説明

成型食品及びその製造方法

【課題】糖尿病などの生活習慣病の改善・予防食として美味しく食することのできる、低カロリー炊飯米の調製に有用な米飯用の成型食品ならびに麺類等の米飯用以外の低カロリー成型食品及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】成型食品の製造方法であって、1)澱粉混合物の全質量に対して少なくとも5質量%の耐性澱粉を含む澱粉混合物に水又は温水を加えて混合する工程、2)工程1)で得られた混合物を撹拌しながら65〜90℃まで加熱して糊化する工程、3)工程2)で得られた糊化物を加熱温度65〜90℃、成型時圧力40〜70kgf/cm2で押し出し成型する工程、4)工程3)で得られた成型物を乾燥する工程を含む前記製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉を主成分として作られる成型食品及びその製造方法に関し、特に糖尿病などの生活習慣病の改善・予防食として美味しく食することのできる炊飯米の調製に有用な、成型食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、糖尿病や生活習慣病の改善・予防は喫緊の課題である。すなわち、日頃からカロリーの過剰摂取の防止に努めることは大きなテーマとなっている。カロリーの過剰摂取の場合は医師や栄養士の指示・指導により、米飯食自体が摂取カロリーの低減を目的に制限される場合もある。しかしながら主食である米飯の量が制限されることは、日常生活の質の低下につながるため、その解決策が求められている。
【0003】
また、たんぱく質摂取を制限されている腎不全などの腎疾患患者を対象として、『澱粉米』なる擬似米が病院食として提供されている。この澱粉米は、文字通り澱粉を米粒のように粒状に固めたものであり、米飯のごとく釜で炊くことにより、米飯と同様の食感を得ることができる。しかしながら、澱粉米は澱粉臭が強く、これを米飯のように主食として摂取することに難色を示す患者が多く、十分に普及していない。
【0004】
この澱粉臭の問題を改善するための技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば、たんぱく質の摂取量を大きく制限されている患者に、風味の点でも通常の米飯に近い食品を提供することができる。しかしながらカロリーに関する点では一般的な米飯と大差がない。
【0005】
一方、特許文献2では低カロリー食品素材及びその製造方法が開示されており、低カロリー食品素材の製造に天然澱粉及び化工澱粉の使用が記載されている。しかしながらこの方法では米飯の食感をゲル化剤等を用いて擬似的に調整しているため、澱粉主体である米飯の食感を十分に再現できているとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−252030号
【特許文献2】特許第3110907号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的とする処は美味しく食することのできる低カロリー炊飯米の調製に有用な、米飯用の成型食品及びそれを使用した低カロリー炊飯米を提供することにある。また、本発明の別の目的は、麺類等、米飯以外の低カロリー成型食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、糖尿病などの生活習慣病の改善・予防に適した低カロリー炊飯米の調製に用いる炊飯米用補助材を開発すべく研究を重ねた結果、耐性澱粉を含む澱粉混合物を水又は温水と混合し、攪拌しながら加熱することにより糊化し、その糊化物を特定条件で押出し成型した後、その成型物を乾燥することにより得られる成型乾燥物を米飯に添加して得られる炊飯米が低カロリーであることを見出した。また、該成型乾燥物の炊飯時の吸水量が飛躍的に増大することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記を提供する。
(1)成型食品の製造方法であって、
1)澱粉混合物の全質量に対して少なくとも5質量%の耐性澱粉を含む澱粉混合物に水又は温水を加えて混合する工程
2)工程1)で得られた混合物を撹拌しながら65〜90℃まで加熱して糊化する工程
3)工程2)で得られた糊化物を加熱温度65〜90℃、成型時圧力40〜70kgf/cm2で押し出し成型する工程
