説明

成分分析装置

【課題】被検体の成分を精緻に測定することのできる成分分析装置を提供する。
【解決手段】赤外線の拡散反射光C・Dから変換される測定スペクトルを調べることによって、被検体2の成分分析を行なう成分分析装置1であって、照射光を投射する投光部6と拡散反射光を検知する検知手段13との間の測定光路に、上下方向の透過孔3aを有する載置台3と、該載置台3の下方から被検体2下面へと照射光Bを投光する照射用非軸放物面鏡8と、該被検体2下面にて反射した拡散反射光Cを受光する反射用非軸放物面鏡9とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物に付着した残留農薬濃度等、被検体の成分分析を行なう成分分析装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物に付着した残留農薬については、該残留農薬濃度等が食品衛生法残留農薬基準値に適合しているか否か測定する必要があるため、委託分析やELISA法を用いた簡易分析による破壊検査にて検査していた。近年においては、試料を破壊することなく試料表面の残留農薬の有無を判定する方法として、試料に照射した赤外線の拡散反射光を分析する技術も公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−332580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、破壊検査の場合は、委託費用が高価であったり、試料作成作業に時間がかる等の問題点があり、赤外線の拡散反射光を利用する場合は、被検体表面を赤外線の焦点位置に調節することが困難であった。つまり、被検体を破壊することなく精度の良い成分分析の測定を行なうことが難しかった。
そこで、本発明においては、被検体の成分を精緻に測定することのできる成分分析装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、赤外線の拡散反射光から変換される測定スペクトルを調べることによって、被検体の成分分析を行なう成分分析装置であって、検出光を投射する投光部と拡散反射光を検知する検知手段との間の測定光路に、上下方向の透過孔を有する載置台と、該載置台の下方から被検体下面へと照射光を投光する照射用非軸放物面鏡と、該被検体下面にて反射した拡散反射光を受光する反射用非軸放物面鏡とを具備したものである。
【0006】
請求項2においては、前記被検体下面への照射光と前記被検体下面からの拡散反射光とが鋭角に交差するように前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを配置したものである。
【0007】
請求項3においては、平面視において、前記照射用非軸放物面鏡による反射前の照射光と、反射後の照射光とが略直交し、前記反射用非軸放物面鏡による反射前の拡散反射光と、反射後の拡散反射光とが略直交するように前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを配置するものである。
【0008】
請求項4においては、前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを、一つの放物面鏡保持部材で一体的に保持するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、青果物等の被検体の表面を赤外線の焦点位置に調節し易くなるとともに、照射用非軸放物面鏡によって照射光を被検体下面の一点に集光させることが可能となり、反射用非軸放物面鏡によって拡散反射光を集光させることが可能となるため、得られる測定スペクトルの信頼性が増し、その結果、被検体表面に付着した残留農薬濃度等を精緻に測定することができる。
【0011】
請求項2においては、透過孔の径を小さく形成しても、照射光や拡散反射光が載置台下面に遮られ難くなり、使用される赤外線を効率よく利用することができる。
【0012】
請求項3においては、成分分析装置の左右幅を狭めることが可能となり、成分分析装置の設計の自由度が増し、放物面鏡保持部材周辺のスペースを効率的に利用することが可能となる。
