可能である。
したがって、懸濁液は、例えば下水汚泥又は発酵方法からの発泡材料を含む有機材料を含むことができる。懸濁液は、例えば、製紙方法からのスラッジのようなセルロース材料の懸濁液であることもできる。好ましくは、懸濁液は、鉱物粒子を含む水性懸濁液である。
【0057】
本発明のより好ましい態様において、方法は、鉱物粒子、特に粘土を含む、例えば炭及びタールサンドのような炭素に基づく産業における採掘鉱物処理廃棄物及び他の採掘廃棄物からもたらされる水性懸濁液の処理を含む。したがって、方法のこの好ましい態様において、水性懸濁液は、鉱物若しくはエネルギー処理操作及び/又は尾鉱基材に由来する。エネルギー処理操作とは、好ましくは、基材が燃料として有用な鉱物の材料の分離を伴う方法を意味する。
【0058】
方法の特に好ましい態様は、ボーキサイト、卑金属、貴金属、鉄、ニッケル、石炭、鉱物砂、油砂、白土、ダイヤモンド及びウランからなる群の採掘及び精製操作から選択される懸濁液を含む。
【0059】
好ましくは、懸濁液中の懸濁固体は、少なくとも90重量%が0.5ミクロンより大きいべきである。頻繁に、懸濁液中の粒子は、少なくとも90重量%が少なくとも0.75ミクロンであり、好ましくは、少なくとも90重量%が少なくとも1又は2ミクロンである。典型的な懸濁粒子は、少なくとも90重量%が2mmまでの粒径、通常、少なくとも90重量%が0.5ミクロン超から2mmの範囲の粒径を有することができる。好ましくは、懸濁粒子は、少なくとも90重量%が1mm以上まで、好ましくは、少なくとも90重量%が750ミクロンまで、特に、少なくとも90重量%が1又は2ミクロンから1又は2ミリメートルの範囲である。
【0060】
懸濁液は、多くの場合、少なくとも5重量%の懸濁固体粒子を含有し、30%ほど又はそれ以上を含有することができる。好ましくは、懸濁液は少なくとも0.25%、より好ましくは少なくとも0.5%を含有する。通常、懸濁液は、1重量%〜20重量%の懸濁粒子を含有する。
【0061】
有機高分子凝集剤の適切な用量は、材料の固体1トンあたり5グラムから10,000グラムの範囲である。一般に、適当な用量は、特定の材料及び材料の固形分によって変わることができる。好ましい用量は、1トンあたり10〜3,000グラム、特に、1トンあたり10〜1000グラムの範囲であるが、より好ましい用量は、1トンあたり60〜200又は400グラムの範囲である。
【0062】
ポリマー水溶液を任意の適切な濃度で加えることができる。例えばポリマーの重量に基づいて10%以上までの比較的濃縮された溶液を用いることが望ましい場合もある。通常、高粘度のポリマー溶液によりもたらされる問題を最小限にするため及び懸濁液の全体にわたるポリマーの分布を促進するために、ポリマー溶液を低濃度で添加することが望ましいと考えられる。ポリマー溶液を、相対的に希釈された濃度、例えばポリマーの0.01重量%に低さで添加することができる。典型的には、ポリマー溶液は、一般的にポリマーの0.05〜5重量%の濃度で使用される。好ましくは、ポリマー濃度は0.1%〜2又は3%の範囲である。より好ましくは、濃度は0.25%〜約1又は1.5%の範囲である。あるいは、有機高分子凝集剤を、懸濁液に、乾燥粒子の形態で加えることができるか、又は逆相乳濁液若しくは分散体として挿入することができる。乾燥ポリマー粒子は、水性懸濁液に溶解され、逆相乳濁液又は分散体は、水性懸濁液で直接転化され、次にポリマーがそれに溶解する。
【0063】
本発明による方法は、改善された沈降分離速度を示す。2〜30m/時間の沈降分離速度を達成できることが見出された。加えて、方法は、99重量%を超える懸濁固体を懸濁液から除去できることが見出される。加えて、方法は、作用物質の不在下で操作する従来の方法と比較して、10重量%を超える固体沈殿濃度の増加を可能にする。より好ましくは、従来の最良の方法と比較して、低減した沈殿降伏応力が得られる。
【0064】
有機高分子凝集剤には、カチオン性、非イオン性、アニオン性又は両性である高分子量のポリマーが含まれうる。典型的には、ポリマーが合成である場合、少なくとも4dl/gの固有粘度を示すべきである。しかし、好ましくは、ポリマーは有意により高い固有粘度を有する。例えば、固有粘度は、25若しくは30dl/gの高さ、又はそれ以上であることができる。典型的には、固有粘度は、少なくとも7、通常少なくとも10又は12dl/gであり、18又は20dl/gの高さであることができる。
【0065】
ポリマーの固有粘度は、ポリマーの活性含有量に基づいたポリマーの水溶液(0.5〜1%w/w)を調製することによって決定することができる。この0.5〜1%ポリマー溶液の2gを、(脱イオン水1リットルあたり1.56gのリン酸二水素ナトリウム及び32.26gのリン酸水素二ナトリウムを使用して)pH7.0に緩衝した2M塩化ナトリウム溶液の50mlを有するメスシリンダーフラスコ中で100mlに希釈し、全体は、脱イオン水で100ml標示まで希釈されている。ポリマーの固有粘度は、1M緩衝塩溶液において25℃で第1懸濁レベル粘度計を使用して測定される。
【0066】
あるいは、有機高分子凝集剤は、天然又は半天然ポリマーであることができる。典型的な天然又は半天然ポリマーには多糖類が含まれる。これには、カチオン性デンプン、アニオン性デンプン、両性デンプン、キトサンが含まれる。
【0067】
一つの好ましい部類のポリマーには、例えば、デンプン、グアーガム若しくはデキストランのような多糖類、又はカルボキシメチルセルロース若しくはヒドロキシエチルセルロースのような半天然ポリマーが含まれる。
【0068】
合成ポリマーの一つの好ましい部類には、ポリアルキレンオキシドのようなポリエーテルが含まれる。典型的には、ポリマー主鎖にアルキレンオキシ反復単位を有するポリマーである。特に適切なポリアルキレンオキシドには、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドが含まれる。一般には、これらのポリマーは、少なくとも500,000、多くの場合少なくとも百万の分子量を有する。ポリエーテルの分子量は、1千5百万若しくは2千万の高さ、又はそれ以上であることができる。
