説明

成体型造血幹細胞のマーカー

【課題】
本発明は、成体型造血幹細胞を効率的に識別することができる因子を同定することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、一部、本発明者らが、エンドムチン自体が予想外に、成体型造血幹細胞を胎児型造血幹細胞から効率よく識別することができるマーカー機能を有ることをも見出したことによって、上記課題を解決した。したがって、本発明は、エンドムチンをコードする核酸配列またはその一部を含む核酸分子に対する特異的な因子を含む、成体型造血幹細胞の検出組成物を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドムチンの同定手段を含む、成体型造血幹細胞の検出組成物。
【請求項2】
前記成体型造血幹細胞は、長期骨髄再構築能を有する細胞を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記同定手段は、エンドムチンまたはその一部を含むポリペプチド、あるいはエンドムチンをコードする核酸配列またはその一部を含む核酸分子に対する特異的な因子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記エンドムチンは、
(a)配列番号2、4、6、8または10に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2、4、6、8または10に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1、3、5、7または9に記載の塩基配列の対立遺伝子変異体またはスプライス変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2、4、6、8または10に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記エンドムチンは、配列番号2、4、6、8または10に示される配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記核酸分子は、配列番号1、3、5、7または9に示される配列を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記エンドムチンの同定手段は、抗エンドムチン抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記エンドムチンの同定手段は、エンドムチンをコードする核酸配列またはその一部に対して相補的な配列を含む核酸分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記同定手段は、標識されているかまたは標識可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記標識は、放射性物質、化学発光物質、蛍光物質、燐光物質、発色剤、リガンド、ハプテンおよびそれらの原材料からなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
さらなるマーカーの同定手段を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記さらなるマーカーは、CD34、Lin(Lineage marker)、c−Kit、Sca−1、Flt3/Flk2、CD41およびCD45からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記さらなるマーカーは、CD41およびCD45からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記さらなるマーカーは、CD41およびCD45を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記マーカーは、胎児型造血前駆細胞と成体型造血幹細胞とを識別する能力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記成体型造血幹細胞は、多能性を保持する細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記成体型造血幹細胞は、胚性幹細胞由来の細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記成体型造血幹細胞は、骨髄移植に使用される細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記成体型造血幹細胞は、胚性幹細胞から胚様体を形成させて生産される細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記標識は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)およびビオチンからなる群より選択される少なくとも1つの色素を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
サンプルにおいて成体型造血幹細胞を検出するための方法であって、
A)該サンプルとエンドムチンの同定手段とを接触させる工程
を包含する、方法。
【請求項22】
さらに、
B)前記エンドムチン陽性の細胞が見出されたときに、成体型造血幹細胞が存在すると判定する工程、
を包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
C)CD41およびCD45からなる群より選択されるマーカー因子の同定手段と前記サンプルとを接触させる工程をさらに包含する、
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記CD41陽性の細胞が見出されたとき、および前記CD45陽性の細胞が見出されたときからなる群より選択される少なくとも1つの場合に、成体型造血幹細胞が存在すると判定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプルは、胚性幹細胞を含むかまたは含むと予想されるサンプルである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
サンプルにおいて成体型造血幹細胞を検出するためのキットであって、該キットは:
A)エンドムチンの同定手段
を備える、キット。
【請求項27】
成体型造血幹細胞が分離または濃縮された組成物を生産する方法であって、