【0013】
請求項4においては、一体的に保持部材が構成されるため、取付時等で誤差が小さくなり、精度良く検出することが可能となり、取扱も容易にできる。つまり、前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを放物面鏡保持部材ごと移動させることが可能となるので、該放物面鏡保持部材を取り付ける際や、該放物面鏡保持部材の配設位置を調節する際に生じる誤差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は成分分析装置1の平面図、図2は同じくの一部断面正面図、図3は同じく一部断面右側面図、図4は放物面鏡保持部材7の前方斜視図である。
【0015】
本発明に係る成分分析装置1にて測定・分析される被検体2は、イチゴ、蜜柑、オレンジ、メロン、トマトその他の青果物または材料等の総称である。そして、例えば、被検体2が青果物である場合には、該成分分析装置1にて測定・分析された残留農薬の種類・量・濃度等(以下、残留農薬濃度等とする。)によって、当該青果物の選別等を行なうことができるものである。詳しくは、本発明の成分分析装置1によって、本実施例における被検体2に付着した成分等を測定・分析し、該測定・分析結果に基いて出荷可能な被検体(例えば、残留農薬濃度等が基準値未満の青果物)と廃棄被検体(例えば、残留農薬濃度等が基準値以上の青果物)とに判別することが可能である。
【0016】
図1乃至図3に示すように、本発明の成分分析装置1は、投光部6にて発した赤外線を分割し合成(干渉)して第1の照射鏡5へと投光する干渉計4と、該合成された照射光(図中、矢印A)を照射用非軸放物面鏡8へと導く照射鏡5と、該照射鏡5によって導かれた照射光Aを反射して載置台3上の被検体2下面に照射(図中、矢印B)する照射用非軸放物面鏡8と、該被検体2下面で反射した拡散反射光(図中、矢印C)を反射鏡12へと反射する反射用非軸放物面鏡9と、該反射用非軸放物面鏡9にて反射された拡散反射光(図中、矢印D)を検知手段13へと投光する反射鏡12と、該反射鏡12にて反射した拡散反射光を検知する検知手段13と、該検知手段13から得られた出力信号をデジタル信号に変換して制御部15へ送信するAD変換器14と、該制御部15等とから構成されるものである。
【0017】
前記AD変換器14には制御部15が接続されており、該制御部15には、演算された残留農薬濃度等や判定結果を表示する表示部30が接続されている。
制御部15は、AD変換器14から送られてきた拡散反射光の光学的情報をスペクトル分析し残留農薬濃度等や判定結果を演算するものであり、後述する鏡5・8・9・12の角度や放物面鏡保持部材7の高さを制御したり(本実施例では鏡、保持部材を駆動するアクチュエータは図示していない)、表示部30等に残留農薬濃度等や判定結果を表示するための信号を送信したりするものであって、これらの動作を制御するためのプログラムや、予め実験的に得られた様々な残留農薬の種類ごとの変換テーブル(マップ)等が格納されている。
【0018】
前記照射鏡5は、照射用非軸放物面鏡8の右方、且つ干渉計4の前方に配設されるものであって、成分分析装置1の基台20上面の右前部に立設された鏡支柱21Rによって支持されている。一方、前記反射鏡12は、反射用非軸放物面鏡9の左方、且つ検知手段13の前方に配設されるものであって、成分分析装置1の基台20上面の左後部に立設された鏡支柱21Lによって支持されている。
該基台20後端部には、後壁22が立設されており、該後壁22の上部前面には載置台支持壁24が固設されている。該後壁22には、前記干渉計4から照射鏡5へと投光される赤外線の照射光が通るための透過孔22Rと、前記反射鏡12から検知手段13へと投光される赤外線の拡散反射光が通るための透過孔22Lとが形成されている。つまり、該透過孔22Rは前記照射鏡5の後方に形成されており、該透過孔22Lは前記反射鏡12の後方に形成されている。
【0019】