【0069】
他の好ましい部類の合成ポリマーには、ビニル付加ポリマーが含まれる。これらのポリマーは、エチレン性不飽和水溶性モノマー又はモノマーのブレンドから形成される。
【0070】
水溶性ポリマーは、カチオン性、非イオン性、両性又はアニオン性であることができる。ポリマーは、あらゆる適切な水溶性モノマーから形成することができる。典型的には、水溶性モノマーは、25℃で少なくとも5g/100ccの水中溶解性を有する。特に好ましいアニオン性ポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸及びスルホン酸モノマーから選択されるモノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸、アリルスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸並びにこれらの塩から選択されるモノマーを、場合により、好ましくは(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸とN−ビニルピロリドンとのヒドロキシアルキルエステルから選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される。特に好ましいポリマーには、アクリル酸ナトリウムのホモポリマー、アクリルアミドのホモポリマー及びアクリル酸ナトリウムとアクリルアミドのコポリマーが含まれる。
【0071】
好ましい非イオン性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸とN−ビニルピロリドンとのヒドロキシアルキルエステルから選択されるエチレン性不飽和モノマーから形成される。
【0072】
好ましいカチオン性ポリマーは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−メチルクロリド、第四級化(DMAEA.MeCl)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、トリメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド(ATPAC)から選択されるエチレン例不飽和モノマーを、場合により、好ましくは(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸とN−ビニルピロリドンとのヒドロキシアルキルエステルから選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される。
【0073】
本発明において、ポリマーは、任意の適切な重合方法によって形成することができる。ポリマーは、例えば、溶液重合、油中水懸濁重合によるか、又は油中水乳化重合よりゲルポリマーとして調製することができる。溶液重合によりゲルポリマーを調製する場合、開始剤が一般にモノマー溶液に導入される。
【0074】
場合により、熱開始剤系を含めることができる。典型的には、熱開始剤には、高温でラジカルを放出するあらゆる適切な開始剤化合物が含まれ、例えば、アゾ−ビス−イソブチロニトリルのようなアゾ化合物である。重合の際の温度は、少なくとも70℃まで上昇させるべきであるが、好ましくは95℃より低いべきである。あるいは、重合は、場合により適切な放射開始剤を使用して、照射(紫外線、マイクロ波エネルギー、加熱など)により実施することができる。重合が完了し、ポリマーゲルを十分に冷ますと、最初にゲルを微粉砕してより小さい破片にし、乾燥して実質的に脱水したポリマーにし、続いて磨砕して粉末にすることによる標準的な方法によってゲルを加工することができる。
【0075】
そのようなポリマーゲルは、上記に記載されている適切な重合技術により、例えば照射により調製することができる。ゲルを、必要とされる適当な大きさに細断し、次に適用時に、部分的に水和された水溶性ポリマー粒子として材料と混合することができる。
【0076】
ポリマーは、例えばEP−A−150933、EP−A−102760又はEP−A−126528に定義された方法に従って、懸濁重合によりビーズとして、又は油中水乳化重合により油中水乳濁液又は分散体として製造することができる。
【0077】
あるいは、水溶性ポリマーを、水性媒質中の分散体として提供することができる。これは、例えば、EP−A−170394に提示されている、平衡化剤を含有する水性媒質中に少なくとも20ミクロンのポリマー粒子を有する分散体であることができる。これには、例えば、WO−A−9831749又はWO−A−9831748に提示されている、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドのような溶解された低IVポリマーと、場合により他の溶解された材料、例えば電解質及び/又はマルチ−ヒドロキシ化合物、例えばポリアルキレングリコールとを含有する水性媒質の存在下での水性モノマーの重合により調製される、ポリマー粒子の水性分散体も含まれうる。
【0078】
水溶性ポリマーの水溶液は、典型的には、ポリマーを水に溶解することにより、又はポリマーのより濃縮された溶液を希釈することによって得られる。一般に、例えば粉末又はビーズの形態の固体粒状ポリマーが水に分散され、撹拌によって溶解される。これは、従来の調合装置を使用して達成することができる。望ましくは、ポリマー溶液は、Ciba Specialty Chemicalsから供給されるAuto Jet Wet(商標)を使用して調製することができる。あるいは、ポリマーを、水で転化できる逆相乳濁液又は分散体の形態で供給することができる。
【0079】
以下の実施例は、いかなる限定をも意図せず、本発明を用いることができる方法を示している。
【0080】
実施例
用いられる凝集剤
使用されるポリマーの記載
ポリマーA−分子量がおよそ15,000のナトリウムポリアクリレート
ポリマーB−分子量がおよそ15,000,000のアクリルアミドホモポリマー