A)成体型造血幹細胞を含むかまたは含むと予想される供給源を提供する工程;
B)該供給源とエンドムチンの同定手段とを接触させる工程;
C)エンドムチン陽性細胞を分離または濃縮する工程、
を包含する、方法。
【請求項28】
前記同定手段は抗エンドムチン抗体であり、前記濃縮はフローサイトメトリーにより行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに、CD41陽性細胞を濃縮する工程を包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
さらに、CD45陰性細胞を濃縮する工程を包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
CD34、CD41、Lin(Lineage marker)およびc−Kitからなる群より選択されるさらなるマーカーに対するサンプルの反応性を決定し、該CD34、該CD41および該c−Kitの遺伝子発現は、該候補細胞が幹細胞であることを示し、該Lin(Lineage marker)の遺伝子の陰性発現は、該候補細胞が幹細胞であることを示すことによってさらに成体型造血幹細胞を濃縮する工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記分離または濃縮は、抗体非動化ディッシュによるパニング、フローサイトメトリーまたは磁気ビーズを用いて行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記分離または濃縮は、FACSおよび磁気ビーズを組み合わせて行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
成体型造血幹細胞が分離または濃縮された組成物を生産するキットであって、
A)エンドムチンの同定手段;
B)該同定手段と成体型造血幹細胞を含むかまたは含むと予想される供給源とを接触させる手段;および
C)エンドムチン陽性細胞を分離または濃縮する手段、
を備えるキット。
【請求項35】
請求項27に記載の方法によって調製された、成体型造血幹細胞組成物。
【請求項36】
エンドムチンを発現し、かつ、CD41を発現する細胞が濃縮された、成体型造血幹細胞組成物。
【請求項37】
前記成体型造血幹細胞組成物は、CD45を発現しない細胞が濃縮されている、請求項36に記載の成体型造血幹細胞組成物。
【請求項38】
候補細胞が成体型造血幹細胞であるかどうかを判定する方法であって、
(I)判定されるべき候補細胞を提供する工程;
(II)エンドムチンをコードする核酸分子もしくはその一部、またはエンドムチンポリペプチドまたはその一部に特異的に反応する因子を、該候補細胞に接触させる工程;および
(III)該因子と該エンドムチンをコードする核酸分子もしくはその一部、またはエンドムチンポリペプチドまたはその一部との特異的反応を検出することによって、該エンドムチンの遺伝子が該候補細胞において発現しているかどうかを確認する工程、
を包含し、ここで、該候補細胞における該エンドムチンの遺伝子発現は、該候補細胞が成体型造血幹細胞であることを示す、方法。
【請求項39】
前記発現の確認は、フローサイトメトリーによって行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
CD34、CD41、Lin(Lineage marker)およびc−Kitからなる群より選択されるマーカーに対して特異的な少なくとも1つの因子を、前記候補細胞に接触させる工程をさらに包含し、ここで、
該候補細胞における該CD34、該CD41および該c−Kitの遺伝子発現は、該候補細胞が幹細胞であることを示し、該Lin(Lineage marker)の遺伝子の陰性発現は、該候補細胞が幹細胞であることを示す、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
分化抗原陽性(lineage positive)細胞を枯渇させる工程をさらに包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記枯渇工程は、MACSによって行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記枯渇工程は、Gr−1、Mac−1、TER119、CD4、CD8およびB220からなる群より選択される少なくとも1つのLIN(Lineage)マーカーを用いて行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
候補細胞が成体型造血幹細胞であるかどうかを判定するキットであって、
(I)エンドムチンの同定手段;
(II)該同定手段により候補細胞におけるエンドムチンの発現を検出する手段
を備え、ここで、該候補細胞における該エンドムチンの遺伝子発現は、該候補細胞が成体型造血幹細胞であることを示す、キット。
【請求項45】
成体型造血幹細胞の移植を必要とする被検体の処置、予防または予後のための方法であって、
(I)移植されるべき細胞においてエンドムチンの遺伝子が発現しているかどうかを確認する工程;
(II)該エンドムチンの遺伝子を発現している細胞を分離または濃縮する工程;および
(III)該分離または濃縮された細胞を、該被検体に移植する工程、
を包含する、方法。
【請求項46】
成体型造血幹細胞の移植を必要とする被検体の処置、予防または予後のためのシステムであって、
(I)エンドムチンの同定手段;
(II)該エンドムチンの遺伝子を発現している細胞を分離または濃縮する手段;および
(III)該分離または濃縮された細胞を、該被検体に移植する手段、
を備える、システム。
【請求項47】
成体型造血幹細胞の移植を必要とする被検体の処置、予防または予後のための医薬であって、
A)エンドムチンを発現する幹細胞が濃縮された細胞集団、
を含む、医薬。
【請求項48】
エンドムチンの、成体型造血幹細胞の判定のための使用。
【請求項49】
エンドムチンを発現する幹細胞の、成体型造血幹細胞の移植のための医薬を製造するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−238835(P2006−238835A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61552(P2005−61552)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(503341675)株式会社リプロセル (13)
【Fターム(参考)】