説明

懸濁液製造装置および懸濁液製造方法

【課題】超音波振動子から発振される超音波を利用して、高い分散性を有する懸濁液の製造を実現し得る懸濁液製造装置を提供する。
【解決手段】粉体を混入した溶媒2が貯溜された攪拌槽3を、水4が貯溜された収容槽5内に浸漬すると共に、収容槽5内に配置された超音波振動子7a,7bから水4を介して攪拌槽3に超音波を照射することにより、攪拌槽3内の粉体を溶媒2中に分散させて懸濁液を製造する懸濁液製造装置1であって、超音波振動子7a,7bを収容槽5内の複数箇所に攪拌槽3から離間した状態で配置して、複数の超音波振動子7a,7bから攪拌槽3に対して2以上の異なる周波数の超音波を照射するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液の製造装置に関し、特に医薬品、農薬、食品等の細粒、顆粒等の製造工程で造粒又はコーティング処理を行う際に、スプレー液(結合剤液や膜剤液等)として利用される懸濁液を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品、農薬、食品等の細粒、顆粒等の製造工程では、粉粒体処理装置により粉粒体粒子に対して造粒又はコーティング処理が行われる。このような粉粒体処理装置には、例えば流動層装置が利用される。この流動層装置では、流動層容器の底部から導入した熱風等の流動化気体によって、流動層容器内で粉粒体粒子を浮遊流動させて流動層を形成しつつ、粉粒体粒子に向けてスプレーノズルからスプレー液(結合剤液、膜剤液等)を噴霧して造粒又はコーティング処理が行われる(例えば、下記の特許文献1参照)。また、造粒又はコーティング処理に際して、流動層装置を利用するもの以外にも、粉粒体粒子が充填されたドラムを回転させながらスプレーノズルからスプレー液を噴霧されるもの(例えば、下記の特許文献2参照)など、種々の粉粒体処理装置が利用されるのが実情であるが、スプレーノズルからスプレー液を噴霧する点では共通する。
【0003】
この種のスプレー液は、その用途によって成分は異なるものの、一般に溶媒中に粉体を分散させた懸濁液が利用される。このような懸濁液の製造装置としては、セメントを主成分とする粉体を水中に分散させることを目的としたものであるが、例えば下記の特許文献3に開示の装置が挙げられる。同文献に開示の装置は、粉体と水とを攪拌する攪拌翼が配置されたミキサーの底部外側に超音波振動子を接触させた状態で取り付け、攪拌翼の回転による攪拌と同時又はその攪拌後に、超音波振動子から超音波を発振することにより、水中に粉体を効率よく分散させようとするものである。
【0004】
しかしながら、ミキサー等の攪拌槽の底部外側に超音波振動子を接触させた状態で取り付けた場合には、超音波振動子と攪拌槽の底部との接触状態が不完全であれば、その接触部に形成される空気層で超音波が減衰し、攪拌槽内に効率よく超音波を伝搬させることができないという問題が生じ得る。そのため、この場合には、超音波振動子と攪拌槽の底部外側との接触状態を高精度に管理し且つそれを維持することが必要となり、面倒且つ煩雑な作業が強いられる。
【0005】
そこで、このような問題に対処するものとして、シリカガラスの製造に関するものではあるが、例えば下記の特許文献4の図4に開示の装置が挙げられる。同文献に開示の装置は、ゾルが貯溜された容器(攪拌槽)を、水が貯溜された水槽の中に浮かべた状態で、水槽の底部内側に配置された超音波振動子から容器底部に向けて超音波を発振し、水槽内の水を介して容器内のゾルに超音波を伝搬させることで、容器内のゾルを分散させるものである。したがって、超音波振動子から攪拌槽としての容器に対して、水を介して間接的に超音波が照射されるので、攪拌槽の底部外部に超音波振動子を接触させた状態で取り付けた場合に生じる、上述のような不具合を解消することができる。
【特許文献1】特開2001―62277号公報
【特許文献2】特開平6−063376号公報
【特許文献3】特開平8―19485号公報