ポリマーC−分子量がおよそ15,000,000のアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸/アクリルアミドコポリマーのナトリウム塩
ポリマーD−分子量がおよそ15,000,000のアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド10/90コポリマー
ポリマーE−分子量がおよそ15,000,000のアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド30/70コポリマー
ポリマーF−分子量がおよそ20,000,000のアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド50/50コポリマー
ポリマーG−分子量がおよそ17,000,000のアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド30/70コポリマー
ポリマーH−分子量がおよそ12,000,000の塩化メチル第四級化ジメチルアミノエチルアクリレート/アクリルアミド60/40コポリマー
【0081】
実施例1.
白土スラリーに対する過酸化水素の効果の評価
実験室における実験手順
2つの複製白土スラリー(50%w/w)を用いて、同等の非凝集白土スラリーに対する過酸化水素の効果を評価した。第1のスラリー(対照試料)を水(1.5cm)で処理した。第2のスラリーを、1500ppmの相当用量(すなわち、1.5cm)の過酸化水素(30%)で処理した。これらの添加物を、スパチュラを使用して手により混合し、30分間放置して安定化した。この時点で、スラリーの降伏応力を、Brookfield軟質固体試験器(Medium Vane)を使用して測定した。降伏応力の読み取り数字を経時的に取った。
【0082】
降伏応力は、Controlled Shear RateモードのRHEO V2.7ソフトウエアプログラムを使用して、周囲実験室温度の25℃でBrookfield R/S SST Rheometerにより測定する。0.025rpmの120の均等段階増加でのVaneスピンドル(3〜1容器サイジングで50_25羽根)の回転は、増加する剪断速度の累進的な適用を生じる。
【0083】
降伏応力は、剪断の始まる前の最大剪断応力として定義される。降伏応力は、剪断速度>0.1 1/sの4つの測定点の線形回帰により計算され、続いて剪断速度=0でタウ(Pa)の軸の切片が計算される。
【0084】
上記の操作は、過酸化水素が非凝集スラリーとなんらかの相互作用を有するかを確認するために実施した。原則とする条件は、対照からのいかなる偏差も凝集剤の相互作用のみに起因されることを実証することである。
【0085】
処理の前、対照試料の降伏応力は334Paであり、一方、過酸化水素の処理に付す試料は319Paの降伏応力を有した。水及び過酸化水素による処理は、降伏応力に直ちに低下をもたらし、対照は290Paであり、過酸化水素処理試験は284Paを記録した。
【0086】
89時間後、対照試料の降伏応力は244Pdであり、一方、過酸化水素系は203Pdであった。
【0087】
この時点で、過酸化水素用量を15,000ppmに増加して、以下の組み合わせ底流評価で用いるより高い用量を反映させ、一方、対照は再び相当量の水に付して、希釈効果を打ち消した。対照の降伏応力は、185Paに低下し、一方、処理系は、162Paに下降した。
【0088】
239時間の累積時間後又は用量増加した148時間後、対照の最終降伏応力測定値は、352Paであり、一方、過酸化水素処理系は、377Paの降伏応力を提示した。
【0089】
これらの結果は、有意に異なっているとは認められず、白土スラリーと過酸化水素との間に何も相互作用がなかったことを示唆している。
【0090】
実施例2
凝集粘土懸濁液の圧縮容量及び沈降床レオロジーに対する過酸化水素の影響
実験室における実験手順
白土スラリー(6%w/v、塩処理済2g/l)をバルクで作製した。選択した凝集剤の溶液を、元の原液の0.5w/wから希釈した0.05%w/wとして適用した。凝集試験を、撹拌のプランジャー法を用いて500mlのメスシリンダーで実施した。初期試験は、凝集剤用量のプロフィールを確立し、10〜15cm/分の沈降速度を得るのに必要な必要用量を確認するために用いた。適当な用量を確認すると、(必要な数の底流に応じて)多数の反復試験を実施した。処理スラリーを放置して、試験処理を開始する際に指定されている所望のレベルに沈降させた。
【0091】
上澄み液を、それぞれのシリンダーで必要とされている指定レベルまでサイホンで吸い取った。対照試験は、設定された数の底流を、取り外し可能な底部を有する1000mlシリンダー中で組み合わせ、追加の処理をしないで進めた。残りの試験は、同じ数の組み合わせ底流を必要としたが、それぞれの底流を1000mlシリンダーへ移す前に、過酸化水素の適当な分割用量(すなわち、組み合わされる底流の数に分割した用量の合計)で処理した。適当な数の底流を組み合わせると、シリンダーに、前に取り除いた、サイホンで吸い上げた上澄み液を1000cmまでつぎ足した。
【0092】
この時点で、モーター(6rph)に取り付け、水平であることを確実にし、一定のレーキングを確実にするためにシリンダー壁で妨げられないように位置合わせをしたレーキをそれぞれのシリンダーの中に入れた。モーターの作動/レーキングを開始すると、合わせた底流が所望のレベルに沈降するまで又は得られる最低レベルに完全に圧縮されるまで、底流容量を、間隔を置いて記録した。完了すると、上澄み液をサイホンで吸い取って約300cmにし、レーキをそっと取り出した。次に底部を取り外して、沈降床の平静な試料を用意した。圧縮底流の降伏応力を、Brookfield軟質固体試験器(Medium Vane)を使用して測定し、レオロジー測定が完了すると、計量部分を乾燥することによって、底流を固形分(%w/v及び%w/w)について特徴づけた。
【0093】
表1 底流降伏応力に対する凝集剤及びHの効果
降伏応力(Pa)対固形分(%w/v)
【表1】