前記載置台支持壁24上には、載置台3を配設することができ、該載置台3には測定対象たる被検体2を載置することができる。載置台支持壁24は、該載置台3が、平面視において後述する照射用非軸放物面鏡8の鏡面8aと反射用非軸放物面鏡9の鏡面9aとの略中間に位置するように構成されている。
詳しくは、図2及び図3に示すように、載置台3は、被検体2を載置するためのものであって、該載置台支持壁24上に着脱自在となっており、被検体2表面を傷めることなく搬送することができるものである。載置台3は、平面視において、略中央部に上下方向に開口する透過孔3aが形成されており、該透過孔3aは、該照射用非軸放物面鏡8から被検体2下面に照射される照射光Bと、該被検体2下面で反射して反射用非軸放物面鏡9に投光される拡散反射光Cとが通過するために形成されている。
【0020】
載置台3の底面は、平面視略中央部側、即ち透過孔3a側が低く、外周方向に向うに従い徐々に高くなるように形成されている。換言すれば、載置台3の底面は、斜度が浅いすり鉢形状に形成され、被検体2の外形形状に合わせた形状(曲面)としている。そして、該すり鉢の深さは被検体2の高さの略半分程度に形成し、被検体2が載置台3から落下し難いように構成している。
【0021】
以下、本発明の要部であって、前記載置台3の下方に配設される放物面鏡保持部材7等について説明する。
図1乃至図3に示すように、前記基台20の平面視略中央部には、放物面鏡保持部材7が固設されている。図1乃至図4に示すように、該放物面鏡保持部材7は、略方形の土台7a上に前支持壁7bと後支持壁7cとが立設されており、詳しくは、土台7a上面の左前部に前支持壁7bが、右後部に後支持壁7cが立設されており、該前支持壁7bが前記照射鏡5の左方に位置し、該後支持壁7cが前記反射鏡12の右方に位置するように配置されている。
【0022】
そして、前支持壁7bの右面から照射用非軸放物面鏡8が右方へと突設されており、後支持壁7cの左面から反射用非軸放物面鏡9が左方へと突設されている。つまり、放物面鏡保持部材7は正面視凹状に、平面視L状に構成して、前支持壁7bの内側面(左右中央側)に照射用非軸放物面鏡8が取り付けられ、後支持壁7cの内側面に反射用非軸放物面鏡9が取り付けられ、平面視及び側面視では照射用非軸放物面鏡8と反射用非軸放物面鏡9は重複しないが、正面視では下部が重なる(後述する鏡面8a・9aが中途部で交差する。)ように配置している。
【0023】
本実施例においては、照射用非軸放物面鏡8の右端は、90度非軸放物面形状に形成された鏡面8aとなっており、表面が金やアルミ等によってコーティングされている。同様に、反射用非軸放物面鏡9の左端も90度非軸放物面形状に形成された鏡面9aとなっており、表面が金やアルミ等によってコーティングされている。
両非軸放物面鏡8・9は、前記放物面鏡保持部材7によって、前記照射鏡5及び反射鏡12と同程度の高さ位置に保持されており、前述したように、前記制御部15によって該鏡5・8・9・12の角度調節や位置調節を行なえる構成にすると好ましい。
【0024】
また、反射用非軸放物面鏡9は、その鏡面9aが他の部材と干渉しない範囲で可能な限り大きな径のものを使用することが好ましく、これによって、被検体2下面で反射した拡散反射光Cのより多くを受光して前記反射鏡12へと投光することが可能となり、残留農薬濃度等の測定精度を高めることができる。つまり、2つの鏡面8a・鏡面9aの径は異なるものであっても良いし、同径のものを用いても良いのである。
このようにして、前記照射鏡5で反射した照射光Aが、非軸放物面鏡である照射用非軸放物面鏡8に照射され、該照射光Bが上方の被検体2下面に投光される構成となっており、該被検体2で拡散反射した拡散反射光Cは非軸放物面鏡である反射用非軸放物面鏡9に照射され、拡散反射光Dが左方の反射鏡12に投光される構成となっている。
【0025】
換言すれば、基台20の後方に配置した投光部6から干渉計4を介して水平方向前方に位置した第1の照射鏡5に赤外線を投光する。該赤外線は、照射鏡5にて平面視で90度方向を変えて反射して水平方向左方へ光路(照射光A)が形成される。更に、赤外線は照射用非軸放物面鏡8で反射して上方に光路が変更され、被検体2下面に向けて照射光Bを投光する。被検体2下面で反射した拡散反射光Cは、反射用非軸放物面鏡9によって反射して集光され、左方の反射鏡12に投光され、該反射鏡12で平面視において90度光路が変更されて、後方の検知手段13に受光される構成としている。