【特許文献4】特開2001−106538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した医薬品等の製造工程における、造粒又はコーティング処理の際に供給されるスプレー液には、上述のように懸濁液が使用されるのが通例であるが、この場合にはその懸濁液中の粉体の分散性が造粒又はコーティング処理に大きく影響する。具体的には、懸濁液中の粉体の分散が不十分であると、造粒処理やコーティング処理に長時間を要したり、処理後の製品品質が不均一になるなどの不具合を来たすおそれがある。そのため、懸濁液を製造する装置には、分散性の高い懸濁液を製造可能な構成を備えていることが要求され、実用上は、更にこのような分散性の高い懸濁液を短時間に製造することが要求される。
【0007】
しかしながら、上記の特許文献4の図4に開示の装置では、攪拌槽の底部外側に超音波振動子を直接取り付けた場合に比して、比較的簡単に攪拌槽内に超音波を効率よく伝搬させることができるものの、その超音波によって分散性の高い懸濁液を製造することは依然として困難である。これは次のような理由による。すなわち、同文献に開示の装置では、単一の超音波振動子が攪拌槽の下方に配置されている関係から、発振された超音波は単一の周波数となる。そして、懸濁液に含まれる粉末は、その種類や粒子径、凝集の度合などの特性がそれぞれ異なるのが通常であるので、単一の周波数の超音波ではこのように特性の異なる粉末の全てを十分に拡散することができず、結果として分散性の高い懸濁液を短時間で製造することが困難となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、超音波振動子から発振される超音波を利用して、高い分散性を有する懸濁液を短時間で製造し得る懸濁液製造装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、粉体を混入した溶媒が貯溜された攪拌槽を、超音波媒体液が貯溜された収容槽内に浸漬すると共に、前記収容槽内に配置された超音波振動子から超音波媒体液を介して前記攪拌槽に超音波を照射することにより、前記攪拌槽内の粉体を溶媒中に分散させて懸濁液を製造する懸濁液製造装置であって、前記超音波振動子を前記収容槽内の複数箇所に前記攪拌槽から離間した状態で配置して、複数の前記超音波振動子から前記攪拌槽に対して2以上の異なる周波数を有する超音波を照射するように構成したことに特徴づけられる。
【0010】
このような構成によれば、攪拌槽に対して2以上の異なる周波数の超音波が照射されるので、攪拌槽内には波長の異なる超音波が伝搬することになる。そのため、攪拌槽に対して同一の周波数の超音波を照射する場合に比べて、懸濁液に含まれる粉体に複雑な振動を付与することができる。したがって、懸濁液に含まれる粉末の種類や粒子径、凝集の度合などが異なる場合であっても、当該粉体の全てを効率よく拡散させることができ、その結果、粉体が溶媒中に均一に分散した、分散性の高い懸濁液を短時間で製造することが可能となる。
【0011】
上記の構成において、複数の前記超音波振動子を、前記攪拌槽に対して2以上の異なる向きから超音波を照射するように配置すると共に、該異なる向きから照射される超音波が、前記攪拌槽内で相互に干渉するようにすることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、攪拌槽内で干渉させた超音波により、攪拌槽内に振幅の大きな波を新たに発生させることができる。そのため、攪拌槽内に、一の超音波振動子から発振される超音波よりも振動エネルギーの大きな超音波を作用させることができ、超音波による攪拌作用をより確実に得ることが可能となる。したがって、分散性の高い懸濁液を製造する上で有利となる。
【0013】
この場合、前記攪拌槽内で相互に干渉する超音波は、相互に異なる周波数を有するものであることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、攪拌槽内により多くの波長を有する超音波が伝搬することになるため、超音波による攪拌作用を向上させる上でも極めて有利となる。
【0015】
上記の構成において、前記攪拌槽内に、攪拌翼を配置することが好ましい。
【0016】
このようにすれば、超音波振動による攪拌作用と、攪拌翼の回転による攪拌作用との相乗効果により、分散性の高い懸濁液をより短時間で製造することが可能となる。
【0017】
上記の構成において、前記収容槽内の超音波媒体液中に含まれる溶存空気を除去する脱気装置を設けてもよい。
【0018】