【0094】
ポリマーA及びBの結果を、図1に示されるグラフにプロットした。
【0095】
グラフは、高分子量凝集剤の使用は、未処理基材により提示されるものを超えて沈降床降伏応力に増加をもたらす傾向があることを示す。過酸化水素の凝集方法への導入は、同等の固体濃度で、未処理材料により提示されるものより有意に低いレベルまで降伏応力に低減をもたらした。
【0096】
実施例1は、過酸化水素が白土スラリーの降伏応力を独立的に低減せず、したがって、凝集系におけるいずれの差異も、凝集剤と過酸化水素の相乗的相互作用に起因する可能性があることを示した。
【0097】
結果は、底流に存在している凝集剤がイオン含有量と関係なく過酸化水素による処理を受ける場合、未処理対照と比較して、固形分の増加に対する降伏応力の影響が低減したことを示唆している。
【0098】
以下の実施例3〜9の実験室における実験手順
初期凝集、底流の組み合わせ/化学処理及びレーキング試験は、実施例3の実験室における試験手順に概説された方法に従った。
【0099】
実施例3 沈降床圧縮及びレオロジーに対する過酸化水素用量の効果
【0100】
表2 6%w/v(塩処理済2g/l)白土のポリマーA凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表2】

【0101】
過酸化水素の用量の減少は、過酸化水素による固形分の増加を促進しているように思われ、それぞれ、15,000、1500及び150ppmで52.4、54.1及び59.5%w/vの固体をもたした。過酸化水素の最低の用量(150ppm)は、対照と直接比較すると、底流における固形分の21%の増加と等しかった。
【0102】
対照の降伏応力の測定値は701Paであった。15,000ppmの過酸化水素による処理は、測定降伏応力をおよそ96%低減して24Paにした。1500及び150ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ42Pa(94%低減)及び91Pa(87%低減)に低減した。これらの結果は、底流に存在するポリマーA凝集剤が過酸化水素による処理を受けた場合、降伏応力は、固形分が増加しても低減することを示唆している。
【0103】
実施例4
【0104】
表3 6%w/v(塩処理済2g/l)白土のポリマーB凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表3】