4)工程3)で得られた成型物を乾燥する工程
を含む前記製造方法。
(2)前記澱粉混合物が澱粉混合物の全質量に対して5〜50質量%の耐性澱粉を含む前記(1)記載の製造方法。
(3)耐性澱粉が化学修飾耐性澱粉である前記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法により製造された成型食品。
(5)形状が粒状又は線状である前記(4)に記載の成型食品。
(6)前記(4)または(5)に記載の成型食品を通常米に添加し、炊飯して得られる低カロリー炊飯米。
(7)成型食品を通常米100質量部に対して10〜75質量部の割合で添加する、前記(6)に記載の低カロリー炊飯米。
(8)炊飯時の加水量が、成型食品と通常米の合計100質量部に対して140〜260質量部である、前記(6)または(7)に記載の低カロリー炊飯米。
【発明の効果】
【0009】
本発明の成型食品を添加して炊飯を行うと、食感、外観、食味、風味を損なうことなく、得られる米飯のカロリーを、通常米のみを炊飯して得られる炊飯米のそれと比較して、1/4〜1/3程度カットすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な例を示して詳細に説明する。本発明の成型食品は耐性澱粉を含む澱粉混合物を主成分として成る。その形状は例えば米粒のような粒状又は麺類、パスタ類のような線状であり、粒状とは高さ及び粒径が2〜5mm程度、線状とは断面の半径が2〜15mm程度、長さが1.5〜25cm程度である。
【0011】
耐性澱粉(RSともいう)は、例えば特表2001−521727及び特開2009−95316にも開示されているように、食物繊維含量の高い、即ち消化酵素への抵抗性を高めた澱粉素材であり、耐性の原因に依存して4つのカテゴリー(RS1〜RS4)に分類されている。RS1はタンパク質基質内または植物細胞壁内への顆粒の閉じ込めのために、物理的にアクセス不可能な澱粉である。RS2は膵臓α−アミラーゼによる消化に抵抗する粒状澱粉である。RS3は老化した、非粒状澱粉または澱粉食品である。RS4はα−1,4−D−グリコシド結合およびα−1,6−D−グリコシド結合以外の結合(例えば架橋)を有する耐性澱粉であり、本発明において使用される耐性澱粉は、RS1〜RS4のいずれのタイプであっても良い。
本発明において使用される耐性澱粉は食品中の食物繊維含量を分析する方法である酵素−重量法あるいは酵素−HPLC法において、30%以上の食物繊維を含有する澱粉であることが好ましい。
本発明に使用する耐性澱粉の原料としてはタピオカ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉などが挙げられるが、これに限られない。
【0012】
本発明において使用される耐性澱粉は、上記RS4に該当する化学修飾耐性澱粉であることが好ましい。
ここで化学修飾耐性澱粉とは、澱粉を構成するグルコース鎖を化学的に修飾し、グルコースの水酸基にさまざまな官能基を導入又は澱粉分子間や分子内に架橋を形成して消化酵素への耐性を付加した澱粉をいう。具体例としてはリン酸架橋耐性澱粉、エーテル化耐性澱粉、エーテル化リン酸架橋耐性澱粉等が挙げられる。本発明においては特にリン酸架橋耐性澱粉であることが好ましい。
リン酸架橋耐性澱粉の例としては松谷化学工業(株)が提供するファイバージムRW並びにパインスターチRTを例示することができる。
【0013】
上記耐性澱粉以外の澱粉として澱粉混合物に含まれる澱粉として、コーンスターチや小麦澱粉などの穀類澱粉、又じゃがいも澱粉やさつまいも澱粉などのいも類澱粉、アミロースをほとんど含まず糊化力の高いワキシーコーンスターチ、もちソルガム澱粉、もち米澱粉などを利用できるが、中でも糊化したときの安定性が良い穀類澱粉を用いることが望ましい。
【0014】
ここで糊化とは、澱粉を水中に懸濁して加熱することにより、澱粉本来の結晶構造が壊れる現象をいう。澱粉粒子は水共存下で加熱されることにより吸水して次第に膨潤し、最終的には崩壊し、ゲル状に変化する。この際、澱粉懸濁液は白濁した状態から次第に透明になり、急激に粘度を増して糊状になる。
【0015】
本発明に使用できる耐性澱粉以外の澱粉として澱粉混合物に含まれる澱粉は、澱粉の処理として通常認められる酸処理、アルカリ処理、酵素処理、漂白処理や、加工澱粉に認められるエステル化、酸化等の処理を行った澱粉であっても良い。
【0016】