一般に、超音波の振動エネルギーは、超音波媒体液中に含まれる溶存空気に影響を受ける。すなわち、溶存空気が多ければ超音波の伝搬を妨げ、超音波の振動エネルギーが低減してしまう。そこで、上記の構成のように、除去脱気装置を設ければ、超音波媒体液中の溶存空気を低減することができる。したがって、収容槽内に配置された超音波振動子から発振される超音波を、攪拌槽に効率よく照射することが可能となる。
【0019】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、粉体を混入した溶媒が貯溜された攪拌槽を、超音波媒体液が貯溜された収容槽内に浸漬すると共に、前記収容槽内に配置された超音波振動子から超音波媒体液を介して前記攪拌槽に超音波を照射することにより、前記攪拌槽内の粉体を溶媒中に分散させて懸濁液を製造する懸濁液製造方法であって、前記超音波振動子を前記収容槽内の複数箇所に前記攪拌槽から離間した状態で配置して、複数の前記超音波振動子から前記攪拌槽に対して2以上の異なる周波数の超音波を照射することに特徴づけられる。
【0020】
このような方法によれば、既に述べた段落[0010]に記載の作用効果を同様に享受することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、収容槽内に配置された超音波振動子から発振される超音波を利用して、攪拌槽内で、高い分散性を有する懸濁液を短時間で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る懸濁液製造装置を示す縦断面図である。同図に示すように、この懸濁液製造装置1は、粉体を混入した溶媒2が貯溜された攪拌槽3と、超音波媒体液としての水4が貯溜された収容槽5とを備えている。
【0024】
攪拌槽3は、粉体を混入した溶媒2を攪拌する攪拌翼6を有し、その下方部が収容槽5に貯溜された水4の中に浸漬されている。なお、この攪拌槽3は、攪拌翼6の軸部を挿通するための貫通孔3a1が設けられた上蓋3aと、攪拌槽本体3bとに分離可能である。そして、上蓋3aを締めた状態で、攪拌槽3内は、貫通孔3a1と攪拌翼6の軸部との間にのみ隙間が存在し、且つその他の槽形成面が閉鎖した空間となる。
【0025】
収容槽5の内部には、水4に浸漬された状態で複数の超音波振動子7a,7bが配置されており、攪拌槽3に対して2以上の異なる向きから超音波が照射されるようになっている。詳述すると、この実施形態では、攪拌槽3の下方に、2つの超音波振動子7aが配置されており、これら超音波振動子7aにより攪拌槽3の底面に下方から超音波が照射されるようになっている。また、攪拌槽3の側方には、攪拌槽3を挟んで2つの超音波振動子7bが対向配置されており、これら超音波振動子7bにより攪拌槽3の側面に左右両側から超音波が照射されるようになっている。すなわち、攪拌槽3には、上向き(図中の矢印A方向)、右向き(図中の矢印B方向)、左向き(図中の矢印C方向)の異なる3つの向きから超音波が照射されるようになっている。
【0026】
さらに、攪拌槽3の下方に配置された超音波振動子7aから発振される超音波と、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bから発振される超音波とが、攪拌槽3内で重なり合うようになっている。また、攪拌槽3の側方に対向配置された2つの超音波振動子7bから発振される超音波同士も、攪拌槽3内で重なり合うようになっている。
【0027】
また、攪拌槽3の下方に配置された超音波振動子7aから発振される超音波は、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bから発振される超音波と異なる周波数で発振されるようになっている。具体的には、この実施形態では、攪拌槽3の下方に配置された超音波振動子7aから発振される超音波の周波数が、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bから発振される超音波の周波数よりも高くなっている。なお、超音波振動子7aから発振される超音波の周波数f1と、超音波振動子7bから発振される超音波の周波数f2は、20kHz〜200kHz程度の低周波数帯域に設定することが好ましく、またその組合せ(f1,f2)は、例えば(38kHz,24kHz)、(42kHz,21kHz)等に設定される。