【0105】
過酸化水素は、15,000、1500及び150ppmで、それぞれ58.3、62.8及び64.9%w/vの固体をもたらした。過酸化水素の最低の用量(150ppm)は、対照と直接比較すると、底流における固形分の13%の増加と等しかった。
【0106】
対照の降伏応力の測定値は790Paであった。15,000ppmの過酸化水素による処理は、測定降伏応力をおよそ89%低減して86Paにした。1500及び150ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ137Pa(83%低減)及び312Pa(60%低減)に低減した。
【0107】
これらの結果は、底流に存在するポリマーB凝集剤が過酸化水素による処理を受けた場合、降伏応力は、固形分が増加しても低減することを示唆している。
【0108】
実施例5
【0109】
表4 6%w/v(塩処理済2g/l)白土のポリマーC凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表4】

【0110】
過酸化水素は、15,000、1500及び150ppmで、それぞれ62.0、59.8及び63.3%w/vの固体をもたらした。過酸化水素の最低の用量(150ppm)は、対照と直接比較すると、底流における固形分の11%の増加と等しかった。
【0111】
対照の降伏応力の測定値は761Paであった。15,000ppmの過酸化水素による処理は、測定降伏応力をおよそ79%低減して157Paにした。1500及び150ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ142Pa(81%低減)及び209Pa(72%低減)に低減した。これらの結果は、過酸化水素とポリマーCの使用によって、対照よりも成功した改善が可能であることを示唆している。用量が低減すると、根本的な降伏応力が増加するが、結果は、高固形分でも対照よりもかなり低い状態を依然として維持している。
【0112】
実施例6.
【0113】
表5 6%w/v(塩処理済2g/l)白土のポリマーD凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表5】

【0114】
過酸化水素は、15,000、1500、150及び15ppmで、それぞれ54.9、56.4、56.7及び64.4%w/vの固体をもたらした。過酸化水素の最低の用量(15ppm)は、対照と直接比較すると、底流における固形分の24%の増加と等しかった。
【0115】
対照の降伏応力の測定値は804Paであった。15,000ppmの過酸化水素による処理は、測定降伏応力をおよそ92%低減して66Paにした。1500、150及び15ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ87Pa(89%低減)、91Pa(88%低減)及び219Pa(73%低減)に低減した。
【0116】
これらの結果は、底流に存在するポリマーD凝集剤が、過酸化水素により処理を受けた場合、最低の用量(15ppm)が用いられても、降伏応力は、固形分が増加しても低減することを示唆している。
【0117】
実施例7.
【0118】
表6 4.6%w/vの石炭尾鉱スラリーのポリマーD凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表6】

【0119】
過酸化水素は、15,000、1500及び150ppmで、それぞれ67.3、71.8及び72.3%w/vの固体をもたらした。過酸化水素の最低の用量(150ppm)は、対照と直接比較すると、底流における固形分の8%の増加と等しく、1500ppmの用量は、7%の増加を与えた。過酸化水素の最高の用量(15,000ppm)では、底流固体は、対照と等しかった。
【0120】
対照の降伏応力の測定値は1139Paであった。15,000ppmの過酸化水素で処理すると、測定降伏応力を同様の固形分の底流でおよそ99%低減して13Paにした。1500及び150ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ243Pa(78%低減)及び221Pa(80%低減)に低減した。
【0121】
これらの結果は、石炭尾鉱に対する過酸化水素とポリマーDの使用によって、対照よりも成功した改善が可能であることを示唆している。用量が低減すると、根本的な降伏応力が増加するが、結果は、対照よりもかなり低い状態を依然として維持している。
【0122】
実施例8.
【0123】
表7 6%w/v(塩処理済2g/l)白土のポリマーE凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表7】

【0124】
過酸化水素は、15,000、1500、150,15、1.5及び0.15ppmで、それぞれ55.4、55.2、53.3、58.6、53.5及び55.4%w/vの固体をもたらした。過酸化水素の15ppmの用量は、対照と直接比較すると、底流における固形分の14%の増加と等しかった。
【0125】
対照の降伏応力の測定値は540Paであった。15,000ppmの過酸化水素による処理は、測定降伏応力をおよそ86%低減して78Paにした。1500、150、15、1.5及び0.15ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ76Pa(86%低減)、65Pa(88%低減)、116Pa(78%低減)、117Pa(78%低減)及び353Pa(35%低減)に低減した。
【0126】
これらの結果は、底流に存在するポリマーD凝集剤が過酸化水素処理による処理を受けた場合、最低の用量の1.5ppmであっても、降伏応力は、固形分の増加により増加しないことを示唆している。
【0127】
実施例9.
【0128】
表8 4.6%w/vのSand and Gravel洗浄尾鉱スラリーのポリマーE凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
【表8】