本発明において、澱粉混合物は澱粉混合物の全質量に対して好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%の耐性澱粉を含むことが望ましい。本発明の成型食品は、澱粉同士が一部糊化し接着して基本骨格が形成されるところに耐性澱粉が共存することで、構造を適度に弱めて成型食品の吸水性を高めることで、効果を発現するものと推測される。従って、耐性澱粉の含有量が澱粉混合物の全量に対して5質量%未満であると効果を発現するのに不十分であり、耐性澱粉の含有量が澱粉混合物の全量に対して50質量%を超えると、成型食品の構造が保たれず、製品として不適である。
【0017】
本発明の成型食品には、特許文献1に開示される方法に準じて着香料等を用いても良い。例としてジャスミンライスとも称される香り米、並びにその主要な香気成分であるアセチルピロリンがあげられるが、本発明はこれに限定されず、任意の着香料を用いて差し支えない。具体的には、香り米の粉は澱粉及び耐性澱粉の混合物100質量部に対し、3〜30質量部、好ましくは3〜10質量%の量で使用する。香り米以外の着香料としては、レモン油、オレンジ油、ラベンダー油、ペパーミント等の植物性香料を例示することが出来、それらの場合は前記混合物100質量部に対して0.05〜0.4質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%の量で使用する。
【0018】
本発明の成型食品には、その他の副原料を併用しても良い。例示すれば、玄米、発芽玄米、粟、稗、麦、大麦、蕎麦等の雑穀類や各種穀類の胚芽、大豆、小豆、ササゲ豆、黒豆等の豆類、ビタミン強化剤等の栄養強化剤、ペクチン、ガム質、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維、セルロース、ヘミセルロース、キチン質等の不溶性食物繊維等を成型食品の食感に影響を及ぼさない範囲で混合・処方することができる。より具体的には、澱粉及び耐性澱粉の混合物100質量部に対し、0.5〜50質量部、好ましくは1〜20質量部程度含むことが好ましい。
【0019】
次に、上記の成型食品の好適な製造方法を、米飯用の成型食品を例にして説明する。先ず第1工程として、予め精製、乾燥処理された澱粉及び耐性澱粉の混合物100質量部に対し、3〜30質量部、好ましくは3〜10質量部の香り米の粉と、30〜50質量部、好ましくは30〜40質量部の水又は温水とを加えて混合する。
【0020】
次いで、第2工程として、第1工程で得た混合物を撹拌しながら65〜90℃、好ましくは70〜80℃まで加熱して糊化する。尚、このときの加熱温度は澱粉の糊化温度を目安とし、これよりやや高い温度に設定することが好ましい。さらに第3工程として、糊化物を所定の温度及び圧力で粒状、又は線状に連続成型する。所定の温度及び圧力とは、温度を65〜90℃、好ましくは70〜80℃、圧力を40〜70kgf/cm2、好ましくは50〜60kgf/cm2に設定することであり、この範囲を逸脱すると所望の吸水量を満足する成型食品を得ることが出来ない。尚、その成型物は互いに粘着し合わぬよう走行中のコンベヤ上に落下させて次工程へと直送するのが好ましい。
また、第1工程〜第3工程は、エクストルーダー等を用いて連続的に行うことが好ましい。
【0021】
そして、最後に第4工程として、その成型物を連続して乾燥機などに搬入し、40〜70℃の雰囲気温度下で20〜60分間の加熱乾燥処理を施すことにより、粒状、又は線状のまま固化した成型食品を得る。乾燥工程は例えば、40〜70℃で3〜10分間半乾燥した後さらに40〜70℃で20〜60分間乾燥するというように、複数の工程で行っても良い。得られた成形食品の含水率は10〜15%、好ましくは11〜13%である。
【0022】
成型食品は、単独あるいは通常米に添加して炊飯し、低カロリー炊飯米とすることができる。また、成型食品を線状に成型して麺類またはパスタとしても良く、この場合にはこれを茹で、茹で上がったものにスープやソースをかけて食することができる。
ここで通常米とは一般に炊飯して食用とする米として流通しているものをいう。
【0023】
本発明の成型食品を炊飯米に添加して使用する場合は、通常米100質量部に対して10〜75質量部、好ましくは20〜60質量部、さらに好ましくは25〜50質量部を添加する。10質量部未満では、カロリー低減効果が少なく、75質量部を超えると炊飯米としての食感が低下する。