【0026】
つまり、照射鏡5から投光された照射光Aは、放物面鏡であれば光軸上の焦点に集光されるが、照射用非軸放物面鏡8に照射することにより被検体2下面の1点に集光させることができ、被検体2下面で反射した拡散反射光Cは反射用非軸放物面鏡9によって再度集光して反射鏡12に投光させることができるのである。即ち、照射鏡5からの左右水平方向の測定光路(照射光A)は照射用非軸放物面鏡8で鉛直上方に反射するのではなく、捻られて斜め後上方に反射して集光され(照射光B)、被検体2下面で反射した拡散反射光Cは、斜め後下方に配置した反射用非軸放物面鏡9で集光されて反射して拡散反射光Dとして左右水平方向の光路が形成される構成としているのである。
【0027】
そして、該拡散反射光Dは反射鏡12で反射して後方の検知手段13に受光されるが、反射用非軸放物面鏡9は照射用非軸放物面鏡8よりも後側(検知手段13側)に配置されるため、被検体2で反射して検知手段13に至る受光側の光路長は、被検体2へ照射する光路長よりも短くなり、赤外線の減衰(ロス)が抑えられ残留農薬濃度等を精度良く検出することができる。
【0028】
本発明の成分分析装置1は、被検体2表面に付着した残留農薬濃度等を赤外線を用いて測定するものであるため、赤外線の通過距離を最適な距離に調節しなければ、正確な被検体2表面の赤外線スペクトルを得ることができない。該赤外線の通過距離が最適でない場合は、検知手段13で受ける拡散反射光の強度が弱くなるため、スペクトルの波形において波長に応じた強度の違い(スペクトルの凹凸)がはっきりと識別できなくなり、その結果残留農薬濃度等が正確に測定できなくなるのである。
つまり、測定する被検体2の下面が、最適な位置(以下、焦点位置とする。)に位置するように構成する必要がある。
【0029】
そこで、成分分析装置1においては、前記非軸放物面鏡8・9の鏡面8a・9aから前記載置台3の透過孔3aまでの距離を一定としている。つまり、該透過孔3aを塞ぐようにして被検体2を載置台3に載置して、被検体2ごと該載置台3を成分分析装置1の載置台支持壁24上に載置して残留農薬濃度等の測定を行なう構成としているのである。
このように構成すると、該透過孔3aから両非軸放物面鏡8・9までの距離が常に一定となるため、予め該透過孔3a近傍に赤外線の焦点位置を調節しておけば、作業者が被検体2を該透過孔3aを塞ぐように載置するだけで、該被検体2下面が赤外線の焦点位置と略一致することになる。
【0030】
具体的には、予め、該透過孔3aに載置した被検体2下面にて反射した赤外線から得られる測定スペクトルのエネルギー若しくは強度若しくは強度の凹凸が大きくなるように、該照射鏡5と反射鏡12と両非軸放物面鏡8・9の位置及び角度を調節しておくことによって、載置台3に載置した被検体2下面の位置を赤外線の焦点位置と略一致させておくのである。但し、照射鏡5や反射鏡12や両非軸放物面鏡8・9は角度を調節するだけの構成とし、載置台支持壁24の高さを調節する構成としても良い。
照射鏡5や反射鏡12や両非軸放物面鏡8・9はモータ等のアクチュエータを用いて角度調節可能とし、放物面鏡保持部材7や載置台支持壁24はシリンダ等のアクチュエータを用いて高さを調節可能として、赤外線の焦点位置を自動で調節する構成とすることができる。
【0031】
以上のように、成分分析装置1によって行なわれる被検体2表面の残留農薬濃度等の測定は、図1乃至図3に示すように、被検体2を、下部に透過孔3aが形成された載置台3上に載置して、該載置台3下方から後述する照射用非軸放物面鏡8を介して被検体2下面に照射光Bを照射して、その拡散反射光Cを後述する反射用非軸放物面鏡9を介してスペクトル分析することによって行なうものである。
【0032】
以下、本発明の成分分析装置1の動作方法について説明する。