【0129】
過酸化水素は、15,000、1500、150、15及び1.5ppmで、それぞれ37.1、50.1、51.5、44.4及び49.2%w/vの固体をもたらした。15,000及び15ppmでは、対照と直接比較すると、それぞれ21及び5%の底流固形分の減少と等しかった。150ppmで得られた固形分は、対照と直接比較すると、10%の増加と等しかった。
対照の降伏応力の測定値は1187Paであった。15,000ppmの過酸化水素で処理すると、測定降伏応力をおよそ95.7%低減して51Paにしたが、これは低減された固形分においてであった。1500ppmの過酸化水素は、降伏応力を337Pa(72%低減)に低減し、これは有意な低減であり、より高い固形分においてであった。150、15及び1.5ppmの過酸化水素は、降伏応力を、それぞれ877Pa(26%低減)、867Pa(27%低減)及び1100Pa(7%低減)に低減した。
これらの結果は、対照と比較して、圧縮固形分の増加を降伏応力の低減と組み合わせた成功が、ポリマーEを過酸化水素と組み合わせて使用した処理によって達成されたことを示唆している。
【0130】
実施例10
凝集した4%w/v(塩処理済2g/l)白土に対する酸化剤及び他の試薬の影響
多種多様な試薬を試験するために、スクリーニング試験を以下のように考案した:
1.675mlの4%w/v(塩処理済2g/l)白土を、1000mlのトールビーカーの中に入れた。内容物を、機械式ゲート撹拌機を使用して400rpmで撹拌した。ポリマーEの希釈溶液(脱イオン水中およそ0.002%)225mlを加え、撹拌を4分間続けた。撹拌速度を200rpmに低減して、更に2分間行った。次に撹拌を停止し、泥線が750mlと550mlの標示に間に沈降するのに要した時間を記録した。この数字から沈降速度をcm/分で計算した。
2.およそ10cm/分の沈降速度を達成するのに必要なポリマーEの用量は、溶液濃度の範囲を評価することによって、これらの試験から確立した。この用量が確立されると、同じ用量を後に続く全ての試験に使用した。
3.1に記載した手順を繰り返し、それによりポリマーEの希釈溶液を脱イオン水で対照として調製した。初期沈降速度を測定すると、試料を一定時間そのまま放置し、次に200rpmで2分間撹拌し、沈降時間を再測定した。これを数時間かけて数回繰り返した。
4.異なる試薬を評価するために、これらを、最終スラリー用量の1000ppmをもたらす量で、白土に添加する前のポリマー溶液に加えた。
【0131】
表9の結果では、合計18時間が経過した後の沈降速度を引用した。この時間内に、それぞれの試料を撹拌し、合計3回沈降させた。
全ての試験で使用したポリマーEの用量は、4.0mg/lであった。0時間での対照の沈降速度は、9.8cm/分であった。
【0132】
【表9】

【0133】
対照よりも有意に低い沈降速度をもたらした試薬は、凝集剤又は凝集塊構造の分解が、単純な機械式撹拌よりも大きい程度で生じたことを示す。上記の表において、酸化剤/フリーラジカル供給源として知られている全ての試薬は、より大きいか又はより小さい程度で凝集塊の分解を示した。
【0134】
実施例11
表10 凝集した4%w/v(硫酸を使用してpH2に調整)白土に対する酸化試薬の影響
この基材は、酸浸出を伴う湿式冶金方法で遭遇する基材、例えば、銅、電解質亜鉛などを代表することが意図される。
実施例10に記載した試験手順を使用したが、ポリマーB及び基材としてpH2に調整した4%w/w白土を使用した。
【0135】
下記の結果では、合計21時間が経過した後の沈降速度を引用した。この時間内に、それぞれの試料を撹拌し、合計4回沈降させた。
全ての試験で使用したポリマーBの用量は、18mg/lであった。0時間での対照の沈降速度は、9.3cm/分であった。
この一連の試験において、一連の用量レベルの試薬を下記の表に示されているように添加した。
【0136】
【表10】

【0137】
3つの試薬は全て調査した時間をかけて凝集塊の分解を示した。
【0138】
実施例12
表11 凝集した4%w/v(水酸化ナトリウム33.3g/lを含有)白土に対する過酸化水素の影響
この基材は、アルカリ浸出を伴う湿式冶金方法で出てくる基材、例えばアルミナ又は他のアルカリ系を代表することが意図される。
【0139】
実施例11に記載した試験手順を使用したが、ポリマーF及び試験基材として水酸化ナトリウム33.3g/lを含有する4%w/w白土を使用した。
【0140】
下記の結果では、合計21時間及び66時間が経過した後の沈降速度を引用した。この時間内に、それぞれの試料を撹拌し、21時間では合計3回、66時間では5回沈降させた。全ての試験で使用したポリマーFの用量は、3.3mg/lであった。0時間での対照の沈降速度は、9.3cm/分であった。
【0141】
【表11】