【0024】
本発明の成型食品を炊飯米に添加して使用する場合、成型食品と通常米の合計100質量部に対して140〜260質量部、好ましくは170〜250質量部、さらに好ましくは200〜240質量部の水を加えて炊飯する。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の適用例を説明するが、本発明は下記例に限るものではない。
【0026】
実施例1
表1の配合に従って米飯用の成型食品を製造した。混合槽内にコーンスターチ(とうもろこし澱粉)を32.5kg、小麦澱粉を3kg、耐性澱粉としてパインスターチRT(松谷化学工業(株)、食物繊維含量:80質量%)を12.5kg、着香料として香り米の粉を3kg(対澱粉配合率6.25%)、及び水を17リットル入れ、15分間撹拌した。この際、混合槽内に水を噴霧しながら澱粉(コーンスターチ及び小麦澱粉)と香り米の粉とを撹拌した。
混合物をスクリュー型のエクストルーダーに導入し、これを75℃に加熱しながら撹拌して糊化し、その糊化物を54kgf/cm2の圧力に設定して多孔状のノズルから押し出しつつ、これをノズル部に装置されるカッターにて4mmの長さに切断して粒状にした。そして、その粒状成形物をネットコンベヤ上に落下させ、該ネットコンベヤ上に乗せながら乾燥機内に導入し、50℃の温度下で40分間の加熱乾燥処理を施して含水率11.8%の粒状をした米飯用の成型食品を得た。
【0027】
表1

*1:パインスターチRT:松谷化学工業(株)、食物繊維含量80%(酵素−HPLC法)
*2:ファイバージムRW:松谷化学工業(株)、食物繊維含量80%(酵素−重量法)
【0028】
実施例2
実施例1において耐性澱粉としてファイバージムRW(松谷化学工業(株)、食物繊維含量:80質量%)を用い、他は同様にして、含水率11.9%の粒状をした成型食品を得た。
【0029】
比較例
実施例1において、耐性澱粉を、全量コーンスターチに置き換え、他は同様にして、含水率12.3%の粒状をした成型食品を得た。
【0030】
実施例3
実施例1と比較例で得た成型食品について炊飯実験を行った。研いだ通常米(市販のコシヒカリ)150gに成型食品75gを加え、加水量を変えながら市販の炊飯器で炊飯を行い、得られた炊飯米様食品の炊飯米としての品質(食感、外観、食味、風味)を通常の炊飯米と比較して評価した(表2)。その結果、比較例においては加水量320g(加水1)が最も品質が高く、加水を増やすと粥状の性状に近づき、炊飯米としての品質は低下する結果となった。一方、実施例1においては加水量320g(加水1)で外観や風味には問題がなかったものの、通常の炊飯米よりやや硬い食感となった。加水量を上げて炊飯を行ったところ、480g(加水3)、あるいは520g(加水4)の加水により、食感、外観、食味及び風味が最も良好となった。
【0031】
表2 炊飯試験評価

◎:食感、外観、食味、風味とも良好(通常の炊飯米と同等)
○:食感、外観、食味、風味とも可
△:食感、外観、食味、風味のいずれかに難あり
×:食感、外観、食味、風味のいずれかにおいて不可
−:炊飯行わず
*:実施例1又は比較例で製造した成型食品を添加
【0032】
次いで、得られた炊飯米様食品の一部についてカロリー評価を行った結果を表3に示す。評価に当たっては通常米のみで炊飯を行い、コントロールとした。実施例1の好適な条件である加水量480g(加水3)におけるカロリー値はコントロール値の74%、加水量520g(加水4)におけるカロリー値は67%となった。一方、比較例(加水1)においては、カロリー値の減少幅は一割に満たなかった。また、参考例として実施例1における加水320g(加水1)の場合のカロリーを算出したところ、比較例と大差がなかった。このことから本発明の成型食品は吸水性が極めて高く、その結果として炊飯米の品質を低下させることなくカロリー値を低下させていることが分かる。
【0033】
表3 炊飯米のカロリー評価

【0034】
実施例4
表4の配合に従ってパスタ様成型食品を調製した。
表4

*:パインスターチRT(松谷化学工業(株)、食物繊維含量80%(酵素−HPLC法))
【0035】
混合槽内にコーンスターチ(とうもろこし澱粉)を37kg、小麦澱粉を3kg、耐性澱粉としてパインスターチRTを10kg、及び水を17リットル入れ、15分間撹拌した。この際、混合槽内に水を噴霧しながら澱粉(コーンスターチ及び小麦澱粉)と耐性澱粉を混合した。