制御部15は、投光部6から干渉計4を介して第1の照射鏡5に赤外線を投光する。該赤外線は、照射鏡5にて反射した後、照射用非軸放物面鏡8で反射して被検体2下面に集光して照射される。そして、該被検体2下面にて拡散反射した拡散反射光Cは反射用非軸放物面鏡9にて反射して反射鏡12へと投光される。該拡散反射光Dは反射鏡12にて反射した後に検知手段13で検知され、該検知した光学的情報がAD変換器14にてデジタル信号に変換されて、該デジタル信号は制御部15へ送信される。
【0033】
制御部15では、前記AD変換器33から送信されてきた拡散反射光に関するデジタル信号をスペクトルに変換する。詳しくは、前記検知手段13で測定した拡散反射光の光学的情報が、AD変換器33を介してデジタル信号として制御部15に送信されて、該制御部15にて、受信した拡散反射光の時間関数としての波形を、周波数の関数としてのスペクトルにフーリエ変換する。制御部15では、該スペクトルと残留農薬の種類ごとに予め実験的に得られた変換テーブルに基いて、残留農薬濃度等を演算し、該残留農薬濃度等が予め定めた基準値未満であるか否かを判定し、即ち被検体2を出荷被検体(基準値以内の被検体)と廃棄被検体(基準値超の被検体)とに判別する。
該判別結果は、表示部30に表示される。
【0034】
このように、赤外線の拡散反射光C・Dから変換される測定スペクトルを調べることによって、被検体2の成分分析を行なう成分分析装置1であって、照射光を投射する投光部6と拡散反射光を検知する検知手段13との間の測定光路に、上下方向の透過孔3aを有する載置台3と、該載置台3の下方から被検体2下面へと照射光Bを投光する照射用非軸放物面鏡8と、該被検体2下面にて反射した拡散反射光Cを受光する反射用非軸放物面鏡9とを具備したので、青果物等の被検体2の表面を赤外線の焦点位置に調節し易くなるとともに、照射用非軸放物面鏡8によって照射光Bを被検体2下面の一点に集光させることが可能となり、反射用非軸放物面鏡9によって拡散反射光Cを集光させることが可能となるため、得られる測定スペクトルの信頼性が増し、その結果、被検体2表面に付着した残留農薬濃度等を精緻に測定することができる。
【0035】
そして、図3及び図4に示すように、照射用非軸放物面鏡8の鏡面8aから照射される照射光Bと、被検体2下面から反射用非軸放物面鏡9の鏡面9aへと反射される拡散反射光Cとが、側面視において鋭角に交差するように構成されている。例えば、前記放物面鏡保持部材7によって、該照射用非軸放物面鏡8と該反射用非軸放物面鏡9とが極めて近傍に配設されている。そして、両非軸放物面鏡8・9を前記放物面鏡保持部材7の前・後支持壁7b・7cに取り付ける際の角度を、載置台3の透過孔3aからそれぞれの鏡面8a・9aまでの距離(上下距離)が、該鏡面8a・9aの中心同士の距離(前後距離)よりも長くなるように構成すると好適である。
具体的には、両非軸放物面鏡8・9の間隔を狭めたり、両非軸放物面鏡8・9の配設される高さを低くしたり、即ち放物面鏡保持部材7の高さを低くしたり、載置台支持壁24の高さを高くすれば良いのである。
【0036】
このように、前記被検体2下面への照射光Bと前記被検体2下面からの拡散反射光Cとが鋭角に交差するように前記照射用非軸放物面鏡8と前記反射用非軸放物面鏡9とを配置したことにより、透過孔3aの径を小さく形成しても、照射光Bや拡散反射光Cが載置台3下面に遮られ難くなり、使用される赤外線を効率よく利用することができる。
【0037】
また、照射用非軸放物面鏡8と反射用非軸放物面鏡9の高さを低くし、載置台支持壁24の高さを高くすることによって、載置台3と該非軸放物面鏡8・9との隙間が大きくなり、該隙間を載置台3や被検体2の搬送ラインの配設スペースに利用することが可能となる。
【0038】
そして、照射用非軸放物面鏡8は、前記前支持壁7bから放物面鏡保持部材7の左右略中央部まで延設されており、反射用非軸放物面鏡9は前記後支持壁7cから放物面鏡保持部材7の左右略中央部まで延設されている。即ち、2つの鏡面8a・9aが共に放物面鏡保持部材7の左右略中央部に配設され、互いが略前後方向に位置するように配設されているのである。