【0142】
これらの条件下で、過酸化水素は効果的ではなく、異なる状況で一連の試薬を有する必要性を示している。
【0143】
実施例13
表12 凝集した4%w/v(水酸化ナトリウム33.3g/lを含有)白土に対する次亜塩素酸ナトリウム及び過ホウ酸ナトリウムの影響
実施例13に記載した試験手順を使用したが、ポリマーF及び試験基材として水酸化ナトリウム33.3g/lを含有する4%w/w白土を使用した。
【0144】
下記の結果では、合計26時間及び90時間が経過した後の沈降速度を引用した。この時間内に、それぞれの試料を撹拌し、26時間では合計3回、90時間では4回沈降させた。
全ての試験で使用したポリマーFの用量は、3.3mg/lであった。0時間での対照の沈降速度は、9.6cm/分であった。
【0145】
【表12】

【0146】
これらの試薬は両方とも長期間にわたって分解を達成した。
【0147】
実施例14
表13 花崗岩採石操作からの尾鉱に対する過酸化水素の影響
実施例13に記載した試験手順を使用したが、ポリマーG及び試験基材として花崗岩採石操作からの尾鉱を3%w/v固体で使用した。
【0148】
下記の結果では、合計20時間が経過した後の沈降速度を引用した。この時間内に、それぞれの試料を撹拌し、合計6回沈降させた。
全ての試験で使用したポリマーGの用量は、1.5mg/lであった。0時間での対照の沈降速度は、8.2cm/分であった。
【0149】
【表13】

【0150】
これらの結果は、過酸化水素が、この排水中に形成された凝集塊の分解を引き起こしたが、少なくとも5ppmがなんらかの効果を示すために必要であり、最良の結果は、100ppm以上で得られたことを示した。
【0151】
実施例15
表14 花崗岩採石操作からの尾鉱のポリマーG凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
白土スラリーの代わりに花崗岩採石操作からの尾鉱を3%固体で使用し、ポリマーGを1.5mg/lの用量レベルで使用して試料を凝集する以外は、従った実験室手順は実施例2に記載したとおりであった。
【0152】
【表14】

【0153】
これらの結果は、底流の降伏応力が、同様の固形分の対照試料よりも有意に低いことを示した。実施例14に記載した試験が、底流の特性に有益な影響を及ぼす試薬の良好な指標を提供することも確認した。
【0154】
実施例16
表15 6%w/v(塩処理済2g/l)白土ポリマーD、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリマーDとCMCのブレンド凝集の沈降床特性に対する過酸化水素の影響
実験室手順は、実施例2に記載したとおりであった。CMCとポリマーDの異なる凝集能力のため、異なる用量レベルの個別のポリマー及びブレンドが、適当なレベルの凝集を達成するために必要であった。
【0155】
【表15】

【0156】
これらの結果は、底流の固形分における中程度の増加が、ポリマーD及びポリマーDとCMCのブレンドを使用して凝集が達成されたとき、過酸化水素の添加により得られた。底流の固体の増加は、CMCを単独で使用して凝集が達成されたときには観察されなかった。しかし、全ての凝集処理において、過酸化水素の添加は、降伏応力に72%〜97%の有意な低減をもたらした。
【0157】
実施例17
表16 カチオン性凝集剤−ポリマーHで凝集した4%(塩処理済2g/l)白土に対する過酸化水素の影響。 試験は、ポリマーHを凝集剤として使用し、およそ5cm/分を達成する用量を8.8mg/lで確立し、最終沈降速度を27時間の経過後に測定し、それぞれの試料を撹拌し、この時間内に合計8回沈殿させた以外は、実施例10に記載したとおりに実施した。
0時間での対照の沈降速度は、4.4cm/分であった。
【0158】
【表16】

【0159】
実施例18
表17 ポリマーDで凝集した4%(塩処理済2g/l)白土に対するオゾン水の影響
試験を以下のように実施した。800mlの4%(塩処理済2g/l)白土スラリーを100mlのシリンダーの中に入れた。スラリーを、900rpmで回転するパドル撹拌機を使用して機械的に撹拌した。ポリマーDの0.05%溶液20mlを、基材に加え、50秒間撹拌した。得られた固体泥線の自由沈降速度を測定した。*1固体が250ml標示よりも低く沈降すると、シリンダーの内容物を15秒間撹拌し、自由沈降を再び測定した。これを、必要である限り何回も繰り返した。オゾンを使用するとき、試験を1地点まで繰り返した。次にオゾンを、試料中、3l/分の速度で15分間泡立てた。オゾン発生器のスイッチを切り、試料の全体を900rpmで15秒間撹拌し、沈降速度を再測定した。
【0160】
【表17】