混合物をスクリュー型のエクストルーダーに導入し、これを75℃に加熱しながら撹拌して糊化し、その糊化物を54kgf/cm2の圧力に設定して多孔状のノズルから押し出した。連続してベルトコンベア式乾燥機(約4分、60℃)を通過させて半乾燥させ、約20cmの長さに切断して麺状にした。そして、その麺状成形物をネットコンベヤ上に乗せて乾燥機内に導入し、約60℃の温度下で30分間の加熱乾燥処理を施して含水率13%のパスタ様成型食品を得た。
得られたパスタ様成型食品を沸騰湯浴で10分間茹でて水切りし、市販のクリームパスタソースを和えて喫食したところ、やや弾力があり、味、食感ともに良好だった。
【0036】
実施例5
表4と同じ配合でマカロニ様成型食品を製造した。混合槽内にコーンスターチ(とうもろこし澱粉)を37kg、小麦澱粉を3kg、耐性澱粉としてパインスターチRTを10kg、及び水を17リットル入れ、15分間撹拌した。この際、混合槽内に水を噴霧しながら澱粉(コーンスターチ及び小麦澱粉)と耐性澱粉とを混合した。
【0037】
混合物をスクリュー型のエクストルーダーに導入し、これを75℃に加熱しながら撹拌して糊化し、その糊化物を54kgf/cm2の圧力に設定して多孔状のノズルから押し出した。得られた糊化物を厚さ1.5mmで圧延し、連続してベルトコンベア式乾燥機(約5分、60℃)を通過させて半乾燥させ、約4cmの長さに切断して短冊状にした。そして、その短冊状成形物をネットコンベヤ上に乗せて乾燥機内に導入し、約60℃の温度下で30分間の加熱乾燥処理を施して含水率13%のマカロニ様成型食品を得た。
得られたマカロニ様成型食品を沸騰湯浴で7分間茹でて水切りし、適量のきゅうりと辛子マヨネーズを和えてマカロニサラダを調製した。得られた食品は味、食感ともに良好だった。
【0038】
以上の説明で明らかなように、本発明の成型食品を使用すれば、米飯における吸水が増加し、大幅なカロリーの低減が可能となる。また耐性澱粉を配合しているため、食物繊維増強効果も期待できる。その結果、米飯に非常に近い食品を摂取しながら、摂取カロリーを抑えることが可能となり、糖尿病や生活習慣病対策として、あるいはダイエット食として好適な主食を提供することができる。加えて、澱粉が主体であるため、たんぱく質摂取を制限されている腎不全患者の食用にも依然として適する。
又、本発明の成型食品は水中で加熱調理しても型崩れし難く、粒状、線状に保ったまま食することができ、食感も良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型食品の製造方法であって、
1)澱粉混合物の全質量に対して少なくとも5質量%の耐性澱粉を含む澱粉混合物に水又は温水を加えて混合する工程、
2)工程1)で得られた混合物を撹拌しながら65〜90℃まで加熱して糊化する工程、
3)工程2)で得られた糊化物を加熱温度65〜90℃、成型時圧力40〜70kgf/cm2で押し出し成型する工程、
4)工程3)で得られた成型物を乾燥する工程、
を含む前記製造方法。
【請求項2】
前記澱粉混合物が澱粉混合物の全質量に対して5〜50質量%の耐性澱粉を含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
耐性澱粉が化学修飾耐性澱粉である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により製造された成型食品。
【請求項5】
形状が粒状又は線状である請求項4項に記載の成型食品。
【請求項6】
請求項4または5に記載の成型食品を通常米に添加し、炊飯して得られる低カロリー炊飯米。
【請求項7】
成型食品を通常米100質量部に対して10〜75質量部の割合で添加する、請求項6記載の低カロリー炊飯米。
【請求項8】
炊飯時の加水量が、成型食品と通常米の合計100質量部に対して140〜260質量部である、請求項6または7に記載の低カロリー炊飯米。

【公開番号】特開2011−182664(P2011−182664A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48950(P2010−48950)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000188227)松谷化学工業株式会社 (102)
【出願人】(510062033)株式会社グンプン (1)
【Fターム(参考)】