これによって、照射鏡5によって右方から投光されてくる照射光Aは、該照射用非軸放物面鏡8によって平面視略後方へと照射され、被検体2下面で反射した拡散反射光Cが平面視略後方へと反射される構成となっている。そして、該拡散反射光Cは、反射用非軸放物面鏡9によって左方へと反射されるのである。
【0039】
本実施例においては、図1及び図3に示すように、照射用非軸放物面鏡8の鏡面8aを反射用非軸放物面鏡9の鏡面9aの前方に配設する構成としており、反射鏡12から後壁22までの距離が、照射鏡5から後壁22までの距離よりも短くなるように構成されている。これによって、被検体2で拡散反射した後の拡散反射光の光路を短くすることができ、残留農薬濃度等の測定精度を向上させることが可能となっている。
【0040】
このように、平面視において、前記照射用非軸放物面鏡8による反射前の照射光Aと、反射後の照射光Bとが略直交し、前記反射用非軸放物面鏡9による反射前の拡散反射光Cと、反射後の拡散反射光Dとが略直交するように、前記照射用非軸放物面鏡8と前記反射用非軸放物面鏡9とを配置するので、成分分析装置1の左右幅を狭めることが可能となり、成分分析装置1の設計の自由度が増し、放物面鏡保持部材7周辺のスペースを効率的に利用することが可能となる。
【0041】
また、前記照射用非軸放物面鏡8と前記反射用非軸放物面鏡9とを、一つの放物面鏡保持部材7で一体的に保持するので、取付時等で誤差が小さくなり、精度良く検出することが可能となり、取扱も容易にできる。つまり、前記照射用非軸放物面鏡8と前記反射用非軸放物面鏡9とを放物面鏡保持部材7ごと移動させることが可能となるので、放物面鏡保持部材7を取り付ける際や、放物面鏡保持部材7の配設位置を調節する際に生じる誤差を小さくすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】成分分析装置の平面図。
【図2】同じくの一部断面正面図。
【図3】同じく一部断面右側面図。
【図4】放物面鏡保持部材の前方斜視図。
【符号の説明】
【0043】
1 成分分析装置
2 被検体(青果物)
3 載置台
3a 透過孔
7 放物面鏡保持部材
8 照射用非軸放物面鏡
9 反射用非軸放物面鏡
8a・9a 鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線の拡散反射光から変換される測定スペクトルを調べることによって、被検体の成分分析を行なう成分分析装置であって、
検出光を投射する投光部と拡散反射光を検知する検知手段との間の測定光路に、
上下方向の透過孔を有する載置台と、
該載置台の下方から被検体下面へと照射光を投光する照射用非軸放物面鏡と、
該被検体下面にて反射した拡散反射光を受光する反射用非軸放物面鏡と
を具備したことを特徴とする成分分析装置。
【請求項2】
前記被検体下面への照射光と前記被検体下面からの拡散反射光とが鋭角に交差するように前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の成分分析装置。
【請求項3】
平面視において、
前記照射用非軸放物面鏡による反射前の照射光と、反射後の照射光とが略直交し、
前記反射用非軸放物面鏡による反射前の拡散反射光と、反射後の拡散反射光とが略直交する
ように前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを配置することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の成分分析装置。
【請求項4】
前記照射用非軸放物面鏡と前記反射用非軸放物面鏡とを、一つの放物面鏡保持部材で一体的に保持することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の成分分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−248129(P2007−248129A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69302(P2006−69302)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】