【0161】
これらの結果は、オゾンの添加が、沈降速度が非凝集白土のものに近くなるような程度まで凝集の効果を打ち消したことを示した。撹拌による機械的な分解は、この効果に近づくことはない。
【0162】
実施例19
溶液中のポリマーEの分子量に対する過酸化水素の影響
手順
27.82gの100容量(30%w/v)過酸化水素を、250mlの容量フラスコで計量し、3.338%溶液を生成した。強度が二倍のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の移動相も、500mlの容量フラスコ中、11.68gのNaCl+2.28gのKHPOで調製した。ポリマーEのおよそ0.5%溶液を、脱イオン水で調製し、一晩混転させた。乾燥重量を110℃に設定したオーブンで測定した。
ポリマー溶液の一部を100mlの容量フラスコで計量した。50mlの緩衝液を加え(二倍強度SEC移動相)、溶液を過酸化水素溶液で標示まで希釈した。対照試料を、同様の方法であるが、脱イオン水を過酸化物溶液に代えて調製した。
一点の比粘度測定は、AVS 350自動粘度測定ユニット中のSchott 531 10 Ubbelohde毛管粘度計を使用して行った。
【0163】
【表18】

【0164】
これは、過酸化水素がポリマーEの分子量に崩壊をもたらすことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1に、ポリマーA及びBの結果をグラフプロットした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子の水性懸濁液を濃縮する方法であって、
少なくとも1種の有機高分子凝集剤を懸濁液に加えることにより、凝集した固体を形成させて、凝集した固体に固体の層を形成せしめ、それによってより濃縮された懸濁液を形成する工程を含み、
方法が、フリーラジカル剤、酸化剤、酵素及び放射線からなる群より選択される有効量の作用物質の添加を含み、
有機高分子凝集剤の添加の前若しくは添加と実質的に同時に、作用物質を懸濁液に適用し、そして/又は
有機高分子凝集剤を容器中の懸濁液に加え、かつ作用物質を同じ容器中の懸濁液に適用する、方法。
【請求項2】
作用物質が、過ホウ酸塩、過炭酸塩、炭酸塩、過硫酸塩、オゾン及び過酸化物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
作用物質が過酸化水素である、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
作用物質が凝集した構造の崩壊をもたらす、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
作用物質が有機高分子凝集剤の分解をもたらす、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
作用物質が、作用物質の添加がない相当固形分の固体の層の降伏応力に対して、固体の層の降伏応力で少なくとも30%より低い低減をもたらす、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
作用物質の添加が、所定の降伏応力を有する層につき、作用物質が不在であるが同等な方法による同じ降伏応力を有する層と比較して、固形分で少なくとも5重量%の増加をもたらす、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
作用物質が気体を発生する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
凝集した固体が沈降して床を形成し、かつ水が懸濁液から放出され、
そこで、固体の床の作用物質による処理が、作用物質の不在下で実施される同等の方法と比較して、床の固形分の増加をもたらす、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
凝集した固体が沈降して固体の床を形成し、水が懸濁液から放出され、作用物質が床と接触し、前記作用物質が気泡を発生し、それが前記床に流路の形成をもたらし、懸濁液から水の放出を促進する、請求項1〜9記載の方法。
【請求項11】
重量濃縮器又は処理領域で、懸濁液を凝集に付し、凝集した固体を沈降分離により沈降させ、より濃縮された圧縮層を形成させる、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
固体の層が底流を形成し、次にそれが処理領域に移動される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水性懸濁液が、鉱物粒子を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
水性懸濁液が、ボーキサイト、卑金属、貴金属、鉄、ニッケル、石炭、鉱物砂、油砂、白土、ダイヤモンド及びウランからなる群より選択される、鉱物若しくはエネルギー処理操作及び/又は尾鉱基材に由来する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
有機高分子凝集剤が、少なくとも4dl/gの固有粘度の合成ポリマー又は天然ポリマーのいずれかの非イオン性又はアニオン性のポリマーである、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
有機高分子凝集剤が、アクリル酸ナトリウムのホモポリマー、アクリルアミドのホモポリマー、及びアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムのコポリマーからなる群より選択される、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523602(P2009−523602A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550707(P2008−550707)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050084
【国際公開番号】WO2007/082797
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】