【0028】
収容槽5には脱気装置8が連結されており、脱気装置8内に収容槽5内に貯溜された水4を循環されることにより、水4に含まれる溶存空気の濃度が超音波の伝搬に悪影響を与えない、所定値以下になるようになっている。脱気装置8の構成は、特に限定されるものではないが、真空ポンプを利用して水4の中に含まれる溶存空気を除去するものや、装置8内に循環された水4に強制的にキャビテーションを発生させることにより溶存空気を気泡化し、その気泡化した溶存空気を再度収容槽5に戻すことにより、気泡化した溶存空気を浮力で収容槽5の水面から外部に排出するようにしたものなどが利用できる。
【0029】
次に、以上のように構成された懸濁液製造装置1の動作について説明する。
【0030】
収容槽5内に配置された超音波振動子7a,7bから発振された超音波を攪拌槽3に照射する。具体的には、攪拌槽3の底面には、下方に配置された2つの超音波振動子7から発振される超音波が下方から照射され、攪拌槽3の側面には攪拌槽3を挟んで対向配置された2つの超音波振動子7から発振される超音波が左右両側から照射される。これにより、攪拌槽3に対して異なる3つの向きから超音波が照射されることになる。したがって、攪拌槽3に対して超音波を1つの向きからのみ照射する場合に比べて、攪拌槽3内に伝搬する超音波が増えるので、超音波振動による攪拌作用が増進される。しかも、攪拌槽3に対して異なる3つの向きから照射される超音波は、攪拌槽3内で重なるようになっているので、超音波同士が干渉し、攪拌槽3内に振幅の大きな波を発生させることができる。したがって、攪拌槽3内に、一つの超音波振動子7a(7b)から発振される超音波よりも振動エネルギーの大きな超音波を作用させることができる。
【0031】
このとき、攪拌槽3の下方に配置された超音波振動子7aから発振される超音波の周波数を、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bから発振される超音波の周波数と異ならせている。これにより、攪拌槽3内には、複数の周波数を有する超音波が伝搬することになるため、溶媒2中の粉体に複雑な振動が付与される。しかも、これら周波数の異なる超音波は攪拌槽3内で相互に干渉するので、溶媒2中の粉体により一層複雑な振動が付与されることになる。したがって、溶媒2中に含まれる粉体が、その種類や粒子径、凝集の度合などの特性がそれぞれ異なるのものであっても、当該粉体の全てを効率よく攪拌して、溶媒2中に分散させることができる。よって、粉体が溶媒2中に均一に分散した、分散性の高い懸濁液を効率よく製造することが可能となる。
【0032】
なお、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bは、攪拌槽3を挟んで2つを対向配置させたものを例示したが、攪拌槽3の周囲を取り囲むように超音波振動子7bを円周上に複数配置してもよい。また、攪拌槽3の下方に配置された超音波振動子7aの配置個数も2つに限定されるものではなく、必要に応じて増減してもよい。
【0033】
そして、上述のような攪拌槽3に対する超音波の照射は、攪拌槽3の攪拌翼6の回転による攪拌処理の後、或いはこのような攪拌処理と同時に行われる。これにより、超音波振動による攪拌作用と、攪拌翼の回転による攪拌作用との相乗効果により、分散性の高い懸濁液をより短時間で製造することが可能となる。
【0034】
また、収容槽5に貯溜された水4の溶存空気濃度が高すぎると、超音波振動子7a,7bから発振される超音波の振動エネルギー(音圧)が著しく低下してしまうため、脱気装置8により収容槽5内に貯溜された水4の溶存空気濃度を所定値以下に維持する。
【0035】
そして、このようにして、懸濁液製造装置1により製造された懸濁液は、医薬品、農薬、食品等の細粒、顆粒等の製造工程で造粒又はコーティング処理を行う粉粒体処理装置内に、スプレーノズル等により噴霧状に供給される。
【実施例】
【0036】
本発明の有用性を実証するために、対比試験を行った。この対比試験は、攪拌槽3内に、200gの酸化チタンを混入した15リットルの水2を貯溜した状態で、以下の条件で超音波を作用させて懸濁液を製造し、この懸濁液に含まれる酸化チタンの平均粒径を測定することによって行った。ここで、酸化チタンの平均粒径が小さいほど、それだけ酸化チタンの粉体が単一粒子となって水中に均一に分散していることを意味する。
【0037】
実施例1では、2つの超音波振動子を用いて、一方を攪拌槽2の下方に配置し、他方を攪拌槽2の側方に配置した。すなわち、図1に示した配置において、攪拌槽2の下方に配置した超音波振動子7aと、攪拌槽2の側方に配置した超音波振動子7bとをそれぞれ1つずつ配置した状態とした。そして、攪拌槽2の下方に配置された超音波振動子7aからは38kHzの超音波を発振し、攪拌槽3の側方に配置された超音波振動子7bからは24kHzの超音波を発振した。一方、比較例1,2では、実施例1と超音波振動素子の配置は同じとし、比較例1では両超音波振動子からそれぞれ24kHzの超音波を発振し、比較例2では両超音波振動子からそれぞれ38kHzの超音波を発振した。なお、実施例1,比較例1,比較例2のいずれにおいても、攪拌翼6(回転数:20min−1)を併用して懸濁液を製造した。以上の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
上記の表1によれば、異なる周波数の超音波を攪拌槽3に照射した実施例1では、同一の周波数の超音波を攪拌槽3に照射した比較例1,2に比べて、短い攪拌時間で酸化チタンの平均粒径が小さくなっていることが確認できる。したがって、実施例1のように、異なる周波数の超音波を攪拌槽3に照射することで、高い分散性を有する懸濁液を短時間で製造することが可能であることを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る懸濁液製造装置を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 懸濁液製造装置
2 溶媒(懸濁液)
3 攪拌槽
4 水
5 収容槽
6 攪拌翼
7a,7b 超音波振動子
8 脱気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を混入した溶媒が貯溜された攪拌槽を、超音波媒体液が貯溜された収容槽内に浸漬すると共に、前記収容槽内に配置された超音波振動子から超音波媒体液を介して前記攪拌槽に超音波を照射することにより、前記攪拌槽内の粉体を溶媒中に分散させて懸濁液を製造する懸濁液製造装置であって、
前記超音波振動子を前記収容槽内の複数箇所に前記攪拌槽から離間した状態で配置して、複数の前記超音波振動子から前記攪拌槽に対して2以上の異なる周波数の超音波を照射するように構成したことを特徴とする懸濁液製造装置。
【請求項2】
複数の前記超音波振動子を、前記攪拌槽に対して2以上の異なる向きから超音波を照射するように配置すると共に、該異なる向きから照射される超音波が、前記攪拌槽内で相互に干渉するように構成した請求項1に記載の懸濁液製造装置。
【請求項3】
前記攪拌槽内で相互に干渉する超音波が、相互に異なる周波数を有する請求項2に記載の懸濁液製造装置。
【請求項4】
前記攪拌槽内に、攪拌翼を配置した請求項1〜3のいずれかに記載の懸濁液製造装置。
【請求項5】
前記収容槽内の超音波媒体液中に含まれる溶存空気を除去する脱気装置を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の懸濁液製造装置。
【請求項6】
粉体を混入した溶媒が貯溜された攪拌槽を、超音波媒体液が貯溜された収容槽内に浸漬すると共に、前記収容槽内に配置された超音波振動子から超音波媒体液を介して前記攪拌槽に超音波を照射することにより、前記攪拌槽内の粉体を溶媒中に分散させて懸濁液を製造する懸濁液製造方法であって、
前記超音波振動子を前記収容槽内の複数箇所に前記攪拌槽から離間した状態で配置して、複数の前記超音波振動子から前記攪拌槽に対して2以上の異なる周波数の超音波を照射することを特徴とする懸濁液製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−178683(P2009−178683A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21538(P2008−21538)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(591011384)株式会社パウレック (44)
【Fターム(参考)】